資源エネルギーに関する調査会(2017年04月19日)

レアアース泥の採掘における国際的連携の見通しと課題

三浦信祐君 参考人の先生方には、大変興味深い、また知見に富むお話をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、加藤参考人に様々お伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、レアアース泥は国家的戦略として進めるべきだということを今日学ばさせていただきました。そういう意味では、日本にとってこれからしっかりと取り組んでいかなきゃいけないということだと私は理解をさせていただいたんですが、今後採掘をしていくに当たっては国際的な取組が生じる可能性もあるのではないかなと、この辺の連携の必要性の有無という部分についてどう考えられているかということが一つと、そもそも、このレアアース泥の権利関係だったりとか採掘後の所有権、資金の流れ等についての現時点での、ある程度こういうことを詰めておかないといけないのではないかなという問題意識もありますので、御検討や知見があったら教えていただければと思います。

参考人(加藤泰浩君)  どうもありがとうございます。
 まず、この資源に関して、我々としてもオールジャパンで取組ができると一番いいなと思っているんですが、技術的な部分でいうと、例えば泥を引き揚げる技術に関してはフランスのテクニップ社とか、そういった非常に優れた技術を持っている企業がございます。だから、場合によってはそういった技術を借りるということも考えた方がいいかなと私自身は少し悩んでいる部分もあります。もちろんこれは、国産の資源としては国として対応したいというか、国、オールジャパンという体制でやりたいと思っているんですが、その部分、どうしたものかなと一つは思っております。
 あとは、これ、排他的経済水域にある資源ですから、日本が優先的に当然開発することができると。ただ、その場合でも、環境に配慮したとかそういったことに関しては、国際的な、国際海底機構が取り決めた法的な環境基準みたいなのがありますので、そういったところを踏まえながらやらなければいけないだろうと。そのときには、日本独自というよりも、実はこれはアメリカとかフランスと一緒にやるというふうにした方がそういった国際海底機構のコンセンサスを得やすいというところはあります。
 だから、そういったことをにらみながら、何が一番いいかということを考えながら我々はやるべきではないかというふうに考えております。
 以上です。

レアアース泥の品質、歩留まり

三浦信祐君 続けてお伺いさせていただきたいと思いますけれども、レアアースの、これから泥としていろいろ採掘されて、効率よく大体の資源量が分かるという話をしていただいたと思うんですが、一方で、石炭のように、実は、質の良さ悪さ、歩留り、そして採掘先でのその品質、そしてレアアースの充足率の差異と、また品質差というのが後から分かっただけではちょっと投資効果としてはダメージがある可能性があると。
 この辺に関する知見を教えていただければと思います。

参考人(加藤泰浩君)  ありがとうございます。
 まさにおっしゃるとおりで、実は鉱物の資源としてのそういう品質というか良さというのがどのくらいかってすごく重要でして、実は私たちが見付けた泥に関して言うと、これは鉱山会社の方の言葉を借りると、もしこの資源が陸上にあったら中国を含めた全てのレアアースの鉱山は潰れるだろう、対抗はできないだろうと。だから、品質的には極めていいものである。それはちょっと資料の中でも強調しておりますが、重レアアースの割合が高い、それから、今後非常に重要になるスカンジウムが非常に潤沢に含まれている等を含めて、恐らく品質的にはこれを超えるレアアースの資源はないと思っております。それともう一つは、トリウムとかウランという非常にややこしいものがほとんど入ってこないというのもまた非常にいいものです。
 ただ、一つ残念なのは、水深が四千メートルを超える深いところにしかないと。だから、これはやはり技術開発ということが一番私は重要になるんじゃないかなというふうに考えております。
 以上です。

レアアース泥の海中での採掘技術、地上でのインフラ整備

三浦信祐君 続けてまたお伺いさせていただきたいんですけれども、このレアアース泥を活用するために必要となる船、四千メートルとなりますと、さあ、すぐやろうといっても簡単ではないと。その採掘をするための配管の技術であったりとか安定性、そして万が一故障したときのリスク、この辺の研究も当然必要なんじゃないかなというのと、あとは地上側のインフラ、これは、先ほど泥を埋め立てるということに活用できるというお話もありましたけれども、一方でそれを安全にどう持ってくるかという部分に関してもいろいろ検討が必要なのではないかなと。成功させるための事前の知見として是非教えていただければと思います。

