第211回国会 参議院 決算委員会 第5号 令和5年4月17日
トラック運送業2024問題
三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。
まず、質問に際しまして、理事の先生方、そして委員長に御理解、御尽力を賜りましてこのような機会を頂戴しましたこと、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
まず、大臣に要望させていただきたいと思います。
横浜港の機能強化へ、横浜港の埋立てが進んでおります。埋立ては、リニア中央新幹線からの土砂も、工事から出たものを使っているというふうに伺っております。リニア工事は、まさに港湾との連携の部分でも重要な役割を担っております。財政投融資も入れているわけでありますから、工事が円滑に進むように、リニアの支障、そして懸案事項へ是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
その上で、港ができ上がって、物を運んでいただくのは運送業の皆さんであります。トラック運送業界の二〇二四年問題について質問をさせていただきます。
働き方改革関連法案によって、労働基準法第三十六条の、自動車運転業務の時間外の労働上限規制として年九百六十時間の適用が二〇二四年の四月一日から開始されます。トラックドライバーの時間外労働の上限規制が発動されるということになります。そうしますと、以下の問題が惹起されます。一つ目には、運送業や物流事業者の売上げと利益の減少、二つ目に、ドライバーの労働時間減少による収入減少が生じることであります。
大臣に伺いたいと思います。
トラック運送業界二〇二四年問題について、先般、参議院予算委員会で公明党の宮崎議員から質問をして、総理指示による会議体が設置され、政府が動き出しました。会議の意義と目的について伺います。
国務大臣(斉藤鉄夫君)
トラックドライバーに対して時間外労働の上限規制が適用され、何も対策を講じないと物流の停滞が懸念されるといういわゆる二〇二四年問題の解決に向けまして迅速に対応する必要がございます。
このような認識の下、先月三十一日に、我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議が設置、開催されました。この会議は、二〇二四年問題の解決に向け、荷主、事業者、一般消費者が一体となって、我が国の物流を支える環境整備について、関係行政機関の緊密な連携の下、政府一体となって総合的な検討を行うことを目的としております。
物流を停滞させないためにはスピード感を持って抜本的かつ総合的な対策を実施していく必要があり、今回の会議は大変重要なものであると、このように認識しております。
先月の会議では、岸田総理より、六月上旬を目途に抜本的、総合的な対策を政策パッケージとして取りまとめるよう指示があったところでございまして、国土交通省としても、関係省庁と閣僚レベルで緊密に連携してしっかりと対応していきたいと思います。
三浦信祐君
令和二年の四月二十四日、標準的な運賃の告示がなされました。これまでトラック業界の皆様からも以前廃止されたこの基準の復活の強い求めもありまして、私も党内の議論に参画して国交省の皆さんとの意見を重ねてまいりました。
標準的な運賃告示により、運送事業者が荷主企業との運賃交渉が本格化する予定でした。しかし、新型コロナの感染拡大、物価高騰等によって経済活動が激変する中、告示を活用した交渉も道半ばの状況であります。
配付させていただきました資料は、国交省が発表した標準的な運賃告示に基づいて二〇二〇年の大型車距離別運賃表を作成をさせていただきました。距離の加算によって運賃も加算されていくのが分かります。加えて、運賃基準は地域によって異なっておりますが、地域の実勢に準拠しております。
さて、この基準にのっとって荷主の方から運賃がどの程度支払われているのか、関東に本社を置く運送事業者の方に伺ってきました。生活者にとって身近で欠かせない同様の種類の商品で、異なる五社の荷物を運んだ二〇一九年の実績はどうだったのか。対標準運賃比率で、仮定をするためにA、B、C、D、Eと言いますけれども、A社ではこの比率で約六〇%、B社では約四九%、CとD社では約四四%、そしてE社に至っては約四〇%という衝撃的なデータを実際に見せていただきました。衝撃過ぎて、本来ならこの資料に同列に掲載して資料にしようと思いましたけれども、とても堪えられるものじゃありませんでしたので、はばかられたので、ここだけにしてあります。
