予算委員会(2020年3月25日)

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 三月十六日、外務省は、世界数多くの地域へ、感染症危険レベル2、不要不急の渡航はやめてくださいを発出をしました。その結果、日本学生支援機構、JASSOの規定により、該当地域の日本人留学生に対し奨学金が停止をされております。それゆえ、自費による現地滞在、若しくは自費による帰国を強いられております。米国、欧州三十八か国ほか、対象とした地域からの帰国後十四日間、自宅かホテル待機、公共交通機関を利用しないことも要請をされております。これは、地方からの学生さんにとってみれば、国に帰ってきたらその待機をする場所がないという実態でもあります。
 留学生が路頭に迷うことがないよう、奨学金の停止を解除する、あるいは当座の資金を提供するなど、早急な対応をしていただきたいと思います。経済的支援、具体的にどのような行動をすればよいのか、そもそも帰国させるのが最善かも含め、明確な対応をお願いしたいと思います。文科大臣、お願いできませんでしょうか。

国務大臣(萩生田光一君)  海外に留学する日本人学生に給付する日本学生支援機構の奨学金においては、これまで、派遣学生の身の安全や健康を守る観点から、速やかな帰国を促すため、留学中に感染症危険情報レベルが2以上となった場合、奨学金の支給を停止することとしておりました。
 一方で、学生から奨学金継続の要望が上がっていることも承知をしております。このため、文科省において、日本学生支援機構とも検討し、レベル2以上となった国・地域に、留学生の学生が速やかな帰国が困難な場合、奨学金による支援を継続すること、また、留学中にレベル2以上となりやむなく帰国した学生が、帰国後も、例えばオンラインなどの授業によって留学先の大学の学修を継続している場合は支援を続けることを昨日決定をさせていただきました。その旨を文部科学省のホームページに掲載するとともに、日本学生支援機構や各大学等を通じて学生の皆さんに周知することといたしました。
 加えて、帰国をされる国によっては十四日間のホテルなどでの滞在が義務付けられておりますけれども、御指摘のとおり、学生さんが、しかも地方の方が急に成田で降ろされて、九州や北海道の人、帰れと言っても移動もできない、公共交通機関を使うなと言っているわけですから。これに対応できるように、文科省が所管をします例えば代々木のオリンピックセンターの宿泊施設ですとか、あるいはJASSOが持っておりますお台場の研修所の空いている部屋などを廉価でお貸しすることを今手続を進めているところでございます。
 いずれにしましても、コロナウイルス感染症の流行状況を踏まえながら、関係省庁とも連携しつつ、必要な対応を行ってまいりたいと思います。

三浦信祐君 大臣、ありがとうございます。学生さん、自費で、そしてまた、帰るときも自費でまた戻らなきゃいけないというケースも想定されますので、よく細かく相談に乗っていただきたいというふうに心からお願いをしたいと思います。
 先週末、生活の現場から、まだマスクの購入ができない、何とかしてほしいとの切実な要望を何度も受けました。マスクの製造、輸入は、今月末で六億枚確保できると政府は発表をしている中、現状、ドラッグストア、スーパー等、いずれもマスクの入荷待ち、手に入らない状況が続いております。トイレットペーパーは元に戻ってきつつあると思います。
 マスク完成品製造業者の皆さんが二十四時間体制で増産をしていただいている中ではありますが、マスク本体を製造できる業者さん、口の部分だけ、耳に掛けるゴムのみを製造している業者さんとのマッチングを図るなど、経済産業省がマスク数確保を図る取組を加速をしていただきたいと思います。小学校にも中学校にも、これから四月になると、学校再開をされたときにマスクがないということで親御さんが右往左往するならば、今瞬間的にもマッチングをして、それを学校に配るとかということだってできるはずであります。
 マスクは、需要が最も高い二月で五・八億枚の流通に対して、現状六億枚に製造が近づいている中、従前の流通と何が違うゆえに消費者の手元に届かないのか、その理由について、まずどのように整理をされているのでしょうか。
 その上で、一般消費者向けの流通の現状をしっかりと掌握をしていただいて、例えば地域別に納品量をコントロールするなど、いつからどこでどのようにマスクが市場の中で購入できるようになるか、体制整備をしていただいて、国民の皆様にお知らせをいただきたいと思います。梶山大臣、また稲津副大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(梶山弘志君)  御指摘のマスクにつきましては、中国からの輸入が通常の、平常の需要量の七割を占めるということで、中国からの輸入品が停滞している等の事情により今品薄になっているのは現実であります。
 経済産業省としましては、厚労省と連携しながら、マスクの製造、流通、販売を担う企業の業界団体に対しまして増産要請を行うとともに、マスクの生産に関わる企業への設備導入補助を通じた更なる増産支援等を行い、国内市場へのマスク供給量の一層の積み増しを図るなどの対応を図っているところであります。
 その上で、委員御指摘の耳に掛けるゴムなどのマスクの原材料調達に当たりましては、各地方の経済産業局を通じて各局管内の縫製メーカー等に対して原材料不足等マスクの増産に当たってのボトルネックを確認するとともに、企業からの求めがあれば関係事業者の紹介を行っているところでありまして、実際に、マスクの耳に掛けるひもとマスクの事業者のマッチングも行っているところであります。さらに、大手の原材料メーカーに対しましては経済産業省から直接増産を要請するなど、原材料調達の加速化を図るための取組を実施をしているところであります。
 引き続き、マスクの供給拡大に向けて、厚生労働省と連携しつつ、最大限の対応に努めてまいりたいと考えております。

