予算委員会(2025年6月2日)

我が国の持続可能な経済成長への政策推進について

三浦信祐君 
公明党の三浦信祐です。
我が国の持続可能な経済成長への政策推進について質問いたします。
私も携わらせていただきました二〇二二年末に策定をしました安保関連三文書、我が国の望ましい安全保障環境を構築するために、文書に基づいた政策を政府・与党として具体的に推進をしております。
パネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)
最上位の政策文書である国家安全保障戦略には、我が国の安全保障上の目標を達成するための戦略的アプローチは、外交力、防衛力、経済力、技術力、そして情報力の総合的な国力を手段としております。外交力と防衛力が前面に出ますが、平和で安定した安全保障環境の実現への政策の土台は経済力であります。我が国の安全保障の礎である経済、金融、財政の基盤強化は最重要であり、不断に取り組まなければなりません。同盟国の米国からトランプ関税問題が生じ、国益を懸けた交渉と対策が必須であります。
石破総理、最重要の経済力について、米国トランプ関税対策と経済、金融、財政の基盤強化との関係についてどのように整理し、今後取り組んでいくのでしょうか。

内閣総理大臣(石破茂君) 
安全保障というのは防衛力だけでできるものではございません。防衛力というのは、かつての日本がそれを誤ったように、きちんとした財政があり、きちんとした経済があって、国民生活が疲弊をするような状況で防衛力というものが維持可能だと私は思っておりません。きちんとした防衛力というものを発現するためにも、経済力そしてまた財政の安定というものは極めて重要だという認識は委員と同一でございます。

三浦信祐君 
まさにこのトランプ関税対策についても極めて重要な局面であり、強靱な経済を構築するためには内需の拡大が必要であります。徹して中小企業支援等を含めてこれを取り組んでいかなければならないと思います。その上で、重ねて質問させていただきます。
国民生活における経済活動が安定的に行え、営農も漁業も物も作り続けられ、サービスを届け続けられる状況こそが安全保障の基本であり、最大の抑止力となります。安保三文書決定以降に三年が経過しましたけれども、我が国における物価高、人手不足、賃上げの流れ、そして今般のトランプ関税等、複雑な経済状況にあります。乗り越えていける強靱な対策が必須であります。国の中で分断を生まないようにすることが安全保障そのものと言っても過言ではありません。今般の電気・ガス代支援、重点支援交付金の積み増し、そして五月の二十二日から開始をしているガソリン補助等の物価高対策と安全保障の戦略上の経済力との関係、どう説明をされますでしょうか。

内閣総理大臣(石破茂君) 
内需の拡大が重要なのは委員御指摘のとおりでございます。ただ、人口が急に増えるということは望めませんので、内需を拡大する場合に、どこに潜在力があるかということでございます。御指摘のように、農業、漁業、林業、そこには、更に生産性を上げ、所得を上げる、そういうような可能性が多分にあろうかと思っております。地方において特に顕著でございます。東京も地方の一つではございますが、いかにして中小企業の持てる潜在力を引き出していくか、そして女性の力というものをどうやって最大限に引き出していくかということ、まだまだ伸ばしていく余地は多分にございますので、それは必要なことだと思います。御党とともに、経済政策というものにより万全を期してまいりたいと考えております。そしてまた、物価高についての御指摘でございますが、お一人二から四万円の所得税減税、世帯当たり三万円に子供一人当たり二万円を加算する低所得者世帯向けの給付金、一定期間の育休給付の手取りのこれまで八割だったものを十割に上げる、米については先ほど来農水大臣が答弁をいたしておるとおりでございます。加えまして、リッター当たり十円、ガソリン等価格の定額引下げ、七月から九月の電気代、ガス代の引下げ、これの対象とならない特別高圧電力、LPガスを使用する中小企業さん、病院さん、こういうものを地域の実情に応じて支援できるよう、重点支援地方交付金の〇・一兆円の積み増し等々、あらゆるやり方をもってして、この物価高に取り組んでいかねばなりません。
この物価高騰をきちんと乗り越えて、そしてまた、中小企業であり、一次産業であり、女性であり、そういう力を最大限に引き出していくことによって内需の拡大というものは可能になるものだというふうに考えておるところでございます。

