三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
まず最初に、昨日の大阪の地震でお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げるとともに、けがをされた方々、また今でも避難をされている方々にお見舞いを申し上げたいと思います。また、復旧に御尽力をいただいている関係者の皆様、そして医療関係者の皆様に心から敬意を表したいと思います。
停電や断水によって、国立循環器病センターほか医療機関にも多大な影響が出ております。厚生労働省として、現場のニーズにしっかりと応えていただいて、支援もしていただきたいということを冒頭お願いをさせていただきたいと思います。
大臣も戻られましたので、ちょっと順番を入れ替えさせていただき、質問をさせていただきたいと思います。
高度プロフェッショナル制度の健康管理時間について
最初に、高度プロフェッショナル制度について伺いたいと思います。
この高プロ制度について、これまで様々な議論がありました。正直、答弁が分かりづらいと感じたところもあります。国民の皆様に向けて、明確に整理をして、分かる答弁をしていただかなければなりません。加藤大臣に一つ一つ質問をさせていただきます。
高プロ制度における健康管理時間等について、まず健康管理時間とは何なのでしょうか。また、健康管理時間等についての把握、記録はどのように行うことになるのでしょうか。
国務大臣(加藤勝信君) まず、法律案においては、健康管理時間とは、対象労働者が事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間との合計の時間と定義をしておりますが、これは高度プロフェッショナル制度の健康確保措置の基礎となるものであります。
健康管理時間の把握方法は、タイムカードやパソコンの起動時間等、客観的な方法によることを原則とする。また、例えば、顧客先での業務に直行直帰で対応し、自社のシステムにログインすることがなく自社への連絡を行うこともない場合など、これは事業場外の場合でありますけれども、で労働する場合であって、そうしたパソコン等による客観的な把握も困難などやむを得ない場合に限っては自己申告を認める旨、これを省令で規定することにしております。
なお、自己申告の方法としては、事業場の任意の様式により、事業場外で労働した日の始業・終業時刻を報告してもらうということが考えられるところであります。こうした把握方法を義務付けることから、健康管理時間は、日々の始期と終期が把握され、それを基にした時間数が記録されることになります。ただし、事業場の労働については、やむを得ず自己申告とする場合には、日々の時間数を記録し、それを何日か分かまとめて提出させる場合もあるのではないかというふうに考えているところであります。
また、健康管理時間の記録、これの様式は特に定めをしておりません。任意でありますが、しかし、少なくとも日々の健康管理時間が記載されているということ、そして、医師による面接指導の要否等を確認するため、一か月の合計時間が集計されている必要はあるものと考えております。こうした記録方法とすべきことは指針に規定をし、労使委員会の決議において当該記録方法によることを定めることを想定をしているわけであります。
また、健康管理時間の記録、あるいはタイムカード等の関係書類については、現在、賃金台帳の保存期間が三年とされていることなども参考にしながら保存期間を定めることとし、その旨も省令に規定をさせていただきたいと、このように考えております。
三浦信祐君 まず、これは事業者がしっかり説明ができるようにならなければいけない、また高プロを自分で選ぼうとする方もしっかりと理解をしていただかなければいけないと思いますので、体系的にきちっと説明できるような準備をしていただかなければならないと思います。御準備をしっかりお願いしたいと思います。
次に、高プロ制度で働く方の健康管理時間の把握について、今も御答弁もありましたけれども、事業所内はもちろん、事業所外であろうと、やむを得ない場合以外に客観的な方法で把握することとしています。加藤大臣、このやむを得ない場合とは何でしょうか。具体的に例示をしていただき、明確にしていただけませんでしょうか。
国務大臣(加藤勝信君) これ先ほど申し上げましたけれども、事業場外における場合ということでありますけれども、やむを得ない場合の具体例として、顧客先での業務に直行直帰で対応し、自社のシステムにログインすることなく自社への連絡を行うこともない場合、事業場外において業務用のパソコン等を携帯せずに必要な資料を読み込むことに集中している場合、あるいは、海外出張の場合など自社のシステムを常時利用することがない環境で業務に従事する場合などが考えられるわけでありますが、このように、事業場外において業務用のパソコン等を使用せず、あるいは社内システムを離れて業務に従事する場合には客観的な方法により健康管理時間を把握することは困難と考えることから、そうしたケースについては自己申告とすることが認められると、こういうふうな形になっているところでございます。
