外交防衛委員会(2021年3月16日)

日米豪印首脳協議と日印外交について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 日米豪印首脳会議と日印外交について伺います。
 日米豪印首脳テレビ会議が十二日に開催をされて、茂木大臣も同席をされておりました。会議はコロナ禍とインド太平洋地域の安定と発展を標榜するものと理解をしております。
 今回、QUADが首脳級にて開催されることになった経緯と狙いについて、そして会議の際に議題となった項目とその結果について茂木大臣に伺います。
国務大臣(茂木敏充君)  日米豪印四か国でQUADと、このように呼ばれておりますが、これは二〇〇七年に事務レベルで対話を開催し、その後、二〇一七年頃から事務的な取組を重ねまして、私が外務大臣に就任しました二〇一九年の九月に初の外相会合を開催いたしました。また、昨年の十月六日にも東京で二回目の外相会合を開催して、先月にはブリンケン米新国務長官の参加も得て、オンラインでありましたが、QUADの外相電話会合、これを実施をしたところであります。こういったこれまでの、特に最近の積み重ねの上に、今回初めて首脳会合の開催、一段レベルを上げる、最上段まで上げるというところまで来たわけであります。
 今般の首脳テレビ会議、私も出席、同席をいたしましたが、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを共有する四か国で、新型コロナ対策、気候変動、重要・新興技術、東シナ海、南シナ海、ミャンマー情勢等を含む地域情勢等の幅広い議題について充実した意見交換を行って、ワクチンの専門家作業部会を含みます三つの作業部会、ここの中には、あと気候変動と新興技術と、これが入ってくるわけですけど、この三つの作業部会の設置など具体的な協力を進めることで一致をいたしました。
 日本時間でいいますと十時半から始まった会合で、十二時までということですけど、十五分ぐらい延びるという形でありました。恐らくオーストラリアにとっては夜中の十二時半から始まるということで、大変だったんじゃないかなと。それぞれ時間は、アメリカが朝の八時半から始まる、インドは夕方の六時四十五分から始まる。どうしても地球のかなり違った位置にありますからそういう時間付けになったんですが、非常にかみ合った議論、一つ一つのテーマについて方向性が一致している、こういったところも自分なりに感じたところでありまして、首脳会談については本年末までに対面で首脳会談を開催するということで一致をしましたし、外相会談については既に毎年やろうということで一致を見ているところであります。
三浦信祐君 極めて充実した会議だということは茂木大臣の御答弁の中で酌み取れると思うんですけれども、インドについて質問させていただきたいと思います。
 インドのモディ首相がこのような首脳会議に出席することは大変意義深いと私は考えております。特に、安全保障面でのこれまでの立場を乗り越えてQUAD首脳会議に出席したことは、インド太平洋を取り巻く状況に大きな課題があり、必要性を認識して積極的に関与をするということを表明したとも言えると思います。日本政府としての受け止めについて伺いたいと思います。
 その上で、日印外交、これ極めて重要だと思います。より強化、深化をしていくということが私は必要不可欠なんではないかと思います。今後の展望と取組について、茂木大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(茂木敏充君)  我が国と特別戦略的グローバルパートナーシップの関係にありますインドは、インド太平洋に自由で開かれた国際秩序を構築すべくインド太平洋海洋イニシアティブを掲げておりまして、我が国として自由で開かれたインド太平洋を実現する上で重要なパートナーであると考えております。
 同時に、インドはこのインド太平洋地域の要衝に位置するのは間違いないわけでありますし、コロナ対策で鍵を握るワクチン、このワクチンの世界最大の生産国でもあるわけであります。
 今般、バイデン政権発足後の早いタイミングで、インドのモディ首相の参加も得て史上初となります日米豪印の首脳会議が開催され、新型コロナ対策や自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力、そして地域情勢などについて議論を深めることは有意義であったと考えております。
 幾つかのこと、私なりに印象に残っているわけでありますが、その中の一つが、モディ首相が会議の冒頭で、自由で開かれ包摂的な、インクルーシブという言葉を使ったと思うんですけれど、インド太平洋のコミットメント、改めて明確に冒頭に表現したと、これは極めて印象的だったと、こんなふうに考えているところであります。
 インドとの間では、先般の首脳電話会談においても、二国間そして日米豪印の枠組みで協力していく旨確認もしておりますし、安全保障、防衛協力、デジタルを含む経済関係強化など、様々なレベルで今後も日印特別戦略的グローバルパートナーシップの強化に努めていくところであります。
 私もカウンターパートでありますジャイシャンカル外相と、奥さんが日本人ということもあって非常に親日的なところもあるんですけれど、対面でもう四回会っておりますし、電話会談を行ったり、また日米豪印等々でも、日米豪印さらにはG20等でも緊密に連携をしてきているところであります。
 特に、来年、日インド外交関係樹立七十周年という節目の年でありまして、人的交流、文化交流分野を含めて幅広い分野で二国間関係、強化していく契機にしていきたいと思っております。

