経済産業委員会(2020年3月10日)

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 新型コロナウイルス感染症が経済に与えている影響は極めて大きくなっております。一日も早い終息をするとともに、確実な経済対策へ心して審議に望んでまいりたいと思います。
 大臣、申し訳ございません、冒頭、通告をしておりませんけれども、要望を一つだけ、現場から上がってきた声があります。
 それは、セーフティーネット保証四号、五号、これは基礎自治体の窓口の認定処理が必要であります。ところが、現状そこに時間が掛かっていると。なので、総務省と連携をして、スピードアップをするように是非対策本部等でもお声を上げていただきたいと思いますけれども、是非お願いをさせていただきたいと思います。

国務大臣(梶山弘志君)  全ての手続が早くできるように、総務省と連携しながら対応させていただきます。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 昨年、臨時国会にて、中小企業のBCP策定について質問させていただきまして、「被災事業者の事例を検証することでどのような対策が被災時に有効であったかを確認し、BCP策定を含む中小企業の災害に対する事前対策の重要性を積極的に周知、普及してまいりたい」と御答弁を頂戴をいたしました。
 現在の検証結果及びその後の取組の結果はどのようになりましたでしょうか。

政府参考人(奈須野太君)  お答え申し上げます。
 昨年十一月の本委員会におきまして、委員から、中小企業のBCPの策定割合を向上するために、BCPを策定した企業について検証して好事例を含めてBCPの重要性を広報したらどうかと、このような御示唆をいただいております。
 中小企業庁では、昨年施行いたしました中小企業強靱化法に基づきまして、中小企業が策定する防災・減災に関する取組を認定する事業継続力強化計画についてどのような対策が有効かということについて、現在、被災事業者の事例を検証している最中でございます。
 また、各企業における計画策定を支援するために、実効性の高い計画というものについては、好事例としてこれまでも開催しているシンポジウムの場で積極的に公開しているところでございます。さらに、全国四十七の都道府県でのワークショップの開催、それから二百人体制での専門家の派遣などを行っておりまして、この結果として、法律の施行から八か月で件数が約五千件に上る計画を認定しているというところでございます。
 引き続き、これらの取組によって中小企業による事前の備え、こうしたものを強化する取組を後押ししてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 引き続き、よろしくお願いします。
 新型コロナウイルス感染症により、企業、特に中小企業におけるサプライチェーンの寸断、従業員及びサービス提供者の罹患等が発生をして、経営上でのリスクが生じております。従来、中小企業のBCPは自然災害を軸として策定をされております。しかし、現在の事案を鑑みれば、BCPの中に疫病発生時のリスク管理の加味、グローバル化したサプライチェーンのリスクヘッジ策などを含めて作成すべきであります。体制を整えて、従前のBCPに策定段階から影響対策を追加するように変更をしていただきたいと思います。
 その上で、感染症により生じている課題、問題、事案等をしっかりと調査、整理をして、経営不安定からの回復、リスク回避への事前準備等に生かすためのBCP策定支援の基本情報とすべきであり、事前対策の強化、確実に取り組んでいただきたい。
 中野政務官、お願いできませんでしょうか。

大臣政務官(中野洋昌君)  三浦委員にお答え申し上げます。
 今般の新型コロナウイルスの発生によりまして、まさに委員御指摘のグローバル化におけるリスクヘッジの問題、あるいは従業員への感染防止策、感染後の対策、さらには風評被害に対する適切な対応等が事業継続にとって大きな課題となっていることが明らかになっております。
 この中小企業強靱化法では、自然災害のみならず、事業の継続性を確保するための備えに取り組むための計画を認定する仕組みでありまして、備えるべきリスクとして感染症についても法令上の対象範囲に含まれているところでございます。
 他方、御指摘のとおり、現在認定を受けている多くの事業継続力強化計画は自然災害への備えに関するものでございまして、今般の新型コロナウイルスの影響を鑑み、事業者が計画を策定する際に参照する手引あるいはPR資料等につきまして、感染症等へのリスクに関する内容を強化してまいりたいと考えております。
 また、事業者が感染症対策に前向きに取り組みやすい環境を醸成するため、専門家派遣による相談対応や事前対策を啓発するシンポジウムの開催等を通じまして、感染症対策を検討する上での事業者の課題をしっかりと把握しつつ、事業者のニーズに対応した効果的な周知、広報を行ってまいりたいと、このように考えております。

