厚生労働委員会(2018年7月5日)

受動喫煙のリスクと本法律の意義

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 本法案は、望まない受動喫煙が生じないようにするための様々な措置について規定する内容となっており、国民あるいは海外から来られる方々の健康をも守るための取組を進めるためにも欠かすことができません。子供や若者、妊婦の方などを守るためにも、実効性が確保できるよう一つ一つ確認をさせていただきたいと思います。また、本法案、成立を見たならば可及的速やかに基準を明確化して社会に広く周知しなければなりません。そのためにも、具体的な内容について質問をさせていただきます。
 初めに、基本的なことでありますけれども、たばこの科学的知見として、喫煙者の場合、受動喫煙者の場合、それぞれどのような健康被害を受けることとなるのか、確認をさせていただきたいと思います。その上で、何がどのように影響を及ぼしていくのか、受動喫煙防止に対する対策はどうすべきなのか、現時点での厚生労働省の見解を伺います。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 たばこの健康影響につきましては、喫煙の健康影響に関する検討会におきまして、疫学研究などの科学的知見を系統的にレビューをいたしまして、総合的に吟味をした上でたばこと疾患等の因果関係を判定し、平成二十八年八月に報告書として取りまとめているところでございます。
 たばこの煙にはニコチンや多くの発がん物質が含まれており、環境中のたばこ煙にさらされる受動喫煙によりまして、非喫煙者におきましてもがんや脳卒中、循環器系疾患、呼吸器系疾患などの疾患リスクが高まることが国内の評価でも明らかとされたところでございます。その上で、受動喫煙による死亡者数は年間約一万五千人というふうに推計もされているところでございます。
 このため、本法案によりまして、多数の者が利用する施設等につきまして、その区分に応じまして当該施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理権原者が講ずべき措置などにつきまして定めることによりまして、望まない受動喫煙の防止を図ることとしたところでございます。

三浦信祐君 その上で、本法律を改正する意義について伺うとともに、本法改正によってこれまでに対して何がどのように変わっていくのでしょうか。
 また、本法律は国民の健康増進を目的としている点から、受動喫煙防止へ向けて、国として、国民の健康を預かる責務に基づくたゆまぬ調査研究によってこの受動喫煙防止対策を更に進めていかなければいけない、そういう観点から、今後どのように取り組んでいくのでしょうか。具体的内容について、加藤大臣に伺います。

国務大臣(加藤勝信君)  今回の法案は、我が国の受動喫煙対策について、これまでは努力義務による自主的な対応によっていたわけでありますが、今回、法律上新たに設ける義務の下で段階的かつ着実に前に進めるものであり、その意義は大きいと考えております。
 具体的には、施設の類型、場所ごとに禁煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、喫煙可能な場所には掲示を義務付けることなどから、法案の対象施設においては望まない受動喫煙が生じてしまうことはなくなっていくと考えております。
 また、本法案では、国は望まない受動喫煙が生じないよう受動喫煙に関する知識の普及などの対策を実施する責務を有しております。受動喫煙の健康影響などについて国民に幅広く周知啓発を進めていきたいと考えております。
 さらに、国は受動喫煙に関する調査研究を推進するとされており、これに基づき、加熱式たばこなどの研究を始め様々な研究を進め、そして、その成果を踏まえて、必要な対応を鋭意、逐次考えていきたいと考えております。

三浦信祐君 研究が進めばいろいろな対策も取れていくことになると思いますので、これをキックオフとして更に前へ進めていただきたいと思います。

法律上の定義について

 次に、法律上の具体的な定義などについて伺っていきたいと思います。
 本法律において、二十歳未満の者について喫煙可能な場所に立入禁止としています。ここで、なぜ二十歳未満としているのでしょうか。健康確保上の科学的根拠なのか、それともほかの法律にのっとっているのでしょうか。また、世界の趨勢から見た場合の年齢設定の位置付けについて伺います。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 二十歳未満の者については、受動喫煙によります健康影響が大きいことは科学的に明らかであることから特に配慮が必要と考えており、また、そもそも、喫煙も未成年者喫煙禁止法により禁止をされているというところでございます。このため、今回の法案では、喫煙専用室、加熱式たばこ専用喫煙室、既存特定飲食提供施設など、喫煙が可能となる場所につきましては二十歳未満の者を立ち入らせないこととする義務をそれぞれの施設の管理権原者等に課すこととしたものでございます。
 また、国際的な動きということでございますが、他国におきましては、例えばドイツにおきましては喫煙場所への立入禁止を設けているというふうに承知をしてございます。たばこ規制に関する世界保健機関枠組条約におきまして、締約国は屋内の公共の場所においてたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果的な措置を既存の国の権限の範囲内で採択、実施することとされておりまして、今回の法案につきましてもそれにのっとって提案をさせていただいているものでございます。

三浦信祐君 次に、本法改正では、事務所、飲食店等は屋内原則禁煙とした上で、事務所及び飲食店のうち新たに開設する又は経営規模の大きな店舗等について、喫煙専用室設置及び加熱式たばこ専用の喫煙室設置が所定の対応により可能としています。一方で、既存の飲食店のうち経営規模の小さい店舗は、経過措置であっても喫煙可能としております。
 ここで、先ほど来ありますけれども、明確に定義をしておかなければいけないことが二つほどあります。その一つは、既存の定義であります。二つ目は、新たに開設するの定義であります。
 飲食店等の入れ替わりが早い現代にあって、既存というものをどう取り扱うのか、また、新たに開設する、すなわち新規をどう定義するかが明瞭でなければなりません。また、既存から新規となる場合の解釈、定義付けがなされなければ様々影響があると考えます。定義を明確にするために、何をもって既存とするのか、何をもって新たに開設すると定義するのか、具体例を挙げて御答弁をいただきたいと思います。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 既存とは、法律の施行時点で現に飲食店等の営業を行っている店舗のことをいい、この既存に該当しない店舗については御指摘の新規の店舗ということになります。
 既存の店舗につきまして、この法施行後に何らかの状況の変更があった場合に引き続き既存の店舗に該当するかどうかについては、一つとして事業の継続性、二つとして経営主体の同一性、そして、三つ目として店舗の同一性などを踏まえて総合的に判断をすることといたしております。
 例えばという例を挙げるということでございますが、例えば、同一店舗でありましても全く別の経営主体が新たに開設するような場合、こういった場合につきましては、既存の店舗には該当せず、御指摘の新規の店舗に該当すると考えておりますが、いずれにいたしましても、詳細な事例につきましては、今後、法施行時までにお示しをしてまいりたいというふうに考えております。