副大臣(稲津久君)  お答えさせていただきます。
 マスクにつきましては、急激な需要増の中で、依然としてその不足が解消していないということで、認識を同じくしているところでございます。
 まず、これまでの取組について簡潔に申し上げたいと思いますけれども、厚生労働省と経済産業省からメーカー団体に対して増産の要請を行いまして、三月中には、緊急対応策において措置をするマスクの生産に関わる企業への補助金、また、中国を始めとする諸外国の輸入の回復に官民として連携に取り組むこと、そのほか、ガーゼマスク、これは再生利用ということで、その増産に努めて、月間、先ほど委員からの御指摘のとおり、六億枚程度のマスクの供給が確保できるよう取り組んでいるところでございます。
 そうした中で、この一般用のマスクについては、店頭での需要が増加していることに加えて、介護施設や公共事業者などから優先的に供給してほしいと、こうした要望ございまして、厚生労働省といたしましても、介護施設等については三月二十一日から国が購入した再生利用可能な布製マスク二千万枚の配布を行っているところでございます。しかしながら、十分な量が店頭に並ぶまではなお一層、一定程度の時間を要するものと考えています。
 その上で、更なる取組として、厚生労働省としては、経済産業省と連携を図りながら、製造、それから輸入事業者、卸売事業者、薬局等小売事業者における流通状況を把握してまいります。
 こうしたことを取り組みながら、一日も早く十分な量のマスクが行き渡るよう、安定供給の確保に取り組んでまいります。

