文教科学委員会(2017年03月30日)

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 給付型奨学金の創設を含め、奨学金制度の充実は大変評価すべきであると考えております。財源の関係もありますので、今回は、小さく産んで大きく育てる、そのスタートだと思います。
 その上で、制度を運用するに当たって、制度設計上の課題について穴があってはいけないと思います。また、対象の方々が情報を知ることができず本制度の活用がなければ、本来の目的を果たすことにならないと思います。

奨学金制度、高校での対象者選定における制度

 本日は、奨学金の制度について質問をさせていただきます。
 先ほど来ありましたけれども、初めにこの給付型奨学金制度、高校等からの学校推薦によって選考されることと今回はしてあります。これは、高校の校長先生を中心として対象者を決定することになると思います。その上で、給付型奨学金受給対象者の選定方法についてガイドラインを考えるに当たって、事例を検討しているかどうかということが大事だと思います。
 例えば、片やインターハイ、経済的に大変な中でもインターハイのようなスポーツで優勝したりする、しかし学業がなかなかという方もいると思います。一方で、片方は、ずっと勉強で何とか頑張ろうということで成績上位だということになります。これを選ぶというのは大変、高校の先生含めたチームは苦慮するんではないかなと思います。
 成績要件のみで一律に決定をしていくのか、スポーツや芸術等に秀でている場合との関係、これはどのように考えるか、松野大臣にお伺いしたいと思います。

国務大臣(松野博一君)  給付型奨学金の対象者は、各学校において、当該学校における様々な学習活動等の成果を踏まえて、学力、資質等が評価され、推薦されることになります。このため、各学校においてそれぞれの教育目標を踏まえた推薦基準を定めていただくこととしています。
 各学校が推薦基準を策定するに当たっての指針として、日本学生支援機構からガイドラインをお示しすることとしております。その内容については、各学校において奨学生としてふさわしい者の推薦が円滑に行われるよう、推薦基準の作成等に関する基本的な考えを示すことを検討しております。
 文部科学省の給付奨学金制度検討チームの議論のまとめでは、推薦基準のうち学力及び資質に関するものについて、教科以外の学校活動等での大変優れた成果も指標として挙げており、スポーツや芸術等も考慮できることとする予定です。
 今後、議論のまとめや本国会での御審議等を踏まえ、学校現場で推薦業務が円滑に行われるよう、ガイドラインを作成し、できるだけ早い時期に学校に周知をしたいと考えております。

三浦信祐君 高校在学中、どの時点で対象者の選定をしていくということが大事になってくると思います。成績判定いつなのかと。高校二年生ですと、後から成績が向上してきた場合の考慮がされにくい。また、スポーツ関係も、まさに高校二年から三年に向かって成績が出てくる可能性もあると思います。一方で、高校三年の中盤時期ですと、事務手続等に影響があることも予想されます。
 現状、どのような想定をされているのでしょうか、見解を伺います。

政府参考人(常盤豊君)  お答えいたします。
 給付型奨学金につきましては、生徒等の進学を後押しするため、生徒等自らが給付の対象となることについて、大学等への入学前の時点で予見可能とすることが重要でありますので、高校三年時に予約採用をするということとしております。
 予約採用のスケジュールについてのお尋ねでございますけれども、現在の予約採用のスケジュールに鑑みますと高校二年時までの成績を評価するということになりますが、三年時における成長も期待をされるということがございますので、各高等学校において奨学金受給の対象者を推薦するに当たっては、各高等学校における成績評価等の時期の実情に応じて、可能な範囲で三年時の状況も加味することが適当であると考えております。
 文部科学省といたしましては、学習成績の評価機関に関する共通理解を持って各高校が給付奨学生の推薦を行えるよう、今後、推薦に係るガイドラインにおいてその趣旨をお示しをしたいということで検討を進めさせていただきたいと考えております。