三浦信祐君 今例示をしていただきました。この例示もしっかり今後周知をしていただかなければならないと思います。
次に、労働安全衛生法第六十六条八の四にて、事業者は、高プロ制度にある労働者について、健康管理時間が厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、医師による面接指導を行わなければならないと罰則付きで規定をしております。健康管理時間について、誰がどのようなプロセスでどこにどう報告して、医師の面接指導にどうつながっていくのでしょうか。プロセスを明快にしていただきたいんですけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(加藤勝信君) まず、先ほど申し上げた健康管理時間、これは日々事業主が把握をしていただくということになるわけでありますけれども、同時に、事業主はこうした方法で把握した健康管理時間について、毎月一回以上、一定の期日を定めた上で一か月間の合計時間数を対象労働者ごとに算定をし、面接指導の要件に該当するか否かを判断することになります。
面接指導の要件に該当する労働者に対しては、事業主がその旨を本人に通知するとともに、常時五十人以上の労働者を使用する事業場においては、当該労働者の氏名、一週間当たり四十時間を超える健康管理時間の情報、当該労働者の業務に関する情報を産業医に提供することになります。
ただ、常時五十人未満の労働者を使用する事業場においても、医師等に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせている場合には、当該医師等に対し同様に情報提供を行うよう、これは努めることとなります。
事業主は、通知を行った労働者に対して、遅滞なく医師による面接指導を実施をし、当該医師に基づき職務内容の変更等、適切な事後措置が講じられることになります。
さらに、常時五十人以上の労働者を使用する事業場においては、当該事後措置の内容を産業医に情報提供をする。なお、また常時五十人未満の労働者を使用する事業場においても、医師等に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせている場合には、当該医師等に対して事後措置の内容を情報提供するよう、これは努めることにしております。
このように、五十人未満の小規模事業場の場合には努力義務規定、あるいはそこにおいて医師等に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせている場合ということに限定付くわけでございますので、今回、高度プロフェッショナル制度を導入する場合には、これ五十人未満の小規模な事業場においても、健康管理に当たる医師を選任することとする方向で検討していきたい。具体的には決議事項を定める省令等に規定することを考えていきたいと思っております。
なお、対象労働者が長期の海外出張に出ているなど、健康管理時間の算定後、遅滞なく面接指導を実施することが困難である場合には、帰国時など面接指導の実施が可能な状況になり次第、速やかに実施をしていただく必要があると考えております。
三浦信祐君 今、きちっと海外出張の場合にもこういう体制を取るというふうに明言もしていただきました。また、五十人未満のところの対応も選任をしなければならないというふうに言っていただいたので、これを聞いた皆さんはしっかり準備をしていただけるのかなと思います。
一方で、やむを得ない場合というところで、一か月単位で算定をしていく健康管理時間について、いつにということもきちっと事業所で決めていかなければいけないと思いますので、事業主がきちんと相談をして、それに回答できる体制も厚生労働省として相談窓口的なところで対応していただけるようにお願いをしたいと思います。
高度プロフェッショナル制度における健康管理時間と、今回新たに義務化された労働時間との違いは何でしょうか。労働時間把握においても、今し方御答弁をいただきました同様の取扱いになるのでしょうか。加藤大臣に伺います。
国務大臣(加藤勝信君) 先ほど御説明いたしましたように、高プロの場合の健康管理時間は、事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間との合計ということで、これを客観的に把握することによって使用者が対象者の健康を確保するための措置を講じていただくと、こういうことになっております。
