資源エネルギーに関する調査会(2018年5月9日)

CO2排出量削減の国際公約における世界経済競争力との両立について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 まず、先ほど来の議論の中で常に我々にとって考えていかなきゃいけないのは、いわゆる低炭素化対脱炭素化であると思います。その中で、パリ協定で日本政府としても二酸化炭素排出量の削減、脱炭素化を目指すという国際公約と、日本経済から見たときに、電気代が仮に高くなってしまえば世界の経済競争力の維持という部分ではなかなか難しいものがある、結果として、経済を駆動力としている中小企業の皆さんが電気代が高くてこれではやっていけないということで海外に逃げていってしまえば、結果として税収の面にも悪影響を及ぼして再生可能エネルギーへの投資もできなくなってしまうという、これはもう両輪だと私は思います。
 いわゆる発電をしていくというところをめぐる経産省と環境省の対立と言ってしまったら言い過ぎかもしれませんけれども、この対立関係というのをどう整理をしていくのかということが一番実は大事なんじゃないかなというふうに私は問題意識を持っていますけれども、経産省と環境省のそれぞれの御意見を伺いたいというふうに思います。

政府参考人(小澤典明君)  お答えいたします。
 先生御指摘のように、低炭素化、脱炭素化ということは極めて非常に大事でございますし、これはエネルギー政策とも表裏一体でございます。その意味では、経済産業省、環境省、本当に連携をしながら様々なプロジェクトも実施してきておりますし、その意味では一致した対応を今後ともしっかり取り組んでまいりたいというように思います。

政府参考人(森下哲君)  着座にてお答え申し上げます。
 地球温暖化対策でございますけれども、これは閣議決定させていただいております地球温暖化対策計画、これに基づいて実施をしてございます。その中で、二〇三〇年度二六%削減、これを掲げておりますけれども、この目標自身は、エネルギーの分野、特に第四次エネルギー基本計画を踏まえたエネルギーミックスと整合的になるような形で作らさせていただいております。これは、技術的制約、そしてコスト面での課題、これを十分考慮した裏付けのある対策、そして施策、技術、これらの積み上げによって策定したものとなっているということでございます。
 関係省庁が連携しながら、この地球温暖化対策計画に基づきまして、省エネルギーの徹底ですとか、あるいは再生可能エネルギーの最大限の導入、こういったことを通じましてこの目標の着実な達成に向けてしっかり取り組んでいくことが非常に重要だと思っておりますので、しっかりとまた連携をさせていただきたいというふうに考えてございます。
 以上です。

化石燃料発電の将来と、再生可能エネルギー技術投資と社会実装との追従性確保について

三浦信祐君 その上で、今、日本は化石燃料を使って発電をしているというのがほぼほぼの実態だと思います。と考えますと、こういう技術者もたくさんいるわけです。と考えますと、化石燃料を用いた発電の将来がどうなるかということによって、脱炭素という位置付けは明快ではありますけれども、この技術者を維持していく部分、また経営判断を重工メーカーも含めてどうしていくのかということも考えていかなければいけないという時期に差しかかっていると思います。
 また一方で、再生可能エネルギー技術への投資から社会実装への追従性というのは確保できるかということも極めて重要なのではないかなというふうに私は課題認識をしています。
 例えば、この二〇三〇年の経産省が立てられているエネルギーのこの目標値、原子力では二〇%、火力では五六%。まあ原子力をどちらに位置付けるかという議論はあったとしても、いわゆる再生可能エネルギーと今位置付けていないものというのは七六%あるわけです。ところが、二〇五〇年にはこの七六%をほとんど再生可能エネルギーに変えていかなければいけないというようなことでありますので、たった二十年間で大きな転換が起きたり、またそれが安定的に社会を維持するだけのエネルギーを生み出せるような安定性を確保できるかどうか、またそれをきちっと社会の中で実装できるような体制準備というのはしているのかどうかと考えますと、二〇三〇年を目標としていることと二〇五〇年を目標としていることは今同時のスタートラインに立たなければいけないはずだと思います。
 ですので、この技術確保という意味、また発展という意味から考えますと、化石燃料の将来をどうしていくのか、そしてまた再生可能エネルギー技術をいかに早く実装を社会の中にしていけるかという両輪が私は重要だと思います。
 その上で、再生可能エネルギー、世界どこでも同じようなものが使えるとは私は思いません。例えば、日本の場合に梅雨というものがあります。加えて台風が来るということは、設備の耐環境性、気候変動に対するリスクというのもほかよりは重視をしなければいけないということもありますので、ジャパン・スペシャルが生み出せる可能性もあるのではないかなというふうに考えます。ですので、同じ再生可能エネルギーでも、太陽光、風力、様々なソースをどれだけ投資をしているかというのを具体的にやっていくことが、経済も発展をしながら電力の確保ができるというふうに思います。
 これらについて、経産省、また環境省からの御意見をいただきたいと思います。

