国土交通委員会(2019年6月6日)

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 六月の一日、神奈川県横浜市内を走る横浜シーサイドライン新杉田駅で発生した逆走事故、事故に遭われ、けがをされた皆様にお見舞いを申し上げます。一日でも早い回復をお祈りしたいと思います。
 運転手がいない自動運転、地域では当たり前の姿であり、当たり前に安全運行していた中での今回の逆走事故。想定をしていないことであり、二度と起こしてはなりません。運輸安全委員会が調査に当たられており、徹底した原因究明を行っていただきたいと思います。
 その上で、石井大臣に伺います。
 国土交通省として、本事故を受けての対応はどのようにされたのでしょうか。

国務大臣(石井啓一君)  今般発生をいたしました横浜シーサイドラインの逆走事故によりまして、十四名の方々が骨折や打撲等のけがをされました。被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 公共交通機関といたしまして、鉄軌道の輸送の安全確保は最大の使命であり、このような事故が発生したことは誠に遺憾であります。
 国土交通省といたしましては、横浜シーサイドラインに対しまして原因究明と再発防止策の実施を指示するとともに、全国の鉄軌道事業者に対しまして、今回の事故について周知をし、注意喚起を行っているところであります。
 事故の原因につきましては、現在、運輸安全委員会等において調査中でありますが、横浜シーサイドラインによれば、折り返し駅である新杉田駅において、ATO、自動列車運転装置の地上側の装置から進行方向を切り替える指示が出ていたにもかかわらず、当該列車は進行方向を変えずに走行し、車止めに衝突をしたとのことであります。
 このように、今回の事故ではATOに何らかの異常が発生したことが想定されていることから、横浜シーサイドラインでは、当分の間、ATOを用いず、ATC、自動列車制御装置を用いた運転士による運転により四日の十一時より運転を再開をしているところであります。
 国土交通省では、事故原因につきまして、昨日、横浜シーサイドラインから直接ヒアリングを行ったところでありますが、運輸安全委員会とも連携をしながら徹底した原因究明を行ってまいります。また、その状況等を踏まえまして、必要により鉄軌道事業者に緊急点検の実施を指示することとしております。さらに、横浜シーサイドラインを始め、無人による自動運転を行っている事業者や研究機関等の関係者から成る協議の場を立ち上げまして、再発防止等を検討することも予定をしております。
 国土交通省といたしましては、このような取組を通じまして、引き続き鉄軌道の安全輸送にしっかりと取り組んでまいります。