三浦信祐君 
まさに内需の拡大、具体的にすぐできること、今やれることを重ねていくことが必要であると思います。今般の米価の高騰を始め、食料自給率の確保、営農の持続性を踏まえれば、食料安全保障は極めて重要であります。安保関連三文書の策定の議論を得て明記をしております。一方で、少子高齢化、人口減少社会が進む我が国にあって、経済活動の基盤を考えれば、介護を中心とした社会福祉の充実と持続性確保は絶対に必要であります。総合的な国力の総動員へ、これまでの五要素に加えて、食料安全保障、社会福祉の持続性確保は本質的に総合的国力を発揮する基盤として重要であります。明確に安保戦略上の位置付けとすべきと考えますけれども、総理、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(石破茂君) 
それは、今御指摘になりました介護も安全保障の一環なのだという視点は、私は極めて重要な視点だと思っております。いかにして、もちろん介護を受ける方の御負担というものを減らしていかねばならない、安んじて介護を受けていただけるような環境もつくっていかねばなりません。しかしながら、介護離職ゼロというものを唱えておりましたが、これ、いまだに実現できるに至っていないものでございます。労働力を確保するという観点からも、そしてまた介護を受ける方の御負担を軽減するという意味からも、これ、スマート化、AI化ということも含めて、この介護の充実というものが国力の維持発展につながるという視点は極めて重要なものだと思っております。食料安全保障につきましては委員御指摘のとおりでございますが、私、農林水産大臣当時にWTOの会合に何度か出ましたが、フードセキュリティーという言葉が諸外国と日本と違っているという点には留意が必要でございます。それは、何でもかんでも国産ということを意味するわけではございませんが、潜在的な可能性を最大限に引き出しているかといえば、それは決してそうではございません。価格が下がることによって消費者には安心を届けることができますが、そうすると、生産者、どういう方々を対象に支援を行うかということ、どういう方々の再生産を可能にするかということも安全保障の観点から不可欠な議論だと承知をいたしております。

国民の皆様へ安定してお米を届ける対策について

三浦信祐君 
次に、国民の皆様へ主食のお米を安定して届ける対策について質問させていただきます。
備蓄米の放出に当たり、俯瞰して対応すべき点があります。備蓄米を国の基準で確実に保管していただいた倉庫業の皆様が、備蓄米を放出することによって保管料が得られない課題が生じております。現行の契約を超えた状況であると農水省からも伺いました。倉庫業の方がこれまできちっと整えていただいて、そして保管していただいた備蓄米であり、その売渡しであります。総理、支援を検討していただいてはいかがでしょうか。また、今回生じている備蓄米保管に係る契約上の課題は、教訓として整理して変えていくべきであると思います。総理、御対応いただけませんでしょうか。

内閣総理大臣(石破茂君) 
保管をしていただいているので、その対価としてお支払をいたしております。そうしますと、今保管がないという状況において、支払うゆえんは何であるのかということでございます。それはそのことだけで常に切って捨てるつもりはございませんで、常に保管が可能な状態を維持するということも大事でございます。この点につきましてはかなり議論を詰めるのが難しいところでありまして、いかにして国民の御負担に値するものかということも含めまして政府内で議論をさせていただきたいと思っております。いざというときに、今は空いていても、いざというときに保管していただけるところがないということは、食料安全保障上も極めて懸念すべきことだということはよく承知をいたしております。

三浦信祐君 
これは大変難しい議論だと思いますけれども、今総理が言っていただいた、いざというときのためというために備蓄米を確保しているわけですから、よくよくこれ教訓として検討していただきたいというふうに思います。
備蓄米が求められる消費者の元へいち早く届くように、物流のもう一重の支援が必要だと私は思います。輸送に全力を挙げていただきたいと思います。中野大臣、トラック協会、倉庫業界、また鉄道利用としてJR貨物の皆さんなど、運送業の皆さんに強力にかつ具体的に支援をお願いし、そして切れ目なくスムーズにお米が運ばれるように指揮を執っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(中野洋昌君) 
三浦委員にお答え申し上げます。
備蓄米の売渡しにおきまして、物流事業者による迅速な出庫や輸送、これは大変重要な役割を担っていると私も認識をしております。五月の二十八日に小泉農林水産大臣が国土交通省に来訪されまして、この備蓄米の円滑な流通に向けて、備蓄米を保管する倉庫からの迅速な出庫、そしてトラックによる滞りない運送、この二点について国土交通省に協力をお願いをしたいと、こういう話があったところであります。委員御指摘のとおり、全日本トラック協会等の物流業界に対して協力を要請をしているところでございます。しっかりと対応を全力でいただいているというふうに思っておりますが、さらに、具体的に、この農林水産省のチームと連携を図るべく、五月の三十日に備蓄米の物流対策を担当します備蓄米物流支援室を設置を国土交通省にさせていただきました。農林水産省から物流の面で目詰まりが発生をしているとの情報が寄せられた場合には、業界団体とも協力をしまして、物流事業者の手配、支援等を行うことを想定をしております。引き続き、農林水産省とよくしっかりと連携をして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

