国際経済・外交に関する調査会(2019年4月17日)

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 「アジア太平洋における平和の実現、地域協力及び日本外交の在り方」を調査課題とした本調査会の三年目に当たり、意見交換に際して意見を述べさせていただきます。
 二〇一五年九月、持続可能な開発目標、SDGsが国連で採択をされました。SDGsの達成は、国際社会全体が取り組むべき目標であると同時に、平和主義や人間の安全保障の推進を外交の基軸とする我が国が特に率先してリーダーシップを発揮し、その達成に向けて取り組むべき目標であると考えます。
 SDGsが掲げる課題はいずれも重要で、一つも欠かすことはできませんが、その中でも、気候変動等への対応は、先進国、開発途上国を問わず、国際社会の国々全てが直面する喫緊の課題であります。パリ協定では、二度目標が掲げられるとともに、より実効的な温暖化対策という観点から、一・五度の努力を追求されるものとされております。
 脱炭素、脱化石燃料に向けた国際世論の流れの中で、我が国としてもそうした流れを前向きに捉え、再生可能エネルギーの更なる導入に向けて、政府は、技術革新への投資やそうした技術を社会実装していくことへの環境整備をより推進していかなければいけないと私は考えております。
 また、SDGsやパリ協定が定める目標の達成に向けて、日本が具体的にどのようにして成し遂げていくかということを明確化すると同時に、国際社会全体がその目標を達成していく上で、国際協力等を通じて日本がどういった貢献をできるかという視点が不可欠であります。
 国際協力を進める上では、地理的な特性とその国が置かれた環境に応じて、太陽光、風力、地熱等をどのように組み合わせていくべきか、加えて、限られた資源をどのように投入していくべきかという点について共に検討していくべきだと考えます。
 同時に、短期的、中期的にベストなエネルギーミックスの在り方を考えた場合、経済構造等によって長期的な形とは異なるのもやむを得ないとも思います。現状では、東南アジアを始めとして原子力や火力に対するニーズも依然として高く、そうした点を踏まえつつ、我が国がこれまで蓄積してきた技術、人材、知見を幅広く活用して国際協力を行うことは、最終的な目標達成に向けた取組を進める上でも意義あることだと考えます。
 加えて、ODAやJICAの取組を通じた技術提供による取組も欠かせません。インドのデリー・メトロのように、公共交通機関の建設への投資により、交通渋滞の緩和、省エネ化、建設工事における安全と納期・工程管理の定着による効率化等、CO2排出低減にも直接効果をもたらしていることも極めて重要な国際貢献であると思います。
 技術力で世界の平和と経済を両立させることは、日本こそが取り組める力であると私は考えます。これまで述べてきた考え方に基づきつつ、SDGsやパリ協定の目標達成に向けた我が国自身の基本的なスタンスを立て、国際社会に向けて発信していくべきです。
 加えて、世界の先進国に比べて十年以上高齢化社会が進展しているということをチャンスに変えていくということも、世界にとってのSDGsへの役割として日本が貢献できることだと思います。そのためにも、政府は、高齢化社会をチャンスにするための様々な施策を政党を超えてしっかりと議論ができる体制をつくるべきだと考えます。
 加えて、こういう発信に関しては、調査会で議論してきたようなソフトパワーを活用した我が国の発信力も問われることになります。しっかりと日本の立場を発信することができる専門人材を育成することが重要であるとともに、人材交流等を通じて産業界や学術界からも知見を有する方にも参画していただきながら、強力に積極的に発信を行っていくべきだと考えます。
 当然、議員交流の活発化が国際社会における日本の信頼醸成に果たす役割が大きいことは論をまちません。それと同時に、そうした政策広報を下支えする文化広報や人的交流についても専門家を養成していくとともに、特に国際世論に大きな影響を与えるような国々を中心に十分な予算や人的な手当てをしていくことが必要ではないでしょうか。
 我が国は、平和と安定へのトップランナーとしての使命を果たすべく、持続可能な地球、世界、社会のためにも、日本が持ち得る力を積極的に活用して世界に貢献することが重要であることを強く強調して、私の意見表明を終わります。
 ありがとうございました。