外交防衛委員会(2020年11月19日)

コロナ禍で影響を受けている若者の交流・高校生大使等の支援について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
外交防衛委員会で初めての質問です。先輩の方々に胸を借りる思いで質問をさせていただきます。
コロナ禍によって、将来の日本と世界との外交、世界平和を担う若者の国際交流の機会が失われております。例えば、我が国が核廃絶を世界に訴え、平和国家としての役割を果たす人材育成の機会になっている高校生平和大使も国連等での発表の機会が喪失をしており、参加するインセンティブも失われております。
国際感覚、外交力を持ち合わせた人材を育てていくためには、国際交流機会が欠かすことはできません。コロナ禍で人的交流が途絶えたことがきっかけで人材育成機会が喪失することがないようにすべきであります。長期的視点で国際人材育成を継続するためには、外務省主催であろうが後援であろうが、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
茂木大臣、外務省として、今後種々後押しをしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
国務大臣(茂木敏充君)  外務省としては、対日理解促進及び親日派、知日派の発掘、拡大を図っておりまして、海外の若い方はもちろんでありますが、日本の若者にも更に世界に目を向けてほしいと、こんなふうに考えております。
このため、今コロナ禍と、こういう状況ではありますが、オンラインなどを活用して交流プログラム、継続をしているところであります。引き続き、幅広いレベル、そして形態での交流促進を通じて我が国の外交基盤の拡充を図りつつ人的交流の拡大に努めていきたいと思っております。
委員に御指摘いただきました高校生の平和大使に対しては、外務省では被爆の実相の次世代への継承、これに関する活動として、これまでユース非核特使の名称を付与しているところでありまして、引き続きこういった活動を後押しをしていきたいと考えております。

 

GGEの見通しについて

三浦信祐君 大臣、ありがとうございます。是非、若い世代が今の話を聞いて、私もそれで頑張ろうと思う方が必ずいると思います。私たちもしっかり広めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、自律型致死兵器システム、LAWSに関する国際会議について、外務省に伺います。
LAWSに関する特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWでは、二〇二〇年から二〇二一年までの政府専門家会合、GGEの開催を決定をしております。コロナの影響を受け、本年九月にはオンラインでの開催となりました。この際、ロシアは対面での開催を主張してオンラインに参加しないという事態が生じております。これを踏まえ、来年、二〇二一年のGGEに日本政府としてどう取り組むのでしょうか。
さらに、各国の立場の隔たりが大きい現下の状況にあって、二〇二一年のGGEの結論次第では、GGEの継続を選択すべきか、それとも議定書の締結の交渉に進むべきかが問われることとなります。私はGGEの継続を選択すべきだと考えております。日本としてどのような判断とするのでしょうか。
加えて、仮に市民社会側の一部が個別条約成立を目指し日本に働きかけがあった場合の対応はどのようにするのでしょうか。
これらについて明確にお答えいただきたいと思います。
政府参考人(本清耕造君)  お答え申し上げます。
自律型致死兵器システム、いわゆるLAWSについては、現在、特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWの枠組みの下で議論が行われており、昨年十一月の政府専門家会合において、国際人道法が適用されること、人間の責任が確保されなければならないことなどを内容とした指針が承認され、現在、この指針を基にして、LAWSの定義や人間関与の在り方について国際的な議論が行われているところでございます。
来年の専門家会合につきましては、本年の会合が延期となっていることもあり、その日程や方式などの詳細は現時点では未定でございます。
我が国としては、先ほど御指摘ありましたロシアも含め、米中といった主要国を含め、広く国際社会において共通の認識が得られるよう、安全保障の観点も考慮しつつ、引き続き国際的なルール作りに積極的かつ建設的に参画していく考えです。
