消防防災ヘリコプター運用の課題解決への取り組み
三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。准総括、最後しっかりやらせていただきたいと思います。
順番を入れ替えさせていただいて、先に消防防災ヘリコプターについて伺わせていただきたいと思います。
平成二十一年以降、消防防災ヘリ、墜落事故が四件発生し、二十六名が殉職をされております。極めて憂慮すべき事態が続いております。安全運用へ諸課題を克服するために、国として支援が必要であります。
現在、我が国は、操縦士確保の支援策として若年定年退職自衛官の活用を推進をしております。しかし、五十五歳で中途採用後、各団体が保有する機体の操縦に必要な型式限定証明の変更の資格取得が必要となった場合に、経費約二千万円掛かります。定年までの在職年数は少ないため費用対効果が低く、各団体としてみれば若手職員を計画的に自主採用した方が効果的であります。今後、自主養成をパイロット確保の柱として推進すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
政府参考人(米澤健君) お答え申し上げます。
近年相次いだ消防防災ヘリコプターの墜落事故を受けまして、消防庁では、消防防災ヘリコプターの運航の安全性の向上のため、運航団体が取り組む必要のある項目等をまとめました消防防災ヘリコプターの運航に関する基準を昨年九月二十四日に制定をし、全国の運航団体にお示しをいたしました。その中で、「運航団体は、将来にわたり操縦士を安定的に確保できるよう、計画を定めて必要な操縦士の養成訓練を行うものとする。」と規定しておりまして、必要な操縦士の自主的な養成訓練を求めているところでございます。
あわせて、無資格者を操縦士に養成するために必要な経費につきまして、自主運航団体である政令市に対し、昨年度から新たに地方財政措置を講じており、各運航団体での操縦士の計画的な自主養成をしっかりしてまいる所存でございます。
三浦信祐君 是非長い目で見て支援をしていただきたいと思います。
ヘリコプターは、耐空検査等により数か月間飛行できない期間が発生をいたします。高度で特殊な技術が要求される消防防災ヘリの操縦士にとってみれば、飛行できない期間の技量維持は重要な課題となります。
そこで、二つ提案をさせていただきたいと思います。
一つ目は、技量維持のためにヨーロッパ等で必須となっているフルフライトシミュレーターの活用促進であります。ところが、日本では国内の配置数が限られ、機会提供には程遠い状況であります。個別自治体が導入するには大変高いお金でありまして、これは現実的ではありません。
そこで、操縦士が共同利用できるシミュレーターを整備する、あるいは自治体がそれぞれ民間等にて行う訓練受講経費への支援を強力に行うべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
二つ目に、飛行できない期間、操縦士は余剰となります。そこで、消防防災ヘリ運航の自治体間の連携の構築を図り、操縦士の広域連携体制の下で、余剰となった時期にほかの団体でのヘリコプター運用に従事をするようなことを可能にしてはいかがでしょうか。
技量維持、そして向上と、連携強化による任務遂行能力向上が期待ができます。総務大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(高市早苗君) 三浦委員御提案一点目のフライトシミュレーターの活用につきましては、操縦士の育成や技量維持のために有用だと考えます。
ただし、機材が一台十億円超と高額であることや、ヘリコプターの機種ごとに機械が必要となりますので、国で整備を行うというよりは、機体製造会社や訓練事業者が行うフライトシミュレーター訓練を受講するのに要する費用を支援することが効果的だと考えております。今年度から新たに地方財政措置を行いまして支援することといたしました。
委員御提案二点目の広域連携体制の構築につきましては、委員御指摘の飛行できない期間の操縦士の有効活用のほか、運航不能期間の縮減や修繕部品の一括調達による管理費用の縮減といった点でも有用だと考えます。
このため、消防庁におきまして、将来的な共同運航体制の構築に向けた課題の整理や国の支援の在り方などにつきまして、今年度検討を行うこととしております。
三浦信祐君 大臣、明言していただいてありがとうございます。現場は大変それで技量維持に欠かせないことがしっかりと担保できるというふうに思いますので、是非進めていただきたいと思います。
消防防災ヘリが待機をしているヘリポートが臨海部に位置している場合、台風被害等からの備えとして、機体退避場所の確保が重要な課題となっております。台風通過後に迅速な活動体制をしくためにも、単に避難していければよいというものではありません。
そこで、消防防災ヘリを運航する団体が独自に退避計画を立てている現状を見直して、国が緊急消防援助隊としての活動を想定した上で、広域、方面別退避計画を策定すべきであります。是非対応していただけませんでしょうか。