三浦信祐君 
是非お願いしたいと思います。
小泉農水大臣に伺います。
価格の安定化にスピード感を持って取り組まれていること、我々も支えていきたいというふうに思います。その上で、三つの視点が必要であります。まず、消費者の視点で価格を落ち着かせ、負軽減と米離れを防ぐこと、適正に事業されている米販売業、また卸の方も損失が出ないようにしていく、そして、主食である米の生産者である農家を守らなければなりません。誰かの犠牲で成り立つ農業では持続可能性がありません。先般、都市農業のエリアである地元の神奈川県内の米農家さんから直接声を伺ってまいりました。米の収入だけでは生活ができない、家族で何とか生産しているが、人件費が出ないゆえ、このままでは継続できない、利益が得られなければ後継者不足が深刻になる、農機具、肥料等、物価高騰で大変だと、また、不動産と野菜での収入があるゆえ食べていけるけれども、米だけでは無理だと、でも、お米が喜ばれるから生産をしていると、農家の高齢化が進み、あと数年すると水稲栽培はやめるところが続出するだろうと率直に教えていただきました。適正な価格、持続可能な収入が必須であります。全国的にこのような農家の方が稲作をやめて減産量が積み上がってしまえば、結局大変な収量の減の可能性があります。これは食い止めていかなければいけません。来年以降、また昨年、今年の事態を招かない対策は、今からやっても遅くはないというふうに思います。都市農業地域での兼業農家における稲作営農の持続可能性、水稲農家の所得確保のために、小泉大臣、是非スピード感持って手を打っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(小泉進次郎君) 
三浦委員と私は同じ神奈川県ということで、都市農業の魅力、そしてまた、様々多面的な機能や価値があること、これはお互い共有するところだと思います。
現在、この都市農業においても様々な取組を政府も進めていますが、特に、平成三十年に都市農地貸借法が制定されて以降、この法律に基づく承認を受けた市民農園というものが物すごく増えていまして、平成三十年度末の二十件から令和五年度末の百二十一件と六倍に市民農園が増加をしています。そして、今質問の中に御指摘のありました米農家さん、都市農業の中での米農家さんの例えば機械、この導入の支援とか、農作業の受託や農業機械のレンタルなどを行う農業支援サービス事業体の育成、確保に取り組んでいるところでもありますので、こうした取組も通じて、兼業農家を含む多様な農業者の農業生産活動を支援をしていきたいと思います。

三浦信祐君 
これは持続可能性、とても重要です。場合によっては宅地並み課税のところで水稲やられているところもあると思います。そして、一緒になって共同して、私も言われたことがありますけど、稲刈りを一緒にやるということを通してやらないと、機械の確保ということは重たいという声もありますので、これからよく現場の声、更に聞いていただきたいというふうに思います。
今、流通、小売が始まりました随意契約による備蓄米、五キロ二千円程度の価格に対して、それ以前に競争入札による売渡しした備蓄米の落札価格は高くなっているのがこれは実態だと思います。市場価格との差異が生じるため、米穀卸から出荷依頼が滞る可能性もあります。小泉大臣、玄米、精米済みを問わず、競争入札米を再び買い入れるということも考えてはどうでしょうか。