市民社会についてのお尋ねがございましたけれども、現時点では各国の立場に隔たりがあるのが現状でございます。共通の認識が得られる状況に達していないところでございますので、法的拘束力のある文書を直ちに策定することは困難ではないかと考えているところでございます。
三浦信祐君 しっかりとここはやっていただければなというふうに思います。
大臣、シンプルに伺います。河野前外務大臣時代、市民社会側から、GGEの議長に日本が立候補し会議をまとめるべきとの働きかけがあったと承知をしております。一方で、立場を問わず、日本は軍縮についての橋渡し、紛争のない社会へ平和国家としての責務を果たすことが重要だと私は思います。
CCW、GGEにおいて、外務省は国際社会でイニシアチブを取るとの気概と行動が求められます。茂木大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(茂木敏充君)  GGEにおけますLAWSに関する議論に関して、我が国として引き続き、米中ロといった主要国を含め、広く国際社会において共通の認識が得られるように、安全保障の観点も考慮しつつ、国際的なルール作りに委員おっしゃるように積極的に、また建設的に参加をしていきたいと考えております。
LAWSに関わります議論に関しては、各国の立場に、御案内のとおり、いまだ隔たりがある状況であることから、アジア諸国等の政府関係者を集めて考え方のすり合わせを行うなど、議論をできる限りリードしていきたいと考えております。

 

自衛官の処遇・環境改善について

三浦信祐君 大臣の言っていただいたことは極めて重要なことでありますし、巨大な国ではないところが、これについてたくさん注目をしております。
日本の立ち位置というのは、経済の観点においても外交の部分においてもかなり期待をされているところがありますので、大臣も是非リーダーシップを取っていただけるように御指示いただきたいと思いますし、国際会議の場等でもよく御発言いただきたいというふうに思います。
次に、自衛官の処遇と環境改善について質問をさせていただきます。
今後、少子高齢化が進む日本にあって、自衛官の人員確保と前線部隊への人材配置が重要となります。長年、自衛隊の最前線で任務に当たられた経験とセキュリティーの観点を持ち合わせている自衛官OBがたくさんおられます。最近では、防災の視点で基礎自治体のところに自衛官のOBの方が防災管理官としても採用できる、そしてそこに対して国も支援をしているというのが実情であります。でも、まだまだ足らないと思います。例えば、神奈川県の箱根町では、自衛官のOBの方が防災管理官として採用されておりました。災害が昨年台風として起きたときに、即座に指揮系統、そして情報ソース、しっかりと集めていただいて多くの町民を守ったという実態もあります。この力を使わずして、日本の国内の安心、安全を確保することに寄与できないようなことがあったら大変もったいないことだというふうに考えております。
これまで何度となく要望させていただいておりますけれども、自衛官OBの登用を加速度を増して検討し、実現をしていただきたいと思います。これは自衛隊の内部の位置付けの活用であります。例えば、教育機関、支援部隊での任務、あるいは情報通信等、経験や知見が豊富な方を登用していく体制を整えるべきだと私は思います。また、技術を持ち、装備品を運用した視点から、日本の技術情報集積に御活躍をいただけるような責任をつくっていただいて、そしてそこに力を投じていただくということも一案かと考えます。年齢が到達して、そのまま退職されて一般企業に再就職することは、セキュリティーの観点からも考慮すべき課題と考えます。世界はそこまで踏まえて人材のことを考えていると私は思っております。
岸大臣、是非、自衛官OBの部内での活用、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  今、少子化の進行によります採用対象人口の減少などの影響で、自衛官の人材確保をめぐる環境は大変厳しい状況になっております。優秀な人材を将来にわたり安定的に確保し、自衛官、自衛隊に求められる多様な活動を適時適切に行っていくためにも、人材の有効活用についてより一層推進していく必要があると考えております。そのためには、防衛大綱、中期防にも示されていますとおり、高度な知識、技能、経験を豊富に備えた退職自衛官の活用というものが不可欠である、こう考えております。