その社長さんは、会社の経営は大変厳しい、赤字だ、だが、ドライバーは一人たりとも解雇しないと断固たる決意を示されておりました。その上で、荷主に対し、もう運びませんと告げて初めて、では幾らならやりますかとの交渉が始まったとの、これが実態だと訴えられました。
社長さんが荷主に運ばないと言うことは、想像に絶するあらゆる覚悟を持って発言をしたと思います。しかし、多くの運送事業者は涙をのんでいるのが社会の実態であると私は思います。
大臣、このような実態をほっとくわけにはいかないではありませんか。標準的な運賃告示から余りにも乖離している現実は絶対に変えなければなりません。このデータ、結果、そしてこのような社長の覚悟のことも含めて、斉藤大臣の御意見を伺います。
国務大臣(斉藤鉄夫君)
標準的な運賃制度を創設をいたしまして、この表を見ながら運賃交渉していただきたいということで、我々もその周知徹底、浸透を図っているところでございますけれども、先ほど三浦委員から御紹介あったような事例を聞きますと、本当に、私も本当に現状の厳しさを感じるところでございます。
国土交通省としても、適正な取引を阻害する疑いのある荷主等に対しては働きかけや要請などの措置を講じてまいります。運送事業者の皆様には、標準的な運賃を活用し、荷主等との運賃交渉を積極的に臨んでいただきたいと考えておりますが、今後とも、関係省庁、産業界と緊密に連携し、適正な運賃の収受が図られるよう努めてまいりたいと思います。先ほどの関係閣僚会議等でもこの点をしっかり議論をしていきたいと思います。
三浦信祐君
物品が届くのは誰かの努力ではなく誰かの犠牲で成り立っているような現状は改善しなければいけないと思います。民間と民間との契約だからと言っている場合ではありません。
運送事業者さんに対標準運賃比を調査すること、また、その結果に基づいて、厳しい運賃設定事業者への指示まで踏み込んでいただけるように覚悟を決めて取り組んでいただきたいと思いますが、国土交通省、いかがでしょうか。
政府参考人(堀内丈太郎君)
お答え申し上げます。
まず、標準的な運賃の実態の把握につきましては、令和三年度末に国土交通省が実施しましたアンケート調査では、約半数の事業者が標準的な運賃を用いて運賃交渉を行ったとの結果は出ております。一方で、標準的な運賃を用いた交渉の結果、荷主から一定の理解を得られたのはこのうち約三割にとどまったとの結果も出ております。
こうした状況を踏まえて、国土交通省としては、引き続き、標準的な運賃の活用に向けて、荷主などへの理解と協力、これをかなり頻繁に呼びかけをしております。そして、運送事業者の御意見伺いながら実態把握に努め、必要に応じて、先ほど大臣申し上げましたような、荷主等への働きかけ、要請など、措置を講じているところでございます。そして、荷主団体もメンバーとする取引環境・労働時間改善のための協議会、こういった協議会ございます。こういった機会も通じまして、荷主などに対して適正な運賃の収受、これに対する理解と協力を呼びかけております。
そしてさらに、これまで以上に関係省庁、産業界と緊密に連携して、適正な運賃の収受が図られるよう努めてまいります。
三浦信祐君
これは本当に現場の期待が大きいですから、大臣、よく取り組んでいただけるよう指示もしていただきたいと思います。
荷主側に労働時間違反となる原因行為がある場合に、運送事業者等の情報に基づき国が荷主に対して是正措置を求める荷主対策の深度化が、時間外上限規制の適用となる二〇二四年三月末までの時限措置として行われていると承知をしております。
トラックドライバーの現場で早急に改善を図るべき項目の一つに、長時間の待ち時間、荷待ちがあります。荷主対策の深度化も、また標準運賃告示も、日本の最たる生活インフラを担う運送業界を守るための役割は道半ばであります。令和六年三月末まででは標準化は図られないと私は強く考えております。国の強力な後押しが必須であり、時限措置の延長をしていただきたいと思います。
