文教科学委員会(2017年05月16日)

防衛大学校修士学位授与

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 早速質問に入らせていただきます。防衛大学校の理工学研究科修士学生の試験スケジュールについて伺います。
 防衛大学校の修士学生というのは、学位というのは、省庁大学校であることから、一般大学とは異なって、大学改革支援・学位授与機構が授与をいたします。現在は、卒業前に卒業論文審査及び最終試験を受け、防衛大学校で単位を認定した後に、卒業後、改めて学位授与機構の論文審査及び試験を受験し、審査され、かつ合格することで授与をされます。すなわち、二重審査状態になっております。
 しかし、一般大学とは異なりまして、防衛大学校の修士学生というのは、既にもう自衛官になっております。ですから、修士学生の大半というのは、一度現場で経験を積んできて、自衛官のままで研究をしております。防衛大学校で審査を受けた後、卒業したら陸海空の各部隊として最前線の責任ある立場として指揮を執っていくというのが現状です。この部隊にて任務に当たっている最中に、五月から七月の間、学位授与機構が指定をした日時に東京都の小平市の本部にて口述試験を受けなければならないというのが現状です。
 しかし、昨今の安全保障環境や災害対応を踏まえて、防衛省・自衛隊、自衛官の任務の重要性は著しく高まっていると言えます。例えば、本年度卒業した学生さんが現場の任務に就いて、災害であったりとか、また様々な諸外国の状況に応じて護衛艦に乗っている。指定された期日に来れなかったら修士の試験を受けることができないというのが今の現状でもあります。このことを踏まえて、私は昨年より、まずは卒業時までに試験を終えるように制度変更すべき、運用を変えるべきと依頼をしておりましたけれども、松野大臣、本件についての検討状況、また、大臣御自身の理解と御所見を伺います。

国務大臣(松野博一君)  三浦先生にお答えをいたします。
 防衛大学校を始めとする各省庁大学校の学生については、学生が大学改革支援・学位授与機構において面接試験を受けることなどにより学位の取得が可能になっているということは、御説明をいただいたとおりでございます。
 先生御指摘のとおり、防衛大学校の修士課程相当の学生につきましては、その多くが現役の自衛官であり、防衛大学校修了後、第一線の任務に当たりつつ当該試験を受ける場合が多く、昨今、自衛官の任務増を背景に、負担感が大きいことから、委員を含め各方面から試験スケジュールの工夫を望む御意見をいただいておりました。
 これを受けまして、現在、大学改革支援・学位授与機構において、大学校修了年度内に面接試験が実施をされ、学生が受験しやすくなる新しいスケジュールを本年度中に導入できるよう準備を進めており、八月中旬を目途に結論を得る予定と承知をしております。
 各省庁大学校の学生が学位を得て更なる活躍の範囲を広げることは意義深く、大学改革支援・学位授与機構において、関係者の要望をしっかり受け止めながら、取組の改善につながるよう促してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 これ、学位審査委員会が恐らく最後決定をする機関だと思いますけれども、ここに指導監督をするのは文科省の高等教育局であります。安全な社会保障の状況があって初めていろんな教育であったりまた研究をする環境でありますから、是非このことを御理解いただいて、大臣のリーダーシップの下に必ず実行していただきたいと思いますけど、もう一度、大臣、御決意を伺います。

