労働環境の整備と処遇改善
三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
本法改正では、正規雇用者と非正規雇用者との待遇差の合理性について、雇用主に労働者に対して説明義務を課しております。
近年、正社員として勤務し退職した後、定年後の再任用で採用され働く方が増加をしております。再任用の方は、それまでの能力、経験を生かして勤務をしている中、正社員時よりも給料が低くなるのが一般的です。これについてどのような合理的説明を企業が行っていくことになるのでしょうか。先般、最高裁にてこの課題について判決が出ております。判例との関係性を含めて、考え方をどのように整理されていくのでしょうか。
また、正規雇用と非正規雇用との差をなくす過程で、通勤手当等の諸手当の取扱いについて、同日、最高裁判決がありました。この事実と本法改正に基づき、経営者、使用者が踏まえるべき点について、また今後の対応について、加藤大臣に伺います。
国務大臣(加藤勝信君) 今回の二つの最高裁判決、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の待遇差について個々の手当ごとに判断するということで、現行の労働契約法第二十条の解釈適用について判断をされたものでありますが、今回の法案による改正後の規定の解釈にも示唆を与えていただける、こういうものだというふうに認識をしております。
判決を踏まえて法案の文言の修正をする必要は特にないと考えておりますが、今後策定する同一労働同一賃金のガイドライン、また通達においては、この判決におけるもの、必要なものはしっかり取り入れていく必要があると考えております。
例えば、今お話がありました定年後再雇用の有期雇用労働者に関する均等・均衡待遇の考え方でありますが、既にお示しをしたガイドライン案においては、退職一時金及び企業年金、公的年金の支給、定年後の継続雇用における給与の減額に対応した公的給付がなされていることを勘案することが許容されるか否かについては、今後の法改正の検討過程を含め、検討を行うとされていたところでございまして、そういった意味では、今回の判決というのはそれ一つの示唆を与えていただいているわけでありますから、それを踏まえてこの点についても何らかの認識を示していく、ガイドラインで示していくということで検討していく必要があるというふうに考えております。
いずれにしても、このガイドライン案あるいは通達については、関係者の意見、またこの国会における様々な御議論も頂戴をしておりますから、それを踏まえて法案成立後に労働政策審議会においてしっかりと議論させていただいた上で作り上げていきたいと、こう考えております。
三浦信祐君 大臣から、そのガイドラインの重要性ということを逆に言っていただいたと思います。しっかり審議をして決めていただきたいと思います。
労働政策審議会の議論
本委員会で法案審議を行っていく中、今後、労政審での議論を行っていただきとの答弁が多岐にわたって多数あります。厚労省側から一方的にこれを審議してくださいと範囲を狭めて議論していただくことではないと承知している上で、確認ですけれども、労政審で議論していただく項目は幾つになるのでしょうか。また、国会審議での各種論点はどう反映をされていくことになるのでしょうか。基本的な質問ですけれども、加藤大臣に伺います。
国務大臣(加藤勝信君) 今の御質問の中で、基本的に省令について労働政策審議会で御議論いただくということでありますから、この今の法改正案におきます新設、改正された条項において省令で定めることとされているものについて、それを一つ一つ数え上げさせていただきますと、六十程度になるということでございます。これについては法案の成立後に労働政策審議会において議論をいただくということであります。
また、このほか、法案において新たに設けるとされた指針、これについても併せて労政審で議論の対象になるものというふうに考えております。
三浦信祐君 漏れなくやらなければいけない、数も多いということが分かりました。
その上で、二つ伺います。
本法改正は、基本方針を定めるとする雇用対策法は公布日から、また、大変重要である長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方改革の実現に関する法令の基本部分については平成三十一年四月一日に施行されるとしております。種々挙げられている課題項目について、労政審での議論のまとめ、整理はいつまでに行われるのでしょうか。これが一つであります。
