文教科学委員会(2016年10月20日)

給付型奨学金制度の設計について

三浦信祐君 おはようございます。神奈川県選出の公明党の三浦信祐でございます。今回初めて質問に立たせていただきます。松野大臣の所信的挨拶に対して御質問させていただきます。
 まず、無利子及び給付型奨学金制度についてですけれども、多くの国民の皆様が期待をしていると思います。安倍総理の強い御決断の下、文部科学省が中心となって奨学金の制度設計を行っていくことになり、松野大臣も、給付型奨学金の実現へ向け、具体的な制度設計を早急に進めると述べられました。政権与党として確実に実行できるように取り組んでいかなければならないと思っています。
 今回の奨学金制度の政策目標は、低所得者世帯へのケアだと思います。希望を行き渡らせていくためにも、ニーズに合った実効性ある制度となっていく必要があると思います。
 そこで、無利子及び給付型奨学金制度設計において、基本的な考え方、対象となる範囲及び進捗についてどのような状況にあるか、松野大臣にお伺いいたします。

国務大臣(松野博一君)  御質問をいただきました給付型奨学金については、省内に義家副大臣をトップとする有識者も参画する検討チームを設置をし、八月末にこれまでの議論の整理を公表したところであります。
 本整理においては、経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しする観点や、進学に向けた学生等の努力を促すといった観点等の検討を進めるべきとの方向性が示されております。
 今後、関係者の意見を聞きながら更に検討を進め、家庭の経済事情によって進学を断念している者の進学を後押しできるよう、平成二十九年度予算編成過程の中で制度を具体化すべく議論を進めていきたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。具体的な検討を早急にしなければいけないと思いますので、この後、それについて少し御質問させていただきたいと思います。
 さて、大学入学試験合格後、すぐに入学金を払う必要があります。国立大学法人に入学をしようとした場合には、入学金は二十八万二千円、これを支払えないために進学を断念してしまうようなことがあってはならないと思います。現状、学生支援機構の奨学金では、入学時特別増額は四月以降の支給であって、進学者は入学金の支払に大変苦労していると思います。
 入学金の手当ての現状について、樋口政務官にお伺いいたします。

○大臣政務官(樋口尚也君)  日本学生支援機構の入学時特別増額貸与奨学金は、保護者の所得が低いなどの理由で、入学時にまとまった資金の需要に対して日本政策金融公庫や民間金融機関などからの融資を受けられない学生等に対する支援を充実するものでございます。しかし、日本学生支援機構では、大学等に進学された方を対象に奨学金の貸与を行っており、入学された大学等を通じて奨学金の申込みをしていただくこととしていることから、三浦委員御指摘のとおり、大学等に入学する前に貸与を行うことはできないこととなっております。
 一方で、入学前の入学金等の支払に対しては、労働金庫と連携をし、この入学時特別増額貸与奨学金の申込みをした方を対象に、当該奨学金が交付されるまでの間、日本学生支援機構から交付される奨学金の額の範囲内で必要な資金を一括して融資をする、ろうきん入学時必要資金融資により対応しているところでございます。
 また、各大学に対しては、平成二十八年度においても、高等教育局長通知により、入学料等の初年度納付金の納付時期を猶予することなど弾力的な取扱いを要請したところでございます。
 引き続き、このろうきん入学時必要資金融資の周知や各大学等への要請、また、厚生労働省の事業ですが、生活福祉資金や母子父子寡婦福祉資金などの奨学金以外の支援制度の紹介等を通じて、学生等が安心して進学できる環境整備に努めてまいります。

三浦信祐君 是非お願いしたいと思います。
 その上で、学生さんにしっかり通知をしないと、結局情報が分からないまんまで諦めるというようなことがあってはいけないと思います。是非広報活動も頑張っていただきたいと思います。
 さて、給付型奨学金の受給金額はどの程度になるか。これは今一番皆さんが知りたい情報だと思います。実際の給付対象の学生さんとその御家族にとって魅力的かつ現実的な金額でなければ制度倒れとなってしまうと思います。
 現在の検討状況について、高等教育局長に具体的に教えていただければと思います。

