決算委員会(2020年5月13日)

新型コロナウイルス感染症に対する消防の体制について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 まず、高市総務大臣、パルスオキシメーターの導入の支援、先ほど御明言もいただきました。今後、命を守るために必要な手を打っていくために、是非今後とも御尽力をいただきたいと思います。ありがとうございます。
 新型コロナウイルスに感染された方の命を守るために医療現場で従事されている方々、そして社会を支えていただいている数多くのエッセンシャルワーカーの皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。その中で、時に医療従事者よりも先に感染あるいは感染の疑いがある方に接するのは消防、救急隊の皆様であります。命を守る仕事に敬意を表しつつ、質問をさせていただきます。
 まず、新型コロナウイルス感染症における患者搬送などにおいて、保健所と消防との関係、消防の役割と位置付けはどのように整理されているのでしょうか。

政府参考人(米澤健君)  お答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、感染症法の準用がなされておりますので、患者等の医療機関までの移送につきましては、保健所を所管する都道府県知事あるいは保健所設置市の市長が行う業務とされてございます。
 その上で、消防庁では、厚生労働省から都道府県の保健所等が行う患者等の移送につきまして消防機関に対する協力の要請があったことから、全国の消防機関に対しまして通知を発出し、地域における搬送体制の確保の観点から、保健所等と事前に十分な協議を行った上で患者等の移送に協力するよう要請しており、各地域の消防機関では全力で対応しているものと認識してございます。
 今後とも、関係省などと緊密な連携を図りながら、各地域の消防機関が適切に対応できるように取り組んでまいります。

三浦信祐君 今整理をしていただきましたけれども、患者さんを、一義的に感染症の場合には保健所であります。しかし、保健所には当然、体力もその装備も足りるという状況ではありません。そこで、消防、救急の皆さんに御尽力をいただいているのが今の社会の実態であります。
 そういう現場の救急隊の方々から、発熱した患者さんを搬送する際に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、院内感染のリスク回避のために病院から受入れを拒否されている実情をたくさん伺ってまいりました。現実に多数の報道もなされております。
 感染者あるいは感染が疑われる方が医療機関に行く際に公共交通機関を使わないでくださいと、また車も所有していない場合には、実は最後のとりでになってくるのは救急であります。一一〇番、一一九番、国民にとって信用できる、誰でも知っている番号であります。必ず対応してくれる、その信用を構築をしていただいている皆さんであります。
 一一九番通報による救急出動が断れない中で、受入先が決まらない場合、長時間救急車の中で待機を余儀なくされ、顔色一つ変えず患者さんのことを励まし続ける救急隊が実は濃厚接触となる確率が高く、隊員の皆様は精神的にすり減っているのも実際の現場の状況であります。
 救急隊の迷子を断じて避けなければなりません。発熱はコロナ感染症以外でも当然あり得ます。この現状を打破するために、医療と救急の連携体制を整理し、そして感染者受入れ、搬送先を明確にして、早急に隊員と搬送者の保護を図っていただきたいと思います。結果、これが医療の崩壊を防止し、院内感染を結果として阻止をすることにも直結をいたします。
 消防組織を持っていない都道府県が対応するからこそ、そして地域差があるからこそ、国が整理すべきであります。高市大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。

国務大臣(高市早苗君)  今、三浦委員から御指摘がありましたとおり、陽性患者とは確定していないけれども、新型コロナウイルス感染を疑う症状を呈する傷病者について、医療機関側が受入れをちゅうちょすることで搬送先がなかなか決まらない事例が生じて、対応に苦慮する消防本部が生じております。
 消防庁では、現在、新型コロナウイルス感染症に伴う救急搬送困難事案に関する状況調査を行っておりまして、全国的な状況把握に努めております。具体的には、医療機関への受入れ照会回数が四回以上で、そしてまた現場待機時間、滞在時間が三十分以上といった事例でございます。
 何といっても、こういう状況を解決していくためには医療機関の体制整備が重要でございますので、まずは厚生労働省に対して適切な医療体制整備の取組をお願いいたしております。
 それから、総務省消防庁としましても、医療現場の負荷軽減の観点からも、患者さんの移送などに対して各地域の消防機関の協力が進むように最大限努めております。それから、消防機関と都道府県の衛生部局、保健所、各医療機関など関係者との間で、今般の救急搬送困難事例の調査結果も活用していただきながら、現場の状況を緊密に共有するなど、地域における搬送・受入れ体制の整備、改善に向けまして必要な連絡・協調体制を構築するように、各都道府県の消防防災主管部長などに対して要請を行っております。
 本当に今、救急の現場の皆様、必死で頑張っていただいておりますので、精いっぱい総務省消防庁としても必要な対応、支援を行ってまいります。

