第213回国会 参議院 経済産業委員会 第3号 令和6年3月22日
防衛生産基盤強化法と施設整備との関係について
三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。
昨年十月に施行された防衛生産基盤強化法において、サプライチェーン上重要な生産基盤等の確保に法的、予算的措置が、支援が始まっております。サプライチェーンの強靱化、製造工程の効率化、サイバーセキュリティー強化、事業承継等に活用できるようにはなっております。
先日、九州の造船所を訪問した際に、生産基盤と一体となる建造物の老朽化が進み、事業として艦艇整備等を行う際に大きな障害となっているという旨、切実な声を伺いました。防衛生産基盤強化法では、生産基盤等となる建造物自体への支援は対象となっておりませんが、安全保障上極めて重要な点であります。
今後、対象とすべく取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(西脇修君)
お答え申し上げます。
委員御指摘の防衛生産基盤強化法においては、サプライチェーンの強靱化や製造工程の効率化といった事業者が行う各種取組について財政上の措置を講じることが可能となっております。その中で、今委員から御指摘がございました建造物の整備についても、製造工程の効率化や事業承継等に不可欠なものであるといった防衛生産基盤強化法の趣旨に合致するものであれば、私どもとしても、これは財政上の措置の対象となり得るというふうに考えております。
防衛省としましては、現在この法律の施行を進めているところ、企業からの声、これを受けて、同法の趣旨に合致した計画の提出がなされるよう調整し、委員が御指摘されたような制度の適切な運用に努めているところでございます。そうした中で、こういった防衛生産・技術基盤の維持強化のために必要なもの、効果的な施策については不断に検討してまいりたいと、このように考えております。
三浦信祐君
これは経済安全保障の視点からもとても重要でありますので、経産省とよく連携取っていただきたいということを冒頭から申し上げさせていただきたいと思います。
今後、防衛装備品の創出、生産力向上には、防衛産業へのスタートアップの活用を欠かすことはできません。そのためには仕組みづくりが必要であり、防衛省はニーズを出して、そして経産省はグループ化が必要であれば整えて、契約制度の構築、マッチング等、行うべきことが多数あります。
スタートアップが活躍できる、またその力を取り込むことができるようにするためには、経済産業省と防衛省がそれぞれどう取り組んでいくのか。重要な局面でありますから、強力に連携して進めることを明確にしていただきたいと思います。
併せて伺いたいと思いますけれども、防衛産業への利益率引上げが始まっておりますが、サプライチェーン全体への裨益、これが必要であります。プライム企業だけを見て利益率を考えてはいけません。現行制度で適正な利潤が二次、三次の企業にまで行き渡るのか、最前線まで届いてこそ防衛産業、サプライチェーンの持続性が確保できると私は考えております。下請取引、適正な取引、下請という言葉も余り使いたくないと思いますけれども、防衛産業においても制度を整える必要があると考えます。
是非二つについて取り組んでいただきたいと思いますけど、まず齋藤大臣に伺って、その後、防衛装備庁からも御答弁いただきたいと思います。
国務大臣(齋藤健君)
委員御指摘のとおり、我が国の防衛力の強化のためには、まず、優れた技術を有するスタートアップの参入、これを促すとともに、防衛省と直接の契約関係にない中堅・中小企業も含めたサプライチェーン全体で防衛産業の基盤強化を図っていくことが不可欠だと考えています。
こうした認識の下で、経済産業省としては、防衛省とも連携をして、スタートアップと防衛省・自衛隊の装備品等の整備、研究開発等の担当部局、これを引き合わせるマッチングの機会を提供しています。また、そうした機会に、デュアルユース技術の活用に向けた支援の在り方等についても意見交換を行っているところであります。
今後、マッチングの機会をより拡大をし、かつ効果的に行うための方策についての議論を防衛装備庁と進めていきたいと考えています。
また、中堅・中小サプライヤーにおける適正な利益等の確保に向けましては、現在、防衛装備庁と共同で有識者検討会を開催しておりまして、防衛産業における下請適正取引等の推進のためのガイドラインの策定、これに向けた今検討を進めているところであります。同ガイドラインを早期に策定をして、その後のフォローアップも行うことで、防衛産業を支える中堅・中小企業の経営基盤強化に取り組んでいきたいと考えています。