政府参考人(常盤豊君)  お答えいたします。
 給付型奨学金につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたが、省内に有識者も参画する検討チームを設置をいたしまして、八月末にこれまでの議論の整理を公表したところでございます。
 その中で、支給額についてでございますが、進学を後押しする観点から、他の世帯と比較して相対的に重くのしかかる負担感を解消するようなものとすることが適当であって、学校種別や設置主体、通学形態を踏まえ、必要とされる金額を設定するという方向性を示しつつ、同時に、業務面での実施可能性を含め、引き続き検討を行う必要があるということとされております。
 今後、関係者の意見もお聞きしながら更に検討を進めまして、家庭の経済事情によって進学を断念している者の進学を後押しできるよう、平成二十九年度予算編成過程の中で制度の具体化を進めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非、なるべく早めに財源確保をしっかりしていただいて、加えて、明確な金額を提示できることによって実際に学生さんたちが計算ができるような制度にしていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 また、給付型奨学金の受給資格設定に当たって、学生支援機構の無利子奨学金、また九州大学が独自に設定をしているような大学の給付型奨学金、さらには自治体、財団や企業など他の奨学金との併用が可能とした制度設計を今お考えになられるかどうか。私は是非そういうふうに併用が可能にしていただきたいというふうに考えております。
 樋口政務官の御意見を伺います。

○大臣政務官(樋口尚也君)  ありがとうございます。
 三浦委員の御意見と同様に、省内の検討チームの議論の整理の中においても、大学等に進学する際に、給付型の奨学金のみだけでなく、日本学生支援機構が実施する貸与型の奨学金、各大学や地方自治体、民間財団等が行う奨学金等の支援制度を併用することにより、進学及び修学の費用を用意することが必要となることが言及をされております。
 給付型の奨学金については平成二十九年度予算編成過程の中で制度を具体化することとなっておりますが、他の奨学金や授業料減免等との併用については、議論の整理で示された方向を踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非お願いしたいと思います。国全体で学生さんの未来をつくっていくという社会をつくりたいと思いますので、ここが入口になると思います。是非よろしくお願いいたします。
 さて、在学中、無利子、給付型共に、奨学金受給対象者が、家庭環境の変化が生じて対象外、例えば経済的な好転状況になった、そういうケースも考えられます。一方で、受給対象外だった学生さんが受給対象環境へなってしまうような変化があることも想定がされるべきだと思います。
 この場合、変化に対応して受給判断をするか、また、受給対象者をどうやって確認をしていくのか、その判断はどの機関がどのような方法で、かつ、いつ実施をしていくのかなど様々な課題があります。加えて、これらに掛かる事務的経費が増加するようではそもそも本末転倒だと思います。
 この認識と取組について、高等教育局長、いかがでしょうか。

政府参考人(常盤豊君)  お答え申し上げます。
 現在、給付型奨学金の検討を進めているわけでございますけれども、家計基準に基づく給付型奨学金の対象者の選定に当たりましては、今委員御指摘のとおり、例えば大学等への入学後に家計が急変し学業の継続が困難となるケース、あるいは、高校生の時点では低所得であった家計支持者が、子供が大学等への入学後に新たな職に就き所得が上昇するというケース、こういう様々なケースが想定されるということがございます。こうした在学中の家計状況の変化への対応につきましては、今後、制度設計を進める中で検討してまいりたいと考えております。
 また、対象者の確認というお話もございましたけれども、マイナンバー制度の導入が予定をされておりますので、奨学金受給者の家計状況については、そういう制度の活用によりまして、これまでより容易に把握できる環境が整備されることが予定されているというふうに認識をしてございます。

三浦信祐君 是非、セーフティーネット社会をつくるためにも御検討をいただきたいと思います。
 また、マイナンバー制度を活用するという部分では、総務省としっかり連携を取っていただいて、ちゃんと手元にその理解ができるような感じで皆さんに広報していただければというふうに思います。
 いずれにしましても、教育への投資というのは未来への投資であって、日本の成長戦略を支えることになります。是非、実効性ある奨学金制度となるように、大臣の下で是非制度設計しっかりやっていただきたいというふうに念願をいたします。

