決算委員会(2021年4月12日)

日中外相会談の結果について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 先日行われました日中外相電話会談について伺います。
 今回の日中外相電話会談が開催されることとなった経緯、そして議論の結果はどのようなものだったのでしょうか。諸懸案事項の議論は当然だとは思いますけれども、特に経済的視点における生産的な議論はあったのでしょうか。茂木大臣に伺います。
国務大臣(茂木敏充君)  三浦委員の御質問にお答えする前に、多分、伊藤議員、最後に締めの言葉、何かお話しになりたかったんじゃないかなと思っておりますけど、私の発言が長かったために、せっかく、何というか、心の中にこの言葉で決めてやろうという形でいたのがその機会を失ってしまったこと、改めておわびを申し上げたいと思っております。
 四月の五日に、午後六時からでありますけど、一時間半にわたって王毅国務委員と電話会談行いました。率直に申し上げて、予定時間よりかなり長くなったんですけれど、率直で中身のある議論を行うことができました。
 会談では、日中両国が共に責任ある大国として地域、国際社会に貢献していくことの重要性を確認しまして、来年の日中国交正常化五十周年に向けて幅広い分野で交流、対話が進むことへの期待を表明したところであります。
 私からは、改めて、中国海警によります尖閣領海への侵入、中国海警法、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区の人権状況等について深刻な懸念と伝達をし、具体的な行動を強く求めました。また、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃、改めて求めたところであります。
 さらに、日中経済関係、そして北朝鮮、ミャンマーといった地域情勢、新型コロナ、気候変動等の国際社会の課題についても率直な意見交換行うことができたと思っております。
三浦信祐君 日中間の懸案事項である安全保障上の関係性から、言うべきことは言い続けていくのが必要であります。今、国交正常化五十年ということも触れていただきましたが、毎日とは言いませんけれども、連日、尖閣諸島に中国海警が出てくるということを見て、国民が納得ができるという状況にはならない。これを何としても取り除いていくことが絶対大事だというふうに私は思っております。
 事実の上で経済等の関係性は極めて重要な隣国であることは間違いありません。そのことも踏まえた上で、国内のサプライチェーンの強靱化、複線化を図ることも重要であり、政府・与党として政策を確実に進めていると私自身も承知をしております。
 どんな課題があろうとも、今後、両国の外相会談は回数を重ね、時には強いメッセージの応酬があったとしても、従前を超えるコミュニケーションを図って、何度でも対話を重ねていくことが、結果として両国の国民、ひいては世界の皆さんに利益にかなうことと考えます。
 歴史に残るほど徹底的に、茂木大臣、外相会談を重ねていただきたいと思いますけれども、御決意を伺います。
国務大臣(茂木敏充君)  元々、日中国交正常化、なかなか日中間でコミュニケーションが取れない中で、当時の公明党の竹入委員長を始め様々な活動をしていただいた、こういう対話があって初めてできたものだと思っております。そういう先輩たちの努力、こういったものを基礎にしまして、更に外相レベルを含め対話というのを継続してまいりたいと考えております。