政府参考人(西脇修君)
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、防衛省としては、いわゆる新しい戦い方に必要な装備品の取得を進める観点から、スタートアップ企業と連携し、企業が有する先端技術を装備品に積極的に取り込んでいきたいと、こういうふうに考えております。
こうした認識の下、今、齋藤大臣からもお話ございましたように、経産省とも連携いたしまして、防衛省・自衛隊のニーズとスタートアップ企業の技術、これをマッチングさせていくことに取り組んでおります。その上で、今後、マッチングを更に効果的に行うための方策について、経済産業省とも議論を進めているところでございます。
また、もう一点の中堅・中小企業を含むサプライヤーにおける適正な利益の確保などを図るため、これも先ほど齋藤大臣からお話ございました有識者検討会を両省で立ち上げまして、防衛産業における下請適正取引等の推進のためのガイドライン、これの策定に向けた検討を今進めているところでございます。
このように、防衛生産・技術基盤の強化に当たっては、防衛省が直接契約する企業のみならず、サプライチェーン全体を対象に各種施策を講じていくことが重要であると認識しておりまして、ガイドラインの早期策定に経産省ともよく連携して取り組んでまいります。
経済安全保障、中小企業サプライチェーンチェックについて
三浦信祐君
明確にお答えいただきましたので、しっかりと支えていきたいと思います。スピンオンとスピンオフ、この相まったところにしか出てきませんので、是非強靱に取り組んでいただきたいと思います。
それに関連しまして、経済安全保障に関して質問させていただきます。
経済安全保障を見据えれば、我が国のどこでどのような製品を作ることができるのか、企業情報等を確保しておくということが極めて重要であります。重要サプライチェーンチェックなくして経済安全保障の実効性は確保することはできません。重要物資の確保とそのサプライチェーン、生産基盤等のチェックはどのように実施するのか。これ、強靱な体制で実施すべきだと私は思います。
経済産業省には、中小企業庁、中小機構等、現場で直接企業を支援している組織があります。一方で、日本が持てる技術、そして製品、技能等について今後必要となる現場での情報把握、これは、デュアルユース時代に対応が迫られる防衛省も含めて、他省庁ではその機能を持ち得ていないというのが実態であるというふうに思います。
これらのデータベース化や連携体制の強化へ、会議体等を設けて、また共有する場を構築すべきだと私は考えます。シンクタンク力、現場情報力、データ化力が相まって経済安全保障と日本の技術力向上が図られると確信いたします。是非取り組んでいただきたいと思いますが、齋藤大臣に伺います。
国務大臣(齋藤健君)
厳しさを増す国際情勢の中で、サプライチェーンの実態を把握し、その強靱化に向けて取組を強化していくこと、これは経済安全保障の観点から極めて重要であります。
それで、経済産業省では、大臣官房経済安全保障室を中心に、関係業界を担当する部局と連携をしながら、経済安全保障推進法に基づくサプライチェーン調査を実施をしています。その上で、経済安全保障上重要な物資を特定重要物資に指定をし、その安定供給に取り組む民間事業者等を支援することを通じて、サプライチェーンの強靱化を今現在図っているところであります。
また、経済安全保障に係る官民による戦略的対話、これを推進しておりまして、これまで業界団体、企業、地域などに百回以上の対話を実施をして、サプライチェーン上の脅威、リスクの把握、革新技術への積極的な投資、重要技術の流出防止等の必要性について認識を共有をしてきているところであります。
引き続きこうした取組を継続するとともに、官民が緊密に連携することで、サプライチェーンの強靱化に向けた取組を進めていきたいと考えています。
三浦信祐君
これ、実効性伴っていくことが大事だと思いますので、お願いしたいと思います。
二〇二二年策定の安保戦略三文書において、外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力を総合的な力で我が国の安全保障を実現すると規定されました。私自身も、総理を始め大臣との質疑も重ねて、策定以前から総合力について主張して、与党ワーキングチームの一員として参画した上で取りまとめられました。
