文教科学委員会(2017年03月22日)

原発避難者のいじめ問題と対応

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 初めに、原発避難生徒のいじめ問題と対応について質問をさせていただきます。
 昨年の十一月の二十二日、本委員会において、原発事故により横浜市に避難した生徒のいじめについて、私は、避難生徒を含め学校生活の状況把握、放射性物質や避難者の生活について教育を強化すべきと質問をさせていただき、松野大臣より、しっかり取り組むと答弁をいただきました。その後、十二月の十六日付けで、初等中等教育局長名で放射線理解と教育、実態調査について通知文書を発出をしていただきました。
 以降、私どもは国会のあらゆる機会でこの件に関し質問を重ねさせていただき、日本で唯一放射能汚染について学べる福島環境創造センターにも訪問させていただきました。
 地元の公明党神奈川県横浜市議会議員も同所を訪問して、いわゆる原発いじめを起こさせないために放射線について学べる有意義な施設であるとの認識を持ち、横浜市当局にも働きかけました。その結果、同市の教員が研修派遣をされること、また加えまして、被災県発行の副読本を活用して教育を行うこととなりました。
 このような具体的取組について松野大臣の御所見を伺います。

国務大臣(松野博一君)  まず、いまだふるさとに帰れず、不安の中で過ごしている被災児童に対するいじめというのはあってはならないことでありまして、大変遺憾に考えているところであります。こうしたいじめの背景には、放射線に対する理解不足や福島県外に避難を続ける方々のつらい思いに関する理解不足による誤解や偏見が存在すると考えております。
 議員御指摘の環境創造センターは、展示体験を通して福島県の環境の現状や放射線に関する正確な情報を伝えることを目指した施設であり、横浜市を始めとする全国の多くの子供たちが訪問することは有意義であると考えております。
 また、福島県教育委員会作成の東日本大震災の経験を踏まえた道徳教育教材の中には、震災により転校を余儀なくされた生徒が力強く生きようとする話や、福島県産というだけで敬遠されてしまう農作物をいわれのない差別と重ね合わせる話などが収録されているものと承知をしております。
 文部科学省においては、この福島県教育委員会作成の道徳教育教材について、先般、各地の教育委員会に対して積極的な活用の検討を求める事務連絡を発出したところであります。
 省としては、引き続き、原子力発電所事故の避難者である児童生徒に対するいじめについて、こうした取組を通じて偏見や差別に基づくいじめを防止してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 その上で、通知文書発出後の取組は、藤原局長、いかがでございましょうか。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 委員御指摘の昨年十二月の通知の発出を受けまして、この度、年度末を迎える状況でございますので、この通知による学校における確認について、文部科学省としてフォローアップとして状況把握をしたいと考えております。三月の十四日に各都道府県教育委員会などに対しまして状況把握の依頼を行い、今月の末にはその結果を取りまとめた上で、四月の早い段階でその結果について公表する予定と考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。是非フォローアップをしていただきたいと思います。
 お手元の資料一番、御覧いただければと思います。
 これは福島県の観光交流課が発行する「福島の今を知る」という冊子、雑誌です。放射線について大変に分かりやすく解説がなされております。さらに、大臣からも先ほどありましたけれども、教育現場に即した宮城、岩手の防災副読本、福島もそうですけれども、被災者の声が多く含まれております。文部科学省が率先をして把握をして全国に展開をしていただいているという御努力、有り難いなと思いますけれども、更に活用していくべきではないかなというふうに思います。そして、現場の教職員が資料を通してどのようにそれを教育をしていけばよいか等のアドバイスや好事例も得られると、教育環境の整備に十分な効果を得られるんではないかと思います。
 藤原局長、この見解と取組について伺います。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 文部科学省におきましては、防災を含めた学校安全の取組の充実に向けた国の施策や都道府県などの取組を紹介する学校安全ポータルサイトを昨年、平成二十八年の四月に開設しております。このサイトにおきましては、都道府県などが地域の実情に応じて作成した防災副読本や資料、合わせて約三百点を掲載しておりまして、関係者が共有して防災教育を推進できるように情報提供しているところでございます。
 今後、文部科学省といたしましては、教育現場において有効に防災副読本などが活用できるように取組の実践例や成果を掲載するなど、更なる内容の充実を図って防災教育の推進に努めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 一方で、子供だけの知見で賠償金云々という会話があるというのは、教育現場はもとより周囲の大人の意識にこそ大きな課題があるんではないかというふうに私は考えます。大人、地域の理解というものが不可欠だと思います。全国の教育委員会が先ほどの福島にある除染情報プラザであったり福島環境創造センター、そのような施設で学んで、地域に戻ってからPTAの皆さんや地元の方々に伝えていただけるというような流れをつくっていただきたいと思います。大臣も是非現地へ行っていただきたいと思いますが、その御決意、伺いたいと思います。