三浦信祐君 六月の三日、私は事故現場に行かせていただきました。
 シーサイドラインというのは、一日何万人もの方が通勤通学、そして通院やレジャーに利用されておりまして、地域の重要なインフラであります。シーサイドライン一編成当たりの輸送量は、一車両当たり約七十名、五両編成で三百五十名であり、事故後、バスによる代行運行が開始をされたものの、輸送力が追い付いていなかったというのが実情でありました。原因究明は当然のこととして、関係者の方々が多くの確認作業を行った上で、一昨日の四日火曜日に、有人手動運転にて再開をされております。まだ通常の六五%のダイヤで、バスの代行運送も継続をしている状況であります。
 無人のATO、列車自動運転装置を利用した会社線は全国各地にあります。
 現地を視察した際、駅の構造として、通常停止位置から衝突した壁まで距離があり、万が一の逆走の際にも停止信号を出せるような構造となっていれば、車両を停止できるシステムが、そういうふうになっていれば衝突の回避も想定をできたかもしれません。今後の自動運転への信頼回復のために、あらゆる安全対策を不断に見直す必要もあると思います。
 加えまして、今日、横浜市営地下鉄のブルーラインにおいても、有人ではありますけれども、ATOで脱線事故が起きております。報道によれば、夜の間に点検があった際に、必要な物を取り除かず、線路の上に残っていたところの物に乗り越えていってしまったというのも報道のなされているところであります。
 鉄道事故が続いております。どうか、石井大臣、先頭に立って取り組んでいただきたいと思います。
 横浜市営地下鉄の案件に関しては、これから調査をされて、即座に運輸安全委員会の方々が現地に行っておられると思いますので、ここは答弁は要りませんけれども、いずれにせよ、安全対策を不断に見直す、そういう部分においては国土交通省のリーダーシップが必要であります。石井大臣、先頭に立って取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(石井啓一君)  我が国では、横浜シーサイドラインと同様の無人による自動運転は、同社以外に六事業者七路線で行われております。これら六事業者に対しましては、三日に、原因が究明されるまでの間は、特に折り返し駅での運転の状況に注意するよう指示をしたところであります。
 各事業者におきましては、現在、ATOの特別点検、車止めのある始発駅ホームに万が一の場合は列車を緊急停止させる監視員の配置、指令所による出発監視の強化などの対応を行っているとの報告を受けております。
 今回の事故に関する情報を事業者間で共有するとともに、今後の事故防止対策をどのように進めるか等を検討するため、本日午後、横浜シーサイドラインを含む七事業者を集めた会議を行う予定であります。この会議での議論等も踏まえまして、先ほど申し上げました無人の自動運転を行っている事業者や研究機関等の関係者から成る協議の場を立ち上げ、再発防止策等を検討することも予定をしております。この協議の場では、今回生じた事象のように、これまで想定されていなかったリスクがないか等を再確認した上で必要な対策を講じる等、無人による自動運転の安全性向上を図ってまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非、安全のため、安心のために強力に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、空の産業革命に向けたロードマップ二〇一八が発表され、二〇二〇年代前半、レベル4、いわゆる有人地帯での目視外飛行開始を目指し、ドローンの環境整備、技術開発が進んでいると理解をしております。ドローン利活用の中、期待をされているドローン物流の確立のためには、整備をしていかなければいけない課題が多数あります。
 まず、伺います。物流用ドローンポートシステムの研究開発を踏まえて、平成三十年度に過疎地域等における物流の課題解決に向けた実証実験を五か所で行ったと承知をいたしております。この実証実験で得られた知見はどのようなことでしょうか。その上で、課題も導出されているはずでございます。いかがでしょうか。

政府参考人(松本年弘君)  お答えいたします。
 トラックのドライバー不足などの物流の課題解決に向け、国土交通省は平成三十年度に全国五地域でドローン物流の検証実験を実施いたしました。いずれの検証実験も無事終了し、物流の課題解決に効果的と考えられる目視外補助者なしの飛行の実績を積むことができました。また、山間部や離島といったドローン物流に適した地理的特徴及びそれらの地域におけるドローンによる輸配送ニーズのある商品等を把握したことに加え、地域住民等のドローン物流に対する期待の高さも認識したところです。
 一方、課題といたしましては、更なるドローン物流の展開に向け、ドローンの輸送能力、安定性、コスト等が挙げられます。
 国土交通省といたしましては、これらの検証実験の結果等を踏まえ、本年三月より、関係者を集めた検討会を設置し、過疎地域等におけるドローン物流に関するビジネスモデルの構築に向けて検討を進めているところでございます。