政府参考人(米澤健君) お答え申し上げます。
台風の接近等に備えまして、事前に消防防災ヘリコプターの機体をどのように退避させるかにつきましては、ヘリポートの配置環境やヘリの運用実態など、運航団体によって異なる事情に即して各運航団体において適切に対応すべきものと考えておりますが、国として緊急消防援助隊の出動要請を行う立場にあることも鑑みまして、各運航団体から実態をよく伺って、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
三浦信祐君 是非しっかり伺っていただきたいと思います。
総務大臣におかれましては、これで質問が終わりですので、御配慮ください。
委員長(中川雅治君) 高市総務大臣は退室して結構でございます。
新型コロナ感染症の影響を受けている海外協力隊の支援について
三浦信祐君 次に、JICA海外協力隊員への支援について大臣に伺います。
世界と日本の友好と信頼醸成に多大な貢献をされているJICA海外協力隊員の皆様への支援について、新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に伴い、現在、七十六か国で通常二年間活躍する、活動するJICA海外協力隊員が全員一時帰国し、再派遣へ向けての国内待機となっております。さらに、派遣前訓練を終えた二〇一九年度第三次派遣隊約三百名、試験合格後の国内研修が延期となっている二〇二〇年度第一次派遣隊員約三百七十名も待機を余儀なくされております。
隊員、派遣予定者のニーズをしっかりとヒアリングの上、必要な生活や住居等の支援をしていただきたいと思います。具体的には、百二十日間とされている待機手当の拡充、また、手当支給の対象外となっている二〇二〇年度一次隊にも是非支援をしていただきたいと思います。茂木大臣、是非御決断いただけませんでしょうか。
国務大臣(茂木敏充君) 麻生財務大臣もいらっしゃる前で答弁の機会を与えていただいたこと、まず感謝を申し上げたいと、そういうふうに思っております。
JICAの海外協力隊員、私も今はちょっと海外行けませんが、その前は、海外に行くとできる限り、その若い、本当にかなり厳しい環境で頑張っている隊員と何度も会ってきましたけれど、草の根レベルでの活動を通じて途上国の発展であったり各国との友好信頼関係強化に大きく貢献をしておりまして、こうした高い志を持った有為な国際協力人材を支援する、これは政府としての責務であると、このように考えております。
新型コロナの世界的な感染拡大の影響を受けて、JICAの海外協力隊員は、全隊員が今一時帰国余儀なくされておるほか、派遣前訓練を終えた隊員も派遣できない状況が続いているわけであります。公明党の外交部会の緊急申入れについては承知をしておりまして、これらの隊員に対する支援が必要であると、私も全く同じ思いを持っているところであります。
御指摘の手当の拡充につきましては、一時帰国待機中の隊員のみならず、御指摘にありましたような二〇二〇年度一次隊員に対しても支援が行えるよう、外務省としてもJICAと緊密に連携し、スピード感を持って取り組んでいきたいと、このように考えております。
三浦信祐君 大臣、実は私の知り合いから聞いたことは、学校の先生だったんだけれども、青年海外協力隊でもう行こうと腹を決めたと、家も引き払い、そして家財道具も引き払い、もう全部覚悟を決めて、そして一次隊に申し込んで、今待機をしていると。私は経済的な苦しみはあるけれども絶対に負けませんと、我が国の良さを世界に伝えることが世界平和につながると、覚悟を決めておられます。
是非、そこに支援することは国民が必ず納得をしていただけることだと思いますので、財務大臣も聞いていただきましたから、是非腹を決めていただきたいというふうに思います。重ねてお願いしたいと思います。
ODAについては先ほどありましたので、外務大臣、これで質問は終わりとさせていただきたいと思います。お取り計らいください。
委員長(中川雅治君) 茂木外務大臣、退室をされて結構でございます。
我が国の経済安全保障について
三浦信祐君 次に、我が国の経済安全保障について質問させていただきます。
本年四月六日、国家安全保障局、NSSに経済班が設置を、新設をされました。5G、サイバーセキュリティー、輸出管理、海洋調査、インフラ輸出、新型コロナウイルス対応などが任務となっております。ようやく日本も世界と伍する位置付けに一歩踏み出したと歓迎をしたいと思います。
いずれも重要でありますけれども、安全保障と経済との関係は切っても切れない仲で、重要技術流出阻止について体制を取ることが最重要だと考えます。これまでは軍事研究開発にて生み出された技術が民生用として活用されている、いわゆるスピンオフが、現代はその逆でデュアルユースの時代で、民生技術が軍事転用、いわゆるスピンオンされており、技術を守る力、見抜く力、生かす力が求められます。特に機微技術を管理し抜く能力と体制、そして保護できる体制が必要不可欠であります。しかし、日本には、厳しく言えばこの体制がこれまでは整っていなかったのが現実であります。