参考人(加藤泰浩君)  どうもありがとうございます。
 まさに、その点に関しても、まず船をどう整備するかと。実は、このレアアース泥を揚泥するところに関わる企業というのは、今現在、深海の石油とかガスの開発をやっている三井海洋開発を中心とした、そういったグループでやることになっております。今、深海の石油、ガスというのは大体三千メートルまで行っていて、それを更に高度化して六千メートル級まで延ばすことが必要になってくるわけですが、そういう会社に聞くと、それほどタフではないんじゃないかなという割かし楽観的なことを言われる場合もあります。
 ただ、船としてはそんなに我々心配していなくて、これはもう中古の船を買ってきて一番格安でやろうとか、それと、あと、私たちが東京大学につくっているコンソーシアムというのは、いろんな企業に入っていただいて、今先生が言われたみたいに、実はそのサポートをどうするかと。泥を揚げてきた後に、実際に船の上でその泥からレアアースを抽出して運ぶ船とかその手配は、それは商船三井と日本郵船が入っていて、彼らがそういうサポート体制を取ると。だから、私たちとしては、取ったところから始まって、製錬する、更に製品化すると。
 そういう意味では、トヨタとか、今後の展開を希望して東京電力さんとかいろんなところが入っているのは、まさにフローを流そうとしているんですね。取るところからフローを流して、そういうレアアースの一連の、何というんですかね、産業をつくり上げようという意気込みでコンソーシアムはやっております。だから、今先生が言われたようなことは、我々の中でも十分に検討しながらやっていきたいというふうに考えている部分です。
 以上です。

海洋資源開発に関する縦割り行政の課題

三浦信祐君 加藤参考人、最後一つ質問させていただきたいと思います。
 これは若干うがった見方なのかもしれませんが、こういうレアアース、リサイクル技術が出てくるという可能性も期待ができる。これは環境省的な発想だと思います。一方で、経産省、JOGMECの皆さんも携われたと思いますが、この先ほどの資料を見ますと、オブザーバーという位置付けになっている。と考えますと、外国鉱山の確保ということをずっと経産省はやってきたものですから、そちらに対するウエートが大きくて、こちらに対する投資というのはなかなかイメージが湧いていないんじゃないかと。これは経産省的な発想。そして、国交省的な発想として、新しい海底資源を持ってくることに様々な技術を投入をして、新たな鉱物を取りに行こうという挑戦的な発想。
 典型的な縦割り的な発想かなというところがあるんですけれども、これをうまく効率化させるために我々も勉強しなきゃいけないと思いますので、先ほど石橋先生からもありましたけれども、政策的なところでお話をいただければと思います。

参考人(加藤泰浩君)  ありがとうございます。
 まず、リサイクルについてお話をすると、実はレアアースというのは需要がどんどん爆発的に伸びると。つまり、一〇〇%リサイクルしてもとても賄い切れないと。今、レアアースの特徴はほんのちょっとだけ入れているんですね。だから、それを回収するのに非常にコストが掛かるということもある。今、レアアースの価格が下がっていることがあって、逆にそれで全くリサイクルする気すら起きないというような状況になっています。そういうことからすると、リサイクルで何か解決できるという問題ではまずないということが一つ。
 それともう一つ、東大のレアアース泥の開発推進コンソーシアムに経産省がオブザーバーという形で入っているのは、何も外からさめた目で見ているわけではなくて、これは実際に私たちがいろいろ、何というんですかね、事業を請け負うときに、当然経産省が、自分たちが入っているとそれは予算措置ということができないという問題もありますから、それはそういう意味でオブザーバーという形で入っております。
 今先生が言われたみたいに、縦割りにならないようにと、確かに私もいろいろ見ていて少しじくじたる思いというか、それもう少し融通利かないのかなということがないわけではありません。
 一例をちょっと挙げると、例えば今、南鳥島で調査をやっているのは、私たちとJAMSTECを中心とした、要するに文科省を中心としたところとJOGMECで、それぞれにちょっとやっているところもあって、実はそこはデータの共有をしっかり、お互いに取ったデータを共有しようということにはしているんですが、プロセスとしていろいろ、何というんですかね、プロセスを経ないとそれがなかなか難しいとかいろんなことがあって、そこに時間が掛かっちゃって、なかなか効率的に進まないという部分があることは確かです。
 それは、私というよりは是非先生方に考えていただきたい部分というのは、せっかく日本の国民の税金使ってやっているのであれば、やはり効率的にやった方が私は無駄なくいくんじゃないかなと個人的には感じております。
 以上です。

日本のエネルギー政策推進に際して、ドイツでの脱原発、再生可能エネルギー政策に学ぶこと

三浦信祐君 加藤参考人、ありがとうございました。
 次に、ドイツの再生可能エネルギー、脱原発政策から学ぶことについて、豊田参考人と歌川参考人、また中上参考人にお伺いしたいと思いますけれども、日本は原発も重要なベースロード電源としていて、また再生可能エネルギーも活用したベストミックス型の政策を取っていくということになっております。一方で、ドイツというのは、福島原発事故以降、安定性にいまだ課題の多い再生可能エネルギーを基盤的電源ソースとして位置付けていると。他方で、電気を輸入するとした政策というのはドイツならではであって、日本ではこれはちょっと採用し得ないことだというふうに私は思います。
   〔会長退席、理事福岡資麿君着席〕
 加えて、再生可能エネルギーですと、変動型対応の発電設備へのコストも増大している可能性がある。一説によれば、フランスの原発の電源を買ってきているという話も伺います。そして、省エネルギーに対する目標も極めて大きい中で、急進的な投資、技術進展、加えて先ほどありました使う側のモラルも求めているというような印象を受けています。
 総括的に考えますと、これを日本にとってエネルギー政策を今後推進する上で学んでいかなきゃいけないこと、いい面も悪い面もあると思うんですけれども、是非教えていただければというふうに思います。