また、労働安全衛生法に基づき、事業者に把握を義務付ける労働時間の状況は、医師による面接指導を適切に実施するためのものであります。これは、実労働時間を含めて、事業場内外を問わず、いかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するものであり、裁量労働制などみなし労働時間制の適用を受けている方、管理監督者の方も含めて、高度プロフェッショナル制度対象の労働者、これだけは除外をしておりますが、全ての労働者について労働時間の状況の把握を求めることにしております。
労働時間の状況の把握の方法については、これは健康管理時間と一緒でありますが、タイムカードやパソコンの起動時間等、客観的な方法によることを原則とする旨を労働安全衛生規則に規定をすることにしております。
また、労働安全衛生法上、新たに設ける規定により労働時間の状況の把握を求める趣旨は、高度プロフェッショナル制度において健康管理時間の把握を求める趣旨と同様でありまして、重ねての答弁になりますが、あくまでも労働者の健康の確保を図る観点から行われるというものであります。
三浦信祐君 きちっと周知をしていただきたいと思います。誤解なきようにまたきちっと答弁をするようなこと、私もお願いをしてまいりましたけれども、今ので明確になりましたので、これをきちっとまた共有をさせていただきたいと思います。
就労とがん治療の両立
次に、がん治療と就労との両立について質問をさせていただきたいと思います。これは、働き方改革の中で整えておかなければならない治療と就労の部分でもあります。
日本人の死因の第一位はがんであります。二人に一人が一度はがんに罹患するのが現状です。そのような中、あらゆる医療従事者、研究者、技術者の皆様の御努力によって、がん研究、創薬、手術方法の進展が図られ続けており、治るがんが増えております。
がんに罹患された方が適切に治療を受けられる社会環境の整備が重要であり、特に就労し続けられる体制整備が国として必須であります。これまで以上に就労と治療の両立が可能な社会構築への取組を強化すべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、本法改正の中で、これらに関して手当てできる部分はどこに当たるのでしょうか。御答弁いただければと思います。
副大臣(牧原秀樹君) 議員が御指摘になられましたとおり、病気の治療と仕事の両立支援を進め、がんになっても生きがいを感じながら働くことができる環境を整備することは重要でありまして、働き方改革実行計画におきましても、施策の充実の方向性を具体的に示したところでございます。
厚労省におきましては、働き方改革実行計画に基づき、企業における意識改革や両立を可能にする社内制度の整備を促すことに加え、企業、医療機関及び両立支援コーディネーターによるトライアングル型のサポート体制を構築するなど、社会的な基盤づくりを進めているところでございます。また本年三月に閣議決定をされました第三期がん対策推進基本計画におきましても、がん患者の皆様の就労支援の充実を位置付け、がん相談支援センターにおける就労に関する相談支援等により、離職防止等の治療と仕事の両立を社会的にサポートする取組を進めているところでございます。
そしてまた、今般の法改正におきましては、雇用対策法の改正において、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定と職業生活の充実等の目的を達成するために、国が総合的に講じるべき施策の一つとして、がんを含めた病気の治療と仕事の両立支援に関する施策の充実を位置付けております。
法律の成立後には、同改正法に基づき策定する基本方針におきまして、治療と仕事の両立支援に係る基本的な事項を明らかにした上で、企業における支援体制の整備等の取組が促進されるよう、社会的な基盤づくりを着実に進めてまいりたいと思っています。
三浦信祐君 牧原副大臣、確認しますけれども、本法案には仕事と治療の両立が含まれていること、これ是非十分に宣伝をしていただきたいと思います。また、その基本方針をしっかりと策定すべきだと私は考えております。取り組んでいただけるかどうか、確認させてください。
副大臣(牧原秀樹君) 取り組んでまいります。
三浦信祐君 労働上での健康確保に貢献をしていただいている産業医は、がんの診断と治療の経過に参画できない場合が少なくないと私は思います。
産業医に対して、従業員からがん罹患の情報がもたらされるのが遅い場合も想定できます。これらの問題意識と課題解消へ向けて、厚生労働省の見解を伺いたいと思います。