国務大臣(小泉進次郎君) 
この御指摘、複数いただいております。現在のところ、まだ、そのように買い戻してもらいたいという、そういった申出はないんですけれども、仮にこれまでの入札で政府備蓄米を売り渡した買受け者が売り渡された政府備蓄米を返還したいという意向であれば、適切に対応して有効に活用したいと考えています。一方で、把握をしなければいけないのではないかと一つ考えているのは、一回目から三回目の入札は九五%全農さんに行っています。それを例えば、この前、卸の業界と会いますと、大手卸が欲しいと言った量は行っていない、全農から。そういったところで一回不足感が出ています。この九五%がどうい配分でどこに行っているか、そして契約済みのものと契約をしていないで倉庫に置かれているものと、こういったものをしっかりよく見て、仮にこうやって戻すということがあった場合に、それがどれぐらいの量なのか、対応可能なのか、そしてまたその意向があるのか、こういったことも含めてよく見ていかなければいけないと思いますが、御趣旨はよく分かります。そしてまた、卸の方と話すと、この一回目から三回目のものは二千円で出てくるものと千八百円で出てくるものと、高いので、三千円台ぐらいですから、これ使い道はどうなのかという、様々情報収集しますと、使いようは幾らでもあると。例えば、中食、外食にみたいな話もあるんですけれども、今回、そもそもなぜ備蓄米の放出をしてい
るかといったら、やはり小売の店頭に早く並べたいという思いですので、それは何でも使えますということとは私はやはり違うんじゃないかなと、そういったふうにも思いますので、よく関係者の皆さんに、なぜこのようなことをやっているか、そういったことも御理解いただきながら、私はマーケットが適正に動いていくことを期待もし、またあらゆる施策も講じていきたいと思います。

三浦信祐君 
その細かさがとても今重要だということを整理できましたので、是非実行していただきたいと思います。
備蓄米は、年間通じて十五度以下、湿度六〇から六五%に保持をされて、カビや害虫への対策がなされている倉庫で保管されていると承知しております。すなわち、極めて品質管理がなされているお米であります。単に年月を重ねた米ではありません。小泉大臣、古古米、古古古古米、この呼び方、変えてはどうでしょうか。

国務大臣(小泉進次郎君) 
まあこれは令和三年産米とか令和四年産米、こういった形の方が実際適切かもしれません。そして、先日、私も備蓄の倉庫を拝見したときに、物すごくきれいな倉庫に感銘を受けました。やはり日本のこの品質管理、この倉庫の状態は世界トップクラスと言ってもいいと思います。こういった皆さんの思いに応えて、かつ、昨日から、おとといから発売が始まった二千円の備蓄米を食べられた方々が既にテレビ番組などで発信をしてくださっていますが、余り違いが分からないという方が非常に多いということも事実ですので、ネーミングはこちらで決めるというよりも、やはり世の中で今回実際に味わった方々などがいろんな発信をするというのも今の現代のSNS社会なども含めて出てくると思います。
これから、正しく伝わるように、そういった令和三年産米とか、こういったことも含めて政府としては適切に考え、そして民間の皆さんの中でも、国民の皆さんにもいい形を、結果として根付いていく、浸透していく、そういったことを期待しています。

三浦信祐君 
茶わんに米一粒残すなと、そういうことを小さい頃私は習いました。どんな思いでお米を作ったのかということの、大事なその敬意を表していこうということであります。とてもネーミングは大事であります。今実は、政府ではこれ、持ち越し米と言っているんですね。きっと知らない方が多いと思います。なので、議論をしっかりとして、農家の皆さんに敬意を表しながら、主食でありますから、国民の皆さんでしっかりとこれは支えていくということ、やっていきたいというふうに思います。

介護を社会インフラとすべきことについて

三浦信祐君 
介護について総理に質問いたします。本年、二〇二五年、我が国は大変重要な局面を迎えております。我が国をつくってこられた団塊の世代の方が全員七十五歳に到達します。国民の五人に一人が後期高齢者、我が国で最も多い世帯は単身世帯で、全世帯の約四割にも及びます。認知症の方は六十五歳以上の方の五人に一人あるいは七人に一人とも想定されている年であります。今までの政策の延長線上ではなく、アップデートが必要であります。公明党として取り組んでいる政策立案アンケート、ウイーコネクトでは、政治に求める最も多い声は、第一位はやはり物価高対策です。しかし、その二位は年金、医療、介護などの社会保障であります。現役世代の皆さんとの対話を重ねれば、故郷に片親を残している、本当に必要なときに医療を受けられるのか。大切な祖父や祖母が介護が必要になったとき、本当に介護を受けられる国であり続けてほしいと。聞けば、介護の仕事の方が給料が安く離職が多いというじゃありませんかと。介護のために、どんなに好きで社会に役に立って稼ぎが良くても、仕事を辞めて実家に戻らなければならなくなる、そういう不安を是非取り除いてもらいたいんだ、だから介護の皆さんも国としてしっかり守ってもらいたい。これが、単に給料が上がっても、子育てにお金が掛かるというところの負担軽減しても、本当に拭っていかなければいけない不安だというふうに私は思います。
そういう中にあって、二〇四〇年、必要な介護人材は約二百七十二万人であって、約五十七万人が不足すると予想もされております。介護離職者は毎年約十万人、仕事と介護の両立困難による労働生産性損失が大きくて、二〇三〇年には経済損失が約九・一兆円までに達する予想もあります。日本の経済を基盤的に支えている介護、介護イコール投資でもあり、かつての公共事業イコール雇用の創出、また地方創生、地域経済の活性化の機能まで有していると言っても私は過言ではないんじゃないかと思います。介護従事者、事業者を守ることが地方経済を再生し、現役世代を守り、支援することに直結をします。石破総理、介護を社会インフラと明確に位置付けて、それにふさわしい支援とすべきであります。取り組んでいただけませんでしょうか。

