第211回国会 参議院 決算委員会 第9号 令和5年5月22日
がん検診を受けやすい社会の実現へ
三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。
がん検診を受けやすい社会へ、効果的な予算、制度構築について質問させていただきます。
公明党が強力に推進した二〇〇六年がん対策基本法の成立以降、がん対策推進基本計画が策定され、以来、基本計画に基づいて施策が推進されてまいりました。そして、本年の三月、第四期がん対策基本計画が閣議決定されております。
これまで予算、制度、保険等を活用してがん対策の推進を進めてまいりましたが、今回の第四期計画の意義について厚労省に伺います。
政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。
厚生労働省におきましては、これまで平成三十年に作成された第三期がん対策推進基本計画に基づきがん対策に取り組んでまいりました。今後更なるがん対策を推進するためには、がんの早期発見、治療のためのがん検診の充実、患者のニーズに応じた質の高いがん医療を受けられる医療提供体制の整備と連携強化、治療法等のがん研究の推進、デジタル化を活用した保健医療サービスの提供などに取り組んでいく必要があると考えております。
本年三月二十八日に閣議決定されました第四期がん対策推進基本計画におきましては、がん検診受診率の目標を第三期計画の五〇%から六〇%に引き上げることとしたほか、これらの項目や関連する施策の更なる推進を盛り込んでおり、引き続き地方公共団体とも連携しつつ、がん対策の更なる推進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
三浦信祐君
早期に発見されたがんの多くが治療可能となった現代において、がん検診は国民の健康を守るために極めて重要な手段の一つであります。しかし、我が国におけるがん検診受診率はおおむね五〇%以下にとどまっております。第四期がん対策基本計画において、今答弁もありましたけれども、がん検診受診率六〇%を目指すとしております。
実現には、検診実施体制の確保、充実とともに、より検診を受けやすくするための仕組みづくりが必要です。中小企業に勤務する方々、自営業、フリーランス、主婦、また夫と書く主夫など、多様なライフスタイルに応じた全ての国民の皆様がひとしくがん検診を受けやすい社会をつくるためには、社会の仕組み、習慣、常識自体を根本から変えていく必要があると私は考えております。
がん検診の義務化を含め法的位置付け等、検討すべきだと私は思います。加藤大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(加藤勝信君)
委員御指摘のがん検診の受診率向上に向けては、就労されていない方、非正規で働いている方、フリーランスの方等、就労や雇用の状況にかかわらず誰もががん検診を受診しやすい環境を整備することが大変重要であります。
例えば、これまでもがん検診のあり方に関する検討会等々において、女性については、検査に伴う痛みや精神的な不安、羞恥心等の課題があること、非正規雇用労働者については、がん検診を受診するための時間の確保が難しいことなどの御指摘をいただいております。
こうした課題を踏まえて、本年度から、厚生労働科学研究の一環において、市区町村における先進的な取組を含め実態把握を行った上で、がん検診の対象者の特性に応じた効果的な方策を検討していきたいと考えております。
また、本年三月に閣議決定されました第四期がん対策推進基本計画においても、誰もが受診しやすいがん検診の体制を構築するため、女性、障害者、非正規雇用労働者等が受診しやすい環境の整備など、がん検診を受診する上での課題を明確にし、利便の向上に努めるとともに、市区町村においては、現在、健康増進法に基づいて実施をするということになっておりますが、一方で企業は任意で行っているわけであります。したがって、市町村と職域におけるがん検診を一体的に進めることができるよう、職域におけるがん検診の実施状況の継続的な把握や適切な実施に向けた課題の整理を行い、職域におけるがん検診の法的な位置付けも含め、がん検診全体の制度設計についても検討したいと考えております。
こうした措置を検討し、また実施していくことによって、がん検診の受診率を向上させるようしっかりと取り組ませていただきたいと思います。
三浦信祐君
とても大事な答弁をいただきました。