三浦信祐君 是非継続してやっていただきたいと思いますけれども、福島ロボットテストフィールドにて、レベル3の確立を目指し、目視外補助者なしのドローン飛行試験が継続をしていると承知をいたしております。
 今後、ドローンの利活用が進んだ場合、ドローンのサイズ、速度、ペイロード、機能、飛行継続時間の差など、用途や目的によって多種多様な機体が飛ぶことが想定をされ、ドローンの機体の性能も変化し続けると考えられます。近い将来、ドローンが物流に活用されて定期的輸送が行われるようになることも期待される中、自律した自動操縦機と手動操作機が混在することでのドローン同士の衝突リスク、あるいはドローンと有人機との衝突リスクを回避、防止するために、運航管理システムの確立が必要であると私は考えております。加えて、適切な運用をされて、安全、安心を損なうようなことを避けるために、飛行情報の管理も必要であります。
 これらを総じて、今後の制度化についてしっかり取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(蝦名邦晴君)  お答え申し上げます。
 無人航空機の急速な普及に伴いまして、複数の無人航空機が飛行し、それらが衝突、落下した場合や航空機と無人航空機とが衝突した場合には、航空機の搭乗者や地上の人や物に被害が発生するおそれがございます。このため、今般、無人航空機同士や無人航空機と航空機の衝突予防の遵守事項等を明文化することによりまして、飛行ルールの強化等の措置を講じることなどを内容といたします航空法の改正案を今国会に提出して御審議をいただいているところでございます。
 また、今後、無人航空機の利活用の進展等に伴いまして多数のドローンが飛び交う段階では、無人航空機の管制に相当いたします運航管理システムや、電波や光波センサー等を用いた無人航空機同士の衝突回避技術が必要不可欠であると想定をいたしております。
 これらにつきましては、官民で構成する協議会で昨年取りまとめられました空の産業革命に向けたロードマップ二〇一八に位置付けられておりまして、現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOを中心に技術開発が進められている段階であると承知をいたしております。
 国土交通省といたしましては、ドローンのこの発展段階に応じまして、運航の安全確保を図る観点から、運航に関するルールの整備等につきまして、運用主体の在り方も含めまして順次制度化をしていく所存でございまして、関係省庁及び民間関係者と連携をして、制度の基本的方向性の検討を進めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 ドローンの利活用に際しては、ドローンが複数、多数飛行し混在するような状態を生み出すことを防止をする、安全上の観点から資格取得した企業等が利用しているドローンであることを証明するなど、的確なドローン利用を行うために、機体登録制度や目印化などルールを確立をしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 いずれにせよ、先手を打つことが大事だというふうに私は考えております。いかがでしょうか。

政府参考人(蝦名邦晴君)  お答え申し上げます。
 無人航空機の登録制度や識別につきましては、昨年十二月にまとめられました小型無人機に関する関係省庁連絡会議での報告書のほか、先ほど申し上げましたロードマップ二〇一八においても言及をされております。機体の登録制度や識別を含む今後の制度の進め方といたしましては、官民協議会のロードマップに沿って、二〇二〇年代の有人地帯での目視外飛行の実現に向けて、技術開発の進展に合わせて段階的に制度整備等を進めていく必要があると考えております。
 国土交通省といたしましては、ドローンの安全確保を図る観点から、内閣官房を中心とした関係省庁とともにドローンの登録制度や識別などの規制の在り方についても検討をしていく所存でございまして、民間関係者とも連携をして制度の基本的方向性の検討を進めてまいります。

三浦信祐君 是非よろしくお願いしたいと思います。
 次に、特殊車両通行許可申請について伺います。
 昨年十一月、本委員会にて特車申請の期間短縮についてお願いをさせていただき、大臣からは、二〇二〇年までに十日程度とすると答弁をいただきました。
 半年強が経過をいたしました。現状、申請に掛かっている日数は何日程度でしょうか。

政府参考人(池田豊人君)  特殊車両通行許可の審査に要する平均日数でございますけれども、昨年度、平成三十年度の上半期の実績は約四十七日でありましたが、同じく昨年度の下半期の実績では約三十四日となっております。また、直近の平成三十一年四月の一か月間の実績では約二十六日になっております。
 引き続き、様々な観点から迅速化に努めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 着実に進めていただいていること、感謝を申し上げたいと思います。
 特殊車両通行許可の審査を迅速化するために、道路地図情報、道路構造の電子データ化を重点的に進め、自動審査の拡大に取り組まれていると承知をいたしております。現状、電子データ化の状況は、県の道路で八四%、市町村道で四〇%、二〇二〇年までに八割を目指すとして、国も代行して取り組んでいただいております。その上で、やはり地方自治体の道路データの確立が申請許可速度を上げることに直結すると思います。早急に是非整備をしていただきたいと重ねてお願いをしたいと思います。
 電子データの収集について、現在、各地方整備局での体制はどのようになっているのでしょうか。必要なデータの取得の機材、車等必要なものも準備をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(池田豊人君)  現在、今委員御指摘の電子データ化を促進するために、車載型センシング技術などの新技術の導入を実施しまして、データ化の加速をしております。また、今御指摘のように、地方公共団体の方で行うデータ化について、国の方で代行することも行っております。
 このようなことをいたしまして、二〇二〇年までに約八割の電子データ化の目標をしておりましたけれども、一年前倒ししまして、今年度中にはこの目標を達成するべく取り組んでいきたいと考えております。

