OECD改正交換公文について
三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
今回の日・OECD特権・免除に関する改正交換公文については賛成であり、むしろ、なぜ今まで再三にわたってOECDからの要望に対応してこなかったのかなということの方が課題かもしれないなと思っているところであります。
OECDは、加盟国の経済成長や開発途上国への政策、自由かつ多角的貿易拡大を目的とした一九六一年に設立をされた国際機関であり、特に世界基準づくりに大きく貢献しているとの認識であります。
最近、あらゆる場面でOECD加盟国との対比について情報が出されております。例えば、ワクチンの接種率や教育費用の公的支援など、OECD加盟国中日本は何位だと順位で対比をされて、国民の皆様にとっては比較基準になっております。
OECDは拡大を続けているとの認識でありますけれども、加盟国が増えている中での対比がなされている点から見ると、そもそものOECDの役割はどのようなものでしょうか。そして、我が国が加盟していることのメリットと日本の役割はどのようなものでしょうか。茂木大臣に伺います。
国務大臣(茂木敏充君) OECD、様々な経済社会分野におきまして統計データ等に基づきまして調査、分析、政策提言を行うとともに、国際的な政策協調の重要な場ともなっていると。恐らく、そのワクチンの接種であったりとか、極めて現代的な課題といいますか、こういうそれぞれその時代必要になってきたデータ等も収集しながら、そういった知見の共有も行っていくということは重要だと思っております。
また、質の高いスタンダードを形成するとともに、デジタル課税等、先進的課題に関するルールづくりを先取りする取組もOECDは行ってきていると考えております。世界が直面する課題がグローバル化する中で世界全体が持続可能な形で発展していくためには、OECDのこうした活動、ますます重要になってきていると考えております。
日本は米国に次ぎまして第二位の拠出国でありまして、一九九〇年以降、事務次長を輩出するなど、OECDの中で重要な位置を占めてきております。特に、今、世界経済において成長センター、これがアジアになってきているわけでありまして、日本はOECDとアジアの関係強化に積極的に貢献をしております。
日本が議長国を務めたのは二〇一四年ということになるわけでありますが、そのときに、その二〇一四年にOECD閣僚理事会で設立されました東南アジア地域プログラム、SEARPですね、これを通じてOECDのルールやスタンダードをアジアに普及するOECDの活動に日本としても積極的に貢献していきたいと、こんなふうに考えております。
三浦信祐君 東南アジア諸国のOECD加盟が将来的に実現する可能性の認識や、また、OECDに加盟することの意義、その際の日本の立ち位置はどのように考えておられるのでしょうか。また、今回の特権・免除に関する改正交換公文を締結する対象となるOECD東京センターの役割と対ASEANに対する機能はどのようなものが付せられているのでしょうか。意外となじみがないかもしれません。これまでの外務省の答弁における東京センターについての機能強化すべきと考えている部分はどこの部分でありましょうか。
政府参考人(四方敬之君) お答え申し上げます。
世界が直面する課題がグローバル化する中で、世界経済の成長センターである東南アジア諸国との協力は重要であると考えておりまして、我が国はこれまでも東南アジアの将来的なOECD加盟の重要性を強調してきております。OECDへの新規加盟に関する具体的な対象国や時期等は、加盟に関心がある国の加盟希望表明を踏まえましてOECD理事会で議論の中で決まっていきますけれども、我が国は今後とも、東南アジアからのOECD加盟も見据えまして、OECDとこの地域の関係強化を牽引してまいりたいと考えております。
OECD東京センターにつきましては、一九七三年にアジア唯一の広報センターとして設立されまして、OECD関連の講演会の開催あるいは日本語ウエブサイトの開設などを行いまして、我が国におけるOECDの活動に対する理解の拡大に貢献してまいりました。近年は、例えばASEAN関連閣僚会合の機会を活用して、東南アジア諸国の経済見通しに関するOECDの報告書を発表するといった取組を行っております。また、OECDとERIA、東アジア・ASEAN経済研究センター、これは我が国として設立に当たりまして主導的な役割を果たした機関でございますけれども、その間の協力に関する覚書を基に合同シンポジウム等を開催し、OECDと東南アジアとの関わりを深化させてきております。
政府といたしましては、今後とも、OECD東京センターによるASEAN諸国に対するアウトリーチの強化に協力し、また、OECDのルールやスタンダードの更なるこの地域における普及に向けた取組を支援してまいりたいと考えております。
国際課税について
三浦信祐君 日本にとってみればASEAN諸国でのルール形成に貢献をするということは極めて重要であると思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、今回の租税条約二案、投資協定には賛成したいと思います。今後とも、セルビア、地政学的にも重要なジョージアとの関係強化には取り組んでいただきたいと思います。
その上で、国際課税について伺います。
多国籍企業が、本来課税されるべき経済活動を行っているにもかかわらず経済活動に係る税負担を軽減しているBEPS問題について、解決を急がなければならないのが国際的課題であると認識をしております。
その上で、二〇二〇年十月にOECDは、BEPS包摂的枠組みにおいて、二〇二一年までに結論を得るとした青写真があります。その中で、国際課税原則の見直しについて、対象企業の範囲等が論点とし、課税対象企業数の限定が極めて重要であると表明をしております。