内閣総理大臣(石破茂君) 
御指摘には全て同意をいたします。そうあらねばならないと思っております。どうすれば要介護にならないかという視点は、私は更に重要だと思っております。じゃ、認知症という言葉がさあどうなのかは別として、あなたが必要なんですよという、そういうような思いがその方に伝わっていくという社会環境は必要だと思っております。どうすれば要介護にならないかということ、そして、要介護状態になられたときに、そういう方の精神的な御負担というのも物すごくあるんだろうと思っています。済みませんね、ごめんなさいねというようなことをおっしゃる方も大勢いらっしゃいます。そういう方々の尊厳というものをきちんと守っていきながら、どうして介護を受ける方々の環境を改善していくかということ。
そして、重要なことは、いかにして介護離職を防ぐかということであり、現場に行くと本当によく分かりますが、介護に従事しておられる方々の処遇が、確かに今まで改善措置を随分と図ってまいりました。それが本当に現場に行き届いているかという検証はきちんとしていかねばなりません。その崇高な、そしてまた負担の大きい介護に従事をしてくださる方々の処遇改善というものは、介護離職の防止、削減等含めまして最も重要な課題であり、それは国力そのものに直結するというふうに認識をしておるところでございます。

介護従事者の賃金を全産業平均を超える取り組みの必要性について

三浦信祐君 
総理、明確に言っていただきました。
パネルを御覧いただきたいと思います。令和六年賃金構造基本統計調査、月当たりの職種別の勤続年数、また賞与込みの給与の一覧であります。全産業の平均は十・五年で三十八・六万円であります。これに対して介護職員は、全産業の合計に比べて、勤続年数は七・九年、賞与込みの給与は三十・三万円と八万円も低くなっております。これでは介護が重要なインフラとの認識に対する処遇とはなっていないんじゃないでしょうか。全産業平均に到達するようにあらゆる手段を取っていただきたいと思います。総理、もう是非これを整理していただいて取り組んでいただけませんでしょうか。

内閣総理大臣(石破茂君) 
当然の御指摘だと思います。本当に介護に従事してくださっている方々の崇高な思いというもの、そして御負担の多さというもの、私はお金で全てが済むとは思いませんが、そういう方々にふさわしい処遇というものがきちんと実現をするということは、それは国家の責務であると承知をしておりますので、御指摘を踏まえて更に努力をし、より良きを実現をいたします。

ケアマネージャーの処遇、労働環境の改善及び更新制度のあり方について

三浦信祐君 
じゃ、具体的な議論を更に進めていきたいと思います。
介護へのアクセスには介護支援専門員、ケアマネジャーさんの仕事が不可欠であります。そのケアマネさんをどう守るのか、人材確保持続が死活的に必要であります。三十四・五万円とやはり全産業平均より低い処遇も改善する必要があり、また業務外の対応も多く、どこまでがケアマネさんの仕事なのかを明確にすること、そして更新制度ゆえに、年が重なってから、経験はあるのに法定研修はもういいやとして現場から離脱してしまっているという声も現実にはあります。ケアマネさんの処遇と労働環境の改善、そして更新制度、法定研修を大幅に簡略化するなど、厚労大臣、大胆な改善しましょう、是非お願いしたいと思います。

