予算委員会(2017年01月31日)

迅速な災害復旧復興対応と防災・減災の取り組み

三浦信祐君 公明党の三浦信祐でございます。
 初めてですけれども、関連して質問をさせていただきます。
 昨年、熊本、鳥取での地震災害、北海道、東北の豪雨や台風災害が発生し、多くの方が復興復旧を心待ちにされております。また、先週は各地で大雪の被害もありました。
 東日本大震災から六年がたちます。総理は施政方針演説の中で、さらには公明党の山口代表の代表質問に対しても、福島復興特措法を改正し、福島イノベーション・コースト構想を推進すると力強く述べていただきました。この構想の具体化が希望が行き渡る国をつくるということへ直結をすると思います。
 迅速な災害復旧復興への対応について、また、国民の生命と財産を守り、自然災害に対して力強い、強い国づくりをする防災・減災の取組について、総理の力強い御決意をいただければと思います。

内閣総理大臣(安倍晋三君)  熊本地震については、二度の補正予算により、インフラの復旧や住まいの確保、なりわい・産業の復興をきめ細やかに推進をしてきたところであります。また、現在御審議をいただいている第三次補正予算案や提出している平成二十九年度予算案においても、北海道や岩手の台風被害や鳥取県中部を震源とする地震を含め、災害復旧事業費等を盛り込むなど、自然災害からの早期の復旧復興に向け政府一丸となって全力で対応しているところであります。
 さらに、先週、各地での大雪を踏まえまして、これから降雪期のピークを迎える中において、除排雪の機動的な実施など雪害防止に全力を挙げていく考えであります。
 今後とも、政府としては、被災者の皆様方がその地域において住み続けていくことができるよう、なりわいを続けていくことができるよう、また皆さんに希望を持って前を向いて進んでいっていただけるように、自治体とともにスピード感を持ってなりわいの復興に向けた被災者支援に取り組むとともに、様々な災害に対して、これまで得られた教訓や生み出された制度、そして知恵を総動員して、不断の見直しを行いつつ、ソフト、ハード一体となった総合的な防災・減災対策に万全を期していきたいと考えております。

災害対策と建設業従事者の処遇改善、担い手確保

三浦信祐君 ありがとうございます。是非、国民の皆様の安心、安全のために強力なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 本日は、災害復旧対応に直接当たっていただく建設業、また自衛隊の皆さんのことについて絞って質問をさせていただきたいと思います。
 災害復旧は、土木、建築の建設業、また社会インフラに携わっていただいている電気、ガス、水道に関連する技能労働者の皆さん、職人の皆さんなくしてはあり得ないと思います。
 パネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)平成二十七年時点での建設業技能労働者の年齢構成とその人数のグラフです。約三百三十万人のうち、五十五歳以上の方が約百十万人、あと十年もしますと三割の方が引退する可能性があります。一方で、若年層の割合が著しく低くなっております。災害復旧予算を付けたとしても、建設技能労働者の確保なくして事業の推進また復旧復興というのはできなくなってしまいます。
 若年層が入職しづらい現状の認識と対策、また、更なる建設業技能労働者の処遇改善も含めて、石井大臣、今後国交省はどのように具体的に取り組んでいくか、御答弁いただきたいと思います。

国務大臣(石井啓一君)  建設産業におきましては、長く続いた建設投資の減少や競争の激化等に伴いまして、技能労働者の賃金の低下等の処遇の悪化が進むとともに、若年者の入職が少なくなり、他産業と比べても高齢者の割合が高い構造となっております。そのため、今委員がパネルでお示しをいただいたとおり、近い将来、高齢の技能労働者の大量離職が見込まれることから、中長期的な人材の確保、育成が急務となっております。
 このため、平成二十六年の改正品確法におきましては、将来にわたる公共工事の品質確保及びその担い手の中長期的な確保、育成を図ることが基本理念として明記されたところでございます。
 このような状況を踏まえまして、関係業界と連携を図りつつ、技能労働者の入職を促進するための取組を進めております。
 具体的には、技能労働者の賃金水準の向上の観点から、公共工事設計労務単価を四度にわたって引き上げてまいりました。この結果、全国平均では、平成二十八年度では平成二十四年度比プラス三四・七%設計労務単価が上がってございます。
 また、将来への安心の観点から、社会保険への加入を促進をしております。また、働きやすい職場づくりの観点から、週休二日モデル工事の実施や女性も働きやすい現場の職場環境の改善を行っております。さらに、効率的な技能の習得の観点から、業界団体が運営する教育訓練センターの充実強化への支援を行っております。また、年間を通じて安定した仕事の確保の観点から、施工時期の平準化などに取り組んでおります。
 こういった取組などもありまして、建設業への若年者の入職者数は近年回復傾向にございますが、今後とも技能労働者の確保、育成にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 労務単価四回上げていただいた、これすごくいいことだと思いますし、また公共工事の品確法を担い手三法も含めて改正をしていただきましたけれども、この担い手三法が効いてくるのは国及び地方自治体が発注者、すなわち事業主で、民間事業者が受注した関係に適用されていきます。すなわち、官対民との関係になるわけです。
 一方で、建物などの発注者、施主と建設作業受注者が共に民間企業の場合には担い手三法が及んでいかないわけです。ダンピングや工期に余裕がない計画であったりすれば、結果として技能労働者へ体力的にも経済的にもしわ寄せが行ってしまうと思います。建設業技能労働者の適正利潤、休暇の確保などが持続可能な担い手確保に必要だと思います。民間と民間との関係について、現状認識を石井大臣にお願いいたします。