実は、住民基本台帳に基づいたデータしか、検診率というのは把握ができておりません。なので、きちっと、個人でやられているもの、そして企業でやっているものも把握をすると同時に、やはり法制化ということも、また、制度を整えるということ、とても重要ですので、これ強力に進めていただきたいことを重ねてお願いします。
現在、がん検診は、健康増進法に基づく市町村事業として行われております。がん検診受診率を劇的に向上させるためには、実施主体である市町村にもっとやる気になっていただかなければなりません。
がん検診は交付税措置されているとの認識ですが、市町村のがん検診への取組の強化、受診率向上のために政策遂行した際、財政負担の上昇が当然生じてまいります。国として、今後、がん検診の受診率が上がった場合、上がっていった場合、それに応じた財政措置がなされるのでしょうか。私は当然されるとの認識でありますけれども、松本総務大臣、明確にお答えいただきたいと思います。
国務大臣(松本剛明君)
委員御指摘のとおり、がん検診の実施は、健康増進法に基づき市町村の努力義務とされているところでございまして、がん検診の意義も既に御議論があったとおりかと思います。受診率の向上が大変重要であると私どもも認識をしているところでございます。
その経費につきましては、平成十年度に一般財源化され、普通交付税の基準財政需要額に算入しておりまして、受診者数等の実態を踏まえた所要額を地方交付税措置しているところでございます。
今後とも、がん対策を所管する厚生労働省と連携しまして、地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう適切に対応いたしたいと考えております。
三浦信祐君
適切に対応していただける、まさに現場で命を守る基礎自治体の皆さんがこれからしっかりと取り組んでいけるということも明確になったと思います。
総務大臣についての質問は以上ですので、御配慮いただきます。
委員長(佐藤信秋君)
総務大臣は御退室いただいて結構です。
がん検診の意義付けを幅広く捉え直すべきことについて
三浦信祐君
がん検診の意義付けを幅広く捉え直す必要性について質問いたします。
厚生労働省は、がん検診について、科学的根拠に基づくものを告示し、実施主体である市町村等に対し、これらを実施することを推奨していると承知をしております。その一方で、科学的根拠に基づかない検診として、前立腺がんに対するPSAや肝がんに対する超音波等を挙げて、その適正な実施を促すとしております。
厚生労働省に伺います。ここでいう科学的根拠とはどのようなものでしょうか。
政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。
市町村が健康増進法に基づいて実施しておりますがん検診は、一定の集団を対象として、がんに罹患している疑いのある方やがんに罹患している方を早期に発見し、必要かつ適切な診療につなげることによってがんの受診率の減少を目指すものであり、がん検診のうち、その科学的根拠が明らかなものを指針において示しております。
委員御指摘の科学的根拠に基づくがん検診とは、検診を行うことで得られるがんの早期発見、早期治療による死亡率の減少等の利益が、検診に伴う偽陽性や過剰診断等の不利益を上回ることが信頼性の高い研究により証明されている検診方法とされておりまして、新たな検診方法を導入する、指針へ導入する際には、がん検診のあり方に関する検討会で議論することとなっております。
三浦信祐君
明確な根拠があるということが分かりました。
その上で、集団としてのがんの死亡率の低下は、普遍的かつ究極的ながん検診の意義であり、重要であることは論をまちません。一方で、新しいがん検診の手法が開発された後、それらがもたらす死亡率低下の効果を実社会において確認するためには、大規模なコホート研究を長期間にわたり実施することが必要となり、結果として、国民の皆様が新しいがん検診の手法へのアクセスが大幅に遅れてしまうという問題、実態があります。
検診と同様に、公費が投入されている医療においては、必ずしも死亡率の低下が確認された治療法でなくても、患者の生活の質、QOLの向上等の効果が客観的に示されたものについては保険適用が既にされております。がん検診においても、例えば一定の蓋然性を持って死亡率の低減が見込め、代替指標でのエビデンスが認められるもの、また、死亡率の低下はなくとも、QOLの改善や、より早期の社会復帰に伴う労働生産性の向上等の医学的、経済学的な利益が示されたものについては、科学的根拠がないと一くくりにして一様に排除すべきものではないと私は考えます。