中国海警法について

三浦信祐君 明確にお答えをいただきまして、ありがとうございました。その中でも、二〇二一年中に首脳会談を対面でやろうと明言したということは国際社会に与える明確なインパクトがあることですので、それまでのプロセス、茂木大臣、是非頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、中国海警法について伺いたいと思います。
 茂木大臣は、所信表明において、中国の海警法について、国際法上の整合性の観点から問題がある規定が含まれるというふうに述べられました。どのような内容が問題で、我が国の正当な権益、存立に関わる部分はどの部分なのか、国際法上に照らし合わせて、例えば国際海洋法上と比較した上で具体的な内容を明確に国民にお伝えをいただきたいと思います。
 また、今回のQUADでも課題として取り上げられたというふうに私は認識をしております。政府の認識と今後の取組、そして国際社会との連携と対応について伺いたいと思います。
政府参考人(曽根健孝君)  お答えします。
 中国の海警法につきまして、国際法との整合性等の観点から様々な問題がある規定があるというふうに考えております。
 その具体的な例として三つほど挙げさせていただきたいと思います。
 まず、第三条、海警法を適用される中国の管轄海域及びその上空の範囲というのが不明確でございます。仮に中国が主権等を有さない海域で海警法を執行すれば、国際法違反になります。
 また、二十一条で、外国軍艦、公船による中国の法令違反行為に対して法執行業務を行う旨規定するとともに、外国軍艦、公船に対して強制退去、強制引き離し等の措置を講ずる権利を有する旨規定しておりますが、国際法上、一般に、軍艦及び公船は、執行管轄権からの免除を有しております。海警法が免除を侵害する行為となるような場合には、国際法に違反するということになります。
 さらに、二十二条におきまして、国家の主権が海上において違法な侵害を受ける場合等に武力の行使を含む全ての必要な措置を講じる権利を規定するとともに、その上で、四十九条及び五十条等で一定の制約を課してあります。国際法上、武器の使用に際しては、一般に、比例性、必要性が要件となります。中国海警法が国際法上必要とされる比例性及び必要性の要件を満たさずに過剰な武器使用を行う場合には、国際法違反になります。
 こうした中で、我が国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならず、中国海警法により東シナ海、南シナ海などの海域において緊張を高めることになることは全く受け入れられるものではございません。こうした我が国の懸念は中国に対し引き続きしっかり伝えていきたいというふうに考えております。
 また、同盟国であります米国及び有志国との関係強化も重要でございます。米国を始めとするG7やASEAN諸国を含む国際社会と連携し、力による現状変更の試みに強く反対していきたいと考えております。
 十二日に行われた日米豪印首脳テレビ会議におきましても、総理から、中国海警法について、国際法との整合性の観点から問題がある規定が含まれており深刻に懸念している旨指摘しているところでございます。
 我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くという決意の下、主張すべきことは主張し、今後とも冷静かつ毅然と対処してまいりたいと考えております。