国務大臣(松野博一君)  先日、是非見学をさせていただきたいと答弁して以来、まだ実現ができておりません。国会等の日程を見据えつつできるだけ早い時期に訪問をして、私からもその意義について発信をさせていただきたいと考えております。

教育現場におけるがん教育

三浦信祐君 是非、大臣の発言が、相当希望が行き渡っていくことになると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、教育現場におけるがん教育について伺います。
 がんは、国民の二人に一人が罹患をして、三人に一人が亡くなると言われております。がんに対する理解が深まることが適切な対応と対策、そして共存社会の構築につながってまいると考えます。現在のがん教育の取組について、また、来年度予算に計上されている予算の使途について藤原局長に伺います。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、がん教育を推進することは極めて重要であると認識しております。
 これを踏まえまして、文部科学省におきましては、平成二十六年度からがんの教育総合支援事業を実施しており、有識者で構成される検討会を設置して今後のがん教育の在り方について検討を行い、地域の実情を踏まえたモデル事業の実施をしているところでございます。
 また、二十七年度には、文部科学省においてがん教育の意義や外部講師の活用についてまとめたガイドラインを作成するとともに、教材の作成を行って、平成二十八年四月に各都道府県指定都市教育委員会に対して周知を行ってまいりました。
 さらに、平成二十八年度のモデル事業につきましては、二十六都道府県指定都市において百三十七校の小中高等学校を指定して、医師やがん経験者などの外部講師を活用したり、文部科学省が作成した教材を実際に活用していただき、がん教育の充実に努めているところでございます。
 文部科学省では、これまでのモデル事業の成果と課題を踏まえまして、厚生労働省と連携して外部講師の確保に努めるとともに、平成二十九年度の予算案におきましては、教員や外部講師の資質向上を目的とした研修会や、指導方法の改善、充実を目的とした事業を実施するなど、がん教育の推進に一層努めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 国立がん研究センターの推計では、親ががん患者である十八歳未満の子供の総数は約八万七千人、そして、親のがんというのは家族、家庭、特に未来あるお子さんにとって極めて深刻な問題です。だからこそ、がんに対する基本的な知識、理解をする学びは必要だと考えます。
 加えまして、児童生徒ががん経験者、先ほど言っていただいたような医療従事者及びがんのケア、家族等にその話を聞く機会が平等に均等にあれば、その教育効果というのは極めて大きいと思います。
 このモデル事業を更に発展をさせていただきたいと思いますけれども、藤原局長、御所見をいただければと思います。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、児童生徒に対しましてがん患者への理解と共生について学んでもらうことはとても重要なことだと認識をしております。
 先ほど申し上げました文科省が作成している教材におきましても、内容の一つとしてがん患者への理解と共生について取り上げているところでございます。また、がん経験者あるいは医療従事者などを学校に招いて児童生徒が直接話を聞く機会を設けることも教育効果を高めるものと考えておりまして、文部科学省といたしましては、厚生労働省とよく連携して、教育委員会や衛生主管部局の理解、協力を得て、適切に今後とも対応してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 親や御家族ががんに罹患することによって、例えば高等教育、大学に進学を断念するようなことがないような体制づくりについても今後是非検討していただきたいと思いますし、私も取り上げていきたいと考えております。
 多くのがんは早期発見をすれば約九割が完治する時代です、治っていく時代です。だからこそ、がん対策として早期発見、早期治療が大切です。
 一方で、若い世代には、がんと言われてもぴんとこないという場合が多いと思います。しかし、将来の責任世代となっていく若者にがん検診の重要性を訴えていくということは社会の責務であると思います。特に、進路の変化があって就職と進学に分かれていく高校時代に、がん検診が身近なものであり、がん検診は受けるものだというようなことが当たり前になっていくような社会をつくっていくことが私は大事だと考えております。
 高校生のうちに検診の体験であったり見学をする、そのような機会があれば大変良いことだと思います。今後、教育の上でどのように取り上げていくか、文科省の見解を伺います。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、がんの早期発見のために、生徒が検診について学ぶことは非常に重要であると認識しております。
 文部科学省で作成しております教材におきましても、内容の一つとしてがんの早期発見とがん検診を取り上げております。具体的には、がんの種類によって差はありますが、多くのがんは早期に発見すれば約九割が治ること、それから、検診の対象年齢になると市町村が実施する住民検診や職場検診においてがん検診を受けることができること、それから、早期にがんを発見するには症状がなくても定期的にがん検診を受けることが重要であることなどがこの教材で記載をされております。
 文部科学省といたしましては、今後とも、生徒ががん検診の重要性を正しく理解できるように、がん教育を引き続き推進してまいる覚悟でございます。

