決算委員会(2017年04月03日)

社会保障税番号(マイナンバー)制度の利用状況等について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 早速質問に入らせていただきます。
 社会保障と税制度の効率性、透明性を高め、国民の利便性の高い公平公正な社会を実現するため政府が整備を進めているマイナンバー制度についてお伺いをいたします。
 マイナンバー制度については、地方公共団体が行う制度の導入のために必要なシステムの整備に対して総務省が交付する補助金の歳出予算現額が二十六年度で七百二十億円、二十七年度で五百九十億円となっているなど、多額の関連予算が計上をされてまいりました。一方で、地方公共団体情報システム機構、すなわちJ―LISのシステム障害等によってマイナンバーカードの交付に遅れが生じたこと、また会計検査院が本年一月に公表をした随時報告に指摘事項があったことなど、制度運用に課題があることも承知をしております。しかし、国民の皆様にとって大変効果的な制度でもあり、今後推進していくことは、私は大切なことだというふうに考えております。
 これらの問題提起も踏まえつつ、マイナンバー制度の本格運用に際して、高市担当大臣の御認識と御決意を伺います。

国務大臣(高市早苗君)  マイナンバー制度は、より公平で公正な社会保障制度ですとか税制の基盤であるということとともに、情報社会のインフラとして国民の皆様の利便性向上や行政の効率化に資するものでございます。
 マイナンバー制度を円滑に導入して利活用を推進するということが極めて重要だと考えております。
 その上で、特にマイナンバーカードの普及及び利活用の推進が重要ですので、三月十七日に、マイナンバーカードの利便性を高める取組を分かりやすく整理して進捗管理をしっかり行うということを目指しまして、新たにマイナンバーカード利活用推進ロードマップを策定して公表させていただきました。
 具体的には、カードの利用範囲の拡大のために、土日や時間外でも証明書が取得可能なコンビニ交付の利用促進、チケット、健康保険証としての利用やインターネットバンキングへのログインなど公的個人認証サービスの民間開放に伴う新たなサービスの実現、そして子育てワンストップサービスの導入などマイナポータルの利便性向上、そしてさらにはスマートフォンやテレビなどカードが利用できるアクセス手段の多様化といったことに取り組むことにいたしております。
 また、情報提供ネットワークシステムによる行政機関間の情報連携の本格運用が開始されますと、社会保障給付などの申請時に必要とされる住民票の写しですとか住民税の課税証明書など添付書類を省略することができます。また、マイナポータルでは暮らしに係る利便性の高い官民のオンラインサービスの提供を目指しておりまして、まずは、地方団体の子育て関連施策を検索し、閲覧し、保育所の入園申請ですとか児童手当の現況届などオンラインで申請できる子育てワンストップサービスを提供できるように今一生懸命準備を進めておりますので、引き続き、このカードの普及と、それから本年秋頃の情報連携ですとかマイナポータルの円滑な本格運用の開始に向けて、関係省庁多うございますので、より一層連携を強化して取り組んでまいります。

三浦信祐君 ありがとうございます。今テストをされておりますので、是非万全の体制で臨んでいただければというふうに思います。
 さて、日本学生支援機構の奨学金貸与事業もマイナンバー制度を利用できる事業とされております。しかし、機構によりますと、マイナンバーの利用によって奨学金の申込み及び返還に係る各種申請等の手続において利便性の向上が期待されているとしているものの、具体的な利用方法等については現在検討を進めている段階とされております。
 文科省として、機構の奨学金貸与事業にてマイナンバーが利用された場合、奨学金を利用した方、また事務担当者の面からどの程度メリットがあると想定をされているか、分かりやすく答弁をいただきたいと思います。また、利用のために必要なシステム改修等についても併せて樋口政務官に伺います。