国務大臣(石井啓一君)  公共工事におきましては、いわゆる担い手三法の中の改正品確法におきまして発注者の責務が明確化されておりまして、担い手の中長期的な育成、確保のための適正な利潤を企業が確保できるよう、予定価格の適正な設定や効果的なダンピング対策の実施など、法の趣旨の徹底に取り組んでいるところでございます。
 一方、民間発注の工事については改正品確法の適用対象とはなっておりませんが、公共工事と同様に、受発注者間や元請、下請間における請負契約の適正化を図ることが重要であると認識をしております。
 このため、国土交通省におきましては、民間工事でありましても、発注者が自己の取引上の地位を利用して不当に低い請負金額での契約を締結しないように建設業法令遵守ガイドラインの周知徹底、また、契約締結の時点では正確に想定できないような施工上のリスクについて事前に情報共有や協議すべき項目を整理をいたしました民間工事指針の策定、さらに、業界団体などに対する適正な賃金水準の確保の要請など、様々な取組を実施しているところであります。
 こうした取組も踏まえながら、今後更に、十年先の将来におきましても建設産業が生産性を高めながら現場力を維持できるように、昨年十月に国土交通省に設置をいたしました建設産業政策会議におきまして、民間工事を含めた技能労働者の処遇改善策についても議論を深めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非実効性ある取組を進めていただきたいと思います。
 建設技能労働者への投資、また環境改善というのは、一面では災害への安全保障とも言えると思います。また、業種によっては公共工事は仕事の中の二割程度しかなくて、ほとんどが民間取引という業態もあると思います。是非しっかり取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。

災害発生時の被災者支援女性自衛官チーム結成

 パネルを御覧いただきたいと思います。これは、内閣府の政府広報室が平成二十七年三月に公表しました自衛隊・防衛問題に関する世論調査で、自衛隊の災害派遣活動に対する評価を示しております。九八%の方々が評価するとしております。災害発生時の自衛隊の活躍に対する国民の期待、また信頼は極めて高いと思います。
 震災が起こったり災害が起こったときの被災者の避難地及び避難先のケアでは、自立して活動できる自衛隊の役割が大きな力となってきます。中でも、男性自衛官よりも女性自衛官がベターな場合もあるかと思います。災害時における防衛省・自衛隊、特に女性自衛官のこれまでの取組を稲田大臣に伺います。

国務大臣(稲田朋美君)  三浦委員におかれましては、十八年間、防衛大学で幹部自衛官の育成に多大な貢献をいただいたことに感謝申し上げます。
 さて、今お示しいただいたこのパネルのように、自衛隊の災害派遣活動に対する国民の評価、九八%に上るということでございます。これは、東日本大震災、また昨年の四月の熊本地震などにおける災害派遣活動において、自衛隊員一人一人が国民の生命と財産を守るという強い意思を持って人命救助やきめ細やかな生活支援活動を実施したたまものであると考えております。
 その中で、女性自衛官の取組ですが、東日本大震災では、岩手県において活動中の第九師団が、被災者の支援の一環として、カウンセリングの知識、技能を持つ女性自衛官四名でお話伺い隊を臨時に編成しました。お話伺い隊は、女性の視点に立ったきめ細やかな対応ができる女性自衛官が各避難所を巡回し、被災者四百十一名に対し、今の気持ちや暮らしぶりを語ってもらい、長引く避難生活がもたらすストレスの軽減に努めたところでございます。
 また、各避難所では女性特有の要望が多かったことから、女性に対する救援物資に関する御用聞き、聞き取り調査ですが、及び物品を渡す担当として女性自衛官が担うなど、できるだけ被災者のニーズに沿った臨機かつ迅速な活動を行ったところです。
 このほか、熊本地震の際も入浴支援や医療支援の際に女性自衛官を配置するなど、女性を含む様々な被災者に寄り添った支援を行っているところでございます。

