第3期がん対策推進基本計画について
三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
本日は、がん対策について質問をさせていただきます。
まず初めに、第三期がん対策推進基本計画が十月に閣議決定をされました。がん対策の推進について、まずもって大臣の御決意を伺いたいと思います。
国務大臣(加藤勝信君) 今回のがん対策推進基本計画では、国民二人に一人がかかると言われるがん、国民の関心が高く、早期発見、早期診療とともに、がん患者の生活の質の向上が重要である、こういう認識で取りまとめをさせていただいたところでございます。
具体的には、がん対策基本法に基づき、がん予防、がん医療の充実、がんとの共生、これを三つの柱として基本計画をまとめ、閣議決定をいたしました。
今般の計画の特徴の一つは、がん予防とがん医療の充実に加えて、がんとの共生というのを柱の一つとして明確に打ち出した点だというふうに思っております。治療と仕事の両立に関する支援、あるいは効果的な相談支援体制の構築などを通じて、がん患者の方々が尊厳を持ち、また安心して暮らし、あるいは働き続けていける、こういう社会の構築を目指していきたいと考えております。
また、がん医療の充実に向けては、がんゲノム医療を実現するというために、がんゲノム医療提供体制の整備や、質の高いデータベースの整備、革新的な治療研究の支援などを推進をしていきたいと思っておりまして、こういったことを通じて、御本人にとってもより効果的な治療が行われるということは、身体的な負担も軽減される、もちろん経費的にも軽減される、またさらには新たな創薬ということにもつながっていく、こういう思いでございます。
いずれにしても、このがん対策推進基本計画で掲げた、がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す、この目標に向かって全力で取り組みたいと思います。
がんの予防対策について
三浦信祐君 がんの予防という部分に今日は絞らせていただきたいと思いますけれども、一次予防と二次予防があると思います。その中でも、今日は二次予防に絞らせていただきます。
がんの早期発見のためには、がん検診の受診率を向上させることというのが最優先です。がん検診受診率が今、日本では三〇から四〇%台、その中で、個別受診勧奨、また再勧奨の本格実施が始まっていることを承知をいたしております。確実に受診勧奨対策を推進し、受診率の向上をしっかりと図っていくべきだと思います。目標であった五〇%に到達をしていない、これは様々な理由があると思います。
そのような中で、内閣府のがん対策に関する世論調査では、がん検診自体が生活の実態の中に浸透しづらい社会構造であるとの結果もあります。もっと大事なのは、勤労者の場合は企業負担でがん検診を受けられる場合が多いということがありますけれども、主婦、これは男性女性問わずそういう場合、また、忙しい自営業の方、フリーランスの場合やアルバイト、パートの方々の場合は受診がしづらいというのが今、日本の現状だと私は思います。
国民の皆様が、がん検診の受けやすさ、がん対策が享受できるように受診勧奨をどのように推進していくのか、これが大事だと思います。また、どうすれば受診しやすくなるか、専門家のみならず、受診していなかったような方々からも謙虚に御意見を伺って、知恵をいただいてはいかがかなというふうに思います。
高木副大臣、いかがでしょうか。
副大臣(高木美智代君) お答えいたします。
がんの早期発見、早期治療のためには、御指摘のとおり、がん検診を受診していただくことが重要でございまして、第三期のがん対策推進基本計画におきましては、がん検診受診率を二〇二二年までに五〇%以上にすることを目標に掲げております。しかしながら、例えば日本人に多い胃がんの受診率は、二〇一六年で四一%となっておりまして、いまだに五〇%に届いていない状況は御指摘のとおりでございます。
こうしたことから、より多くの方々にがん検診を受けていただけるよう、一つは、がん検診の受診対象者に対しまして個別に受診勧奨や再勧奨を行うこと、また、子宮頸がん、乳がん検診の初年度対象者、それぞれ二十歳と四十歳となっておりますが、その方たちに対して個別にクーポン券を配付し受診を促すこと、また、さらには、がん検診の結果、要精密検査とされた方に対しましても個別に精密検査の受診勧奨を行うことなどの取組を進めまして、その実施主体である市区町村に対して補助を行っているところでございます。
厚生労働省としては、こうした取組を進めるとともに、御指摘のとおり、受診しやすい環境整備につきましても、がん検診と特定健康診査の同時実施など受診者の立場に立った利便性の向上に努めまして、がん検診の受診率の向上に向けて引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
三浦信祐君 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