また、本法案では、厚生労働省令により定めるとしている部分が多数あります。この厚生労働省令を決めるスケジュールはどのように想定をされているのでしょうか。これが二つ目であります。
企業がしっかり準備をしなければなりません。また、様々対策も必要であります。加藤大臣、是非明確にしていただけませんでしょうか。
国務大臣(加藤勝信君) 今回の法律施行、昭和三十一年四月一日から逐次施行されていくわけでありますので、そのことを踏まえながら、失礼、平成三十一年ですね、四月一日から施行されることを踏まえて、また、今回の法案で、罰則付きの時間外労働の上限規制、年次有給休暇の使用者による時季指定など、企業の労務管理の実務に大きな影響があるものもございます。十分な施行準備をしていただくためにも前広にお示しをしていくということは大変大事でございますので、早期に省令等を制定させていただきたいというふうに思っておりますが、現時点ではまだ、既に法律が上がっているわけでもございませんから、この段階でいついつということを申し上げるわけにはいきませんけれども、法案が成立すれば、速やかに労政審のスケジュールを確定し、そして御審議をいただき、そして御審議結果が出れば速やかな省令を決めていく、そういったスピード感を持って取り組ませていただきたいと思います。
三浦信祐君 これ、大変重要な法案ですから、過労死をなくすということではもう一分一秒でも本当にきちっと制度をつくっていかなければいけないことでありますので、法案をしっかり議論させていただく上で、でき上がったその課題についてしっかり議論していただいて、明確化していただきたいと思います。
今、日本ではあらゆる職種において人手不足であると言われております。現場の中小企業は深刻な状態です。働き方改革の実現には人手不足解消への取組が欠かせません。少子高齢化が進み、今後、若年層の労働力不足が顕著にもなってまいります。労働需給のバランスが大きく崩れる時代が来ております。
お手元に資料をお配りさせていただきましたので御覧をいただければと思います。この一枚目は、六十歳以降の就労希望とその希望形態のデータであります。収入を伴う仕事をしたい、続けたいと思っておられる方は、六十から六十四歳で約六九%、六十五から六十九歳では約六五%、すなわち、六十歳以上で約七割であります。七十歳以上でも約二七%もおられます。
また、二枚目ですけれども、いつまで働きたいかについては、七十歳で約二四%、そして、いつまでもが約三〇%です。定年とされている六十五歳以上で整理をすれば六六%にも上ります。その希望就業形態は、パートタイマーが約五四%と半数、フルタイムは約二四%です。
この意向、決して逃してはいけないなというふうに私は思いました。人生の先輩とも言える世代の方々が労働力として社会に実装されていくことは、人手不足解消や、これまでの経験や技術、能力を生かしていくことにもなります。また、生きがいを生むことにもなります。他方で、退職時期に高等教育を受けている御家族がいる場合、教育費を確保するために、あるいは住宅ローンを抱えている等、ライフプランの中に退職後も働き続けるスタイルが増えていることに応えることにもなると思います。
しかし、この就労環境整備というのが日本ではまだまだ足りないというのが実情ではないかなと私は考えております。この高齢者の方々がしっかりと仕事ができるような施策をしっかり具体的に取り組める社会づくりをすべきだと考えますけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(加藤勝信君) この少子高齢化、今お話がありましたけれども、我が国の社会、高齢化が進む中で、働く意欲がある高齢者が年齢にかかわらず活躍することができる社会、これが大変大事だというふうに思いますし、先般、人生百年時代構想会議においても、総理の方から、六十五歳以上に引き上げるための必要な環境整備を図るようにと、それを厚労省で検討するようにと、こういう指示もいただいているところでございます。
