外交防衛委員会(2021年4月22日)

RCEP協定の締結の意義と今後の展望について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 二〇一二年から始まったRCEP協定について、粘り強く交渉し、合意に導かれ、署名を終えて各国の承認プロセスになっていること、まずは関係各位の御尽力に感謝と敬意を表したいと思います。
 日本は、RCEP協定の締結が果たすことができれば、TPP11、日EU・EPA、日英EPAとともに、近年推進をしてまいりました大型経済連携協定、大型自由貿易協定が完結をいたします。RCEP協定を結ぶことの意義、そして協定の締結と発効により期待できる日本への経済効果、アドバンテージについて伺いたいと思います。
 加えて、初めての日中FTA、日韓FTAを結ぶこととなります。これは画期的な前進だとも考えます。今回の締結に伴う効果をどう考えるべきか、茂木大臣に伺います。
国務大臣(茂木敏充君)  RCEP、これまで日本が進めてまいりましたTPP11以来の自由貿易の推進、そしてまた共通ルールに基づく経済圏の確立、ゴールでありませんけれど、更に前進させる大きな一歩になっていると考えております。
 RCEP協定、ASEAN十か国、日本、中国、韓国、豪州、ニュージーランド、十五か国が参加をしまして、物品、サービスの市場アクセス、これの改善を図ると同時に、知的財産、電子商取引等、恐らくASEANの一部の国で余りなじみのない、こういったものについても幅広い分野で新たなルールを構築をし、地域の貿易投資を促進することなどを目的とした経済連携協定でありまして、このRCEP参加十五か国のGDPの合計、これ残念ながらインドが今の段階で入れていないんですが、十五か国でも、GDPの合計であったり、参加国の貿易総額、さらには人口と、これは世界全体の約三割を占めるわけでありまして、RCEP参加国と我が国の貿易額、我が国の貿易総額の五割弱を占める。
 特に、御指摘のように、中国、韓国とは初めての、マルチの場ではありますけれど、こういった協定になるということでありまして、このRCEP協定によりまして、中国、韓国については、我が国からの工業製品の輸出品目に占める無税品目の割合が最終的には、中国がこれまでの八%から八六%に、そして韓国は一九%から九二%に大幅上昇するほか、農林水産物・食品についても我が国の関心、輸出関心品目について関税撤廃を獲得したところであります。
 さらに、先ほども若干申し上げましたが、知的財産、電子商取引、投資等の分野について、WTO規定には、WTOの規定にはないルールも設定をしたところでありまして、まさに、このインド太平洋と、大きな地域の中で成長センターであるこの十五か国と、ここにおきまして新しいルール、これを作りましたことは、我が国、またこの地域の全体的な発展にもつながっていくと思いますし、こういった自由で公正な経済圏の拡大と、これに向けて引き続き日本としてリーダーシップを発揮していきたいと、こんなふうに考えております。
三浦信祐君 包括的にお話をいただきまして、ありがとうございます。
 RCEP協定を日本が早期に承認することによって得られるメリット、効果はどのように捉えられているのでしょうか。先般、四月の九日、衆議院の外交委員会にて茂木大臣は、先に批准した国が一つの協定ではリーダーシップを取れると御答弁されていることを踏まえ、日本のリーダーシップとは何を指しておられるのでしょうか。
 コロナ禍でもあることも相まって世界では保護的主義が強まっている中、日本は自由貿易の旗手として、米国も中国も参加をしていない、加盟をしていないメガFTAをつくり上げ、運用をしております。であればこそ、私は、日本こそが、RCEPの今後のルールのアップデートであったりレベルをTPPまで引き上げることを目指すなど、内容の充実、クオリティーを上げることができる責任を負っていると私は思っております。
 経験を生かして役割を果たすということも含めまして、茂木大臣、御見解はいかがでしょうか。
国務大臣(茂木敏充君)  例えばTPPで申し上げますと、二〇一八年でしたか、十一月のあのダナン、相当もめた閣僚会合におきまして、恐らく、三日間相当な議論をして、若干途中で混乱もあったんですが、最終的には閣僚間で大筋合意と。まさに日本がベトナム、開催国と同時に共同議長を務めた中でこの大筋合意に至ったと。そして、翌年三月ですね、チリのサンティアゴで発効ということになったわけでありますけど。
 その発効に至るというか合意に至るプロセスにおいても、どの国から見ても、日本がリーダーシップ、そしてまた調整の中心になってきた。同時に、このTPPでいいますと、国内での手続、メキシコが一番でありましたけど、その次に日本が行うということになりまして、そこからシンガポールやオーストラリア、ニュージーランドが続くと。ベトナムが来ると思ったら、そこにカナダが先に入って、カナダが六番目ということになったんですけれど、ベトナムも含めて七か国が連続でと。そういった中で、やはり先に国内手続を終えて、ほかの国に対してももう早くやってほしいと、こういったことを働きかけるというのは極めて重要だと思っておりまして、それがその後の様々な、TPP委員会においても日本が議長国、今年も務めることになっておりますけれど、そういう立場にもつながってくると考えております。