三浦信祐君 確認いたしますけど、その既存か新たな開設をするということ、判定するのはどこになるんでしょうか。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 ここの部分は、いわゆる都道府県知事、保健所が最前線に立って判断をしていくことになろうかというふうに思います。

三浦信祐君 であるならば、保健所が共通してその認識を持っておらなきゃいけないということでありますから、事細かく詳細に、また、業種にわたって定義がちゃんとしていないといけないということを逆に言っていただいたと思いますので、これ取り急ぎしっかりと準備をしていただきたいと思います。また、加えて、報告をされなければ保健所の方は動けないと思います。それを毎回モニターをしていくような体制にはなっておりませんから、これを実態に合わせてよく現場を見ていただきたい、そのことを強くお願いをしておきます。
 現状、日本では、二十歳未満の方の水際における喫煙、飲酒防止対策として、たばこ、酒類購入の際に年齢証明を求めております。本法改正において、二十歳未満の立入りが制限される既存の飲食店のうち経営規模の小さい店舗について、事業者は入店に際し二十歳未満か否かの身分証明書確認義務、あるいは入店するお客さんが掲示義務等を負うのでしょうか。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 今般の法案におきましては、喫煙が可能となる場所には二十歳未満の立入禁止である旨などを記載した標識の掲示を義務付けることといたしてございます。この標識を掲示することによりまして二十歳未満の利用者の立入りを防ぐことといたしておりまして、施設等の管理権原者などが一人一人年齢確認をするということを管理権原者などに義務付けるということまでは行っていないところでありますが、管理権原者などにおかれましては、二十歳未満の者と思われる者がいる場合には年齢確認をすることや、二十歳未満の者が立ち入っていることを認知した場合には退出を促すなどの対応を取っていただくことが必要になると考えております。

三浦信祐君 ここで一つ確認をさせていただきたいと思います。
 いわゆる受動喫煙防止対策に当たり、管理権原者に、今も御答弁ありましたけど、多くの責務が課されることが規定をされております。ここでいう管理権原者の定義を確認をさせていただきたいと思います。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 今回の法案では、管理権原者には、喫煙禁止場所での喫煙器具等の設置禁止や、また標識の掲示でございますとか、喫煙可能場所の技術的基準の維持、また喫煙室への二十歳未満の者の立入りの防止などの義務が課せられているところでございます。
 この管理権原者とは、施設の改修等に係る責務を適法に行うことができる権原を有する者というふうに考えておりまして、一般的には施設の所有者が該当するものと考えております。なお、契約等によりまして、所有者以外の者に施設の改修等に係る管理権原が委託等されている場合におきましては、この委託等を受けた者が管理権原者になるというふうに考えてございます。

三浦信祐君 ここもはっきりしておかないと、誰に何をさせるのかということが若干曖昧になるかと思いますので、これからしっかり検討をしていただかなきゃいけないなというふうに思います。
 その上で、喫煙専用室、指定たばこ専用喫煙室を設置するに当たり、使用者と所有者によって意見が異なる場合、また契約上で管理権原者としての規定がなされていない場合、不明確な場合等、受動喫煙防止対策が進められないことが生じた際に、本法律案あるいは賃貸借契約に関する法律、その他の法律、いずれが優先をされるのでしょうか。また、本法律において、違反者に対する責任は事業経営者や店舗運営者でしょうか、それとも所有者責任でしょうか。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 本法案では、喫煙専用室を設置する場合には、施設の管理権原者が標識の掲示義務などを負うことといたしてございます。この管理権原者とは、施設の改修等に係る責務を適法に行うことができる権原を有する者でございまして、一般的には先ほど申し上げましたとおり施設の所有者が該当いたしますが、契約等によりまして所有者以外の者に施設の改修等に係る管理権原が委託等されている場合は、その委託等を受けた者が管理権原者となるというものでございます。
   〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕
 喫煙専用室を設置するか否かにつきまして、今お話ありましたように、施設の使用者と例えば所有者又は経営者で意見が異なるといったような場合には、契約の取扱いも含めまして、まずは当事者間でよく話合いをしていただくということが重要と考えてございます。また、契約内容によりまして管理権原者が明確に決まっていない場合、こういった場合には、他法におきます取扱いや施設の利用の実態等も踏まえまして、誰が管理権原者となるのかにつきましては保健所が判断をすることとなります。
 いずれにいたしましても、これは、施行に当たりまして混乱が生じないよう、どういった方が管理権原者になるのか、法律の趣旨や仕組み等も含めまして十分に整理をした上で周知をしてまいりたいというふうに考えております。

