資源エネルギーに関する調査会(2017年02月22日)

リサイクル技術への投資、コスト改善と効果について

三浦信祐君 神奈川選出、公明党の三浦信祐でございます。三名の先生方には、大変興味深い、また背景がしっかりした内容を教えていただきまして、ありがとうございました。
 まず初めに、安達参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
 余りリサイクルの話がなかったんですが、私は、あえて資源のない国ということを、発想の転換が必要だと思っておりまして、これも長年言われている都市鉱山の有用性と、リサイクル技術への投資、またコスト改善と効果というのは戦略的に進めていくべきではないかなというふうに考えております。
 その上で、確立されているリサイクル技術、例えばアルミなんかですと、大抵の場合にはリサイクルしたものは安くしか取り扱えないのでなかなか商売にならない。一方で、レアアース、レアメタルの技術を開発したとしても、コストが十倍以上買ってくるよりも高いというような問題もあると思います。そういう意味では、今後そこにしっかり投資をしていくという部分での御意見という部分と、また、比較的価値が高いニッケルなどのベースメタルの中でも産出量が多いものに今後焦点を当てていかなければいけないんではないかなと私は考えているんですけれども、是非御所見をいただければというふうに思います。

参考人(安達毅君)  御質問ありがとうございます。
 まず、リサイクルに関して一筋縄でいかない問題は、廃棄されたものが外国に流れていく例というのが多数報告されておるんです。特に中国ですね。そこで、同じものをリサイクルするときに日本の業者では手間が掛かり過ぎて労働力が掛かり過ぎて処理できないものを中国だと人間の手でいろいろ安い人件費でやれている状態ですので、世界的な資源の枯渇という意味ではどこでリサイクルされてもいいと思うんですが、日本の資源のセキュリティーという面でやはり日本でやられるべきだというふうに考えますので、でも、かといって中国に、条約等いろいろございますが、流れていく流れを止めるのはなかなか難しかったというのは資源の価格が高かった時代の一つの反省点かなと思います。
 そこの辺りの対策、私も具体例なかなか言えないんですけれども、国外に流れていく廃棄物という点をしっかり詰めていく必要があるのかなというふうに一つ思います。これ、中国じゃなくなってもよその国に今後出ていく可能性があると思います、人件費が中国が掛かった場合ですね。
 もう一つは、資源そのもののリサイクルよりも中古品の扱いを増やすようなシステム、これ、もちろん環境省始め、3Rで、リデュース、リユース、リサイクルと言っておりますけれども、リデュースの面はなかなか難しいのでリユースと。いろいろ日本の中古のショップというのはございますが、それが健全に、健全といいますか、なかなか利益が上がる形でできていない。むしろ買取り価格がすごく低くて、そこそこの値段で売らなければ日本でお店を続けていくのはなかなか難しいと。それが、買取り価格がもう少し高くなってとなりますとそこに出す人が増えてくるのかなと。その辺りのことも同時に考えていかなければならないかなというふうに考えております。
 最後にニッケルのお話ありました。大量に使われている金属、ステンレスに使われているニッケル、クロムというのはもちろん回収しやすいものでございますので、回収して製鉄の方に回すときにリサイクルするという流れをより確実にする。それは恐らく製造業の中で出てくるスクラップをちゃんと回収するというのにもつながってくると思います。産業の流れの中で出てくるスクラップと、市民まで渡って最終的に廃棄されるスクラップの方になりますと回収が難しくなりますので、確実にできるところはやっていくという、もちろんその姿勢は大事かなと思いますし、一方で、そうだとしてもリサイクル率が低いものというのはまだございますので、供給のリスクと併せて考えていくという点が一つの考え方でございますが、なかなか一つの金属についてどうというのは難しいところでございます。
 以上でございます。

資源活用の技術革新と産業間連携について

三浦信祐君 ありがとうございます。
 安達参考人と柴田参考人にお伺いしたいと思います。
 金属材料からセラミック材料への転換というのはかなり進んできている部分もあると思います。例えば、航空機ですとジュラルミンからFRPに変わってくる。そうすると、資源という部分では鉱物から実は石油精製品になってくる。これまでの消費型というものからむしろ製品型に変わってくる可能性も高いのではないかなと。また、高温で使う材料に関しても、レニウムというのが戦略元素としてモリブデンの精製の過程でしか出てこないようなものでありますので、むしろレニウムを使わないようなものに変えていこう。車においても、バンパーなんかは今までは金属だったものがFRPに変わってくる。ということを考えますと、この技術革新とまたレアメタル、また石油の需要というのは常に経済活動、技術開発とリンクをしていくのではないかなと私は考えます。
 そういう意味では、各産業間での連携を取る必要性というのが極めて増加しているのではないかなと。こういうところで効果的な成果を得るための手法とかアドバイスをいただければ幸いです。

参考人(柴田明夫君)  おっしゃるように、四つのRとか三つのRとか言われている、リデュース、リサイクル、リプレース、特にリプレースですね、こういうのが必要かなというふうに思います。
 業界の異業種の交流というのもまさに重要なのかなと思うんですけれども、技術革新の場合に、供給サイドのソースの部分から革新していくというよりも、今度はニーズですね、ニーズの方から革新していって、あるいは新たな技術革新、使い道がまだ分からないものでもこのニーズの方から、需要サイドから見て市場、需要発見というか、そういうところで使っていくのが必要なのかなと思います。
 まさに石油を燃やしてしまうという、こういう利用から材料の方に使っていくという方向、それから、石油だけでは、あるいはメタルだけではなくて、紙なんかも最近はかなり強度の強い紙ができていますので、そういう面での技術革新というのは期待できるんじゃないかと思います。

参考人(安達毅君)  代替という言葉を使うことがあると思います。私も日頃考えていますが、積極的な代替のための技術開発が必要かなというふうに思っていまして、代替資源戦略、元素戦略というのがございましたが、そのときは入ってきにくくなった元素、金属に対してそれに代わるような新しい材料できないかなという話がございましたが、今使われている金属、レアメタルというのはやはりその金属を使うのが一番性能が発揮できるものが使われている、当たり前でございますが、それをもっと安い金属、ものに変えると性能が落ちてしまうと。それでは誰も消費者は付いてこないと。やはり今お話ありましたが、車でしたら、軽くて強度が高いものに移って、より商品として魅力があるような材料の開発をしていくような積極的な代替といいますか、代替資源というものが今後を引っ張っていくのかなと。
 そういう面では、日本の場合、非鉄も鉄鋼も各企業が研究所を持って大学とも連携しておりますので、そういう材料学の面からメーカー等に提言していけるような、そういうつながりというのは非常に重要かなというふうに考えております。

三浦信祐君 極めて重要な御示唆をいただいたと思います。新しく石油を材料化をしていく過程で、今は実際に需要がないとしても、ノーベル賞つくっていくときに新しいブレークスルーが生まれたりするということにもなっていくのではないかなと思いますので、これから人材育成をしっかりやっていかなきゃいけないんだなということと、またお互いでいろんな情報共有をしながらニーズとシーズのマッチングを図っていかなきゃいけないんじゃないかなということを勉強させていただきました。
 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。