三浦信祐君 副大臣、今大事なことを言っていただきました。一番重要なのは、これ卸をやっていただいている方だと思います。これは、従前の取引、今後の未来を考えると、ここがため込んだがゆえに一般市場のところに増分が出せないというケースもあります。よく流通の状態見ていただいて、様々な関係性を整理をしていただきたい、重ねてお願いさせていただきたいと思います。
 平成二十九年六月、私は、厚生労働委員会で、厚生労働省設置法改正の審議で、感染症への水際対策について質問し、医務技監を設置することで健康危機事案について訓練が進み、大きな役割を果たすと答弁をいただきました。
 私の地元、神奈川横浜では、クルーズ船寄港の増加を成長戦略と掲げており、水際対策を手厚くしてほしい旨お願いをしたところ、新感染症も対象となっております新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて訓練を実施しています、感染症対策に万全を期してまいりたいと御答弁いただきました。加えて、患者移送の問題もある、感染症指定医療機関の指定は都道府県であり、緊密な意思疎通を図り、病床数の確保、拡大を含めて施策としての積み上げを要望させていただきました。
 新型コロナウイルスは想定を超える世界的規模の感染症でありますけれども、事案発生前までどのような訓練、物的、人的体制整備を含めて取組をされてきたのでしょうか。今後の感染症対策への知見として、クルーズ船対応を含め、今しかできない具体的事例への対応について情報収集し、公文書を残すだけではなく、例えば、今回のクルーズ船の対応で、自衛官は一人も感染をしていないにもかかわらず厚生労働省の役人さんが感染をしていると、こういう現実もあります。
 今後の対策、シミュレーションと実態のずれ、訓練への反映に落とし込む省庁間連携の体制確保など具体的に取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(宮嵜雅則君)  お答え申し上げます。
 議員から御指摘がありました平成二十九年六月の厚生労働委員会の御審議なども踏まえまして、厚生労働省におきましては、検疫所の予算、定員等の拡充を行い、また、関係省庁や検疫所、都道府県等において、新型インフルエンザや新感染症が実際に発生した場合を想定したシミュレーションに基づきクルーズ船上での対応を含む訓練等を定期的に行うなど、必要な物的、人的体制の整備を進めてきたところでございます。
 今般のクルーズ船の対応につきましては、巨大なクルーズ船の中での作業であり、これまでにない大変困難なものであったというふうに認識しておりますが、それぞれの関係者が状況に応じて適切な対応を考え抜き、船内の感染防止策や乗員乗客の方々の健康確保のために一つ一つの問題を解決しながら対策を講じてきた結果、やり遂げることができたと承知しております。
 今般のこのクルーズ船の対応も含めまして、事後的な検証につきましては、参議院内閣委における今般の新型インフルエンザ特措法改正案の附帯決議におきましても、今回の新型コロナウイルス感染症への政府が取った対応について第三者的立場から客観的、科学的に検証し、その結果を明らかにすることとされていることも踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非、今後の検証が重要だと思います。もちろん、今起こっていることに対応していただくのは、もう第一義であります。一方で、この段階できちっと整理をしておかないと、次の訓練のときに、実際とどれだけ違ったのか、シミュレーションの前提値はどうだったのか、これは歴史に問わなければいけないことになります。
 どうか、大変な中ではありますけれども、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、シミュレーションをしていただいた中で、今、実態と違っていた部分は多分目が届いていないはずです。そこのところを俯瞰的にこれまでの結果を見て、よく取り組んでいただきたい、重ねてお願いしたいと思います。
 全国の感染症指定医療機関の患者受入れ体制整備、すなわち病床数の確保は、現下の状況から一刻の猶予もありません。
 先日、緊急時の対応として、現在の約二千病床から約一万二千病床へ拡充すると発表があったと承知をしております。
 現時点で課題があります。それは、感染症指定医療機関の病床の利用状況を一元的に情報収集し、掌握、管理する体制は取れていないことであります。都道府県任せが実態です。有限の医療資源を重症化患者へ振り分けるために、コントロールは不可欠であります。万が一、指定医療機関以外で感染者を受け入れる必要が生じた際に俯瞰的に状況把握、体制整理をしておくことが極めて重要です。
 この際、国が前面に立って、厚生労働省ほかが感染症指定病床の管理等、どこに差配をするか、どこに入れるかということも含めた司令塔機能を設置、運用する、加えて広域連携体制を整備をしていただきたい。あわせて、医師、看護師、また臨床工学士、今仕事に就かれていない方の確保も含めて、復帰の支援も考えつついろいろ取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