教員の環境改善、特に管理職の処遇改善

三浦信祐君 是非推進をお願いしたいと思います。
 さて、学校現場の教職員が多忙を極めている中で、実は、副校長、教頭の勤務時間の異常な長さがあり、古い結果しかないということでこの資料ですけれども、資料二に示すとおり、教頭の残業時間は極めて長いという現状です。
 まず、副校長、教頭の役割について藤原局長に伺います。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 まず、副校長の職務でございますが、学校教育法第三十七条第五項におきまして、校長を助け、命を受け校務をつかさどると規定されており、校長を補佐するとともに、校長から命を受けた範囲内で校務を自らの権限で処理することが可能な職と整理されているところでございます。
 次に、教頭の職務でございますが、学校教育法第三十七条第七項におきまして、校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどると規定されておりまして、校長を補佐するとともに、校内の仕事を整理する職と整理をされております。
 どちらの職務につきましても、管理職員としてそれぞれの立場から所属職員の管理監督を行うといった役割を担うことが求められております。

三浦信祐君 副校長、教頭は、人事、物品、施設管理の三管理のトップです。これに加えて、教員としての経験を生かし、将来を担う人材の育成をしたいと思われている方がきっと多いものだと思います。
 しかし、先日私もたくさんヒアリングをさせていただいたんですけれども、現実的には、業務として、事務手続の忙殺、親御さんへの対応、臨任教員採用ができないことによる教員の授業代行、不登校児童の家庭訪問、そして地域行事への参加とケア等々、とても余裕がない状況であるということが声を大にしてたくさん寄せられました。
 副校長、教頭の業務効率化を図る必要というのは、私はあるんだと思います。事務手続の簡素化や代行ができるような体制に変えていくべきだと思います。必要な研修時間の確保も困難な状態を解消することにもつながっていくのではないかと思います。藤原局長の見解と対応について伺います。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 文部科学省といたしましては、副校長、教頭自身が、例えば研修を受ける時間を確保するためにも負担軽減を図ることは喫緊の課題であると認識をしております。
 このため、今国会におきましてもいわゆる義務標準法等の一部を改正する法律案を提出しているところでございまして、そこにおきましては、学校の事務職員の職務規定を改正いたしまして、学校予算の編成や各種調査業務などの事務について事務職員が一定の責任を持って処理することができるようにしようということと、それから、新たに共同学校事務室を制度化して学校事務の効率化を図るということをしようとしているところでございます。このような措置を図ることができれば、副校長、教頭の負担軽減にもつながるのではないかと考えております。
 文科省といたしましては、今後とも、副校長、教頭が本来の業務に注力し、その経験能力が十分発揮できる環境の整備に取り組んでいきたいと考えております。