大臣政務官(樋口尚也君)  お答え申し上げます。
 大きく三点メリットを想定しております。
 一点目は、日本学生支援機構の奨学金は約百三十万人の学生が利用しておるところでございまして、また四百万人の方が返還をされておりますが、これらの方々には、従来、所得証明書等の提出や住居の移動の連絡等を求めておりましたが、マイナンバーを利用していただく場合はこれらの手続が不要となります。手続に掛かる手間が大幅に軽減されるとともに、郵送料等のコストの面からも大きなメリットがあるというふうに思っております。
 二つ目に、マイナンバーを利用することで卒業後の所得に合わせた返還月額を設定する所得連動返還型奨学金制度の導入が可能となりました。これによりまして、本年度の進学者から、当該制度を活用していただくことにより、所得が低い場合には大幅な返還負担の軽減が図られることとなりました。
 三点目に、マイナンバーにより日本学生支援機構の事務処理に係る業務も大幅に簡素化される見込みでございます。
 次に、システム改修費でございますが、日本学生支援機構においては平成二十六年度よりシステム改修を行っております。平成三十年度に整備を終える予定でありまして、そのための開発費が五年間で約六十五億円でございます。
 以上です。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 実は、給付型奨学金、対象の方というのは経済的に大変負担が大きい方に支給するということになりました。例えば住民票一つ取るにしても、交通費が掛かって、そして手数料も掛かる。それを削減するというのは大変にいいことだと思いますので、しっかり準備をしていただきたいと思います。
 さて、関係各位の努力によりまして返還不要の給付型奨学金制度が開始されることになりましたが、平成二十七年度において機構の有利子及び無利子奨学金の貸与者数は百三十二万三千六百八十八人に上り、返済滞納者も平成二十六年末の時点で三十二万八千三百八十六人となっております。マイナンバーを利用することで奨学金の支給、貸与及び返還業務における利便性が向上するということは、今答弁をいただいたように望ましいことだと考えております。
 一方で、貸与者に対する過度の取立て等の手段とされることになってはならないと思います。すなわち、申請手続が簡易になって事務処理手続作業がスピードアップすることに合わせて取立てのスピードが事務的に上がってはいけないと思います。どこまでも状況把握、これを第一にすべきだと私は思います。
 機構による奨学金支給、貸与及び返還業務におけるマイナンバーの利用に関し文科省として指針を示す、また機構との間で協議を行っているか、文科省に伺います。

政府参考人(松尾泰樹君)  お答えいたします。
 日本学生支援機構が実施する大学等の奨学金事業におけるマイナンバーの利用でございますが、ただいま樋口政務官の方からも御答弁しましたように、基本的に奨学金に係る手続の簡素化、そしてまた新たに導入いたします所得連動返還型奨学金制度を通じた返還負担の軽減のために行うことを旨としてございます。奨学金の回収に当たってということでございますが、これまでと同様、関係法令及び日本学生支援機構が定める規定に基づき返還を求めることとしてございます。マイナンバーの利用によりまして返還月額が過大になるとか、あるいは返還時期が早まるといった過度な回収が行われることはないというふうに承知してございます。
 奨学金事業におけるマイナンバーの利用に当たりましては、奨学金の貸与を受けようとする生徒、学生、そしてまた卒業後に返還する方の利便性に資するというその視点から適切に対応してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非、そのとおりにお願いしたいと思います。誤解が生じて、マイナンバーが使われるから奨学金借りません、大学進学はしませんという原因をつくっては絶対にいけないと思いますので、是非そこは徹底をしていただきたいというふうに思います。
 マイナンバー制度は、今ありましたように情報管理が心配だとか、監視社会になるのではないか、またカードの入手に手間が掛かる等、どうしてもネガティブなイメージが先行してきた感もあります。マイナンバー制度の理解には、先ほど答弁いただきましたように、生活の上で具体的に便利になった、手間が省けるようになったなど、僅かなことですけれども、国民の皆さんにとってメリットがある具体的な体験をしていただくことが不可欠だというふうに思います。特に、若い世代がこのメリットを享受することで、マイナンバー制度が効果的に活用できるんだよと、これ、口コミ効果というのも多分あると思いますし、世論形成が生まれることだと思います。
 奨学金制度にマイナンバーを活用していくということは、この点から見ても私は大変に効果があると考えますけれども、御所見いかがでしょうか。その上で、本制度の今後の展開や広報、この広めていくということが極めて大事じゃないかなというふうに思いますので、今後どのような想定をされているかも含め、担当大臣に御答弁いただきたいと思います。

国務大臣(高市早苗君)  今、三浦委員がおっしゃっていただいたとおり、特に若い方向けのまず広報というのも重要だと思っております。これまでも新社会人向けのテレビCM、新聞広告も出してまいりましたし、マイナンバーをテーマにしたラップ動画の作成もしました。また、文部科学省と連携して中学校三年生向けの副教材の作成などを展開してまいりました。
 ただ、実は去年、市区町村の窓口にまだ住民の皆様にお配りし切れないマイナンバーカードが滞留するという事態が起きましたので、その時期には少し申請数を、過剰になっても困るなというのがありまして広報を抑制していた時期がございました。しかしながら、滞留も解消しましたので、これからはマイナンバーカードの普及促進、それから制度を一層よく御理解いただくこと、それからまた利便性の積極的なPRにしっかり努めてまいりたいと思っております。
 それから、今委員もお触れになりましたが、マイナンバー制度に関しては、個人情報が漏洩するのではないかといった不安や懸念が国民の皆様にあることは承知しております。個人情報保護のために、マイナンバー制度では個人情報を一元管理せず分散管理を実施するということなど、法令面、システム面でまず様々な対策を講じています。また、マイナンバーカードについても、ICチップには税とか年金などプライバシー性の高い情報というのは記録されません。ICチップに内蔵している公的個人認証機能もマイナンバーそのものは使用をしません。
 こういったことを丁寧に説明していくということとともに、先ほど申し上げましたマイナンバーカード利活用推進ロードマップも活用しながら、若い方々始め国民の皆様全体にマイナンバー制度の意義ですとか利便性、十分に御理解いただけるように周知、広報に努めてまいります。