三浦信祐君 中小企業強靱化法の中では実は感染症リスクも入っていたと。でも、現状、認定するところには入っていないということでありますので、これしっかり取り組んでいただきたいというふうに強くお願いしたいと思います。
 働き方改革関連法に基づいて、四月一日、中小企業への時間外労働の上限規制が適用されます。あわせて、同一労働同一賃金のルール適用が大手企業に課され、中小企業には来年の四月一日に適用開始となります。新型コロナウイルス感染症の影響を今後加味し、ルール適用について運用上での考慮が必要となる可能性はあると思います。
 労働法制上の大きな変革期にあって、中小企業において、施行を前にし、法令遵守ができる体制が整っているとの理解でありますでしょうか。働き方改革支援センターや、よろず支援拠点等に寄せられている経営者の現実的な声はどのようなものでありましょうか。法施行に際し、中小企業が抱えている課題を解決できる支援を行い、更に不利益を被ることがないように、特に下請取引に対する不当な要求等が生じないよう、関係省庁と強力に経済産業省は連携をして、適正かつ円滑な実施のために取り組んでいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(奈須野太君)  本年四月から中小企業に対して時間外労働の上限規制が適用されます。また、来年四月からは中小企業でも同一労働同一賃金の対応が求められることになります。
 こうした中、改正法の適用に係る経営者からは、三六協定書の書き方とか、改正法についてより実質的な内容が知りたいという声や、同業他社の取組事例、それから業種、効率化の助言が欲しいと、こういった要望が寄せられております。
 このため、経済産業省では、今回の制度変更に柔軟に対応できるようにするための生産性向上のための投資支援、それから、各企業が働き方改革に適切に対応することができるための経営相談に対する支援を行っているというところでございます。
 例えば、生産性向上については、今般の補正予算で三千億円を超える規模での中小企業生産性革命推進事業と、こういったことで、設備投資やバックオフィスの事務の効率化、販路拡大などの取組を支援してまいります。
 さらに、先月ではございますけれども、厚生労働省と連携して、両省の副大臣の下、働き方改革対応合同チームというものを創設しております。この合同チームの下、都道府県にある労働局とそれから私どもの地方の経済産業局の共同のチームで、特に働き方改革への対応が遅れているという声がございます旅館とかホテルの組合、こうしたところの業界団体にアプローチして重点的な周知を実施しております。
 また、大企業の残業削減の働き方改革に伴う中小企業へのしわ寄せ防止といったことにも重点的に取り組んでおります。具体的には、昨年六月に策定した総合対策に基づいて、厚生労働省、それから公正取引委員会、こういったところと連携いたしまして、労働基準監督署に寄せられたしわ寄せの事案を共有するということなどを通じて監視、取締りを強化しております。
 また、現在の新型コロナウイルスの影響といった状況も踏まえまして、こういったことが下請企業に影響を及ぼさないよう、下請転嫁Gメンヒアリングや、各種の相談窓口を通じて取引や経営の実態把握に努めているというところでございます。
 こうした取組で、働き方改革に前向きに取り組むような中小企業・小規模事業者を積極的に支援してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非よろしくお願いします。
 中小企業の経営において、必要な投資を行い、賃上げや生産性革命を推進するに当たり、補助金制度は極めて有効です。政策推進にも寄与します。
 ここで、大臣に二つ質問させていただきます。
 例えば、いわゆるものづくり補助金について、これまでの財源は補正予算でしたが、強力な我々も要望をさせていただいたことが実り、現在審議中の令和二年度当初予算に盛り込まれております。ものづくり補助金は中小企業の生産性革命を後押しする重要な役割を担っており、更なる拡充、継続化へ支援をしていきたいと思います。
 その上で、中小企業の現場からは、ものづくり補助金が導入された際に比べて現状の募集要件が複雑化、申請書類が増大をしている、また、現状、申請書の作成に多くの時間を割かなければいけない、書類提出などの簡便化、補助金の使いやすさ自体を向上してほしいとの声が、要望が上がっております。
 大臣、ものづくり補助金の申請手続の簡便化、更なる使いやすさの向上へ改善をお願いしたいと思います。この際ですから、他の補助金についても使い勝手を向上すべきだと私は思います。また、今般の感染症による経済影響を考慮をすれば、公募時期も可及的速やかに前倒しをして、早急に公募を開始をしていただきたいと思います。御決断をお願いしたいと思います。
 もう一つ、続けて、済みません。
 さらに、多忙を極める経営者から、補助金等のメニューの複数、また複雑さにより、中身を考えることよりも活用に適しているかどうか否かの判断にかなりの負担があるとの声もいただいております。ワンストップ体制の整備をすること、相談体制を整備することも重要であるとは考えますけれども、そもそも、支援メニューの利用規定を大胆に見直して、整理統合して合理化、シンプル化を図り、より中小企業経営者が活用し経営に生かしやすいようにすべきだと私は思います。
 併せて取り組んでいただきたいんですけれども、梶山大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(梶山弘志君)  今般の新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者について、生産性革命推進事業を活用し、サプライチェーンの毀損等に対応するための設備投資や販路開拓等の取組を支援することとし、本日から公募を開始をいたします。この際、事業者が交付決定手続までの期間を待たずに迅速に取組を進められるよう、交付決定前の経費も対象とするなど柔軟な取扱いを行う予定であります。
 あわせて、補助金手続を簡素化し、事業者の利便性を高めてまいります。ものづくり補助金では、今回の公募から支援機関による確認を不要とするとともに、申請書に添付する書類の数を半減いたします。採択後の手続についても、補助金共通申請システムでありますJグランツを利用し、全て電子上で対応可能といたします。
 また、補助金申請手続の電子化を幅広く進めることにより、例えば事業者の属性に応じて最適な補助金メニューを推薦するサービスも可能となる、この四月にこの提供を開始をいたします。
 補助金を始めとして中小企業の支援メニューが複雑化している側面もあることから、今国会に法案を提出をし、複雑化した計画認定スキームを整理統合する予定であります。
 中小企業の支援策というのは、やはり受ける側が分かりやすいように、私は、この目的何だといったときにすぐに分かるような明快さが必要だと思っておりますので、そういった面も含めて、皆さんの声を反映させながら改善をしてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 大臣、今、中小企業の経営者は大変喜んだと思います。どうか四月からしっかりと運用できるように、また心して掛かっていただきたいと思います。
 補助金申請の簡便さ、効率化自体が生産性革命ともなり得ます。経産省では今御紹介をいただいたJグランツが導入をされております。今後、このJグランツにて補助金申請ができる対象を拡充し、速やかに現場で活用できるように社会実装すべきだと私は思います。もし準備が遅れているような補助金があるようならば、一遍に見ることが大事だと思いますので、これ是非急いでいただきたいと思います。
 また、Jグランツのサイトが経済産業省、中小企業庁、中小機構のホームページですぐ分かるようにはなっていないため、中小企業者は、せっかくいいものなのに情報入手をしづらいというのが現状であります。容易にアクセスできるように、目立つように改善をお願いしたいと思います。
 加えて、GビズID、これは必要なIDですけれども、取得に二、三週間とも書面上ではうたわれておりますけれども、今般のものづくり補助金を含めて、先ほど大臣から前倒しをしてやっていただくということもありますので、ほかの補助金の申請期間等のことも考慮すれば一日でも早く取得可能にすべきであります。
 中野政務官、御対応いただけませんでしょうか。