政府参考人(田中誠二君) がんに罹患された労働者の治療や症状等の状況は一人一人様々でございます。事業場において就業上の配慮を含め個々の労働者の心身の状態に応じた健康管理の充実を図ることは、産業医に期待される役割の一つであると考えております。
産業医の具体的な役割としては、労働者からの相談や主治医との連携によりまして、例えば、治療や症状の状況を把握した上で、治療及び就業に関する労働者の希望も踏まえつつ、労働者に対して情報提供や助言を行う一方、事業者に対して就業上の措置や配慮に関する意見を述べ、これらにより治療と仕事を両立しやすい環境整備に資する活動を行うことが考えられます。
厚労省としては、平成二十八年二月に策定した事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドラインを周知し、事業者が治療と仕事の両立支援に取り組むに当たり、産業医を効果的に活用するよう促していくとともに、今回の労働安全衛生法の改正において、労働者が産業医による健康相談を安心して受けられるよう、事業者による相談体制整備の努力義務や産業医等への健康相談の利用方法等についての労働者への周知義務を新たに設けることとしておりまして、産業医が産業医学の専門家の立場から治療と仕事の両立支援においても期待される役割を果たしていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
三浦信祐君 今回の法律の中には、事業者は、事業場には産業医の役割を掲示して労働者に周知させなければならないとしておりますので、ここもしっかりと徹底をできるようにしていただかなければなりませんと私は是非お願いをしておきたいと思います。
子育て、介護と働き方改革
次に、子育て、介護と働き方改革について伺います。
子育てと介護の両立をケアしなければいけない、いわゆるダブルケアをしている方は現在約二十五万人おられます。高齢化社会が進む中、今後ますます増えることも予想されます。その上で、生活を営むためには就労は欠かすことができません。すなわち、子育て、介護と就労の三立が就労支援、継続支援の中で重要度を増してまいります。事業者の理解、社会の支え合いが重要であります。
本法改正において雇用対策法第四条一項六号として明記することとなります。国としてこれらを包含して具体的対策を進めるべきと考えますけれども、高木副大臣、いかがでしょうか。
副大臣(高木美智代君) お答えいたします。
御指摘のとおり、いわゆるダブルケアと仕事の両立、重要な課題と認識しております。
厚生労働省といたしましては、育児・介護休業法によりまして、育児休業などの子育てとの両立支援制度、また介護休業などの介護との両立支援制度を講じておりまして、各労働者のニーズに応じた利用を促進しているところでございます。
中小企業への御指摘とも受け止めております。中小企業における両立支援の取組の促進策といたしまして、職場における円滑な育児休業や介護休業の取得から職場復帰までを支援するための育休復帰支援プラン、また介護支援プランの策定支援、またこれらのプランを実際に策定し、労働者の休業取得及び復職を支援した事業主に支給する両立支援等助成金の支給などを行っているところでございます。
今後とも、育児、介護を行う労働者が仕事と両立できるような職場環境の整備を進めてまいる所存でございます。そのためにも、まずはダブルケアを行う労働者の相談に柔軟にきめ細やかに対応できるよう取り組んでまいる所存でございます。
三浦信祐君 もう少し具体的な施策が私は今の答弁を聞いて必要だと思いますので、今後またこれについてはしっかり議論させていただきたいというふうに思います。
先がありますので、次に行かせていただきます。
介護をしながら安心して就労できる企業、介護離職を防止する努力に取り組み、そして働き方改革を推進している企業に対して、これまでのくるみん、えるぼしのような厚生労働省が認定する制度創設をしてはいかがでしょうか。制度創設を通し、介護離職の防止、企業の介護支援への取組、労働者への支援を充実することが共生社会、超高齢化社会を乗り切る原動力となると確信します。
神奈川県では、従業員の仕事と介護の両立に向けた職場環境の整備を積極的に行っている優良企業をかながわサポートケア企業として認証する制度を創設し、今月の六月十二日から募集を開始をしております。メリットとしては、認証企業を積極的に県がアピールをする、また自社の広報マークにこのマークを使っていける、そして県の入札資格登録での優遇措置があるということであります。
これも是非参考にしていただいて、認証制度、是非取り組んでいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
政府参考人(宮川晃君) 企業におきまして、労働者が安心して仕事と介護を両立できる環境整備を進めていくことは大変重要な課題だと思っております。