政府参考人(小澤典明君)  お答えいたします。
 先生御指摘の再生可能エネルギー、これは国民負担を抑制しながら最大限導入していくというのが基本方針でございます。これまでは太陽光を中心に随分と拡大をしてまいりましたが、先生御指摘のように、太陽光はやはり昼はいいんですけれども夜は発電できなくなるとか、風力においても天候によっては効率が落ちるとか、そういった問題がございます。したがいまして、そういった太陽光とか風力に偏るだけではなくて、それ以外の地熱あるいはバイオマス、水力といったものもバランスよく導入を促進していくということが大事だと思います。
 一方で、火力発電の御指摘もございました。火力発電はCO2の排出の面では課題がございます。ただ、その一方で、安定供給あるいは経済性の面では優れてございますので、一定程度の活用というものは必要かというように考えております。また、太陽光、風力、これは調整力がどうしても必要になりますので、火力の需要というのはそういった面でもございますし、将来的にはこういった太陽光と風力と蓄電池の組合せ、こういったものでゼロエミッションを更に強化して進めていくということが大事になってこようかと思います。
 いずれにしましても、これで完璧というエネルギー源はございませんので、各エネルギー源の長所を生かしながら、それをバランスよく補完し合いながら供給をしていくというような形を今後とも是非追求して達成をしていきたいというように考えてございます。

政府参考人(森下哲君)  お答え申し上げます。
 二〇三〇年度の二六%削減の中期目標の達成に向けまして、温対計画に基づきまして、省エネあるいは再生可能エネルギーの最大限の導入を進めるなど、取組をやっぱりしっかりと進めていくことが非常に重要だと思っております。それから、更にそれを超えまして二〇五〇年八〇%、これを目指していくということでございますけれども、これ世界全体での脱炭素社会の構築に続く道への一里塚という位置付けだというふうに思っておりまして、長期的な視点に立って脱炭素化を見据えた対応を今から講じていく必要があるんだろうというふうに考えております。要は、様々な取組、再エネをバランスよく導入をしていくこと、これが非常に重要だろうというふうに思ってもございます。
 委員御指摘のように、日本スペシャルと申しますか、先ほどとかしき副大臣のプレゼンの中にもございましたけれども、災害に強い、そういった技術を生み出していくことも非常に重要だと思ってございます。
 それから、変動するという再生可能エネルギー、ある種特性についての対応、これも非常に重要だとは思っておりまして、これにつきましては、需要側とそれから供給側とうまく調整をすると、こういったシステムをしっかりと構築をしていくことが非常に大事だと思っております。その意味でも、出力調整可能な火力発電、揚水発電、あるいはディマンドリスポンス、蓄電池、そういったものの活用、さらには水素の製造、出力抑制、送配電網の整備、こういったものが必要になってこようと思ってございます。
 関係省庁連携をして一生懸命取り組んでまいりたいと思ってございます。
 以上です。

放射性廃棄物のバックエンド対策、最終処分場の検討具体的行動について

三浦信祐君 最後に、放射性廃棄物についてですけれども、このバックエンド対策というのは緊急を要する課題であると思います。
 原子力発電所の核燃料プールの空き容量、また、今後許可を受けた再稼働による使用済核燃料が僅かながらでも増加することについては、社会的課題として認知度を増やしていかなければいけないという努力と同時に、最終処分場の検討加速化が重要であるとの私は認識を持っております。具体的な行動、今後どのようになっていくか、副大臣の方から御答弁いただければと思います。

副大臣(西銘恒三郎君)  三浦委員御指摘のように、我が国全体で既に使用済燃料が全国で一万八千トン存在するということは事実であります。使用済燃料の増加や高レベル放射性廃棄物の最終処分場の確保という課題は、国民全体として避けて通ることはできないものと認識をしております。このような認識に立ちまして、国としても使用済核燃料対策や最終処分について、電力の消費地を含めて広く国民の皆様に理解促進活動に取り組んでいるところであります。
 特に、最終処分につきましては、平成二十七年に最終処分法に基づく基本方針を改定し、単に自治体から手が挙がるのを待つのではなくて、国が前面に立って取り組むこととしております。その具体的な取組としましては、委員御案内のように、昨年七月には科学的特性マップを公表しております。このマップの公表は最終処分の実現に向けた長い道のりの最初の一歩でありますけれども、重要な一歩と認識をしております。きめ細かな対話活動を丁寧に行って、電力の消費地も含めて広く国民の皆様の理解を得られるようにしっかりと取り組んでまいります。
 以上です。

三浦信祐君 終わります。