参議院 経済産業委員会

第213回国会 参議院 経済産業委員会 第9号 令和6年5月16日

水素社会推進法について

三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。

水素社会推進法について質問をします。

まず、大臣に伺いたいと思います。

次期エネルギー基本計画の策定の時期に当たりまして、二〇四〇年を目指したエネルギー供給へのバランス、また、現有アセットと新技術との融合、また共有、利活用がより子細に検討する時期となりました。加えて、今後、十年目標としてGX実行会議が重ねられている中で、更なる予見性、そして挑戦的な取組を標榜すべく、二〇四〇年をターゲットとした議論が開始されていると承知をしております。

まず初めに、次期エネルギー基本計画と今回の低炭素水素法が規定している低炭素水素等についての内容、それとの関係性、具体性についてどう考えればよいか、大臣に伺います。

国務大臣(齋藤健君)
まず、水素の導入量につきましては、二〇二三年に改定をいたしました水素基本戦略におきまして、二〇三〇年に最大年間三百万トン、二〇四〇年に年間千二百万トン程度に拡大することを目指すとしているわけであります。

こうした導入量の拡大やコスト低減に向けて、水素社会推進法案において措置する価格差に着目した支援や拠点整備支援等の措置を通じまして、先行的で自立が見込まれる低炭素水素等のサプライチェーン、これを構築をしてまいります。

さらに、電力、ガス、燃料、産業、運輸等の分野では、低炭素水素等の市場創出、利用拡大、これに向けた制度措置の在り方などについて、今、関係審議会等において議論を行っているところであります。

次期エネルギー基本計画につきましては、昨日議論を開始したところでありまして、具体的な検討は今後ということになります。ただ、その際、低炭素水素等の在り方につきましては、水素社会推進法案による措置や関連審議会での議論なども踏まえてしっかりと検討していくことになります。

経済安全保障の視点について

三浦信祐君
まさに、この法案が先にでき上がって、そしてそれを基盤とした上で基本計画を立てていくことになると思いますので、よくリンクを貼れるようにしておいていただきたいと思います。

次に、水素社会推進とCCS活用など、戦略的な取組に関する経済安全保障の視点で質問させていただきたいと思います。

先週、私も一貫して取り組んでまいりました経済安保情報保護活用法が成立を見ました。我が国における経済安保の視点において、国民的財産であります重要な情報を指定、保護するということは政府が取り組まなければいけない責務であるということを明確にすることになりました。官民が協力をより強化をして、そして技術の進展を図り、必要な経済活動上などの効果を発揮することができると期待をしております。

経産省には、日々、重要な安保情報、文書も上がってきているはずであります。その際に、情報を指定することに伴う管理の負担等を考慮すれば、場合によってはちゅうちょしてしまうんじゃないかなということが生じかねません。我が国にとって重要な情報であるならば、指定を的確に実施をしていただきたいと思います。

また、新しく組織が立ち上がるとも思います。大臣の責任で指定を確実に実施するとともに、徹して厳格な情報管理、これを実施してもらいたいと思いますけれども、齋藤大臣、是非お願いできますでしょうか。

国務大臣(齋藤健君)
本国会で成立しました重要経済安保情報保護活用法は、安全保障の裾野が、防衛や外交という伝統的領域から経済、技術分野に拡大する中で、経済安全保障上重要な政府保有情報の管理、これに万全を期す必要性が高まっていることを踏まえ、当該情報の適切な保全ルール、これを定めるものでございます。

今後、本法の規定を具体化するためには、内閣官房が運用基準を作成をするということになっておりまして、経済産業省としても、当該基準に基づき重要経済安保情報を指定し、かつ適切に管理をしていくことになります。

経済安全保障政策を推進する際には、御指摘のように、官民が密に情報交換を行うこと、これが重要であります。

経済産業省はこれまでに、業界団体、企業、地域等と計百回以上の戦略的対話というものを実施してきています。経済安全保障に関する省内体制、これも整備をさせていただきたいと思っております。本制度を官民の重要な情報交換ツールの一つとして活用することで、更なる官民の連携強化に努めてまいりたいと思います。

三浦信祐君
まさに戦略的不可欠性、自律性を確保するということが、我が国が平和で、かつ持続的かつ経済的に人口減少社会を乗り越えていくための大事なポイントだと思います。経済産業省の本当に多くの情報をどう活用できるか、そして大事なものをしっかりと目利きができるかということがポイントになってくるかと思います。

