資源エネルギーに関する調査会(2018年02月07日)

今後のOPEC加盟国と日本との連携について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 参考人の先生方には、大変示唆に富む、また知見あふれるお話をいただきまして、本当にありがとうございます。
 まず、保坂参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほど、中東情勢と石油等資源エネルギーをめぐるというタイトルでお話をいただきました。当然、世界のエネルギーの活用方法が変わってきている中で、中東の位置付けがいろいろ変化をしていくだろうと。その上で、石油というもの自体の価格決定力というのはこれまでOPECが担ってきていたというふうに承知をしております。ところが、その価格決定力というのが、決して中東だけではなくて、世界各国の中の産油国の中で決められてきているということを考えますと、全体、OPECに加盟をしている国々が世界とどう今後付き合っていかなければいけないか。
 また、日本としてはこの対OPECという関係よりもむしろバイの関係をどんどん進めていかなければいけないのかなということを少しお話を伺う中で疑問に感じているところがあるんですけれども、今後、その辺の国際関係のことについて御所見をいただければと思います。

参考人(保坂修司君)  御質問ありがとうございます。もしかしたら、OPECに関しましては芳川参考人の方が詳しいかもしれませんけれども。
 確かに、今おっしゃられたとおり、OPECの力というのはやはり大分落ちてきているというふうに思っております。ただ実際に、今、例えば中東地域においていろいろ事件が起きたとしても、それが必ずしも石油価格にそのまま反映しているわけではございませんので、全体的に、やはり中東のみならず石油そのものの役割自体が、あるいはOPECの役割自体がほかの要素にかなり影響を受けているのではないかという感じがしております。
 OPEC自身もここのところ様々な動きを示しておりまして、例えばロシアとの協調ですね、それによって実際減産合意を得たわけですので、恐らく今後は、非OPEC諸国との共闘であったりとかそういったところも進んでいくことによって油価を安定的にしていこうという思惑は恐らく今後は持ち続けていくのではないかと思っております。
 また、非常に重要なポイントとして、OAPECという別の概念がございます。これはアラブ石油輸出国機構という概念でして、実は、第一次石油危機のときにはここが根源だったわけで、今後もやはり政治的な役割としてはOPECないしはOAPECにも依然として政治的な潜在能力というのはあるというふうには見ておりますが、長期的に見ればやはり下がっていくであろうというふうに思っております。

輸送機械のLNG依存変化における関連国との関係性について

三浦信祐君 ありがとうございます。
 引き続き、保坂参考人に教えていただきたいと思います。
 大型船舶の今後の、石油、原油を使うということでSOx規制が掛かっていくとなってきますと、LNG船舶がこれから世界中で増えていく傾向にあると思います。我が国としてもLNGのバンカリング施設を造ろうということで準備が国交省を中心に始まっていると思うんですけれども、そうなると、LNG、当然自動車とかというレベルとは使う量が違うとしても、今後、グローバル化社会の中で物流が更に効率化を図っていくとなったときの、これまでの石油を使ってきた船舶の割合に対して明らかにLNGが増えてきたとなったときに、様々、今度は輸送機械に対する石油の依存度からLNG依存度に変わってきたときに、構成する産出国が変わってくると思いますけれども、ここと日本との関係、今後どう考えていけばいいのかということを一つ教えていただきたいと思います。

参考人(保坂修司君)  LNGの問題、少なくとも電源という意味でいえば、LNGが極めて大きな役割を果たしてきているということはこれは間違いないと思いますし、基本的には石油とLNGはすみ分けはできているという認識でおります。
 一方、LNGの輸送につきましては、先ほどちょっと触れましたけれども、ホルムズ海峡という極めて重要なチョークポイントを通る比率が、石油は八割を超えているのに対してLNGに関しましては二割強という形で、より地政学的なリスクとしてはLNGの方が低いということは言えますけれども、しかし、LNGを産出している国自身も、これも触れましたけれども、実は、オーストラリアを除けば、マレーシアであったりインドネシアであったり、中東と深い関係のある国々でございますので、依然としてその点での注意はやはり必要ではないかというふうには思っております。
 タンカーそのものにつきましては、ちょっと私自身はっきりした知識は持っておりませんので、ちょっとお答えはしかねるという状況でございます。済みません。