エコノミック・ステートクラフト、経済的国家手腕がコロナ後の世界の主流、攻めが主体となります。NSS経済班が果たすべき役割、負うべき責務を含め、この時期に創設した意義を伺いたいと思います。
また、NSS経済班には防衛省出身者の適切なポジションでの配置が必要であると思います。既におられると思いますけれども、今後、そのポジションのことについても、配属のことも含めて検討していただきたいと思います。
政府参考人(藤井敏彦君) お答えを申し上げます。
AIや量子など革新的技術が出現をし、安全保障と経済を横断する領域で国家間の競争が激化するなど、安全保障の裾野は経済、技術分野に急速に拡大をいたしております。
例えば、サイバーセキュリティー、機微技術管理、さらには新型コロナウイルス感染症への対応といった安全保障と経済を横断する領域で様々な課題が顕在化いたしております。開放性と多様性を維持しつつ、経済の成長と発展を実現する中で、我が国の安全保障をしっかり確保し、適切な制度設計を行い、政府一体となって対応していく必要がございます。
このため、今般、経済分野における国家安全保障上の課題について、俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うべく、国家安全保障局に経済班が設置されました。
経済班には安全保障、経済、それぞれの関係する省庁から出身者が配属されており、防衛省出身者も配属されております。安全保障と経済を横断する様々な課題に対応し、防衛省を始め政府内の各部門と連携し、企画立案、総合調整を行い、迅速かつ適切に対応を進めてまいりたいと思います。また、経済班の体制については、状況に応じ不断に見直し、充実を図ってまいりたいと考えております。
三浦信祐君 ありがとうございます。
世界からは、ようやくどこの相手と話をすればいいかという経済部門の戦略的な対話をする相手が明確になったということは、非常に世界から評価されていると思います。
日本は必要物資、物づくりなどのサプライチェーンの再構築とリダンダンシーが求められております。我が国にとって、生活必需品から完成品までの物づくりの技術など、世界をリードする技術が多数あります。にもかかわらず、今回の感染症対策に必要不可欠な資材である、ふだん当たり前に手に入っていたマスクや防護服など、国産比率が極めて低いゆえ、国民の皆様に不自由をもたらしました。すなわち、国民の生活の安定と安心の視点、日本の経済安全保障の視点から、戦略物資の整理が欠かせないことが明確になりました。
NSS経済班が戦略物資、技術の判定を即座に行える体制、必要数の確保、支援できる流れの構築を急ぐべきであります。国内産業の能力向上と技術を支え、守る体制も整備するためには、経済班にて、広く産業分野も視野に入れて、民間企業の強靱化等、日本の将来を見据えた立案、実行に取り組んでいただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
政府参考人(藤井敏彦君) お答え申し上げます。
政府としましては、今般の新型コロナウイルス感染症への対応の一環として、マスクやガウンなど国民の安全、安心に関わる製品について、単なる価格競争力だけでは左右されない安定的な供給体制を構築するための支援を進めているところでございます。また、感染症の治療等に必要な医薬品や人工呼吸器等の高度な管理を必要とする医療機器について、国内における製造基盤を維持するために、外為法における対内直接投資の事前審査の対象に追加することを検討いたしております。
我が国のサプライチェーンを安全保障の観点から俯瞰し、その脆弱性に対処するとともに、強靱化に戦略的に取り組んでいくことは非常に重要な視点と認識をいたしております。今後も政府内の各部門と連携を含め、企画立案、総合調整を行い、迅速かつ適切に対応を進めてまいりたいと考えております。
三浦信祐君 是非しっかり支えていきたいというふうに思います。
新型コロナ感染症の世界的拡大により、今後、日本も世界もオンライン化が劇的に加速をしてまいります。日本では、子供たち一人一台のGIGAスクール構想の実現へ、タブレットを購入するための予算措置、対策が急速に進んでおります。中小企業もテレワークがより活用されていきます。介護の現場でもタブレットを用いた面会、サービス提供が進みます。
しかし、そのハードウエアであるパソコンあるいはタブレット自体が購入困難で、かつ国産でない場合が多く、国内の脆弱性が今般明瞭となりました。まず、梶山大臣の問題意識を伺いたいと思います。
