非化石エネルギーの設定における原子力政策について
三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
本法案において非化石エネルギーを定義している中、原子力発電による電気も含まれております。現状と二〇三〇年度見通しの電源構成ギャップが大きく、実現へのギャップ解消を図っていく必要があります。加えて、今般のウクライナ危機による、我が国のエネルギーの安定供給、そして電源構成の戦略をよくよく考える必要性があります。その上で、原子力事業について、事業者は今後の予見可能性と事業性を見出すことができなければ、結果として経営判断で事業撤退して、そして技術確保の困難を招き、人材流出を招いてしまうということ、そしてそれを防ぐことができません。
政府として、原子力を非化石エネルギーとするならば、どう具体的にこれらの対策を打つのか、見立てを明示をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、原子力というものは、二〇五〇年エネルギーミックス、カーボンニュートラルということを目指していく上で大変重要な脱炭素電源だというふうに考えているところでございます。一方で、震災後の事業環境の悪化というものに伴いまして、原子力のサプライチェーンを維持する上で重要な企業にも廃業ですとか原子力事業からの撤退というのが相次いでいるという現状にございます。そういう意味で、我が国が持つ高いレベルの技術、人材、産業基盤の維持強化を図っていくということは大変重要な状況になっているというふうに認識してございます。
このため、昨年十月に閣議決定いたしました第六次エネルギー基本計画の中におきまして、将来に向けた原子力利用の安全性を抜本的に高める技術の開発、また産学官の垣根を越えた人材、技術、産業基盤の強化ということを進めることを記述しているところで、規定しているところでございます。
具体的に申し上げますと、経済産業省におきまして、例えばでございますけれども、事故時に水素を発生しない安全な燃料、これは事故耐性燃料と呼ぶわけでございますが、こうしたものの開発など、メーカーによる新たな技術開発の支援を行っていくということでございますですとか、機器製造から撤退する企業の開発成果やデータを別の企業が承継する取組と、こういうことによって重要な技術というものがしっかりと基盤として維持されていくということを後押しする取組ですとか、こういった支援策を政府も前面に立ちまして取り組んでいきたいと考えてございます。
引き続きまして、産業界の実態をよく踏まえつつ、将来を見据え、産業界とよく連携しながら、政府としましても技術開発や人材育成にしっかりと取り組んでいきたいと、このように考えてございます。
三浦信祐君 極めて大事な予見可能性、これについてもよく、多くの技術者の皆さんであったりとか関係者の皆さんとよく議論を重ねていただきたいと思います。
原子力人材の確保と育成は国家的課題でありまして、可及的速やかに対応すべきだと思います。現下の国内では、民間企業の経営判断で人材放出、体制改変が生じていることは、経営上の判断という部分で見れば理解はできます。しかし、技術と人材の途絶は、そのまま国力、国際競争力の低下、そして今後生じ得る廃炉人材喪失によるリスクに直結をしていきます。官民連合を一気に進めて、連合体、また技術集積のマネージを図るべきだと私は考えております。
SMRでしたり、またHTRも今動いておりますけれども、高温ガス炉や高速炉等の革新炉は世界が求める技術であり、日本にはその力があります。現実的課題を直視し、体制を確保すべきと考えますけれども、萩生田大臣、是非これを進めていただきたいのですが、いかがでしょうか。
国務大臣(萩生田光一君) 将来の選択肢としての原子力を維持していくためには、我が国が持つ高いレベルの技術、人材、産業基盤の維持強化を図っていくことが必要です。そのためには、御指摘のとおり、SMRですとか高温ガス炉、高速炉等を含めた革新炉の開発に向け、国立研究開発法人や大学などの研究機関に加えて、プラントメーカーやサプライヤー、さらには電力会社や建設会社など、幅広い関係者が一丸となって取り組んでいくことが必要です。
幅広い関係者による効果的な連携が可能となるよう、経産省として、研究開発への支援に加え、技術ロードマップの更なる具体化やサプライチェーンの関係者に対する働きかけなどを強化していくことで、開発体制の確保を含め原子力の産業基盤の維持強化にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
アンモニア発電について
三浦信祐君 国民の皆様の理解も必要だと思いますので是非、その安全性であったりとかプロセスについての見える化も是非大臣の下でしっかりと進めていただきたいと思います。ましてや、今使っていないから人材がいなくなった、ところが世界が求めてきたときに人がいない、こういう実態というのは今回のコロナ禍でも明確になったと思います。これをしっかりと先手を打つということも重ねてお願いをしたいと思います。