 恐らく、RCEPについてもそうでありますけれど、日本が国内手続できていないのにほかの国に早くやれと、こういうわけには世の中っていかないわけでありますから、やっぱり先にこういったものを、自分のところは国内手続終わりましたよと、ほかの国にも働きかけをすると、また、何か困っていることがあったら、国内手続でですね、いろんなことで相談乗りますよと、こういったことをやることによって、じゃ、いざ発効したということになりますと、その運用上の問題でいろんな議論というのは必要だと思います。そのときもやっぱり中心的な役割を果たすと。
 また、何かの形で紛争が起こってくると、この解決においてもまた中心的な役割を果たすと。こういった意味で、合意に至るプロセスにおいても、また国内の手続においても、そしてまたこの発効後においても、リーダーシップをその局面局面で取っていくということがこういったマルチの経済連携協定で極めて重要だと、こんなふうに考えております。
三浦信祐君 RCEP協定の発効に取り組むということは、日本が持つあらゆるポテンシャルを生かす、更に引き上げること、国際競争力の向上と経済活動の機会増加に極めて効果があるというふうに思います。RCEPを通したASEAN諸国、中国、韓国との関係は、地政学的にも地域の平和と安定のためにも重要であります。また、ハイレベルな国際ルールをずっと維持し運用してきた日本にとっても、その効果というのはしっかり及んでいくものだと今の御答弁からも当然推察ができます。
 一方で、中国、韓国、それぞれ日本との間に外交上、外交儀礼上、国際法上解決していかなければいけない、あるいは先方が対応すべき事案など、多くの課題が存在をしていると私は認識をしております。安全保障上の課題と経済連携との関係について政府としてどう整理をされているのか、また、いわゆる政冷経熱の関係がもたらす効果についてどう分析をされているのでしょうか。茂木大臣に伺います。
政府参考人(四方敬之君)  お答え申し上げます。
 世界で保護主義や内向き志向が強まる中、先ほど茂木大臣からも御説明あったとおり、日本はTPP11以来、日EU・EPA、日米貿易協定、日英EPA、RCEP協定など、自由貿易の旗振り役としてリーダーシップを発揮してまいりました。我が国としては、まずはRCEP協定の早期発効を実現させた上で、こうしたルールを含む協定の履行確保にもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 その上で、仮に締約国が協定の規定と相入れない措置をとる場合には、RCEP協定上に規定された協議メカニズムや紛争解決手続を活用して適切に対応していくと同時に、必要に応じて外交ルート等を通じて対処することも検討をしたいと考えております。
 委員御指摘の中国及び韓国との関係でございますけれども、様々な懸案が存在していますけれども、我が国としては、安全保障のみならず経済の課題も含め、主張すべきはしっかりと主張して、具体的な行動を強く求めていくことで懸案を一つ一つ解決していくとの方針に全く変わりはございません。
 その上で、懸案を抱えているからといって経済分野も含め相手との間で何もやらないということではなく、経済連携など必要な協力は進めつつ、一方で、譲れないものはしっかりと主張し、場合によっては対峙していくという姿勢が必要であると考えております。
 いずれにしましても、我が国としましては、RCEP協定の下で、TPP11にも参加している豪州及びニュージーランドとも緊密に連携しながら、RCEP協定を通じて地域における経済秩序の形成に主導的役割を果たしてまいりたいと考えております。
国務大臣(茂木敏充君)  今、三浦委員の方から政冷経熱と、大きく言うとそういう部分もあるんですけど、例えば、今後、政治考えますと、今日も気候サミット予定をされているところでありまして、この国際的な課題についてはやはり各国の協調というのは必要になってくると思っております。特に、CO2一番出しているのは中国でありますから、この取組を進めていくということは必要でありまして、決して全ての分野について対峙をするわけではない。ただやはり、力による一方的な現状変更の試み、こういったものに対してはしっかりと声を上げていかなくちゃいけないと思っております。
 一方で、経済の分野、これを見てみましても、確かに経済関係は深いにしましても、これからは経済安全保障と、こういう観点も取り入れていかなきゃならない。どう、このコロナ禍で浮き彫りになったように、サプライチェーンの脆弱性、これを強化して、強靱化し、多元化していくかと、こういう課題もあるわけでありまして、レアアースを含め、また半導体もそうでありますし、医薬品も、こういったものをしっかりと確保していく、こういう観点がやっぱり必要になってくると思っておりまして、特定の国に、幾ら経済的な交流があるにしても、依存をするということに対する危険性というのは排除していかなきゃならない。
 さらに、例えば気候の問題とか様々な経済の問題でメリットがあると。それにしても、そこで協調が引き出せるから、法の支配であったりとか人権であったりとか民主主義、こういう基本的な価値観で譲ることがあってはいけない。経済で協力するから、いや、こういう価値観では少し譲っていいかな、こういう姿勢は取らないということが日米間、また多くの同盟国、同志間の間の共通の認識であると、こんなふうに考えております。

