東日本大震災復興特別委員会(2021年4月9日)

自立的産業育成について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 東日本大震災発災から十年、改めて、震災によりお亡くなりになられた方に哀悼の意を表しますとともに、御遺族の方々、けがをされました方々、そして避難を余儀なくされた皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。また、復興に御尽力をいただいております皆様、そして廃炉に従事されている方々の御奮闘に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 福島県の今後の展望を含めて質問をさせていただきます。
 福島県における発災から十年の経済状況は、公共投資による経済押し上げが主たるものであり、残念ながら、自立的な経済成長ではないのが厳しい現実と認識しております。
 新産業の集約等が図られて、新たな研究拠点も開発を進められていると承知はしております。私の故郷である福島、そして親戚がたくさん住んでおります現伊達市、正直、相馬福島道路が開通すること自体が夢のような話でもあり、多くの方々が難工事を乗り越えられて、年度末というのは越えてしまいましたけれども、今月中に開通をするということ、そういう意味では、大変多くの方々にお力をいただいているということが本当に有り難い限りでございます。すなわち、鉄道、また道路のインフラ、大半が復興、拡充もされてきております。
 しかしながら、地元の経済への波及効果、押し上げできるだけの産業化がこれからには欠かすことはできません。これからやらなければいけないことは、もう是非、この復興への必要な自立的産業化ということであります。是非取り組んでいただきたいと思います。
 福島のこれからの自立的経済に対してどのような手を打たれるのでしょうか、平沢復興大臣に伺います。
国務大臣(平沢勝栄君)  今委員御指摘のとおり、福島の復興、経済を地に足の付いたものにしていかなければならないわけでございまして、いろいろな取組がなされていますけど、その一つはイノベーション、福島イノベーション・コースト構想に基づく取組でございまして、この福島イノベーション・コースト構想は、委員御指摘のとおり、ロボットやドローンの研究開発などで一大拠点を目指しているわけでございまして、また、再生可能エネルギーにより水素を製造する世界最大級の福島水素エネルギー研究フィールド、これが最近全面開所するなど、具体的な取組が行われているところでございますけれども、こうした拠点を活用していかに地元経済を発展させていくかということが重要でございまして、こうした観点から、開発、実証等に取り組む企業と地元企業との連携促進、それから浜通り地域で起業、創業を目指す事業者支援、こういったことに積極的に取り組んでいるところでございます。
 復興庁としましては、こうした取組を通じまして、県及び関係省庁などと一緒になって福島の本格的な復興再生に更に力を入れていきたいと考えております。
三浦信祐君 是非、始点として福島でなければいけないというところが企業として根っこが生えていくということ、で、福島だからこそできるということ、これもしっかりと具体的に調査をしていただいて、具体的な対応をしていただきたいというふうに思います。
 二〇一六年、原発避難の生徒へのいじめの対応として私も国会にて質疑をさせていただき、いじめ根絶のためにも放射線理解と教育の強化を訴えさせていただいて、文科省の皆さんには、以降しっかりと取り組んでいただいてきました。
 現在、放射線副読本が充実をして、教育現場にて活用されるようになりました。通知を出していただいて以降、私の娘も即座に教育現場、学校でその放射線副読本を活用して、学校の先生が即座に勉強されて教育現場で徹底をされたということ、まさにこういうことが大事なんだろうなということを実感してまいりました。これ、大事なことでありますので、今後の取組の展望についてまず伺わさせていただきたいと思います。
 その上で、現在推進をしております学校現場でのGIGAスクール構想にて、教育現場ではタブレット、パソコンが一人一台手元にある状態になってまいります。この放射線副読本こそ、デジタル教科書よりも早く準備ができて、手元で効果的に活用できると私は考えます。昔の震災の状況、どう復興していったか、そして、これを未来、こう変えるのが私たちの未来の絵なんだということも、動画であったりとかリアリティーを持って教育現場全員にお伝えすることができる最大の教育となると私は信じております。