三浦信祐君 是非不断の努力をしていただきたいと思いますし、この後、今後も私はこの問題取り上げさせていただきたいと思います。
 教員が管理職の多忙な姿を見て、副校長、教頭職に魅力を感じずなり手不足というのが、これでは懸念をされてしまうと思います。推し量る直接的なデータはないとは思いますけれども、お配りをさせていただきました希望降任制度のデータに明確に表れております。また、主任教諭も希望降任をしていくというのも増加傾向にあります。
 この認識と問題の対処方法、今後の対策について、文科省としての見解を伺います。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 平成二十七年十二月の中央教育審議会答申におきましても、副校長、教頭の希望降任の増加など、管理職の魅力が低下しているのではないかとの指摘をいただいております。また、都道府県によりましては、今後、管理職候補となる三十代半ばから五十歳ぐらいまでの教員数が減少することが予想されておりまして、計画的な管理職の養成は喫緊の課題であると認識しております。
 副校長、教頭の魅力が低下している原因といたしまして、子供と接する時間が少ないことや業務量が多いことなどが要因であるとの指摘もございまして、なり手の確保のためには、適切な学校運営体制を整備するとともに、副校長、教頭の候補者の養成を計画的に行うことが求められております。
 このため、文部科学省におきましては、適切な学校運営体制を構築するとともに、若いうちからマネジメント能力を付ける観点から主幹教諭の配置を促進しているところであります。また、今国会に提出している義務標準法等の一部改正法案でも、先ほど申し上げましたとおり、学校事務職員の職務規定を見直すことによって、副校長などと事務職員の連携や業務の見直しなどによって体制整備の整備を促していきたいと考えております。

教職員の定数拡大

三浦信祐君 話は変わりますけれども、近年、学校において通級指導への対応や、LD、ADHDの生徒に対応する教員の必要性が増している中、明らかに人手不足であるという声が寄せられます。さらに、教育現場での対応能力を上回る事案も増えているものと承知をしております。
 今回、通級指導への対応を含め、我が党もしっかり主張させていただいて、粘り強い交渉によって最後に盛り込まれた教職員の基礎定数化、加配措置、大きな前進だと思います。しかし、子供それぞれを伸ばす教育が大切だと私は考えております。勉強する教室の雰囲気、やる気がある子を更に伸ばす、やる気を刺激するような教育、生徒さんに教育的刺激の観点から時間を十分に活用できるような環境づくりが大切ではないかと考えます。習熟度別授業をするなど、理論を立てて取り組むべきだと思いますが、御見解はいかがでしょうか。

国務大臣(松野博一君)  委員のお話にありましたとおり、発達障害などにより通常の学級に在籍をしながら障害の状態に応じた特別の指導、いわゆる通級指導を受ける児童生徒は十年間で二・三倍に増加をしております。こうした課題に対応するため、平成二十九年度予算案においては担当教員の基礎定数化を盛り込み、必要な法案を現在御審議いただいております。
 一方、御指摘の通常の学級における指導体制の充実については文部科学省としても重要と考えており、今後の教職員定数の在り方については、学校の課題に関する客観的データや実証研究、地方自治体の政策ニーズ等を踏まえ必要な検討を行ってまいります。

三浦信祐君 全国三万校ある中で定員増が八百名強、これはすごい努力をしていただいたと思いますけれども、場合によっては、私どもの地域には大きな望みはないんじゃないかと思われているようなところもあると思います。少子化とはいえ、多様化への対処が教育現場で重要性を増していると思います。不断の努力が必要ではないでしょうか。
 団塊世代の大量退職期において、多様な経験を有している教員が減っていく中、教員としての質を担保するためにも人的確保というのは不可欠です。教職員定数の拡大への決意と具体的な取組について松野大臣に伺います。

国務大臣(松野博一君)  今日の学校を取り巻く環境が複雑化、困難化する中、チーム学校の推進や学校現場の業務適正化等の取組と併せて、次世代の学校に必要な指導体制を構築することが重要と考えております。
 平成二十九年度予算においては、喫緊の課題に対応するための教員の基礎定数化に加え、小学校専科指導や貧困等に起因する学力課題の解消、いじめ、不登校等への対応などに必要な加配定数を含め、合計八百六十八人の改善を盛り込み、今国会に基礎定数化に必要な法案を提出をしているところです。
 今後の教職員定数の在り方については、学習指導要領の改訂や学校現場における教職員の勤務の実態も勘案しつつ、引き続き、経済・財政再生計画改革工程表における方針に基づいて、学校の課題に関する客観的データ、実証研究、地方自治体の政策ニーズ等を踏まえ必要な検討を行ってまいります。

