参議院 決算委員会

第211回国会 参議院 決算委員会 第6号 令和5年4月24日

アフリカ外交の推進について

三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。

初めに、日本の外交について、適切な体制構築、必要な予算確保と運用を推進するために質問いたします。

少子高齢化が進む我が国の社会基盤、経済体力を維持発展させるためには、外交関係の強靱化が欠かせません。二十一世紀はアフリカの世紀とも言われます。アフリカは五十四か国に十三億人を超える人口を擁し、高い潜在性と豊富な天然資源を有しております。アフリカ大陸各国との連携は世界が標榜し、我が国における重要度は大きくなるばかりであります。また、国連などの多国間の枠組みにおける影響力も大きいものがあります。

そこで伺います。戦略性が重要であるとの認識の下、アフリカ諸国との関係をどのように構築していくのか、外務省に伺います。

政府参考人(西永知史君)
お答え申し上げます。

二〇五〇年には世界の人口の四分の一を占めると言われるアフリカは、若く、希望にあふれ、ダイナミックな成長が期待できる大陸であります。国際社会における意思決定や世論の形成においてアフリカが果たす役割は一層重要になっていると考えております。その一方で、貧困、感染症の蔓延と脆弱な保健システム、テロ、暴力的過激主義の台頭など、いろいろな課題に直面していることも確かであります。

日本は、一九九三年にTICADを立ち上げて以降、約三十年にわたり、アフリカ自らが主導する開発を支援していくとの精神で取り組んでまいりました。第八回アフリカ開発会議、TICAD8におきましても、アフリカとともに成長するパートナーとして、人への投資や成長の質を重視するとの我が国らしい方針を打ち出したところでございます。

今回の総理のアフリカ歴訪なども活用しながら、TICAD8で打ち出した我が国らしい協力の着実なフォローアップを通じて、これまでに培われた日・アフリカ関係を一層深化させてまいりたいというふうに考えております。

同志国確保へODAの大幅な拡充について

三浦信祐君
我が国の航空会社も直行便がないというところもあったりしますので、是非強力に、これは外務省優位に立ってきちっと進めていただきたいというふうに思います。

昨年、私も与党国家安全保障戦略等に関する検討ワーキングチームの一員として、国家安全保障戦略を含む三文書の策定に携わらせていただきました。昨年末の閣議決定にて戦略等の策定を受け、今年には、自由で開かれたインド太平洋、FOIPの新たなプランの発表に続き、それを裏付ける形で開発協力大綱の改定が、改定作業が進んでいると承知をしております。

防衛と外交は両輪であり、今後、自由で開かれた国際秩序を能動的に創出をしていくためには、無償資金協力や技術協力を含め、ODAを一層戦略的に活用しながら、より多くの同志国を確保していくことが重要だと考えます。そのためにも、無償資金協力や技術協力を中心としてODAを大幅に拡充する必要があると考えます。

林大臣、是非御対応いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(林芳正君)
新たな開発協力大綱案におきましては、この国家安全保障戦略も踏まえて、開発協力の一層の戦略的活用のための基本方針、重点政策、そして実施原則などを示しております。この重点政策の一つとして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化、これを掲げておりまして、特に、FOIPのビジョンの下で、開発途上国がそうした国際秩序の維持強化に主体的に関与をし、その果実を享受できるようにするための協力を行うと、こういうことを記載をしておるところでございます。

また、大綱案においては、ODA量のGNI比〇・七%という国際的目標を念頭に置くとともに、我が国の極めて厳しい財政状況も十分踏まえつつ、開発協力を効果的、戦略的かつ適正に実施していくことを踏まえて、様々な形でODAを拡充し、実施基盤の強化のため必要な努力を行うと、こういう旨も記載をいたしました。

このような方針を踏まえて、具体的な拡充の在り方については、引き続き、幅広い関係者の御意見も踏まえて政府部内で検討していく考えでございますが、我が国の外交の最も重要なツールの一つであるODAの戦略的活用、これを一層進めたいと考えております。

