経済産業委員会(2019年11月14日)

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
さきの台風等の自然災害にて多くの方が犠牲となるとともに、多数の方がいまだ不自由な生活を余儀なくされております。お悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
被災地域では、生活再建、復興へ取り組まれております。しっかりと支援をしてまいりたいと思います。
十一月の八日、台風十九号等の被害に対して被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージが出されました。その中で、中小・小規模事業者の支援等が盛り込まれ、自治体連携型補助金による手厚い支援及び小規模事業者持続化補助金を手当てすると承知をいたしております。
そこで、被災された事業者がこれらの補助金を複数活用することは可能なのか、伺います。また、被災した事業所以外の事業現場にて生産性革命を標榜して企業経営を考えていく場合、ものづくり補助金も併せて申請できるようにすべきですが、いかがでしょうか。明確に答弁をお願いいたします。

政府参考人(渡邉政嘉君)  お答えいたします。
一般論といたしまして、補助金の目的や交付要綱に照らし適切である限り、一つの事業者が異なる経費については複数の補助金の交付を受けることは可能でございます。
委員御指摘の被災を受けた事業者で持続化補助金を採択された事業者が、別の事業所でものづくり補助金を申請することも可能でございます。

三浦信祐君 多分、聞いている中小企業者の方は安心したと思います。なので、しっかりアドバイスもしていただきたいと思います。
その上で、大臣にお伺いしたいと思います。
被災した中小・小規模事業者にとって、再建へ向けて、支援メニューは大変心強いものだと思います。しかし、支援メニューが複数あり、要件などが複雑で分かりづらいと感じられる可能性は十分にあります。平素のメニューであったとしても、そういう声はたくさん寄せられております。これは、被災地においては大変困ることだと思います。
被災事業者に対して、プッシュ型で相談、情報提供を行っていただきたいと思います。体制の強化、確実に被災企業へ情報が届き、災害による廃業がなくなるようにお願いをしたいと思います。
梶山大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。

国務大臣(梶山弘志君)  お答えをいたします。
今回の台風十五号や十九号など一連の豪雨では、多くの中小企業・小規模事業者が大きな被害を受けました。経済産業省では、今回の生活、なりわい支援パッケージには、国が最大限全力で支えてくれると被災事業者にはっきり分かる対策を数多く盛り込んでいるところであります。
これを被災された事業者の皆様にしっかりと届けて、早期にお使いいただくことが重要との考えから、中小企業庁の職員を自治体に派遣をし、パッケージを公表した翌日の八日、特に被害の大きい宮城県、福島県、長野県、栃木県において、パッケージの詳細な内容に関する説明会を開催をしたところであります。さらに、今後は、自治体や中小企業団体と協力をして、被災県内の各地域に出向いて説明会を開催をし、被災事業者の丁寧な情報提供を行ってまいりたいと思います。
このように、被災事業者の個々のニーズを丁寧に伺い、必要な支援策を提示する寄り添い型で支援を行い、被災事業者の一日も早い事業再開に向けて取り組んでまいりたいと思っております。過去の例も含めて、分かりやすい説明、そして取組をしてまいりたいと思いますし、簡素な手続、運用は柔軟にということを心掛けてやってまいりたいと思っております。

三浦信祐君 大臣が言っていただいたということは、現場にもしっかり伝わっていくと思います。どうぞよろしくお願いします。
ものづくり補助金について伺います。
まず、確認ですけれども、ものづくり補助金で導入した機材が被災した場合、リスクヘッジの対象としているのでしょうか。事業再開に際して、再びものづくり補助金の応募及び採択の上、補助できるようになっているのか、また注意すべき点はあるのでしょうか。伺いたいと思います。
その上で、ものづくり補助金は、前年に比べて三%以上の生産性向上が計画上必要条件となっております。しかし、ものづくり補助金で導入した機材が被災した企業の場合、再度申請するに当たって、前年比での生産性向上割合が判定基準となってしまえば補助金を受け取ることは事実上できません。
被災前と同一機材の導入を可能とする、あるいは被災以前、ものづくり補助金申請時点での計画を判定条件としていただきたいのですが、いかがでしょうか。あくまでも中小企業の側に寄り添って制度の寛容性を担保していただきたいと思います。是非お願いいたします。