我が国の最近の弱点とも言える技術上の課題として、世界標準、また世界共有規格、これを生み出して、取り込んで、そして確定をさせるということだと私は考えております。我が国があらゆる分野で規格、標準化を獲得するために強力に推進したいと、私自身も決意をしております。

そのためには戦略構築が不可欠でありまして、大胆な挑戦ができる政策決断が欠かせません。これらの実現が経済安全保障の戦略的自律性、不可欠性の基盤を構築することになり、ひいては価格低減効果や稼ぐ力、競争力強化につながるものだと私は思います。

大臣は、この我が国の現状をどのように感じられているのでしょうか、また、問題意識として課題は何だと考えているのか、その解決に具体的にどのように取組をするのかということを率直に伺いたいと思います。

国務大臣(齋藤健君)
率直に申し上げますと、国際標準化活動を戦略的に展開すること、これは容易ならざる大変な課題だと率直に思います。ただ、我が国企業の強みをグローバル市場で反映させるためには極めて重要なツールでありまして、我が国の競争力強化に直結する課題なんだろうと思います。

そのためには、標準化人材の育成、確保をまずやらなくちゃいけませんし、企業の、企業自身の経営戦略における標準化活動の位置付け、これを向上させていかなくてはいけないと思いますし、さらには、研究開発段階から既に標準化戦略を織り込んで研究開発をしていくということも大事でありますので、こういった課題に取り組んでいく必要があるんだろうと思います。

こうした課題の解決に向けましては、日本の標準化人材のデータベースの構築をしていますし、それから、企業における標準化戦略担当役員、いわゆるCSOの設置ですとか、統合報告書における標準化戦略の発信などを慫慂しているところでもありますし、さらには、グリーンイノベーション基金等の研究開発事業における標準化戦略のフォローアップもしっかりやっていくということで、そういった総合的な支援策を講じています。

加えて、今、国会で御審議いただいております産業競争力強化法等の一部改正法案におきましては、企業、大学等の共同研究開発に関しまして、標準化や知財を活用したオープン・アンド・クローズ戦略、これを構築する取組を支援をするための認定制度を盛り込んでいるところであります。

これらの施策を通じて、戦略的な国際標準化活動による産業競争力の強化を推進していきたいと考えています。

三浦信祐君
その法案についてはまた改めて細かく議論をさせていただきたいと思いますけど、大臣、先ほど重要なことをおっしゃっていただきました、プロジェクト始める段階から戦略を置かなきゃいけないと。我が国が一番弱いのは、うまくいきそうになってから、急遽そういう知財人材だったり、ファンディングを掛けるのが上手な方を持ってくるんですが、普通は最初にそこでもう戦略を考えると、この体制を取れるかどうかによって多くの標準化ができると思いますので、ここ、是非強力に進めていただきたいと思います。

先般の本委員会の参考人質疑におきまして、今大臣に質問させていただいた趣旨で、のその上で、低炭素水素社会構築過程に規格化、標準化を獲得するチャンスは包摂されていると考えるかと参考人の方へ質問させていただきました。

近藤参考人からは、日本は水素を世界に先駆けてやってきた、特許をたくさん持ち、技術もたくさん持っていると、裏付けを持った国がきちんとした裏付けを基に基準化、標準化をしていくのが大事、我が国の持っている、産業界、学識が持っている知見を最大限活用しながら水素社会構築に向けた基準化、標準化をリードすべきと、過去、技術で勝ってビジネスで負けてきたことを踏まえ、脱炭素で見れば、唯一無二、この分野で先行できるのではないかと考えるとの、要旨でありますけれども、御発言がありました。大変希望が湧いて、そして成し遂げなければいけないという責務を感じております。

これ、大臣が今御答弁をいただいたことを進めていく最たる例が、水素の社会を構築するところに我が国がリードができるという御発言でありましたが、この点について大臣はどう思われますでしょうか。

国務大臣(齋藤健君)
近藤参考人の発言は私も後からフォローさせていただきましたが、本当に勇気付けられる御発言でありました。

我が国は、水素燃料電池分野で高い技術力を有しております。こうした技術力を産業競争力強化につなげていくためには、御指摘のように、国際標準化をリードしていくことが不可欠であります。技術で勝ってビジネスでも勝つためには、このグリーンイノベーション基金等を通じて、水電解装置やアンモニア発電技術などの戦略的な国際標準化を進めていきたいというふうに考えています。