アンモニア発電について質問いたします。
アンモニアは炭素を含まないため発電現場における燃焼で二酸化炭素を排出しないことから、既存施設を活用した上で脱炭素化を図ることができます。したがいまして、アンモニア発電は日本にとって重要なエネルギー源として活用すべきだと私は考えております。アンモニアを燃料とした石炭ボイラー、将来的にはガスタービンでの活用への技術開発と混焼技術の向上とともに、大気汚染を招く原因物質の確保、抑制技術の向上も欠かすことはできません。先般も、地元、私の地元であります神奈川県の横浜市で行われております混焼技術を高めた安定燃焼技術開発の現場でもお話を伺いまして、着実に進展が図られていることを学んでまいりました。
今後の実用化を確実にしていくために、政府は確実に研究技術開発支援を図っていただきたいと思います。いかがでしょうか。
政府参考人(定光裕樹君) カーボンニュートラルの実現に向けて脱炭素型の火力への転換が重要でございますが、その鍵を握るのがアンモニアの活用でございます。既に、アンモニアのボイラーへの吹き込み方法の工夫などによりまして窒素酸化物の排出量を抑制する基礎技術は開発してございまして、二〇%混焼におきましては石炭の燃焼時と同等の水準までNOxを低減し、環境への影響は抑えられるということを確認してございます。
昨年度から碧南火力発電所における実機実証を開始し、二〇二四年度には百万キロワットの実機燃焼炉での二〇%混焼試験を行うべく取組を進めており、二〇二〇年代後半には実用化をする予定でございます。さらに、グリーンイノベーション基金を活用し、窒素酸化物の抑制などの課題を解決し、混焼率の引上げや専焼化を可能とするための技術開発にも取り組んでございます。
こうした技術を国内のみならずアジアなどの他国にも展開していくことも目指しておりまして、既にインドやインドネシアとの間でアンモニアの混焼やその先の専焼に向けた具体的な議論を開始してございます。
これらの方策を通じてアンモニアの燃料利用の普及拡大に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
三浦信祐君 国内のみならず世界での勝負をしていくということは極めて大事だと思いますので、これはバックアップのみならず牽引するぐらいの覚悟で進めていただきたいと思います。
その上で、アンモニア発電の実用化には、アンモニア自体の確保、また、今後の需要の急増も想定をして、サプライチェーン構築への必要なインフラ整備も重要であります。海外との連携とともに、権益の確保も必須であります。アンモニアの流通体制全般の確保を国家戦略として取り組んでいただきたいと思います。
具体的な答弁を求めたいと思います。
政府参考人(定光裕樹君) アンモニアは、石炭火力のゼロエミッション化を見据え、二〇三〇年には年間三百万トン、二〇五〇年には混焼率の引上げや専焼化によりまして年間三千万トンまでの国内需要が拡大していくことを見込んでございます。
将来的な需要拡大に当たっては、新たな燃料アンモニアのサプライチェーンの構築が必要でございます。アンモニアは肥料などの既存の原料用インフラも活用可能でありますけれども、今後の大きな需要増に対応するためには、生産、輸送、貯蔵、受入れなどに関わるインフラの大幅な整備増強が必要となります。
先生御指摘の、いわゆるアンモニアを安く作れる国でいかにそういうプロジェクトに参画していくかという権益のような視点も大事になってまいります。このため、今般の改正法案では、JOGMECの機能に水素などの製造や貯蔵に必要なインフラ整備のためのリスクマネー供給支援を追加する改正事項などを盛り込んでございます。
また、アンモニアの利用拡大には事業安定性の確保が重要でありまして、現時点ではまだ市場が未熟、未成熟でありますので既存の化石燃料と比べて割高でございます。そうした中で、事業者による予見可能性を高め、早期の市場形成を促すため、本年三月に小委員会をエネ庁の方で立ち上げまして、既存燃料とのコスト差やインフラ整備の在り方などに注目した検討を行っているところでございます。
こうした取組を通じまして、アンモニアの商用サプライチェーンの形成、さらには新しい産業集積拠点の形成に向けて、具体的な推進策の検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
CCS技術開発について
三浦信祐君 今検討していただいていると思いますけど、是非これ加えていただきたいのが、まず、貯蔵をするという観点での集約化、これ分散すると多分コストが上がってしまいます。なので、大規模集約化ということの議論をしっかり進めるということ。もう一つは、インフラと一体となって技術を輸出していくということ。これは、物だけ輸出してもやっぱり長期的には更にアップデートができなくなりますので、そこも加えて検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