政府参考人(渡邉政嘉君)  お答えいたします。
今般の一連の災害で被害を受けられた事業者につきましては、一日も早い事業の再開に取り組んでいただくことが何よりも重要でございます。政府といたしましても、全力で支援を行っているところでございます。
ものづくり補助金の交付を受けた事業者につきましては、事業の実施年度内に導入した設備が被災した場合、被災事業者に寄り添った支援とするために、当該事業を未完了として、被災前の経費を補助を行います。その上で、同様の設備を導入する事業計画を別の補助金においても申請することを認めてございます。注意点といたしましては、事業を未完了とする手続を行う際に、罹災証明や事故報告書等の提出が必要となる点がございます。引き続き、被災した事業者に寄り添った支援策を講じてまいります。
また、被災した前年度が付加価値額の伸び率の計算の基準年となる場合には、付加価値額を年率平均三%以上に向上させる事業計画の策定が困難になる場合が想定されますけれども、こうした不利等を是正する観点から、激甚地域における被災事業者においては、審査における加点措置によって優先採択させていただけるようにしてございます。
本日いただきました御指摘も踏まえ、被災された事業者の声に耳を傾けながら制度の在り方を検討してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 大事なお話をいただきました。
当然、被災するという前提はない中でありますので、中断手続をするという観点では、罹災証明と事故報告をしっかり出していただかないと、いざやろうと思ったときにできないということでありますので、これも是非周知もしていただきたいと思います。加えて、加点措置をしていただけるということは大変希望になると思いますので、ここも、現場の相談窓口でそれが知らなかったということが一番ダメージになりますから、これも徹底をしていただきたいと思います。
企業経営にとって、平時のうちに災害時を想定した準備が重要であります。しかし、中小企業の事業継続計画、BCPの策定割合が低いのが現実であります。全国的に自然災害のリスクが高まっている中で、災害によるダメージ軽減と迅速な復旧復興、再生へ、BCP策定をしている企業数の増加を加速すべきだと私は考えます。
また、近年の豪雨災害、台風被害を受けた企業のうち、BCPを策定していた企業の復興再生と策定内容のマッチング等を検証し、今後に反映すべきだと思います。好事例を含めてBCP策定の重要性を広報し、目に見える形で増加するようにプッシュ型の策定支援もお願いしたいと思います。
企業のBCP策定へ万全な支援をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。

政府参考人(渡邉政嘉君)  お答えいたします。
近年、中小企業・小規模事業者の事業継続に大きな影響を及ぼす大規模な自然災害が頻発しております。BCPを含めた事前対策の強化が喫緊の課題でございます。
このため、経済産業省では、さきの国会で成立いたしました中小企業強靱化法におきまして、中小企業が策定する防災・減災に係る取組を事業継続力強化計画等として認定をし、認定事業者に対して低利融資や税制優遇などの支援を行う制度を開始したところでございます。同計画は、事業者が取り組みやすいよう、BCPの要点を簡易にまとめたものでございます。
委員御指摘のとおり、こうした取組を普及させるためには、事業継続力強化計画が防災・減災に役立った好事例を取りまとめ、横展開することが極めて有効であると考えております。例えば、今回の災害では、事業継続力強化計画にのっとり、台風到来前に原材料を高台に移動した事例や、BCPに従い、事前に止水板を設置して、金型を倉庫に避難させた事例等などがございます。
このように、被災事業者の事例を検証することでどのような対策が被災時に有効であったかを確認し、BCP策定を含む中小企業の災害に対する事前対策の重要性を積極的に周知、普及してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいと思います。
次に、キャッシュレス化とレジ補助について伺いたいと思います。
世界の潮流であるキャッシュレス化の推進は重要な取組だと理解をしております。その上で、キャッシュレス化の推進に伴い新規に決済端末やレジを導入する際に、現場で混乱、また困難が生じているケースもあると聞いており、私も実際に小売店者からも伺ってまいりました。今後予定される経理方式の変更も控え、決済端末やレジ等を導入することでより経理処理が容易になり、手間が省けていくと事業者の皆さんが何らかのメリットを享受できるようになるなど、現実的課題の克服へ支援が必要だと私は思います。
こうした中小企業・小規模事業者に対し、経済産業省はしっかりとサポートをしていただかなければならないと思います。具体的に取組を進めていただきたいんですが、宮本大臣政務官、いかがでしょうか。