副大臣(稲津久君)  お答えさせていただきます。
 まず、現状を含めて簡潔に申し上げた上で御答弁させていただきたいと思いますが、感染症指定医療機関や感染症指定病床の指定につきましては、これは都道府県知事が行うものでございますが、国としてもそれらの支援に対しては積極的に取り組むべきとして、この感染症指定医療機関の運営に係る経費の補助等により御支援をさせていただいているところでございます。
 それから、感染症指定医療機関数や感染症指定病床数につきまして、国として随時把握をしておりまして、感染症指定病床の空床に一般病床の空床も含めると、先ほど議員から御指摘のとおり、全国で今一万二千を超える病床を確保しているところでございます。
 これに加えて、都道府県等に対して、三月六日付けの事務連絡におきまして、ピーク時の重症者数等を計算し、重症患者を受け入れる医療機関と病床の設定を検討するよう要請をさせていただきました。
 このような形で各都道府県に必要な医療提供体制の確保をお願いしているところでございますが、さらに三月十九日付けの事務連絡におきまして、都道府県に県内の患者受入れを調整する都道府県調整本部、これ仮称でございますけれども、これを早急に設置をすること、また、都道府県の区域を越えた広域ブロック、これ大変重要なことでございまして、ここにおける患者の受入れを調整する広域調整本部、これも仮称でございますが、その設置に関する協力をお願いをさせていただいているところでございます。この都道府県調整本部及び広域調整本部を中心といたしまして、その地域の実情を踏まえた患者の搬送体制構築も依頼をさせていただいているところでございます。
 御質問の感染症指定病床の管理等の司令機能等につきまして、現在、厚生労働省コロナ対策本部が当該機能を担っているところでございますが、しっかりその機能を果たしていくことと同時に、御指摘の点も踏まえて、また人材確保、これらのことも踏まえて、必要な対応について今後検討してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非お願いしたいと思います。
 昨年の台風、豪雨被害で保育所を開所すべきか否かについて自治体が判断に窮しただけではなく、厚生労働省でも明瞭な対応ができなかったと承知をしております。もうそれは、国として保育所の閉所に関する明確な指針が策定をされていなかったことによります。本年の台風襲来時期を前に、早急に保育所開所判断の指針を策定し、確実に自治体、事業者に共有をしていただきたいと思います。是非取り組んでいただきたいと思います。
 加えて、今般の新型コロナウイルス感染症を踏まえ、災害対応のみならず、疫病についても対応方針を検討して明確にするようにお願いをしたいと思います。
 その上で、救命救助、災害対応、また医療、警察、防疫対応等に従事されている方がお子さんを保育所に預けることができなければ、現場に出動することもできません。このような職種の方々が子供を預けることができる具体的体制整備を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

副大臣(稲津久君)  お答えさせていただきます。
 この保育所における台風などの災害等に際して、園児や職員の安全確保のための臨時休園ということが行われてくると。そして、その中で、厚生労働省としては、この例えば臨時休園に関する課題や考え方について、これを整理することを目的といたしまして、今年度、調査研究を実施しているところでございます。
 既に臨時休園の基準を策定している自治体へのヒアリングにより個々の事例のその詳細について今把握をしておりますとともに、この臨時休園に関する考え方ですとか判断基準、課題についての整理を行っておりまして、今年度末、間もなくでございますけれども、この報告書を取りまとめているところでございます。また自後、御報告をさせていただきたいと思っています。その中でこの臨時休園を行った際の保育の代替措置の検討も行っておりまして、この措置を含め、臨時休園の在り方等について今後自治体に示してまいりたいと、このように考えています。
 大変重要な御指摘をいただいたというふうに思っております。今後発生する新たな感染症対策も含めて、災害等もそうでございますけれども、例えば新たに感染症が発生した場合においても今般のこの新型コロナウイルス感染症の対応をしっかり参考にしていく、もちろん様々な検証が必要だと思います。それを踏まえた上で、国としても、例えばこの休園の考え方ですとかあるいは感染の予防についてもしっかりお示しをさせていただきたいと、このように考えております。

三浦信祐君 自治体、また事業者の皆さんが非常に希望を持てる話でありましたので、是非結果を出していただいて、周知をお願いしたいと思います。
 公明党は、全国各地で青年との懇談会、ユーストークミーティングを行っており、私も青年局長として全国で数多くのお声を伺っております。必ず出るのは、奨学金返還支援をしてほしいとの要望であります。奨学金返還支援の拡充について、私も、また公明党の同僚議員もこれまで国会で取り上げてまいりました。
 内閣府、まち・ひと・しごとで進めている奨学金を活用した大学生等の地方定着促進について、毎年の拡充について感謝をいたしております。平成三十一年度では、三十二府県三百五十五市町村が実施し、七千二百四十六名が支援を受けておりますけれども、徹底的な周知をしていただいた上で、対象者の増大、また要件緩和化、簡素化など更なる改善をお願いをしたいと思います。
 一方で、現制度では、地方自治体と企業との出資による基金化により返還支援の財源とし、これに国が補助をする制度となっております。企業の資金支援なくしては成立をしておりません。市町村では、企業の数や企業の財政体力の差によって財源確保ができないケースもございます。
 企業が関与せず、基金化をしなくても基礎自治体である市町村に対して国が財政支援できる奨学金返還支援制度、是非整えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(田口康君)  お答えいたします。
 奨学金返還支援による若者の定着に取り組む地方公共団体に対しましては一定の要件の下で特別交付税措置を講じているところでございますが、常に制度の運用改善を図りながら進めているところでございます。
 具体的には、令和二年度からは、更なる制度の周知を図るため、制度の広報に係る経費を新たに特別交付税措置の対象としますとともに、市町村におきましては、若者の移住、定住を一層促進するよう、特別交付税措置の要件を緩和いたしまして、企業が関与せずとも、また基金化をしない場合でも国が財政支援できるようにしているところでございます。
 こうした制度の運用改善を常に進めまして、奨学金返還支援による若者の定着の拡大に向け、引き続き、総務省、文部科学省とも連携して取り組んでいく所存でございます。