定年退職した自衛官の再任用、そして中途退職した元自衛官の再採用につきましては、これまでの取組によりその数も拡大傾向にあるわけですが、今後は更に積極的に推進してまいりたいと思います。
三浦信祐君 是非、大臣、進めていただいて、目に見えるような形で、安全保障環境が変化したときにも対応できるように、しっかりと未来を見据えて進めていただきたいというふうに思います。
女性自衛官は、ライフイベントや転勤、子育てを考えたときに、退職を検討する方が少なくないのが実情であります。一方で、一定程度の経験を積まれている女性自衛官が一旦退職をされた後、復職できる体制を整え、能力を再び活用することができれば、人材確保のみならず、キャリアパス、そしてワーク・ライフ・バランスの改善にも直結をすると私は考えております。今後、二〇三〇年に、女性自衛官の比率、たしか九%だったと思いますけど、その目標を達成するためにも、従前の単年度再任用制度だけではなくて、考え方を変えて、女性自衛官の中長期的に生かせる再採用制度を整備をしていただきたいと思います。
二〇一八年に、私自身質問をさせていただいた際に、当時の小野寺大臣からは、今後しっかり検討するとの答弁もいただいております。この答弁も踏まえて、岸大臣、女性自衛官復職の環境整備、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  採用対象人口が減少している中で、優秀な人材を安定的に確保すると、女性自衛官の採用を拡大するとともに、活躍を推進していくことも大変重要だと考えております。
そのような観点も踏まえて、これまで、育児等の事情でやむを得ず中途退職した自衛官の再採用の制度、また育児休業を取得する自衛官の代替要員として元自衛官を任期付きで採用する制度について整備をし、そして、知識、技能、経験等を備えた元女性自衛官の活用を図っていきたい、図ってきたというところでございます。
今後は、これらの制度についてこれまで以上に自衛隊の内外への浸透を図りつつ推進することで、一層の女性の採用拡大と活躍推進を役立ててまいりたいというふうに考えています。
三浦信祐君 具体的に検討して、また質問させていただきますので、こういう方向でいくということを更に深掘りしてお答えいただければなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
子育て世代の自衛官の皆様に子育てと仕事の両立を図るためにも、庁内託児所の拡充を継続的に進めるべきであります。ここで注意点があります。それは、託児所を増やしても、幾ら幼児教育、保育の無償化が適用されているとはいえ、認可外保育所等の場合には保育費用がかさむことが想定され、子育て世代の自衛官にとって経済的負担を強いることがないように配慮をする必要があります。
小職が二〇一七年の三月に陸上自衛隊の朝霞駐屯地を視察をさせていただいて、自衛官の方と懇談をさせていただきました。その際、官舎に併設をされていた保育所が認可外であったため、二人のお子さんの保育料が月十八万円、高額であるために負担が大きいとの話を伺いました。地元の朝霞市の我が党の議員さんと連携をさせていただいて、市長に直接申入れもさせていただきながら、認可保育園として朝霞市が認可するように粘り強く要望した結果、二〇一八年の四月、待機児童が多いゼロから二歳児が認可をされました。そして、事業者も変わることによって、三から五歳児の値段も低減をするということが実現できました。
このように、基礎自治体と連携をしていただいた上で順次ニーズの高い部隊に、そして地域にも、保育ニーズが高い地域がたくさんあります。そういうところに持続可能な保育施設を整備をしていただきたいと思います。是非取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(岩元達弘君)  お答えいたします。
防衛省・自衛隊といたしましては、女性隊員の更なる活用を推進することが重要と考えており、そのため様々な施策に取り組んでいるところであります。とりわけ、女性のみならず、全ての子供を抱える隊員が勤務と育児を両立できる環境を整える観点から、保育の確保は重要な課題であると認識しております。
〔委員長退席、理事三宅伸吾君着席〕
防衛省・自衛隊では、保育の確保に係る施策として庁内託児所施設の整備を進めてきており、平成十九年四月に陸上自衛隊三宿駐屯地に庁内託児施設の運用を開始し、委員からも御紹介ありましたが、平成二十七年四月に陸上自衛隊朝霞駐屯地宿舎地区に設置したほか、これまで全国八か所に整備してきたところであります。