三浦信祐君 是非、更に加速をしていただけるよう応援していきたいと思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 国交省として特車許可の審査について一元化を目指す取組をされていることは承知をいたしております。プロセスをシンプルにして手続簡略化というのは、スピードアップ、生産性革命に直結するために早期に実現をしていただきたいと思います。
 一方で、一元化までには、急激に変化することが難しく、段階を踏まなければならない場合もあります。それは自治体の処理体制の制約というものがあると思います。例えば、それの現れているのが、横浜市と相模原市とでは特車申請から許可までの期間が異なると伺いました。取扱件数の問題ではなく、デジタル化が進んでいるか、それとも従前の手作業がプロセスに入っているかによる違いだと私は考えております。
 地方自治体の審査体制について、ソフトの支援、人的支援等必要な対応を国として行っていただいて、物流の停滞を招かない環境整備に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(池田豊人君)  地方公共団体の中には、審査体制が必ずしも十分ではない地方公共団体があることを認識しております。このような地方公共団体に対しては、審査に関する支援を行っていきたいと考えております。
 具体的には、平成三十年十一月から地方整備局と都道府県が参加するプロジェクトチームを設置をいたしました。このプロジェクトチームを通じまして、審査や道路構造の電子データ化を行うためのツールを国から地方公共団体に提供することや、地方公共団体で審査に時間を要している場合には国の職員が派遣して指導するなどを実施しております。
 このように、地方公共団体の迅速化に支援をしてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 首都圏においては、圏央道が完成をしたことによって今まで倉庫が造られていないようなところにも新しく倉庫ができて、それの人員体制確保というのが今まで必要なかった自治体にも求められるケースもあると思います。是非、これまでのノウハウ、そして物流の革命のためにも、国交省がしっかりと支援をしていただきたいということを重ねてお願いをさせていただきたいと思います。
 物流の生産性革命においてドライバーの運転時間の短縮、道路渋滞解消にも一定の効果をもたらすと考えられる高速道路の大口・多頻度割引について伺います。
 昨年の二次補正予算によって、高速道路の大口・多頻度割引は従前の四〇%から五〇%への割引が令和元年度末まで設定をされております。一方で、補正予算であることから、令和元年度末以降のその内容は決定をいたしておりません。
 私は効果があると考えておりますけれども、この大口・多頻度割引適用をしっかりと予算を確保して継続すること、将来的には拡充にも取り組んでいただきたいと思います。石井大臣、取り組んでいただけませんでしょうか。

国務大臣(石井啓一君)  高速道路料金の大口・多頻度割引は、主に業務目的で高速道路を利用する機会の多い車の負担を軽減することにより、日本経済の下支えとなる物流を支援する重要な政策と認識をしております。
 NEXCO三会社の料金制度におきましては、大口・多頻度割引の最大割引率を四〇%としております。平成二十六年度からは国の予算を活用いたしまして、この最大割引率を引き上げております。
 今年度におきましてはETC二・〇を利用する自動車運送事業者に限定をいたしておりますけれども、最大割引率を五〇%に引き上げており、現在、この引上げの期間は令和二年三月末までとなっております。令和二年四月以降の大口・多頻度割引の取扱いにつきましては、物流を支援する重要性も踏まえまして、引き続き、財源の確保も含めまして利用しやすい料金となるよう取り組んでまいりたいと考えています。

