外交防衛委員会(2020年12月1日)

次期支援戦闘機開発と知的財産管理体制について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 F2戦闘機後継機の開発に関連して伺いたいと思います。
 F2後継機について、我が国主導で開発する旨、私も与党PTの一員として携わりました。防衛大綱、中期防にも記載をされております。
 先般もシングル・プライム体制を取るとしたことに基づき、機体担当企業として三菱重工業との契約を締結したと承知をしております。日本の技術保持、防衛力を支える能力は不断の積み重ねとともに、体制を維持できる又は体制自体を整備することが必要であります。特に長期の運用や将来の能力向上に必要となるインテグレーションという広い意味での技術力は、国内企業が実践し続けることによってのみ獲得され、保持されると考えます。
 日本企業のインテグレーション能力の現状をどう評価するか、また、その保持の方策についてどう考えるか、これが全ての出発点となります。感染症拡大抑制への取組が最優先ではありますが、国内の産業維持とイノベーションを考慮しつつ、官民一体となって高度なインテグレーション能力を実現、維持するべく取り組むべきであります。
 防衛省、いかがでしょうか。
政府参考人(武田博史君)  お答えいたします。
 二〇三五年頃に退役が見込まれますF2の後継機として我が国主導で開発する次期戦闘機は、我が国が主体的に航空優勢を確保するために必要な性能、能力を長期の運用期間にわたって保持することが必要でございます。これを実現するためには、高いステルス性を確保しつつ、エンジン及びミッション・アビオニクス機器が一体として高い能力を発揮すること、すなわち、戦闘機システム全体の能力や信頼性を決定する高度なインテグレーションを実現することが我が国主導の開発において極めて重要でございます。
 このため、これまで先進技術実証機や戦闘機用エンジンなどの関連技術の研究に加えまして、これら関連技術の成果をコンピューター上でインテグレーションし、仮想的な機体を設計する研究を通じて、官民挙げて機体、エンジン及びミッションシステムを統合するために必要な技術を維持、強化してまいりました。
 次期戦闘機の開発に当たっても、国内企業が保有する優れた技術や人的資源を最大限効果的に活用し、高度なインテグレーションを実現するため、シングル・プライム体制を取ることとし、先月末、これを担当する機体担当企業として三菱重工業と契約を締結したところでございます。
 今後、外国企業から戦闘機全体のインテグレーションに関する支援を得ることも考えておりますが、いずれにせよ、次期戦闘機の開発に当たっては、ユーザーである航空自衛隊のニーズを適切に反映しつつ、F2戦闘機の退役、減勢が始まる二〇三五年頃までに量産初号機を配備するとともに、開発中に培ったインテグレーション技術を用い、長期間にわたって運用が見込まれる中でも適時適切に改善や能力向上ができるよう、官民一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
三浦信祐君 官民一体、極めて重要であります。でき上がった支援戦闘機は間違いなく国民の生命と財産を守るものであり、平和への抑止力でもあります。是非、そのインテグレーション能力を高めるべく、先頭に立って頑張っていただきたいと思います。
 一方で、国内の技術力を結集する際に課題は多数あります。例えば機体の設計に際して、より良き性能を有するための技術を収れんする際、参画する企業がこれまでに蓄積してきた知財、知的財産を共有しても、他社がその情報を他の目的に活用しないことを約束する制度が整えられるとは言い切れません。すなわち、情報提供に伴う不利益回避を想定した、規定した制度設計が整備をされていないと言えます。知的財産を共有し、制約下で活用するプラットフォームがないため、参画企業が本来有する能力、技術を出し切れないのが現状とも言えます。
 制度を整え、より良く技術を活用できることは、納税者たる国民への確実な還元となります。F2の次期戦闘機開発を契機に、知的財産を不利益なしで保護されつつプロジェクト上で活用できる体制整備を図るべきであります。
 武田長官、是非進めていただけませんでしょうか。
政府参考人(武田博史君)  複数の企業が連携をして装備品等の研究開発を進める場合には、参画する企業で分担して装備品等の構成品の開発をすることになります。
 これまでの研究開発におきましては、一般的に、防衛省の実施する事業に参画する各企業は、それぞれの企業が持つ独自技術につきまして、企業間で秘密保持契約を取り交わすことにより互いに提供される独自技術を不正競争防止法上の営業秘密として適切に保護されてきたものと承知をいたしております。
 次期戦闘機の開発においても、機体、エンジン、ミッション・アビオニクスといった業種の異なる多くの企業が参画することになりますが、各企業が保有する優れた独自技術を一層活用して開発を進めることは重要であると考えております。