三浦信祐君
そうなると、経済産業省の仕事はがっちり明確になってくると思います。

経済安全保障の確保には、知る、守る、伸ばす、この取組を行うことであります。そう考えますと、政府は、現状、低炭素水素等の我が国の技術についてどのように掌握をしているんでしょうか。参考人の方に伺いたいと思います。

政府参考人(井上博雄君)
お答え申し上げます。

低炭素水素等に関連する技術につきましては、例えば水素について申し上げれば、水電解装置、液化水素運搬船、燃料電池や水素混焼など、作ったり運んだり使う、それぞれにおいて様々な技術開発が行われております。

政府、経産省では、こうした技術開発に対する支援の過程で、技術開発を支援する事業者を中心に、NEDOなどとも連携しながら、日頃から緊密に情報交換を行い、低炭素水素等の技術に関する情報を収集しているところです。また、あわせまして、国際的な動向につきましても情報収集等を行ってきているところでございまして、今後、こうした取組を一層強化していきたいと考えております。

三浦信祐君
まさに体制も整えていただいて、情報が集まっているところこそマッチング機能も出てきますし、先ほどありましたオープン・クローズ戦略も明確になってくると思います。是非ここは頑張っていただかなきゃいけないと思います。

先般の委員会での参考人質疑の際に、竹内参考人からは、脱炭素への具体的な指摘として、G7の一端と、一か国としての日本の振る舞いをしてきたが、マーケットであるアジアやアフリカと共同歩調で規格化、標準化に向けた声を大きくしていく取組をする必要があると御指摘をいただきました。民間企業の取組だ、後押しをするなどと言っている場合じゃないんじゃないかなという思いもあります。

外務省とも連携しながら、外交リソースも十分に活用して、情報を確実に収集した上で、したたかに世界を取りにいく覚悟、これを持って推進をしていく。そして、水素インフラは、アジア、アフリカのみならず、グローバルサウス諸国がマーケットになるということも想定できますが、これらの国々との連携を強靱にして、我が国の技術規模を早々に共同利用できるようにして、規格化、標準化を狙うことが大事だというふうに私は思います。そこまで想定して戦略化、運用をしていかなければ、コスト削減ということの結果にも結び付いてこないんではないかなというふうに思います。

是非、齋藤大臣、取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(齋藤健君)
繰り返しになりますが、我が国は水素やアンモニア分野におきまして高い技術力を有しておりまして、こうした分野のルール形成や国際標準化を戦略的に主導をしていくことで、我が国の産業競争力の強化につなげることができると思っています。

例えば、グリーンイノベーション基金等を活用して、水電解装置の耐久性ですとか電解性能といった我が国企業の強みとされている指標が適切に評価をされるよう、性能評価手法を確立をしていきたいと思います。その上で、その評価手法の国際標準化を進めることで、欧州などの海外市場の獲得につなげていきたいと思っています。

また、アンモニア発電につきましても、我が国は窒素酸化物の排出を抑制する技術、この技術に強みを有しておりますことから、バーナーを含むボイラーシステム全体での窒素酸化物の排出性能に関する国際標準化を進めることで、アジア市場の獲得につなげていきたいというふうに考えています。

我が国の技術的な強みをてこに戦略的な国際標準化を早期に進めることで、海外市場の獲得を実現していきたいと考えています。

三浦信祐君
大臣のその御答弁をいただいた案件ではとても日本が先導的でありますので、標準化を取ったというこの場面を展開できるような技術として育てて、必ず勝ち取っていただけるようにしたいと思います。

水素活用に関する先端技術を活用した製品、システムを世界に売る際に、政府間のみならず、相手国の自治体との契約ができるケースも想定されてまいります。そのときによく課題になるのが、相手国自治体から事業に対して、政府保証、表現がいろいろあると思います、あるいは政府の認定が欲しいということがあります。

ところが、日本が補助金等を出した場合には、それがそのまま政府認定だと捉えていただくことはできると考えますけれども、我が国民間企業と相手国自治体との契約になった場合には、政府はこれを受け止め、判断、判定できるスキームがないのではないかという私は問題意識を持っております。これが、海外展開を隅々に広めていくことができない我が国の課題の一つではないかと思います。