委員御指摘のとおり、認可外保育所の場合は保育費用など隊員の経済的負担が大きくなる可能性があるため、庁内託児施設の整備については、居住地域である自治体の保育所の待機児童の状況等を踏まえた上で検討していくことが重要であると考えております。
今後も、引き続き隊員のニーズ等を踏まえ、庁内託児施設の整備を検討してまいりますが、いずれにいたしましても、防衛省としましては、隊員が勤務と育児を両立できるよう、各種の環境整備に努めてまいります。
三浦信祐君 明言していただいてありがとうございます。
次に、厳しい安全保障環境下で、海上自衛隊の役割が更に高まっております。しかし、現実は海上自衛隊の艦艇希望者が激減をしているのが実態であります。この理由についてどう分析しているのか、伺いたいと思います。
私は、その一因として、出航中に家族、友人と連絡が取れないことが考えられます。現状は、家族メールができるようになっているものの、技術的運用上、回数制限があり、速度も遅いと承知をしております。現代社会においては、スマートフォンで随時素早く連絡、コミュニケーションを取るのが当たり前になっております。もちろん、任務中にそれをしろということではありませんけれども、休憩の時間帯のことを考えれば、陸上の環境とおおむね同様の通信環境の構築が必要だと私は考えております。
今後、常時接続可能であり、位置の秘匿、作戦中心への影響がない、海上自衛隊が契約をしている商業用衛星通信の活用を検討すべきだと思います。岸大臣、御検討いただけませんでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  艦艇勤務の隊員については、その勤務環境の特殊性もありまして、人材の確保が大変厳しい状況にあります。
〔理事三宅伸吾君退席、委員長着席〕
長期間の航海に際し、艦艇勤務隊員とその家族等の連絡手段については、艦艇に設置されている家庭通信用の端末により家族等と電子メールによる連絡を行っておりましたが、平成二十九年度から無線LAN環境、いわゆるWiFiの環境を整備したことで、隊員が個人の携帯電話から同端末を介し電子メールの受送信を可能となったところでございます。現在、艦艇勤務隊員とその家族等の連絡手段には商業用の衛星通信を使用しておりますけれども、今後は通信速度の遅延が生じにくい衛星を活用するなど、通信環境の改善に向けて検討をしてまいりたいと思います。
いずれにいたしましても、艦艇勤務隊員が安心して任務に従事し、隊員の留守を預かる家族が不安を感じないように、隊員、家族の心理的な負担の軽減など、環境改善に努めてまいりたいと思います。

 

経済安全保障体制について

三浦信祐君 中東派遣をされている方々は、地上に降りることもできないという状況でもあったりすると、そういう厳しい任務に当たられるケースにおいては、通信というのが実は一番重要なところであります。是非、検討していただけるということなので、また、是非進めていただいて、御報告をいただきたいというふうに思います。
次に、経済安全保障体制について質問させていただきます。
十月十五日、米国NSCは、機微・新興技術国家戦略を発表をしております。いわゆる防衛装備品に関するもののみならず、デュアルユースや基礎研究分野の技術を国家覇権に直結するものとして二十分野指定し、プロテクト、保護とプロモート、推進の両面から国家安全保障イノベーション基盤を強化するための戦略と理解をしております。加えて、同志国との長期にわたる技術連携が重要だと繰り返し指摘をしております。同盟国日本として、この動きに対してどのように向き合うのでしょうか。
そもそも、日本自身の国家安全保障イノベーション基盤整備をどのように進めるべきかという観点で極めて重要なインプリケーションを持つと考えております。経済班を有しているNSSの役割が極めて大きいと考えますが、NSSとしての取組はいかがでしょうか。
政府参考人(藤井敏彦君)  お答え申し上げます。
米国が先月十五日に発表いたしました重要・新興技術国家戦略、三浦先生御指摘のとおり、国家安全保障上の技術革新基盤の促進、プロモート、技術優位性の保護、プロテクト、両面から何をすべきかについて取りまとめております。
今後、我が国におきましても、高い技術力を支える研究開発環境を構築、維持していく、併せて技術流出を防止する、この両面の取組が必要であると認識をいたしております。