三浦信祐君 大臣、ありがとうございます。運送業者の皆さん、希望を持ったと思います。是非、我々も応援していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、国際海上コンテナについて質問をいたします。
 国際海上コンテナは、主として二十及び四十フィートサイズが利用されてきた中、四十五フィートコンテナについて二〇〇五年にISO規格化がなされました。現状、日本では大半が二十及び四十フィートコンテナが活用されている中、この大きな四十五フィートコンテナがアジア、特に中国と米国間の航路で使用されつつあり、日本においても今後活用されることも想定をしておかなければなりません。国際競争力を確保する上で、世界の今後を見据えた体制や制度等の整備が事前に必要であると私は考えます。
 利活用の障害についての課題を探るため、これまでに、東北地方整備局管内で公道実証実験が行われ、二〇一一年、宮城県では、構造改革特区として認定されて、四十五フィートコンテナの公道輸送が可能となっております。
 四十五フィートコンテナ輸送の円滑化に対して、特車申請のこれまでの経緯、検証結果及び現状について伺います。

政府参考人(池田豊人君)  四十五フィートのコンテナ積載車両につきましては、御指摘のとおり、平成二十三年三月より、宮城県などの構造改革特区におきまして規制を緩和し、特殊車両通行許可を受けて通行できるようにいたしました。この結果、当該特区を通行した車両につきましては、安全上特段の問題が生じなかったことを確認しております。
 この特区での結果も踏まえまして、平成二十七年六月から、後軸から車両の後端部までの長さなどに関する基準を設けた上ででございますが、四十五フィートコンテナ積載車両全般について特車許可を受けて全国で通行できるように措置を講じたところでございます。

三浦信祐君 先手を打っていただくということは極めて重要なことだと思います。これから需要が増えてきた場合に対処できるように、また更なる見直し等も必要な場合があった場合には迅速に対応していただきたいと思います。
 次は、少し難しい課題ではありますけれども、コンテナサイズの増加によって積荷量が増えることになります。これまでも課題となっていた荷物の積み方、例えば、コンテナの底の部分に軽い物、上の部分に重量物が積み込まれているケースがあり、トラックの横転事故の原因ともなってきたと言われております。
 運送業者は積込み方に関与できない中、横転事故リスクを取り除く対応が私は不可欠だと思っております。安全確保の観点から、積込みについての国際的なガイドラインの遵守など、世界各国、国際的に働きかけていただいて、トラックドライバーの方だけがリスクを負うようなことが日本にあってはならないというふうに私は考えております。是非、この国際的な働きかけ、取り組んでいただけませんでしょうか。

政府参考人(水嶋智君)  お答えを申し上げます。
 国際海上コンテナの輸送に関しましては、海上における人命の安全のための国際条約、いわゆるSOLAS条約の体系下で遵守すべき事項等が定められておりまして、国際海事機関、IMO等の場においてその検討が行われてきておるところでございます。
 国際海上コンテナへの貨物の積付け等に関しましては、二〇一四年に国際海事機関等におきまして、貨物の積付けから積卸しまでの一貫した輸送に関し安全を確保するための要件等を定めた貨物輸送ユニットの収納のための行動規範、CTUコードというものが策定をされておりまして、積付け方法などの各種要件が定められておるところでございます。このCTUコードは非強制の行動規範となっておりますけれども、国際海上コンテナの安全性の強化を図るため、国際海事機関などが各国政府に対して国内の関係者への周知を求めているところでございます。
 このため、我が国におきましては、国土交通省として国際海上コンテナの陸上における安全輸送ガイドラインを策定するとともに、関係者へのその周知を図っているところでございます。
 また、国土交通省といたしましては、国際海上コンテナの安全な輸送の確保に向けて、陸上輸送の関係者の皆様方の御意見などを踏まえつつ、必要に応じて国際海事機関等の国際的な議論の場を活用して、関係各国に対してこのCTUコードの遵守の働きかけなどを推進してまいりたいと考えているところでございます。