三浦信祐君 となると、保健所が最終的には判断をしていくということになるということを今御答弁をいただきましたので、そこの部分が体制が整っていないといけないということを後で質問させていただきます。
 本法案において法規制の適用除外があり、人の居住の用に供する場所と定義されております。この定義の確認とともに、一般に、人が居住しているマンションの共有部分など、いわゆる共有部分というものはこの社会の中にたくさんあります。それについての判断はどのようになっていくのでしょうか。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 本法案におきましては、人の居住の用に供する場所につきましてはお話ありましたように適用除外としてございまして、これは家庭などのプライベートな居住空間を具体的には指しているところでございます。
 マンションの共有部分につきましては、その場所が人の居住の用に供する場所であるかどうかで適用除外について定めていくことから、どういった場所が人の居住の用に供する場所に該当するのかどうか、こちらにつきましては、今後具体的な例示とともに解釈を明らかにしてまいりたいというふうに考えております。

三浦信祐君 当然、共用部分というのはたくさんありますので、不動産賃貸契約を結ぶその者であったりとか、また、マンションの場合ですと管理組合というのがあります。そういう場合に、この法律の立て付けが分からない状況で議論をして誤った問題を起こさないようにするためにも、そういうところにも是非情報提供をしていただけるように努力もしていただきたいということをお願いをしておきます。
 次に、本法律案では、受動喫煙防止として、原則屋内禁煙であり、喫煙可能であることに関する整理は、時間ではなく場所、面積要件であると承知をしております。加えて、店舗等における分煙の方法も、時間ではなく場所の要件で管理されることとしています。
 その上で、飲食店等でいわゆる時間分煙にて営業をしている場合がこの社会の中にはたくさんあります。時間分煙について、加藤大臣、本法案ではどのような取扱いになるのでしょうか。

国務大臣(加藤勝信君)  本法案においては、望まない受動喫煙を防止するため、喫煙専用室など喫煙可能な場所を特定した上で、それ以外の場所、空間では禁煙となることを基本的な考え方としております。
 このため、原則屋内禁煙とされている施設において、禁煙とされている場所において時間によって喫煙を可能とするいわゆる時間分煙を行うことは、様々な店舗の形態や構造がある中で、望まない受動喫煙を防ぐための基準の策定が困難であり、これは認めないということにしております。
 なお、既存の小規模飲食店においては、喫煙可能という経過措置の適用を選択した上で、経営者の判断により、ある時間のみ喫煙を認めないという営業を行うこと、これはあり得るというふうに考えておりますが、法律上の位置付けとしては、禁煙時間も含め、当該場所は喫煙可能な場所という位置付けになるわけであります。

三浦信祐君 極めてこれ一番大事な、時間分煙ということは、その地、ところ、テリトリーに関しては、間違いなく、禁煙の時間があったとしてもこれは喫煙している場所だというふうな理解ということで確認をさせていただきます。
 そうなりますと、時間分煙を採用している店舗について、二十歳未満の当該店舗への入場や労働可能か否かについて、確認になりますけれども、どのような取扱いとするのでしょうか。若者の健康を守る観点からも、今これからいただく御答弁を担保とするぐらい、時間分煙としての整理とさせていただきたいと思いますけれども、加藤大臣に伺います。

国務大臣(加藤勝信君)  先ほど申し上げた、この法案では、望まない受動喫煙を防止するため、施設の類型、場所ごとに禁煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、喫煙可能な場所には掲示を義務付け、喫煙可能な場所について二十歳未満の者の立入りを禁止するということにしております。
 既存の小規模飲食店においては、喫煙可能という経過措置の適用を選択した上で、経営者の判断により、ある時間のみ喫煙を認めないという営業を行うことはあり得る、これは先ほど申し上げたところでありますが、そのような営業を行う場合であっても、本法案においては、その店舗は喫煙可能な場所という位置付けになるわけであります。喫煙を認めない時間帯か否かにかかわらず、その店舗、まさにそれが喫煙可能な場所ということでありますから、従業員を含め二十歳未満の立入りをさせてはならないということになります。

三浦信祐君 明快な御答弁、ありがとうございました。
 次に、学校における受動喫煙防止の取組について伺います。
 文部科学省は、健康増進法及び厚生労働省健康局長通知、受動喫煙防止対策についての趣旨を踏まえた上で、平成二十二年三月十二日に、学校等における受動喫煙防止対策及び喫煙防止教育の推進について通知を発出をしております。その内容として、健康増進法第二十五条の規定趣旨と対象となる施設、今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性と普及啓発について記されております。
 具体的には、厚生労働省の通知において、多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである、中略をしますけれども、その後、特に、屋外であっても子供の利用が想定される公共的な空間では、受動喫煙防止のための配慮が必要であるとされているとした上で、学校等においては受動喫煙防止対策について適切な措置を講ずることとしております。
 先ほど来ありましたけれども、これまで、学校での敷地内全面禁煙の取組を加速をされてきたと思います。子供や若者の受動喫煙防止のために、学校は敷地内全面禁煙となるよう更なる取組を進めるためにも、本法律にかかわらず、この通知を継続する、あるいはより強力な通知を発出することを強くお願いをしたいと思います。
 先ほどもありましたけれども、小林理事からの御質問のとおりだと私も思います。一〇〇を目指すというのは大事なことだと思います。厚生労働省の顔色をうかがうような答弁ではなくて、文部科学省としてしっかりここで御決意を、また今後の取組について伺いたいと思います。

政府参考人(下間康行君)  委員御指摘のとおり、文部科学省では、平成二十二年二月の厚生労働省健康局長からの通知、受動喫煙防止対策を受けまして、同年三月に、学校等における受動喫煙防止対策及び喫煙防止教育の推進についての通知を発出しております。また、毎年、厚生労働省が呼びかける世界禁煙デー及び禁煙週間の取組に合わせて、教育委員会等に対し、各学校における喫煙防止教育及び受動喫煙防止対策の一層の推進を促す通知を発出してまいりました。
 学校におきましては、これらの通知などを踏まえ、平成二十九年度の調査では、九〇・四%の学校で敷地内全面禁煙措置が講じられるなど、一定の取組が進んでいるものと認識しております。
 文部科学省といたしましては、引き続き、厚生労働省等の関係省庁と連携を図りながら、受動喫煙による健康への悪影響から児童生徒等を守るため、平成二十二年三月の通知の趣旨を踏まえて、各学校における受動喫煙防止対策の一層の推進に努めてまいります。