三浦信祐君 これ、知らないと使えません。また、国が十分の十で出していただけるということが地方議会が分からないと、これ決めてくれないということになります。そして、文部科学省の皆さんも、こういう制度がありますよということを連携してやっていただかないと、学生さんだけが知らないというケースもございます。
 是非地方の定住のために、せっかく拡充していただいて、このコロナ対策のときに、中小・小規模事業者の皆さん、人は確保しなければいけないということでもあったりするケースもありますので、積極的に広報も、また周知もしていただきたいと思います。文科大臣も来ていただいておりますので、是非お願いをしたいと思います。
 神奈川県逗子市にて、民有地の斜面の土砂が崩落をし、公道を歩かれていた女性の尊い命が失われました。改めてお悔やみを申し上げたいと思います。今後二度とこのような事故を起こしてはなりません。
 公道の安全確保には道路管理者が当たります。一方で、公道に面した崖等の整備義務は、民法上、土地所有者に一義的に課せられます。しかし、財力等の問題で対応できない所有者も当然おられます。
 土砂災害警戒区域や急傾斜地崩壊危険区域等の防災・安全対策は、お手元に配らせていただいておりますけれども、土砂災害防止法や急傾斜地法により実施をされております。しかし、両法律共に指定要件は人家、公共施設であり、道路に対しては明記がなく、公道の安全確保対策に対応できていないとも言い切れるぐらいの状態であります。すなわち、公道安全確保は法律の運用上で漏れてしまっているんではないかと考えられる部分もあります。
 急傾斜地に面した、あるいは崖に面した公道の安全確保対策、崩落防止処置を早急に実施する必要があります。まずは、公道の安全確保の対策のために、国交省内で、道路局、水管理・国土保全局等の部局を乗り越えて課題を洗い出していただいて必要な対応の議論を行うとともに、基礎自治体、経験がないところもたくさんあります、是非、協議体をつくっていただいて、今後どういう方向性がいいのか、国民を守るという視点で、赤羽大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。

国務大臣(赤羽一嘉君)  まず、二月五日午前八時に襲いました逗子市の民有地斜面の崖崩れで将来のある若い方が一名亡くなられたこと、心から御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、また、御遺族の皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
 今お話ございましたように、近年の激甚災害、土砂災害を見ても、その起因するところというのは、管理が不全な、管理がされていない民有地というのは大変多い。そこの民有地であるがゆえに地方自治体も手を出しにくいというような話がございました。今、三浦委員おっしゃられたように、住戸があると、住宅があるとやりようがあるけれども、公道ではなかなか強制力がない。
 他方、平成八年、北海道の豊浜トンネル崩落事故、大変大きな事故でございました。これを契機に、道路管理者としては、全国の道路を総点検しまして、急傾斜地も含む、民地の急傾斜地も含む三十六万か所を防災点検箇所として指定して、継続的に点検、対策を実施してきているところでございます。
 ただ、今回の逗子市の被災状況を見ますと、なかなかそう危険だと思われないような状況でもございましたので、今、今後の斜面の点検のときの留意事項というのを専門家の方に入っていただいてまとめているところでございまして、この留意事項がまとまり次第、全国の道路管理者、地方公共団体に周知をして、これまで以上にきめ細かい安全管理を図っていただけるように指導していきたいと。
 同時に、土地所有者に対しても、これは、所有から管理というのは、これは今、通常国会で法律出させていただいておりますが、土地基本法で、所有者は管理しなくてもいいというのはもう変えていきたいと、こう思っておりますので、土地所有者に対しても管理上の留意点を周知徹底させていただき、土地所有者が点検等の対応が難しい場合は、県又は市町村がしっかりサポートできる体制を構築していくようにしていきたいと思っております。
 いずれにしても、道路管理者である道路局と砂防担当部局の水局が定期的な連携体制を構築して急傾斜地等の情報を共有すると、そして、それを基に地方自治体の取組を積極的に一緒に支援していくと、こうしたことを実行して、まさに防災・減災、安全、安心な国土づくりに寄与していけるように取り組んでいきたいと思っております。