 是非、風化を防ぐという闘いに乗り越えていくためにも、放射線副読本のデジタル化を図って、教育現場に行き渡って、そして活用し続けるというふうにしていただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
政府参考人(串田俊巳君)  お答えいたします。
 東日本大震災から既に十年が経過した現在におきましても、原発事故に伴います風評の払拭やいわれのない偏見、差別の解消には今なお課題があると認識しております。児童生徒が放射線に関します科学的な知識を理解した上で、原発事故の状況、復興に向けた取組について理解を深めていくということは大変重要なことと認識しております。
 このため、文科省におきましては、御指摘ありましたような児童生徒の放射線に関します科学的な理解の一助となるよう、放射線の副読本、これを作成いたしまして、全国の小中高等学校に配付するといったことをして指導の充実に努めている状況にございます。令和三年度におきましては、放射線副読本の活用の状況の調査結果等を基にいたしまして、放射線副読本につきましては、最新の状況を踏まえた時点更新を行いますとともに、復興が進展している被災地の姿の紹介、それから教育のICT化に対応したより分かりやすいデジタルコンテンツの活用などを進める予定としております。
 こうした取組を通じまして、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を理解するとともに、いわれのない偏見、差別の解消に貢献できるよう、取り組んでまいる所存でございます。

原発廃炉について

三浦信祐君 デジタルコンテンツ、必ず全国に広めていただいて、誰もが知っている、そういうことが科学的知見をもってしていろんなことに対する論評ができるということになりますので、是非御尽力をいただきたいというふうに思います。
 福島第一原子力発電所の廃炉について伺います。
 先般、福島第一原子力発電所内で、放射性物質が、廃棄物が入っていると推定されるものの、中身が分からないコンテナ約四千個存在することが判明をしております。なぜこのような事態が生じて、どのように管理をされてきたのでしょうか。地元の皆様を始め、国民の皆様に対して情報提供が必要だと私は考えております。他のコンテナ等を含めて、現状の把握と今後の対応についてしっかりと取り組むべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
政府参考人(新川達也君)  お答え申し上げます。
 四月七日に東京電力が、福島第一原発に設置しております廃棄物保管用のコンテナ約八・五万基のうち約四千基について内容物を把握できていないことを公表しております。現時点では、内容物を管理するシステムを使うことで新規に設置するコンテナでは内容物を把握できておりますが、このシステムの運用開始前に設置した不燃廃棄物用コンテナ約四千基では、中に保管される廃棄物の分別が十分でなく、内容物の情報が把握できていないと聞いております。
 ただし、これらのコンテナにつきましては、原子力規制委員会の認可を得ている実施計画に基づきコンテナ表面の線量の高さに応じて設置場所を管理することで、作業員の被曝や発電所周辺環境に影響を及ぼさない一定の水準以下の線量に維持できております。
 一方で、これらのコンテナの一部から内容物が漏えいした可能性があり、東京電力は、これら四千基のコンテナについて速やかに外観点検を行い、必要に応じて内容物の確認を行う方針を示したところでございます。経済産業省としては、地域の方々が不安にならないよう、外観点検を速やかに実施するとともに、コンテナの管理方法の改善を図るよう指示したところでございます。
 実施計画を認可している原子力規制委員会も対応に当たると認識しておりますが、経済産業省といたしましても今後も適切に指導してまいる所存でございます。
三浦信祐君 放射線量ということが不安につながるということであったのがこれまでの十年間だったと思います。ですので、見える化を図る、中身が何かということよりも、それがどう影響を及ぼすのかということをはっきりさせていただくということ、そして情報提供をしっかりやっていただく、東電にもきっちりとその仕事をしてもらうということを経済産業省の役目としてやっていただきたいというふうに思います。
 厚労省の皆さんと経産省の方に伺います。
 これまで福島第一原子力発電所廃炉に従事されている人数と放射線被曝の現状について伺いたいと思います。