三浦信祐君 大臣、是非お願いしたいと思います。
 本当に現場で一番怖い思いをしながらも、家族がある救急隊員が何事もないようにやっていただいているのは、まさに政府がしっかり取り組んでくださるだろうと信じてやっている部分もあります。ですので、要請も踏み越えて是非形にしていただけるように、また、搬送先が明確であれば安心であります。どうか国民の命、全員を守るという決意でやっていただきたいと思います。
 今般の感染症も含め、疫病対策に積極的に消防が、救急が関わる場面が増えている中、隊員防護と搬送者の安全確保のためのマスク、防護服、ゴーグル、その他必要な消防、防疫に関する資器材の整備を確実に行う必要があります。自治体消防ごとに防護器材の保管数と運用に差があって、最前線の署又は隊によってはかなり厳しい状況が続いていると現場から実は悲鳴が上がっているところも現実的にあります。日本におられる方全てが全国共通の一一九番にて救急の提供を均等に受けられる中、全国の消防救急隊が同じコロナウイルスを相手にしているにもかかわらず、防護器材に差があることは是認すべきではありません。
 器材等不足し始めている救急隊、最前線で迅速かつ的確に配備できるように、単なる上がってきた数字を眺めているのではなくて、現実的な現場の声もしっかりと踏まえていただいて、確実に防護体制取れるように取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(米澤健君)  お答え申し上げます。
 救急隊員の感染防止のために必要なN95マスク、感染防止ゴーグルなどの感染防止資器材について、御指摘のような不足が生じて救急活動に支障が生じないように、令和元年度の予備費を活用いたしまして、緊急的な措置として、消防庁において必要な資器材を購入の上、必要とする消防本部に提供しているところでございます。この資器材の提供に当たりましては、消防本部ごとに、資器材の必要量、現在の保有量、また今後の調達見込み等を調査させていただきまして、在庫に不安を抱える消防本部の実情を把握した上で必要な資器材を提供しているところでございます。
 また、令和二年度補正予算におきましても同様の事業を計上しておりまして、引き続き、消防本部の資器材の在庫に関する不安を解消し、救急隊員の感染防止に全力を期してまいりたいと考えてございます。

三浦信祐君 現場では、N95を何回も繰り返して使えと言っているところもあります。数字で上がってくる中では余り減っていないように私報告受けていますけれども、現場がそうなっているかどうかというのは、途中の報告体制がきちっとしているかどうかということも大事であります。今残しておいてもしようがないものを現場に届けないということはあってはならないと思います。是非、もう一重に、現場の、自分の家族がその救急隊に搬送されているものなんだという思いに立ち返って取り組んでいただきたいと思います。
 感染症との恐怖の中で、今決して注目をされることなく、しかし黙々と着実、確実に任務を遂行していただいている救急隊員の皆様へ危険手当、特別手当を支給するなど、しっかりとした処遇をすべきだと私は思います。これは、国民、住民の皆様に私は必ず御理解いただけるのではないかと思います。
 自治体の裁量であることは十分承知しておりますけれども、国として、地方への予算的支援、また交付金の機動的運用等、自治体を強力に支援を通して手当支給を実現していただきたいと思います。明確に御答弁いただければと思います。

政府参考人(米澤健君)  お答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症に立ち向かう救急隊員が安心して活動できる環境を整備していくことは大変重要なことと考えてございます。
 御指摘の手当に関しまして、新型コロナウイルス感染症対策に従事した国家公務員への防疫等作業手当の特例のために人事院規則が改正されたことを受けまして、各消防本部に対し、その内容と趣旨を踏まえ、適切に対応していただきたい旨を周知しているところでございます。
 また、救急隊員等が新型コロナウイルス感染症対応に従事した場合に各消防本部が新たな手当を支給する場合には、その財源として新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用できることとされてございます。
 引き続き、こうした取組を通じ、救急隊員が安心して活動できる環境を整備してまいります。

