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令和7年4月8日 第217回国会 参議院 外交防衛委員会 第5号

トランプ政権下の関税問題と外交方針

三浦 信祐

公明党の三浦信祐です。
JICA法改正の質疑でありますけれども、通告していないので大変恐縮ですが、大臣に一言答弁をいただきたいと思います。
今回のトランプ米政権における関税問題についてでありますけれども、当然これからパイプを強力につないでいかなければいけないと。電話会談したということは重要なことだと思いますけれども、まず、担当大臣は決まったというのが本部であったと思います。ですが、これからやはり外交面を強力に進めることが重要だと思いますけど、どのような決意で臨まれますか。

国務大臣(岩屋毅君)

今朝ほど全閣僚出席の対策会議の第一回が開催されまして、そこで総理から、全閣僚、政府一丸となってこの問題に対応するという御指示がございました。赤澤大臣が交渉担当閣僚になりましたが、当然、外務省としてはこの交渉をしっかりと支えていかなければいけないと思っております。
また、私自身も、カウンターパートである、直接の貿易政策の所掌では国務長官ありませんけれども、幅広い意味の外交の一環でございますから、引き続きしっかりと働きかけを行うとともに、外務省総力を挙げてこの措置の撤回のために様々な働きかけを行っていきたいと考えております。

三浦 信祐

総力を挙げて是非我々もバックアップしたいと思いますし、バイの会談が必要であればしっかり後押ししていかなければいけないというふうに思いますので、よろしくお願いします。
我が国が国際貢献を果たすために具体的な取組を実行されているのが外務省やJICAの皆さんだと認識をしております。今回その基本法であるJICA法を改正するに当たって、タイミングとしてなぜ今なのでしょうか。
また、日本に対する期待はこれまで海外現地視察をさせていただいて私も痛感しましたが、ODA、JICAの皆様が構築してくださってきたことをデリーメトロなどで目の当たりにしてまいりました。この友好関係を構築するということに大変大きな貢献をされてきていると改めて敬意を表したいと思います。
その上で、近年のODA無償資金協力などのニーズについては今どのような内容となっておりますでしょうか。大臣に伺います。

国務大臣(岩屋毅君)

ODAは引き続き我が国の重要な外交ツールでございます。したがって、これを一層戦略的に活用すること、そして費用対効果ということもよく考えていくことが不可欠であるというふうに思っております。
開発ニーズは非常に複雑化しております。近年経済成長を遂げている開発途上国は、高齢化ですとか大気汚染、気候変動、脱炭素化、デジタル化、我が国とも共通するような社会課題にも直面していると認識をしております。
そこで、今般のJICA法の改正は、こうした開発ニーズの複雑化や開発途上地域への民間資金の流入増大といったODAを取り巻く環境の変化を踏まえまして、民間資金動員の促進、国内外の課題解決力を有する主体との連携の強化、JICAの柔軟で効率的な財務の実現のために必要な制度改革を行おうとするものでございます。

三浦 信祐

重要な改正だというふうに十分理解できます。
その上で、我が国の経済状況、停滞している部分、また、ドナー国において我が国からの経済支援効果により経済成長過程が顕著になっている中にありまして、ODAは重要な外交ツールではあるものの、効率化を図ろうとすることは当然であると考えます。さらに、今回のいわゆるトランプ関税の影響を受けることが想定される状況下で、国民的理解も図っていかなければなりません。私は、今後も、我が国の責任と使命として、ODAの予算は削ることなくむしろ拡充する、そういう経済状況もしっかりとつくっていくべきだと考えております。財政当局にこれも訴え続けてまいりたいと思います。
その上で、無償、有償問わず、資金援助の執行について、具体的な判断、想定している効率化、案件形成の時点からの効率化を図る必要があると私は考えますけれども、どのような体制、決断、実行をしていくのでしょうか。また、現状からどのようにJICAの体制を変えていくのでしょうか。JICA理事長に伺います。