 また、廃炉には人材の確保、継続性が欠かすことはできません。持続可能な廃炉作業、確実な廃炉の実現のために人材供給を絶やさないように取り組んでいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。先に厚生労働省の方にお願いします。
政府参考人(田中佐智子君)  お答えいたします。
 福島第一原子力発電所で、被曝線量でございますが、一年ごと、それから五年ごとの期間で管理がされてございます。
 平成二十八年四月から本年二月までの四年十一か月間、約二万五千人の方々が廃炉に係る放射線業務に従事をされております。うち、令和二年度、本年二月までの十一か月の間で申しますと、約一万人が従事されております。
 被曝量でございますが、この四年十一か月の間に廃炉に係る放射線業務に従事された方の平均被曝線量は六・五二ミリシーベルト、最大の方で八十八・四二ミリシーベルトとなっておりまして、五年間の線量限度である百ミリシーベルトを超えるというような方はおいでにならないところでございます。
 また、被曝線量を一年単位で見ますと、平成二十八年度は最大の方で三十八・八三ミリシーベルトでございましたが、令和二年度、本年二月までの十一か月の間でございますが、最大の方は十九・三一ミリシーベルトとなっておりまして、近年、被曝線量は減少をしてきてございます。
 引き続き、東京電力、それから関係の事業者に対しまして、作業に従事される方々の被曝線量の低減を指導してまいります。
政府参考人(新川達也君)  お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、福島第一原子力発電所の廃炉作業を安全かつ着実に進めていくためには、廃炉作業に従事していただける方々の確保が重要でございます。
 このため、福島第一原発におきましては、廃炉作業に従事していただける方々が安心して働けるように、継続的に労働環境の改善に努めております。現在では、敷地舗装などの線量低減対策により一般作業服で作業可能なエリアが敷地の九六%に達するとともに、食堂や大型休憩所なども設置をされております。また、緊急時の医療体制につきましても整備をされております。
 また、東京電力は、高線量作業の無人化、遠隔化に取り組んでおります。さらに、多くの方々に廃炉作業について関心を持っていただくために、作業環境の改善状況や廃炉に係る疑問に答えるQアンドAをホームページに掲載をしております。
 経済産業省としても、廃炉・汚染水対策のポータルサイトを設置しまして、廃炉作業を支える作業員や企業を特集する動画を掲載するなど、福島第一原発の廃炉に向けた取組について理解が進むように情報発信を行っているところでございます。
 安全かつ着実に廃炉を進めるべく、廃炉を担う人材の確保及びそのための環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。
三浦信祐君 被曝量が大分抑えられるように相当御尽力をいただいたということも厚生労働省からお伝えいただきました。
 また、必要なところを無人化を図るというこの技術が装填されていくということ、そして大事な取組であるということを是非今後もしっかりと社会に広めていただいて、多くの知見を集約をして、一年でも一か月でも早く廃炉が実現できるということに御尽力いただきたいというふうに思います。
 これまでの福島第一原子力発電所廃炉作業で活用されてきた情報、技術、技能などの記録と保存を何度もお願いをしてまいりました。現状どう管理され、現場にフィードバックがなされ、そしてニーズを発信してシーズの確保、あるいは開発へつなげてきたのか、取組について伺いたいと思います。
 また、重要なことは、情報、記録を分散させないこと、集約化を図るということであります。加えて、年月の変遷によって記録保存媒体の継続性が求められることへの対応も不断に行っていく必要があります。パソコンが変わって開けなくなりました、こんなことでは困ります。これらの取組について是非行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(新川達也君)  御指摘のように、福島第一原発の廃炉は世界でも前例のない困難な取組でございますので、ここで得られた知見や情報は今後の廃炉に生かしていくことが重要であると考えております。例えば、今年二月、三号機において使用済燃料プールからの燃料取り出しが完了しております。三号機は燃料デブリも残っており、初めて遠隔操作にて燃料取り出しを実施したものでございます。今後、ここで得られた知見、経験を一号機、二号機の燃料取り出しやその他の廃炉作業に活用していくことが重要であると考えております。