三浦信祐君 明快に答弁をいただいて、ありがとうございます。しっかりと無事故のために是非取り組んでいただきたいと思います。
 昨年の道路法改正により重要物流道路が設定をされ、国際海上コンテナ車の特車許可の不要措置や許可期間の延長がなされております。これは重要な取組であります。重要物流道路において、管理者が指定し、道路構造に支障がない区間に限定して、特車通行許可不要となる車種に、国際海上コンテナの四十フィート背高まで対応しております。
 今後、重要物流道路における四十五フィートコンテナの取扱いについて、是非四十フィート背高コンテナと同等の扱いにすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(池田豊人君)  四十フィートの背高国際海上コンテナ車の特車通行許可を不要とする区間につきましては、本年四月に指定された重要物流道路約三万五千キロのうち、道路構造の観点から支障がない区間について、今後、道路管理者の方で指定をする予定にしております。
 この特車通行許可を不要とする区間について四十フィートの背高国際コンテナを対象にいたしましたのは、世界の海上コンテナの半数以上がこの四十フィートの背高コンテナで、我が国においても十五年間で約九倍に増加をしていることから、機動的な対応が要るということで、まずは四十フィート背高国際海上コンテナ車を対象にしたところでございます。
 四十五フィートのコンテナを含めた他の特殊車両の扱いにつきましては、今後、物流生産性や道路構造の観点から、及び道路交通への影響などを踏まえまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非、実情が変わっていくと思いますので、検討を続けていただきたいと思います。
 次に、鉄道のICカード利便性向上について伺います。
 国鉄の分割・民営化から三十二年目となります。当時、国内の鉄道移動にスムーズ、シームレスを維持するとしておりました。しかし、人口減少による経営上の課題、新幹線開通による人口移動の変化、災害被害等、鉄道の環境が激変をしております。
 これに加えて、技術の進歩、中でも改札システムや車内検札へのICカード導入の可否によって鉄道会社の境界で不便さが顕在化し、生活圏を分断している地域もあります。例えば、東海道線の国府津駅において、東海道線と御殿場線の乗換えなどが挙げられます。
 日本全国のコンビニエンスストアでは鉄道事業者発行のICカードが使える時代にもかかわらず、鉄道での利便性に難があるというのは、これは本末転倒だというふうに思います。機能性の高いICカードの普及への取組と、鉄道会社エリアをまたぐことで生じるICカード利用格差の課題解決を進めるべきではないでしょうか。その上で、積極的にICカード利用課題を解消していただきたいと思います。
 大臣、強力に是非取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(石井啓一君)  交通系ICカードの利用エリアの拡大は、鉄道を始めとする公共交通機関の利用者利便の向上につながるだけでなく、訪日外国人旅行者のストレスフリーな交通利用環境の実現に寄与するという観点からも重要な課題と認識をしております。
 鉄道各社ではICカードの利用エリア拡大の取組を進めているほか、国土交通省といたしましても、地域鉄道事業者を中心に、交通系ICカードの利用を可能とするシステムの導入を支援をしているところであります。
 他方、交通系ICカードシステムは、対象駅の数が増えるに従い加速度的にシステムの規模が大きくなる仕組みとなっており、鉄道会社においては、このシステム特性や利用の実態を踏まえ、エリアを区切ってシステム構築をしてきたところであります。
 鉄道各社からは、エリアをまたいだICカードの利用を可能とするためには、運賃設定の対象駅数が大きく増加をし、システム改修等に係るコストが膨大となること等の課題があると聞いております。
 このため、国土交通省といたしましては、各社に働きかけ、駅員の増配置など降車駅の窓口におけるICカードの精算体制の強化、エリアをまたいでの利用の多い駅における窓口と同様の処理が可能な新型自動精算機の導入といった対応の強化を図っております。
 国土交通省といたしましては、こうした課題の改善に向けまして丁寧に対応いたしまして、訪日外国人旅行者を含む鉄道利用者の利便性向上に取り組んでまいりたいと考えております。

三浦信祐君 以上です。ありがとうございました。