佐原局長、是非大胆に検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。
まず、先ほどのちょっと答弁で、がん検診はがんの受診率の減少を目指すと答えてしまいまして、がんの死亡率の減少を目指すものということで訂正をさせていただきます。
また、今御指摘いただきました件につきましてですが、市町村が実施するがん検診における主要評価項目であるこの死亡率の減少効果につきましては、検証に長い期間を要することが課題となっております。そのため、これまでも、例えば子宮頸がん検診につきましては、死亡率減少効果の代わりに子宮頸部の浸潤がんの罹患率減少効果を代替指標とするなど、エビデンスが確立されている場合は死亡率減少効果以外の指標も活用されているところでございます。
また、平成三十一年に公表されましたがん研究十か年戦略の中間評価でも、死亡率減少効果の代替となる適切な指標の開発を推進すべきであるとされております。これを踏まえまして、厚生労働省では、厚生労働科学研究等におきまして、各種のがんについて死亡率減少効果の代替指標の検討を行っているほか、本年三月に閣議決定されました第四期がん対策推進基本計画では、新しい検診を対策型検診に導入する際のプロセスの明確化等について検討することとしております。
引き続き、研究成果や専門家の御意見を踏まえまして、科学的根拠に基づくがん検診の迅速な導入に努力してまいりたいと考えております。
委員長(佐藤信秋君)
三浦信祐君、済みません、先ほど私、総務大臣退室と申し上げましたが、原自治財政局長も退室してよろしいでしょうかね、総務省の。
三浦信祐君
結構でございます。
委員長(佐藤信秋君)
じゃ、退室してください。
リキッドバイオプシーをがん検診へ活用することについて
三浦信祐君
死亡率が減少するというのは分かりやすいんですけれども、やはり長く生きることの中で質を担保するということはもっと重要だと思います。是非大胆にやっていただきたいということを重ねて申し上げたいと思いますし、また、この代替指標、ここについては、海外では検診によってステージ3、4の進行がんの発見を減少させることがこの指標になるのではないかという議論もされております。そして、実際に試験も行われております。これ、日本が取り残されてはいけませんので、こういう知見もきちっと入れていただけるように重ねてお願いしたいと思います。
資料一、二を御覧、御参照いただきたいと思います。加藤大臣に質問いたします。
国民の二人に一人ががんになる現代において、自分だけではなく家族、友人、知人も含めれば、完全にがんと無縁の人はおらず、がん検診の幅を広げることは社会全体の利益になると思います。新たながん検診の手法の意義を個別に評価し、国民に示した上で、早期アクセスへの道を確保することに取り組んでいただきたいと思います。
日本のがんによる死亡のうち約五〇%が、国が推奨するがん検診の対象である五種類、すなわち、肺がん、大腸がん、胃がん、乳がん、子宮がんによるものです。一方で、がんによる死亡の残り約五〇%は、これら五種類のがん以外によるものであり、これらについては国の指針に基づくがん検診は行われておりません。問題解消には、検診数の向上に加え、幅広くがん検査ができる体制が重要であります。
ここに、適用可能な技術としてリキッドバイオプシーがあります。リキッドバイオプシーは、血液等からがん細胞やがん由来の物質を見付けることで幅広い種類のがんを発見する技術であり、痛みやその他身体への負担が最小限で気軽に検査ができるという特徴もあります。ふだんから血液検査をやっておりますので、それと何ら変わらないという内容でもあります。
リキッドバイオプシーを活用することで、がん検診を受けやすい社会が一歩実現に近づくと私は考えます。厚労大臣、是非導入を検討していただけませんでしょうか。
国務大臣(加藤勝信君)
検診を受けていただくように、先ほど申し上げましたけど、様々な措置を考えていく中においては、その検診の手段といったものもいろいろ検討していく必要はあるとは思います。
その上で、御指摘がありましたリキッドバイオプシーでありますが、血液等の体液サンプルに含まれているがん細胞やがん細胞由来のDNA等を使って診断する技術であります。簡単で身体への負担が少なく、例えば症状が分かりにくいがんの早期発見への活用が期待されており、このリキッドバイオプシーの手法は、がん検診に用いる検査としては確立されておりませんが、がんの治療法の選択や治療効果の予測に活用するための検査としてはもう既に保険適用になっているところでございます。文科大臣、厚労大臣、経産大臣の三大臣合意の下で策定したがん研究十か年戦略に沿って、がん検診への導入を目指したリキッドバイオプシーも含む診断技術の開発に関する研究などを支援をしているところであります。