大学施設の老朽化対策、整備について

 また、大臣は、施設整備費補助金、基盤的経費を安定的に確保し、また、研究施設設備の整備等を促進しますと述べていただきました。お手元にあります資料一を御覧いただきたいと思います。これは、大学施設老朽化の現状についてまとめてございます。上の段のグラフは経過年数ごとの施設面積であります。経年二十五年以上で未改修の面積が顕著に増えていっています。また、今後、この五年後、その割合は急増しています。下のグラフは各ライフラインの経過年数を示していますけれども、経年三十年以上の配管類が極めて多いことが分かります。経年三十年以上で事故出現率が急増することもデータが如実に示しています。先日も、ケーブルが三十五年たって整備がされていないということで、停電という具体的な例をインフラの中で経験をいたしました。
 そこで、これまでの大学の施設整備費の予算額の推移について施設企画部長に具体的に伺いたいと思います。

政府参考人(山下治君)  お答え申し上げます。
 国立大学施設の整備につきましては、これまで四次にわたる国立大学法人等施設整備五か年計画を策定し、計画的、重点的な整備を実施しております。平成十八年から第二次計画以降十年間の施設整備の予算の実績につきましては、当初予算では毎年約四百億円から五百億円を計上し、また、補正予算等におきましては約百億円から一千億円を超えるなど規模は様々でございますが、経済対策等の機会を捉えて計上し、整備を推進してきたところでございます。

三浦信祐君 補正予算頼みだということがよく分かります。
 それでは、予算編成過程について施設企画部長にお聞きさせていただきたいと思います。施設整備の予算成立までのプロセスと、また、本年の各大学からの要求時点と当初予算額時点での件数と金額、これについてはいかがでしょうか。

政府参考人(山下治君)  お答え申し上げます。
 平成二十八年度予算では、各大学から千百五十九件、約四千億円の要求がございました。このうち、学識経験者で構成される検討会において必要性、緊急性が高いと評価された事業のうち三百件、六百三十五億円を概算要求し、結果として、平成二十八年度当初予算につきましては百八十七件、四百十八億円となったところでございます。

三浦信祐君 件数は十分の一、予算も十分の一、そして、それが選択をされているのは緊急性のみであるというのが現状だと思います。要は、ほとんど実現が、実施ができていないというのが分かりました。
 それでは、資料の二を御覧いただきたいと思います。これは、私の地元神奈川の横浜国立大学のデータです。
 円グラフを見ていただきますけれども、十五年後には約六割の建物が建設から五十年を経過をしてまいります。普通なら、もうリニューアルをする、建て替えを検討しなきゃいけない。一大学でも、教育上、安全上、そして経営上に大きな課題が生じることが容易に想像ができます。一刻も早く施設整備に予算を重点的に配分すべきではないかと私は思います。
 その上で、第四次国立大学法人等施設整備五か年計画が本年決定をされております。課題認識と取組について施設企画部長にお答えをいただきたいと思います。

政府参考人(山下治君)  お答えいたします。
 施設の老朽化の進行によって生じる課題につきましては、外壁の剥落、天井の落下等安全面の課題とともに、配管類等の腐食に伴う事故発生などにより教育研究活動が停止するなど、機能面の課題がございます。さらには、エネルギーロスや修繕費等の増加など、大学の経営面においても課題があると認識しております。
 このことから、今年度を初年度とする第四次国立大学法人等施設整備五か年計画に基づき、老朽化対策を中心に計画的、重点的な整備を推進し、これらの課題解消を図るとともに、教育研究の進展や変化に合わせた環境整備に向けて取り組むこととしてございます。

三浦信祐君 具体的な例がありまして、適切な投資をすれば改善できる事例というのがあります。横浜国立大学では、中央図書館の省エネ改修を実施をされました。その結果、エネルギー使用量というのは、改修前、前年比で約四五%も低下をしたそうです。そして、それで生み出された運営費交付金の浮き分を、経費を電子ジャーナルの購入費用に充てることができたそうです。
 施設整備をすることによって運営費交付金の活用の方法、また基盤的経費が変化して、教育へ直接配分、投資ができるようになります。研究費のみ重点化をしたとしても、その環境づくりを併せて実施をしなければ、結果として研究遂行に影響を及ぼす、場合によっては外国人が来ないというケースも考えられます。今こそ積極的な投資をしていかなければいけないと思います。
 大学施設整備への今後の取組に対する決意、行動計画を松野大臣にお伺いさせていただきます。