災害発生時の災害廃棄物処理計画の整備とペット同行避難の課題解消について

三浦信祐君 今明確に、今般の臨時特別交付金を活用して救急隊への特別手当に充当してよいと明言をしていただきました。あとは、地方議会の本当にその思いやりがあるかどうかということを、国からとしてもメッセージは出させていただいたというふうに理解します。
 その上で、しっかりとした手当が必要でありますから、二次補正がもしあるようでしたら、きちっとそこにも充当できると明言するぐらいして予算化をしていただきたいということを強く望んでおきたいと思います。
 一つ質問を飛ばさせていただきます。小泉大臣に質問をさせていただきます。
 災害発生時のペットの同行避難について、指針の整理と運用の在り方、これについて伺わせていただきます。
 昨年、台風襲来がありました。神奈川県でも、川崎では多摩川があふれるんではないか、実際に浸水した地域もあります。そのような中で、ペットが避難できない、避難所で受け入れられないということがあるということを思っておられる方が、結果、避難をされないという事例もありました。また、避難所に行ったけれども、行政としては元々受け入れるという指針をちゃんと作っていたにもかかわらず、なぜか現場で拒否されたゆえに自宅に戻ったなど、人命が危険にさらされるリスクが現実的には解消されておりません。
 ペットは家族でもあります。私も愛犬がいます。環境省ではそのガイドラインをきちっと作っていただいております。私の犬はよくほえるので、これじゃ避難所に行けないなといってしつけをしなきゃいけないと思うぐらいきちっとしたものであります。
 そういう点では、実は余りそれが広報されておりません。動物愛護の視点と、災害発生時、同行避難にて生じている課題解決に是非取り組んでいただきたいと思います。コロナがあっても、台風も雨も地震も決して止まってくれるとは思いません。今整えるべきだと思いますけれども、小泉大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(小泉進次郎君)  三浦先生からは愛犬家としての質問もいただきまして、ありがとうございます。
 環境省では、人とペットの災害対策ガイドラインを自治体と飼い主に対して周知することを通じて、飼い主の皆様にはしつけなど平時からの備えと発災時にペットとともに避難をする同行避難、これを、自治体にはその受入れ準備をお願いをしてきたところです。
 また、全国の八ブロックで都道府県、獣医師会、動物愛護団体などの参加を得て、広域支援・受援体制整備に係るモデル図上訓練を実施をして、災害発生時の初動対応やペット同行避難者支援の体制構築を進めてきたほか、飼い主向けのポスターを作成、配付をして、普及啓発を努めてきました。
 これまでの災害では、同行避難者を受け入れ、適切な対応をした避難所が見られた一方で、ペット連れの避難をためらって自宅にとどまった方々や、同行避難者の受入れに難色を示した避難所もあったと認識をしています。
 そのため、これまでの取組を引き続き実施するだけではなくて、避難所の運営に直接携わる市町村等に対して、今後、ペット同行の避難訓練の実施などの災害への具体的な備えを確認するためのチェックリストなどを作成、配付をして、これまで以上に同行避難の重要性の周知や避難所における受入れ体制の整備の推進を図ってまいりたいと考えています。
 なお、このコロナを受けましても、この前の記者会見で発信をしましたが、万が一感染をされた方が、飼い主の中で、預け先を確保できないとか、そういったことでなかなかホテルとかではなくて自宅でと、そういったことも見聞きをします。その前に、万が一感染をされたときに、預かり先を確保するための備えをしておく、そういったことも重要でありますので、引き続き、この災害対応のこととコロナ対応、しっかりこのペット同行、ペットの管理とかそういったことについても環境省がしっかりと発信をしていきたいと思います。

三浦信祐君 ありがとうございます。是非実行を期待をしておりますし、是非確実にそれが皆さんのところに届けられるように頑張っていただきたいというふうに思います。
 大臣については質問は以上でございますので、委員長、お取り計らいをいただければと思います。

委員長(中川雅治君)  環境大臣、環境省の方、御退室いただいて結構です。

国勢調査実施への準備と新型コロナウイルス感染症の対応について

三浦信祐君 マイナンバーカードの質問は後にさせていただきたいと思います。
 国勢調査について伺わせていただきます。
 本年は五年に一度の国勢調査実施時期に当たります。そして、国勢調査百年の節目でもあります。我が国の最も基盤的な統計として、確実に実施し、正確な結果をこれまで得てきましたし、今後もそうしていかなければいけないと私は考えております。
 国勢調査実施に当たり、市町村の準備内容、スケジュールなど、スキームについて伺ってまいります。また、前回二〇一五年と今回の調査内容について、また、手法の違いはどのようになっていますでしょうか。