三浦信祐君 是非しっかり検討していただきたいと思います。
 この間ヒアリングをさせていただいた中で出てきた話があります。養護教諭、保健室の先生、実は、生徒が抱える多くの問題を真っ正面から受け止めて、子供の求めに応じた対処をしている場合が多数あると伺いました。それによって授業態度が改善をしたとか、親への対応時間が減ったとか、管理職や担任の負担軽減に大きな力を発揮されているものだと私は感じました。
 現状、小学校では生徒八百五十一人、中学校では八百一人で二人の教諭、一人に対応した場合にはほかの生徒へのケアができないというような現状であります。現場から養護教諭への感謝、重要性は数多く、加えて養護教諭の増員が教職員の仕事の軽減に大いに役に立つのではないかという声がたくさん寄せられております。
 まず、この現場の声をどう思うか、また、増員をすべきであると私は考えますけれども、これは真剣に是非取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 養護教諭の配置の拡充についてのお尋ねでございます。
 文部科学省におきましては、平成二十九年度の概算要求におきまして、養護教諭の複数配置基準の充実、すなわち、委員御指摘のとおり、小学校の場合、現在は子供八百五十一名で複数配置かどうかというのが分かれるところを七百五十一名に引き下げる、それから中学校については八百一名を七百一名に引き下げると、こういう形での配置基準の充実の要求をいたしまして、基礎定数についてはそれに合わせて五十名増の要求をしましたが、非常に残念ながら予算編成の過程で実現しなかったと、こういう経緯がございます。結果的には、二十九年度の予算案では加配定数の改善ということで養護教諭の配置としてプラス十名ということを盛り込んでいるところでございます。
 文部科学省といたしましては、今後とも引き続き養護教諭の配置、充実に向けて頑張っていきたいと考えております。

三浦信祐君 私もしっかりこれを応援していきたいと思います。直接的な負担軽減だけではなくて、やはり心の負担軽減ということにも大きな効果を及ぼしますので、是非今後とも取り組んでいただきたいと思います。
 子供さんや親御さん、学校で問題が発生したときに相談できる窓口は多数あると思います。一方で、教師や管理職教員の相談窓口はほとんど準備をされておりません。諸問題が起こった場合、初動での対応に多くの場合苦慮していると聞いております。多忙な教頭にも相談できないだけではなく、学校のみで対応できない事例も踏まえ、学校の先生の相談窓口など確保してはいかがかなというふうに考えております。一方で、経験者の場合、昔を軸にして話をされてしまえば実態との乖離で苦悩を深まらせる可能性もはらむことから、思料が必要ではないかと思います。
 他方、場合によっては、親が突然弁護士を引き連れてくる場合もあると承知をしております。学校では、教育のプロであって、司法のプロではありません。学校運営上、教員が正面に受けて立っていては教育現場が成立しない可能性もあります。このような場合、対応弁護士を設けて弁護士が正面に立つ体制づくりなども必要だと考えますが、いかがでありましょうか。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 学校と保護者や地域住民との間に生じるような、学校だけでは解決困難な課題につきまして相談を受ける体制を構築することは、委員御指摘のとおり、円滑な学校運営のために有効な手段だと考えております。
 例えば学校において保護者や地域などからの苦情や不当な要求行為などへの対応に苦慮している場合について、教育委員会が設置したサポートチームによって、弁護士による法的知見に基づく助言を受けて適切に対応する支援体制を構築している例も承知しております。
 文部科学省といたしましては、このような弁護士等の専門家を活用した学校への支援体制に関する取組について、良い取組については全国への普及に努めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 最後に、学校現場、教育をつかさどる教職員の環境改善、待遇改善が、子供の育成、日本の未来を支える人材育成につながると思います。大臣もその思いで今回予算編成に取り組まれたと思います。
 松野大臣、御所見と御決意をお伺いします。

国務大臣(松野博一君)  先ほど来からの御議論にありますとおり、貧困問題への対応でありますとか保護者等からの要望への対応等、学校に求められている役割も拡大をしております。また、平成二十六年度に公表された中学校教員を対象としたOECD国際教員指導環境調査等においても、我が国の教員の長時間労働の実態が示されていると認識をしております。
 文部科学省としては、教員の業務負担の軽減を図ることは喫緊の課題であると認識をしておりまして、本年一月に、二十か所程度の重点モデルを指定をし、学校現場の業務改善を加速するプロジェクトや、部活動の適正化の推進、業務改善等に知見のある有識者や教育関係者等を業務改善アドバイザーとして派遣する仕組み等を発表したところでございます。
 文部科学省として、教員が子供と向き合える時間を確保して、そして教員が一人一人今まで以上に誇りとやりがいを持てる学校現場の環境を実現をするために業務の適正化を着実に推進し、学校教育の質の向上に努めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 終わります。ありがとうございます。