大臣政務官(宮本周司君)  三浦委員の御質問にお答えをいたします。
キャッシュレスに関しましては、午前中も斎藤委員の方からもあったところでございますが、この推進は、やはり、消費者の利便性の向上、また店舗の効率化、売上げの拡大、そしてひいてはデータの利活用の促進、こういったことに資する重要な取組だと考えております。
例えば、レジ導入補助金に関しましても、今回の様々な自然災害の影響も受けたことも鑑みまして、これも柔軟に、一定の要件を満たした場合の延長の措置も対応しておりますし、また、タブレット型のレジ、パッケージ型のレジですね、こういったものを導入したところは、いわゆるクラウド会計のソフトを導入することによって店売りのデータがそのまま会計データとして蓄積される、こういった経営基盤を強化する、また効率化を図る、こういったことも実現するところでございます。
ただ、他方で、委員御指摘のように、決済端末やレジの導入に当たって様々な問題、また課題が生じているということも認識をしております。経済産業省といたしましても、このキャッシュレスの導入に当たりまして、中小店舗の方からの相談を受けるためのコールセンター、これを設置をしておりますし、全国に地域サポート事務局を設置をいたしまして相談に乗っていく体制も整えているところでございます。
そしてさらに、やはり現地、現場、様々な事業者の方がいらっしゃいますので、その状況に応じて、各地域には商工会や商工会議所が存在をしておりますので、そこに所属をする経営指導員が大体全国で七千五百名いらっしゃいます。この体制で、中小事業者を直接訪問するなどしましてその報告を確認し、また、タイムリーに中小事業者の声をきめ細かく把握をし、様々な課題へ寄り添った対応をできるように努めていくところでございます。
引き続き、御懸念がしっかりと改善、また現場で解消されるように、現地、現場の声に耳を傾けまして事業者に適切に対応するように、経済産業省、中小企業庁、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