その上で、がん検診の簡便性、簡易性、そして安価ということがそろって、検診しやすい環境が整うと思います。それを支える体液診断、特に血液診断についての研究進展が望まれているところだと思います。最近では、がん罹患者の場合、特定たんぱく質を有するエクソソーム微粒子が増加するとの研究結果も報告をされて、診断への活用が期待をされているということも報道としてあります。
いずれにせよ、バイオマーカーの開発、後押し、実用化などによって、生活の中にがん検診が当たり前になるように技術導入がされる社会も大事なことの一つだと思います。現在の他の診断技術開発を含めて、厚生労働省としてどのような研究を支援しているか、また今後どう取り組んでいくのかを伺いたいと思います。
政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。
御指摘のとおり、がん検診の制度につきましては、新たに技術開発が進めばより良い検診につながることが期待されるところでございます。
こうしたことから、現在、厚生労働省では、革新的がん医療実用化研究事業、これを日本医療研究開発機構、AMEDでございますが、こちらに委託をして実施をし、この中で、まずより診断精度の高い検査法の開発、また、より侵襲性の少ない新しい検査法などにつきまして研究を進めているところでございます。
これらの研究を進め、得られた成果を実用化につなげられるよう、関係機関とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。
三浦信祐君 是非、技術支援、しっかり応援していただきたいと思います。例えば、マンモグラフィーなんかですと、そもそも痛いから嫌だという方も耳にしています。ですから、こういう部分もよく現場の声を聞いて、それを反映をできるように支援をお願いしたいと思います。
さて、先ほどの内閣府のがん対策に関する世論調査では、がんの印象というのは、怖いと思う方が七二・三%、その理由が、がんで死に至る場合があるから、治療や療養には家族や親しい友人などに負担を掛ける場合があるから、また、がんそのものや治療により痛みなどの症状が出る場合があるから、がんの治療費が高額になる場合があるからなど、これらが複数回答の中で五〇%を超えております。
これは、がん教育の重要性も示唆しているのではないかなというふうに思います。第三期がん対策推進基本計画も踏まえて、文科省も厚生労働省と連携して強化を含め教育体制をつくるべきだと考えております。今後の教育現場での取組について御決意、また現状はいかがでしょうか。
政府参考人(下間康行君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、学校におけるがん教育の実施に当たりましては、がんに対する最新の知見を踏まえることが重要であり、医師やがん経験者等の外部講師の活用が効果的であると認識しております。
第三期がん対策推進基本計画におきましては、医師やがん患者、経験者等の外部講師を活用し、子供にがんの正しい知識やがん患者、経験者の声を伝えることが重要であるとしており、学校医やがん医療に携わる医師、がん患者、経験者等の外部講師を活用しながら、がん教育が実施されるよう、国は必要な支援を行うこととされております。
このため、文部科学省といたしましては、厚生労働省とも連携し、最新の情報を踏まえつつ、二十二県市の教育委員会におきまして、教員や外部講師の資質向上を目的とした研修会の開催や指導方法の改善充実、教材の作成、配付等を支援する事業を実施しているところでございます。
また、平成三十年度につきましては、新学習指導要領及びそれぞれの地域の実情を踏まえたがん教育の取組を支援する事業として、教材の作成、配付等に対する支援を継続するほか、先進事例の全国への普及啓発を図るがん教育シンポジウムを開催するための経費などを予算要求しているところでございます。
文部科学省といたしましては、引き続き厚生労働省との連携を密にしながら、更なるがん教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
三浦信祐君 是非、学生さんによって受けられた、受けられないというような差があってはいけないと思いますので、学校においてがん教育、全国でどういうふうに実施されているかというのを是非把握をしていただきたいと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
政府参考人(下間康行君) 全国におけるがん教育の実施の取組の状況につきましても、現在把握を進めているところでございます。また、その成果がまとまりましたら、お示しをしたいと考えてございます。
三浦信祐君 一方で、今教育現場の話ですけれども、今度は成人を超えて、教育機会がない就労者の方々、主婦の層に対してどのように理解深化をしていくかということが大事だと思います。これは厚生労働省の取組の部分だと私は考えます。どのような体制で情報提供、行動になっていくのか、例えばSNSのような情報ツール、ホームページなどを活用すべきだと考えますけれども、御意見を伺いたいと思います。
政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。