国務大臣(松野博一君)  国立大学施設は、我が国の次代を担う人材育成の場であるとともに、地方創生やイノベーション創出の拠点となるなど、一億総活躍社会の実現のためにも重要な施設であります。
 これまでの重点的な取組によりまして、建物の耐震化につきましては約九八%まで進捗をしており、おおむね完了している一方、三浦委員から御指摘をいただきましたとおり、昭和四十年代から五十年代にかけて整備された膨大な施設の更新時期が到来をしております。老朽化の進行により、安全面、機能面での課題が生じているという事実もございます。
 このことから、文部科学省では、今年度を初年度とする第四次国立大学法人等施設整備五か年計画に基づき、老朽化対策を中心に計画的、重点的な整備を実施しており、先日成立した平成二十八年度第二次補正予算において百八十五億円を確保するとともに、平成二十九年度概算要求においては九百七十億円を要求をしております。予算確保を含め、着実な推進に向けて努力を重ねてまいります。

人工知能の研究支援について

三浦信祐君 ありがとうございます。
 是非、大臣のリーダーシップの下で実現をすること、そして各大学の経営面でも皆さん期待をしていると思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 大臣は、第四次産業革命等の情勢変化が急速に進む中、ソサエティー五・〇を実現する、その鍵となる人工知能の研究開発を強化すると述べておられました。
 大臣に伺います。文科省の人工知能の研究支援について、これまでの取組、また研究継続性確保への予算措置、今後の見通しについていかがでしょうか。答弁をお願いします。

国務大臣(松野博一君)  理化学研究所において本年四月に革新知能統合研究センターを新設をし、国際学会において中心的な役割を果たしている杉山将東大教授をセンター長に任命をいたしました。AI技術の進展は著しいものでありますけれども、一方、未解決の課題も多いために、当該センターにおいては、次世代に向けた革新的な人工知能の基礎研究と基盤技術の開発に取り組むこととしております。
 センターの体制については、現時点で、杉山センター長の下、国際的に活躍をする国内外の研究者二十三名をリーダーとして任命し、その多くが三十代から四十代であります。今後、研究員も含め百人を超える体制を目指してまいります。
 また、センターの予算については、文部科学省としてAI研究支援に十年を掛けて取り組むということとしておりまして、平成二十八年度は十四億五千万円を措置するとともに、平成二十九年度概算要求においても五十億円を要求をしているところであります。
 引き続き、総務省、経済産業省との密接な連携を始め、国内外の大学、研究機関、企業と連携を通じて成果を発信してまいります。

三浦信祐君 革新知能総合研究センターができた、一流の研究者が集まって、すばらしいことだと思います。また、若手を登用できるという、その調整に当たられた関係各位に敬意を表したいというふうに思います。
 その上で、AIの研究推進に当たって行政の担当者の高度な理解と強力なサポートが不可欠だと思います。文科省でこの分野の人材確保と育成を含めた今後の計画は、研究振興局長、いかがでございましょうか。

政府参考人(小松弥生君)  AI分野の研究開発の立ち上げに当たりまして、昨年度と本年度に技術系の職員を増強いたしまして担当課の体制を強化することにより、理化学研究所や大学等の研究者との連携が図れるようにしているところでございます。また、高度な専門的知見を得るために大学や研究機関の研究者を科学官や学術調査官として委嘱をしておりまして、それらの助言を受けながら事業を推進しております。
 今後も人工知能の研究をしっかりと支えていけるように、文部科学省の技術系職員の育成確保を進めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 研究者にとって一番怖いのは資金が切れること、サポートがなくなることだと思います。と同時に、成長戦略の中心にいるこのAIですから、是非省を挙げて、また人材育成も含めてトータルでバックアップをできるような社会をつくっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