これに関連いたしまして、統合イノベーション戦略二〇二〇におきまして、我が国の技術的優越を確保、維持する、安全、安心の確保のために幅広く活用する、こういった観点から、関連する科学技術のニーズ、シーズを知る、育てる、生かす、そして守る取組を取りまとめております。
国家安全保障局といたしましても、こういった取組を含め、安全保障と経済を横断する様々な課題に対し、政府内の各部門と連携をし、企画立案、総合調整を行い、迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えております。
三浦信祐君 是非、迅速かつ的確に、これは世界が動いておりますので、藤井審議官、是非先頭に立ってやっていただきたいというふうに思います。
先月末、中国の党機関誌が、習近平国家主席の四月の発言として、切り札的な技術や国際的な産業サプライチェーンの中国依存強化を通じた外国に対する反撃、抑止力の形成を志向するとの中長期的経済発展戦略についての内容が発表されました。
まず、本発表に対する外務省の受け止めについて、宇都外務副大臣に伺います。
副大臣(宇都隆史君)  御指摘のこの習近平主席の発言、日本語訳、少し分かりにくいんですけれども、要は、致命的で代替不可能な技術、そういったものを中国に依存させることによってこれを外交カードにせよというようなことかと思っております。
こういった中国の経済、産業、科学技術政策の方向性は、我が国のみならず、世界の安全保障や経済にとっても大きな影響を与えるものであり、引き続き高い関心を持って注視していかなければならないというふうに認識しています。
その上で、我が国自身の重要技術の流出防止、あるいはサプライチェーンの強靱化などは、いずれもこれは今後の我が国の安全保障上も重要な課題でありまして、外務省としても、関係省庁と連携するのはもちろんのこと、産官学での連携も含めまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
三浦信祐君 アメリカは、中国に対してターゲットを決めてやってきたと。中国は、これに対して全世界的な、俯瞰的に我が国の国家の利益を追求するという上乗せ上乗せの議論になっているような気がします。この発表は、まさに技術戦略が国家安全保障を左右するとした中国政府の認識が表れております。
その上で、日本の安全保障当局は、防衛装備品にいまだ採用されていないデュアルユース技術に関する認識やアクセスが十分でないと考えます。日本としても、安全保障イノベーション基盤を整えるべきということであれば、どのような民生技術が将来的に軍事転用された場合に切り札的技術、安全保障上重要な機微技術となるのかをしっかり把握する必要があると考えます。
NSSとして、政府の先頭に立って安全保障上重要な機微技術を把握するべきだと私は思います。いかがでしょうか。そして、加えて、今後必要とされる政府としての対応は、重ねてお聞きしますけれども、いかがでしょうか。NSSに伺います。
政府参考人(藤井敏彦君)  お答え申し上げます。
重要な技術の把握につきましては、統合イノベーション戦略二〇二〇の知る取組としてまとめられております。
国内外、まあ国内併せて海外の最先端の科学技術の研究開発動向、こういったものを俯瞰、把握し、我が国として伸ばすべき分野、また補うべき分野、そして適切に管理すべき分野を明確にするということがうたわれてございます。御指摘の体制整備といったことも含めて、重要な課題と認識をいたしております。
国家安全保障局といたしましても、俯瞰的、戦略的な対応を迅速に、かつ適切に行うべく、政府内の各部門と連携をいたしまして企画立案、総合調整を行い、適切に対応を進めたいと考えております。
三浦信祐君 武田防衛装備庁長官に伺います。
安全保障上の機微技術の特定に当たっては、まさに防衛装備戦略を考える立場の防衛省のインプットが不可欠であります。政府全体としての機微技術把握、保護、育成の取組に防衛省が体制を組み貢献しなければならないというふうに思います。
まだまだこれはこれからの話だと思いますけれども、どう取り組まれるのでしょうか。
政府参考人(武田博史君)  お答えいたします。
昨今の民生分野におけます先端技術の著しい進歩は、将来の戦い方を一変させる可能性があり、各国はゲームチェンジャーとなり得る最先端技術に積極的に投資をしていることはもう御案内のとおりでございます。
政府といたしましては、先ほどNSSからもお話ございましたが、二〇二〇年七月に閣議決定をされました統合イノベーション戦略二〇二〇において、様々な脅威に対する総合的な安全保障を実現するため、関連する技術につきまして、知る、育てる、守る、生かすための取組を推進するとされているところでございます。