 福島第一原発の廃炉に関する研究開発等の情報につきましては、原賠・廃炉機構が廃炉研究開発情報ポータルサイトとして一元化し、研究者や技術者が自由に情報を取得できるようになっております。さらに、廃炉に関する個別の情報集約につきましては、東京電力が発電所周辺の放射性物質の分析結果や原子炉格納容器の状態など日々計測したデータを取りまとめており、日本原子力研究開発機構が放射性廃棄物の分析結果をデータベース化しております。各分野で必要となる詳細なデータを集約しているところでございます。
 年月とともに蓄積した情報が失われることがないように、この記録の継続性が重要であるとの御指摘も踏まえ、関係機関とともに取り組んでまいりたいと思っております。
三浦信祐君 是非お願いしたいと思います。
 廃炉の達成には、廃炉技術者の育成、現場での技術者の確保など、継続的に必要であります。教育現場、産業の現場、それぞれの取組を具体的に伺いたいと思います。文科省の方、そして経産省の方にお願いします。
政府参考人(生川浩史君)  私の方から、まず文部科学省における人材育成の取組についてお答えをさせていただきます。
 文部科学省では、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に貢献するために、大学や研究機関等における基礎、基盤的な研究開発や人材育成の取組を推進をしてきているところであります。特に人材育成については、英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業という事業の下で、令和元年度までに、原子力分野だけでなく材料や建築、土木等の多分野が横断的に連携する拠点を大学に構築する取組や、大学や高専等における廃炉に関するカリキュラムの策定及び学生実験環境を充実する取組などを支援をしてきたところであります。また、令和元年度以降は、日本原子力研究開発機構の廃炉環境国際共同研究センター、私どもCLADSというふうに言っておりますが、このCLADSと大学がクロスアポイントメントを活用した産学官連携ラボを設置をし、将来の廃炉を支える研究人材を継続的に育成する取組を推進をしてきているというところでございます。
 文部科学省としては、関係省庁等と連携を図りながら、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉を中長期的に支える基礎、基盤的な研究開発や人材育成に引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
政府参考人(新川達也君)  お答え申し上げます。
 福島第一原発につきましては、廃止措置を実施していくため、中長期的な視点で幅広い分野から人材を募り、人材の育成、確保に取り組むことが必要であると考えております。このため、原賠・廃炉機構や日本原子力研究開発機構などの関係機関とも連携協力しながら取組を進めているところでございます。
 具体的には、技術的難易度の高い課題への国の研究開発支援を通じたメーカーの研究者のチャレンジングな研究開発テーマへの支援や、研究開発成果の発信、技術者同士の交流を促進するためのシンポジウムの開催、原賠・廃炉機構と日本原子力研究開発機構の共同で、燃料デブリの性状、ロボット遠隔技術、アルファ放射性物質の取扱いなど、廃炉に関する基礎技術等の習得を目的とした廃炉人材育成研修を実施しております。また、国内外の専門家、地元の方々や学生等が集まり、関連技術動向の共有、意見交換を行う福島第一廃炉国際フォーラムを原賠・廃炉機構において開催するなどの取組を実施しているところでございます。
 福島第一原発の廃炉が着実に進んでいくよう、引き続き、文部科学省を始めとした関係省庁、関係機関の御協力をいただきながら、人材育成、確保に取り組んでまいりたいと考えております。

国際教育研究拠点について

三浦信祐君 極限環境だからこそ、新しい技術は生まれます。是非取組を進めていただきたいというふうに思います。
 福島に設置されます国際教育研究拠点について質問します。
 国際教育研究拠点は、浜通りだからこそ挑める世界的課題に取り組むことが求められます。特に、数年スパンではなく、数十年の知的な取組が必要であります。