RCEP協定投資ルールの強化について

三浦信祐君 今、米中対立等々もある中で、日本の立ち位置、極めて重要であります。そういうバランス感覚を持って外交をやるということは重要だと思いますし、大臣の認識もよく分かりましたので、しっかり支えていきたいと思います。
 RCEP協定のルールについてこれ以降質問させていただきます。
 協定のルールに、技術移転を要求することをルール上禁止していることは評価できます。近年、表立って技術移転を正面から要求する取引はなくなっているとは思います。しかし、現実の商取引の中では、契約内容の中に紛れ込ませる、あるいは解釈によって求めることができるような内容が盛り込まれるリスクは排除をされておりません。
 技術移転要求の禁止ルール遵守をどう担保するのでしょうか。従前の商慣行、慣例上の取引においてルールの解釈が異なる、あるいは解釈の違いをどう整理されていくのか。また、万が一ルール違反が生じた場合の対処方法はきちんと整備をされているのでしょうか。多くの日本企業の商機を損なうことがないよう、政府は明確に答弁をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
政府参考人(四方敬之君)  RCEP協定では、委員御指摘のとおり、投資受入れ国がほかの締約国の投資家に対し投資の阻害要因となり得る措置の履行を要求、強制してはならないこと、いわゆる特定措置の履行要求の禁止を定めておりまして、特に、WTO協定には盛り込まれていないルールとして、技術移転要求の禁止、すなわち特定の技術、製造工程、そのほかの財産的価値を有する知識を移転することを要求、強制してはならないことを規定しております。締約国には協定上の義務を誠実に履行する義務が生ずることとなりまして、法令はもちろんのこと、明文化されていない例えば行政指導や商慣行等につきましても、協定上のルールに反するものは協定に整合的な形で改めることが求められます。
 その上で、仮に締約国が協定の規定と相入れない措置をとる場合や協定解釈自体に争いがある場合には、RCEP協定上に規定された協議メカニズムや紛争解決手続を活用することや、必要に応じ外交ルートを通じて対処することも検討するなど、協定の履行確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