これまでの課題となってまいりました政府保証あるいは政府認定を付与することをできる体制構築を目指して、大臣、検討、もう入口ですから、検討若しくは課題整理などを行っていただけませんでしょうか。戦略的外交を推進する上でも大きな効果があるとも考えます。外務省、経産省、NSS等もよく連携をして、改めて検討していただきたいと思いますが、御所見を伺います。

国務大臣(齋藤健君)
これも御指摘のとおりだと思います。

日本企業の海外展開を支援していく上で、相手国政府や自治体との関係を円滑に構築できるようなサポートをしていくということは重要だと思っています。

このために、例えば、水素、アンモニア技術について言えば、アジアにおいて、アジア・ゼロエミッション共同体、AZECという協力枠組みの中で、企業が相手国側と締結した覚書等を首脳に報告するという機会を設けることで、具体的にプロジェクトが進みやすい環境を整えております。

また、水素に限らず、政府ミッション団の派遣に加えて、トップ外交の機会を活用し、企業プロジェクトの覚書締結に立ち会うなど、相手国政府や自治体とのプロジェクト実施へのサポートを行っているところであります。

私も、着任以来、この手の覚書の締結、これ民民ベースの覚書であってもできるだけ立ち会うようにしておりまして、かなりの数、既に立ち会ってきたという記憶がございます。

御指摘のように、事業者の実績や能力というものを何らかの形で政府や関係機関が確認する仕組みというのは大事だと思っていますので、更に何ができるか、検討していきたいと思います。

地方自治体の責務について

三浦信祐君
大臣の御経験が存分に生きると思いますし、これを進めることによって、日本の外貨を獲得するすべであったり、相手国にとっての幸せも構築できると思いますし、このスピード感を求められるケースにも対応できると思います。

是非、経産省挙げて相談を受けられるように、また、各地方にもある局のところでも是非受けていただけるように体制を整えていただきたいと思います。

次に、地方自治体の責務について、改めてではございますけれども、確認をさせていただきたいと思います。

本法案において、国、事業者の責務に加えて、第五条において地方公共団体の責務が規定をされております。日本全国で低炭素水素社会構築に当たっては、地方公共団体との情報共有、政策共有並びに遂行は欠かすことができません。一方で、地方公共団体の財政体力と人材の違いが、政策遂行における大きなギャップが生じることも懸念されます。

現状を踏まえた上で、自治体が果たすべき具体的役割を政府はどのように考えているのでしょうか。

政府参考人(井上博雄君)
お答え申し上げます。

水素等サプライチェーンの構築に当たりましては、それぞれの地域に精通した地方公共団体が、各地域の需要を創出し拡大いただく役割を担っていただくことが非常に御指摘のとおり重要だと考えております。

例えば、東京都は、燃料電池バスを既に百台近く導入し、今後は燃料電池トラックの導入にも取り組むなど、商用車分野の需要創出にリーダーシップを発揮しております。

加えまして、自治体の皆様には、どの地点に水素等の供給拠点を整備するのか、その近傍の需要をどうやって掘り起こしていくのか、将来的にどういったインフラを通じて更なる需要拡大へと広げていくのかを含めまして、地域のグランドデザインを描いていただく取組は非常に重要だと考えております。

こうした取組を行うためにも、御指摘のとおり、資金や人材必要となりますが、経産省では、自立可能な水素等のサプライチェーン構築の実現可否を判断するための調査に対して支援を行うことといたしておりまして、こうした調査支援等を通じて、地方公共団体ともよく連携しながら、先行的で自立が見込まれる水素等サプライチェーンの可能性を持つ拠点候補をしっかりと掘り起こしていきたいというふうに考えております。

三浦信祐君
私の地元神奈川県では、川崎市が、早くも二〇一五年、平成二十七年に水素社会実現に向けた川崎水素戦略を策定し、水素エネルギーの積極的な導入と利活用による未来型環境・産業都市の実現を目指して進めておられます。具体的に、先導的なモデルとして八つのリーディングプロジェクトを実施している状況です。さらに、戦略に先駆けて、二〇一三年八月に京浜臨海部水素ネットワーク協議会を設置をして、全国に先駆けて水素ネットワークの構築による水素社会の実現に向けた検討を実施をしています。