三浦信祐君 給付型奨学金の候補者の選定をする際に、高校など学校側から、ガイドラインがあったとしても、その制度という部分ではなくて、どうやったらこの学生を決定をするかという自信を持つという支援が必要だと思います。学生を選択をするに当たってどこか相談ができるようなところがあるかどうか、これは大事だと思います。それは文部科学省であるのか、学生支援機構なのか、地方自治体の教育委員会ですとか、それとも別組織を想定されているのでしょうか、松野大臣に伺います。

国務大臣(松野博一君)  文部科学省の給付型奨学金制度検討チームの議論のまとめでは、継続的に生徒の評価を行ってきた在籍学校において生徒の学力、資質の評価を行い、推薦することが最も適切な評価が可能になるとされております。
 各高校等では、地域や生徒の実態に応じて教育目標を設定しており、教科の学習成績のみならず、家庭の経済状況や課外活動も含めてどのような評価を行うかは各学校の判断に委ねることが適当と考えられます。対象者の推薦に当たっての相談は日本学生支援機構において受け付ける予定ですが、最終的な推薦の判断は各学校で行っていただくこととなります。

三浦信祐君 ありがとうございます。学生支援機構に相談をするということが一つの判断基準になるという御回答だったと思います。
 その上で、学校での推薦基準が決まりました、ところが、それがちゃんとうまくいっていなかったような場合、また、他校と比較した場合の差異が生じて、これは学校によってその目的が違うというのは重々承知の上ですけれども、対象生徒選定に対する情報開示であったり、訴訟等のリスクに対する手だてというのは検討をされているのでしょうか、大臣、御答弁をお願いします。

国務大臣(松野博一君)  各学校の事情を踏まえ、各学校において定めていただくということはお話をさせていただいたとおりでございますが、その際、各学校の推薦基準に一定の統一性を持たせるためにも、ガイドラインを明確なものとすることが重要であると考えております。本国会での審議や文部科学省に寄せられた意見、学校現場の意見等を踏まえ、推薦業務が円滑に行われるようガイドラインの作成を行ってまいります。
 また、公平性や透明性を確保するため、推薦者の選考に当たっては、選考結果の信頼性に疑義が生じないよう、管理職及び担任以外の教員等を含めた複数名による選考体制をしくことや、推薦基準に関する共通の理解を持って選考に当たることができるような取組が必要であると考えております。加えて、説明責任を果たす観点から、各高校等において定める推薦基準は公表するよう求めることが適当と考えています。
 文部科学省としても、公平性や透明性が確保され、慎重な選考が行われるよう、各高等学校に対して周知徹底を図ってまいります。

三浦信祐君 是非、透明性を確保するということは学校現場を守ることにも直結をすると思います。取り組んでいただくことを切にお願いしたいと思います。
 続きまして、先ほど斎藤先生からもありました給付制度について、国公立大学の自宅生を選んだ場合には給付予定額は二万円、一方で、給付該当の学生さんは授業料免除対象になっている、その場合には全額免除という制度設計になっていると思います。すなわち、二万円全額給付であるよというふうに言ったんですが、大学に入りました、国公立で自宅から通えますとなると、最終的には授業料減免があるので給付額はゼロ。当然、高校の先生が選定段階のときに正確な知見を持たないと、先ほどあったように、そうしたら、私立高校の自宅外の人が通る可能性があるならばそっちを先に選んで、どうせこちら側の人は間違いなく、給付型奨学金を選ばなかったとしても授業料減免になるんだから変わらないといって、選択肢が二つあるように誤解を生んでしまってはいけないんじゃないかなという考え方が挙げられると思います。その上で、あえてこの本制度を残しているその意義であったり、この制度を仮にその方が受けたときのメリットがはっきりするということを明言をしておかないと、学校の先生が選定をするときに大変困ってしまうんじゃないかなというふうに思います。
 これら授業料減免との関係について、是非明快な説明をお願いしたいと思います。

