参議院 本会議

第210回国会 参議院 本会議 第10号 令和4年12月5日

障害者総合支援法等改正案について

三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。

私は、自民、公明を代表し、ただいま議題となりました障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案について、加藤厚生労働大臣に質問いたします。

誰もが輝ける社会、誰一人取り残さない社会を築くため、障害者や難病と闘われている皆様への支援の間断なき見直しは欠かせません。私たちは、本法案等の平成三十年四月施行の改正法施行後三年をめどとした見直し規定を踏まえ、論点整理と課題について議論を重ねてまいりました。さらに、障害者関係団体の皆様からヒアリングを実施し、現場、当事者の声を反映する取組を進めてまいりました。本法案は、障害者や難病患者の方々の日常生活の充実に向けて我が会派が実現を求めてきた政策も盛り込まれており、一日も早い成立を期すべきであります。

障害者総合支援法等を改正する意義と、この時期に成立を期すべきことについて、大臣に答弁を求めます。

次に、共同生活援助、グループホームについて質問します。

全国のグループホームで暮らす方は約十六万人おられますが、グループホームで暮らす方の約四割の方は一人暮らし等をしたいとの調査結果があります。本法案では、グループホーム利用者の実態や一人暮らし支援のニーズを踏まえ、一人暮らしを希望する利用者への支援、定着のための相談等を明確化することにしていますが、この意義について伺います。

一方で、一人暮らしの障害者を地域で支援する体制整備が十分でないとの課題や、自立を支援するグループホームへの報酬を引き上げても、既存の施設への報酬が下げられてしまうのではないかとの不安が寄せられております。

一人暮らしが困難な方の生活を守る既存のグループホームは重要であり、利用継続を希望する方やサービス提供を行っているグループホーム施設への支援も変えずに維持すべきだと考えます。現場の安心となるよう、大臣の明確な答弁を求めます。

相談支援体制の充実について質問します。

現状、障害者や御家族からの相談支援業務を総合的に行い、地域の相談支援体制を整備する施設として基幹相談支援センターがあります。平成二十四年に法律で位置付けがなされているものの、設置市町村数は半数程度にとどまっています。現場では、地域生活支援事業の中で実施しているものの、財源が少ないために、自治体が実施したくてもできないのが実情であります。障害者団体からは、相談に関する地域間の格差を解消してほしいとの要望もあります。本法案では、センターを地域の相談支援の中核的機関として強化を図るとともに、市町村に設置を努力義務化することとしております。

全自治体での実施も視野に、国として目標を検討すべきです。あわせて、自治体への財政支援、人材確保支援を行う必要があると考えますが、大臣の取組への決意を伺います。

本年九月、国連の障害者権利委員会が日本の報告に関する総括所見を公表し、日本政府に対し、障害者権利条約に基づく全七十五項目にわたる改善勧告を出しております。その中で、障害者が入所施設から地域生活に移行できるように取組を求めています。さらに、精神障害のある方の強制入院制度等を廃止することが要請されております。

そこで、本勧告に対する政府の受け止めと、勧告に対する対応としての本法改正への反映点について伺います。加えて、医療保護入院を廃止すべきとした点を受け、将来的な廃止を目指す方向性、本法改正内容との整理について大臣に伺います。

精神保健福祉法改正案では、精神疾患患者の症状悪化に対処し、医療へのアクセスを確保することを目的に、家族が同意、不同意の意思表示を行わない場合にも、市町村長の同意により医療保護入院を行うことを可能とするとしています。この患者さんは、家族から等の面会が皆無に近いと想定され、交流する機会の確保が必要です。今回、都道府県等事業として入院者訪問支援事業を創設し、入院者への傾聴、必要な情報提供を行うことを法定化することになります。入院患者さんの権利擁護の観点からも、確実に実施されること、そして、全国どこでも機会提供されることが重要です。

自治体がより積極的に入院者訪問支援事業に取り組み、今後更に幅広く実施できるよう推進すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

障害者雇用促進法では、国や自治体、企業に義務付けられている障害者の雇用率について、法定雇用義務が課せられているのは週所定労働時間が二十時間以上の労働者となっています。

今回の改正で、週当たりの所定労働時間が特に短い精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、特例扱いとして十時間以上二十時間未満の方も雇用率の算定対象に加えられることになります。短時間で働ける方への雇用の可能性が広がり、評価いたします。

その上で、本人の希望に沿わず、労働時間が二十時間未満で固定されるのではとの懸念もあります。本人の意向を踏まえ、週二十時間以上の移行支援の充実も必要です。

これらについてどのように取り組むのか、大臣に伺います。

難病患者や小児慢性特定疾病児童等の医療費助成について伺います。

現在、難病患者や小児慢性特定疾病児童等の方への医療費助成の開始時期は申請日となっています。助成申請に際し、必要な診断書の作成には一定の時間を要しているのが実態です。

会派として、難病関連二法施行後五年の見直しにおいて、医療費助成制度における医療費の助成開始時期を申請時点から重症化時期に前倒しをすべきことを訴え続けてまいりました。

今回、医療費助成の開始時期を助成対象であると診断された重症化時点へ遡ることとし、申請日からの遡り期間は原則一か月、正当な理由がある場合には最長三か月としています。課題解決への前進を評価いたします。

その上で、正当な理由の解釈の違い等によって遡り期間に自治体間での取扱いに格差が生まれない方策を取る必要があります。具体的な方策について、大臣に伺います。

現在、指定難病患者は三百三十八疾病、対象者は約百三万四千人おられます。難病患者の方々の療養生活支援の強化へ不断の取組が必要です。

私たちは、難病患者等の方々が円滑にサービス、支援を受けられるよう、地域で利用できるサービス情報を記載した登録者証を発行すること、指定難病患者の軽症者についても、患者データ登録を可能とする仕組みを設けることを求めてまいりました。本法案において、指定難病に罹患していることを証明するための登録証発行事業を創設することにしていますが、期待できる効果を伺います。

また、指定難病患者の方は、各種福祉サービス等を利用できる制度が整備されているものの、十分に認知されているとは言えず、利用促進が必要です。自治体における各種支援サービスの情報提供体制を確実にする取組を行うべきです。大臣に答弁を求めます。

障害者や難病の患者さんが地域や職場で生きがいと役割を持って、医療、福祉、雇用等の各分野の支援を受けながら、自分らしく安心して暮らすことができる体制を構築することが重要です。共生社会の一日も早い実現を目指し、更なる取組を進めることをお約束し、質問を終わります。

御清聴ありがとうございました。