ミサイル防衛体制について

三浦信祐君 大臣、やはりコミュニケーションを取ることが欠落をして安全保障上のエスカレートを避けるということは、政治がしっかりとやらなければいけないことであります。重ねて、茂木大臣には、是非外相会談重ねていただきたいということを強くお願いをさせていただきたいと思います。
 ミサイル防衛体制について伺います。
 イージス・アショア導入を断念した現下の状況で、国民の生命と財産を守るために必要なBMDを含めた防空体制を確実な状態としていくのは当然であります。防衛省・自衛隊の皆様は何とかやりくりをされていると承知をしておりますが、二十四時間三百六十五日、BMDを含めた防空体制確立に対するタイムラグと、発生する防空体制上の変化について整理をしていただきたいと思います。
 岸大臣、答弁を通して国民の皆様に的確な情報を届けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  イージスシステム搭載艦につきましては、現在、運用構想等々を関係者を交えて検討をしているところでございますが、可能な限り早い、早期に運用を開始できるように検討を進めてまいりたいと思います。その上で、先月イージス艦の「はぐろ」が就役をいたしました。これはイージス艦の八隻体制の最後のところで、完成をしたというところでございます。
 全国の高射隊のPAC3についても、昨年からMSE化改修による能力向上を順次進めております。BMDを含めて、総合ミサイル防空能力の強化に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
 防衛省としては、引き続き、シューターやセンサーの能力向上や、それらをネットワーク化することによって総合ミサイル防衛能力の強化に不断に取り組んでまいります。
三浦信祐君 ありがとうございます。
 そもそも、ミサイルが発射されるリスクを回避していくための外交努力が最も重要であります。特に、北朝鮮に対する明確な対応、同盟諸国を始めとした積極的な外交をこれまで以上に展開をしていくことがこの極東アジアにおける平和と安定に直結すると思います。
 茂木大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(茂木敏充君)  北朝鮮の弾道ミサイル、金属工学が御専門の三浦先生は私よりよく御存じかもしれませんが、能力は向上しておりまして、ミサイル発射に際してはこれまでも日米、日米韓で緊密に連携して対応してきております。また、北朝鮮に対して、そのたびごとに厳重に抗議を行ってきているところであります。
 我が国として、安保理決議に従って、北朝鮮によります全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄、いわゆるCVIDを求めていく方針に変わりはありません。先般の日米2プラス2でも、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメント、再確認するとともに、北朝鮮に対して国連安保理決議の下での義務に従うことを求めたところであります。
 北朝鮮への対応、かつては対話と圧力と、いろんな言い方もあったわけでありますが、外交面での取組、極めて重要だと考えておりまして、日米、日米韓三か国で緊密に連携しながら、当然、影響力を持っている中国、そしてロシアを含みます国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進めて北朝鮮の非核化を目指してまいりたいと考えております。
三浦信祐君 ありがとうございます。
 昨年の決算委員会での議論を受けまして、防衛省は、イージス・アショアに係る埋没費用を正確に把握し、可能な限り低減させるように日米間で十分協議をすることと国会から求められております。
 現状の結果について、岸大臣に伺います。
国務大臣(岸信夫君)  昨年の七月七日の決議でございますが、今委員からもお話がございました。今年の四月七日の当委員会におきまして、麻生財務大臣から、イージス・アショアに関し締結した契約に係る経費について、本決議の趣旨を踏まえ、可能な限り低減させるよう日米間で十分協議していく旨を御説明させていただいたところでございます。
 三月末の時点におきまして、イージス・アショアとして既に支払った額は二百七十七億円となっているところですが、昨年末の閣議決定によってイージス・アショアに代えて整備をすることとされたイージスシステム搭載艦については、防衛省としては、SPY7を含むイージス・アショアの構成品についてこれを利活用していくこと、その方向で検討しておりまして、イージス・アショアに関し締結した契約に係る経費について、決議の趣旨を踏まえて可能な限り低減させるよう日米間で鋭意協議をしてまいっているところでございます。