このリキッドバイオプシーの有効性については、実は諸外国においても、これ検査ですから健常者に対して実施をするということで、諸外国でもまだ研究段階というふうに認識をしております。
新たな検診項目をがん検診に導入するに当たっては、対象者が今申し上げたように健康で無症状である方、必ず、偽陽性、そして、そこから出てくる過剰診断あるいは過剰診療等の不利益が伴うことから、集団における死亡率減少効果等の利益が検診による不利益を上回ることの検証を行う必要があり、リキッドバイオプシーについてもこうした検証を進めていく必要があると考えております。
引き続き、研究支援を支援するとともに、今後、がん検診として位置付けることが可能かどうか、死亡率減少効果などの科学的根拠の収集に努めていきたいと考えています。
三浦信祐君
課題も列記していただいて、明確に今後の方向性も出していただいたと思います。
その上で、リキッドバイオプシーには発展性があります。がんがあるかないか分からない個人から血液を採って、腫瘍由来のDNA、すなわちctDNAの、がんの、臓器特異的と臓器横断的の二種類がありますけれども、そういう中にあって、臓器横断的なマルチ・キャンサー・アーリー・ディテクション、MCED、その検査ができる技術が開発をされて、今研究が進み、現状は海外が先行しているのが実態です。低侵襲、簡易、簡便、安価にがん検診ができる十分な可能性を有しているリキッドバイオプシーを社会実装することで活用頻度が上がれば、データの蓄積も当然図られてまいります。
世界はリキッドバイオプシーの可能性に注目して、活用前夜の様相を呈しております。がん検診への活用を視野に、イギリス、英国NHSでは十四万人規模の国家プロジェクトを走らせており、来年にはそのデータがはっきりと分かるという報道も報じられてもおります。米国でも数万人規模の大規模治験を猛スピードで実施をしております。
日本は、既に、先ほどもありましたけれども、進行がんや手術を受けた患者さんに対するリキッドバイオプシーについて世界でトップレベルの研究が進んでいます。具体的には、治療の分野でスクラム・ジャパン、またサーキュラージャパンとして、肺や大腸がんの手術後にリキッドバイオプシーを活用して検診し、リスク判定することで、リスクに合わせて治療手法に反映する取組によって抗がん剤の使用等が削減できる可能性が既に報告をされて、世界最先端の研究となっています。
なかなか最近、日本が最先端だと言われることがない中、世界からは日本はリキッドバイオプシーが非常に進歩している国との認識があります。それゆえに、早期発見のリキッドバイオプシーも早急に導入することで日本の科学的地位の更なる向上にもつながってまいります。我が国もリキッドバイオプシーの研究を強化し、得られる知見、データを管理、分析することで、がん検診への活用の在り方を明らかにしていくべきだと私は考えます。
高市大臣にお願いしたいと思います。
内閣府の予算である調整費は、これまでも物買いに充ててきたということを承知しております。しかし、今回、こういうことを契機にして、国民の皆様の命を守るという視点で調整費を活用して、早期にリキッドバイオプシーによるがん早期発見の大規模な試験、治験を実施すべきだと考えます。是非これらにも充当できるように決断をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(高市早苗君)
現在の日本での臨床現場におけるリキッドバイオプシーの活用については、先ほど厚生労働大臣から答弁があったとおりでございます。
委員からもお話がございましたが、健常者とされている方を対象にリキッドバイオプシーを用いて進行がんの検出を行うことを目指すため、英国では十四万人規模、また米国でも二万人規模の臨床試験が行われているということでございます。
現在、我が国におきましては、リキッドバイオプシーを用いて、膵がんなど現在では早期がんの発見が困難なものの診断を目指す研究が行われておりまして、AMEDによる支援を行っています。まずは、当該研究の結果をしっかりと分析して、それに基づいて必要な対応を検討してまいります。