外交体制の強靭化へ、在外公館、人員、予算増を図るべきことについて

三浦信祐君
一層進める、そのとおりでお願いしたいと思います。

全方位外交を展開することが我が国の進むべき道であり、諸外国との関係構築、関係深化、連携強化には外務省の外交実施体制の強化が急務だと思います。在外公館の増設は必須であり、在外公館の活動の強靱化、特に対外活動経費の余裕度を向上させるべきだと私は思います。その上で、外交官、外務省職員を始め現場で働く人も同時に手当てをしなければなりません。活発な外交が展開される中、外務省職員は長時間労働が強いられているとも承知をしております。外務省の定員を増やすべきではないでしょうか。それを裏付ける確実な予算を配分すべきだと私は思います。

要員、環境、予算は外交の生命線です。外交への本気度は予算増で見えることができると思います。林外務大臣、是非取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(林芳正君)
三浦委員から御指摘があったとおり、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、我が国として主導的かつ積極的な外交を展開するためには、やはり人的体制、そして財政基盤、在外公館の整備、これを図って、邦人保護体制等を含めて外交・領事実施体制を強化していく必要があると考えております。

具体的には、厳しい環境の中でも外交活動を継続できますように、外交活動を支える財政基盤の整備、これは重要であります。

また、緊急時の対応、そして邦人保護、情報保全等の新たな脅威への備えなど、近年、大使館に必要とされる機能、これが拡大をしておりまして、そうした中で在外公館施設の強靱化、図っていく必要があるわけでございます。この在外公館の新設につきましては、その時々の国際情勢や各国、各地域の動きを注視しながら、二国間関係の重要性に鑑みて総合的に判断してきているところでございまして、引き続き、既存の公館の機能強化、これを図りながら、今後とも適切に判断してまいりたいと思っております。

さらに、人的体制ですが、やはり外交の要諦は人でございますので、外務省の定員についてはこれまでも重点的な措置が講じられてきておりますが、様々な外交課題に適切に対応すべく、業務の合理化、効率化、そして人員配置及び業務分担の見直し等を行いながら、できる限りの人員の増強、これを引き続きお願いしてまいりたいと考えております。

以上申し上げました諸点を含めて、外務省としては、今、三浦委員からの御指摘も踏まえて、山積する外交課題にしっかりと対応していけるように、必要な予算の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

三浦信祐君
海外に行ったときに外務省がきちっとカバーしているということが安心そして経済活動への支えにもなりますので、是非応援していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

安全保障は我が国の総合的な国力の増加で対応することを、国会質疑、三文書改定に当たって共有してまいりました。その上で、第一に外交力、第二に防衛力、第三に経済力、第四に技術力、第五に情報力と明示しております。外交力と防衛力を支える基盤は間違いなく経済、金融、財政の力です。だからこそ、国家安全保障戦略に経済の重要性を明記しており、私も強く主張させていただきました。

安全保障上、有事に十分耐えられる経済、金融、財政をつくるため、我が国が抱える想定される脆弱性解消は必要であります。有事における資金、物資調達能力確保というのは、防衛力を含め我が国の存立に必須であるからこそ、外交関係の充実もこれが裏付けともなります。

先ほど外務大臣との議論も含め、経済基盤確保のためにも外交予算の確保に強力に後押しを、そして取組を進めていただきたいと思いますが、秋野副大臣、いかがでしょうか。

副大臣(秋野公造君)
お答えをします。

三浦委員御指摘のとおり、有事に備えた安定的な対外経済関係を維持するための外交的取組は重要と私たちも考えておりまして、経済力の強化に加え、三浦委員御指摘になりましたが、国が必要な資金を調達できるための基盤を平時から維持強化していくことも国家安全保障の観点から重要であると考えているところであります。

この点、これも三浦委員触れてくださいましたが、昨年十二月に閣議決定されました国家安全保障戦略におきましても、我が国の経済は海外依存度が高いことから、有事の際の資源や防衛装備品等の確保に伴う財政需要の大幅な拡大に対応するためには、国際的な市場の信認を維持し、必要な資金を調達する財政余力が極めて重要とされているところであります。