政府参考人(佐伯修司君)  お答えいたします。
 国勢調査は十月一日が調査期日となっており、九月中旬から関係書類の配布が始まります。現在、市区町村では、地域の実情に応じて指導員及び調査員の募集活動を行っているところであり、七月から九月にかけて事務打合せ会を開催し、指導員及び調査員の皆さんに対して調査実務の説明を行う予定です。これと並行して、調査を円滑かつ確実に実施できるよう、国と地方公共団体が連携し、広報啓発の活動やマンション管理会社、社会福祉施設などへの協力依頼を十月にかけて順次行ってまいります。
 また、前回の調査との違いですが、調査内容については大きな変更はありませんが、調査方法、調査書類の配布方法について大きく変更しています。前回調査は、インターネット回答用の書類を先に配布し、回答がない世帯に紙の調査票を後から配布するという二段階方式で実施しました。本年の調査ではこれらを一括同時配布する方法に変更しておりまして、市区町村、調査員の事務負担が前回と比べて大きく減少するものと考えております。
 なお、インターネット回答では、入力内容に矛盾がないか入力時にチェックし、回答漏れ、回答誤りを事前に防止する仕組みとしており、地方公共団体の審査事務の負担軽減につながることに加えて、調査員の皆さんが既にインターネット回答をしていただいた世帯については調査票の回収に回らなくて済むということから、特に力を入れて推進したいと考えております。
 以上です。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症の終息が現時点では見通しができない中で、準備及び実施に当たり、省人化、簡素化などを確実に実施しなければなりません。積極的に、インターネットを活用した調査、調査員の戸別訪問における感染症予防対策、そもそも接触を減らす努力が不可欠だと思います。また、感染症の状況によっては、調査自体の柔軟性も含め、あらゆる想定を今から準備すべきだと私は考えます。
 感染予防と調査の正確性を期す、両立するという大変な取組ではありますけれども、しっかり行っていただきたいと考えますが、高市大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(高市早苗君)  五年に一度の国勢調査は国の最も重要な統計調査でございますので、何としても成功裏に進めていかなければならないと思っております。
 まずは調査員の方々の負担軽減と、新型コロナウイルス感染症の拡大防止ということを何より大事に準備を進めております。調査資料の配布に際して、調査員の方が世帯の方と直接接触しなくて済むような調査方法ということで見直しを検討しておりますのとともに、今度、調査票の回収でございますけれども、インターネット回答や郵送での回答ということで、非接触型の回収を積極的に推進することを考えております。

ワイドFM導入について

三浦信祐君 ありがとうございます。是非、無事故で実施ができるように、私たちもしっかり支えていきたいというふうに思います。
 次に、ワイドFMについて質問させていただきます。
 ワイドFM導入は、難聴対策と防災対策のために導入されたと承知をしております。期待している効果とこれまでの取組について伺います。
 その上で、ワイドFMの導入開始は平成二十六年度からであり、それ以前に製造されたカーラジオではワイドFM対応とはなっておりません。これまでは、中古車両等の販売に当たり、販売事業者も購入者もワイドFM視聴可否についての案内、情報提供はなされておりません。防災の視点から考えれば、車両内で視聴できることは必須であります。
 これを踏まえて、本当ならば開催されたであろう四月八日のこの決算委員会開催時点のときにお願いをしておりましたけれども、それ以降まで対応をお願いしておりましたが、その取組の状況と結果を伺います。

政府参考人(吉田眞人君)  お答え申し上げます。
 いわゆるワイドFMにつきましては、いわゆる難聴対策あるいは災害対策を目的として導入をされたものでございまして、既に全AMラジオ放送事業者四十七社が放送を開始しているところでございます。
 私ども、これ、いわゆるAMの都市型難聴で聴きにくい状況がこれによって解消されまして、非常に重要な情報が視聴者の方に明確に届くということを期待をしているものでございます。
 ただ一方で、今御指摘のとおり、ワイドFM対応の受信機の普及についてはまた課題がございまして、特に中古車を始めとするカーラジオにつきましては家庭用ラジオに比べまして普及が進んでいないという実情がございます。
 私ども総務省といたしましては、経済産業省と連携をいたしまして、いろいろ自動車販売の業界団体に対しまして、その中古車、輸入車を含めまして、自動車販売事業者に対する周知啓発の観点から、ワイドFMの概要等についての説明を行うこととしております。ちょっと残念ながら、今このような状況を含めまして、まだちょっと計画していたとおりの説明ができておらないのが実態でございますが、できるだけ経済産業省とも相談をいたしまして、早期にこのような説明を行いましてこの普及に努めてまいりたいというふうに考えております。