参考人(田中明彦君)

議員御指摘のとおり、ODAを取り巻く環境が変化している中で、今般のJICA法改正により、民間資金の一層の動員や無償資金協力のより迅速な実施を通じて、より効率的なODAの実施に取り組んでいくことが必要だと深く認識しております。特に、民間資金動員のために導入する信用保証や債券取得に取り組むに当たっては、リスク審査体制の強化が必要でございます。
このため、専門性を有する外部人材の活用を始め、体制強化に取り組む考えでございます。また、実績、こういう信用保証、債券取得については、実績のある国際機関等との協調や、それからまた国際機関等へのJICA職員の出向などを通して、知見の獲得を通じて適切な体制構築に努めてまいりたいと思っております。

三浦 信祐

これはしっかり進めていただかなければならないと思います。
その上で、柔軟で効率的なJICA財務を実現するための法改正として、国庫返納、他事業の充当へ可能とする内容としていると承知をしております。当然、必要な改正であります。今後もJICAとして効果的な資金協力を遂行していくために、現状の課題について伺いたいと思います。
具体的には、無償資金協力について、未執行資金である支払前資金の現状、近年の傾向はどのようになっているかというのを確認をしていかなければいけないと思います。また、コロナ感染症の影響も世界的に及んで事業執行が困難な状況にあった、また、あるプログラムというのはどのような状況でありましょうか。外務省に伺いたいと思います。

政府参考人(石月英雄君)

お答え申し上げます。
委員御指摘のいわゆる支払前資金、これは、無償資金協力の実施のために外務省がJICAに交付した資金のうち、JICAが被援助国政府への支払を行うまでの間、計画ごとに管理しているものでございます。JICAから被援助国政府等への支払につきましては計画の進捗状況に応じて行うこととなっておりまして、このため、治安情勢ですとか政変とかそういったもので計画が進捗しない場合には、支払前資金がJICAの管理下にとどめ置かれるということになります。
JICAが管理する支払前資金の額は、コロナ禍の影響を受けて、令和二年度、二〇二〇年度がピークでございまして、令和二年度末で千九百六十億円ございましたけれども、コロナ禍後の迅速な事業の実施を通じまして、財政制度審議会等での指摘も踏まえ、削減に取り組んできたところでございます。その結果として、減少傾向が続いておりまして、令和五年度末時点では千五百六十一億円となってございます。今般の法改正で導入する制度、これも活用しまして、支払前資金の更なる削減に努めてまいりたいと考えております。
なお、コロナ禍による事業への影響についてお尋ねがございましたけれども、一時遅延が生じました無償資金協力事業もコロナ禍の影響でございましたけれども、現在ではおおむね解消したものと認識しております。

ODAによるリスク引受けの限界

三浦 信祐

次に、民間では取り得ないリスクについてODAで取ること、また民間資金流入の増加を通して全体のボリュームを確保していこうという取組は重要であると思います。本改正によってリスクを取ることができるように提案なされていると理解しています。
そこで、伺いたいと思います。リスク引受けによるリスク、これはどこまで許容するのでしょうか。予測が難しい案件こそリスクの度合いが高いと考えられる中、整理しておく必要があると思います。先ほどありましたけれども、人材、目利きというのがとても重要になると思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(石月英雄君)

お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、体制整備、人材育成、人材の採用等々、専門的な知見を有する人材の育成及び、あと知見の取得、これがまず非常に重要だと考えております。
その上で、民間資金動員の促進に係る新業務に取り組むに当たってはリスクを適切に評価していくことが重要と考えておりまして、当該リスクに見合った保証料、また債券利回り、こういったものを設定しまして、既存の海外投融資事業と同様に、業務全体として利回りが事業リスク等を上回るように運用する、これによってJICA業務全体の健全性を確保していく、このように考えてございます。