なお、御指摘の調整費でございますけれども、これは、各年度において、年度途中で研究開発が加速することなどの理由で速やかに研究開発費を配分する必要があると認める研究課題について、健康・医療戦略推進本部の決定によって配分するものでございますので、必要性に応じて適切に執行してまいります。
三浦信祐君
この適切な執行を、是非そういう研究が出てきたときには迅速に対応していただけるようお願いをしたいと思います。
資料三を御覧いただきたいと思います。
発見が困難で国民的不安が高い膵がん、多くの予算を投じてまいりましたけれども、決定打が出せない厳しい現状であります。しかし、蓄積されているゲノムデータとリキッドバイオプシーを組み合わせることで、膵がんの早期発見につながる可能性が期待できます。国内で良い研究結果が出そうだと聞こえてきておりますけれども、現状はいかがでしょうか。国民の不安解消のために、検診による膵がん判定技術を伸ばすために精力的に取り組んでいただきたいと思いますが、局長、いかがでしょうか。
政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。
膵がんについて御質問いただきました。膵がんは、我が国における部位別がん死亡数の第四位でありまして、他のがん種と比較して予後が悪く、その要因の一つとして早期発見が困難であることが挙げられております。
平成三十一年に公表されましたがん研究十か年戦略の中間評価では、膵がんなどの難治性のがんでの早期発見による治療成績の向上や検査の負担軽減による検診受診率の上昇の可能性について記載されておりまして、リキッドバイオプシーに関する研究も支援してきたところでございます。
現在行われていますがん研究十か年戦略の見直しに向けた議論も踏まえまして、科学的根拠が蓄積された際には、対策型検診導入に向けた検討も視野に入れて、引き続き膵がんの早期発見に関する研究についてしっかりと支援してまいりたいと考えております。
三浦信祐君
今、対策型検診導入も視野に入れてという大変重要な答弁であり、これを本当に加速をするということが、国民の皆さん、気付いたら、今までは無理だったものが当たり前に治ると、そういう時代を切り開くことだと思いますので、是非、しっかりと応援したいと思いますから、頑張っていただきたいと思います。
がん対策における早期発見、早期治療を徹底的に推進することを財務省は財政上どのように考えているのでしょうか。私は、これはワイズスペンディングだと考えますが、いかがでしょうか。それに資する手法を積極的に導入するために必要な知見を得ることはとても重要であります。財政の観点から、その費用対効果を最大化するためにも、がんの早期発見への治験を実施するための投資を効果的な予算活用と考えますが、いかがでしょうか。一〇〇%がん検診を受けられるまでに整えた方が、大胆な発言かもしれませんけど、私は良いというふうに思います。
胃がん抑制にピロリ菌について取り組んで、保険適用も実現してきた、ミスターピロリ菌とも呼ばれている秋野財務副大臣に、その御経験も含めて御答弁いただきたいと思います。
副大臣(秋野公造君)
がん対策におきましては、早期発見のための効果的、効率的な手法の確立、そして検診の受診率の向上を通じて早期発見、早期治療につなげること、これは大変重要なことと考えてございます。一般論でありますけれども、こうした取組で、三浦委員おっしゃっていただきました医療費の抑制という財政上の効果だけでなく、個人のQOLを向上させるなどの多義的な効果も期待をできると考えているところであります。
このため、これまでも、がん検診の受診率を向上させるための効果的な施策への予算措置を始めとしまして、科学的なエビデンスに基づき、胃がん予防のためのピロリ菌の検査、除菌について保険適用をする、こういった取組を行ってきたところであります。
がん対策の成果を上げていくためにも、エビデンスに基づいた費用対効果を検証して必要な政策を検討していくということが重要でありまして、財務省としても、引き続き関係省庁とよく議論してまいりたいと思います。
三浦信祐君
秋野副大臣、是非これは、賢くお金を使うということと、あとは結果を出していくという部分において必ず効果が出ると思います。財務大臣には、もう是非そのことも踏まえて、今後の骨太の方針の際にも、我々もしっかりとがん対策、そして検診ができるような社会をつくるために、そしてこれが財政的に効果があるんだということも訴えてまいりたいと思いますので、是非御理解をいただきたいというふうに思います。