また、横浜市では、カーボンニュートラルポートの構築を目指し、企業のみならず、そして隣接する川崎市とも連携して、水素エネルギーの利活用拡大に向けた取組も進めて、今、サプライチェーン構築を目指しています。

まず、これらの取組についての評価を伺いたいと思います。加えて、先導的に取り組んできている自治体にとって、本法律案が成立したことで何がどのように変わっていくのか、これまでの取組に対して、また計画を変更するタスクが生じていくのかなど、明確に整理をしていただきたいというふうに思います。齋藤大臣に伺います。

国務大臣(齋藤健君)
まず、川崎市や横浜市を始め様々な自治体が、リーダーシップを発揮しながら先行して水素サプライチェーンの構築に向けた検討を積極的に進めている。こうした個別の自治体の取組への評価は差し控えますけど、こうした動きは大変歓迎すべきものだと考えています。

今回の水素社会推進法案では、先行的で自立が見込まれる水素等のサプライチェーンを立ち上げていくということを目的として、価格差に着目した支援や拠点整備支援を行うとしております。この支援措置の採択に当たりましては、政策的重要性と、それから事業完遂の見込みの観点から総合的に評価を行う必要がありますが、その際、自治体との協調もその評価対象としたいと思っておりますことから、自治体主導の計画と事業者が申請する計画の内容というもののやはりすり合わせというものは求められるだろうというふうに思っています。

今後、制度詳細について国から情報提供していく中で、そういった情報を踏まえまして、自治体や事業者において、支援を受けるために計画の変更ということが検討されることも、まあ、ないかといえば、あり得るのではないかと考えています。

自治体におかれては、自立的なサプライチェーン構築に向けた取組を引き続き検討いただくとともに、経済産業省としても、引き続き計画変更の必要性などに関する自治体や事業者からの問合せや御相談に真摯に丁寧に対応してまいりたいと考えています。

三浦信祐君
是非そのようにお願いしたいと思います。

先般の参考人質疑におきまして、竹内参考人からは、基礎自治体の役割の議論で、保安に関する部分についての議論の中でけんけんがくがくの議論があった、当初、国が一体、全面的に面倒を見ます、年数がたって、知見の蓄積等を含め、時が来た段階で自治体に権限移譲をしていくといった特殊な特例扱いを設けたとのお話をいただきました。

こういう部分においても、自治体との連携、人材育成は極めて重要でありまして、これについて政府としてどのように今後これを進めていくのか、明確に御答弁をいただきたいと思います。

政府参考人(辻本圭助君)
お答え申し上げます。

いわゆる水素社会推進法案の保安措置につきましては、大規模な低炭素水素等の供給、利用について、安全確保を大前提に、認定計画に係る事業の早期開始に資するべく、高圧ガス保安法の許可等に当たる行為を国が一元的に行う特例を講ずるものであり、事業の製造開始から三年を経過した後は、自治体に検査等の権限を移譲することとしております。この措置の下で、委員御指摘の自治体との連携、自治体における人材育成は、これ極めて重要であるというように考えています。

まず、国と自治体の連携につきましては、国から自治体への円滑な事務手続等の移譲を可能とするよう、国が本特例措置の手続などを行った際にはその都度その旨を自治体に通知することを本法案において法定化してございます。

また、二番目の御指摘、重要な点でございますけど、自治体の保安業務に係る人材の育成につきましては、まずは自治体職員も対象とした産業保安法令の執行等に関する各種研修の実施、また、各地域ブロックごとに自治体の保安担当者を集め、規制の運用に関する情報交換を目的とした定期的な会議の開催、自治体職員などに向けた産業保安の法令及び運用に関するメールマガジンの発行などに取り組むとともに、本法案の保安措置の検討に当たりましては、御地元の神奈川県、まさにそうでございましたけれども、自治体の担当者と幾度にわたる意見交換を行ったところでございます。

引き続き、こうした取組などを通じて、国としては、本法案の執行に当たっても自治体としっかり連携していくとともに、自治体の保安業務に係る人材の育成をサポートしてまいりたいと考えております。