海上自衛隊艦艇の通信環境改善について

三浦信祐君 我が国の主権を守るために、国際的ルールにのっとって毅然と対応を是非やっていただきたいというふうに思います。
 いずれにせよ、中国は大国との責任を果たすためには必要なルールを遵守するということが国際社会の中での絶対に必要なことだということは、経済上どうしても切っても切り離すことができない日本こそが言わなければいけないことだと思います。本日の2プラス2でも、一番最初に大事なパートナーとして米国が日本にコミットメントを図ってくれるということであれば、防衛大臣からも、茂木大臣からも、是非この案件については世界に明確に発信をしていただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。
 次に、海上自衛隊艦艇の通信環境の改善について伺います。
 従前より、厳しい募集環境の中、今後の人材、人員確保には、海上自衛隊隊員の任務環境の改善を図る必要が常にあると私は考えております。中でも、艦艇における乗組員の情報通信環境の改善は必須であります。日本近海での家庭通信環境をより使いやすくする環境整備を是非行っていただきたいと思います。短期近海任務における各艦艇からの通信環境のニーズ調査、こういうことも行っていただくなど、確実に取組を進めていただきたいと思います。
 また、あわせまして、艦艇内でのWiFi環境整備も進めるべきだと思います。現状は、多くの船では食堂及び通信室と無線範囲が限定をされております。今後、隊員の居住区画でも通信可能にすべく、広く艦艇内でのWiFiによるアクセス可能に改良すべきであります。
 岸大臣、いずれも取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  艦艇の乗組員の通信環境につきましては、隊員が家族等と連絡を取り合うための手段として、艦艇に設置されている家庭通信用端末によって家族等と電子メールによる連絡を行っておりましたが、平成二十九年から無線のLAN環境、いわゆるWiFiを整備をしたことで、隊員が個人の携帯端末から同端末を介して電子メールの受送信が可能になったところであります。
 これまで、長期の海外派遣となります海賊対処や、中東における情報収集活動に従事した艦艇乗組員に対して家庭通信用端末の利用状況のアンケートを実施をいたしました。隊員の通信ニーズの把握に努めておりますが、委員御指摘の短期の近海での任務の隊員は含まれておりませんでした。短期近海任務の艦艇乗組員の通信ニーズの把握にも今後努めてまいりたいと考えております。
 また、現在、艦艇の食堂や通信室の前にも無線のLANルーターを設置をし、隊員が利用できる通信環境は整備をされております。今後は、隊員の利便性を向上させる観点から、居住区画への無線通信環境の拡大を含めて通信環境の改善について検討してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、航海中における艦艇乗組員が安心して任務に従事し、また一方で隊員の留守を預かる家族が不安を感じないように、隊員、家族の心的負担を軽減させるべく、隊員の通信環境の利便性向上に努めてまいりたいと考えます。
三浦信祐君 是非進めていただきたいと思います。また、どういうふうな進捗かということも、結果も含めてまた伺いたいと思います。
 海上自衛隊の艦艇の位置秘匿、これは当然でありますけれども、先ほど来、乗組隊員の福利厚生環境の充実というのも欠かすことはできないと思います。両立を図る取組というのが必要です。
 艦艇から電子家庭通信を行う際、現状のインマルサットを利用した通信回線手法では、通信員が一つ一つ空いている回線を確保しているということをやっているのが現状であり、回線が限られています。回線も細い状況であります。
 改善手法としては、衛星回線のKuバンドの活用があります。これによって複数艦艇が常時接続可能となり、自動接続できるために通信員の負担軽減も図られます。省人化もでき、自動化がより進むことが期待ができます。日本近海における通信の確保も可能であって、電子家庭通信にKuバンドの活用を強く求めたいと思います。御対応いただけませんでしょうか。
政府参考人(土本英樹君)  お答え申し上げます。
 委員御指摘のKuバンドにつきましては、インマルサットに比べて大容量通信が可能な周波数帯でありまして、海上自衛隊が活動する主要な海域でも使用できるため、海上自衛隊でもXバンド衛星の補完機能としてデータ通信に使用しているところでございます。
 防衛省といたしましても、艦艇における任務遂行のための通信というものと福利厚生のための通信の両立といったことや、通信士等艦艇で勤務する隊員の負担軽減は非常に重要であると考えているところでございまして、引き続き福利厚生のための通信ニーズというものをしっかり踏まえさせていただきまして、委員御指摘のKuバンド衛星の利用拡大を含む通信環境の改善に向けて検討してまいる所存でございます。
三浦信祐君 是非、結果を待っております。よろしくお願いします。
 近年、海上自衛隊に対する負担の増加によって、任務と訓練とドック入り整備のこのバランスが崩れております。従前からの伝統を確保しつつも、改善のために、海上保安庁が取り入れているようなクルー制について検討すべきではないでしょうか。見解を伺います。
政府参考人(土本英樹君)  お答え申し上げます。
 委員御指摘のクルー制につきましては、艦艇の数よりも多くクルーの数を確保し、各クルーが交代で艦艇に乗船する運用形態でございます。
 クルー制の導入につきましては、艦艇の稼働率を向上させるのみならず、艦艇乗員の勤務環境の改善にもつながるものでございます。
 具体的には、従来、特定の艦艇の任務が増大すれば、その艦艇の乗員の洋上勤務日数もこれに合わせて増大せざるを得ませんでしたが、クルー制の導入によりまして、特定の艦艇の任務が増大した場合にも、クルーが交代で乗船することによりまして艦艇乗員の洋上勤務日数を縮減し、休養時間を確保することができるというものでございます。
 現在、クルー制につきましては音響測定艦に導入しているところでございますが、今後就役する新型護衛艦、FFMに導入するということとしているところでございます。