その上で、一〇〇%検診すると不要な処置が、不要となると、治療しなくてもいいケースも治療として認められてしまうということも当然、現場のお医者さんも含めた医療機関から声が上がってくるというのは当然分かるということでありますし、加藤大臣からも先ほどありました。
しかし、検診を重ねてがんを早期に発見して、早期に精密検査、治療につなげて重症化リスクを回避することができれば、当然リスクに応じた検診を推進するということにもつながっていきますし、国民の皆様の安心、そして医療費の抑制につながると考えます。是非、財政の観点から見てもこの取組というのはマッチしていると思いますので、重ねて、秋野副大臣もこのことについてもよく御理解があると思いますので、推進をしていただきたいと強くお願いしたいと思います。
その上で、ワイズスペンディングだという視点も御答弁をいただきました。であるならば、リキッドバイオプシーを活用してがん研究の推進が期待をされて、日本の技術進展と産業参画が企図されます。リキッドバイオプシーの液体自体は海外の方が進んでいます。しかし、大規模な治験をこれからやって蓄積していったときに、国民の皆さんのがんに対する理解が進めば、多くの方が検診を受けるということになってまいります。まさにラストフロンティアの部分でもあります。
経済産業省として、リキッドバイオプシーに関する分析装置、創薬、関連資材活用と、先手を打って産業化支援に取り組んでいただきたいと思います。経産省としても、ワイズスペンディングの視点も踏まえて、西村大臣、是非取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(西村康稔君)
御指摘のリキッドバイオプシーですけれども、もう御議論あるとおり、がんの患者さんに対して、検診においては疾患の早期発見に、また、治療においては患者さんの体質に応じて抗がん剤等の有効性の有無を選別することに効果的であるというふうに認識をしております。
経産省におきましては、二〇一四年度から、AMEDを通じて、血液を使ったこのリキッドバイオプシーの開発を支援をしてまいりました。本事業では、血液から十三種類のがんを早期発見するための因子を特定をし、それぞれを検出することができる試薬や装置の開発を支援をしてきました。現在、複数の企業がこの研究成果を利用して、がん検査のキットなどの製品化に取り組んでいるところであります。
さらに、二〇一九年度からは、リキッドバイオプシーの技術を活用して、患者さんの体質に応じてどの抗がん剤が効果を発揮するかなどを判別するためのマーカー探索などについて研究開発を支援を行ってきております。
こうした技術の実装を通じて、個別化治療を進めていくこと、また医療費の削減、診断薬、診断機器の産業化を実現していくために、引き続き、厚労省を始め関係省庁と連携して取り組んでいきたいというふうに考えております。
がん検診の国家戦略化
三浦信祐君
いろんなものが研究されることは大事ですけれども、国民の皆さんにとってみれば、どれを選んだらいいか分からないということが大事になってきますので、是非厚労省としっかりと、どれが承認されているものということを明示できるように、更に御支援をいただきたいと思います。
資料四を御参照いただきたいと思います。
現状、がん関連医療費は爆発的に増加、右肩上がりであります。早期発見、早期治療によるコスト抑制が必須であります。リキッドバイオプシーを活用することで、がんの早期発見により医療費の削減効果、投資効果、がん治療をしながら働くことができるなど、少子高齢化が進む日本の経済再生の一助になると考えます。是非、経済再生の視点からもがん検診の促進を図るべきだと思いますが、後藤大臣、御見解を伺います。
国務大臣(後藤茂之君)
がん検診によるがんの早期発見、早期治療の促進によりまして国民の予防健康づくりを推進することは、健康寿命の延伸等を通じまして社会全体の活力の維持に寄与するものと考えております。
このため、がん検診、がん対策の推進を含めた予防健康づくりの推進については、これまで、経済財政諮問会議の下に設けられました経済・財政一体改革推進委員会において議論をし、改革工程表に反映してまいりました。今後とも、厚生労働省とよく連携をいたしまして、工程表に基づく取組が更に進むようにしっかりと議論を進めてまいります。
三浦信祐君
そういう視点から見ますと、日本におけるがん検診の根本的な改革が欠かすことはできないと私は思います。死亡率減少中心の戦略からQOL向上を視野に入れる戦略に変えるきっかけとして、リキッドバイオプシーの役割は重要だと私は考えております。健康・医療戦略として議論し、検診の在り方を転換することに是非取り組んでいただきたいと思います。