政府参考人(常盤豊君)  給付型奨学金を受給するということで予約をされた方が、結果として自宅から国立大学に通うという場合のことについてのお尋ねでございます。
 まず、選定段階について申しますと、高校三年生の段階で、比較的早期の段階ですので、その時点で国立の、自宅しか行かないということで決まっているのか、それともまだほかの進路の決定のいろいろな余地があるのかという問題がまず一つはあろうかと思いますが、その上で申し上げたいと思います。
 国立大学について、先ほど申しましたように、調整として考えていますのは、自宅生は月額二万円のところを支給しないこととする、自宅外生は月額三万円のところを二万円とするということを検討しているわけでございますが、具体的にどういう場合に意義が出てくるかといいますと、国立大学の自宅生で授業料の全額免除を受けた者、つまり、自宅生なので、そこで給付型奨学金を受けるとなっていたけれども、結果として、国立大学の自宅生であるがゆえに授業料の減免の方に当てはめられることになったという者がおりますが、この者については、その時点では確かに支給されないこととなりますが、例えば入学後に自宅外生となったというような場合には奨学金を支給するということも、これは可能性でございますけれども、そういうこともケースとしてはあり得るということがございますので、そういう意味では、給付型の奨学生としての身分を有しておくということは、仕組みとしての意味はあるということが言えるだろうというふうに思っております。

三浦信祐君 済みません、そうすると、常にどこに住んでいるかということまでチェックをするというような、制度上で煩雑なような気がするんですが、一番大事なことは、確実に授業料を減免しますよということを保障するということのために残したんじゃないんですか。

政府参考人(常盤豊君)  授業料の減免につきましては、それは自宅外に移ったときにも授業料は減免をされるわけでありますけれども、奨学金については、自宅ですとゼロになるわけですね。それで、自宅外ですと二万円になるということですので、授業料の減免に影響を与えるわけではないということが一点あると思いますし、それから、自宅、自宅外については、必要な、ある種給付額が決まる条件でありますし、また、制度が整いましたら、マイナンバーで実際にはもう確認できるという仕組みになりますので、そこで給付額を決定するに当たって異動が生じるということになるということでございます。

三浦信祐君 恐らく、いろいろケース・バイ・ケースのことが出てくると思いますので、この件は本格実施になるまでにいろんな議論を深めて、いろいろ問題が仮にあったとしても対処できるような議論を是非していただくとともに、準備をしていただければなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、今回の制度が実行されていくことになりますと、事務担当者の負担が増加する可能性というのが否めないかなと。現状、国支給の就学支援金や地方自治体の学費支援制度等で納税通知書などの証明書類の整理、判定で既に煩雑な状況になっていると。
 この段階で既に大変な中、選定時点で成績要件というのも加わってくることがありますので、事務を担当される方の仕事量大きくなるような気がするんですけれども、この御見解をいただければと思います。

政府参考人(常盤豊君)  高等学校に今回推薦をお願いをするわけでございますけれども、現在でも、貸与型奨学金の予約採用におきましては高等学校に推薦の業務を行っていただいているということがございます。その上で、給付型奨学金制度の実施に当たりましては、今委員から御指摘がございましたように、今度は学力の面も含めて推薦基準、推薦の業務ということが重なるわけでございますけれども、貸与型の奨学金の予約採用という業務は現在あるわけでございますので、それとスケジュールの面でできる限り調整をして、複雑化しないような形でできればということが一つ考えてございます。
 それから、高等学校では現在でも奨学給付金の手続におきまして非課税証明書の徴収ということも行っておりますので、今回の給付型奨学金の推薦においても同様な手続を進めていただくということで考えたいということ。それからさらに、学校の先生方だけにお願いするのではなくて、ライフプランなども含めてスカラシップアドバイザーを派遣をするということで、そういう学校の外の方も活用していただくというようなことでできる限りのサポートができればというふうに考えてございます。

金融教育・納税教育の重要性

三浦信祐君 奨学金制度についてまた更にお聞きしたいと思いますが、給付型は支給であります。貸与型は返還という表現になっています。返還、すなわち回していくということだと思います。支給型というのは、当然、先ほど来ありますように、納税者への理解ということを得ることも大切です。一方で、貸与型というのは、現行制度上から考えれば次世代への財源となる、このことを知った上でちゃんと借りていただくということもありますので、現制度上、将来のことはさておいても、今お借りした方というのは責任があって、返還する義務を果たすということが必須である、返さなかった場合には将来の財源の安定性の問題にも影響を及ぼすと思います。
 中高生の時期から、先ほど局長からもありましたけれども、納税教育であったり金融教育、金融といいますと、どちらかというと生み出すとか殖やすというようなイメージがあるかもしれませんけれども、貸借であったりとか、そして契約するという教育というのもせっかくの機会ですから教えていくということが大事なのではないかなというふうに思います。松野大臣にあえて御見解をいただければと思います。