既に、現状においても、全国の主要なハローワークに生涯現役支援窓口を設置して再就職の支援を強化する、あるいはシルバー人材センターにおける会員拡大や、会員と企業とのマッチング機能の強化による高齢者の多様な就業機会の確保、そしてもちろん六十五歳を超える継続雇用延長等に取り組む企業などへの具体的な財政的支援、こういったこともやらせていただいているところでございますので、それらを踏まえながら、そして、先ほど申し上げた六十五歳以上に向けての環境整備に向けて更にどういうことがやっていけるのか、しっかり検討させていただき、また、具体的な取組を進めていきたいと思います。
三浦信祐君 是非よろしくお願いしたいと思います。
労働生産性向上への具体的取り組み
雇用環境、子育てサポートの環境整備が進んでいる企業、また女性活躍、若者の採用、育成に取り組んでいる企業に対して厚生労働省が認定する、くるみん、プラチナくるみん、えるぼし、ユースエールがあり、認定企業に対して種々のインセンティブを付与しております。これらの認定制度は、今般の法案とは異なる法律を根拠としております。これらの制度について、まず、どのような内容か、確認をさせていただきたいと思います。
その上でですが、中小企業庁の二〇一四年のデータでは、日本の大企業は一万一千百十社であるのに対し、くるみん取得企業は平成三十年三月時点で二千八百七十八社、データの時期は異なりますけれども、約二六%です。一方、中小企業は三百八十万九千二百二十八社であるのに対し、ユースエール認定企業は平成三十年四月末で三百七十三社です。僅か約〇・〇一%であります。くるみん、えるぼし、ユースエールなどの認定制度は、そもそも働き方改革が進んだ目指すべき企業スタイルであると言えます。にもかかわらず、現時点で認定を受けている企業数が少ないのはなぜなのでしょうか。手続が煩雑、メリットを知らない、不要である等、理由が挙げられると思いますけれども、この働き方改革を推進する上での課題がここに集まっていると思いますので、是非、まず最初に厚生労働省の見解も伺いたいと思います。
政府参考人(宮川晃君) 私の方から、まず、くるみんとえるぼしの関係を御説明させていただきます。
くるみん認定は、次世代育成支援対策推進法に基づきまして、育児休業取得率や時間外労働の状況など、仕事と子育ての両立支援に関し一定の基準を満たした企業を子育てサポート企業として厚生労働大臣が認定をする制度でございます。くるみん認定企業のうち、より高い水準を満たした企業はプラチナくるみん認定が受けられるところとなっております。
えるぼし認定は、女性活躍推進法に基づきまして、採用、継続就業、管理職比率など、女性活躍推進に関する状況が優良な企業に対しまして、満たした基準に応じまして三段階で厚生労働大臣が認定をする制度でございます。認定状況は先ほど先生から御指摘のとおりでありまして、取得企業を一層増やしていくことが重要な課題だと認識しております。
今後とも、企業に対して分かりやすく認定基準や手続等の説明を行うとともに、この認定マークを商品や広告等に付することによりまして、学生、社会一般へのイメージ向上、優秀な従業員の採用、定着につながる効果などのメリットについて一層PRを行いまして、認定取得を促進してまいりたいと考えております。
政府参考人(安藤よし子君) ユースエール認定制度についてお答え申し上げます。
ユースエール認定制度は、若者雇用促進法に基づきまして、新卒就職者の離職率や所定外労働時間、有給休暇の取得日数など、若者にとって良好な雇用管理が行われていることを示す一定の基準を満たす中小企業を厚生労働大臣が認定する仕組みでございます。
これら認定企業に対しましては、ハローワークの就職面接会における認定企業のアピールを始めとする重点的なPRなどによりまして当該企業の認知度の向上を通じた若年人材確保の支援を行う、また、若者の採用、育成を支援するための特定求職者雇用開発助成金や人材開発支援助成金などにおいて加算措置を行うといったようなインセンティブを付与する仕組みを設けまして、認定企業の拡大に取り組んでいるところでございます。
御指摘のとおり、認定数につきましては三百七十三社とまだ少ない状況ではございますが、この認定制度につきましては、平成二十七年度に創設されたということもございまして、いまだ企業あるいは社会全体における認知度が十分とは言えない状況にあるというふうに認識しております。そのため、厚生労働省が運営いたします若者雇用促進総合サイトなどにおける認定企業の紹介や、各労働局による地域の経済団体等への働きかけ、ハローワークにおける企業訪問など様々な機会を捉えて認定制度の内容とそのメリットにつきまして周知、活用促進に取り組んでいるところでございます。