経済力には、金融、経済、財政の力を保持することは必須であります。その上で、経済の中でも経済安全保障的観点から、経済活動基盤の持続可能性、生産基盤の保護強化、新技術創出と基礎研究を含む人材育成の強化というのは欠かすことはできません。
経産省としての責務は重い中、これらについて具体的にどのように取り組んでいくのでしょうか。
政府参考人(田中一成君)
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、令和四年十二月に改定されました国家安全保障戦略などにおいては、国益を守るために最大限活用すべき国力の一つとして経済力が挙げられ、またその戦略的アプローチの一つとして経済安全保障が位置付けられております。
経済産業省といたしましては、こうした経済安全保障に係る政府全体の動きも踏まえまして、産業支援策、産業防衛策、国際連携という三つの柱から成る経済安全保障に関する取組をまとめたアクションプランを策定したところでございます。
委員御指摘の新技術の創出や人材育成、これらは本アクションプランにおける重要な取組の一つでありまして、引き続き我が国の産業技術基盤の強化に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
三浦信祐君
その上で、AI、デジタル、機械化等、最先端技術開発が進んでいく中でも物づくりの力、この強化は必須と強く主張したいというふうに思います。ソフト、ハード、いずれもデジタル化が進むとしても、プロセス全てにおいて、従前の物づくり技術と技術者を欠かすことはできません。物品や機器にだけ注目するのは経済安全保障とは言えないと考えます。人材も企業体も一体性を持って力が発揮することができる。
日本の基盤的製造業を守るための方策を具体的に予算、制度でどのように支えていくのでしょうか。明確に答えていただきたいと思います。
政府参考人(田中一成君)
お答え申し上げます。
我が国製造業は、雇用及びGDPの約二割を占める基幹産業でございます。この分野で人手不足が顕在化する中でも、その技術力の源泉である人材の確保、育成を図っていくことが非常に重要と考えております。
こうした課題認識の下、経済産業省として、賃上げ促進税制の拡充、労務費転嫁の指針の徹底活用、省力化投資の支援などあらゆる政策を総動員して、賃金も含めた製造業の労働環境の魅力向上に向けて取り組んでまいります。
さらに、生産性の向上や国内人材確保のための取組などを行ってもなお人手不足が著しい分野につきましては、特定技能制度も活用しまして、鋳造、溶接、電子機器組立てなどの物づくり技術を有する外国人材の確保を進めているところでございます。
経済産業省としましては、厚労省などの人材育成の取組とも連動する形でこれらの施策に総合的に取り組むことで、物づくり技術を担う人材の確保、育成を図ってまいりたいと考えております。
三浦信祐君
現場の中小企業の経営者の方は、いろんなメニューがあり過ぎてよく分からないと、またその時間を確保できないと。政策のラインナップは整えても、それにアクセスできなければやっぱり効果が出ないと思いますので、今後、是非プッシュ型で、現場をよく回っていただきながらいろんなアドバイスをするということを経産省を始め総体的にやっていただきたいということを重ねてお願いしたいというふうに思います。
我が国における経済的威圧に対抗するための政府における体制はどのようになっているのでしょうか。情報掌握体制、その情報を分析し、対策を構築する体制、またサポート体制、複線化や他国との協議等を行う体制など、備えるべき体制は多岐にわたるものであります。経済的威圧を認識した時点で構築しているようでは当然ながら遅いと言えます。
政府の体制にはNSSの経済班もありますけれども、齋藤大臣、経済産業省としてどのように備えるか、お考えを述べていただきたいと思います。
国務大臣(齋藤健君)
まず、特定の国家による経済的威圧によって国家の自主的な政策の意思決定や健全な経済発展が阻害されるということは認められないし、あってはならないと。政府としては、昨年五月のG7広島サミットを始め様々な機会を捉え、経済的威圧に対抗するとの意思を明確にしています。
御指摘の情報収集ですとか分析や他国との協議など、外国から経済的な威圧に対する対応については、国家安全保障戦略、これを踏まえて、内閣官房国家安全保障局を中心に政府一丸となって効果的な取組を進めていくということが大事だと思っています。
もちろん経済産業省としても、経済安全保障の確保に関する体制の構築ですとか、先ほど来御説明申し上げましたサプライチェーン強靱化に向けた取組など、経済的な威圧に備えた取組、これもしっかり進めていきたいと考えています。