このような考え方も踏まえながら、外交分野を含む予算の具体的な在り方につきましては、三浦委員御指摘の経済安全保障を含むその時々の政策課題や執行状況、財政状況などを踏まえつつ、毎年度の予算編成の過程において検討をしてまいります。

海上保安体制の強化について

三浦信祐君
是非、背景がありますので、きちっと財源を確保していただくということと同時に、それを効果的に執行するということをよく見ていただきたいと思います。また、外交の信頼性がそのまま経済、財政、金融の信認にも直結すると思いますので、是非努力をお願いしたいと思います。

安全保障環境整備には、海洋状況把握、MDAの強化が欠かせません。私は、これまで情報収集能力の向上、人材の再配置にも寄与し、能率、効率化が図られる無人航空機の導入に取り組んでまいりました。海上保安庁にシーガーディアンが導入、運用されていることに思いもひとしおであります。

そこで、海上保安庁と防衛省に伺います。

シーガーディアンの導入以降の運用状況と今後の利活用について伺いたいと思います。さらに、我が国の警戒監視能力に更なる強靱化を図るためには、防衛省との連携、ひいては、私は防衛省も将来導入すべきだというふうに考えておりますけれども、導入の検討についても伺いたいと思います。

政府参考人(勝山潔君)
お答えいたします。

海上保安庁では、令和四年十月から無操縦者航空機シーガーディアン一機の運用を開始し、日々我が国周辺海域の監視警戒を行っております。また、令和四年十二月に海上保安能力強化に関する関係閣僚会議で決定された海上保安能力強化に関する方針に基づき、新技術等を活用した隙のない広域海洋監視能力の強化を図ることとしており、今年度からはシーガーディアン三機による二十四時間三百六十五日の運用体制が確立する予定です。今後もこれらを大いに活用し、広域海洋監視能力の強化に取り組んでまいります。

なお、海上自衛隊との連携につきましては、当該運用で取得したデータの共有や施設の相互利用など、更なる連携強化に向け、引き続き所要の検討を進めてまいります。

政府参考人(川嶋貴樹君)
お答え申し上げます。

周辺国の海洋活動の急速な拡大、活発化が見られておりまして、周囲を海に囲まれております我が国といたしまして、警戒監視の所要が拡大しております。広域におきまして常時継続的な警戒監視等を行いまして、周辺国の兆候を早期に察知する体制を整備する必要がございます。

このため、海上自衛隊におきましては、現在は有人機で実施しております警戒監視等の任務の一部を将来的に滞空型無人機、UAVで代替可能か否か検証すべく、今年度、令和五年度からですね、青森県八戸航空基地におきましてMQ9Bシーガーディアン、これを用いました試験的運用を実施することといたしてございます。今後は、試験的運用の結果を踏まえまして、滞空型無人機の本格導入に向けた検討を加速してまいりたいと考えてございます。

また、海上保安庁との連携内容でございますけれども、先ほど海上保安庁の方から御答弁ありましたけれども、海保におかれましては、昨年十月から本格的運用をなさっていると承知しておりまして、今後、海上自衛隊と海保におきましては、それぞれが取得したデータを共有したり、施設の相互利用を通じた運用の効率化を図ることとしてございます。

三浦信祐君
是非、警戒監視能力、連携の上で図っていただきたいと思います。

領海警備には、即応性、強靱性の不断の取組が必要であります。正面装備を強化するだけではなく、活用するための環境の強靱化も欠かすことはできません。全国の主たる海上保安部の巡視船等船舶の係留港の耐震岸壁化について、取組の加速化を図るべきだと考えます。現状と、今後どのように取り組むか、明確な答弁を求めたいと思います。

政府参考人(勝山潔君)
お答え申し上げます。

海上保安庁の巡視船等が係留している岸壁は全国で約百四十か所あり、このうち十二か所は耐震化されております。岸壁の耐震化等については、災害対応等の観点からその必要性の検討を行い、その結果を踏まえて岸壁の整備や港湾管理者への働きかけなど必要な対応を行ってまいります。