その上で、世界市場におけるコスト競争にさらされ、通信端末を含めたこれらハードウエアの国内での製造が縮減をしております。自由競争を担保しつつ、我が国の経済安全保障の観点から、これらハードウエアの製造等に対する国産化への支援であったりサプライチェーンの再構築、あるいは情報保全を考慮した形での輸入など、戦略的に取り組まなければいけないと私は考えます。梶山大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(梶山弘志君) AIやIoT、ビッグデータの活用など、技術の進歩により経済社会のデジタル化が急速に進展をしております。それに伴い、我が国では、パソコンの世帯保有率は約七割を超え、タブレットの世帯保有率は四割に迫るなど、これらの電子機器製品は国民生活に不可欠なものとなっておりまして、それを構成する半導体等の電子部品の重要性も増してきております。
例えば、パソコンは、世界の生産の九割を海外企業が占めており、我が国においてもその多くを海外から輸入に頼っている状況であります。他方、パソコン等を構成する電子部品については日本のメーカーも強みを有しておりまして、日本の国内外で製造を行って世界中の電子機器メーカーに供給をしております。このような電子機器産業において、日本の国内外にまたがってサプライチェーンが構築されていると認識をしているところであります。
このような中、委員御指摘のとおり、今般、新型コロナウイルス感染症により海外の生産拠点が操業を停止した結果、一部のパソコン機種において品薄となりました。また、海外から日本のメーカーに部品が届かずに、日本のメーカーが生産を縮小するといったサプライチェーンの脆弱性も顕在化をしたわけであります。
こうしたことを踏まえて、令和二年度補正予算において、エレクトロニクス分野での活用も念頭に入れて、生産拠点の集中度が高い製品や部素材等の国内生産拠点の整備を支援する事業を行うことといたしました。もちろん、パソコンの組立てなどサプライチェーンの全てを日本に戻すことはコスト的にも難しいと思いますが、電子部品の国内生産拠点の整備を支援することで我が国のデジタル社会を支える機器の国内における安定調達が図られると期待をしております。
今後とも、経済安全保障の観点から、電子機器のサプライチェーンや輸出入の状況、エレクトロニクス産業の国際動向、最先端技術の開発や機微技術の管理などを十分に注視しつつ、半導体、電子部品のみならず、日本が強みを持つ半導体製造装置やシリコンウエハーなどの材料も含め、エレクトロニクス産業全体における戦略的な政策の構築を図ってまいりたいと考えております。
三浦信祐君 是非強力に進めていただきたいと思います。
現代の技術の趨勢として、量子技術、AI技術の興隆を鑑みれば、安全保障は軍事力、外交力のみならず、技術力がその優劣を左右する時代になっております。世界は自国が持てる技術の集約と育成に必死に挑み、そして確実に保護と他国からの取得に取り組んでいます。防衛省も、技術管理や知的財産管理を強化して重要技術の海外への流出防止に積極的に取り組んでいく必要があると思いますけれども、河野大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(河野太郎君) 昨今の民生技術、民生分野における量子技術あるいはAI技術を含めた先端技術の著しい進歩は、将来の戦い方を一変させるゲームチェンジャーとなり得る、そういう可能性が非常にあるというふうに思っております。そうしたことからこの我が国を守っていくためには、機微技術管理あるいは知的財産管理などを含めた経済、防衛、外交の課題の一体的な取組が必要になってまいります。
そうした認識の下、防衛装備庁における技術管理の体制につきましては、装備政策部装備保全管理官付技術管理室におきまして、防衛装備品の海外移転などにおける移転する技術の機微性の評価、国際輸出管理レジームなど国際的な技術流出防止の活動への参画などの業務につきまして、現在十二名体制で実施をしております。また、これらの業務を実施するための予算といたしまして、技術調査の経費約三千九百万、関係国際会議などのための海外出張旅費約八百万円、技術調査員等の非常勤職員約五百万円、合計五千二百万円を計上しているところでございます。
また、知的財産管理につきましては、技術戦略部技術振興官付知的財産管理運営室知的財産推進班におきまして、知的財産に関する制度の企画立案、知的財産に関する庁内外との調整、特許出願に関する手続などの業務について、現在五名体制で実施をしているところでございます。
引き続き、我が国の安全保障上、重要な技術的優越をしっかりと確保するために、関係省庁とも連携しながら、こうした管理を取り組んでまいりたいと思います。
三浦信祐君 今、省庁と連携ということも明確に言っていただきました。
その上で、経済安全保障の基盤として日本国内が有する技術を把握することが必要であります。経済産業省は、産業維持の視点から、国内の中小企業を巡回して経営支援アドバイズを継続しております。すなわち、現場での技術、能力に接する体制があります。一方で、輸出管理の視点で機微技術リストを作成している部門があるものの、リアルタイムで変化していく技術を掌握していることについては整理はされておりません。