今年行われるがん研究十か年戦略見直しにおいて、文科、経産、厚労の三大臣の合意策定から、今回初めて、健康・医療戦略担当大臣、すなわち高市大臣が加わることになる予定だと伺っております。研究が大胆に進み、検診の根本的改革になるような新戦略となるよう、そして財務省からもワイズスペンディングだという視点もありますので、高市大臣、是非これを取り組んでいただけるようお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(高市早苗君)
リキッドバイオプシーのような侵襲性の低いがん検診の方法が実用化されましたら、がん検診受診率の向上にも貢献しますし、早期発見、早期治療によって今のがん対策を大きく変える可能性があると思います。そのためには、やはりこのがんに関する研究開発をより一層進めて、エビデンスの蓄積を行うことが必要でございます。
現在、がん研究十か年戦略の見直しに向けまして、厚生労働省、内閣府、文部科学省、経済産業省、四府省の協働の下、今後のがん研究のあり方に関する有識者会議を今年四月から開始しまして、過去十年間の研究の成果、がん研究の現状と課題、今後十年間で取り組むべき研究の方向性などについて議論を進めております。今年度末を目途に見直しを行う予定でございます。さらに、健康・医療戦略につきましても、令和七年から開始予定の第三期戦略の策定に向けまして、今後議論を開始していきます。
誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指すということに寄与すべく、しっかりと取り組んでまいります。
三浦信祐君
高市大臣、重ねて要望でありますけれども、リキッドバイオプシーも含めた検診を容易に誰もができるということで、この議論に対して初めて大臣も参画をされていくと思いますので、この要望も是非反映できるように取り組んでいただきたいと思いますが、簡単に決意をお願いします。
国務大臣(高市早苗君)
先ほど申し上げましたようなこれから策定していく戦略に基づいて、がんの本態解明ですとか、また治療法、予防法などに関する研究開発、しっかりと進めてまいります。
三浦信祐君
国として、リキッドバイオプシーを用いたがん検診の実施に向けた検討と普及のために、制度的、産業的な枠組みの基礎を固めるべきであります。
今後取り組むべきがん対策として、これまで多くの予算を投じ蓄積されたゲノムデータを活用するがんゲノム医療の推進、がん検診のためのリキッドバイオプシーの活用、そして診断と治療のための医療用ラジオアイソトープの活用の新たな三本柱を連動して発展させていくことで、日本版医療GAFAができ上がります。これは医療現場でもそういう話がたくさん出ております。国民の命を守り、日本の成長戦略を大きく牽引できる可能性大であります。
私たちがラジオアイソトープ国産化を推進して政府の皆様と実現へ、令和四年五月に取りまとめられた医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランと同様に、政府横断的な取組としてアクションプランを作る、あるいは新しい資本主義実行計画工程表、フォローアップ工程表に反映するなど、リキッドバイオプシーによるがん検診の社会実装へ具体的な取組化を図っていただきたいと思います。
加藤大臣、是非先頭に立って推進をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(加藤勝信君)
先ほどリキッドバイオプシーに係る課題、今現状の課題についてはお話をさせていただきましたが、一方で、簡便で身体への負担が少なく、がんの早期発見の活用が期待される技術であるというふうには認識をしております。今後、がん検診として位置付けることが可能かどうか、死亡率減少効果などの科学的根拠の収集も含め、しっかりとその研究を進めていく必要があると考えております。
今も各大臣からありましたが、高市大臣からもお話がございましたが、がん研究十か年戦略について議論させていただいているところでございます。政府全体で戦略的に、リキッドバイオプシーを含め、診断技術の開発に関する研究等を支援していきたいと考えております。
三浦信祐君
是非、政府横断的に国民の命を守ると、それが自分にも返ってくるし、大切な方にもそれが裨益をするということで、覚悟と決意を持って進めていただきたいということを重ねてお願いして、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。