医工連携イノベーション推進事業、再生医療・遺伝子治療について
三浦信祐君
戦略的な自律性や不可欠性、これをいかに持ち得るかということ、これは、まさに経済産業省が現場力がありますから、そこを予算的、制度的にもサポートするとともに、それを見抜いていく力も、あわせて人材育成と重ねて是非やっていただきたいということもお願いさせていただきたいと思います。
次に、医工連携の推進について伺います。
日本の医療技術と工学技術を融合させることで、我が国はもとより、世界中の医療機器現場で活用できる技術、技能、機能を生み出す可能性を我が国は多数持ち得ていると考えます。競争力の強化、イノベーションの推進を意図した医工連携イノベーション推進事業は、その一翼を担うと期待をしております。本年度も十六億円計上されています。
現状の取組について伺います。
政府参考人(山影雅良君)
医療機器産業は、国民の健康を下支えするとともに、成長産業としても極めて重要な分野と認識してございます。委員御指摘のとおり、日本の医療技術、それと工学技術と融合させまして、医療機器として医療現場で活用していただくこと、これ非常に重要なことと考えてございます。
経済産業省といたしましては、医工連携イノベーション推進事業によりまして、これを後押ししているところでございます。
本事業におきましては、医療現場のニーズ、これにお応えするため、中小企業あるいは大学等が有する物づくり技術、これを活用いたしまして医療機器の開発を支援するとともに、実用化に向けた伴走支援、あるいは事業化に向けた専門家の助言、あるいは情報提供など、こういった形で進めているところでございます。
現にこれまで既に二百十八件支援してございますけれども、この中から百十五製品、市場に提供されておりまして、約百六十七億円の売上げを実現するなど、着実に成果を出してきているところでございます。
経済産業省といたしましては、今後とも、さらにこの成果を上げられるよう、厚生労働省等とも連携をいたしながら、米国など海外展開を見据えた医工連携、取組を推進してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
三浦信祐君
まさに投資に対するエビデンスがはっきり出ると、ワイズスペンディングの一環でありますので、よくよくこれを強靱化するということが大事だと思いますので、取り組んでいただきたいと思います。
再生医療、遺伝子治療技術には、研究段階、治験段階、創薬あるいは治療法確立段階、そして臨床現場活用段階と、多くの越えるべき取組があります。ベンチャー企業が参入に挑む中で、医療に限らず、補助金、補助金、補助金で市場に到着できなかった場合が決して少なくありません。日本の弱点と言えるかもしれません。
市場投入へのアプローチは、補助金ではなくて、もう一段、支援資金体制が必要と考えます。大きな伸び代がある再生医療、遺伝子治療技術を現場に実装させる取組を確実に行っていただきたいと思いますが、是非、齋藤大臣、取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(齋藤健君)
再生医療、遺伝子治療は、将来の市場拡大が期待されることに加えまして、日本にはiPS細胞などの優れた研究成果がありまして、我が国の勝ち筋となり得る分野だろうと考えています。
当該分野の創薬開発におきましては、開発期間が長期にわたり、費用も膨大であるといった、そういう特徴があります。
経済産業省では、新薬創出の鍵を握る創薬ベンチャーの育成のために、御指摘のように、単年度の補助金ではなくて、医薬品の上市に必要な治験費用に対し、基金で継続的な支援を行っているところでありまして、現在支援対象としている課題のうち、約半数が再生医療、遺伝子治療の開発となっております。
引き続き、関係省庁とも連携しながら、我が国の再生医療、遺伝子治療の実用化を一層加速してまいりたいと考えています。
福島原発廃炉について
三浦信祐君
これから相談もたくさんあると思いますので、その治験をフィードバックできるように、より取組を進めていただきたいと思います。
福島第一原発の廃炉について質問いたします。
東日本大震災の復興は、福島第一原発の廃炉をなし得てこそだと思います。福島第一原発廃炉措置の燃料取り出しの現状について伺いたいと思います。
政府参考人(湯本啓市君)
お答え申し上げます。
東京電力福島第一原発の廃炉は、国が定めた中長期ロードマップに基づきまして取組を進めております。