国務大臣(松野博一君)  中学校や高等学校の段階から納税や金融、契約に関する基本的な仕組みや考え方を身に付けるための教育を充実をしていくことは重要であると考えています。
 現在、学習指導要領に基づき、例えば、中学校社会科では、納税の義務、租税の意義、金融などの仕組みや働き、契約の重要性とそれを守る意義、高等学校家庭科では、契約など消費者の適切な意思決定に基づく行動等について指導が行われています。
 また、本年度内に公示を予定している学習指導要領改訂案においても、例えば、中学校社会科では、租税の意義に加え、財政の意義についても学習することとしています。また、中学、高校で学習している契約については、小学校家庭科では売買契約の基礎を、中学校技術・家庭科ではクレジットなどの三者間契約を学習するなど、一層充実することとしています。
 文部科学省としては、子供たちが奨学金制度の意義や仕組みについての理解を深めるためにも、各学校における納税や金融、契約に関する教育の充実に努めてまいりたいと考えております。

金融コンサルタントの必要性

三浦信祐君 次に、学生さんがいつ奨学金制度の情報に触れるかによって進学意欲を促進するか否かに影響すると思います。先ほど来議論があると思います。理系、文系の選択であったり、進学クラスかそうではないかと、また、高校の早い時期で選択が迫られる場合がほとんどだと思います。
 今回対象としている給付型奨学金のその対象者というのは、住民税非課税世帯、また社会的擁護が必要な方など、経済的に厳しい状態の方々となります。場合によっては、先ほど小野田先生が言われたように、中学校の段階でもう既に諦めるしかないという、そういう選択肢が、自分で決めてしまっているケースも少なくないというふうに思います。
 制度の周知徹底のタイミング、これがこの制度の一番の肝だと思います。義家副大臣、どうお考えか、お答えいただければと思います。

副大臣(義家弘介君)  お答えいたします。
 新たな制度も含めまして、奨学金事業について、生徒や保護者、教員等にしっかりと周知を図ることは大変重要なことであると認識しております。
 私も高校の教壇に立ってきましたが、高校の教師として一番悔しいのは、自分の担当した生徒を希望を持って卒業式の後、送り出してあげられないことでありまして、現実に、経済的理由で、進学の意思があるにもかかわらず諦めた教え子もおりました。この度、給付型奨学金に際して、私自身も新たな発見がたくさんあって、JASSOの奨学金だけではなくて厚労省にも様々な支援するスキームがあったわけですけれども、当時私はそのスキームを全く知らず、それを紹介してあげることもできないという状況の中で諦めざるを得なかったというケースもございました。
 まず、平成二十九年度から、進学のための資金計画や奨学金の利用について助言を行うスカラシップアドバイザーの派遣、進学費用のシミュレーションを行うことのできるウエブサイトの開設等をまずは行うこととしております。その上で、大学進学を含む進路については早い段階から考えていく、共に考えていくということが重要でありまして、この際、奨学金を含む教育費の支援策を理解しておくことも大変大切なことであると考えております。このため、例えば給付型奨学金について、その制度や各学校で定める推薦基準を高等学校入学時に生徒に周知することを各高校に促すなど、高校とも連携しながら奨学金事業の周知、広報を努めてまいりたいと思っております。