三浦信祐君 もう一声という感じですね。
 要は、今回の法律を本当に魂を入れていくのは、若い世代が実効性あるかどうかということで大人も変えていけることができるというふうに私は信じております。だから学校教育現場でやってくださいねと。ましてや、一番この世代が変わっていく、大学生が、大学の敷地が完全に禁煙となれば、将来、そういうものであるというぐらい当たり前になっていくということだというふうに私は思います。
 是非、これからしっかり取り組んでいただきたいと思いますけれども、再度、もう一度御決意をお願いします。

政府参考人(下間康行君)  ありがとうございます。
 今回の法案の施行に当たりましても、受動喫煙対策を一層強化するというこの法案の趣旨を踏まえまして、これまでの取組が後退することのないよう、厚生労働省等とも連携の上、学校等に対して通知等で周知徹底してまいりたいというふうに考えます。

三浦信祐君 再度通知していただけますか。

政府参考人(下間康行君)  厚生労働省など関係省庁とも相談いたしまして、しっかりと周知徹底してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 与野党問わず同じこと言っているんですよ。
 だから、この法律も、解釈を誤解をするようなところがあっちゃいけないということの最後のとりで、文科省なんじゃありませんか。通知出すということは今までやってきたわけですし、この禁煙デーに関しても具体的にやっているじゃないですか。そういう意味では、習っている学生さんのことも大事ですけれども、当然教職員がその意識高めなきゃいけない。その頼りもやっぱり文部科学省なんです。
 もう一度。通知出していただけませんか。

政府参考人(下間康行君)  繰り返しで恐縮でございます。
 今回の法案の施行に当たりまして、厚生労働省とも連携の上、学校等に対して通知等でしっかりと周知徹底してまいりたいと存じます。

三浦信祐君 全員応援団でありますから、通知出して損するようなことありませんから、しっかり応援していきますから、よろしくお願いいたします。

禁煙・喫煙可能の明示義務とピクトグラムについて

 次に、本法案では、喫煙可能な場所を設置する場合、喫煙可能場所である旨を記載した標識の掲示義務が課せられます。
 私は、去る三月十五日の参議院予算委員会で、受動喫煙防止対策として、施設や領域、場所等が禁煙か喫煙できるのか、日本人も外国の方も誰が見ても一目瞭然で分かるように、禁煙のマーク、喫煙のマーク、例えば飲食店ならば、たばこに対するスタンスが分かる統一のピクトグラムを作り、明示させるようにしてほしいと質問をさせていただいたのに対し、加藤大臣からは、モデル的な様式をお示しすることも含めてしっかりと検討を進めていきたい、掲示、どうやってそこを示すかということも含めて、総合的かつ効果的な推進の具体的な在り方、これについて引き続き検討していきたいと思いますと御答弁をいただきました。
 改めて、標識としてピクトグラムを導入すべきであること、またこの御答弁以降の検討状況について、加藤大臣に伺います。

国務大臣(加藤勝信君)  この法案では、禁煙措置や喫煙場所の特定を行い、喫煙が可能となる場所には標識の掲示を義務付けております。
 この掲示については、委員御指摘のように誰にでも分かりやすいものとする必要があると考えており、三月の予算委員会でも、今後、標識の記載事項の一部をピクトグラム化すること、策定したピクトグラムをJIS化することを含めてしっかりと内容を検討し、対応していきたい旨お答えをさせていただきました。この法案成立後にできるだけ早期にそうしたものがお示しできるよう、現在、その内容について検討させていただいているところでございます。
 また、既に受動喫煙防止に係る条例を制定した各自治体における標識の内容と本法案による標識の内容が全く異なるようなことになりますと、利用者が混乱を来すということもございます。そういった意味からも、自治体からも標識の内容について御意見を伺うなど、各自治体ともよく連携をしながら、こうした掲示のありようについて取組をさせていただきたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 前後入れ替えてちょっと質問させていただきますけれども、本法案は、標識掲示に当たり、紛らわしい標識の掲示、標識の汚損等の禁止義務を課しており、違反が発覚し、指導の後でも改善が見られない場合では、罰則規定まであります。言うなれば、罰則付き類似標識使用制限を掛けております。ということは、標識の基準、規定があるという理解でよろしいでしょうか。
   〔理事石田昌宏君退席、委員長着席〕

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 標識につきましては、当該場所が喫煙場所である旨、また、二十歳未満の立入りが禁止されている旨のほか、その記載事項は省令で定めることといたしてございます。類似の標識が掲示されると混乱を招くおそれがあるため、それを禁止する規定も設けたところでございます。
 標識につきましては、今後モデル的な様式をお示しすることも含めまして内容を検討しているところでございます。まず、この様式を省令等で定めた上で、類似標識が制限されていることにつきましても混乱を招かないように周知をしてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 若干かぶる部分がありますけれども、大臣に伺いたいと思います。
 禁煙、喫煙と、また二十歳未満の者の立入禁止を記載した標識について、デザイン作成は厚労省が責任を負うのでしょうか。各自治体に標識として掲示する内容のみを伝えてデザインを自治体任せにするのでは統一感が異なり、先ほど来言ってはいただいておりますけれども、明確な標識掲示義務との整合性や、誤認識を生む原因となりかねません。また、デザインをつくるに当たっては、当然費用が生じます。加えて、掲示物作成費用など、地方自治体にとって大きな財政負担となりかねません。これらについてどのようにするか、加藤大臣に伺います。