 今後、どこが司令塔となって、長期的プランをどこが立てていくのでしょうか。震災後、これまで行われてきたエネルギー、ロボットのほか、イノベーション・コースト構想の延長線上とした国際教育研究拠点の位置付けはどうなっているのでしょうか。あえて伺いますけど、なぜ単純に延長テーマとしたのか、横山副大臣に伺いたいと思います。
副大臣(横山信一君)  国際教育研究拠点は、福島イノベーション・コースト構想における取組を踏まえ、創造的復興に不可欠な研究開発及び人材育成を行うものであります。
 これまでの分野縦割りの研究では解決が困難なもの、また、福島浜通り地域、浜通りならではという、浜通りだからこそ挑める地域の課題に対して、新たな技術、手法等を学際的に融合させて取り組むことにより、産業構造、社会システムの転換につなげることとしております。
 現在、復興庁を中心に、関係省庁が参画する体制の下で検討を行っており、今年度中には本拠点の基本構想を作成してまいります。
三浦信祐君 一つ飛ばさせていただきます。
 浜通りだからこそと言いましたけれども、世界中でここしかできないことというのはたくさんあるんです。逆に、ここじゃなきゃ、やらなきゃいけないということもいっぱいあるんです。例えば、農業の分野、そしてコミュニティーの再生、核防護、核廃棄物、先ほど来あります海洋汚染への影響、また放射線を活用した科学等、世界のほかではそうならない環境をつくるために世界は努力をしている中で、そこでしかないというのがまさに福島の浜通りの現状であります。だからこそ、多くの方々が苦労したこの地域だからこそ、抱えている課題が研究として新しくテーマ等生み出されて、そしてそれが社会に戻っていくということができるのがまさに福島のこの国際の教育研究拠点だと私は思います。
 であるならば、研究のラインナップはどうなっているのでしょうか。国際教育研究拠点の理念や取り組むべき課題の抽出はどこがどのような考え方を持って行っているのでしょうか。放射線の観点で見ますと、汚染水の放出、科学的根拠、また透明性というのは、まさにこういうところで研究して、皆さんに先頭に立って透明化、情報提供、それを世界に言っていくということが大事だというふうに私考えますけど、副大臣、いかがでしょうか。
副大臣(横山信一君)  国際教育研究拠点は、廃炉の着実な推進や環境の回復、創造等の、これまでの既存施設による分野縦割りの研究では解決が困難であった課題に取り組み、福島の創造的復興を目指すものであります。御指摘にあったとおりです。他の地域には存在し得ない課題といった点からも、委員が御指摘になった放射線科学分野等の研究テーマは非常に重要だと考えております。私自身も、先日、東大アイソトープ研を始めとする放射線科学の第一線の先生方と意見交換をさせていただいたところでもあります。また、委員御指摘のように、いわゆる文系分野についても、専門の分野の先生方と随時意見交換をさせていただいております。
 復興庁を中心に、今年度中に本拠点の基本構想を定めることとしており、引き続き、関係省庁とも連携しつつ、本拠点において取り組むべき課題と研究テーマについて検討を深めてまいります。
三浦信祐君 検討の中に是非この思いを伝えていただければと思います。
 大臣に伺います。
 身体に対する放射線防護能力の向上につながる技術進展はあったのでしょうか。また、十年経過した現在までの放射線被曝影響についての知見蓄積はどのようになっているのでしょうか。国際教育研究拠点だからこそ、身体への放射線被曝の調査、影響についての研究を実施して知見を蓄積して、福島県の皆様、ひいては世界に情報を発信していく拠点としていくことが私は大切だと考えております。
 是非、研究拠点において、この放射線防護能力の向上に対する研究であったり、また被曝の影響についてきちっと研究を進めていただくということ推進をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(平沢勝栄君)  先ほどございましたとおり、国際教育研究拠点の骨格というか、今後のどういうふうに持っていくかということについては、関係省庁の関係者が集まって今検討を進めているところでございます。
 放射線被曝影響に関する研究につきましては、これは今、福島県立医科大学などでも行われているようでございますけれども、こうした研究の知見の蓄積あるいは世界への情報発信というのは、この国際教育研究拠点の取組としては極めて重要であると考えております。
 引き続き、復興庁を中心にしまして、関係省庁や関係機関とともに検討を進めていきたいということで考えております。
三浦信祐君 大臣、是非お願いしたいと思います。