三浦信祐君 一つお願いです。聞いていただいたのは、その人は解決できても、ほかの方にその同じ環境があったということが分からないで、同じことを同じ地域ではなく別のところでやるケースもあると思います。是非横展開もしていただきたいと思いますので、重ねてお願いしたいと思います。
日本の人手不足倒産は前年比四八%増となるなど、中小企業の現場での自動化は待ったなしの状況であります。
ものづくり補助金では、フィージビリティースタディー、実行可能性調査に必要な経費は、自動化に必要な設備を導入すると決まった事業者にしか補助をされません。自動化のための装置を入れるべきなのか、ビジネスモデルを変えることで対応できるのかといったコンサルティングに対する支援が欠けております。また、自動化機器、生産性を向上できる新型機など、装置をお試しで導入したい、あるいは導入機材が本当に使用可能なのか、試作可能かといったニーズに対する支援、資金的補助が必要であります。機材等は安易に購入を決断しづらいからこそ、機材等の更新に必要な知見を得ることができる、つなぎの部分の支援にしっかりと手を打っていただきたいと思います。
梶山大臣、是非補助金等の創設や対応を措置していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(梶山弘志君)  委員御指摘のとおり、中小企業がロボット等による自動化を進めるに当たりまして、大規模投資を実施する前段階において導入可能性調査やビジネスモデル構築を実施することは大変重要なことであると考えております。
現行のものづくり補助金は主に設備投資を支援する施策であることから、こうした調査事業単体を補助対象としていませんけれども、スマートものづくり応援隊やロボットシステムインテグレーター等、物づくり中小企業の自動化投資等の業務改善を支援する専門人材を育成をしているところであります。中小企業へのコンサルティング支援を行うネットワークを構築して、その活用をそして促してきたところでもあります。また、全国四十七都道府県に設置しているよろず支援拠点や専門家派遣制度を通じて、ビジネスモデル構築や販路開拓などの課題に対する相談支援等も行ってまいりました。
先日の総理による経済対策の指示も踏まえて、現場の声を聞きながら、生産性向上にチャレンジしようとする中小企業を支援するための方策をしっかりと検討をしてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 大きな動きの支援も極めて重要だと思います。一方で、物づくり企業にとってみれば、溶接の方が高齢化になって、そのところの技術を機械に任せたいと思ったときに、新しい機械をいきなり買うというのは難しいと思います。その試作を、例えば五十万、百万でそれを試しにやってもらって、よければ買いたいという、その五十万、百万がないというのが現場の小さな声であります。ここに手当てをしていくことによって生産性革命は加速をすると思います。この一番大事なところに、是非大臣のリーダーシップで形にしていただきたいと思いますので、重ねてお願いしたいと思います。
第四次産業革命が進展する中、産業界で必要とされる人材、スキルが大きく変化をしております。特に、ロボティクス分野では今後の人材確保なくして進展はありません。しかし、高等専門学校、工業高校の教員等が学問として大学時代に取得した知識では、AIやIoTとの連携など社会のニーズに合う教育体制、対応が難しいのが現状であります。是非とも産業界がこれら教育機関と連携をして、学生のみならず、学校現場の教員、技能者等の人材育成に取り組むべき必要があると思います。
加えて、ロボットの研究開発人材育成は必要でありますけれども、それ以上に、ロボットを産業現場に導入するために必要不可欠なシステムインテグレーターの重要性が増しております。将来のロボット利活用人材の育成も欠かせません。
いずれにしましても、経済界、産業界、そして教育現場の人材育成、社会実装への環境整備と体制整備を急ぐべきであり、文科省とも連携して経産省が率先して取り組んでいただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(梶山弘志君)  ロボットに係る新しい技術の開発や幅広い分野の導入を進めていくためには、これを担う人材の育成が大変重要であります。例えば、ユーザーの立場からどのようなロボットを組み合わせて導入すると生産ラインの最適化を図ることができるか等を支援する、今お話にありましたシステムインテグレーターと呼ばれる人材やロボットに関するエンジニアを育てる人材が不足しておりまして、その育成が喫緊の課題となっております。
経済産業省では、これまでシステムインテグレーターの育成に向けた社会人教育講座を開催をしております。さらに、今後の取組として、高等専門学校や工業高校の教員向けのインターンシップの実施や教材開発等について検討を進めているところでもあります。
こういった事業は産業界や文部科学省とも一体となって進めておりまして、今後とも、オールジャパンで課題解決のために積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

三浦信祐君 時間がないので最後にしますけれども、端的に伺います。
日本の産業ロボットのシェアは大きく低下をしております。一方で、ロボットを構成する減速機、モーターなどの要素技術は八〇%近くが日本製であります。強みを有している部分の技術と人材を今後も確保していく取組というのは我が国の成長に極めて重要であります。
世界は、恐らく日本に引き続いて人材不足という時期がやってくると思います。そのときのために先手を打てるというのは、日本の今の逆にチャンスだというふうに私は考えます。ですので、是非こういう人材育成、コア技術の革新的、しっかりと支えをやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(高田修三君)  御指摘のとおり、拡大する世界の産業用ロボット市場において、日本製は世界一のシェアを維持し、出荷台数についても増加傾向にあります。他方で、世界市場の拡大とともに、新たなプレーヤーの参入などにより、世界シェアにつきましては一九九〇年代の九割程度から現在は六割程度までに低下してきております。
今後、日本の強みを維持していくためには、市場のニーズに対応した先進技術の開発を加速することが鍵であると考えております。この観点から、例えば経済産業省では、どのような硬さ、形状のものでも人間のようにつかめるハンドリング技術のような開発など、社会に役立つ産学連携プロジェクトを令和二年度新規予算として要求しているなど取り組んでいるところです。
こうしたプロジェクトを通じ、日本が世界に打ち勝つためのコア技術を確立するとともに、新しい分野でのロボット導入による人手不足解消といった面にも貢献してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 知財の件について聞けなかったこと、大変おわびをしたいと思います。また次の機会にやらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。