防衛大学校の教育研究環境

三浦信祐君 是非、ただでさえ国民の生命と財産を守る崇高な任務であります。それを心意気だけに頼るということではなくて、きちっと体制整備をしていただくということが持続可能な我が国の存立に関わることだと思いますので、是非進めていただきたいというふうに思います。
 一つ飛ばさせていただきます。
 間もなく防衛大学校は卒業式を迎えます。厳しい教育訓練を全うされ御卒業される学生各位にお祝いを申し上げたいと思います。また、御家族の方にも併せてお祝いさせていただきたいと思います。コロナ禍でも学生さんの育成に当たられた関係各位に心から敬意を表したいと思います。
 さて、大臣も恐らく卒業式に御出席をされて訓示をされると思いますが、明確にしていただきたい要望が一つあります。それは、防衛大学校の施設整備です。歴史と伝統を堅持しておりますけれども、建物が老朽化をしてきているということは確実な事実であります。防衛大学校の新理工学館の継続的整備を必ず行っていただきたいと思います。
 現状、新理工学館A棟が運用されて、今後順次建て替えていくと承知をしております。この最初の段階の建て替えのときには、私も当時職員として携わらせていただいて、思いは強くあります。ですが、理工学A館だけが立派で、あとは予算が足りないからきちっとしたものがないとなれば、教育環境の不平等さが出るということは断じてあってはならないというふうに思います。計画的にかつ予定どおりに進めていくために、現状の進捗と今後の見通しについて伺いたいと思います。
 また、グラウンドの人工芝の整備等、学生の教育環境整備も見える形で推し進めるべきだと思います。後輩のためにも、今回卒業する学生さんたちが将来いろんな形で携わるときに誇るべき大学の施設でもあるということを言えるように、是非、岸大臣、しっかり取り組んでいただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  ただいま委員御指摘の理工学館を含みます教育研究講義棟の整備につきましては、これはもう建設後六十年以上が経過をしているわけですが、これを、老朽化した六棟を四棟へ集約整備することによって、一棟目は令和元年六月に完成、二棟目についても令和六年度中に完成を目指しております。このように工事に着工しているところでございます。安全で機能的な教育研究環境の確保のために、残りの二棟についても着実に整備を実施してまいりたいと考えております。
 防衛大学校のグラウンドについては、けがの防止等の目的のほか、災害時における活用等を念頭に整備を進めているところでございますが、平成二十五年に人工芝化を完了したラグビー場に引き続き、サッカー場についても令和三年度中の完成を目指し工事を行う予定です。また、アメリカンフットボール場についても順次人工芝化を進める計画でありまして、令和二年度より計画に、設計に取りかかっているところであります。
 引き続き、防衛大学校における教育環境の整備にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