国務大臣(加藤勝信君)  今局長からお話がありましたように、法律においては記載事項ということで書かれているところでございます。しかし、誰にでも分かりやすいものとしていくためにも、またそれについて自治体任せとすることはなく、国の責任においてまずモデル的な様式をお示しするといったことを通じて、誰にでも分かりやすい、こうした表示がしっかりと行われていけるよう、内容等も検討していきたいというふうに考えているところでございます。

三浦信祐君 次に、標識は事業者に対しどのようにして配布し、また掲示をしてもらうことにするのでしょうか。また、その確認及び指導は恐らく保健所になるのではないかなということですけれども、ここも確認をさせていただきたいと思います。

副大臣(高木美智代君)  お答えいたします。
 御指摘のとおり、今般の法案では、禁煙措置や喫煙場所の特定を行いまして、喫煙が可能となる場所に標識の掲示を義務付けることとしております。
 実際の配布方法につきましては、飲食店団体を始め関係団体の協力も得ながら、今後検討してまいりたいと考えております。
 また、こうした標識が適正に表示、掲示されているかどうかの確認及び指導につきましては、御指摘のとおり、都道府県等の保健所が行うこととなります。

三浦信祐君 是非御検討いただきたいことがあるんですけれども、当然、その協力をしていただく団体、これは大事だと思います。しかし、団体の組織率がそんなに高くないケースもあると思います。ですので、その組織率が低いところの業界にも、現場のお店にちゃんと行き渡るような手法も考えていただきたいということ。
 一方で、団体の力というのはかなりあると思いますので、保健所だけが全部担うのではなくて、ある程度認定をしてその団体に託すというやり方だってあると思います。むしろその方が自主規制が利くので、皆さんの横並びの世界の中で、むしろいいものに変えていこう、我々はこういう形で皆さんに貢献をしていこうということもたくさんあると思いますので、幅広に今後も取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、東京都では、国に先行して受動喫煙防止に関する条例を制定しております。東京都の条例では、本法律案とは異なり、禁煙の飲食店に標識の掲示を義務化をしております。本来、この方が非喫煙者にとっても喫煙者にとっても分かりやすいはずです。なぜ、本法律案では禁煙の飲食店に標識の掲示を義務化しなかったのでしょうか。その理由について、分かりやすく御答弁ください。

副大臣(高木美智代君)  お答えいたします。
 御指摘のとおり、本法案では、全ての施設につきまして原則屋内禁煙とした上で、喫煙が可能となる場所には標識の掲示を義務付けることとしております。すなわち、法案が施行された後は禁煙が原則となります。そうした禁煙場所にあえて標識の掲示を義務付けるということはしなかったものでございます。
 なお、利用者に分かりやすく明示する観点から禁煙場所について施設の管理権原者等が掲示を行うことを妨げるものではございません。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 とにかく禁煙であるということが前提であるということを確認をさせていただきました。
 その上で、経営判断として積極的に禁煙であることをアピールしていく企業、経営者もこの過渡期のときにはあると思います。独自に禁煙の表記が作られていくことも考えられます。一方で、消費者として、禁煙であることについて多種多様な表記ではない方が分かりやすいと思います。また、町並み、景観への考慮も必要だと思います。
 そこで、例えば、禁煙表示を義務化しないにしても、厚労省がモデル的な共通案なんかを作成してホームページでダウンロード可能な内容にするとか、あるいは本法案が成立したとして、施行以降、時期が外れても構わないと思いますけれども、そういう前提で新たに国際規格である禁煙マークを作成し、国際規格を取得して世界共通化を図るなど、むしろ日本が積極的に禁煙に踏み込んだんだという取組を進めていく、その支援も兼ねてこういう取組をしたらどうでしょうか。

政府参考人(福田祐典君)  お答え申し上げます。
 今般の法案では、先ほど御答弁申し上げましたとおり、禁煙措置や喫煙場所の特定を行い、喫煙が可能となる場所に標識の掲示を義務付けるということといたしてございます。
 この標識の表示の方法や内容につきましては今後検討の上でお示ししてまいりたいと考えておりますが、標識の配布方法につきましても、御指摘のありましたホームページでダウンロード可能とする方法も含めまして、どのような方法が考えられるか、今後検討してまいりたいと思っております。
 また、禁煙マークの取扱いにつきましては、自治体や管理権原者などの関係者に十分御意見をお聞きした上で判断をしてまいりたいというふうに考えております。

三浦信祐君 一つ飛ばさせていただきます。
 来年はラグビーワールドカップ、再来年は東京オリンピック・パラリンピックが開催をされます。加えて、インバウンド六千万人へ向けての取組も強化がなされていきます。
 多くの外国人が日本を訪れていただくことになる中、本法改正による禁煙、喫煙についての内容が理解されることが大切であると私は考えます。ホームページやガイドブック、SNS等での情報提供はもとより、例えば各国政府への情報提供であったり在外公館での周知啓発、旅客運送業、旅行関係業、国際会議等の開催主体等への協力を依頼をして、広く外国人への周知ができるようにすべきであると私は考えます。
 当然、空港や港湾施設等にもポスター掲示や電光掲示、そういうもので表示などを活用していければよいとも思います。当然、国交省、特に観光庁との連携協力を強固にすることが重要だと考えます。これらについて、加藤大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(加藤勝信君)  今、多くの外国人に来ていただくということでいろいろと施策を進めているわけでありますし、また、特にオリンピック、パラリンピックあるいはその前のラグビーのワールドカップということになれば多くの方がおいでになる。そういった皆さん方にこの日本の取組をよく理解をしていただくということはまさしく大変重要なことだというふうに思います。
 その上で、まずは喫煙が可能となる場所に標識の掲示を義務付けるわけでありますけれども、この表示についても、日本人のみならず、日本に来られた訪日外国人観光客の方によく理解をいただけるように、特に、先ほどお話もありましたが、加熱式たばこについては必ずしも全ての国で日本ほど普及をしているわけではありません。そういったことも含めて、この表示、どういった形でその表示をしていくのか、そして、間違って受動喫煙の被害に遭わないようにしていくということは、非常に日本の印象という意味においても大事なことだというふうに思います。
 また、周知の方法でありますけれども、この法案においても、第二十六条で、関係者が受動喫煙を防止するための措置を図るために連携協力するよう努めることという規定を設けさせていただいておりますので、この規定に基づきまして、例えば国交省、観光庁、そういったところはもとより、関係する例えば旅客運送業あるいは旅行関係業の皆さん方あるいは団体の方ともよく連絡を密に取って、この受動喫煙の防止の措置、またその内容に対する周知を図っていきたいというふうに考えております。