 このため、実際の技術情報の流れを踏まえ、開発に参画する複数の企業間で必要に応じて秘密保持契約を締結するなどを含め、適切な開発手法について官民で検討してまいりたいと思います。委員の御指摘も踏まえまして、しっかり検討してまいります。
三浦信祐君 長官、ありがとうございます。
 バイでやっていてはうまい技術が出ない、そして、官民で一体となってテーブルにそれを出して、それを取得をして共有する、極めて重要なことでありますので進めていただきたいと思います。
 次に、自然災害の凶暴化が進む日本にあって、防災能力、災害対応能力がハード、ソフト両面で求められております。長年にわたって自衛官としてお勤めいただき退職をされた方々は数多くの災害対応を御経験をされておりまして、事前の準備、対処方法等、知見を持っておられます。基礎自治体に退職自衛官の経験を生かすことは、結果として地域防災の基盤強化となり、国民の生命と財産を守ることに通じます。中期防の与党PTの議論の中でも自衛官OBの能力活用をと訴えをさせていただいて、退職自衛官の地方公共団体の防災関係部局等における更なる活用を明記をしていただきました。現在、退職自衛官の地方公共団体防災部局への登用について取組が進みつつありますけれども、私はより採用を拡充をしていただきたいと考えております。
 まず、退職自衛官の登用について効果をどう捉えられているのか、内閣府に伺います。
政府参考人(内田欽也君)  お答えいたします。
 地方公共団体においては、専門的知見を有する防災担当職員の確保のため、退職自衛官を始め防災の専門性を有する人材の活用が求められているところでございます。
 そこで、内閣府では、地方公共団体が外部人材を防災監や危機管理監などとして採用するに当たりまして、これに必要となる知識、経験などを有する人を地域防災マネージャーとして証明する制度を平成二十七年度より進めているところでございます。本年三月三十一日現在で、この制度により証明された三百七十六名の退職自衛官が全国の三百三十五地方公共団体に採用されていると認識をしております。
 これらの職員は、平時においては、例えば実践的な防災訓練の企画、実施、出前講座を通じた市民の防災意識の向上、計画やマニュアル策定などの業務を行っておりまして、一方で、災害時におきましては、災害対策本部の設置、運営、指揮命令系統の確立あるいは自衛隊との連絡調整などを行っており、その活動は知事や市町村長からも高く評価をされていると聞いているところでございます。
 今後とも、関係省庁と連携して、地域の防災対応力の更なる向上を図るために制度の的確な運用に努めてまいりたいと考えております。

退職自衛官の地方公共団体防災部局への登用について

三浦信祐君 東日本大震災のときに福島県庁に現職の自衛官が入っていただいて、それによって即座に情報収集、指揮系統が整っていたということは、私の弟から直接公務員として話を聞きました。ふだんからそれができるということは、どれだけ防災能力が上がるか、そして国民の命を守るかということに直結をいたします。是非拡充できるように積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 その上で、現在、退職自衛官を含めた地域防災マネージャーの採用、配置の費用は、経費は、特別交付税措置として措置率〇・五にて年額最大三百四十万円を充当できると承知をしております。しかし、基礎自治体の経済体力の違いが採用の機会喪失にならないためにも、また的確な処遇をするためにも、更なる拡充、拡大、上限を引き上げることを是非検討していただきたいと思います。また、一人だけではなく複数人採用できるように充当数を上乗せをして、更に採用拡大ができるように促進支援をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
政府参考人(内田欽也君)  現在、地域防災マネージャーが地方公共団体に採用される際には、御指摘のとおり、最大、一名の採用、配置に要する経費について、措置率〇・五、最大三百四十万円の特別交付税措置が講じられているところでございます。この特別交付税措置を活用いたしまして、防災の専門的な知見を有する人材を求める地方公共団体において退職自衛官などの採用、配置が進むことにより、より多くの地方公共団体の防災力を高めることが重要と考えております。
 御指摘につきましては、地方公共団体の声にもより一層耳を傾けながら、関係省庁とも連携して勉強してまいりたいと考えております。
三浦信祐君 是非、単費で出すのではなかなか大変だというところもたくさんあります。是非、そういうところによく耳を傾けていただいて、現場の人の命を守るという視点でサポートしていただきたいと思います。