三浦 信祐

ここはしっかりやっていただかなきゃいけないと思いますが。
今回の米国発の関税措置のように、急激に世界経済への悪影響が及ぶような場合もございます。経済市場でのリスク変動に伴って、民間資金動員の促進に際し、JICAが請け負う信用保証への負担が増大することも想定しておかなければなりません。
JICAのオペレーションと経済激変リスクについてどう考えているのでしょうか。JICAに伺いたいと思います。

参考人(田中明彦君)

JICA事業は、全ての事業、この経済情勢含めて、リスク関係を常に注視していかなければいけないと思っておりますけれども、特に今回、信用保証業務を始めさせていただくということでありますので、常に注意深く情報収集を行いつつ、適切に対応していかなければいけないと思っております。
また、この信用保証業務に係るリスクを軽減するためとしましては、原則として、当面は国際開発金融機関等と協調して信用保証業務に取り組んでいくことでリスクをシェアするということを想定しております。また、海外投融資業務全体としてリスクが吸収できるように、新業務の規模感を慎重に管理していく考えでございます。

三浦 信祐

まず、情報収集をしっかり外務省ともよく連携取っていただくこと、そしてボリュームマネジメント、極めて重要でありますので、慎重に対応するところも、それも勇気が必要なことでありますが、是非そのように対応していただきたいというふうに思います。
JICA、日本政府が被援助国政府との国際約束を行えば、JICAを通じて民間企業に迅速に無償資金協力の直接支払ができるようにするというのが本改正でも規定をされるというところであります。
この内容についてですが、どの程度の規模が想定されているのでしょうか。

政府参考人(石月英雄君)

お答え申し上げます。
無償資金協力におきまして、従来の支払方法とするか、すなわち相手国政府に一回お金が行ってから流れる形にするか、今般の法改正で導入する民間企業への直接支払という形を取るか、これについては、案件ごとに被援助国政府と協議をする必要がございまして、そうした協議を経て決定していくこととなります。そういうことでございますので、現時点においてその特定の規模感というものが想定されているということではございません。
いずれにしましても、世の中のスピードに対応する上でも、無償資金協力事業の迅速化、これ非常に重要だと考えておりまして、外務省としましても、被援助国政府との対話を重ねつつ、無償資金協力の最適な方法、これを選択してまいりたいと考えているところでございます。

三浦 信祐

やはり世界の中でのこの迅速化、そしてコミュニケーションを日頃からよく取っておくということは重要であります。是非そういう取組を加速をしていただきたいというふうに思います。規模感については、当然個別案件だということは十分理解できますので、それが国民にも理解できるような内容で、説明責任もしっかりと果たしていただきたいと思います。
我が国の民間企業が開発途上国との間で現地でのビジネス案件構築に当たって、先方国は比較的容易にいわゆる政府保証を付けて交渉を進展させるケースがあります。また、その際、我が国からも政府保証が欲しいと言われるケースもあり得ます。私も、実はそれ、こういうような相談を受けたことがございます。事業の失敗等を想定した保証を求めているのではなくて、プロジェクトを推進する際にいわゆる政府のお墨付きが欲しいとのレベルであります。
JICAが関わる、あるいは両政府間での、両国政府間での合意の場合には、政府保証等の議論すら当然必要はないものであります。しかし、民間ベースでプロジェクトとして進展するケースが当然今後増えてくる可能性も十分想定されます。後から両国間の関係の内容に昇華するような場合も想定される中で、その受皿が存在していないのが我が国の現状であります。具体的には、我が国では、経産省の視点でいえば、貿易保険の話につながって責任の所在等々細かな話になってしまう。では、内閣官房も含めた内閣がバックアップするのかといえば、その機能というのは余りないんではないかと。外務省かといえば、そのスキームもあり得ません。
今後、世界の中でアジア諸国やグローバルサウスとの関係を強固にしていくに当たって、民間交流や民間プロジェクトの成案化していくという、そういう活発化が確実に進んでいくときにはこのような対応というのが必要であり、そういう場合も想定していかなければいけないんではないかというふうに問題意識を持っております。
今後、いわゆる政府としてのお墨付きのリクエストについて、我が国ではどの省庁が判断し決定するのかが課題となります。この課題認識について、外務大臣に御見解を伺いたいというふうに思います。