斉藤大臣、是非決断をしていただけませんでしょうか。
国務大臣(斉藤鉄夫君)
貨物自動車運送事業法に基づく荷主対策の深度化と、深度化という言葉を使っております、や標準的な運賃は、平成三十年の議員立法によりまして、来年四月に、二〇二四年四月にトラックドライバーに対する時間外労働規制が適用されるまでの間の時限措置として創設された制度でございます。
これに基づき、国土交通省としては、先ほど申し上げた取組を通じて一定の成果を上げているところでございますが、いまだ荷主側の事情による長時間の荷待ちや、運賃、料金の不当な据置き等が十分には解消されておりません。そのため、引き続き荷主対策の深度化や標準的な運賃に関する取組を行っていく必要があると、このように考えております。
国土交通省としては、時限措置の延長等の所要の措置について、関係者の声も伺いながら議論を深めてまいります。検討させていただきます。
三浦信祐君
検討できるという言葉は国民の皆さんの生活を守るということにも直結しますし、業界の皆さんにとっても、今本当に希望を持っていただいていると思います。これは社会全体の問題ですから、是非リーダーシップを張っていただいて結果を出していただきたいと思います。よろしくお願いします。
建設業では、物価高騰に対応できる物価スライド条項が適用され、先ほど上田委員からもありましたけれども、運用されております。運送業においても、標準的な運賃の告示に反映して、現下の物価高騰に伴うコスト転嫁ができるようにすべきだと私は考えます。適正運賃が収受できていない中、価格転嫁されなければ経営が成り立たなくなります。検討の上、導入すべきであります。
加えて、制度をつくり整えても、現場に伝わらなければ意味を成しません。荷主の側の理解も必ず必要であります。実効性まで確保していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(堀内丈太郎君)
お答えいたします。
トラック運送業は中小企業が大変多く、荷主などに対する交渉力が大変弱いという状況にありますことから、安定的な物流を確保するためには、価格転嫁を進めることができる環境を整備することが重要と認識しております。
政府におきましては、トラック運送業も含めて、適正な価格転嫁を進めていくために、令和三年末に、関係省庁が連携して、転嫁円滑化施策パッケージを取りまとめたところでございます。また、本年三月一日には、荷主との運賃交渉を更に促進し、現下の燃料費の上昇を踏まえた適切な価格転嫁が可能となる環境を整備することを目的に、従来、標準的な運賃の告示の解釈通達として位置付けられていた燃料サーチャージの算出方法等、これを告示することによって広く周知を行ったところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁、産業界と緊密に連携し、価格転嫁の推進に向けた取組を進めてまいります。
三浦信祐君
是非進めていただきたいと思います。
適正価格転嫁ができない運賃では、トラックドライバーの確保の困難さが深刻となり、令和六年四月以降の輸送力確保は極めて難しくなるというのは既に御案内のとおりだと思います。
資料二番目を御覧いただきたいと思います。厚労省の賃金構造基本統計調査により作成した公明新聞からの記事を引用した資料であります。
トラック運転手の年間労働時間は全産業平均よりも約二割長い一方で、年間所得額は全産業平均より約一割低くなっております。有効求人倍率は全産業平均の約二倍、トラックドライバーが集まらないのは労働条件の厳しさに理由があります。
大臣、これでは持続可能性はありません。我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議で、総合的な対策の取りまとめに、ドライバー確保対策、価格転嫁対策について具体的に実効性ある内容を盛り込み、実行していただきたいと思いますけれども、大臣、決意を伺います。
国務大臣(斉藤鉄夫君)
労働時間が長く賃金が低いと、これがもう最大の課題でございます。荷待ち時間の削減や適正運賃の収受等により労働条件を改善することが急務でございます。