まず、使用済燃料プールからの燃料取り出しですけれども、既に三号機と四号機で完了しております。現在、一号機、二号機における取り出しに向けまして、大型カバーを建屋の外に設置するなどの準備作業を行っているところであります。
燃料デブリ取り出しにつきましては、二号機の試験的取り出しに向けまして、現在、取り出し装置を投入いたします貫通孔内の堆積物除去作業を実施しております。
まずは、伸縮式の、いわゆるテレスコ式と言っておりますが、こういった装置を使用しまして、着手時期としましては、遅くとも本年十月頃を見込んでいるところでございます。また、三号機における燃料デブリの大規模な取り出しに向けまして、原子力損害賠償・廃炉等支援機構において工法の検討が行われ、先日報告書が公表されております。
今後、この報告書の提言を踏まえまして、東京電力において具体的な設計検討等が進められていくものと承知しております。
三浦信祐君
今触れていただきましたけれども、先般、原子力損害賠償・廃炉等支援機構から燃料デブリ取り出し工法評価小委員会の報告書が公表されております。その内容と今後の取組はどのようになっていくのか、御説明をいただきたいと思います。
政府参考人(湯本啓市君)
お答え申し上げます。
御指摘いただきました報告書につきましては、燃料デブリが気中に露出した状態で取り出すいわゆる気中工法と、充填材で燃料デブリを安定化させつつ現場の放射線量を低減し、充填材ごと取り出す充填固化工法という工法の組合せによる設計検討及び研究開発を開始することといった提言がなされております。
今後、この報告書の提言を踏まえまして、東京電力が具体的な設計検討及び研究開発を実施する予定としております。経産省としましても、燃料デブリの安定かつ着実な取り出しに向けまして、東京電力の取組をしっかりフォローしてまいります。
三浦信祐君
燃料デブリの取り出しというのは、いずれにせよ世界初の試みであります。多くの従来技術を活用するとともに、新たなイノベーションを生み出す機会にまで昇華させる取組が必要だと思います。今回の設計段階から実行までのプロセスすら価値に変えることが必要だと思います。単に東京電力だけに段取りをやらせるのではなくて、政府、NDFが技術的知見を集約できるように全面的に取り組んでいただきたいと思います。
ベンチャー企業が技術者をいま一度強力に集積する体制も図っていただきたい。確実に推進できるように、位置付けも含めて立法も視野にすべきだと考えますが、齋藤大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(齋藤健君)
福島第一原発の廃炉、これは世界的に前例がありません。中でも、燃料デブリの取り出しにつきましては、特に技術的難易度が高い取組であります。このため、国が予算措置を講じて廃炉に必要な技術の開発を支援してきておりまして、例えばロボットアームの開発には英国企業が参加するなど、これまで国内外の研究機関や民間企業など多くの主体が参画をしてきています。
また、原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、平成二十六年八月に設置法が改正されまして、福島第一原発の廃炉等を実施するために必要な技術に関する研究及び開発に関する業務を行うことを明確化したところであります。廃炉の技術開発に当たりましては、機構が廃炉における技術課題を踏まえて企業や研究機関、有識者から知見を収集し、今後十年程度を俯瞰した研究開発中長期計画を策定するとともに、予算事業における研究開発のプロジェクトマネジメント等を実施をしています。
さらに、予算事業において得られた成果につきましては、当該事業に参画した企業や研究機関に知見や技術として蓄積をされるとともに、他産業でも最大限生かせるようホームページにて公開をして、幅広い関係者に共有できるようにしているところであります。
引き続き、国も前面に立って、機構とも連携しつつ、国内外の英知を結集して福島第一原発の廃炉を進めていくとともに、得られた知見が他の分野にも生かされるよう取り組んでいきたいと考えています。
三浦信祐君
先ほど大臣もおっしゃっていただきましたけど、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉と福島の復興は、経産省の最重要課題だと述べていただきました。私も実家が福島にあります。むしろ、この価値を創造してこそ心の復興にも直結しますし、ここから生み出した技術で安全と平和をつくるということに是非先頭に立って頑張っていただきたいということをお願いさせていただいて、質問を終わります。
ありがとうございました。