政府として、業種、売上げ、利益率等、どの基準に基づいて主張しているのか、また、今後、対象企業数の限定へどのような取組をするのか、伺います。
政府参考人(武藤功哉君) お答え申し上げます。
経済のデジタル化に伴う国際課税制度の見直しにつきましては、OECDやG20を中心に約百四十か国が参加する枠組みで議論がされておりまして、昨年十月に今御指摘のありました二つの柱から成る青写真が公表されたところでございます。
委員の御指摘は第一の柱についてのものと考えておりますが、青写真では主として業種によって対象を限定する案となっていたところでございますが、その後のパブリックコンサルテーションの過程におきまして、業種の線引きが困難である、あるいは制度が複雑化するといったような懸念が多数示されたところでございます。
こうした意見等も踏まえまして、日本政府としましては、制度の円滑な運用確保のために売上高及び利益率が非常に高水準のグローバル企業に対象を限定することが極めて重要と主張しているところでございまして、そのような方向で合意形成を目指しているところでございます。
いずれにしましても、本年半ばまでの合意を目指して関係国間で精力的な議論が行われておりまして、日本政府としては引き続き積極的に合意形成に貢献していきたいと考えております。
海上保安体制について
三浦信祐君 是非しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
次に、海上保安体制について伺います。
今後、日本の少子高齢化の時代、既に入っていると言われておりますけれども、ヒューマンリソースが減少していく中であっても、国土と海洋保全には揺るぎない体制を確保し、確立をしていくのは当然であります。
その中で、海洋監視機能について、海上保安庁の無人化、省人化は欠かせません。私は一貫して、海洋監視に無人のドローン、世界で利活用が進むシーガーディアンなどのそういうものを導入して、経験のあるOBの方がパイロットとして運用に携わり情報を得る体制を整えてほしいと一貫して考えております。
実現へ向けて取り組んでいただきたいことをお願いするとともに、現状の取組について伺います。
政府参考人(瀬口良夫君) お答えをいたします。
海上保安庁におきましては、海洋監視体制の強化の一環として、無操縦者航空機の導入の可否を判断するための飛行実証を、昨年十月から十一月にかけ、海上自衛隊八戸航空基地において実施をいたしました。この飛行実証の結果、無操縦者航空機は、昼夜を問わず、かつ有人機に比べて長時間飛行できること、有人機と同等又はそれ以上の監視能力を有していることが確認され、各種海上保安業務に十分活用できるとの結論に至りました。
一方で、導入に当たっては、委員御指摘の、情報を得るための体制の整備を始め引き続き検討すべき事項があることから、今般、無操縦者航空機に係る実績、知見、能力を有する民間企業からこれら検討に必要な情報を収集するために市場調査を開始したところでございます。
引き続き、我が国の海洋監視体制の強化のため、無操縦者航空機の導入を見据えた検討を進めてまいります。
三浦信祐君 しっかりとサポートしていきたいというふうに思います。
他方で、北方の守りも欠かすことができません。地球温暖化が進み、北海道のオホーツク海では流氷の漂着状況も以前とは大きく異なっていると現地で伺ってまいりました。一方で、厳しい海洋環境であることにはかかわらず、海上保安庁の船舶の安全確保、稼働率確保は欠かすことはできません。
また、長年大切に使い続けてきた砕氷船でもあります「そうや」も、船歴が重なって四十三年を経過をしております。他の老朽船との整備計画、関係性も重々承知をしておりますけれども、是非砕氷船の新造船を図って体制維持強化を揺るぎないものにすべきと私は強く訴えたいと思います。是非取り組んでいただけませんでしょうか。
政府参考人(瀬口良夫君) お答えをします。
海上保安庁では、砕氷能力を有する唯一のヘリコプター搭載型巡視船である巡視船「そうや」を釧路海上保安部に配置し、冬季オホーツク海を始めとする海氷海域の海難救助体制を確保するとともに、アイスパトロールを実施し、海氷状況等の情報提供により船舶海難の未然防止も図るなど、北海道周辺海域における治安、救難、防災業務を実施しております。
巡視船「そうや」は昭和五十三年度に就役し、今年度で船齢が四十三年となりますが、老朽状況を踏まえ、平成二十二年度に延命・機能向上工事を実施しており、船体腐食部の手入れ、主機関の主要部品の取替え等の老朽対策や監視能力等の機能向上を図っております。
海上保安庁といたしましては、老朽化した巡視船艇について、安全や業務遂行に支障がないよう所要の点検、修理等を実施していくとともに、海上保安をめぐる情勢等を踏まえ計画的に代替整備を進めるなど、老朽化の改善に向けた取組を進めてまいります。
三浦信祐君 それぞれ計画があると思うんですけれども、海上保安庁の船が途中で、任務をしている最中に止まってしまえば、それがその後どういうことがもたらされるかということを考えたときに、しっかりと私たちも応援しなければいけませんけれども、これを現場の整備をされる皆さんとか造船メーカーだけに頼るというのは、これはあってはならないことだというふうに思っております。ましてや、「そうや」に至っては代替する船がありません。
そういう面では、現場で本当に御苦労されている中ではありますけれども、今後、日本におけるオホーツク海も含めた砕氷船ということは必ず安定的に確保するということもしっかり大事だと思いますので、是非、ほかとの関連性はあると思いますけれども、推進をしていただきたいということをお願いさせていただいて、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。