三浦信祐君 是非、大臣、お願いしたいと思います。
 公道は自由権が設定をされていて誰もが歩けます。今の制度では個人所有のところに対してのサポートしかできません。これでは国民が安心して道路を歩けないというケースがあってはいけないということ、証左をしていると思います。是非、大臣、議論、一ミリでも一歩でも進めていただきたいと思います。重ねてお願いさせていただきたいと思います。
 人体に有害なポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCB廃棄物処分について伺います。
 PCBは、二〇〇四年五月に発効した残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の規制対象となり、国際的に二〇二五年までの使用全廃、そして二〇二八年までの適正処分が求められております。国際公約であります。後世にツケを残せません。我が国は、二〇〇一年に成立したPCB特措法に基づき二〇一六年七月を期限として廃棄に取り組んできましたが、達成困難となり、二〇二七年三月まで延長されております。
 お配りの資料のように、地域ごとに処分場所、期限が決まっております。期限までの確実な処分のためには徹底的な掘り起こし調査が必要であります。PCBを保管している事業者の方々は、重い費用負担のゆえに処分をためらっているケースもあります。環境省はこれまでどう取り組んできたのか。今後、間違っても、先般判明をした西日本における約百件の未処分問題が生じるようなことがあってはなりません。国で財政措置をするなど、確実に進めていただきたいと思います。
 環境大臣が未来を差配する、そういう役割だと思います。是非、小泉大臣、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(小泉進次郎君)  三浦先生から、PCBについてのお尋ね、特に環境省のこれまでの取組、そして今回の百件の未処分、こういったものについての対策や財政補助、御指摘いただいたと思いますので、まとめてお答えさせていただきます。
 PCBの廃棄物の処理につきましては、長年、一九七三年以来、約三十年の間、民間による処理施設の立地が進まなかったことから、平成十三年、二〇〇一年に成立をしたPCB特別措置法に基づいて、環境省が主導して全国五か所にJESCOの処理施設を施設立地地域の御理解、御協力の下、順次設置し、処理を進めてきました。
 期限内の処理を確実にするため、平成二十八年、二〇一六年にPCB特措法を改正して、地域ごとの計画的処理完了期限の一年前までを処分期間と定め、PCB廃棄物の保管事業者に処分期間内の処分を義務付けるとともに、違反した事業者には改善命令、代執行といった行政処分を行うことができることにしました。
 また、財政措置のお尋ねがありましたが、中小企業等には処分費用の七割を軽減する制度や、照明器具の安定器のPCB有無の調査や、LED照明への交換の費用を補助する制度を創設をして処理を促進してきました。
 こうした取組を進めてきた結果、平成十六年、二〇〇四年に全国で最初に操業を開始したJESCO北九州PCB処理事業所では、施設の立地する北九州市の多大なる御協力の下、十五年間で変圧器、コンデンサー計約六万二千台を処理して、昨年三月に変圧器、コンデンサー等の処理を全国で最初に完了したところであります。また、全国的にも、これまでに約三十五万台の変圧器、コンデンサー等を処理しており、処理の進捗率は九割を超えています。
 一方で、先生から御指摘いただいたとおり、JESCO北九州PCB処理事業所の受入れ終了後に新たに高濃度PCBを含むコンデンサー等が見付かり、保管を継続されている事案が現時点で約百件あります。この教訓をしっかりと踏まえて、今後、期限を迎えるほかの地域においてこうした事案が生じないように、見落とされていたものの発見事例集を作成するなどして自治体や関係機関に周知をして、見落とされないように注意喚起を行っています。
 また、各都道府県、政令市において、環境省が作成したマニュアルを活用して未把握のPCB廃棄物の掘り起こし調査を進めており、環境省としても、地方環境事務所の体制を強化しつつ、掘り起こし調査の相談窓口の設置や専門家の現場派遣、テレビCMを始めとした全国的な広報などの予算措置を行うとともに、関係省庁から業界団体を通じた周知等を行っています。
 例えば、経産省とは共催で本年度も全国八か所で計十回の事業者向けの説明会をやっていますが、今後とも、経産省などを始めとして、関係省庁、自治体、そして関係機関と連携をして取りこぼしのないような掘り起こし調査を行うとともに、引き続き、中小企業等の費用負担の軽減措置を講じて期限内の処理に向けて取り組んでまいります。