先月の関係閣僚会議における岸田総理からの指示を受けまして、現在、荷主・物流事業者間、また物流事業者間同士の間における商慣行の見直し、荷待ち時間、待っておれというような商慣行をなくしていこうと、それから、物流の標準化やDX、GX等による効率化の推進、それから、荷主企業やそれから消費者の行動変容、一回の配達で済むように、そういう我々消費者の行動変容を促す仕組みも必要でございます。これについて今検討を進めております。
国土交通省としては、御指摘のドライバー確保対策、価格転嫁対策を含めて、六月上旬を目途に取りまとめる政策パッケージに実効性のある具体策を盛り込めるよう、スピード感を持って関係省庁と議論を深めてまいりたいと思います。
三浦信祐君
具体的にお願いしたいと思います。
公正取引委員会でのパートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージに基づき、適切なコスト転嫁した運賃収受ができるよう、問題ある業界への調査、指導に取り組んでいると承知をしております。特に、価格交渉の場で明示的に協議することなく価格据置き、コスト上昇による取引価格引上げを求めたにもかかわらず、理由を書面等で示さず据え置くことへの指導を強化していることも承知をしております。
現状、トラック業における本案件での指導件数とその後の結果、この取組の効果と今後の取組について公正取引委員会に伺います。
政府参考人(品川武君)
お答えを申し上げます。
公正取引委員会では、昨年来、中小企業等が労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分を適切に転嫁できるようにし、賃金引上げの環境を整備するために、従来にない取組を進めてまいっております。
昨年、優越的地位の濫用に関する緊急調査というのを行いまして、問題につながるおそれのある行為が認められた四千三十名に注意喚起の文書を送付したところでございますけれども、このうち道路貨物運送事業者は二百七十八名を占めてございます。また、多数の取引先に対して協議を経ない取引価格の据置きが認められた十三名の事業者名を公表したところでございますが、このうち道路貨物運送事業者は五名を占めているという状況でございます。
一方で、こうした取組を受けまして、本年一月、日本経済団体連合会など経済三団体が、受注者側のコスト上昇分について積極的に価格協議に応じ、取引価格に反映する取組等を傘下の企業に要請をしたということでございまして、こういった動きが出てまいっているというふうに承知をしております。
このような経済界の動きも踏まえつつ、更なる取組といたしまして、発注者から積極的に価格転嫁に向けた協議の場を設けていくということが重要である旨を引き続き周知徹底するとともに、今後、昨年の緊急調査を上回る規模での新たな調査を開始することとしております。この新たな調査におきましては、注意喚起文書の送付や事業者名公表の対象となった企業の取組状況のフォローアップを行うとともに、労務費の円滑な転嫁という観点も重視をして調査を進めたいと考えてございます。
この方針につきましては、価格交渉促進月間が始まりました三月一日に令和五年アクションプランとして公表をいたしましたほか、三月十五日には、道路貨物運送業を含む全国約千六百の関係事業者団体に対しまして、公正取引委員会委員長名、委員長の名前による文書で、発注者から積極的に価格転嫁に向けた協議の場を設けていくということが重要である旨の考え方を周知、新たな調査やフォローアップへの協力について要請を行ったところでございます。
公正取引委員会といたしましては、引き続き、独占禁止法や下請法に違反する事案につきましては、これに厳正に対処をするとともに、関係省庁とも緊密に連携をしながら、労務費の上昇分も含めて適切な価格転嫁が可能となる取引環境の実現を図ってまいりたいと考えております。
三浦信祐君
公正取引委員会の役割としては極めて重要だと思いますので、しっかり進めていただきたいと思います。
トラックの高速道路時速八十キロメートル規制の解除に取り組むことで、労働時間の短縮、効率性向上が図れることは間違いないと思います。夜間の高速道路では、トラックのリミッターが時速九十キロでありますから、追い越そうにも時間が掛かって並走している光景が常態化しております。その間に乗用車が挟まると、渋滞や混雑、危険性もはらんでいるというのも、これも事実であります。規制緩和に是非取り組んでいただきたいと思います。