いずれにいたしましても、海上保安庁においては、引き続き、必要な岸壁の整備等を行い、適切に海上保安業務が実施できるよう努めてまいります。

三浦信祐君
防衛大臣、防衛大臣としても、是非、海上保安庁だけではなくて、海上自衛隊の岸壁も極めて重要ですので、よくチェックをしていただきたいと思います。

安保三文書改定の議論において、私は、海上保安庁法第二十五条を変更せず、非軍事的性格、そして警察権限を保持することを守るべきとの覚悟で議論に臨み、変わらないと整理されたと理解しております。安保三文書の改定において、海上自衛隊と海上保安庁との関係性、統制について整理し、言及がなされております。海上保安庁法第二十五条の整理と今後の運用の在り方について、海上保安庁に伺います。

政府参考人(勝山潔君)
お答え申し上げます。

海上保安庁法第二十五条は、警察機関である海上保安庁が非軍事的性格を保つことを明確化したものでございます。一方で、海上保安庁の統制については、自衛隊法第八十条において、内閣総理大臣は、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れることができると規定されております。

お尋ねの海上保安庁法第二十五条との関係では、統制下に入った場合でも、海上保安庁が実施し得る任務や権限に変更はなく、海上保安庁法に規定された所掌事務の範囲内で、非軍事的性格を保ちつつ、自衛隊との適切な役割分担を確保した上で、海上における人命の保護等を実施することとなります。

今後の運用についてもお尋ねがありましたが、武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領については、現在、政府内で作成に向けた作業が実施されております。海上保安庁といたしましては、引き続きこれらの取組に積極的に参画するとともに、自衛隊との連携強化に必要な取組を推進してまいります。

三浦信祐君
去る三月の十七日、国、沖縄県先島諸島五市町村等が協力をして、有事を想定した国民保護に係る図上演習を実施したと承知しております。演習の結果、避難完了まで六日弱程度を要するなど、課題が多数導出されています。有事に際し自衛隊が前線で対応することを考慮すれば、住民避難に当たっては、民間の輸送力に加え、海上保安庁の輸送力を活用することが重要であると考えます。海上保安庁に対応を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(勝山潔君)
お答え申し上げます。

離島の住民を島外に避難させる場合は、航空機や船舶に頼らざるを得ず、武力攻撃事態等においては海上保安庁として地方自治体や関係機関と連携し、積極的に巡視船艇、航空機を活用して避難住民を運送することが重要だと考えております。

委員御指摘の本年三月の図上訓練には当庁も参加したところであり、今後とも住民避難を想定した訓練などを通じて練度の向上や課題の改善を図るなど、離島からの住民避難の実効性の向上に取り組んでまいります。

三浦信祐君
外務大臣はこれで質問が終わりですので、これで結構でございます。御配慮願います。

委員長(佐藤信秋君)
じゃ、外務大臣は御退出いただいて結構です。

隊員の宿舎等、環境改善について

三浦信祐君
浜田防衛大臣に質問いたします。

自衛隊は人の組織です。人的基盤の強化、そして自衛隊施設、関連建物の老朽化対策は急いで取り組んでいただきたいと思います。本年度当初予算にも施設整備に関する予算がこれまで以上に計上されており、着実かつ確実な執行が必要です。自衛隊員募集の強靱化と処遇改善について取組の加速が必要であり、特に隊員の宿舎、生活環境の整備をより加速をしていただきたいと思います。

親御さんが現場を見て、大丈夫だと安心して思っていただけることがとても重要であります。現場の募集担当者、部隊責任者とも苦労が重なっている状況であります。今後、正面装備品と変わらないという思いで隊員の環境改善、是非取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(浜田靖一君)
防衛力を発揮するに当たっては、必要な人材を確保することが不可欠であり、国家防衛戦略等に基づき生活、勤務環境の改善など取り組んでいるところであります。宿舎については、令和五年度予算において前年度比二・三倍となる約九百四十三億円を計上しており、宿舎を含めた生活、勤務環境改善の予算では、前年度比二・七倍となる約二千六百九十三億円を計上しております。