引き続き、認定数の拡大、努めてまいります。
三浦信祐君 中小企業の皆さん、この情報に触れるということ自体が物すごく大変なことだと思いますので、しっかり周知のこと、その中身、具体的にどう取り組むかということもしっかりやっていただきたいというふうに思います。これ見る限りではかなりメリットもあるというふうに私は解釈ができると思いますので、是非取り組んでいただきたいと思います。
くるみん、えるぼし認定というのは、まさに働き方改革を推進している企業への取組であります。本法改正によって認定企業数は当然増加をしていくということが想定され、期待もされます。一方で、本法改正により、高度プロフェッショナル制度の導入や時間外労働上限規制強化等、労働環境が大きく変わることが想定をされ、整理が必要な部分も出てくると思います。
これら認定制度と本法改正との関係、今後の取扱いが極めて重要でないかなと思います。昨日の地方公聴会でも、中小企業の代表として斉之平社長からお話がありましたけれども、中小企業にとっての採用面でのメリットというのは、まさに中小企業の働き方改革が進んでいるところに表彰制度をつくってもらいたいと、そういう声も具体的に上がりました。
是非、この認定制度、そして表彰制度というのも極めて重要だと思いますので、この今後の取扱いについて加藤大臣に伺います。
国務大臣(加藤勝信君) まず、くるみん等の認定制度でありますけれども、この認定に当たっては労働時間の実績に係る基準が設けられているわけでありますから、当然この認定を取ろうということでそれぞれの企業が努力をしていただく、そういった意味において企業における働き方改革の改善に資するものだというふうに思っておりますので、今委員御指摘のように、まだまだ取っていただいている企業が少ないわけでありますから、取ろうという、こういう機運を醸成させていくためにも周知を図り、また内容等もより使いやすい、利用しやすいものにしていくまず努力をしていきたいと思います。
その上で、今回の法案では、時間外労働の上限規制、あるいは高度プロフェッショナル制度の導入といった労働時間に関する大きな制度改革を盛り込んでいるわけでありますので、当然、くるみん等の認定基準について、これは法案成立後でありますけれども、今回の法案のそれぞれの内容等その趣旨を十分に踏まえながらも、それぞれの認定制度にふさわしい基準になるように、また、それらを介して、先ほど申し上げたような様々な形で働き方改革あるいは労働時間の削減等が進んでいくような、そういった制度にすべく、関係者等の意見も聞きながら検討させていただきたいというふうに思います。
公務員・大学教員等の働き方改革、処遇改善の在り方
三浦信祐君 次に移らせていただきます。
本法案では、基本的には民間と民間との労使関係についての規定をしていることと承知をしております。したがいまして、公務員は対象となっておりません。しかし、公務員は労働者であり、生活者でもあります。御家族があり、健康確保も必須です。この環境なくして国民に奉仕をする仕事はできません。公務員の働き方改革も不断の努力が必要だと私は思います。
その上で、公務員主体の官公庁での非正規職員の処遇は本法改正でどのように扱われていくのでしょうか。また、労働法制を所管している厚生労働省が模範となっていくべきであり、非正規職員の方々に対する具体的対応、取組はどうなっていますでしょうか。加藤大臣、よろしくお願いします。
国務大臣(加藤勝信君) この法案における同一労働同一賃金、これは基本的には民間の労働者の方を対象とするもので、いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すということでありますが、そのまさに目指すという点においては、この国における非正規で働いている方々についても同様に取り組んでいく必要があるというふうに思います。
国の非常勤職員については、昨年五月に、内閣人事局主導の下、平成三十年度以降、期末手当及び勤勉手当に相当する給与の支給をするなど、段階的な処遇の改善に取り組んでいくことについて各府省間で申し合わせたというふうに承知をしておりまして、実際、それぞれの取組は各府省間で必ずしも均一ではなくて、ばらばらでありました。そこを均一を取って、また同時に、これ予算が必要でありますから、予算の手当てをしつつこういった対応をしていく必要があると思います。