保育現場への確実な予算執行と新型コロナウイルスによる休業に対する労働者保護について

三浦信祐君 ありがとうございます。
 予算を使ってワイドFMを充実したわけですから、それが難聴解消と、そしてそれが聞けないというところを解消することにも是非取り組み続けていただきたいと思います。
 次に、保育現場への予算執行について質問させていただきます。
 昨年、会計検査院が保育士の処遇改善等加算による賃金改善状況について検査した結果、平成二十八、二十九年の二か年の間に、保育所等において七億一千九百五十万円が職員の賃金改善に充てられていない状況が判明をいたしました。
 なぜこのようなことが起きたのか、改善はどう図られたのか。自治体に対する周知、指導監督を強化する等して確実に保育士の皆様に届くようにしていただきたい。是非これについて御答弁いただきたいと思います。

政府参考人(嶋田裕光君)  お答えいたします。
 委員御指摘の処遇改善等加算につきましては、年度内に賃金改善に充当することが望ましいものの、年度途中の単価改定等によりまして年度内に支払を終えることが実務上難しい面もあることから、年度終了後に加算の残額が生じた場合には翌年度においてその全額を一時金等により賃金改善に充てることとしております。
 しかしながら、昨年十二月の会計検査院の報告書におきまして、加算の残額が翌年度も職員の賃金改善に充てられていなかったという事例があるとの指摘を受けておりまして、報告書によりますと、その主な理由といたしましては、施設においては残額を支払うことを失念していたためである、あと、市町村においては賃金改善実績報告書が施設から未提出で確認を行うことができなかったというふうにされているところでございます。
 処遇改善等加算は保育士等の賃金改善に確実に使われることが重要であるというふうに考えておりまして、会計検査院の指摘を踏まえまして、当年度の加算の残額と、それから翌年度の賃金改善額を切り分けて支払の状況を確認することとしておりまして、本年二月の都道府県等説明会におきまして周知をしたところでございます。
 高い使命感と希望を持って保育の道を進んだ方々が長く働けることができるよう、今後とも処遇改善等加算の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

三浦信祐君 是非今後ともよろしくお願いします。
 全国の保育現場では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために保育所の受入れ人数の抑制が図られ、保育士の休業がなされております。その休業について有休取得にて行われていると、多数、全国的に伺いました。私は、労働者を守る法制上、このような状態は違法であり、直ちに解消すべきですし、遡って対応しなければならないと考えます。
 労働法制の観点と賃金支払への影響について明確な整理をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

政府参考人(村山誠君)  お答え申し上げます。
 委員御質問の年次有給休暇でございますけれども、これは労働基準法第三十九条第五項に規定されているところでございますが、原則として、労働者の請求する時季に与えなければならないものでありまして、使用者が一方的に取得させることはできないものでございます。
 したがいまして、仮にそうした実態があるということでございますれば、使用者が一方的に年次有給休暇を指定したとしても、原則としてそのような指定は無効となるということでございますし、委員からの御指摘のございました賃金支払への影響ということについて申し上げれば、一方的な年次有給休暇の指定の結果、働く方が本来取得を希望する日に年次有給休暇が取得できず、適切な賃金が支払われないということはあってはならないことであるというふうに考えております。
 以上でございます。

三浦信祐君 明確に答えていただきました。府省が連携して、保育の現場に対して、改めてこのような強制的な有給休暇がなされる事案が生じないよう、保育士の給与が削減されたりするようなことがないよう徹底して取り組んでいただきたいと思います。
 いま一度明確に通知して、現場で徹底をされて運用されるようにしていただきたいのですが、いかがでしょうか。

政府参考人(渡辺由美子君)  まず、御指摘のございました有給休暇の取扱いでございますけれども、これにつきましては、保育現場において適切に対応がなされますよう、厚生労働省内でも労働関係部局と私ども福祉部局で連携をしながらしっかりと周知をしたいと思っております。
 また、職員の給与につきましては、これ臨時休園を行っている場合でも、保育所につきましては通常どおり運営費の支払を行って施設の収入を保障しております。したがいまして、こういったことを踏まえますと、人件費の支出につきましても適切に対応いただきたいということで、これにつきましては既に内閣府と連名で通知を出しておりますが、引き続きしっかりと周知に努めてまいりたいと考えております。