RCEP協定知的財産ルールについて

三浦信祐君 次に、ルール分野の知的財産の項目において、悪意による商標の出願拒絶、登録を取り消す権限を当局に付与する義務が規定をされております。その中で、当局に付与する義務への対応として、各国国内法の規定と相関関係は整理をされているのでしょうか。また、これらについての相談体制はどのようになっているのでしょうか。日本企業を始めデザイナーやクリエーターが不利益を被らない体制が整っているのか、伺います。
政府参考人(西垣淳子君)  お答え申し上げます。
 議員御指摘の規定を含めまして、条約の規定をどの法律のどの条文で担保するかは、一般論としまして各国の判断に委ねられているものと承知しております。
 経済産業省、特許庁といたしましては、日本企業等の知的財産が適切に保護されるよう、RCEP協定発効後、締約国における関連制度の整備状況及びその運用等を注視してまいります。なお、仮に締約国の制度整備状況や運用が協定の規定と相入れない場合には、必要に応じて関係省庁と連携して対応してまいりたいと考えております。
 また、RCEP参加国に進出しようとする中小企業の事業者等につきましては、事業を展開したいと考える国への早期の商標出願の重要性及びその具体的な方法を周知するためのセミナー等による普及啓発活動、また全国の都道府県に設置されております知財総合支援窓口や、各進出先国に設置されておりますジェトロの海外事務所による個別の相談対応、さらに各国での知的財産を保護するための方法などをまとめたマニュアルにつきましては特許庁のホームページを通じた提供といった取組を行っております。
 また、議員御指摘の、デザイナーやクリエーターを始めとして、海外で活躍する日本企業のブランド名が無関係な第三者によって登録されているといった事態は、現地での日本企業等のビジネスに支障を来す重大な問題と認識しております。特許庁では、こうした問題に対しましても、相談対応等の取組に加え、既に第三者に登録されてしまった商標につきまして、その取消し、無効手続までの際の費用の補助も行っております。
 こうした支援策についてしっかりと普及していくことを通じて、中小企業等を始めとする海外で活躍する日本企業に対する支援をしっかりとやってまいりたいと思っております。