二酸化炭素の回収、貯留、すなわちCCSについて伺います。
CCSの研究技術開発を進めることが重要でありますが、現在国内で稼働している火力発電に適用可能性を希求する必要があります。
端的に伺います。
国内における現有の火力発電へのCCSの適用可能性について伺います。
政府参考人(定光裕樹君) 火力発電の脱炭素化に向けては、CCSというのが鍵となる重要な技術というふうに考えてございます。
このCCS技術につきましては、二〇三〇年の事業化に向けて、コスト低減、適地の開発、事業環境整備といった様々な課題がございまして、本年一月から有識者によるCCS長期ロードマップ検討会を開始し、集中的に議論してきているところです。
これを踏まえ、先月開催した第四回の検討会におきまして、政府として、二〇三〇年までに企業がCCS事業を開始するための事業環境整備を行うと、これを目標とした上で、今後、そのCCS事業実施のための国内法整備に向けた検討、CCSのコスト低減に向けた取組、CCS事業への政府支援の在り方の検討、CCS事業に対する国民の理解の増進、海外CCS事業の推進などを含む中間取りまとめ骨子案をお示ししたところでございます。今後、五月中旬にこの中間取りまとめを公表し、クリーンエネルギー戦略にも反映してまいりたいと考えております。
その上で、検討会の下に立ち上げるワーキンググループで、このCCS実施のための法整備でありますとか、コスト削減あるいは詳細なビジネスモデルを検討するワーキンググループでの集中的な議論を通じて、年内にはこのCCSの事業化に向けたより詳細なロードマップを取りまとめて提示していきたいというふうに考えてございます。
三浦信祐君 出てきたカーボンをキャプチャーするためには、現有の火力発電所のところでそれがちゃんと地中埋設できるかという土地の確保であったりとか、そういう観点性の技術の部分もよく議論をしていただきたいと思います。
CCSの先にキャプチャーしたカーボンを活用すること、特にエネルギー源として活用することができればエネルギーエコシステムができ上がります。物理的には、もう炭素と酸素を分離するということは極めて難しいことは承知の上でありますけれども、炭素を利活用することが究極のイノベーションであると私は考えております。
キャプチャーしたカーボンの利活用に関する研究技術開発の現場と課題について伺いたいと思います。その上で、国家戦略としてキーテクノロジーとして位置付けて、研究開発、ビジネス性も踏まえつつ、強力に研究開発投資をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(定光裕樹君) 炭素を利活用いたしますカーボンリサイクル技術はカーボンニュートラルを実現していくためのキーテクノロジーでございまして、様々な施策を通じて技術開発をより進めていくことが重要だというふうに考えてございます。
予算事業による支援により、既にCO2を原料としたコンクリート、これは実用化に成功しております。また、CO2を吸収する藻によるバイオジェット燃料生産についても実証が始まっております。また、水素と反応させてメタンを合成するメタネーション技術の研究も進んでいるところでございます。その上で、昨年にはこのカーボンリサイクル実行計画を改定し、克服すべき技術面での課題やコスト目標などについての検討を深め、取組を進めているところでございます。
今後は、こうした検討を土台としまして、政府による後押しを更に進めるべく、グリーンイノベーション基金も活用しつつ、コンクリート、燃料、化学品などの多様な分野でのカーボンリサイクル技術を確立し、更なるコスト低減や社会実装を進めてまいりたいというふうに考えております。
リサイクル技術の開発について
三浦信祐君 是非これを進めていただきたいと思いますし、また各大学との連携ということで人材育成も必要でありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
リサイクル技術について伺いたいと思います。具体的には、我が国が資源国家に成長するために必要なリサイクル技術の開発について伺いたいと思います。
我が国は、これまで、多くのレアメタル、レアアース等を活用して省エネ技術や大容量の情報処理能力、また、効率、能率性の向上を図り、社会経済活動の発展を支えてまいりました。今後、デジタル技術、量子技術と脱炭素社会の構築によってこれらの素材が更に利活用され、必須となります。
経済安全保障の観点で今般の世界情勢を踏まえれば、レアメタル、レアアースの確保は欠かすことはできません。国内におけるリサイクル研究、技術開発ができれば、我が国は資源国家となる可能性は十分にあると私は考えております。