引き続き、全ての隊員が高い意識と誇りを持ちながら個々の能力を発揮できる環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

三浦信祐君
私が勤めていた防衛大学校でも本部庁舎が変わり講堂が変わって、隊舎が変わると親御さんの反応が変わります。自分の御子息がここで生活するということは、国が大事にしてくれているんだと、だったら頑張れと最後後押しをしてくださいますので、是非そういう整備をしていただきたいと思います。

海上自衛隊の艦艇希望者が激減しているのも厳しい現状であります。その理由の一つに、出航中に家族や友人と連絡が取れないことが挙げられます。海上自衛隊の隊員さんの船内環境の改善が必要であり、時代に合わせ通信環境整備、特に居住区画での個人端末による通信が可能となるように重ねて求めてまいりました。

これまで、艦内のWiFi通信は食堂及び通信室の周辺だけでの利用可能で範囲が限定をされてきました。しかし、海上自衛隊艦艇のWiFiの整備予算が計上されております。整備の内容、また現状の取組について伺いたいと思います。

加えて、日本近海任務における海上自衛官の艦艇乗員が家族等と通信しやすい環境を整えるために、Kuバンド衛星回線を活用した電子家庭通信環境の整備を求め、現状取り組んでいただいていると承知しております。

浜田大臣、是非この整備を前に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(浜田靖一君)
艦艇乗組員のための家庭通信環境の改善に関しましては、これまで隊員個人の携帯電話からのメールを可能とするWiFiを食堂などの共有区画で整備をしております。メールの送受信を一日二回までとする通信制限の一部緩和、大容量通信が可能なKuバンド衛星回線を用いた家庭通信の検証といった取組を実施してまいりました。

防衛力整備計画において、艦艇のような特殊な環境であっても働きやすい環境となるよう留意されていることを踏まえ、長期間の洋上行動に従事する隊員の通信環境の更なる改善に向けてしっかりと取り組んでまいります。

防衛産業が抱える課題解消へ

三浦信祐君
是非お願いしたいと思います。

防衛産業が抱える課題解消について質問いたします。

防衛産業は防衛力そのものと三文書で定義しました。防衛予算と今国会で審議中の防衛産業抜本的強化策を盛り込んだ関連法案と併せて、実務者レベルまで一連の施策の意義を意識合わせできるようにしていただきたいと思います。

これまで以上にサイバーセキュリティー強化が必要となっているなど、変化が大きい状況であります。単に予算を積み上げたわけではなく、実効性、即効性と効率性を伴った施策執行に昇華させるべきです。そのために官民の間で多頻度での連携、詳細にわたる意見交換を重ねていただきたいと思います。

装備庁長官、いかがでしょうか。

政府参考人(土本英樹君)
お答えいたします。

委員御指摘のとおり、政府は、三文書におきまして防衛生産・技術基盤を言わば防衛力そのものと位置付け、事業者の皆様の防衛政策上の重要性を強調しているところでございます。

防衛省は、政務から実務レベルに至るまで、企業、団体等へ訪問し、防衛産業の現状を把握するなど、各企業と緊密に意思疎通を図ってきたところでございます。具体的には、日々の様々なレベルでの意見交換に加えまして、主要プライム企業十五社との意見交換を大臣級でこれまで二回、装備庁長官級で四回、課長級で五回行ったほか、防衛省が実施する企業の参入促進のためのイベントでございます防衛参入促進展やインダストリーデー等の機会を利用いたしまして、装備庁から企業、業界団体に対しまして予算や施策、調達制度について説明を実施してきております。

また、委員御指摘のサイバーセキュリティーの強化は近々の課題でございまして、防衛省は昨年四月に新たな防衛産業サイバーセキュリティ基準を公表し、本年度から適用を開始しているところでございます。これまで一年余にわたりまして、業界団体及び加盟企業等に対しまして基準に関する周知活動を継続的に実施してきたほか、企業と経費負担の問題や保護すべき情報の適正化に関する意見交換を実施してきたところでございます。

