外交防衛委員会(2021年5月18日)

日EU航空安全協定について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 日EU航空安全協定について伺います。
 今回、日EU航空協定を締結することで、民間航空製品について、これまで重複していた検査を省略可能となると承知をしております。これまで米国、ブラジル、カナダ等とは既に協定を結んでいる中で、他に比べて協定合意まで時間が掛かった経緯と、どのような理由だったかを伺いたいと思います。
 また、加えて、EUにて組み上がるエアバス機について、現在、日本国内でも導入され、活用されている一方で、英国製のロールスロイスエンジンはエアバス機外でも多用されております。EUから離脱したイギリスとの関係も、航空製品分野では重要なパートナー国であり、英国との関係についての現状はどうなっているか、伺いたいと思います。
政府参考人(宇山秀樹君)  お答え申し上げます。
 EUとは二〇一一年に航空当局間の取決めが作成されておりまして、しかし、この取決めは主に欧州から日本に民間航空製品を輸出する際に検査等の重複を取り除くものでございまして、日本から欧州への輸出に際しましては検査等の部分的な省略のみ規定されておりましたので、日本の製造者等にとりましては検査等の重複が負担になってきたという事情がございます。
 そうした状況を踏まえまして、日EU間の民間航空製品の輸出入に際しまして、バランスの取れた形で検査等の重複を取り除くために、二〇一六年五月、日EU首脳会談におきまして航空安全協定の交渉の開始について一致いたしまして、七回の正式交渉を経て、二〇一九年七月に実質合意しまして、二〇二〇年六月にブリュッセルにおいて署名が行われたと、こういった経緯がございました。
 それから、御指摘の英国との間におきましては、同様の内容の航空当局間取決め、これを既に作成しておりまして、英国のEU離脱と二〇二〇年末の移行期間終了に伴いまして、今年の一月から運用を開始しているところでございます。

日印ACSAについて

三浦信祐君 しっかりと、日本のために更にこの協定を活用していきたいというふうに思います。
 次に、日印ACSAについて伺います。
 日本は既に、G7の大半の国となるアメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダ、フランスの五か国とACSAを締結し、結束ある安全保障及び人道的な国際救援活動、大規模災害への対処について運用深化が図られております。
 これまで運用によってもたらされた効果と、もしあるならば課題について、岸防衛大臣に伺いたいと思います。
国務大臣(岸信夫君)  ACSAは、締約国それぞれの国内法規、法令の規定に基づいて実施されます物品、役務の提供に際して、その実施に必要となる決済手続等の枠組みを定めるものでございます。ACSAの締結及び関連規定整備によって、無償での物品の貸付け等が可能となり、手続もより簡素化されます。
 我が国はこれまで、米国、オーストラリア、イギリス、カナダ、フランスの五か国とACSAを締結しておりますが、自衛隊と相手国軍隊が共同訓練を実施する場合に加えて、災害派遣、国際緊急援助活動等に従事している際においてもACSAを活用し、燃料や食料の相互提供のほか、宿泊、輸送、修理、整備などの分野における協力が行われてきておるところでございます。これまでACSAに基づく物品、役務の提供に関して特段の課題があったとは考えておりません。
 このように、ACSAを活用し、相手国の軍隊との間の物品、役務の提供をより円滑かつ迅速に行うことが可能となったことは、それぞれの締結国との間の防衛協力、交流の更なる進展に大いに寄与できたと考えております。
 防衛省・自衛隊としては、今般御審議いただいている日印ACSAも含めて、ACSAをしっかり活用しつつ、共同訓練といった実践的な防衛協力や交流を一層強化し、自由で開かれたインド太平洋の維持強化を図り、地域と国際社会の平和と安定に引き続き積極的に貢献してまいる所存であります。
三浦信祐君 インドはこれまで、西側諸国と中国、ロシア等の国々とどちらかに偏らないバランス外交を展開してきたと承知をしております。
 一方で、昨今、日米豪印のQUADにモディ首相が出席するなど、FOIPについての理解が進んでいることも推察できます。インド政府は、ACSAについて他国との間でどのような取組を推進してきているのでしょうか。その中で、日本と締結することを決定した背景を伺いたいと思います。
政府参考人(小林賢一君)  お答えをいたします。
 インドは、米国、フランス、豪州との間でいわゆるACSAと同様の文書を作成してきていると承知しております。また、インドは独立以来、非同盟主義の伝統を有し、全方位外交を展開してきております。
 近年、国際秩序の不確実性が高まる中で、例えば、米国や日本に続きまして、豪州とも外務・防衛閣僚会合の開催で一致したことに加えまして、昨年十一月には日印米豪によるマラバールに参加いたしました。さらに、最近の日米豪印首脳会合にモディ首相が参加するなど、我が国を始めとする同志国との連携を強化してきております。
 我が国との間では、自由で開かれたインド太平洋の重要なパートナーとして様々な分野での協力を緊密化させてきておりますが、二〇一八年のモディ首相訪日の際には、二国間の安全保障、それから防衛協力の戦略的深化につながるACSAの交渉開始に一致したところでございます。二〇一九年末には、初の日印外務・防衛閣僚会合を実施し、交渉の大幅な進展を確認いたしまして、昨年の日印ACSA署名に至ったものでございます。
 国際情勢が厳しく変化する中で、日印両国は、日印ACSAを通じた安全保障、防衛協力の深化により二国間関係を更なる高みに押し上げ、両国が自由で開かれたインド太平洋の実現に向けまして一層積極的な役割を果たすことで一致しております。