水素活用社会構築への取り組みについて

三浦信祐君
次に、水素活用社会構築への取組について質問させていただきます。

水素供給拠点の集約化について、大規模化と中規模拠点の構築と連携が重要だと考えております。一方で、従前に構築されている設備からの変化となるために、これらの投資を呼び込めること、そして実行すること、また円滑に実現できるかが鍵となると考えます。

水素供給拠点の構築へ企業が投資するに当たって、国からのどこが支援の境目かということが重要だと思います。要は、ハードとしても、バルブ一個のところに支援してくれるのかしてくれないのか、その数が多くなることによって予見性というのが整理されるはずであります。

政府は具体的に何に対して支援をしていくと考えているのか、現時点での検討状況も含めて教えていただければと思います。

政府参考人(定光裕樹君)
拠点整備支援におきましては、水素などの大規模な需要の創出と効率的なサプライチェーンの構築を目的として、低炭素水素などの大規模利用に資する共用インフラに対して支援を行うことを想定してございます。

具体的には、水素やアンモニアの受入れから各社に水素等が配分される責任分界点までの間の共用インフラとして利用されます貯蔵タンク、パイプラインといったもののほか、開閉バルブ、計量器、払出しポンプなどの附帯設備などを想定してございますけれども、詳細は今後検討してまいりたいと考えてございます。

アンモニアについて

三浦信祐君
是非細かく規定をしていただいて、これを進める大事な要素でありますので、よく情報提供もしていただきたいと思います。

質問をちょっと飛ばさせていただいて、水素等に今回含まれているアンモニアについて質問させていただきます。

現状のエネルギー発生アセットをそのまま活用することができるという視点で、石炭火力あるいはLNGだきのボイラー、またガスタービンの燃料の混焼へアンモニアの活用が我が国において効果的であると私は考えております。

現状、アンモニア混焼技術の日本の技術力の世界的立ち位置、これをどう認識しているか、伺います。

政府参考人(井上博雄君)
お答え申し上げます。

アンモニア混焼技術につきましては、例えば窒素酸化物を低減させる燃焼技術の開発、あるいはアンモニアの着火や燃焼の安定性といった課題への対応、こういった点では、中国や韓国よりも我が国に優位があるというふうに考えております。

また、先月から、碧南火力発電所におきまして、商用運転中の百万キロワットの実機における二〇%混焼実験が開始されており、着実にアンモニア混焼の実用化に向けて進んでいるところでございまして、今後、グリーンイノベーション基金も活用しながら、アンモニアの更なる高混焼であるとか専焼に向けた技術開発も進めて、技術で世界をリードしていければというふうに考えております。

三浦信祐君
大臣に伺いたいと思います。

ボイラー等にアンモニアを活用しようとしていることに対する世界からの評価と、日本がこの技術を導入しようということ、これを挑む理由について、国民の皆様に分かりやすく是非御説明をいただきたいと思います。

国務大臣(齋藤健君)
アンモニアを発電に対して利用することで石炭火力の延命を図っているのではないかという御批判があるのも私は承知をしているわけでありますが、他方で、昨年のG20サミットでは、水素やその派生物であるアンモニアの製造、利用や、世界市場の開発を加速しようということで一致をしています。また、IEAのレポートでも、石炭火力からの排出を低減する取組として、燃料アンモニアの活用にも言及がなされています。このため、燃料アンモニアの利用について、国際的にも一定の理解が得られていると考えています。

アンモニア混焼は、アジアを中心に、伸び行くエネルギー需要を石炭火力で賄う状況が続く国が現実にございます。安定供給と脱炭素を両立できる現実的な手段としてはニーズがあるんですね。

また、我が国では、窒素酸化物への対応ですとか、先ほど事務的に御説明しましたが、窒素酸化物への対応ですとかアンモニアの着火や燃焼の安定性といった課題への対応に技術的な優位性を持っているわけであります。そのため、大気汚染が深刻なアジア諸国において、新規に参入しようとする中国や韓国の技術と私は差別化が図れるのではないかと考えています。

AZEC等の枠組みを活用した具体的プロジェクトの推進や政策決定支援を通じて、いち早く信頼性の高い脱炭素技術を商用化をして、アジアのマーケットを中心とした市場を獲得しつつ、我が国の産業競争力の強化にもつなげていきたいと考えています。

三浦信祐君
私自身、以前は大学で材料の研究をやっておりまして、ガスタービンの素材、またボイラーの素材を研究をしてまいりました。これもう世界トップレベルであります。ところが、火力発電で脱炭素ということになりますと、その入口が変わってきて、研究者の人材放出ということもまさにつながってくることになります。