国務大臣(福岡資麿君) 
ケアマネさんは在宅の介護サービスを支える要でありますから、その人材確保というのは喫緊の課題だというふうに認識をしています。業務負担を軽減しながら、働く環境の改善、処遇の確保など、様々な取組を総合的に実施する必要があると考えています。このため、令和六年度報酬改定におきまして、ケアマネジャーの方々の処遇改善を着実に行う等の観点から居宅介護支援の基本報酬の引上げを行いました。また、昨年末に取りまとめられました検討会の中間整理におきましても、ケアマネジャーさんの処遇について、他産業や同業他職種に見劣りしない処遇を確保することであったり、またICTの活用等による業務効率化を進めること、御指摘がありました更新研修につきましては、利用者への支援に充当する時間の増加につなげる観点から大幅な負担軽減を図るとともに、その在り方についても検討することなどが盛り込まれたところでございます。こうした内容も踏まえて、関係審議会等で議論を進めてまいりたいと思います。

「もう少し働ける改革」について

三浦信祐君 
是非これしっかりやっていただきたいと思います。
次に、働き方改革について質問させていただきます。二問重ねて行きます。
パネルを御覧いただきたいと思います。
二〇一七年に働き方改革関連法案審議で私は真剣にこの議論させていただいて、与党で最も多い時間質問させていただきました。これから、施行から五年の見直しの時期に当たります。このパネル、この内容はJILPTによる副業によるその理由、副業する理由についての調査結果であります。その一位は収入を増やしたいから、二位は一つでは生活ができないからであります。賃金自体が上がるということが、まず最もやらなければいけないことであります。しかし、副業、兼業を行うというのは、時間でのみ労働時間が制約されて選択肢が失われているゆえの結果でもあると思います。労使共に本業で働ければと思っておられる方もおります。その上で、今、この上限規制に対して多くの皆さんが一生懸命働き方改革への対応をされているということは伺っております。しかし、昨今の賃上げ、物価高騰、働き控えを含む人手不足を背景として、働き方改革を改善してほしいとの声が大手、中小企業問わず、明らかに多くなっております。トラック事業者を主とした運送業だったり、建設業、サービス業、小売業、エッセンシャルワーカーとして我が国の生活の当たり前をつくり、支えてくださっている皆さんからも、使用者、労働者共に声が多いのも実感であります。仕事はあっても労働供給力が低下しているために受け切れない、働きたいけど働けない、自動化してもできない分野で、時間だけで枠にはめるのではなく柔軟な運用にできるように法律を変えてほしいとも言われます。若い世代に伺いますと、若いうちに働いて稼げるときに稼ぎたい、能力を付けるために時間で縛られないようにしてほしい、また会社を支えるために自分のリズムで働くために時間を自由にしてほしいとの声も多数あります。もちろん、一方で、今の働き方でよい、休みは多い方がよい、働き方改革が進めばよい、少子化対策になるとの声もあり、二分していることも十分承知をしております。働き方改革で休めるようになり、ワーク・ライフ・バランスが確保できる流れもできました。これは重要であり、不可欠で、まず整えていかなければいけません。で、時間で規制を掛けてることで機会を失っている方も実質にはおられます。私は、働き方の選択肢を増やす方向が必要だと思います。供給量の強化が我が国経済を支える上では欠かせません。働きたいときに働けるようにする、そして活躍できる幅を広げていく、今、我が国にはこうした前向きな議論が必要だというふうに思います。そのために、使用者側で労働者の健康管理の義務化、徹底的に課す等の対策を取って、過労死はあってはならないということは大前提としますが、その条件下で労働時間のルールを見直し、柔軟性、もう少し働けるような選択肢を提供すべきと考ます。もう少し働ける改革、総理、取り組んでいただけませんでしょうか。

内閣総理大臣(石破茂君) 
選挙区を回っておりました頃に、そういう声が非常に強いということは本当に実感をいたしました。過労死はあってはなりません。労働者が搾取されるようなことは断じて許されるべきではありません。ですが、働きたいのに働けないということは決して望ましいことではございません。同時に、それはデスクワークとそうでないものにおいて違いはありますが、自分自身もそうだったことあるんですけど、だらだら残業を十一時、十二時、終電まで当たり前ということは決して労働生産性を上げることにはならないということにも着目は必要だと思っております。きめ細かい政策というものは、まさしくこの分野において必要なものでありまして、御指摘を踏まえて、過労死はあってはならない、搾取はあってはならないという大前提の下に、働きたいけど働けないということが是正されますように取り組んでまいりたいと存じます。

三浦信祐君 
国民の選択肢を増やす、そういう仕事を皆さんでやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。