あわせて、リミッターを設けたのは、当然、事故が多発したその対策であったことは承知をしております。安全性の確保は不可欠であり、大型自動車の安全性の向上、特に追突防止技術装備等への取組を徹して実施することを併せて取り組むことを求めたいと思います。
斉藤大臣、是非、関係閣僚会議で、取りまとめの中で方向性をしっかりと出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(斉藤鉄夫君)
トラックの速度規制の見直し、これは労働時間の短縮、物流の効率化に資します。一方、道路交通の安全確保は大前提でございます。大型車については、その大きさ、重さにより、一たび事故が起こった場合、大きな被害が出る可能性が高いことから、こういった事情を踏まえて検討する必要がございます。
それから、技術的なお話もございました。
国土交通省としては、車両安全対策の観点から、これまでも国際基準調和を図りながら車両に関する基準の整備強化を行っておりまして、例えば衝突被害軽減ブレーキについては、令和十年九月から全ての新車の大型車に最新の国際基準に適合した装置を装備することを求めることとしました。こういうこととのバランスを考えながら議論を進めていきたいと思っております。
速度規制そのものは国土交通省の所管ではありませんが、車両の安全装置に関するデータを提供するなど、政府内における検討に最大限協力するとともに、速度規制以外にも、トラックドライバーの労働時間の短縮や物流の効率化に向け、国土交通省で実施可能な対策についてしっかりと取り組んでまいる決意です。
三浦信祐君
自動運転化ということで道路の整備も変わってくると思いますから、そのことを先んじて整えていくということも重要だと思いますので、トラックドライバーの視点から是非検討していただきたいと思います。
トラックドライバーの休憩場所となる高速道路のサービスエリア、パーキングエリアのトラック休憩ブースの整備強化を図る取組を積極的かつ確実に進めていただきたいと思いますし、また進めてきていることも理解をしております。
一方で、高速道路だけで駐車スペースを吸収できる状況ではないというのが私の実感でもあります。ETC二・〇の時代でもあり、スマートインターも全国に整備も進んでいることも考慮すれば、高速道路以外の駐車スペース等の連携、活用を図ることはできると思います。高速道路以外の駐車スペース活用に取り組んではいかがでしょうか。国交省に伺います。
政府参考人(丹羽克彦君)
お答え申し上げます。
高速道路の休憩施設における大型車用の駐車升の拡充につきましては、トラックドライバーの労働環境改善の観点から大変重要だというふうに思っております。
NEXCO三社におきましては、二〇一八年度からサービスエリアなどの休憩施設の大型車用駐車升の拡充を進めておりまして、二〇一八年から二〇二二年度までで約三千台分を整備いたしまして、現時点におきまして、全国で約三万台分の駐車升を確保しているところでございます。今後、二〇二四年度までの二年間で更に約一千百台分の駐車升の整備を予定しているところでございます。
また、既存のこの休憩施設の用地には限りがございますので、駐車場の立体化などの工夫に加えまして、委員御指摘のこの高速道路外のインターチェンジ周辺の駐車場の利用などについても取り組んでいくこととしております。
国土交通省といたしましては、今後とも、高速道路会社と連携して駐車スペースの拡充に取り組んでまいりたいと考えております。
ドローン対応について
三浦信祐君
とても大切なことですので、是非具体化を急ぎやっていただきたいと思います。
日本におけるドローン行政について伺います。
現場で生じている課題についてですけれども、ドローン技能証明については、二〇二二年の十二月以前の法改正前後で現場の負担が激変をしております。
航空局ホームページ掲載団体としてドローン教育に当たってきた教官、当該団体資格認定者が改めて登録講習機関で講習と受講、技能審査を受けることは大きな負担となっているという声がたくさんあります。
さらに、有人航空機の技能証明は、海外で取得した場合には、ICAOの規定で、我が国の航空局の技能証明に書換えが可能となっております。