これまでは家電リサイクルを軸として政策を推進してきたことは承知をしておりますし、これも加速すべきだと私は思います。しかし、目が届いていない部分もたくさんあります。例えば、素材からの元素分離等の研究技術進展が図られれば、現下ではとてもコスト的には見合わなかったとしても、価格交渉力が付くことで大きなインセンティブが働くことも期待ができます。
レアメタル、レアアース確保のために、リサイクル技術、抽出技術等の推進を軸とした対策も実施していただきたいと思います。例えば、大学研究機関、素材メーカー、完成品メーカー等と行政が検討会を持って具体的な課題抽出とコストフォローも議論して展望を開いていただきたいと思います。萩生田大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(萩生田光一君) 資源小国である我が国にとって、レアメタルなどの供給を安定的に確保するためにはリサイクル技術の開発促進は極めて重要だと私も思います。
先生御指摘のように、例えば航空機のタービンブレードや電動車のバッテリーなどにも多くのレアメタルなどが含まれており、こうした工業品から効率的にリサイクルを行うことは希少なレアメタル等の安定供給に向けて鍵を握っているものと承知しています。他方で、廃棄された工業品からレアメタルなどを回収する際のコストは高く、そのコスト低減は実用化に向けて乗り越えるべき課題と認識しております。
このため、経産省としては、まず、小型家電の分野で製品や部品を自動選別するプロセスの開発や高効率的な製錬システムの開発といった低コストのリサイクル技術の開発を進めてきているところでございます。
引き続き、関連の技術開発を積極的に後押しすることでレアメタル等の供給確保に資する対策を着実に推進してまいりたいと思いますし、今先生から御提案のあった供給機関ですとかメーカーさんですとか、少しその関係する皆さん横断的にテーブル囲んでもらって、どういうところにどのくらいの隠れたレアメタルがあるのか、抽出するためにどういう技術が必要なのか、これ少し深掘りしてみたいと思います。
三浦信祐君 大臣、ありがとうございます。
実は、このリサイクル技術は即座に使えないということでなかなか研究費も取りづらいとか、そして、将来構成を考えたときに技術者をなかなか生み出しづらいということもありますので、なかなかこれが行政に声が上がっていないケースもあると思いますので、是非、今、深掘りをしていただけるということを進めていただきたいと思います。
新電力の事業撤退について伺いたいと思います。
今般のエネルギー市況の激変によって生じている新電力事業撤退に伴い、最終保障供給制度の利用事業者が激増しております。利用者への電源供給途絶を避けるためにセーフティーネットとして活用されておりますが、今後の状況によっては、本制度の継続利用による、生じる課題があると私は考えております。どのように対応されるんでしょうか。加えて、制度活用の方が利するいわゆる逆ざや状態となっております。スポット市場の割高設定を超えてでも、現下割安となってしまっている本制度による不平等を解消すべきだと思います。どのように課題解決をするということを考えておられるんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。
政府参考人(佐藤悦緒君) お答え申し上げます。
最終保障供給制度につきましては、本来、どの小売電気事業者とも契約できない需要家のためのセーフティーネットとして措置されたものでございますので、継続的に利用されるようなことがあれば様々な課題が生じるものと認識をしております。
具体的に申し上げます。
最終保障制度を活用した方が新電力と契約をするよりも割安になるという、先ほど先生が御指摘いただきましたような逆ざやの状態が続きますと、そのことによって自由競争を阻害しかねないこととまず認識しております。また、一般送配電事業者の調達費用が最終保障供給料金を上回る、ここでも逆ざやが発生しておりまして、これが続きますと、その経営にも影響を与えかねないことを課題として承知しているところでございます。
他方、需要家にとっては、最終保障供給料金はこれまでの契約水準と比較すると割高なものであるため、現に需要家からは高いとのお声もいただいておりまして、各主体によって利害関係が相違している状況になっております。
こうしたことから、それぞれのステークホルダーの間の方での合意形成を図るため、最終保障供給料金の在り方について、有識者から成る審議会で議論をいただいているところでございます。検討を加速しまして、可能な限り速やかに結論を得てまいりたいと考えます。
三浦信祐君 是非速やかに課題解決のために検討を進めて結果を出していただきたいと思います。
二つ質問飛ばさせていただきました。恐縮です。
以上で終わります。ありがとうございました。