大臣政務官(中野洋昌君)  Jグランツにつきまして御質問をいただきました。
 経済産業省としましては、今年の一月から汎用的な補助金申請システムでございますJグランツの運用を開始しております。Jグランツは、事業者が情報を一度入力すればほかの補助金で同じ情報を再度入力しなくてもよいワンスオンリーや、いつでもどこでもウエブ申請ができるといった形で、中小企業者にとって利便性が高いサービスを目指しております。
 経済産業省におきましては、二〇一九年度補正予算の七事業、また二〇二〇年度当初予算の二十事業で活用する予定であります。また、経済産業省以外でも、現時点で七省五十事業、それに加えて、二十六の自治体の補助金で活用をいただく予定でございます。
 御指摘ございましたとおり、事業者から余裕を持って申請に備えられますよう、公募の開始日を待つことなく、前もって補助金の概要や要件などの公募情報をJグランツに掲載をしてまいりたいと考えております。
 また、見付けにくいということで御指摘まさにいただきました。経済産業省のホームページにバナーを準備させていただきまして、既に本日バナーを見れるようになっております。簡単に見付けられるという工夫をしてまいりたいというふうに思います。情報の充実や探しやすさの点でも工夫をさせていただきたいというふうに思います。
 また、GビズIDでございます。原則、発行まで十四日以内ということでなっておりますけれども、今年の二月から発行事務に係る体制を拡充をさせてまいりました。現状では申請書の到達後二日程度で発行が可能という体制にしております。
 引き続き、事業者にとりまして、補助金の申請が電子的に行いやすい環境というものを提供をいたしまして、この負担を軽減をできるようしっかりと運用に努めてまいりたいと、このように考えております。