G7外務・開発大臣会合、日米韓外相会談について

三浦信祐君 ここまで持ってくるのに外務省の本当に多くの方々が関わっていただいたと思います。敬意を表したいと思います。
 茂木大臣に伺います。
 ゴールデンウイーク中、ハードスケジュールで外交を多角的に進められたこと、敬意を表したいと思います。五月三日から五日、ロンドンにて開催されたG7外相・開発大臣会合にて得られた成果について伺いたいと思います。また、今回、我が国として重視し、G7各国と共有した内容とその反応について御答弁をいただきたいと思います。
国務大臣(茂木敏充君)  英国で開催されましたG7の外務・開発大臣会合では、G7の外相、二年ぶりに対面で会うということになったわけでありますが、丸二日間以上にわたりまして率直な意見交換を行いまして、改めて、G7が結束して国際社会をリードしていく決意を確認できました。私自身、基本的価値であったりとか原則を共有するG7の連携の意義、強く実感し、G7が戻ってきたと、こういう思いを持ったところであります。
 一連の議論では、中国、北朝鮮、ミャンマーなどの地域情勢、コロナ、気候変動などの国際社会の重要課題について日本として議論をリードし、存在感を示すことができたと思っておりますし、コミュニケでも、中国、北朝鮮に関するものも含め、力強いメッセージを発出することができたなと思っております。特に、日本が進める自由で開かれたインド太平洋については、私からその実現の重要性に言及した上で、G7各国がインド太平洋地域の要衝に位置しますASEANへの関与、これを強化することが大切であると、ASEANの中心性と一体性、そしてAOIPへの支持、明確に打ち出したいと、このように発言しまして、各国から賛同を得て、その旨コミュニケにも盛り込んだところであります。
 会場のランカスター・ハウス、大臣以外は各国五人しか入れない、また閣僚会合については大臣以外一人しか入れない、非常に感染症対策も万全にしながらという状況でありましたが、非常に打ち解けた、そして率直な意見交換の中でいい成果を上げることができたと考えておりまして、今回の外相会談の議論、成果、これを六月のG7サミットにつなげていきたいと考えております。
三浦信祐君 ちょっと、順番逆にさせていただきます。
 韓国の鄭義溶外交部長官と初めての日韓外相会談が開催をされました。両国間に懸案、課題が存在する中の状況下で開催した意義と我が国が主張したその内容について、またこれに対する韓国側の受け止めについて、大臣直接やっていただきましたので、御答弁願います。
国務大臣(茂木敏充君)  これは五月五日、日米韓の外相会談の後に日韓の外相会談を行ったわけでありますが、鄭義溶韓国外交部長官との間で、北朝鮮対応を始め、地域の安定にとって日韓、日米韓の協力が重要であることを改めて確認するとともに、両国間の懸案を含みます二国間関係について意見交換を行いました。
 私の方からは、慰安婦訴訟判決に関して、日本の一貫した立場に基づいて、改めて韓国側に適切な措置を講ずることを強く求めるとともに、旧朝鮮半島出身労働者問題に関して、現金化は絶対に避けなければならないとして、韓国側が日本にとって受入れ可能な解決策を早期に示すよう改めて強く求めたところであります。さらに、ALPS処理水に関して、今後とも必要な情報提供等継続していく旨述べた上で、最近の韓国政府の対外発信に懸念を表明いたしました。以上に関し、鄭長官の方からは、韓国側の立場に基づく説明がありました。
 二十分という限られた時間でありましたので、それほど、突っ込んだといいますか、細かい詳細まで入った議論ではありませんが、いずれにしても、日韓関係、健全な関係に戻すべく、今後とも外交当局間の意思疎通、継続していくことで一致をしたところでありまして、引き続き日本の一貫した立場に基づいて韓国側に適切な対応、強く求めていきたいと思っております。
三浦信祐君 時間がなくなりましたので、今後また、朝鮮半島の非核化、そして拉致問題の解決、これ何としても実現をしなければいけない、そういう視点におきましては、日米韓外相会談の中でも共有をしていただきたいと思います。是非、茂木大臣、今後具体化が必要であると思いますので、韓国との関係も含めて、本当に外交、大事なシーンでありますので、全力を尽くしていただきたいということをお願いさせていただいて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。