日米首脳会談における共有項目とRCEPとの関係性

三浦信祐君 是非しっかりと対応していただきたいと思います。
 防衛大臣にも来ていただいていますので、少し質問を飛ばさせていただきます。
 茂木大臣に伺いたいと思います。
 先般の日米首脳会談における共有項目とRCEPとの関係性について二点伺います。
 日米首脳共同声明において、新たな時代における同盟の項目の中で、日米両国は、二国間、あるいはG7やWTOにおいて、知的財産権の侵害、強制技術移転、過剰生産能力問題、貿易歪曲的な産業補助金の利用を含む、非市場的及びその他の不公平な貿易慣行に対処するため引き続き協力をしていくとあります。ここは大変重要なコミットメントだというふうに私は思っております。
 すなわち、これは、米国がバイによる交渉を重視し、時に制裁を掛けるとしてきたこれまでの方針から、マルチによる協議をすること、G7を基軸として国際機関の下で物事を進めると宣言したとも言っても過言ではないかなというふうに思いますけれども、これは通告していませんけれども、茂木大臣に解釈を求めたいというふうに思います。
 また、日米両国は志を同じくするパートナーと連携しつつ、インド太平洋地域における繁栄を達成し、経済秩序を維持することに対するコミットメントを再確認することも記載をしております。
 これらについて、今般のRCEPとの関係について、また、達成すべきレベルとの関係についてどのように整理をされているのか、二点伺いたいと思います。
国務大臣(茂木敏充君)  突然の質問でありますけど、バイデン政権誕生しまして、三浦委員御指摘のように、今までトランプ政権、様々な、通商、経済の問題についても、米国の利益と、こういったものに基づいてバイで物事を解決していくと、こういう立場から、バイデン政権になりまして、やはり考え方を共有する国々、これが結束をして様々な市場歪曲的な措置についても是正を求めていくという立場であります。
 そこの中で、恐らくG7、この枠組みというのは極めて重要になってくると思っておりまして、今年のG7の一つのテーマ、これはG7の結束ということで、これは様々な国際課題、これは経済も含めて取り組んでいくということになります。
 もちろん、こういった問題であったりとか、例えば途上国地位の問題もそうであります。さらには、データの流通の問題、そして上級委員会の機能の回復、こういったことはWTOの場でも当然議論していきますけれど、ある程度やっぱりG7で考え方を一致をさせて方向性を示しながら、また各国とも共有をしていくということが必要だと思っておりまして、その後者の部分といいますか、各国との共有を図っていくという中で、RCEPの参加国でありますオーストラリア、ニュージーランド、さらにはASEAN諸国との意識の共有と、こういったものも必要になってくると思っております。
 もちろん、このRCEPの場合、後発開発途上国というのも含むわけでありまして、完全に、何というか、同じルールを全て最初の段階から実行できるかといいますと、そうでない部分というのはあると思いますけど、目標としてこういうことをすると、また最低限ここからスタートできると、こういったものもつくれていくのではないかなと、そんなふうに思っております。
 立ったついでで、先ほどの悪意による商標の登録の関係でありますけれど、なかなか性格上これを網羅的にどれだけあるんだというのを把握するのは難しいんですけれど、恐らくこれは、このRCEPの中でも日本にとって、また日本企業にとって極めて重要な問題ではないかな、企業、それからまた日本の各地域にとっても、そのブランドというものを大切にしていく上からも。
 少し今後のことになっていきますけど、どういう事例があるのかというのをしっかりと把握をした上で、何らかの形で、こういう、Aパターン、Bパターン、Cパターンといいますか、こういうケースに対する対応、これをどうしていくかということも今後検討課題として私は考えていったらいいんじゃないかなと、こんなふうに思っています。

地域防災マネージャーへの自衛官OBの階級対象拡大について

三浦信祐君 今、大臣、大事なことをおっしゃっていただきました。そこまでステップをちゃんと取っておかないと、手前で止まってしまう可能性があったり、そのまま受け身になる可能性があると思いますので、是非、リーダーシップを発揮していただいて、具体化していただきたいというふうに思います。
 一つ飛ばさせていただきます。
 防衛大臣に伺います。
 昨年十二月の本委員会での質疑におきまして、地域防災マネージャーに退職自衛官の採用対象者の拡充、特に階級拡充をお願いをさせていただきました。御検討、御対応いただいたと思いますけど、結果について、岸大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  退職自衛官が在職時に培いました専門的な知識、また実務経験を生かして地方の公共団体に再就職することは、自衛隊と地方公共団体との協力関係の構築や相互理解、連携の強化に寄与するものだと思います。また、地方公共団体側にとっても防災を始めとする危機管理能力の向上につながると考えております。
 御指摘の地域防災マネージャー制度について、従来は、三佐以上又は原則として三佐をもって充てられるポストにおける経験を有する一尉と、このことが地域防災マネージャーとしての要件とされていたところでございます。
 今般、その制度の一層の充実を図るために、地域防災マネージャーの要件の拡充について調整を、各省庁と調整を行ってまいりました。その結果、要件については、一尉以上又は原則として一尉をもって充てられるポストにおける経験を有する二尉に拡大することとなりました。本年の四月から適用されているところでございます。
 今後とも、防衛省・自衛隊として、地方公共団体の防災関係部局における退職自衛官の活用に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