 現在、地域防災マネージャーの採用対象者について、本省補佐級となっております。自衛官に該当する役職は三佐となります。しかし、地方では佐官の配置は少ないため、人数も限られております。
 したがいまして、もう一段階級を、表現は悪いですけれども一段下げていただいて、一尉も対象としていただきたいと思います。現場に長年携わり地域にも比較的長い時間赴任されていることから、一尉で退職されている方の経験値は高く、即戦力であります。また、後継者の確保、引継ぎも容易となります。是非御検討いただけませんでしょうか。
政府参考人(内田欽也君)  地域防災マネージャーとして証明を受けた人は、防災監など地方公共団体の防災上重要な指導的役職に配置されることを想定しております。このため、防衛省や内閣府の実施する研修などの受講経験、防災行政への一定期間の従事経験に加えて管理職的立場の経験、能力が必要なことから、国の本省課長補佐級の職位の経験を要件としているところでございます。
 この本省課長補佐級の職位の経験につきましては、自衛官の場合、防衛省に確認をした上で手続を進めておりまして、原則として三佐以上を経験したことを要件としております。なお、経験した最高位が一尉の人でありましても、実質的に三佐と同様の職務経験があると防衛省が認める場合には、課長補佐相当と解釈をして運用してきているところでございます。
 引き続き、地域の実情や要望、また自衛官の職務の実態なども勘案し、より多くの地方公共団体が地域の防災上のニーズに応える質の高い人材を採用、配置できるよう、制度の運用の在り方につきまして関係省庁とよく相談してまいりたいと考えております。
三浦信祐君 一尉の力はすごいですよ。防衛大学校の卒業生がまさにお父さん幹部と呼んでいるのが一尉ですよ。なので、その能力を生かさないともったいない。なので、御相談いただけるということなので、結果を楽しみにしております。是非、後押ししますので、頑張ってください。
 防衛省として、退職自衛官の地方公共団体防災部局登用について、より採用への後押しをすべきだと考えますが、いかがでしょうか。防災のプロフェッショナルとして防災管理官等に登用いただき、国民の生命と財産を守ることは多大な貢献だと思います。岸大臣、是非積極的に取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  退職自衛官が在職時に培いましたその専門的な知識また実務経験等を生かして地方公共団体に再就職することは、自衛隊と地方公共団体との協力関係の構築、また相互の連携強化に寄与するとともに、地方公共団体側にとっても防災を始めとする危機管理能力の向上につながるものと、このように考えております。
 このため、退職予定の幹部自衛官に対しまして防災・危機管理教育を実施するとともに、防衛大臣名で都道府県知事また市区町村長に対しまして退職自衛官の防災関係部局での活用について依頼するなど、地方公共団体の防災関係部局における退職自衛官の活用を積極的に支援してまいりたいと考えております。
三浦信祐君 是非よろしくお願いします。
 女性自衛官の活躍と推進に関することについて伺います。
 令和三年度概算要求で、女性自衛官の採用を拡大し活躍を推進するために関連経費を確保していると承知をしております。ハード整備のみならず、メンター養成研修等のソフト面も考慮をされております。一方で、女性の方が現職自衛官となって以降、体調管理やメンタルヘルスケア、メンタルケアのためには、女性医官の充実も欠かすことはできないと私は考えております。
 退職自衛官の方の力をお借りすることも含めて、女性医官の体制整備、拡充、岸大臣、是非しっかり取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  優秀な人材を将来にわたり安定的に確保していく、そして自衛隊に求められる多様な活動を適時適切に行っていくため、女性自衛官の採用拡大及び活躍の推進は極めて重要であります。令和三年度の概算要求においても所要の関連経費として約五十億円の計上をしております。
 議員が御指摘のとおり、女性医官の充実は、自衛官の体調管理、メンタルケアの観点からも欠かせないものである、そういうことだけではなくて、自衛隊の活動の円滑な推進に寄与するものであることから、その存在意義は大変大きいものと考えております。
 現在、自衛隊医官全体における女性医官の割合は二割を超えるものとなっております。近年、防衛医科大学校卒業生のうち、女性の割合は三割程度で推移をしております。今後も女性医官の割合は徐々に増加していくと思われます。
 引き続き、医官の早期離職防止に努めるとともに、退職医官の活用も含めた検討に取り組んで、一層の充実向上を、充足向上を図り、自衛隊衛生における女性医官の充実を推進してまいりたいと考えております。
三浦信祐君 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。