三浦信祐君 ありがとうございます。きめ細やかな対応をしていただいたということだと思います。
 公明党は、三・一一以降に防災対策への女性の視点の導入することが大事であるとして女性防災会議を設置し、綿密な調査を行ってまいりました。全ての都道府県防災会議において女性の登用を実現するなど、防災での男女共同参画を強力に推進してまいりました。
 さて、第三次男女共同参画基本計画の実施状況についての意見、防災・復興における男女参画の推進についての中でこのようにあります。今後も大規模な災害の際には女性自衛官の活動が現地の状況を踏まえてより積極的かつ迅速に展開されることが期待される、また、女性の自衛官等の定着の促進、災害対応についての平時からの研修及び訓練の充実とあります。一昨年閣議決定をされました第四次男女共同参画基本計画では、これらの視点で確立をするともうたわれております。
 稲田大臣、これらの提言を踏まえましての対応状況、また、これまでの災害派遣において女性活躍の視点で得られた経験と課題は何でしょうか。

国務大臣(稲田朋美君)  御指摘の第三次男女共同参画基本計画の実施状況についての意見及び第四次男女共同参画基本計画では、防災や災害対応の現場における意欲のある女性自衛官の参画拡大等について記述をされております。
 防衛省・自衛隊としては、こうした点も踏まえつつ、女性自衛官の災害派遣業務等への参画促進のため、防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画に基づき、女性が能力を発揮でき役割を十分に果たすことができるよう、女性の採用、登用の拡大に取り組んでいるところです。
 東日本大震災や熊本地震での経験では、女性を含む様々な被災者のニーズへのきめ細やかな配慮が重要であり、女性自衛官による対応が望まれる場面も多く見受けられました。今後も南海トラフ地震や首都直下型地震のような大規模震災の発生が予測されるところです。こうした大規模震災への自衛隊の対応においては、人命救助のみならず、被災者支援に際して、女性自衛官による対応を含め、被災者のニーズへより柔軟かつきめ細やかに配慮した、被災者に寄り添った支援を行うことが重要であると考えております。
 さらに、災害支援などのために緊急登庁する際に、女性自衛官を含む自衛官が子弟を一時的に預ける必要が生じることも考えられます。実際に東日本大震災への対応において、緊急登庁する自衛官の児童一時預かりの実施体制の確立及び自治体との連携により充実させる必要があるとの教訓を得たところでございます。
 これを踏まえ、防衛省では、緊急登庁時の子供一時預かりのための体制整備を推進しているところであり、今後とも女性自衛官を含む自衛官が安心して任務を遂行できるよう様々な施策に努めてまいります。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 お話を伺った上で提案をさせていただきたいと思いますけれども、災害発生後、混乱期の一定期間、行政の皆さんも被災をしている可能性があります。その僅かな初期のときに、被災者支援女性自衛官のチームを結成する、又は女性自衛官も含めた教育隊の皆さんなどに専門的な訓練、経験値の共有、即応体制の確立をしてはいかがでしょうか。最高指揮官の安倍総理の御決断、御決意を伺いたいと思います。

内閣総理大臣(安倍晋三君)  自衛隊の創設以来、自衛隊における女性活躍の歴史は既に六十年を超えております。多様な視点が求められる時代にあって、自衛隊がその役割をより一層有効に果たしていくためには、女性の力は絶対的に必要であると考えています。
 自衛隊の任務の中でも災害派遣は国民の期待の高い分野でありまして、特に、災害発生、今御指摘があったような発生直後ですね、不自由な生活を強いられ、そして疲労も極限に達している被災者の生活支援はますますこれ重要な役割となってきていると思います。
 その際、被災者お一人お一人の置かれた状況に的確に対応し、そして被災者に寄り添った支援を行うためには、女性自衛官を含むきめ細かな対応が必要不可欠であり、委員御指摘のように、女性自衛官による対応体制の充実強化は重要な課題と考えています。
 今後、発生が懸念される南海トラフ地震や首都直下地震を始め、各種災害への対応に万全を期すために、必要な体制の整備についてしっかりと検討してまいります。