三浦信祐君 早速お応えをいただいてありがとうございます。これからも引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 次に、中小企業の知的財産活用支援について質問させていただきます。
 現状の中小企業における知財についての課題は、知財に関する専門家との接点が薄い、あるいはない、開発段階からの知財戦略に関わる人材を有していない、他の知財を活用する視点が少ない、そもそも自社製品が知財と関係するか否かについて判断や興味が薄い、そして、知財を有してもメリットを感じて活用することを考慮していないなど、多数挙げられます。
 それゆえ、中小企業における従前どおりの知財に対する考え方では、国内はもとより国際的にも競争力が失われる一方だと考えます。知財活用、そして知財に対する考え方について、より中小企業に焦点を当てた制度の検討、設計、確立を急ぐべきであり、国が前面に立って戦略を作り、強固に進めていただきたいと思います。
 特許庁長官、いかがでしょうか。

政府参考人(松永明君)  今委員御指摘いただいたとおり、中小企業の中には、知財に関心が薄いですとか、特許を取得しても活用方法が分からないですとか、あるいは相談できる専門家もいない、このような多様な課題を抱えていらっしゃると、これを認識しておるところでございます。
 こうした現状を受けまして、平成二十八年に、地域、中小企業における知財の取得、活用の各段階で包括的な支援を行うべく、地域知財活性化行動計画を作成しまして、関係機関と一緒になって連携して計画的な支援を実施しているところでございます。
 特に中小企業には気付きを持っていただく、そして戦略を作っていただくと、こういうことが重要だと考えておりまして、まず、知財の普及啓発イベント、これを開催するとともに、各都道府県で今、知財総合支援窓口というのがございます。これも単に受け身で待っているだけではなくて、実際に訪問して御相談をするですとか、あるいは地方の商工会、商工会議所、よろず支援拠点、こういった支援拠点と連携しまして様々な取組を行っているところでございます。
 今後とも、企業のニーズによりきめ細かな対応を行うよう、個社の、それぞれの各社の経済戦略の策定支援、こういったことも含めまして、地域知財活性化行動計画、これを見直しを行う予定としております。中小企業の皆様に戦略的に知財を活用していただけるよう、計画的、戦略的な支援を強化してまいりたいと思っております。

三浦信祐君 一つ飛ばさせていただきます。
 中小企業が保有をされて眠っている知財を整理し活用を促していく、あるいは知財の活用方法を助言していく、マッチングを促進する、知財と経営を有機的につなげていく取組など、中小企業における知財の有効活用を加速することが日本経済の発展には必要です。
 経済産業省、特許庁が人員を確保して、中小企業を待つのではなくてきちっと回っていただいて、知財の活用や知財自体を引き出してくるような体制を組み、実施をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(松永明君)  今御指摘いただいたとおり、中小企業に知財の有効活用、これをしてもらうためには、受け身で待っているだけではなく、経済産業省、特許庁、中小企業に訪問すること、これで実際の必要性、それから御相談をしていくことが重要だと考えております。
 先ほど申し上げましたけれども、全国の知財総合支援窓口、これも相談を待つだけではなくて、年間一万件の企業にアポイントを取って、知財制度の概要と支援メニューを御紹介しながら御相談をしているところでございます。また、知財総合支援窓口は、中小企業支援機関、地域金融機関とも連携し、中小企業の経営支援の際に知財についてもアドバイスをしていただけるような取組を進めておるところでございます。
 さらに、特許庁職員、地域経済産業局の職員、これが御訪問して、実際の中小企業のニーズ、それからお悩みをしっかりと受け止めた上でいろいろな支援をしていくことが重要だと考えておりまして、現在、一千件の地域の企業を訪問して、企業が抱えていらっしゃる知財の課題に応じた支援策の活用支援などを行っているところでございます。
 引き続き、こうした取組を強化しながら、中小企業の知財への関心の底上げ、そして対応策の強化に努めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 終わります。