国務大臣(松野博一君)  先ほど申し上げた予定に、スケジュールにのっとってしっかりと進めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 話題は変わりますけれども、資料一を御覧いただきたいと思います。これは、横浜市のスポーツ推進計画の中で、どのような点が変われば、また現在以上にスポーツ、運動を行うようになるかとの調査結果です。その回答として、近所など通いやすい場所であればというのが一位、二位を占めています。都市部においては、運動施設が限られていること、また公園等での球技ができない等、スポーツの自由度が低いことなどから、運動する権利が行使できない環境、すなわちスポーツ権の阻害と言っても過言ではないというふうに言える状況かと私は考えております。
 そこで注目すべきが、小中学校の学校施設の活用だと思います。今後、積極的にこの今ある社会的ストックを活用すべきだと思いますけれども、松野大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(松野博一君)  スポーツ庁では、国民が生涯にわたり心身共に健康で文化的な生活を営む基盤として、誰もが日常的にスポーツに親しむ機会を充実することを目指しています。その実現のために、スポーツをする場が身近にあることは大変重要であり、小中学校の施設を活用していくことが有効であると考えています。
 平成二十九年三月に公表したスポーツ基本計画においても、今後、学校体育施設の開放について、担い手や利用料金設定等の開放事業の運用の在り方に関する手引を策定し、既存施設の有効活用を促進することとしています。引き続き、学校施設の開放に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

小中学校校庭の夜間照明の設置とスポーツ人口

三浦信祐君 是非取り組んでいただきたいと思います。最近の報道でも、学校のプールも活用していこうという話は大変いいことだと思いますので、地域住民の皆さんと協力しながら未来の子供の育成に関われる環境をつくっていただきたいと強く念願をいたします。
 学校施設の校庭等についての夜間開放も効果があると考えます。昼間の熱中症を予防する、また球技を行う機会の提供、加えて、スポーツ人口を増やして健康増進に寄与する機会の増加、それとともに、地域住民のコミュニティーの創出であったり、加えて地域商店街への消費行動の喚起にもなるんではないかなと私は思います。
 一方で、資料二にありますように、都道府県、地域によっては夜間照明施設の設置状況に大きな差が存在しているのも現実です。照明設備への投資は大きな効果をもたらすと私は思いますけれども、現状の認識と対応についてお伺いいたします。

政府参考人(高橋道和君)  体育・スポーツ施設現況調査によりますと、全国の屋内運動場を保有している公立小中学校のうち、制度上、夜間も含めて開放している学校が五割程度となっております。一方で、ちょっとこれは調査の範囲が私立学校や高校も含めますので若干異なりますが、その小中高等学校、公私立で、校庭の夜間照明の設置率は二割程度にとどまっているということがありまして、この二つの調査、単純な比較はできませんが、これを並べますと、制度上夜間開放が可能となっていても、実際には夜間照明施設がなくて利用が難しい施設がかなりあるのではないかと考えられます。
 御指摘のとおり、夜間照明の設置が進むことにより、身近なスポーツの場の確保が進むものと考えております。

三浦信祐君 これ、例えば消防団の訓練にも夜使えたり、加えて、球技をするというときにコーチがいないからできない、夜やろうと思っても照明がない、そういうことを解消する適切な効果があると思います。
 一方で、予備電源もちゃんと準備しつつ、照明施設があれば、万が一の災害時に安心して、照明があるということは極めて積極的な投資だと思いますので、是非今後も進めていただきたいと思います。
 その上で、施設整備には財政出動が伴います。地方自治体もここに一番苦労しているのではないかなと私は思います。横浜市もまさにそこだと思います。今後、国として進めるに当たって、照明施設整備への補助、助成メニューについて、現在どのような体制を取っているか、教えてください。

政府参考人(高橋道和君)  学校の校庭に照明施設を整備する場合の助成制度につきましては、日本スポーツ振興センターが行うスポーツ振興くじ助成金において実施をしております。今年度、平成二十九年度においては、二十校の照明施設の整備に対し助成が行われております。
 スポーツ庁といたしましては、こうした支援制度の普及を通じまして、地域におけるスポーツ環境の整備を促してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 totoがどういうところにメリットがあるかという一番分かりやすい効果だと思います。ですので、二十校だけなのか、応募したのが何件で、そして何校採用されたかと、これが重要だと思うんですけれども、最近totoなんていうのは比較的売上げもいいと聞いていますから、助成メニューがしっかり出せると思いますので、広く地方自治体、特に都市部にこういうメニューがありますよというのを積極的に提供することは私は大事だと思いますので、是非取り組んでいただきたいと思います。