防衛産業におけるセキュリティー対応とコスト負担軽減について

三浦信祐君 世界の士官学校はそれぞれの軍ごとにでき上がっていますけど、日本はいわゆる陸海空の自衛隊が一緒にそこで学ぶことができるという、世界にとってみれば希有な存在であり、それが実は統合運用に大きく貢献をすることだというふうに思います。世界にしっかりと、その人材の育成プランのところに施設というのも相まっていきますので、大臣、是非取り組んでいただきたいと思います。
 次に、防衛産業におけるセキュリティー対応とコスト負担の軽減について伺いたいと思います。
 防衛省がサイバーセキュリティー対応強化のために検討をしている新情報セキュリティー基準があります。昨年末公表する予定だったと承知をしておりますが、いまだ公表をされておりません。多くの防衛産業に携わる方が情報を待っている状況であります。
 岸大臣、現在の検討状況はどうなっているんでしょうか。また、いつ頃それが発出できるような状況でしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  近年、防衛省が装備品の製造請負等の契約を締結した企業に対する不正アクセス事案が起きておりまして、防衛産業に対するこうしたサイバー攻撃に対する情報セキュリティー対策を強化することが重要な課題となっております。
 従来から、防衛省は契約を締結している企業との間で情報セキュリティーの確保に関する特約を結んで、企業側において必要な対策を進めているところですが、こうした対策を強化するため、現在、米国の国防省が企業に対して適用しているサイバーセキュリティーの基準と同程度となるような新たな情報セキュリティー基準に基づく対策について検討を行っております。
 その検討状況については、こうした新たな基準やこれに基づく新たな対策について、防衛省において具体的な案を検討するとともに、官民で検討する会議を設けて意見交換を行い、加えて防衛省と経団連との意見交換の枠組みの下で、情報保全の強化を重要な課題の一つとして取り上げて意見交換を行ってまいります。
 防衛省としては、引き続き防衛産業との間で丁寧な意見交換を行いながら、新たな情報セキュリティー基準に基づく対策についての検討を進め、早期に検討結果を取りまとめ、そして対策を具体化してまいりたいと考えております。
三浦信祐君 大臣にお答えいただきましたけれども、この新情報セキュリティー基準については、現場が対応できなければ意味を成していかないということになります。
 民間企業、今、経団連という名前も出てまいりましたけれども、より防衛産業の方々は幅広に存在をしております。ですので、民間企業と意見をよくすり合わせていただきたいというのが私のお願いであります。特定のところだけではなくて、幅広にきちっとやっていくことによって防衛産業を守ることにも資すると思いますし、準備もできることになります。
 是非御対応いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(武田博史君)  お答えをいたします。
 ただいま大臣から申し上げたとおり、防衛省といたしましては、新たな情報セキュリティーの基準に基づく対策について防衛産業と意見交換を行いながら検討を進めております。
 この対策につきましては、契約を通じ企業に対して新たな措置を義務付けるものでありますので、情報セキュリティー強化に関し官民で検討する会議や経団連との意見交換の枠組みの下で防衛産業と意見交換を行い、防衛産業側の問題意識や御要望を丁寧にお聞きしながら検討を深めているところでございます。
三浦信祐君 その先のことですけれども、防衛調達に関し初期コストをしっかり見ていただきたいと思います。
 特に、防衛省からのセキュリティー要求に対応するためには、発生するインフラ費用がコストとして掛かってまいります。その場合には、契約本体以外にも投資が必要になることが実態であります。セキュリティー構築に係る初年度の費用負担や維持費への反映を原価計算の中に私はしっかりと組み込んでいただきたいと思います。
 その上で、各防衛産業メーカーに、実はそういうふうに計上してもいいですよということが分からないケースもないとは言えません。ですので、現状と課題把握のために細部にわたってヒアリングをしていただいて御対応いただきたいと思います。
政府参考人(武田博史君)  お答えいたします。
 防衛省が装備品の製造請負等の契約を行う際の価格につきましては、その装備品の製造等に必要な様々な経費を積み上げる、いわゆる原価計算方式に基づき予定価格を算定し、この予定価格に基づいて入札や商議を行った上で最終的に決めているところでございます。
 したがって、従来から、原価計算方式では、会社側において情報セキュリティーの確保のための対策に要した経費につきましても、加工費率及び一般管理及び販売費率において考慮をすることができる制度にはなっておるところでございます。
 先ほど申し上げたように、現在検討している新たな情報セキュリティー基準に基づく対策を防衛産業各社が講ずるために必要となる経費につきましては大きくなることも予想されるので、原価計算方式の下で、いまだそのやり方は決めてはおりませんけれども、こうした経費についても考慮してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、新たな対策の具体的な在り方などについては、引き続き、委員御指摘のように、防衛産業との間で丁寧な意見交換やヒアリングを行いながら検討を深めてまいりたいと考えております。
三浦信祐君 これからいろいろ検討が進んでいくと思いますけれども、一番大事なことは、防衛産業を守っていくということがサプライチェーン構築に必須であり、そして我が国の防衛体制をきちっと持続可能なものにすることであります。一方で、国際基準に合わせませんといろんな課題が生じる可能性もあります。ですので、防衛省として、是非この新基準のセキュリティーについてはよくよく民間企業の視点も取り入れるということ、一方で国際社会とのバランスを取るということは徹底的にやっていただかなければいけないと思います。
 引き続き、次回質問の機会をいただきましたら、この後、今日通告をさせていただいた内容について質問させていただきたいと思います。
 私は以上で終わります。ありがとうございました。