三浦信祐君 情報を提供するということは極めて重要だと思います。その情報を提供する側の知見というのももっと大事になると思います。
 その点についてちょっと伺いたいと思いますが、進学を決意をした時点での、給付型奨学金以外の奨学金もあると思いますが、その制度についての情報、入学時点での必要とされる金額、大学修学中の金銭的アドバイス、また卒業後の進学、就職に伴う返還手続とその計画などについて、すなわちトータルの生活設計も含めた上でのプランニングというのが大事になるのではないかなと思います。
 具体的には、一つ目は、高校で進路が決定をした時点において金融知識に乏しい教員から説明を受けた場合に、仮に、返還は大変だよ、また授業料の経済的負担は大きいよ、学費が最近値上がってくる可能性もあるからねとか、リスク強調型の内容にならざるを得ないケースもないとは言えないと思います。これがまず一回目の進学断念の契機になってしまう。
 二つ目に、大学を入学したときに、情報不足が原因で、アルバイトに収入源を依存する余りに勉学に影響を及ぼして修学継続を断念する、これは最悪のケース。また、大学在学中で家計が急変をしたときの対応とメニューについて情報不足の場合、苦しんで退学を選択する。そして、その選択をした後のケアはどうすればいいか分からないままでいるというリスク。
 さらには、大学などを卒業した後、返還についてのオプションなど情報不足で、メニュー選定に関する知見が不足して返還しないであったりとか、また、誤った知識に基づいて行動してしまう、最悪デフォルトに陥ってしまうということも当然考えていかなければいけないと思います。
 また、もう少し具体的に言いますと、今はもう男性も女性もない一億総活躍社会の中にありますが、例えば、今現在返されている方の中で、女性は結婚をして専業主婦になる。そうしますと、仮に御主人と結婚した中で自分の負債を旦那の給料で返していくというケースも当然いまだに継続をしている場合もあります。これは男性が逆の場合だってあると思います。
 そういう意味では、その奨学金の知見を得ている制度上の話ではなくて、やっぱり金融アドバイザー的な活用と同時にライフプランのことをしっかり教えていくということも一つ制度を安定的に成長させるためには重要なのではないかなというふうに私は考えております。
 松野大臣にこの御見解を伺いたいと思います。

国務大臣(松野博一君)  奨学金事業を実施する日本学生支援機構において、大学等へ進学するための資金計画について、返還を含めた適正な奨学金の利用への理解を促進するための助言を行う者をスカラシップアドバイザーとして派遣する予定です。スカラシップアドバイザーは、金融面の専門的知見を有し、各高等学校等が生徒、保護者及び教員等を対象として開催する奨学金の説明会等に派遣され、相談、助言等を行います。
 本事業の実施については、まずはスカラシップアドバイザーの養成を行うための研修を実施することとしております。その上で、研修を受講したアドバイザーを順次、各高等学校等へ派遣することとし、平成二十九年度内に延べ二千六百人の派遣を行う予定であります。
 文部科学省としては、新制度の周知、広報が徹底されるよう、スカラシップアドバイザーも活用しながらしっかりと取り組んでまいります。

低所得者向け減額返還制度の拡充

三浦信祐君 未来への投資ですから、しっかりその脇も固めていくということが大事だと思いますので、是非、このスカラシップアドバイザー、成功するように尽力をお願いしたいと思います。
 さて、低所得者向けの減額返還制度の拡充についてお伺いしたいと思います。
 収入変動、これをどういうふうに確認していくのか。先ほど来ありましたけれども、マイナンバー制度の活用をしっかりすべきだと思います。そのために必要な課題も今のうちから準備をしなければいけないと思いますけれども、義家副大臣、今の状況、いかがでしょうか。

副大臣(義家弘介君)  お答えいたします。
 減額返還制度の申請に当たっては、給与所得者の場合の目安として本人が年収が三百二十五万円以下の場合に適用可能とされており、年収の確認に当たっては、現在は所得証明書等の提出を求めておるところであります。
 委員御指摘のとおり、マイナンバーの導入に伴い、収入の確認等に当たってはこのシステムを活用することを現在検討しております。今後、学生支援機構においてシステム整備を行った上で、マイナンバーの提出があった方については収入の確認をマイナンバーにより行うことができるように準備を進めてまいりたいと思っております。