三浦信祐君 マークが分からなくて、本当は禁煙のところなのに外国人の方が吸ってしまった、例えばそれを注意をしようと思っても言語が伝わらないというケースもあったりしますので、事前に発信をしておく、事前にいろいろなことを防止をしておくということが大事だと思いますので、是非積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 表示のことについて、最後、確認をさせていただきたいと思います。
 禁煙、喫煙か、二十歳未満立入禁止などの標識掲示について、ピクトグラム導入も含めて、あらゆる事業者、地方自治体のこの施行までのスピード感が必要であります。今後のスケジュールの概略が分からずして関係者は準備ができないと思います。
 標識の内容、表示の方法、デザイン、導入までの一連のスケジュールはどのようにイメージをされているのでしょうか。現段階でお考えになられていることを教えていただければと思います。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 今般の法案におきましては、禁煙措置や喫煙場所の特定を行い、喫煙が可能となる場所に標識の掲示を義務付けることとしておりまして、この掲示につきましては、ピクトグラム化を含めまして、誰にでも分かりやすいものとする必要があると考えてございます。
 御指摘のとおり、本法案は社会全体に影響を与えるものでございます。十分な準備期間も必要であることから、ピクトグラムの導入の内容、そしてスケジュールにつきましても、法案成立後できるだけ早い段階でお示しできるように対応してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非、お忙しいと思いますけれども、しっかりやっていただきたいとお願いします。

労働環境整備について

 次に、受動喫煙防止に関わる労働環境整備について質問をさせていただきます。
 本法改正では、繰り返しになりますけれども、望まない受動喫煙防止、これが大事であります。そのためにも、労働環境への措置が必要とされます。特に、二十歳未満の従業員は喫煙可能部分に入ることができないとしております。従業員募集時に、労働環境、すなわち、喫煙の環境なのか禁煙環境なのかを明示をしておくようにすべきであります。
 本改正では、情報明示の義務化を図っていると私は承知しております。求人をする求人誌であったりホームページ、また労働募集時の情報提供を確実に行えるよう取り組むべきであり、ここでも例えばピクトグラムを活用して共通かつ明確な表示をすることとするなど、ルール化、これは必須なのではないかなというふうに私は考えます。
 加藤大臣、是非取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(加藤勝信君)  現行の職業安定法においては、求人誌やホームページなどで労働者の募集を行う際に、賃金、労働時間、就業場所に関する事項などの労働条件を書面等で明示することが義務付けられております。
 今回の健康増進法改正を踏まえて、職業安定法施行規則に基づき明示すべき事項として、職場における受動喫煙に関する状況を追加することとしております。
 明示の方法については、労働者の方にとって分かりやすいものであることが重要であり、例えばピクトグラムを使っていただけるよう周知、案内するなど、今後分かりやすい明示方法について検討させていただきたいと思っております。

三浦信祐君 是非これも重ねてお願いをしておきたいと思います。
 二十歳未満の方が喫煙可能な飲食店等にて働こうとしても、基準上は立入禁止であり、不可能なはずです。しかし、使用者にも労働者にも罰則規定はありません。二十歳未満の者が、本人の強い希望があり、罰則がないことから、事業者がこの二十歳未満の方を雇用した場合はどのような対応となるのでしょうか。さらに、繰り返しこのようなことを行っている、いわゆる悪質な事業者に対してはどう対処していくのでしょうか。若者の健康を守るために、明確な基準を設けて対応方法をはっきりさせるなど、対策が必要なのではないかなと私は思います。加藤大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(加藤勝信君)  喫煙可能な例えばお店にするということを事業主の方が選択をする場合にあって、健康増進法上、二十歳未満の立入りができないことになるわけであります。これに違反する場合は都道府県等において個別に改善を促して、悪質な場合には指導を行うということになります。
 厚労省としては、喫煙可能な場所に二十歳未満の従業員が立ち入ることができなくなることも含め、今回の法案の趣旨、内容について、事業者はもとより、従業員の方々にも、そして国民の方に広く理解をいただくことが重要と考えておりますので、法案成立後、様々な方法によって周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。

三浦信祐君 受動喫煙防止対策について募集時の条件と異なっていた場合は、労働者保護の観点からどのような対応となるのでしょうか。また、労働契約上の観点から整理をしていただけませんでしょうか。
 加えて、このような問題が生じた場合の相談はどこが受けてくれることになるのでしょうか。先ほど自見先生もありましたけれども、特に二十歳未満の方が相談に行くことってなかなか難しいんじゃないかなというふうに思いますけれども、総じてどのような対応になるのでしょうか。