三浦信祐君 大変お力強い言葉ありがとうございます。
 女性自衛官、今約全体の五・九%。そして、平成二十九年度から全体に対して採用を一〇%にしよう、そして二〇三〇年度には九%にしていこう。この災害復旧復興対策に本当に心意気に感じて入隊をされる方もたくさんおられると思います。是非総理のリーダーシップ、よろしくお願いします。

自衛官のソフト面の改善

 今回の補正予算の中に計上されております自衛隊の装備品の維持管理、加えて充実というのは、日本周辺の厳しい安全保障環境に対応するためには不可欠であると思います。しかし、これは一面、ハードの部分だけの対応だと思います。
 先ほど大臣からもお話しいただきましたけれども、私も参議院議員になる前には防衛大学校の教官をさせていただきました。その卒業生が現役の幹部自衛官になったときに、常に携帯電話を見たりして、大きな地震があったら即座にいつでも飛んでいけるような心構えをしていること、そして指揮官として平素から緊張感、責任感を持って振る舞っていること、加えて、仕事として自分の部下を必ず安全に家族の下に送り返すんだという強い意思、これに大変敬意を表しているところであります。
 災害時などにおいて、自衛官の皆さんが安心して任務に当たっていけるようにする。また、募集の安定を考えれば、先ほどもありましたワーク・ライフ・バランスなどの環境の整備、すなわちソフト面の充実というのが重要だと思います。子育て支援、二十四時間託児所等の拡充や展開というのが必要だと思います。防衛省の認識とこれからの取組、具体的に御答弁を稲田大臣にお願いしたいと思います。

国務大臣(稲田朋美君)  御指摘のように、女性のみならず、全ての子供を抱える隊員が勤務を継続できる環境を整える観点から、保育の確保は重要な課題であると認識をいたしております。
 防衛省・自衛隊では、保育の確保に係る施策として、自衛隊の任務の特殊性を踏まえた庁内託児施設の整備を進めており、これまで六か所整備し、うち五か所で二十四時間保育を可能としております。
 また、隊員のニーズや関係する地方自治体の取組などを考慮しつつ、更なる庁内託児施設開設の可能性についても引き続き検討をしており、平成二十九年度には新たに市ケ谷地区と防衛医科大学校で庁内託児施設の新規開設を計画をしているところです。
 さらに、市ケ谷地区に開設する庁内託児施設については、子ども・子育て支援法に基づく事業内保育所としての認可を得るべく地元自治体と調整中であります。既存の庁内託児施設についても、運営状況や関係自治体の取組等を踏まえつつ、認可保育所への移行を調整をしているところでございます。
 能力と意欲を有する隊員が子供を持ちながら隊務に精励できるよう、庁内託児施設を含む各種の環境整備に努めてまいります。

三浦信祐君 大臣、ありがとうございます。私、非常に大事な取組だと思いますので、今後も継続してやっていただければなと思います。
 さて、災害時には予備自衛官も招集をされることになります。事業所の方々も安心して送り出していける、予備自衛官の方々も喜んで任務に当たっていける、そういう環境をつくっていくことが大事だと思います。そう考えますと、自衛官と同様に、その今お話をいただきました託児所等の利用も可能とすべきだと思いますけれども、稲田大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(稲田朋美君)  災害派遣等の緊急登庁時において、ほかに預ける先がなく、子供を帯同して登庁せざるを得ない隊員の子供を自衛隊の駐屯地等で一時的に預かる体制の整備を進めております。これまで全国百七十三駐屯地等において災害派遣等の緊急登庁時に子供を五日間程度預かるために必要な備品等を整備しているところでございます。
 派遣される隊員が不安を抱くことなく任務に専念できる環境づくりが必要であると考えており、御指摘の予備自衛官が招集されて活動を行う場合を含め、子供を一時預かる体制を検討し、緊急登庁支援の更なる充実を図ってまいりたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 災害派遣が長期にわたった場合にも、様々こういうケースも現役の自衛官にあると思います。セーフティーネット社会を自衛隊においてもつくる、警察、消防にもこれが波及をしていく、そうすることによって災害が起こったときの初動をしっかりできるような体制をつくっていくことになると思います。
 今後とも政府一丸となって、是非安心、安全、セーフティーネット社会をつくっていただきますようお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。