アメリカのFAAのUAVのライセンスは日本より正直はるかに進んでおり、高い能力を有しています。所有者が改めて日本の講習、技能審査を受ける制度について検討の余地があるんではないかなと思いますけれども、斉藤大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(斉藤鉄夫君)
ドローンの技能証明につきましては、国際的な標準がないことから、日本の技能証明を交付する場合には、日本の当局が必要な知識や技能を有しているか否かについて確認する必要がございます。
このうち技能については、登録講習機関における講習時間について、経験者は大幅な減免を可能としておりまして、民間ライセンスや海外当局の発行するドローンの操縦ライセンスを保有する者もその対象として負担の軽減を図っております。
特に、海外ライセンスについては、ドローンに関する国際的な標準化の議論が始まろうとしているところでございまして、今後具体化されてくる内容を踏まえつつ、更なる負担の軽減に向けて検討を進めてまいります。
三浦信祐君
これ、大変希望を持てるお話だと思いますので、是非お願いしたいと思います。
二つ飛ばさせていただきます。運航管理について伺います。
これまで、二〇二〇年の六月にも、国土交通委員会にて、自律した自動操縦と手動操作機が混在することでのドローン同士の衝突リスク、あるいはドローンと有人機との衝突リスクを回避、防止するために、運航管理システム、UTMの確立及び飛行情報の管理が必要だと訴えまして、しっかりと検討してまいりたいと答弁がありました。
いよいよレベル4であります。運航機数、運航頻度の増加によって、コンフリクト回避が必須であります。レベル4の航空管制システムについて、技術的な問題はあるとしても、例えば有人飛行機で採用されているADS―Bなどの導入などの検討が必要だと思います。
質疑にてリモートIDの導入を指示していくとの答弁もありました。今後、UTM、無人機の航空管制などはどう制度化されていくのでしょうか。
政府参考人(久保田雅晴君)
お答えをいたします。
ドローンにつきましては、先月、三月二十四日に、東京都の奥多摩におきまして国内初のレベル4の飛行が行われたところでございまして、今後は、都市部でのレベル4飛行や、また運航頻度の増加というものが想定されるわけでございます。
今後、こうした増加していくであろうドローンの安全運航を確保していくためには、複数の無人航空機、ドローンの飛行計画や飛行状況、地図、気象情報などを集約、共有化して安全な空域の活用を可能にする、委員御指摘の運航管理システムが必要になると認識をしてございます。
このシステムにつきましては、昨年八月、官民協議会で策定されましたドローンのロードマップ二〇二二にも記載をされておるところでございまして、段階的な制度整備によりまして、運航形態の高度化、空域の高密度化を実現することとされております。
国土交通省といたしましては、このロードマップに基づいて、今年度中に運航管理システムに係る制度整備の方針を策定したいと考えておるところでございます。
三浦信祐君
最後に、簡単に伺います。
今回の二〇二二年十二月の法改正において、ドローン操縦士の教官、技能審査に安全に関するクルー・リソース・マネジメント、これが導入されたことは大変評価できます。しかし、まだまだ不十分だというふうに私は思います。
是非、有人機でのクルー・リソース・マネジメントの概念を取り入れた安全教育実施してきた人材、組織などを登用して、ドローンでもこの安全の教育がしっかりできる体制を整えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(久保田雅晴君)
委員御指摘の安全に関しますクルー・リソース・マネジメント、この方法を取り入れることは極めて重要でございます。CRMと頭文字を取って言っておりますけれども、この知識を講習におきまして着実に習得をしていただくということが極めて重要でございます。
有人航空機の操縦士を教官としてこのCRM教育を実施している団体ときっちり連携をして、登録機関、講習機関におきます講習の質、これの向上に努めてまいりたいというふうに考えます。
以上でございます。
三浦信祐君
以上です。ありがとうございました。