がん患者の約三人に一人は二十歳から六十四歳までの間にがんに罹患していることから、御指摘のとおり、企業や働く方々にがんを理解していただくことは大変重要であると考えております。
このため、厚生労働省では、がんに対する企業の理解を促進し、職域におけるがん対策の推進を図ることを目的といたしまして、平成二十一年度からがん対策推進企業等連携事業、またの名をがん対策推進企業アクションという形で実施をしております。この中では、御指摘のように、SNSも活用しながら進めているところでございます。
平成二十九年十一月末時点では、本事業に約二千五百の企業が参加をしていただいており、対象従業員数も約六百万人規模となってございます。企業に対するがんの知識の普及啓発などに役立っているものと認識をしているところでございます。
厚生労働省といたしましては、引き続き、このような事業などを通じまして、がん検診の受診率向上や就労支援促進に取り組んでいただく企業が増えるよう、職域でのがんに関する啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
AYA世代のがん治療について
三浦信祐君 是非、主婦世帯のところもこれからケアをしていただきたいと思います。
次に、若年層、いわゆるAYA世代のがん患者とその御家族、関係者に希望がもたらされるように、また将来不安を取り除くために、厚生労働省がリードして診療体制の強化、相談体制の強化が強く望まれております。対応できる医療機関を選択して、また周知を行って、難病法に基づいて検討されているような難病医療提供体制のような連携化というのも図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。
AYA世代のがん患者に対する対策につきましては、本年十月に策定をいたしました第三期のがん対策推進基本計画におきまして、速やかに専門施設で診療できる体制の整備を目指すこととされております。
このため、厚生労働省といたしましては、小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会を立ち上げ、第一回の検討会をちょうど先週行ったところでございます。ここでは、AYA世代のがん医療並びに支援の在り方全般につきまして検討することとしております。今後、委員の御指摘も踏まえながら、成人診療科と小児の診療科との間の連携や、長期間フォローアップのための相談体制の整備など、切れ目のない支援について専門家の御意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。
また、AYA世代の診療に関わる職種間の連携強化も進めることが重要であると考えております。厚生労働省として、関係方面の御意見も伺いながら、AYA世代のがん患者の医療や支援に取り組んでまいりたいと考えております。
がんゲノム医療の具体的取り組み
三浦信祐君 別な質問、最後に一つさせていただきたいと思います。一個飛ばしていただきます。
がんゲノム医療について少し質問させていただきます。
自公連立政権となって、健康・医療戦略推進法を策定したことによりゲノム医療が進展をしてまいりました。その上で必要な体制として、ゲノム解析整備とともに、人工知能ほか他分野の科学技術との連携が新たな展開とスピードを生むことになると思います。人材育成と技術進展を強力に推進をしなければなりません。医工連携の観点も含めて取組はどうなっていくということが、国民の皆さんに大変興味があるところだと思います。
その上で、その両輪として、知財管理は不可欠です。成果を待っての知財体制整備では、苛烈な国際競争の中で技術保護、能力保護に太刀打ちをすることができなくなります。ここは日本の弱点とも言える部分です。研究開発段階からオープン・クローズ戦略、知財管理ができる人材、また体制を強力に確立をしていかなければならないと考えますが、見解、取組への決意を伺います。
政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
がんゲノム医療を推進し、質の高いゲノム医療を提供するため、イノベーションを積極的に取り入れる必要があると考えております。このため、人工知能を活用してゲノム解析結果を解釈するがんゲノム知識データベースを構築する等、新しい科学技術との連携を進めております。
また、こうした新しい技術を使いこなす人材を養成することも重要であることから、厚生労働科学研究事業において人工知能の開発を行う人材の育成プログラムを作成するなど、科学技術の進展に対応した人材養成に関する研究も進めております。
さらに、委員御指摘のとおり、研究開発段階から知財管理体制を整えることは重要な視点であり、今後、関係省庁の事例なども参考にしつつ、必要な施策を検討してまいりたいと考えております。
三浦信祐君 是非、国民の皆さんが将来に安心をもたらせることができる施策だと思います。強力に進めていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。