三浦信祐君 学生さんは、その制度を知るということもいいきっかけになって、マイナンバーがこういういいことに使えるんですよ、セーフティーネットですよということのいい事例の第一号になると思いますので、是非準備をしていただければと思います。
 本制度では、平成二十八年度以降採用者となる者が、適用条件は現行どおり、延滞中でない者と今されております。しかし、経済急変時、やむを得ず数か月滞納してしまったような場合、返還猶予制度を知り得ていなかった場合など、情報が得られなかった、救済されなかったケースもあると承知をしております。
 今後、返済が仮に今、少し自分が思っていない状況で滞っていた方の中でも、返済の意思がある方にとってはその事情を寛大に考慮すべきこともあると思います。松野大臣、この辺についての御検討状況、いかがでしょうか。

国務大臣(松野博一君)  現に延滞中の返還者が返還困難時の救済措置である減額返還制度や返還期限猶予制度を利用する場合には、原則として、延滞を解消した上で適用を認めることとしています。これは、期限までに返還をしている方との公平性等の観点からこのような取扱いをしているものであり、減額返還制度の拡充の適用対象についても同様の運用とすることを予定しております。
 なお、現在延滞状況にあり、経済困難などによって特に返還が困難な方については、平成二十六年度から、過去の延滞を据え置いたまま返還期限を猶予できる延滞措置猶予の利用を可能としております。
 奨学金の返還に際しては、長期にわたって延滞に陥らないことが重要であり、延滞初期段階で返還の促進や返還困難時の救済措置の案内により、延滞の防止解消に努めてまいりたいと考えております。

JASSOの相談体制

三浦信祐君 次に、先ほどもありました日本学生支援機構の相談窓口について伺わさせていただきたいと思います。
 一番大事なこの相談をする機会であって、そしてその対応をしていただくこの相談窓口、ここでの対応によって、場合によっては問題が解消してすごく大きく前進できる方と、その対応が間違っていた場合には夢を失ってしまうということもあります。そういうことは絶対あってはいけないと思います。窓口の方々がこの制度をまず熟知をしているということ、そして、アドバイスの経験値がある方が対応しなければ効果が得られないと思います。進学の後押しをするという点を踏まえれば、正確な情報提供とメニューの提示が重要だと思います。その上で、たらい回しなんというのがあっては絶対いけないと思います。
 現在の窓口の体制と対応状況、これはどのようになっていますでしょうか。

政府参考人(常盤豊君)  日本学生支援機構におきましては、給付型奨学金を含む新たな奨学金制度につきまして一般の方からの問合せに適切に対応するため、昨年の十二月二十八日から相談窓口を設置をしております。具体的には、日本学生支援機構において奨学金業務を行う職員が直接に相談に応じる体制を整えまして、専用の電話回線を設置し、平日九時から十八時の時間帯で対応しております。
 新制度の相談窓口につきましては、本年の四月二十八日までの設置を予定しておりますが、状況に応じまして、相談体制の拡充を含め、十分に対応できるように努力していきたいというふうに考えております。

三浦信祐君 一般企業のように、丸投げをして、そのまま誰かから得られたマニュアルぽんぽん答えるだけでは心が伝わっていかないと思いますので、是非、随時どういうふうな対応をしているかという検証もしていただければなというふうに思います。
 その上で、質問の項目というのが重複するということが想定をされていきます。窓口に負担が掛かり過ぎてはいけないというふうに思います。相談内容を活用して、ホームページ等で相談事例などを平易に理解できるように整理し公表することで相談者に的確な情報を伝えることが効率的な場合もあると思います。取組についても決意を伺いたいと思います。

政府参考人(常盤豊君)  奨学金制度につきましては、正確な情報を効果的かつ効率的に伝えることが重要でございます。多く寄せられている相談事例がございますので、こういうものについて、これまでの貸与型奨学金におきましてもQアンドAの形で整理をして、日本学生支援機構のホームページに掲載をしているところでございます。
 新たに導入する給付型奨学金や所得連動返還型の奨学金も導入されますので、これらのことについて、現在、日本学生支援機構のホームページにおいて当該制度の概要を掲載いたしますとともに、高等学校や大学等に制度の概要の通知、チラシの配布等を行っているところでございますが、今後、これまで専用の相談窓口に照会があった内容あるいは今後照会が予想される内容について整理をいたしまして、機構のホームページに掲載をしたいということで現在予定をしているところでございます。
 今後とも、正確な情報提供ということに努めていきたいというふうに考えております。