携帯電話料金等、通信費負担の引き下げ、軽減とWi-Fiの整備について

三浦信祐君 ありがとうございます。間違ってこれで雇用調整助成金なんか請求されてしまった日には、これ二重取りになりますので、絶対そういうことがないように気を付けていただきたいと思います。
 次に、通信について、ちょっと順番逆にさせていただきますけれども、高市大臣に質問させていただきたいと思います。
 大臣は、五月の一日、全国三万三千校の公立学校のうち、光ブロードバンドに接続できていない学校が二千八百三十五校、近隣地域に光ブロードバンドが整備されていない約五百校の学校は遠隔教育の前提が利用できないという環境である、補正予算でこの環境整備の決意を語られました。義務教育課程におけるオンライン環境が整わないことによる授業格差というのは何としても避けなければいけないと思います。
 まずは教育現場からWiFi環境の整備を断じて成し遂げていただいて、全国津々浦々に通信環境の格差、ギャップ解消を図って、ここ、ですから、もう思い切ってデジタルトランスフォーメーションを図り、通信先進国への大転換を図るべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(高市早苗君)  総務省では、GIGAスクール構想の実現に向けまして、今般お認めいただいた補正予算において三十・三億円を計上しました。学校のある地域において、先ほど委員も御指摘いただきましたけれども、そもそも近隣地域に光ファイバーが整備されていないというのが約五百校の学校でございます。ですから、遠隔教育の前提となるブロードバンドを利用できない状況でございます。この学校のある地域における光ファイバー整備については、来月上旬から公募も開始する予定でございます。
 学校を含む地域のブロードバンド環境の早急な整備を進めることによりまして、文部科学省とも連携して、現下の大変厳しい状況において子供たちが学習を継続できる環境整備はもちろんですが、新型感染症の終息後も見据えた社会のインフラづくりに取り組んでまいります。

三浦信祐君 通信所管していただいている大臣が言っていただけると非常に説得力があります。これをしっかりと私たちも支えていかなければいけないということを改めて決意をさせていただきたいと思います。
 その上で、シンプルに伺います。今、政府が今後の生活変容を訴える十の項目において、オンライン飲み会、オンライン帰省、そしてオンライン会議、買物もネットでというふうに言われております。ところが、国民にとってみれば、今まで以上に通信費の負担は大きくなり、携帯電話代の負荷ということも大変重くなっております。
 現下の状況についてどうお考えになっているかということも伺いつつ、一方で、昨年に、電気通信事業法改正によって、生活現場では競争が促進されて携帯電話代が下がるということが期待されていたのに、私たちも相当怒られました、全然実感していませんと。こういうことがあってはならないと思います。様々背景があると思いますけれども、高市大臣は携帯電話代の引下げ、強力に推進してきていただいたと思います。通信の価格が生活変容を邪魔するようなことはあってはならないと思います。是非、今後も強力に進めていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(高市早苗君)  新型コロナウイルス感染症の影響拡大の対応については、総務省から関係事業者に対しまして、生活に不安を感じている方々を支援するために通信料金の支払に十分な猶予期間を設けていただくこと、それから、通学できない学生の皆様に教育機会を確保するために携帯電話の通信容量制限を緩和することなどの要請を行いました。
 この結果、五月十一日時点でございますが、携帯電話事業者を含む百九十五社が通信料金の支払猶予措置を講じていただいており、同じく二十九社が携帯電話のデータ容量追加分を無償化するなどの措置を講じていただいております。
 昨年、先生方のお力をいただいて施行されました改正電気通信事業法によりまして、公正競争を促す環境というのは整備できてきたと思います。要は、携帯電話事業者は、通信料金と端末代金の分離を受けて通信料金水準の引下げをしておりますし、また、行き過ぎた囲い込みプランの是正につながる期間拘束付プランの廃止などといった取組も講じていただいております。
 こうした取組の結果なんですけれども、オンライン会議などで需要が見込まれる主要事業者の大容量プランは、昨年四月の時点と比較して三割程度は低廉化しております。また、今年四月から新たなMNOである楽天モバイルが本格サービスを開始しましたので、今後、事業者間の競争は加速すると期待しております。さらに、接続料の算定方式を見直すなど、MVNOも含めた携帯事業者間の競争を促進するための施策を講じてきておりますので、これからも低廉で分かりやすい料金、サービスの実現に努めてまいります。

三浦信祐君 間違いなく、国民誰しもが持っている携帯電話です、安くなったと実感したら、別なことに使えて景気回復にも直結をします。是非強力に進めていただきたいと思います。
 ありがとうございました。