厚生労働省本省でありますけれども、本省においては非常勤職員に対する期末・勤勉手当に相当する給与は、これは支給をしておりますが、都道府県労働局の非常勤職員に対しては、期末手当に相当する給与、これはこれまで支払っているわけであります、支給しているわけでありますが、本申合せを受けて、本年度から新たに勤勉手当に相当する給与の支給も開始することとさせていただいたところでございまして、引き続き、国家公務員における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差がないようにしっかりと取り組ませていただきたいと思います。
三浦信祐君 国民生活に欠かせない仕事を取り扱っていただいている独立行政法人もあります。法律の谷間に落ちる労働者があってはならないと私は思います。是非、しっかりこれらについても厚生労働省が率先してよく見ていっていただき、また具体的な取組も進めていただきたいと思います。
次に、大学の非常勤講師、職員について伺います。
国立大学法人、公立大学法人等で非常勤職員は何名所属をしているのでしょうか。そのうち、講義を担当している非常勤待遇の教員の方は何名なのでしょうか。また、本法改正で非常勤職員の皆さんの処遇等の改善はどのように図られていくのでしょうか。本法改正における整備についても併せて文科省に伺います。
政府参考人(瀧本寛君) お答え申し上げます。
大学におきます非常勤講師の数等についてでございますけれども、平成二十九年度の学校基本調査によれば、国公私立大学の全教員のうち、当該大学の専任である本務者は実数で十八万五千余人となっておりますが、この本務者以外の者でございます兼務者が延べ十九万七千余人となっております。非常勤講師はこの兼務者の中に含まれておりますけれども、このうち何名が具体に講義を担当しているかというデータについてはございません。
また、その処遇の改善についての御質問ですが、大学法人におきます非常勤講師など教職員の待遇につきましては、各法人の自主性、自律性に基づく労使自治により決定されるものでありますが、今般の法改正の対応についても、その趣旨を踏まえ、正規と非正規との間に不合理な待遇差があれば必要な見直しを行うなど、各法人が適切に判断し、対応すべきものと考えております。
文部科学省としましては、これまで法改正の動向等について数次にわたり国立大学法人等に対して随時情報提供等を行ってまいりましたが、今後も各法人においてこの法改正の趣旨を踏まえた非正規職員の待遇に関する検討が適切に行われるよう、厚生労働省とも連携をしながら、情報提供や制度の説明等を行ってまいりたいと考えております。
以上であります。
三浦信祐君 その中で、数字がないということですけれども、大学等で有期雇用の教員、研究者というのは、日本の将来を担って、人材育成もしていただき、イノベーションを興すために働いています。この法改正によって今後このような方々の待遇はどうなっていくのでしょうか。
プロジェクトの切れ目が雇用の切れ目である場合が多く見られます。若手研究者の将来設計に影を及ぼしてきた年限が区切られている雇用制度から改善をされて、希望へと変わっていくのでしょうか。無期転換ルールとの観点で整理できているのでしょうか。是非明確にしていただきたいと思います。
政府参考人(瀧本寛君) お答え申し上げます。
大学におきまして有期雇用となっている研究者等につきましては、本法案にかかわらず労働契約法等が適用されまして、有期労働契約が更新されて通算十年を超えたときに労働者の申込みにより無期労働契約に転換できる、いわゆる無期転換ルールが適用されることとなっております。
いずれにしましても、大学を設置する各法人におきまして、それぞれの法人の自主性、自律性の下に業務運営が行われることが基本でございまして、それぞれの職員の雇用形態についても、労働関係法令に基づき、各法人が適切に判断し、定めるべきものであると考えております。
文科省としましては、無期転換ルールについて、これまでも大学を設置する法人の学長等を集めた会議などを通じまして情報提供や周知徹底を行うなど、労働契約法の趣旨を踏まえた各法人の適切な対応をお願いをしてきたところでございまして、引き続き厚生労働省さんと連携をしながら、制度の説明、周知徹底等を図ってまいりたいと思います。