副大臣(牧原秀樹君)  募集時などの労働条件の明示につきましては、労働基準法第十五条におきまして、使用者は、労働契約締結時に賃金、労働時間その他の労働条件を労働者に明示しなければならず、そして、明示された労働条件が事実と相違するような場合には、労働者は即時に労働契約を解除できると規定されております。したがいまして、使用者から事前に示されていた労働条件、つまり、喫煙環境ではないと明示されていたにもかかわらず実際には喫煙環境であったような場合には、労働者側から労働契約の即時解除が可能になると考えております。
 一方で、お互いの主張が折り合わない、こういう場合、つまり、明示された条件どおり非喫煙環境を使用者が整備するように求め得る場合もあるという場合なんですけれども、こういう場合につきましては、労働契約の解釈の問題として、まずは民事的に解決していただくのが一応原則ですが、相談があるという場合には、都道府県の労働局や労働基準監督署等に設置してある総合労働相談センターにおいて相談に応じていきたい、そして、その場合には、関係機関とも必要に応じて連携をしっかりとしていきたい、このように考えております。

三浦信祐君 若い世代はなかなか行けないような、ちょっと敷居が高いというか、そもそもその情報を取ることも難しい。加えて、今のお話は、当然これまでも実行されてきたんだと思うんですけれども、要は、労働者側の方が即時解消できると。一方で、なかなかそうやって簡単にはできないという実態もあると思いますので、ある意味効果的な、特に若者を守るという観点での、例えば相談ができやすい、そういうことも研究をし続けていただきたいというふうにここでは申しておきたいと思います。

義務違反について

 次に、義務違反について伺います。
 本法案において、義務違反となる場合、都道府県知事等が指導をするとしております。指導する内容、確認項目、基準などについて、国としてガイドラインは今後作成をしていくのでしょうか。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 今回の法律に違反している事例があった場合には、保健所が指導や勧告、命令を行い、それでも改善が見られない場合については罰則を適用することとなります。それぞれの事務が円滑に進むよう、法律の解釈や事務手続の詳細などにつきまして国から都道府県等に対しましてお示しをしていきたいというふうに考えております。

三浦信祐君 是非、ガイドラインが本当に実効性のあるものにしていただきたいというふうに重ねてお願いをしておきたいと思います。
 次に、都道府県の保健所を念頭に、四項目の違反について住民からの相談窓口を設置するとしていますが、体制、人員、予算的対応について具体的にどうなっているのでしょうか。まさか地方自治体に検討していただくとしてそのまま責任転嫁するような体制とはなっていないか、これだけは確認をしておかなければいけないと思います。
 その上で、保健所が対応する法律数は本委員会にてかなりの数に上るということも答弁をいただいております。所掌する法律は増えても、保健所に従事する職員数は増えていっていないのが実態です。本法改正も含め保健所に課せられる仕事は増えており、仕事量も当然増えています。人員増加対策なくして保健衛生、健康確保はままならないと私は思います。せっかくですからこれを機に保健所職員の配置基準自体を見直すなど、保健所体制の整備、改善、急ぎ、かつ具体的に対策をすべきではないでしょうか。
 例えば、施行時特例市が今後中核市へ移動して、そして保健所設置をしなければいけなくなるなど、人手の問題も大きな課題として残っております。他省庁との連携も当然ではありますけれども、厚生労働省として積極的に取り組んでいかなければいけないと私は思います。加藤大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(加藤勝信君)  この法案でも、指導監督等を行っていく、そして、場合によってはさらに勧告、命令、公表等の措置を講じる、あるいは、今委員お話があった相談窓口を設けてその相談に対応していく。そして、より大事、大事といいますか、よりこの法案の趣旨をしっかり理解をしていただくために広く周知徹底を図っていく必要がございます。そういった意味においても、そうした周知徹底を図っていく主体としての保健所ということが対応の一つ一つの機関になっていく。そういったことを考えますと、そうした仕事一つ一つ実施していくには、やっぱりしっかりとした体制をつくっていかなければならないと考えております。
 保健所については基本的には地方財政措置に基づいて実施されているわけでありますから、その意味においても、総務省を始めとした国の機関、そして何よりも自治体の意見も伺いながら、今委員御指摘のように保健所というのは相当数の法令等を担っているわけでありますから、そうした実態もよく踏まえて、本件を円滑に進めていただくということはほかの事業も円滑に進めていただくということになるわけなので、その辺をしっかり踏まえて関係省庁としっかり調整をさせていただきたいと考えております。

三浦信祐君 是非、現場の保健行政に携わられる方も期待をしておられると思いますので、我々もしっかりここは応援をしていかなければいけない、その決意を込めながら、是非、大臣のリーダーシップで進めていただきたいと心からお願いをしたいと思います。

法案上での各種定義について(第一種施設等における規制について)

 次に、法案上での各種定義について少し確認をさせていただきたいと思います。
 初めに、第一種施設等における規制について伺いたいと思います。第一種施設について政令で定めるとしておりますけれども、対象施設は具体的にどのようになるのでしょうか。具体的に列挙をしていただければと思います。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 本法案におきまして、第一種施設は敷地内禁煙となるとしているところ、受動喫煙によりまして健康を損なうおそれの高い者である二十歳未満の者や、患者、妊婦が主として利用する施設がこの対象となると考えております。
 対象を列挙ということでございますので幾つか列挙させていただきますと、例えば、小学校、中学校、高校、それから大学といったようなところ、また診療所や病院、さらには幼稚園や保育園といったようなところが第一種施設に該当することとなると考えております。詳細につきましては、また今後検討の上、政令でお示しをしていくことになるというふうに考えているところでございます。