我が国にとって守るべき技術、世界が狙っている技術を把握、精査すること、そして、実は技術を有している企業、技術者がどう活用するか理解されていない場合には的確なアドバイスをすること、すなわち、日本の経済安全保障上の視点から、技術の整理、情報集積体制の整備と確立は経産省が率先をして行うべき重要な役割であります。脆弱性についても整理し、解消へのプランニングが必要であります。これ、急がなければ、コロナ禍で我が国の足下がすくわれます。その責務を果たせる予算、人員体制整備を、精緻をしていただきたいと思います。
その上で、長年ずっと技術者として歩んでこられた方がベンチャーに挑戦をしていますけれども、そこは、実は予算的な体制が取れていないがゆえに、守り育てるという視点が欠けております。梶山大臣、是非日本の未来のために明確に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(梶山弘志君) 世界の主要国が経済と安全保障を一体に捉えた政策、いわゆる経済安全保障政策を打ち出す中で、経済産業省としては、機微技術の優位性の確保と脆弱性の解消を行うことが不可欠と認識をしております。
具体的には、機微技術に関する我が国の優位性と脆弱性を把握する、すなわち知ることです。そして次に、機微技術の脆弱性を解消しベンチャー企業を含む企業の優位性を発展させる、すなわち育てるということ。優位性のある機微技術の流出を防止する、すなわち守るということ。この三点の施策を統合的に進めていく所存であります。昨年六月、これらの施策を強力に行う体制として、経済産業省内に経済安全保障室を新設をしたところであります。
委員御指摘の育てる施策としては、5Gのうち、今後日本が強みを持つ産業分野への活用が見込まれるポスト5Gの研究開発に取り組むため、昨年度補正予算を用いて基金を措置をいたしました。研究開発を通じて我が国が強みを持ち得る技術を育てることにより、ポスト5G情報通信システムの開発、製造基盤を強化することとしております。さらに、新型コロナウイルス感染症により我が国のサプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、令和二年度補正予算において、生産拠点の集中度が高い製品や部素材、国民が健康な生活を営む上で必要な製品等の国内生産拠点の整備を支援することとしております。
知る政策としては、機微技術に関する国際的な動向やそのサプライチェーンを分析する専門的部署、技術調査室を経済産業省内に設置をしております。また、守る施策としては、改正外為法の下、対内投資管理の審査を行うなど、機微技術管理を徹底をしてまいります。
引き続き、内閣官房国家安全保障局を始めとする関係省庁とも連携しつつ、これら、知る、育てる、守るの施策をしっかりと進め、我が国の経済安全保障政策を強力に推進してまいりたいと考えております。
三浦信祐君 ちょっと飛ばさせていただきます。
国民の安全を守るために、NSS経済班が戦略的、俯瞰的に我が国が有する技術についての機微技術の掌握を進めるべきだと思います。
我が国のイノベーション創出のためには、攻める技術、守る技術を整理することが不可欠であり、これができれば、各省庁縦割りの技術開発予算の効率化、重点化がより図られます。学術界に予算を配分しているだけで、社会実装との接続が図られてこなかったこれまでの在り方も変えることができます。我が国の技術の育成と保護の両立へ、NSS経済班が司令塔機能を果たせるように体制を確立をしていただきたいと思います。
一方、自国の研究開発基盤を用いた発明であって、安全保障の観点から公開になじまないものについて、その特許出願による公開を許さない、その公表を、公開を止める手段を我が国は有しておりません。今後、技術の進展に伴い、公表された技術及び知的財産が意図せぬ形で第三者に渡ってしまうようなことがあっては、平和を脅かすことになります。是非そういうことも整理をしていただいて、非公開とできる必要な制度設計に取り組んでいただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
政府参考人(藤井敏彦君) お答えを申し上げます。
政府といたしましては、本年一月に開催された統合イノベーション戦略推進会議において決定した「「安全・安心」の実現に向けた科学技術・イノベーションの方向性」において、育てるべき技術を特定し、研究開発や社会実装を促進するとともに、いかに技術流出を防ぐかという観点で、その課題と方向性を示しております。
技術の流出は、他国における軍事転用のリスクを伴うほか、我が国企業の国際競争力等に甚大な影響を及ぼすおそれがございます。このため、研究開発成果の公開の在り方につきまして、機微技術管理の観点から検討をしていくこととしております。
今後、我が国の優れた成果を創出する研究開発環境を構築、維持しつつ、技術流出を防止するための検討が必要でございます。
国家安全保障局といたしましても、政府内の各部門と連携しつつ、総合調整を行い、対応を進めてまいりたいと考えております。
三浦信祐君 終わります。