文化財活用と経済成長戦略

 次に、文化財について質問させていただきたいと思います。
 この四月、文化庁が京都へ先行移転したと承知をしております。今後の体制、定員の割合について、全面移転ということは当然あると思いますけれども、京都対東京が九対一となるというような話が飛び交っているようですけれども、四月の二十五日、公明党の文化プログラム推進委員会として官邸で菅長官に申入れを行った際、本件について質問をさせていただいたところ、長官はそのような約束や合意はないと明言をされました。
 今後、東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせて開かれる文化プログラムの成功も踏まえ、今後、それを契機に文化財に対する、また文化に対する理解を深めるためには、東京の人的確保は私は必須だと考えております。文化庁の御意見、御見解を伺います。

政府参考人(中岡司君)  お答え申し上げます。
 文化庁の移転につきましては、平成二十八年六月二日の閣議決定、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇一六を踏まえまして、外交関係、国会対応の業務、関係省庁との調整など政策の企画立案業務につきまして、現在と同等以上の機能が発揮できることを前提とした上で、地方創生や文化財の活用など新たな政策ニーズへの対応を含め、文化庁の機能強化を図りつつ進めてまいります。
 委員御指摘のように、全国津々浦々での文化プログラムの着実な実施や二〇二〇年以降の次世代に誇れるレガシーの創出は極めて重要でございまして、文化プログラムの開催は、魅力ある日本文化を世界に発信するとともに、地方創生、経済活性化等につながる絶好の好機であると認識しております。
 このため、文化庁の移転に際しましては、東京におきましても必要な体制を構築しつつ、我が国の文化行政の更なる強化につながるよう取組を進めてまいります。

三浦信祐君 明言はなかったと思うんですけれども、東京も重要だという認識で私は受け止めましたので、そのとおりにしていただきたいなと思います。
 二〇一九年に第二十五回国際博物館会議京都大会が開催をされます。これは我が党の浮島議員が提案をして十年となります。いよいよ、初めて日本で開催をされることが決定をしております。
 成功させることが極めて大事だと思いますけれども、現在の取組、準備状況、支援体制について伺います。

政府参考人(有松育子君)  先生御指摘の二〇一九年の国際博物館会議の京都大会につきましては、昨年の六月に、開催自治体を代表します京都府知事及び京都市長のほか、国内の代表的な博物館の館長及び文部科学省、文化庁等の関係省庁の代表者等によりまして構成される組織委員会が発足をいたしまして、開催に向けた準備が着実に進められていると承知をしております。
 具体的には、五月十八日が国際博物館の日でございます。もう間もなくでございますが、これに合わせまして国際博物館会議の会長が来日をいたしまして、会場の視察を行いますほか、大会の運営体制等について意見交換を行うなど、今後、会場や運営体制、プログラム等について具体化が図られることとなっております。
 文部科学省といたしましては、この大会を契機として、我が国の博物館が所蔵する学術、文化芸術のレガシーを広く国内外に発信することが重要であると考えておりまして、その準備に資するよう昨年度より複数の特色ある博物館が連携をして情報発信など博物館の機能強化を図る、博物館ネットワークによる未来へのレガシー継承・発信事業というものを実施をしております。
 今後とも、組織委員会等と連携をして、この大会の成功に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非頑張っていただきたいと思います。
 日本の各文化財、文化資源を活用した経済成長戦略に関して伺います。
 文化財の保護、保存のためには、必要な財源を税金のみで賄うのではなく、観光客、インバウンドの皆さんに広く広報、公開をすることによって収入を得ていく積極的公開型管理保存を推進して、それを行っていってはどうかなというふうに私は思います。
 その際には、博物館、美術館等で展示物の充実を図るとともに、正確な表現での多言語化の推進が必要だと思います。これらを総合的に推進することは、経済成長に寄与するのみならず、我が国の価値を高め、理解増進の効果を生み出すとともに、文化財保護への財源確保をもたらすものと考えます。
 御見解とともに、体制を含めた具体的な取組について、松野大臣に伺います。