 福島の理解があってこそ伸び行く教育研究拠点になると思います。どこかから国がぽんと持ってきて何か箱物造ったなと思われてしまったら、それはもうおしまいであります。福島のレジリエンスについてのポジティブな研究だったりポジティブな技術を生み出す拠点に育てていくことが私は必要だというふうに思います。
 加えて、復興につながる研究として、被災されて多くの方が御苦労されているからこそ、繰り返しになりますが、この地域でしかない放射線医療であったり、放射線の農漁業、健康調査等をしっかりと蓄積、また調査ができるデータ化等を行うことが必要であるというふうに考えます。
 その上で、他の地域にない拠点化が図られるということにとっては、人材育成ということも同じくできるんではないかというふうに思います。
 私も県立福島高校出身で、復興大臣は私の先輩に当たります。福島の福島高校自体がスーパーサイエンスハイスクールになっております。かつ、県内では多くの高校がこの福島の未来を考えようといって、多くの若者が力を付けて福島のために頑張ろうとしている。であるならば、それ以上に国がもっと大きな目標を立てて、この福島こそが復興のあかしなんだという証明をつくっていくためには、その軸になるのが教育研究拠点というふうに私は考えております。
 是非、拠点化を図るために、大臣、御尽力をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
国務大臣(平沢勝栄君)  御指摘のとおり、国際教育拠点は世界的なものをつくるということで考えておりますけれども、当然のことながら、地域に根差したものでなければならないわけでございまして、福島県や、とりわけ浜通り市町村の大変な支えといいますか協力が必要でございまして、そして理解も、御理解も必要でございまして、そういったものをいただいた上でしっかりやっていきたいと思います。
 いずれにしましても、福島は、先ほど森委員が言われましたけど、いろんな被害を集中的に受けているわけでございまして、本当になぜ福島だけがこんなにと思うわけでございますけど、そういった悪いニュースを吹っ飛ばして明るい未来が開けるように、その一つのものとしてこの教育研究拠点が機能していただければと考えているところでございます。
 この拠点につきましては、ともかく私たち考えているのは、県民の方々や被災者の方々が恩恵を受けるものでなければならない、それから、世界中で福島にしかないという特徴もやっぱりないと、やっぱり世界の耳目を集めるというわけにはなかなかいかない、これも大事でございます。そして、日本発で世界に対して大きな効用、効果が期待できるものでなければならないと。こうすることによって、とりわけ福島の方々に大きな自信と希望を与えることができるんではないかなと思っております。
 いずれにしましても、福島や東北の方々が誇りに思えるような教育研究拠点をつくっていきたいということで考えておりますので、是非御理解と御協力をお願いしたいと思います。
三浦信祐君 シンプルに伺います。
 であるならば、人で決まります。国内の研究者、海外の研究者、第一線で活躍する方をもうしっかりと集約できるようにしなければいけません。国内、国外の具体的研究者について想定できているのか、伺いたいと思います。その上で、研究規模、また処遇、これは従前の国研と同じでは人は集まりません。そういう面ではしっかりと取り組んでいただきたいと思いますけど、考え方を伺います。
政府参考人(開出英之君)  御指摘のとおり、国際教育研究拠点につきましては優れた研究者の確保が重要であると認識しております。このため、研究機関、企業、大学等の多くの研究者から研究テーマに関するヒアリングを現在行っているところでございますが、世界のトップの人材を引き付けられるような研究環境の在り方も含めて、引き続き検討してまいります。
 また、研究者が十分に力を発揮するためには、御指摘の研究環境でありますとか組織の体制、研究者の待遇がいずれも非常に重要な課題でなってくると思います。復興庁を中心に関係省庁が参画する体制の下で事務レベルの検討を行っているところでございますが、既存の研究機関等の優れた取組や課題を分析しつつ、引き続きしっかりと検討してまいりたいと考えております。
三浦信祐君 引き続き、このテーマについては応援をしたいと思いますので、議論させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
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