将官以上の自衛官OBについて

三浦信祐君 内閣府とよく協議をしていただいて拡充をしていただいたこと、これから本当に運用していただきたいと思いますので、是非、大臣、前回に御質問をさせていただいた際にお答えいただいたように、地方公共団体に大臣名として全部通知をしていると、これを今度実効性を高めるために、更により強力に議論していくということを是非お願いをしていただきたい、お願いしたいというふうに思います。
 退職自衛官の活用について伺います。
 特に、将若しくは将官で退職をされる方への対応が重要であると私は考えております。セキュリティーが高く、意識も高い中で培った経験を手放すのは、今後の安全保障政策や経済安全保障を考える上での損失だと私は思います。
 米国は、退職後、退役後、DOD傘下での仕事に就いていただくなど、体制が整っております。日本も、多面的に検討を重ね、いい意味で、退官をした将官の方を取り込んでおく体制を検討していただきたいというふうに思います。
 教育現場での活用、最前線ではなく、例えば北極研究であったり、航空機整備、艦艇整備、後方支援業務等に力を貸していただく場面も想定をできます。今後、経済安全保障体制強化の際にも力を発揮していただけるのではないかということが期待をされます。
 一方で、一佐までは援護体制があるゆえに、将補以上になると支援がないゆえ、人事管理上の課題も生じるリスクが今現実にあります。岸大臣、是非御検討、御対応いただけないでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  まさに防衛力の中核は人、自衛隊員であります。自衛隊員の人材確保と能力の士気向上は防衛力の強化に不可欠である、このような考え方に基づいて、現在、防衛省においては人的基盤の強化に資する様々な施策に取り組んでいるところでございます。その一環として、高度な知識、技能、経験等を踏まえた、備えた退職自衛官の活用といった人材活用についても一層の推進を図る必要があると考えております。
 退職した将官についても、退職自衛官の中でも高度な経験を備えた人材であります。防衛省としては、これまでも、例えば省内に設置をいたしました有識者会議の委員などの形で退職した将官の活用を行ってきたところでございます。将官としての経験、勤務経験も含めた貴重な意見をその後の政策決定に反映させてきたところでございます。
 今後、将官を含む退職自衛官の更なる活用の在り方については、他国の事例の研究も含めて必要な検討を行い、一層の人材活用に、また人材の基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。

経済安全保障の推進について

三浦信祐君 この件については引き続き議論させていただきたいと思います。
 最後に、防衛省における経済安全保障の捉え方について伺います。
 我が国は、民間企業、大手、中小企業を問わず持ち得ている技術情報、中でも先端技術、エマージング技術となり得る内容、機微情報を掌握する機関が存在をしていないというのが実態であります。ようやくNSSに経済班が設置をされたばかりでありまして、一日でも早く体制構築を図る必要があると私は考えております。
 先般の日米首脳会談においても、経済安全保障の視点で多くの議論と共同声明に取組が反映をされております。私は、産業分野においての情報掌握体制なくして防衛技術を守ること、国際連携を図ることは極めて困難となるとの認識であります。
 防衛省として、現状をどう捉えているのでしょうか。政府が一丸となり、防衛省は経産省とも連携を強固にして技術掌握体制を強化すべきであると強く訴えたいと思いますけれども、岸大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  防衛大綱にも示されているとおり、軍事技術の進展を背景に戦闘様相が大きく変化をする中で、我が国の優れた科学技術を生かして、政府全体として防衛装備につながる技術基盤を強化することがこれまで以上に重要であるところでございます。
 新たな領域に関する技術、人工知能等のゲームチェンジャーとなり得る最先端技術を始めとする重要技術に対して選択と集中による重点的な投資を行うためには、委員御指摘のとおり、これまでの技術に関する情報を適切に調査分析することが必要であります。
 防衛省では、このための取組をこれまでも実施をしてきておるところでございます。例えば、防衛装備庁の技術戦略部において、先端技術や機微な技術に関する情報を含めて国内外の技術動向を把握し、中長期技術見積り等に反映しているところでございます。さらに、この取組を進めるために、国内外の先端技術動向についての調査分析を行うシンクタンクの活用や創設等を行うということにしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、防衛省としては、革新的、萌芽的な技術の早期発見や、発掘や、委員御指摘の技術の掌握に向けて自らも体制を整えるとともに、関係省庁とも連携をしつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えます。
三浦信祐君 以上、終わります。ありがとうございました。