国務大臣(岩屋毅君)

政府による日本企業の海外展開支援は極めて重要だと考えております。特に事業リスクの高い途上国に進出する日本企業に対しては、政府によるサポートの重要性は言うまでもないと思います。委員の御指摘もそういった問題意識によるものと理解をいたします。
政府の取組としては、なかなか、そのお墨付きというのを制度化するというのはなかなか難しいところがあると思いますけれども、例えばあらゆる外交シーン、首脳会談、外相会談、様々ありますが、そういう機会におけるトップセールスということも考えられると思います。私も、日本企業の優れた技術についてはそういう会談の折にできるだけアピールするようにしております。
そして、外務省としては、何といっても二百を超える在外公館ですね、このアセットを活用するということが大事だと思っておりまして、各公館に日本企業支援窓口を設けるとともに、それぞれの公館を使って、日本企業のビジネス活動に資するイベントなどを精力的に展開をしているところでございます。
今後も、何が最も効果的かということを検討して、きめ細かい支援に全力で取り組んでいきたいと思います。

三浦 信祐

クリアに答えていただいてありがとうございます。是非、在外公館が頼りになるケースもあり、そしてそういう機会を、大臣にもしっかりと共有していただけるような機会があれば、まさにいろんなことで即断できるような国家との競争にも打ち勝っていけるんではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

バングラデシュ空港プロジェクトへの期待

三浦 信祐

最後に、バングラデシュに対するODA、JICAによる支援をしているうちの一つである発展する首都ダッカの国際空港の第三ターミナル、第一期から第三期まで借款を供与していることによって、バングラデシュの発展への寄与度は極めて大きい支援だというふうに思います。現地も視察させていただきました。一方で、首都空港の建設事業に携わることができる機会というのはめったになく、我が国にとって、また事業者、建設に従事されている方にとって極めて貴重な知見を得ることだと私は確信をしております。
その上で、これまで、このような大型プロジェクトでは、各国支援としてハード面、今回でいえばターミナル建設が主体でありました。しかし、今回は、優先的にハズラット・シャージャラール国際空港の運営、維持管理に日本企業が参画する予定であること、空港運営人材に対する技術移転への期待もバングラデシュからなされてきております。
空港運営は、世界が競い合い、ノウハウを積み上げている中、我が国への期待が寄せられている機会を必ず逃してはいけないと思います。ユヌス暫定政権下でもバングラデシュの発展を支えることになり、FOIPの推進への取組においても極めて重要な案件だと思います。外務省始め政府内で協力し、JICAも最後まで支援して実現を図っていただきたいと思います。
現在の状況、そして大臣の認識について伺います。

国務大臣(岩屋毅君)

委員御指摘のとおりだと考えております。バングラデシュは、南西アジアの戦略的要衝に位置しておりますし、自由で開かれたインド太平洋のための重要なパートナーでございます。
我が国の強みは、今御指摘ありましたように、インフラ建設といったハードだけではなくて、技術移転を伴う人材育成でありますとか、日本企業の知見、ノウハウを生かした施設の運営といったソフト面のODAを民間投資等も組み合わせた総合的な支援ができるという点だと思います。このハズラット・シャージャラール、なかなか読みにくいんですが、ダッカ国際空港に係る支援はその好事例だと思っております。
政府としては、今後とも、こうした取組を積極的に推進して、バングラデシュを含む各国における我が国のプレゼンスをしっかり確保してまいりたいと思います。

三浦 信祐

まさにこのバングラデシュの成功をしっかりすることができれば、ほかのODAの活用にも知見が得られるというふうに思います。是非これ総力を挙げて、相手国のことを思ってやってきたODAだからこそ、是非推進をお願いをしたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。