また、とりわけ、御指摘のございました若手の方々の雇用環境につきまして、文科省として、例えば卓越研究員事業その他予算的な措置を講じますとともに、とりわけ、現在中教審でも様々議論されておりますが、国立大学を始めとした人事給与マネジメント改革の推進等により若手に対するしっかりとしたポストの確保がなされるよう、また、今後の我が国におきます大学の教育研究を支える若手教員が安定的かつ自立的に教育研究を進めていくことができるよう、環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
三浦信祐君 その上で伺います。
大学での非常勤教員は複数大学で講義を持っている場合があります。これらの教員の主たる勤務先はどこであるか、どこに当たるか明確にしなければ、同一労働同一賃金、健康確保措置がままなりません。また、国立大学法人等と私立大学、専門学校等にまたがっての労働では、労働時間管理の基準はどこに置くべきなのでしょうか。また、雇用保険、社会保険の規定を満たしていないことも予想されます。規定がないのであれば整理すべきです。
学生さんがその大学で、自分の将来を懸けて入学をしてくる学生さんに対して、教える側のモチベーションが低い、環境や待遇が悪いようでは、日本の将来は暗くなってしまいます。文科省、どうでしょうか。
政府参考人(瀧本寛君) お答え申し上げます。
大学あるいは今御指摘の専門学校などで非常勤講師等を行われておられる方、特に複数の事業所で働いておられる方を含めまして、一般的に労働者が複数の事業所で雇用されている場合の同一労働同一賃金あるいは労働時間管理等の取扱いの詳細につきましては労働法制を所管する厚生労働省にお尋ねいただきたいと考えておりますが、複数事業所に雇用されている場合の労働時間管理等につきまして、厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドライン等を踏まえて、各大学法人あるいは専門学校等において適切に判断し、対応すべきものと私どもとしては考えております。
文部科学省としましては、今後とも、各法人においてこれまでの法制あるいは今回の法改正の趣旨を踏まえた非正規職員の待遇に関する検討や使用者としての責務に基づく対応が適切に行われますよう、厚生労働省と連携をしながら、情報提供や制度の説明等をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
以上です。
三浦信祐君 厚生労働省に聞いてくださいということでありますから厚労省に聞きたいと思いますけど、大学の未来を考えていったときに、どこに相談すればいいか分からない、だけど講義をしっかり持っている。タイムカードなんか押せませんよ。大学の教官が、その単位を取ろうと思っている学生さんに対して講義するときに、事務局に行ってタイムカードを押して、次の大学へ行ってタイムカードを押してなんという現実はありません。どうやって未来を育ててくれる教員大事にするかということは、文科省、しっかり考えてもらわなきゃいけないと思います。
厚労省にこの件について意見を求めたいと思います。
政府参考人(山越敬一君) 労働時間の規定が適用される労働者として複数の事業主の下で副業、兼業を行う場合でございますけれども、これは、労働基準法第三十八条によりまして、労働基準法の労働時間に関する規定は通算して適用されることになります。したがいまして、労働時間を通算した結果、法定労働時間を超える時間外労働を行わせる場合でございますけれども、当該時間外労働を行わせる事業場におきまして、労働基準法第三十六条あるいは第三十七条に基づきまして、三六協定の締結でございますとか割増し賃金の支払が必要となります。
そうした上で、副業、兼業の際の労働時間管理につきましては、主たる勤務先かどうかということにかかわらず、今申しました法令などの考え方に基づきまして、各事業場において適切に三六協定の締結あるいは割増し賃金の支払を行っていただく必要があるものでございます。
三浦信祐君 時間が参りましたけれども、適切にという、その適切性がどうあるのかということもしっかり今後議論させていただきたいと思います。
以上です。