三浦信祐君 ありがとうございます。様々な準備があると思いますので、なるべく早く提示をしていただきたいと思います。
 次に、本法案では、バス、タクシー、航空機の旅客運送事業自動車・航空機内での喫煙を禁止としておりますけれども、鉄道車両、船舶は完全禁煙ではなく、第二種施設等と同様としております。その理由は何なんでしょうか。
 また、ハイヤーはどのような位置付けになるのでしょうか。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 本法案におきまして、旅客運送事業自動車・航空機の内部の場所は、委員御指摘のとおり、第一種施設の屋内と同様に、たばこの煙が滞留し、望まない受動喫煙による健康影響が生じることから、禁煙としているところでございます。
 一方、鉄道や船舶につきましては、長距離列車や長期間の航海などの場合、喫煙のために途中で下車、下船することを求めることが現実的ではないということなどの特殊な事情があり得ること、こういったことを踏まえまして、船舶や鉄道に限り第二種施設と同様に喫煙専用室を設置することを認めることとしたものでございます。
 また、御指摘いただきましたハイヤーについてでございますが、旅客運送事業自動車に該当いたしまして、この場合には禁煙となります。
 以上でございます。

三浦信祐君 次に、省令で定める受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた屋外の喫煙場所、すなわち、特定屋外喫煙場所では喫煙可能とするとしております。ここでいう必要な措置とは具体的にどのような内容になるのでしょうか。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 特定屋外喫煙場所につきましては、喫煙場所と非喫煙場所がまず明確に区画されているということ、そして喫煙場所である旨の標識が掲示をされていること、このほか厚生労働省令におきまして必要となる措置を定めることといたしているところでございます。
 具体的には、この屋外の喫煙場所につきましては、患者や子供が受動喫煙にさらされることがないようにする必要がございます。例えば、施設の利用者が通常立ち入らない場所に設置をすることとするなど、その措置の詳細を規定することといたしてございます。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 例えば、吸気口の近くにそれがあったりすると、その煙が仮に上に、区画が区切られていたとしても、その空気の中に混じり込んだものが入っていて、結果、エアコンに吸い込まれて中に入るというようなことがあってもいけないと思います。もちろん、いろんな想定もあると思いますので、是非そういうケースも考慮した上で必要な措置ということもアドバイスができる体制を取っていただきたいというふうに思います。
 次に、これも端的な確認ですけれども、第一種施設の規定として、受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用するとしておりますけれども、これは誰が該当するのでしょうか。若干この表現だと曖昧のような気がしないかなというところもありますので、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 第一種施設におきます受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者とは、二十歳未満の子供、そして患者、妊婦のことと考えております。こうした方々が主として利用する施設につきましては、法案が成立をした後、政令におきまして具体的な適用範囲をお示しすることとしているところでございます。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 次に、第二種施設や既存特定食品提供施設について、喫煙可能場所としての条件は、技術的基準に適合した室、構造及び設備と規定をされておりますけれども、どこが基準調査をして、何を根拠として設定をするのでしょうか。もちろん、いろんな基準はあると思いますけど、施行したときにそれが本当に満たしているかどうかということも確認が必要な場合もあるかもしれません。そこについて確認をさせていただきたいと思います。

政府参考人(福田祐典君)  お答えいたします。
 喫煙専用室の基準につきましては、労働安全衛生法などに基づきます受動喫煙防止対策助成金の対象の要件としております、入口における風速が毎秒〇・二メートルであること、非喫煙区域と隔離された空間であることといった要素も参考といたしまして、法案成立後に専門家の御意見も伺いながら策定をしてまいりたいと考えております。
 本法案では、各施設等の管理権原者に喫煙専用室を基準に適合させることとする、そういった義務を課しているところでございます。基準の内容等につきましては管理権原者にしっかり周知啓発を行いまして、この基準を守っていただけるように対応していくことといたしてございます。
 その上で、義務に違反している事例につきましては、各都道府県などに相談窓口を設置するなどして把握するとともに、個別に事業者に改善を促し、改善が見られない場合には指導や勧告、命令を行い、それにも従わない場合には罰則が掛かることとなり、こうしたことによりまして実効性を担保してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 二つ飛ばさせていただきまして、最後の質問とさせていただきたいと思います。
 いろいろ御質問させていただいて、確認もさせていただきました。その上で、やはり本法案施行に向けて数多くの準備、体制整備等が必要となると思います。いずれにしましても、急ぎ様々な基準を明確化していくことが欠かせないというのが率直な感想であります。
 この様々な検討をしていただいた結果を、また決定した内容を早急に広く周知徹底をしていかなければならないと思います。今後の受動喫煙防止対策、そしてこの周知徹底のことも含めて、大臣、今後の取組について伺いたいと思います。

国務大臣(加藤勝信君)  この本法案の施行に向けて、数多くの準備又は体制整備が必要となるわけであります。そして、この本法案における新たなルールについては、まず、国民あるいは施設の管理権原者などに広く周知徹底を図って、そしてしっかり遵守していただける環境を整備することが重要と考えており、国及び地方団体がパンフレット、資材の作成、配布などを行って制度の内容を分かりやすく周知をしていくこと、また、業界団体、関係省庁、出先機関とも連携協力して、それぞれの業界内の事業者への周知徹底を図ることなどにより対応していきたいと考えておりますけれども、いずれにしても、これからその中身が具体的に決まらなければならないわけであります。施行する上で政省令をいろいろと定めていく必要がありますけれども、そのそれぞれにつきまして施行前に十分な準備期間が取れるよう様々な手続が必要でありますけれども、そうした手続を経た上で、法案成立後できるだけ早急にそうした手続を終えて、そしてその内容をしっかりとお示しをさせていただくべく努力をしてまいります。

三浦信祐君 是非、国民の皆様、そして日本に来られる外国人の皆様も受動喫煙を本当に受けなくて済む日本を目指して、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。