次世代海洋資源調査技術の知財戦略の体制、重要性の認識

三浦信祐君 ありがとうございました。
 次に、浦辺参考人に二点ほど伺わせていただきたいと思います。
 まず、このSIPの次世代海洋資源調査技術、極めて前進的ですごいなというふうに感動しておりますけれども、日本が一番ここの分野が進んでいると同時に、一番気を付けなければならないと思っているのが知財戦略の体制、ここをしっかり握れないと、技術者が流出をしたり技術そのものが流出をしたりということで、国益にかなうようなことも踏まえて、今後、この知財戦略の体制、また重要性の認識、ここについて伺わせていただければと思います。

参考人(浦辺徹郎君)  御質問ありがとうございます。
 SIPで開発している技術、大きく分けて二つございます。一つは、先ほど説明しました探査技術です。もう一つは、開発をする際に最も重要になってくるのは、環境影響評価をどのようにやっていくかということだと思います。それで、前者の探査技術の方は、基本的には細かいことはノウハウとして隠していくという戦略で、内閣府さんの御協力を得てそういうふうな方針でやっております。一方、環境影響評価の方は、いわゆる国際的な基準を作るためにそれをリードしていく、その議論をリードしていくという必要がございます。
 お手元の資料の最後の方ですけれども、三十三ページに環境影響評価技術の開発という点がございます。ここには大きく二つの環境影響評価の技術が書かれておりまして、これを、一番上にありますように、SIPでは、国際標準化に向けた環境影響評価技術ロードマップを立て、ISO、国際標準化機構での規格化を推進、実際に今やっております。それで、ほかの既存手法とも組み合わせて国際標準を日本主導でやっていくと。この場合には、先ほどの探査技術と違って、むしろ、これ、もう英文でこういうことをきちっと書いて、ビデオを作って、こうやればこういうふうなことができますよというふうな形で積極的に売り出しておりまして、国際海底機構という公の海の担当する機関がございますが、そこにも行ってきちっと説明をしています。そういうふうな形で、違った知財戦略を取っております。
 以上です。

戦略的イノベーション創造プログラムにおける研究技術のビションについて

三浦信祐君 ありがとうございます。
 最後に、端的に。このSIPの出口戦略が極めて重要だと思います。恐らく財務省にたたかれるのはその出口戦略が不明確だということでこれまであったと思うんですけれども、今お話ができる範囲で、今後の研究技術の進展性だったり、また社会実装化、そのところのビジョンを是非教えていただければと思います。

参考人(浦辺徹郎君)  この出口戦略、悩ましいところでございます。
 ただ、これは海底資源の開発、先ほども申しましたように、まだ始まっていないと。それから、国の方針としては、平成三十年代後半以降にJOGMECを中心として民間の参画する資源開発を行うという国の方針がございます。それに向けてJOGMECさんもSIPも着々と協力をして進めているわけでございます。
 ですので、なかなか今すぐぽっとお金になるというものではありませんけれども、一番重要なことは、やはり資源開発というのは民間主体でございますので、今我々の持っている技術、これは、探査の技術も環境影響評価の技術も全て民間の企業グループに一〇〇%やっていただけるような状態をつくっています。
 ですので、当面はJOGMECさんが行われる探査の技術、それから環境影響の評価の技術に使っていただくということがあれですけれども、なるべく早く太平洋島嶼諸国に乗り出せればいいな、そのときにも両方の技術は用意をしている、しかも民間に全て技術移転をしているというところでございます。

三浦信祐君 ありがとうございました。