国務大臣(松野博一君)  文化財は我が国の歴史や文化を理解する上で欠かせないものであり、これらを国内外の方々に公開、活用し、理解促進やインバウンドに取り組むことは極めて重要であります。
 こうした認識の下、文部科学省では、文化財活用・理解促進戦略プログラム二〇二〇を昨年四月に策定し、地域の文化資源の一体的活用により、二〇二〇年までに文化財を中核とする観光拠点を二百拠点程度整備することとしております。観光拠点の形成に当たっては、博物館や美術館を含め、文化財の分かりやすい多言語解説の充実などに取り組んでおり、現在も文化財の多言語解説等による国際発信力強化の方策に関する有識者会議を設置をして、国際発信力強化の方策について議論を深めております。
 また、観光活用を図る観点からも、文化財の適切な保存、整備、美装化の推進や防災・防犯体制の充実は、より一層重要性を増していると言えます。
 今後とも、文化財の適切な保存を基盤とした持続的活用に取り組み、観光振興そして経済成長にも貢献してまいります。

南極観測について

三浦信祐君 これはもう本当に日本にとって大事なことだと思いますので、大臣の下でしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 本年一月の二十九日、日本が南極に昭和基地を開設してから六十周年、これまで継続して有人観測を行ってこられました。幾多の課題を乗り越えながらの観測に、関係者の御努力と御尽力に敬意を表したいと思います。南極観測には、新聞社や多数の企業も参画をして、技術を磨き、研究が進展してきたと言えます。
 ここで改めて、これまで得られた成果、知見について伺うとともに、大臣から御感想を伺いたいと思います。

国務大臣(松野博一君)  南極地域観測は、我が国の戦後復興のさなか、国民の期待を受けて開始をされ、昭和三十二年一月の昭和基地開設以来、六十年間に延べ三千三百人を超える観測隊員等により観測が続けられております。
 主な成果としては、生物への影響を及ぼすオゾンホールの発見、約七十二万年前の地球規模の気候環境変動の解明につながる三千三十五メーターを超える氷床深層コアの採取、太陽系形成期の過程の解明につながる一万七千を超える南極隕石の大量発見等となっております。
 我が国の南極地域観測の成果は、地球環境変動の解明や地球惑星科学の発展等に大きく貢献をしており、国際的にも高く評価をされております。さらに、昭和基地と国内の学校をつないで実施される南極授業等の活動により、将来を担う若者の科学への興味、関心の向上が図られていると認識をしております。

三浦信祐君 最後に、端的にお聞きします。
 AIやIoT時代になり、観測、研究が有人から無人、機械化へ変革の時代に入る兆候がある中、南極観測は有人観測を継続をしています。私は、この貴重な有人観測を途切らせないためにも人的、予算的継続性を確保すべきと考えますが、有人観測の意義と必要性について、また今後の継続に対する決意と具体的取組について伺います。

国務大臣(松野博一君)  南極という厳しい自然に挑み、科学的、技術的な課題を克服し、継続的に観測事業を行う上では、有人による活動が大きな役割を果たしています。実際の現場での活動には、例えばラジオゾンデによる定期的な高層気象観測、隕石の探査や氷床コアのサンプリングなど、有人による観測が不可欠なものがあります。また、厳しい環境下において天候に応じた観測機器の調整等を行う必要があるなど、質の高い観測データを取得し続ける観点からも有人による実施が重要であります。
 現在、アメリカ合衆国やオーストラリア、ロシアなど、二十九か国が南極に観測基地を有し、有人による観測活動を継続的に実施をしています。こうした有人観測の意義や各国の状況も踏まえつつ、今後とも南極観測事業を安定的に継続し、地球温暖化など地球環境変動の解明に貢献をしてまいります。

三浦信祐君 文科省の様々な取組は社会への希望を与えることになりますので、是非リーダーシップを大臣が発揮していただいて、全力で進めていただきたいと思います。
 終わります。