このため、厚生労働省におきましては、企業における仕事と介護の両立が進みますように、事業主が介護と仕事の両立に取り組む労働者に対し何をすべきかを示した仕事と介護の両立支援対応モデルの普及促進、あるいは円滑な介護休業取得や職場復帰のための介護支援プランの策定支援、その他助成金の支給などの支援を行っているところでございます。
また、仕事と介護を両立できる職場環境の整備に取り組んでいる企業をPRするシンボルマークとしてトモニンというシンボルマークを作成し、仕事と介護の両立に取り組む企業である旨の周知にこのマークを活用されるような取組を行っているところでございます。
今後とも、これらの取組によりまして、企業における仕事と介護の両立支援の取組の促進を図るとともに、更にどのような工夫が必要であるのか、引き続き検討してまいりたいと思います。
三浦信祐君 今、トモニンというふうに言っていただきましたけれども、トモニンのメリットは何ですか。
政府参考人(宮川晃君) これは、この企業におきまして仕事と介護を両立しやすい職場環境に取り組んでいるという形の企業としてのアピールができるという点でございまして、こういう形でのアピールをすることによりまして、その企業自らの取組を進めるとともに、他の企業への模範となる、あるいはそういうものを広げていくということの一助となればと考えているところでございます。
三浦信祐君 是非、トモニンを取ったら、これだけ進んでいるんだと、ほかの企業がまねしたくなるようなことを知る機会がなければ、単なるマークを付けても社会には全然装填をされていかないと思いますので、そこの取組、しっかりやっていただきたいというふうに思います。
働き方改革の実現が進んでいる中小企業に対する表彰制度、例えば大臣表彰や各地の労働局長表彰などを創設をしてはいかがでしょうか。先日の川越での地方公聴会で御提案もいただいております。また、地元を回る中でも提案、要望もいただいているのも事実であります。
厚生労働省のこれまでの表彰制度は、いわゆる手挙げ方式であったと承知をしております。これに対し、厚生労働省の本省、労働局、働き方支援センターなどのアドバイス機構等から得た情報を集約をして、働き方改革が進んだ企業を見付け出して表彰する制度とする。これにより、公的、客観的事実となって、中小企業の経営者の励みや改革推進を後押しすることが大いに期待できると確信をいたします。
働き方改革推進企業への表彰制度の創設を是非していただきたいと思いますけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(加藤勝信君) 中小企業・小規模事業者において積極的に取り組んでいただくということは、先ほどからも議論させていただいておりますように、何といっても七割の働き手がそうした事業所等で働いておられるわけでありますから、大変重要だと思います。特に、若年層を中心とした求職者を掘り起こす、あるいは働き方に取り組む企業をハローワークで求職者に周知することによる重点的な人材の紹介ということで、中小企業・小規模事業者の人材の確保の支援にもつながっていくわけであります。
働き方改革を推進するためには、長時間労働是正など働き方改革に積極的な企業ほどいわゆる労働市場で選ばれ、それが企業の自主的な取組を更に促していくという、こういう好循環をつくり出していくことも大変重要でありまして、求職者等が既存の各種認定を受けた企業などの職場情報をワンストップで閲覧できる職場情報総合サイトの構築などにより、職場情報の見える化にも取り組んでいるところであります。
また、働き方改革に積極的な事業者の取組をこれから改革に取り組もうとする事業者の参考にしていただけるということは大変有意義なことだというふうに考えておりまして、今議員から働き方改革に取り組む企業を国が表彰する制度についての御提案もございましたが、既存の認定表彰制度との関係というのも整理をしていく必要があると思いますけれども、そうした制度についても検討していきたいというふうに考えております。
また、厚労省では、中小企業・小規模事業者の働き方改革・人手不足対応に関する検討会等もございます。そうした場所において働き方改革に積極的な企業からヒアリングをするなどもしておりますから、こうした取組の中で、中小企業・小規模事業者の好事例を把握、横展開も併せて図っていきたいと思っておりますので、そうした取組と並行して、先ほど申し上げた制度等も検討させていただきたいと思います。
三浦信祐君 大臣、是非検討していただきたいと思います。
