外交防衛委員会(2021年6月1日)

JICA海外協力隊の支援について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 JICA海外協力隊への支援について質問いたします。
 JICA海外協力隊は、開発途上国の国づくりに貢献することで、日本の理解と友好関係、平和構築に多大な実益をもたらす、日本外交に重要な役割を担っていただいております。JICA海外協力隊への支援は今後ますます欠かせません。世界でコロナ感染の収束が見通せない中、待機の長期化や派遣見送り等の影響が顕在化しています。国際貢献の最前線で活躍することを目指して国内で研修に取り組んでいる協力隊員への支援をきめ細かく行うべきであると考えております。
 一方で、感染抑制がなされている国への派遣について今後どのような対応をするのか伺いたいと思います。また、今回、この危機によって協力隊員を希望する方が減少することは、即外交力低下にも直結をします。今後の方針について伺います。また、今後、世界中の厳しい環境へ派遣となる隊員の皆様にはコロナワクチンの接種も対応していただきたいということをお願いをさせていただきます。いかがでしょうか。
政府参考人(高杉優弘君)  お答え申し上げます。
 海外協力隊員につきましては高い志を持って日本の開発協力の第一線で活動をいただいておりますので、隊員の方々への支援を行うこと、これは政府としての責務だというふうに考えております。現在、新型コロナの影響によって待機を余儀なくされている隊員の方、数多くいらっしゃいますが、待機手当という制度ございます。こちらは、従来、支給期間は待機を開始して百二十日間ということになっておりましたけれども、現下の状況に鑑み、再派遣、派遣の時期までこれを延長して支給することといたしました。
 それ以外にも、再派遣、派遣を断念せざるを得ない隊員の方、こういった方々もいらっしゃいますけれども、本来任期を満了した隊員の方に支給する、将来キャリア形成を支援するための教育訓練手当、こういったものもございますけれども、これを再派遣、派遣を断念せざるを得ない隊員の方々に対しても支給対象とすると、そういった措置を講じているところでございます。
 今後でございますけれども、現在一時帰国中の隊員、それから派遣直前で派遣見送りになった隊員でございますけれども、新型コロナの感染状況、それから現地での医療ケアが十分に受けられる、そういったことを個別に国それから任地ごとに確認をしながら、昨年の十一月から、部分的ではございますけれども、派遣を再開したところでございます。
 派遣再開以降、先週金曜日までの間に百二十一名の隊員の方々が派遣されております。派遣再開国は二十一か国ということでございます。それから、合格した後、派遣直前で派遣が見送りになった、訓練が見送りになった隊員の方々ございますけれども、現在、九十九名の方々が四月から派遣前訓練を再開しているところでございます。彼らにつきましては今年の夏に派遣するということを考えております。
 今後とも、現地の状況等を個別に確認しながら隊員の再派遣、派遣を進めていきたいというふうに考えております。
 委員からワクチンの接種について御指摘ございましたけれども、こちらにつきましても何ができるか検討してまいりたいと思います。
 それから、今後、次の募集なんですが、現在、今月の、二十日から六月三十日にかけまして今年度春の募集を行っているところでございます。ここで合格した方々につきましては二〇二二年度以降に派遣する予定でございます。彼らが安心して応募できるように、派遣する隊員の方々の安全、それから健康管理について万全の体制を取るとともに、帰国隊員の方々のキャリア支援、こちらについても充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
三浦信祐君 昨年の五月、コロナ禍で影響を受けた海外協力隊員への待機手当の拡充と対象拡大について公明党の外交部会としても申入れをさせていただくとともに、私も決算委員会で茂木大臣に質問させていただいて、御答弁、御対応いただけました。二次補正予算による協力隊への支援拡充にもつながりまして、現場の隊員の皆様へ支援が届き、喜びの声もたくさんいただきました。
 今後とも、JICA海外協力隊をしっかりと支えていっていただきたいと思いますけれども、茂木大臣の決意を伺いたいと思います。
国務大臣(茂木敏充君)  まず、三浦委員には、本当に海外で大変な環境の中で頑張っているJICA青年協力隊の問題、様々な場面で取り上げていただいておりますこと、感謝を申し上げる次第であります。
 JICA海外青年協力隊、途上国の人々とともに生活をして、国際貢献であったりとか途上国の支援、高い志、さらには専門知識を持って、異なる文化、習慣に溶け込みながら草の根レベルで途上国の抱える課題の解決に貢献する、言わば草の根の外交官でもあります。
 様々な分野で活躍をしておりまして、例えば今年の募集要項を見ましても、伝統的に自動車整備というのが多いんですよね、やっぱり日本の自動車とか海外に出ておりますので。さらには、電気、電子の分野もありますし、最近では環境教育が増えております。さらには、医師であったり看護師、そして防災とか都市計画の関連、さらには農業分野もいろんな農業、また水産、こういったところにも出ていまして、見てみますとキノコ栽培なんていうのもあるんですね。
 実は、キノコ栽培というのも、戦後最大の何というか養殖というのは、一つがサケなんですね、今チリでもつくっていますけど。その次に真珠なんですね。三つ目がシイタケなんですよ。真珠は、元々アブダビの辺りで天然真珠を取っていたんですけれど、御木本さんが養殖真珠というのをつくって、アブダビは一時それで大変だったんですけど、真珠を取っているところから石油が、海底油田が出るようになって、より豊かになってしまうということなんですけれど。
 キノコ養殖も結構大変で、なかなか木の切り株に菌がくっつかないんですね。そこに木のおがくずを入れることによって初めてシイタケの養殖ができるというような形でありまして、まさにこれも日本の技術だと思っておりまして、こういった様々な物づくりであったりとか農業、こういった分野での活動というのも途上国に広げていければと思っております。
 実は、こういった活動は海外でも高く評価されておりまして、第一号の青年海外協力隊を送ったのはラオスでありますけれど、ラオスでは、二〇〇二年以降、毎年のように首相が隊員の表敬を受けて、隊員に対する感謝と激励の言葉を直接いただいているところでありまして、なかなか今コロナ禍ということで厳しい環境にありますが、そういう中にあっても高い志を持った若手の皆さんが、これからも海外で活躍したい、日本のために、またその途上国との懸け橋になって頑張りたい、こういう思いを外務省としても最大限支援をしていきたいと、こんなふうに考えております。