防衛省は、言うまでもなく、我が国の安全保障に関して重要な役割を担うとともに、防衛装備行政も実施をしており、安全保障に関する技術について様々な施策を推進しております。
先ほどお話しいたしました、知る、育てる、守る、生かすための取組について、私どもの取組について具体的に申し上げたいと思いますが、まず、知るとしては、安全保障上機微な技術を含め、国内外の技術動向を把握し、防衛装備庁が策定しております中長期技術見積りなどに反映をしているところでございます。
次に、育てるとしては、毎年必要な予算を計上し各種事業を推進しているほか、先進的な民生技術についての基礎研究を公募、委託する安全保障技術研究推進制度や、革新的、萌芽的な技術を装備化につなげるための橋渡し研究を推進しております。
さらに、守るとしては、海外との共同研究等において関連技術の機微性の評価の実施や、国際輸出管理レジーム等の国際的な活動への参画などを通じまして政府全体の取組にも貢献し、将来の戦い方も見据えた技術管理に係る取組を一層進めてまいります。
また、生かすとしては、これらの取組を通じて得られた成果も生かし、引き続き最先端技術を取り入れた優れた防衛装備品の開発を行ってまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、防衛省としては、御指摘の安全保障上の機微技術に関する政府全体の取組について必要な協力を行い、参画をしてまいりたいと考えております。
三浦信祐君 明確に参画していただけるということ、これ大事な御答弁ですので、しっかりやっていただきたいと思います。
米国は、自国以外からの輸出に対しても域外適用可能な貿易管理を自国のみで強化し、一部企業も突然中国企業との取引を停止しなければいけない状況に追い込まれたとされております。再輸出規制への対応が企業活動に影響していることが、まさに厳しい経済安全保障上の戦いの真っただ中にあることを意味しております。
他方、中国は、独自の国家利益目的に基づき、米国同様に域外適用を根拠付ける輸出管理法が来月頭から施行することになっております。米中覇権国家の間で日本の企業が板挟みとなって、ビジネス環境の不安定性が増しております。こうした状況下で経済安全保障の確保と市場の獲得のバランスを実現することが重要であります。
外交当局として、中国の輸出管理に対してどのような懸念があると分析をしているのでしょうか。そして、両国に対してどのように働きかけ、政府として対応をどのように考えておられるのでしょうか。明確にお答えをいただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
国務大臣(茂木敏充君)  確かに、ここ数年、経済安全保障と、こういう概念というのは必要でありますし、そういった取組、それぞれの国が進めるということは必要だと思っておりますが、御指摘の中国の輸出管理法につきましては、来月の一日から施行されると承知をいたしておりますが、国の安全と利益をリードする規制対象品目の範囲であったりとか、域外適用の可能性も含めて、国の安全と利益なんといったら、極端に言ったら何でも入るという話になってしまいますので、その運用がどうなるのか必ずしも明確にされておらず、運用次第では日本企業の正当な経済活動やサプライチェーンに影響を与える可能性があると思っております。
こうした問題意識につきましては、中国側に対しても様々な機会に伝達をしてきているところでありまして、外務省としては、引き続き関係省庁とかまた機関とも連携しながら、関連の動向、高い関心を持って注視をしていきたいと思っております。
今、米中様々な対立が進んでいると、そういった中で、技術覇権であったりとか通商の摩擦、続いております。それぞれの主張はあるわけでありますけれど、少なくとも、世界第一位、第二位の経済大国がずっと対立を続けると、これは世界全体にとってもいいことではありませんから、両側に対して、様々な形での対話であったりとか、それを通じた問題の解決、引き続き働きかけていきたいと思っております。
三浦信祐君 これで終わりたいと思いますけれども、是非、今のこの一位と二位が争っているところにしっかりと我が国が両方を橋渡しをして、これ以上のエスカレートをしないというところにも是非コミットしていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。