防衛省といたしましては、力強く魅力的で持続可能な防衛産業を構築するための各種取組を進めるとともに、引き続き産業界ともよく意見交換をしながら、防衛生産・技術基盤の強化に取り組んでまいる所存でございます。

三浦信祐君
中小の物づくり企業が世代交代の時期にあり、これまで関心や興味がなかった防衛装備品への参画について数多くの相談があります。先般も、物づくり企業が集約している地元神奈川県の綾瀬市の企業の皆様から、我が国の安全保障に自分も関わりたいなどの声をたくさんいただいております。

これから防衛産業に参画したいとした中小企業をプライム企業とつなぐ取組について、防衛省は是非全力で取りかかっていただきたいと思います。防衛省の役割はとても重要であって、そして責任も重いと思いますが、長官、どう取り組んでいただけますでしょうか。

政府参考人(土本英樹君)
お答え申し上げます。

防衛産業への新規参入を促進する施策といたしまして、中小企業等が防衛事業に新規参入する機会を創出するため、防衛省・自衛隊や防衛関連のプライム企業と中小企業との間のマッチング事業というものを平成二十八年度から実施してきております。このマッチング事業につきましては、これまで年一回東京で実施してきましたが、今後、このマッチングの機会というものを拡大するため、年二回、場所につきましても東京に加えまして別の場所でも実施していくことなど、より多くのスタートアップ等の中小企業にマッチングの機会を提供できるように検討してまいる所存でございます。

それと、あともう一点でございますが、スタートアップ企業等が持つ最先端技術というものは、厳しい使用環境に耐えれるようにするなど、防衛用途に必要な技術レベルまで育成を実施する必要があることが一般的でございます。

このため、こうした民生先端技術の取組のため、防衛省におきましては先進技術の橋渡し研究というものが有効であると考えておりまして、令和五年度予算におきましてはこれを大幅に拡充し、前年度と比べて二十倍以上の約百八十八億を計上しているところでございます。

この先端技術の橋渡し研究を通じまして、民生先端技術を持つスタートアップ企業等と防衛装備品のインテグレーションを担当する防衛産業を結び付けること、具体的には試作事業のプライム企業のサブコントラクターとして参画してもらうと、こういう形態が考えられるところでございますが、こういうことにより、最終的に装備品という形で民生先端技術を取り込むことが可能になると考えているところでございます。

防衛装備品の整備と運用環境について

三浦信祐君
一問飛ばしていただいて、最後、端的に伺います。

現場では、人が足りないというのはありますけれども、訓練の中身を変えないと、結果として幹部自衛官も含めて休暇が取れないと、こういう実態があります。訓練内容のスクラップ・アンド・ビルド、精緻な検討で省力を図ることが極めて重要だと思います。

是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(町田一仁君)
お答えいたします。

防衛省・自衛隊においては、陸海空幕僚長が防衛大臣の承認を得て課程教育等の内容の変更を試行することができるとされており、効果的かつ効率的な教育訓練の在り方を常に検討しております。防衛力整備計画においても、このような取組は隊員のワーク・ライフ・バランスの確保の上でも重要であるというふうに考えております。

一例を申し上げれば、陸上自衛隊では、野戦特科の幹部初級課程において、個別に行っていた陣地変換と射撃の教育の一部を統合したことにより、より実戦に即した形で、かつ従来よりも課程期間を一週間程度短縮しました。

また、海上自衛隊では、航空学生課程におきます座学の一部を課程修了後の部隊の実習期間に組み込むことで、課程期間を八か月短縮し、実際の航空機を用いた教育を早期に開始することにより、隊員の士気を向上させ、中途退職者も減少しております。

航空自衛隊は、司令部幕僚等としての知識の修得等を目的とする上級飛行幹部課程について、部隊における幕僚勤務等の経験で必要な知識を修得できると判断したことから、当該課程自体を廃止しております。

委員の御指摘も踏まえながら、今後とも教育訓練の見直しを不断に行ってまいりたいと、このように考えております。

三浦信祐君
以上で終わります。ありがとうございました。