先ほど村田委員からもありましたけれども、労働者がどうなるのかということと同時に、研究者もどうなるのかということもあります。しかし、現状のアセットを活用していけば、これはアジアの市場を狙えるというのは大変希望がある話ですし、商用化をするということはとても重要だと思います。是非これを、取組を我々もしっかりと応援していきたいと思いますので、経産省にも努力をいただきたいと思います。

アンモニアの安定確保について、現在の予見性はどのようになっているのでしょうか。

二〇二三年六月六日に再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議から発表されている水素基本戦略において、第三章のところでは、安定的、安価かつ低炭素な水素・アンモニアの供給について、(1)番、安定的な供給の中で、二〇三〇年で最大三百万トン・パー・イヤーですね、二〇五〇年で二千万トン・パー・イヤー程度を掲げていますけれども、実はこれ、水素と合わせての表現であります。

アンモニアはどうなっていくのでしょうか。また、水素の導入量を正確に把握する観点から、水素の製造量や消費量等についても統計等の整備を通じた定量的な把握に努めるとの記述もありますけれども、アンモニアについてもやはり必要なんではないかなと思いますけど、いかがでしょうか。

政府参考人(井上博雄君)
お答え申し上げます。

アンモニアの安定供給確保、大変重要だと考えておりまして、このため、JOGMECによるリスクマネー供給支援を行うほか、価格差に着目した支援の計画の評価に当たりましては、上流の、どのような状況なのかと、その状況等も評価項目の一つとしてしっかりと位置付けてチェックをしていきたいというふうに考えております。

また、御指摘の水素基本戦略における導入目標でございますが、アンモニアの供給目標、二〇三〇年につきましては、アンモニアの量として三百万トン、そして二〇五〇年におきましては、アンモニア量で三千万トンを導入目標というふうに考えてございまして、これに向けて取り組んでいきたいと考えております。

統計等の整備を通じた定量的な把握、どうするんだアンモニアはということでございますけれども、こちら、アンモニアの事業実態につきましても適切に把握、分析できるよう、統計等の整備にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

CCS法について

三浦信祐君
戦略的には重要ですので、その統計に基づいて、また投資も必要になってくるかと思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。

質問を一問飛ばしていただいて、CCS法についての角度ではありますけれども、最後質問させていただきたいと思います。

CO2を分離する技術があり、炭素、これをエネルギーとして活用できることが実は地球環境改善に大きな貢献を果たすことにもなると思います。今回CCSについての法律ではありますが、Cを、C、炭素、これを分離、活用するための研究、技術開発状況はどのような段階にあるのでしょうか。また、そのままCO2を活用するカーボンリサイクル製品の開発加速も重要だと思います。CCUSの構築も後押しとなると考えますけれども、今後の展望について伺います。

政府参考人(定光裕樹君)
カーボンニュートラル実現に向けてはあらゆる選択肢の追求が必要でありまして、CCSとともにCO2を資源として捉え、炭素材料や合成燃料などの多様な分野で再利用するカーボンリサイクルの取組も重要でございます。

委員御指摘の、このCO2から炭素を分離する技術も広くカーボンリサイクルというふうに我々捉えておりますけれども、特にそのCO2を化学的に分解して炭素材料を製造する技術につきましては、既に要素技術は確立してございます。国としても、NEDOを通じて支援を行っているところであります。

今後の課題といたしましては、エネルギー効率の向上や製造された炭素材料の質の向上などが今後の課題であるということと承知してございます。こうしたカーボンリサイクルに共通の課題を踏まえて、コスト低減や効率的な製造に向け技術開発を進めつつ、社会実装を支援していくことが重要でございます。

経産省といたしましては、広島県大崎上島にカーボンリサイクル技術の実証研究拠点を整備したことに加えて、グリーンイノベーション基金などにより技術実証を進めているところでございます。

引き続き、こうした取組を通じて、カーボンニュートラルの実現に向けて、CO2の利活用にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

三浦信祐君
規格化、標準化、この水素、そして低炭素社会をつくるということで、日本の成長にも資すると思いますので、しっかりとこれから取り組んでいただきたいということをお願いして、質問を終わります。

ありがとうございました。