障害者差別解消法の教育現場における実効性について

 さて、近年、障害者が被害を受ける痛ましい事件、事故のニュースが絶えません。共生社会実現のためにも教育の重要性が増していると思います。インクルーシブ教育の本来の目的を達成するためには、一層のこの取組も充実が必要だと思います。それとともに、障害者を理解する教育体制も重要だと思います。
 まずは、本年四月の障害者差別解消法施行に伴う教育現場への徹底、教育の状況について、初等中等局長にお伺いいたします。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 本年四月に施行されました障害者差別解消法の教育現場への周知につきましては、文部科学省といたしましては、第一に所管事業分野における対応指針の策定、第二に教育委員会等の関係機関への通知や各種会議での説明、第三に教育委員会や教職員等を対象とした法律の内容や必要な取組について理解を深めるセミナーの開催、第四に独立行政法人特別支援教育総合研究所における学校現場での合理的配慮の実践事例を集めたデータベースの構築などの取組を実施しているところでございます。
 また、障害者差別解消法の趣旨が社会に浸透していくためには、学校における障害者理解のための教育が重要であると考えております。このため、現行学習指導要領におきましては、例えば総則で特別支援学校などとの連携、交流を図ることを示し、また道徳では、誰に対しても公正公平にし、差別や偏見のない社会の実現に努めること、相手のことを理解し、自分と異なる意見も大切にすることなどについて、発達の段階に応じて指導しているところでございます。
 また、次の学習指導要領の改訂に関しましては、障害者理解や交流及び共同学習については、学校の教育活動全体での一層の推進を図る方向で検討しているところでございます。
 文部科学省といたしましては、こうした取組を通じまして障害者差別解消法の周知徹底及び障害者理解教育について引き続き推進してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。様々な検討をされていること、感謝を申し上げます。
 先日、公明党のプロジェクトチームの中で、障害者六団体からヒアリングをさせていただきました。その中で特に言われていましたのが、やはり障害者に対する理解を深めてほしい、それを教育現場で必ず実行ができるような体制を取ってほしいということでした。共生社会をつくっていくのは教育だと思います。是非、強力な推進をしていただきたいと思います。
 その上で、この障害者差別解消法の教育現場での実効性と成否について発信をして、やりましたというだけではなくて、ちゃんとそれが実効性があったか、調査、検証をしっかりしていただきたいと思います。このことに関して初等中等局長にお伺いしたいと思います。

政府参考人(藤原誠君)  お答え申し上げます。
 障害者差別解消法の施行後半年を経過したところでございまして、まずは制度の周知とともに実態を把握していくことが重要であると考えております。文部科学省といたしましては、教育委員会の担当者を集めた会議やセミナーなどの機会を活用して、障害者差別解消法の施行に関する教育委員会の取組の状況や学校現場における合理的配慮の実施事例等について把握をしてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 ありがとうございます。是非お願いしたいと思います。
 大臣は、社会に開かれた教育課程の実現に向けて学習指導要領改訂に向けた検討を進めると述べられました。近年、障害者のこの、先ほどのこともありましたけれども、義務教育の段階で、福祉、障害者理解教育に加えて、金銭教育であったり、納税者教育であったり、また、ブラックバイトのような今社会問題がある中で労使に関する教育など、実務の経験ある有識者の力を貸していただき教育に携わっていただくことで、効果的に実生活者として不可欠な知識を付与することができると思います。
 今、教員の方、大変忙しい中で、いろいろなことを教員に教えろということよりは、ある力を存分に活用して学生さんに伝えていく、これが国家としての役割だと思います。現時点での実効性ある検討をしているか、松野大臣にお考えと決意を伺いたいと思います。

国務大臣(松野博一君)  御指摘のとおり、義務教育段階から、将来、国家、社会の形成者として社会に参画できるよう、消費者や勤労者、納税者といった様々な立場で必要となる知識の習得を図ることが求められております。
 学校外の専門家や実務家の協力は極めて重要であると考えます。そのために、これらの教育の充実のために、消費生活センター、社会保険労務士や都道府県労働局、税理士や地方財務局などと学校の連携協力が進みつつあると承知をしております。中央教育審議会においても、次期学習指導要領の改訂に向けて、義務教育から高等学校にかけて、これまで以上に校外の専門家や実務家の活用が重要との審議が行われています。
 今後、文部科学省としても、教育委員会と関係団体や関係行政機関との連携を促すなど、校外の専門家等々の活用により教育の充実に努めてまいります。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 恐らく、現場の先生方々がしっかり学生さんに向き合える時間を十分に確保して、かつ学生さん方の未来を地域でサポートをしていく、そして本来あるべき共生社会、そして学生さんを育てるという社会のモデルをこれからつくっていく、いよいよ大事な時期に入っていると思います。
 未来のためにも、この教育をしっかり基盤を整えていくこと、そして環境も整えていくこと、これが我々の政治家としての責任でありますし、行政としてもしっかりタッグを組んで、現実に前に進んで未来をつくっていくことを絶対やっていかなければならぬと思います。
 教育環境を整えることを切に願って、終わらせていただきます。ありがとうございました。