三浦信祐君 環境省の管轄下にある現場で動いていただく組織というのはほとんどありません。そういう意味では、チェックしているだけでは本質的掘り起こしにはならないのも実態です。元々は経産省の所管であります。PCB機器等を設置した電気設備関連事業者、職人さんが実はどこに置いたかというのはよく分かっております。経産省所管の関係団体、協力なしに処分問題は解決をしません。
 経産大臣から明確に支援依頼をし、掘り起こし、やっていただきたいと思います。また、経済対策の一環としても、官公庁部分も併せて一遍に、今回一気に置き換え支援していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(梶山弘志君)  PCB特措法でPCBを含む機器の処分期限が地域ごとに定められている中で、未処分の機器が処分期限を過ぎた後に西日本で発見されたことは大変重く受け止めております。今、今後、処分期限を迎えるほかの地域において同様のことが繰り返されないように対策を徹底していくことが重要と認識をしております。
 このような事態が発生した主な要因として、処分期限に関する周知不足があると考えております。このため、業界団体に対しましてPCBを含む機器の処分方針について周知するとともに、今、小泉大臣からも答弁ありましたけれども、毎年、経産省と環境省が共同で事業者に向けた説明会を全国各地で開催をしているところであります。
 また、自身が所有する機器が処分対象であることの認識が不十分な事業者がいる場合も想定をして、その電気機器の保守点検を行う電気主任技術者に対しまして、セミナー等を通じて機器の処分に向けた技術的な支援を実施するように要請を行っているところであります。
 さらに、処分期限を認識していても事業者が処分を行わない場合も考えられます。このため、都道府県が対象機器の掘り起こし調査を行うことに加えて、経済産業省としましても、PCBを含む変圧器等の電気機器を所有する事業者に対し、管理状況の確認を求める文書を個別に発出し、必要に応じて行政指導などの措置も実施しているところであります。
 引き続き、環境省と地方自治体とともに緊密に連携したこうした対策を総合的に組み合わせながら、PCBを含む機器の掘り起こしと事業者に対する期限内の処分に向けた取組を強化してまいりたいと考えておりますが、委員御指摘のような経済産業省としての独自の取組も含めて検討してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 最後に、地方自治体の橋等の公共インフラや建材にも、今度は低濃度PCBも使われております。二〇二八年までが適正処分です。お金がない地方自治体任せでは、これができない、処分が終わらない可能性があります。国が前面に立って対策を講じるべきですが、小泉大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(小泉進次郎君)  低濃度のPCBの廃棄物につきましては、先生御指摘いただいたとおり、過去に橋などに用いられていたPCB含有塗膜については、平成三十年十一月から国の機関、自治体及び民間事業者において自ら管理する施設の調査を実施いただいています。
 環境省としては、調査の中で生じた技術的課題について随時検討を行い、自治体や民間事業者が円滑に調査を実施できるよう対応しておりまして、今後も、技術的な課題に対応していくなど、調査を実施する自治体や民間事業者への支援を継続的に行い、実態把握に努めてまいります。
 また、昨年十二月に、塗膜を始めとするPCB濃度〇・五%から一〇%までの可燃性汚染物の処理体制の構築のため、環境大臣の認定する無害化処理施設の処理対象を拡大する制度改正を行ったところでありまして、改正後の制度に基づいて、確実かつ適正な処理に全力を尽くしてまいります。
 さらに、微量のPCBに汚染された油を含む電気機器についても、現在、実態把握を進めるなどしておりまして、今後、必要に応じてその課題について検討することとしています。
 このような取組を通じて、低濃度のPCB廃棄物についても、期限内の処理に向けて、関係省庁、自治体、関係機関と連携して取り組んでまいります。

三浦信祐君 是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。