厚生労働省のその表彰によって、大臣表彰を得たということで地元でどうだというふうに言って頑張ってくださる中小企業の方が増えていくというのが、実際に社会の中に働き方改革が装填をされたと、そして厚生労働省、国を挙げてこの日本の未来を考えているという証拠にもなりますから、どうか、表彰するから手を挙げてくださいじゃなくて、見付け出してぐらいの覚悟で是非やっていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
労働環境が厳しい業種業態への対応
次に、本法律案で罰則付きの時間外労働上限規制を設けている中、これが適用されない業種についての質問をさせていただきます。
先ほど来ありますけれども、時間外労働上限規制について、建設、自動車運転、新技術等研究開発、医師、沖縄、鹿児島製糖業の五業種について適用猶予及び除外が設定をされております。そして、この五業種のうち四業種は一般則適用を五年後に設定をしておりますけれども、大事なことは、この間に実効性が確保できるための具体的対策が必要だと思います。その五年先を待つのではなくて、一瞬でも一手でも一年でも早くという対策を取っていくということのあくまでも準備期間であるというふうに私は思います。
具体的対策、どのようになっているか、御答弁いただければと思います。
副大臣(牧原秀樹君) 今御指摘のありました例外は、三つのグループに分けて考えられると思います。つまり、告示で現在も例外になっているもの、現在は例外じゃないけれども例外に位置付けるもの、そしてずっと例外になるものというふうに、三つなんですけれども。
まず、建設業、自動車の運転業務、それから鹿児島及び沖縄における砂糖製造業につきましては、今までも時間外労働の限度基準に関しまして大臣告示の指導の適用除外になっているものでございます。
今回、これをいずれは新たに設ける罰則付きの時間外労働の限度に適用するというふうになっておりますので、今御指摘のありました個々の話ですが、建設業につきましては、例外になっている理由というのは、施主から工期を厳格に守ることを求められるとともに、天候不順などの自然的条件により作業日程が圧迫されるなど、業務の特性や取引慣行上の課題があること。そして、自動車運転業務につきましては、他の産業に比べて労働時間が長いという現実の実態があり、その背景には、取引慣行の問題など、個々の事業主の努力だけでは解決できない課題があるということ。そして、三番目の鹿児島及び沖縄における砂糖製造業につきましては、季節的要因によって事業活動や業務量の変動が著しい一方で、地理的な制約により人材確保が困難などの事情があります。
二番目の類型として、今までは例外じゃなかったのですが、今回例外に位置付けたものとしては医師がございまして、医師につきましては、求めがあれば診療を拒んではならないという応招義務が課せられているなどの特殊性を踏まえた対応が必要であるというふうにしたところでございます。
実態に即した形で上限規制を適用していくには、こうした取引慣行や法制度上の課題も含めて解決していく必要があって、これら四つについては五年間の猶予を設けたところでございます。この期間におきましても、建設業、自動車の運転業務、鹿児島及び沖縄における砂糖製造業につきましては、長時間労働を是正するための環境整備等に関係省庁と連携して取り組んでまいります。また、医師につきましては、具体的な規制の在り方について医療界の参加の下で検討の場を設けておりまして、質の高い医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指してまいります。
そして、三番目の類型のこれまでも例外ですし五年後も例外となっていくものは、新技術等の研究開発の業務についてです。
これらについては、成果を出すためにある期間に集中的に作業を行う必要があり、一定の限度時間による行政指導になじみにくいということから、現在の時間外労働の限度基準に関して適用の例外、適用除外にしておりますけれども、今回の法案においても、新技術等の研究開発の業務については、業務の特殊性を踏まえて、新たに設ける罰則付きの時間外労働限度については適用除外としています。
一方で、先ほど来話がありますが、健康確保措置については強化をして、一か月当たりの時間外・休日労働時間が百時間を超える場合には必ず医師による面接指導を受けさせなければならない等の強化をして、健康確保を図ってまいりたいと考えています。
三浦信祐君 時間が来ましたので終わりますけれども、最後に、小林理事からも浜口委員からもありましたけれども、この運輸関係の方々の、五年間を待たず、少しでも前倒し適用の可能性、是非これも、先ほども大臣からも答弁ありましたけれども、一部とか検討の必要があるとありましたけれども、しっかりと検討を進めていただきたいことをお願いして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。