LAWS規制会議とLAWS規制が将来の兵器開発に及ぼす影響について

三浦信祐君 まさに平和の使者でありますので、大臣の今の支援、是非今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、致死型完全自律兵器システム、LAWSについて質問いたします。
 LAWSの規制に関する議論について、特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWの政府専門家会合、GGEで行われてまいりました。コロナ禍により会合が数次にわたって延期をされてまいりましたけれども、今月、六月二十八日からCCW、GGEの開催が予定されていると承知をしております。若干流動的かもしれません。会合が延期されているまさにこの間も、AI技術の進展に伴うAI兵器の開発は確実に進んでいるものと予測ができます。一定の人間の関与を確たるものにする必要があります。
 今回のCCW、GGEに向けての日本の姿勢について伺います。その上で、LAWSにおけるルール形成の議論をリードすべく日本は取り組んでいただきたいと思いますけれども、茂木大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(茂木敏充君)  LAWSに関しましては、かなりこれは倫理的な問題から始まって専門知識等々も必要ということでありまして、GGEにおきまして議論を深めるということでありましたが、去年十一月はコロナの関係で残念ながらこの会合は持てなかった。これが御指摘のように六月、さらには八月、九月と会合が予定されておりまして、全部対面でできるか、オンライン使わなけりゃならないかと、こういったことも含めてよく協議をしていきたいと思っておりますが、この問題については、米中ロ、こういう主要国を含めて国際社会でまず共通の認識、こういったものを確立していくことが極めて重要なんではないかなと思っておりまして、安全保障の観点であったりとか、そういったものを含めて、こういった共通のルール作りを始め、我が国として議論をリードしていきたいと、こんなふうに考えております。
三浦信祐君 公明党の基本的立場として、LAWSが現実のものとなり、実戦配備、拡散される事態となれば、銃の発明、核兵器の開発に続く戦争における第三の革命になることは明白であり、国際人道法や倫理上の観点から到底看過できないものだというふうな立場であります。
 一方で、定義、人間の関与の在り方等、国際的合意形成の難しさも現実的に立ちはだかります。大臣おっしゃっていただいたとおりだと思います。丁寧な議論の積み重ね、協議からの離脱をする国家が出ないようにする取組も欠かせません。そのような環境である中、二〇一九年のCCW、GGEで合意されている十一項目の指針と、世界の兵器の研究開発動向と完成品の整合性について早急に議論をしなければなりません。
 人間の管理の実現を軸とすることが重要でありますけれども、現在、基準についての議論において、特に主要な論点における世界各国の主義主張の違いはどの点でしょうか、また、合意点を見出すために必要な日本の主張は何でしょうか、外務省に伺います。
政府参考人(本清耕造君)  お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、LAWSに関する議論におきましては、その定義や人間の関与の在り方の論点について、各国の立場に大きな隔たりがあるのが現状でございます。特に人間の関与の在り方につきましては、その態様や必要とされる程度をめぐって各国で意見の相違がございます。例えば、兵器システムのライフサイクルにおいて人間の関与が常時直接的に必要であるという意見がある一方で、そういった常時直接的な関与は必要ではなくて、開発とか計画、設計上の安全の確保などを含めて人間の関与が一定程度確保、考慮されればよいという意見もあるのも事実でございます。
 委員御指摘のとおり、我が国としましては、人道と安全保障の双方の観点を勘案したバランスの取れた議論をしていくことが、国際社会において共通の認識を得る上で重要と考えております。
三浦信祐君 完全自律の致死型というのは、これは駄目だと思います。一方で、AIを活用して省人化に対応する自律型というのは極めて重要であります。その境目というのをどう見抜いていくかというのが、日本における重要な人材育成のポイントだというふうにも思います。また、その視点を持ち合わせて、世界の中で議論をリードするということは、LAWSをどう使わないかということをきちっと決めている日本において、まさにイニシアチブを取る必要性が私はあるというふうに思っております。
 茂木大臣もしっかりと取り組んでいただけると思いますし、また、日本がそこでまとまっていかないと、離れる国があっては絶対いけないことだと思いますので、是非、日本としてのプレゼンスを発揮していただいて、合意形成をこれまで経済分野においてもやっていただいておりますので、日本が主導していただけるように心からお願いをさせていただいて、質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。