自衛隊へのメンタルヘルスファーストエイドの考え方の導入を

三浦信祐君 是非、国民の皆さんからお預かりしている税金でありますので、決して無駄にすることのないように不断の努力を重ねていただきたいと思います。
 次に、防衛省・自衛隊におけるメンタルヘルス体制、パワハラ等のハラスメント根絶への取組について質問させていただきます。
 直近の防衛省内でのハラスメント懲戒処分数はどのようになっているんでしょうか。
政府参考人(川崎方啓君)  お答えいたします。
 令和元年度の防衛省・自衛隊におけるハラスメントを理由に懲戒処分を受けた自衛隊員は八十二人でございます。
 このうち、パワーハラスメントを理由に懲戒処分を受けた者が六十九人、セクシュアルハラスメントを理由に懲戒処分を受けた者が十三人となっております。
三浦信祐君 是非ゼロに、なくす努力は不断にしていただかなければなりません。
 過酷な任務を繰り返す自衛官の皆様に対し、メンタルヘルスケアは必要不可欠であります。近年、激甚化、凶暴化する災害対応に初動段階から出動されて現場で任務に当たられている隊員各位が増えております。国民の生命と財産を守るために必要なパフォーマンスを維持するためにも、御家族の安心のためにも、自衛隊におけるメンタルヘルスへの体制は欠かせません。現状について伺いたいと思います。
 また、今後、訓練のみならず、多岐にわたる任務の追加や実動増加に伴う多大なストレスが生じるリスクがあります。PTSDやうつに対するケアがあっても、事前のリスクヘッジ型の対策はまだまだ不十分だと言えます。対応を急いでいただきたいと思います。
 いずれにしましても、メンタルヘルスケアの体制の強化充実を図るべきだと思います。岸大臣、取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  委員の問題意識、大変重要だと考えております。
 防衛省・自衛隊におきましては、駐屯地等に臨床心理士とか部内のカウンセラーを配置し、また部外相談窓口を設置するなど、メンタルヘルスの体制を充実を図っておるところでございます。平素における活動のほかに、海外派遣等に際しても、隊員に対するメンタルヘルスケア、積極的に取り組んでいるところでございます。
 また、メンタルヘルスチェックによって隊員の心の状態を把握して必要に応じたケアを実施しているほか、日常の生活におけるセルフケアや自ら助けを求める力を高めるための教育、あるいは同僚及び部下からの相談に耳を傾ける力、こうしたものを付けるための傾聴訓練によって相談しやすい環境を整えるなど、様々な形で心の病を未然に防ぐという取組を実施をしているところでございます。
 メンタルヘルス体制の強化充実に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
三浦信祐君 ありがとうございます。是非取り組んでいただきたいと思います。
 その上で、公明党は、うつ病等の精神疾患やメンタルヘルスに関する国民の理解を深め、偏見や差別を減少させるために、身近な人による応急処置や初期対応による医療機関への受診につなげるために、メンタルヘルス・ファーストエイド、MHFAというふうによく言われますけれども、その考え方を用いた普及啓発の推進を訴え続けております。
 昨年九月、公明党が総合的なうつ対策の充実に向けた提言をさせていただき、厚生労働省として、メンタルヘルス・ファーストエイドの考え方について、心のサポートを充実する取組を行って、本年度の予算にも付いているというふうに承知をしております。
 自衛隊の現場には、隊員同士の団結が必要な中で、心配を掛けたくないとの考えでメンタルヘルスについて相談しづらい環境が現実的にはまだあります。また、仮に相談を受けたとしても、どう受け止めるべきか仲間同士での受け止め方も決して確立をされているわけではありません。自衛隊の現場こそメンタルヘルス・ファーストエイドの考え方を導入すべきだと私は考えております。
 厚生労働省は、この考え方について自衛隊とも連携して推進をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(赤澤公省君)  お答えいたします。
 厚生労働省では、家族や同僚などそばにいる身近な方が行う心の処置でありますメンタルファーストエイドの考え方を活用いたしまして、まずは地域においてメンタルヘルスの問題を抱えている方に対して支援を行う心のサポーターを養成していきたいと考えておりまして、令和三年度からそのための研修等を行っていくこととしております。
 この心のサポーターが養成されていくことで、メンタルヘルスに関する理解の促進、それから精神疾患の予防、早期介入につながると期待されておりまして、様々な方や疾患にも活用できるというふうに考えております。
 御指摘をいただきましたことも踏まえまして、関係省庁とも連携させていただきながら取組を進めてまいりたいと考えております。
三浦信祐君 是非推進をしていただきたいと思います。
 自衛隊において、特にパワハラの削減が欠かせません。通報していないケースも多数あると思われます。縦社会、命令一下、規律統制が維持されていることで任務遂行が図られているのは承知をしておりますが、今後、パワハラが生じにくい体制を整える必要があります。大切な隊員のメンタルヘルス維持なくして組織の持続は不可能であります。
 最近では、認知行動療法がパワハラ発生への抑止に効果をもたらす可能性についても研究もなされているところであります。今の厚生労働省の発言も受けて、連携を密にして心のサポート、ハラスメントの根絶へメンタルヘルス・ファーストエイドの考え方を取り入れるなど、防衛省として取り組んでいただきたいと思います。岸大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(岸信夫君)  委員御指摘のパワーハラスメントについて防衛省内での相談内容を見てみますと、上司からの暴言という精神的な攻撃を受けたという相談が最も多くなっております。上司によります自身の感情のコントロールというものが課題になっている、課題の一つとして挙げられます。
 このため、令和二年度から、精神科医やカウンセラーといった部外専門家の方の協力を得て、管理職員に対して、自分の感情を分析し怒りをコントロールするなどのマネジメント能力の向上を図るための教育を実施するとともに、必要に応じ、カウンセリング体験を通じてセルフチェックを行わせるなどの取組を開始したところでございます。
 ハラスメントに関する悩みを抱えている隊員は、なかなかその部内の相談員には相談しにくいということを感じている者も結構いるんですね。ですから、防衛省内に設置しているパワハラホットライン、弁護士による相談窓口を設置するなど、隊員が相談しやすい環境を今整備をしています。
 防衛省としては、引き続き、関係機関とも連携をし、また委員御指摘のメンタルヘルス・ファーストエイドの使用も、様々な取組を取り入れながらハラスメント対策を実施、推進してまいりたいと思います。
三浦信祐君 大臣、明確にお答えをいただいて、本当に感謝をしたいと思います。是非、現場でハラスメントがなくなったというのは数字で出てまいりますので、不断の努力のみならず、結果を出していただきたいというふうに思います。
 FMSの削減努力について質問させていただきたかったんですけれども、また別の機会にさせていただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。