三浦信祐君 是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 奨学金、実はメニューたくさんあると思います。JASSOだけではなくて、地方自治体もいろいろ努力をされていると思います。ところが、その学生さんがいろんなところのホームページを探しているだけで大変な苦労があると思います。このJASSOも、将来的にいろんな形でその情報を集約をしているサイトであれば極めて効率的だと思います。是非今後検討をしていただきたいというふうに思います。
 次に、少子化に伴う高校の統廃合も予想されます。現実的には地方においてそういうことも起きているのではないかと思います。特に今回、既卒者、要は社会的に言う浪人生というふうに言われている方の給付型奨学金制度も今回、制度として二年に遡って選考対象になりますよと昨日御答弁をいただきました。
 ところが、この方、高校に戻ってそこで受けてくださいというふうになっていると思いますが、その母校がなくなっている場合だってあるわけです。今後もそういうことも予想されていくわけです。
 その上で、高校の統廃合があったような場合、相談先とその体制であったり、また学校の数が減るわけですから、給付型奨学金の選定人数、高校が合体をするということは、学生が瞬間的には多くなる可能性があります。そういうところへの配慮、その部分に関しては御検討されていますでしょうか、松野大臣に伺います。

国務大臣(松野博一君)  仮に高校の統廃合の予定がある場合は、貸与型奨学金と同様、日本学生支援機構の担当者が高校からの相談に対応するとともに、在籍する生徒に対しては統廃合前の学校において必要な相談業務等を行っていただくこととしております。
 また、統廃合した学校の推薦枠の割り振りについては、統廃合前の各学校における過去の非課税世帯の生徒の貸与型奨学金貸与実績を踏まえ割り振ることとしております。

奨学金財源の安定確保・基金化の取組

三浦信祐君 是非それを徹底をして、今後そこを引き継いでいっていただければなというふうに思います。
 最後に、奨学金の安定的な運営のためには財源の安定化が重要であると思います。我が党も提案をさせていただきまして、この改正案の第二十三条の二第一項に、学資支給基金を設け、民間の寄附を可能としておりますと、この先ほど来の民間の寄附のことに関しては議論があったと思います。
 その上で、これをつくるということになりましたわけですから、この基金の充実と、その上で財源の安定化ということも含めて、文科省として具体的にどう取り組んでいくかということについて、現在の準備状況も踏まえ、松野大臣にお答えいただければと思います。

国務大臣(松野博一君)  給付型奨学金を安定的に運用し、毎年度確実な支給を可能とするためには、学資支給基金を充実、安定化させることが極めて重要です。
 このためには、一定の余裕金も含めた基金を造成し、年度を超えた弾力的な支出を可能とすることが求められ、平成二十九年度予算においては、二十九年度先行実施の対象者二千八百人について、在学期間分の支給額を見込んで七十億円を計上しております。
 この学資支給基金には、毎年度、予算の範囲内において政府から補助する資金をもって充てることとしていますが、民間企業や個人からの寄附など、政府以外の者からの出捐も可能としております。企業や個人からの寄附を促進するため、政府としては、奨学金事業を行う学校法人や公益法人等に対して、寄附を行った場合、所得税や法人税を軽減しているところです。新たに造成する学資支給基金への寄附についても、税の軽減が適用されることの周知も含め、関係団体に広く協力を呼びかけてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 この制度、小さく産んで大きく育てる、そして未来への投資なんだと、それが、国がやったということがちゃんと今後分かって、それによって進学をして希望が実現をしていった方を増やすことが、将来への投資がこうであったということを結論付けることだと思います。
 何としてもこの制度を成功させて、将来への投資はこういうものだと語り継がれるものにしていきたいと思いますので、今後とも不断の努力をお願いして、私の質問等、終わります。
 ありがとうございました。