待機児童解消等の子育て支援施策の実施状況について

三浦信祐君 改めまして、大切な今年だと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいというふうにお願いいたします。
 次に、待機児童に関して伺いたいと思います。
 都市部を中心に、国の基準を満たす認可保育所の整備が保育需要に追い付いていないというのが現状だと思います。このため、親の就労や病気等の入所要件を満たしながら認可保育所や認可外施設に入れない待機児童数は、平成二十八年四月の時点で全国で二万三千五百五十三人に上っております。
 政府は、待機児童解消加速化プランにより、保育需要がピークとなる二十九年度末までに五十万人分の保育の受皿を確保するとしておりますけれども、統計に表れない隠れ待機児童が六万七千三百五十四名に上っております。保育士の不足に加え、保育所建設が周辺住民の反対で難航するケースが続出するなど、待機児童ゼロ目標の達成が危ぶまれているということも認識をしております。昨日、私も知人から無事保育所に入れたとほっとした顔で言われました。我が国において、この無事という言葉なしに保育所に入れる社会づくりが私は不可欠だと思います。
 待機児童解消のために実施してきたこれまでの施策の成果と、待機児童ゼロ目標達成の見通しについて、加藤担当大臣に伺います。

国務大臣(加藤勝信君)  子ども・子育て新支援制度においては、年平均十一万人ペースで保育の受皿整備を図り、また毎年度保育士の処遇改善に取り組むなど、子ども・子育て支援の質の向上と量的拡充に努めてきたところでございます。
 また、先般御成立をいただきました今年度予算においても、ニッポン一億総活躍プランに掲げております全職員についての二%の改善に加えて、キャリアアップの仕組みとしての経験年数がおおむね七年以上の中堅職員に対する月額四万円の改善などの保育士の処遇改善、また保育の受皿整備の更なる推進などを盛り込んでいるところでありまして、こうした施策を着実に進めていきたいと思っておりますが、ただ、今、足下、今委員御指摘のように、働く女性が増え、また保育の利用が急速に増加していく中、残念ながら地域によってはいまだ保育所になかなか入り難いという状況が続いているというふうに認識しております。
 そういう中においても、引き続き、待機児童解消に向けて、現在の目標、これをしっかりとまず維持をしていきたいと思っておりますし、また平成三十年度を越えて引き続き待機児童ゼロを目指していくため、新たなプランを六月に決定したいというふうに考えているところでございます。

三浦信祐君 是非進めていただきたいというふうに思います。
 今回、待機児童の定義の見直しがなされました。待機児童の定義いかんによってはハード、ソフト両面での対策が必要になるというふうに思います。そのような中、姫路市の認定こども園において、定員超過や保育士数の水増し等の法令違反が市による定期検査では発見されないなどの事態が発生をしております。保育の質をいかに確保するかということも喫緊の課題となっています。
 そこで、待機児童の定義見直しの方向性や、認可外施設を含めた保育所施設に対する検査体制の強化の必要性等について、厚生労働省の見解を伺います。

政府参考人(吉本明子君)  お答えいたします。
 まず、待機児童の調査、把握の仕方でございますけれども、これにつきましては、昨年の九月以降、検討会を行ってまいりまして、先般、三月三十日に検討会の報告がまとまったところでございます。
 その中におきましては、例えば育児休業中の者をどう取り扱うかなど、これまでの市区町村ごとの不合理な運用上の取扱いのばらつきがあったものについてそれを是正すること、また各市町村が保護者の意向や状況を積極的かつ丁寧に把握して利用可能な保育園の情報を提供するなど、保護者のニーズに合った寄り添う支援を行うことが重要であるといったまとめを行っていただいたところでございます。
 これを踏まえまして、翌三月三十一日に、厚生労働省から各自治体宛て、新しい調査要領を示したところでございまして、これに基づきまして待機児童数を調査していきたいというふうに考えているところでございます。
 そしてもう一点、認可外保育施設に対する指導監督につきましてお答え申し上げます。
 これにつきましては、厚生労働省の方から指導監督の方法について通知で示しているところでございます。児童福祉法上の届出の対象となる認可外保育施設につきまして、原則年一回以上の立入調査を行うほか、さらに、必要に応じては事前通告をせず立入調査を行うことを示しているところでございます。
 さらに、そうした調査のみならず、日常的な巡回をすることによる支援、指導が必要だということで、平成二十九年度予算におきましては、そのための巡回支援指導員の配置といった自治体に対する補助を盛り込んでいるところでございます。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 親御さんにとって安心して保育園に預けられるという社会をつくるためには様々な施策が必要だと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 さて、国は、児童福祉法等に基づいて市町村が実施する地域子育て支援拠点事業を助成するために、平成二十五年度に子育て支援対策臨時特例交付金を交付して、二十六年度には保育緊急確保事業費補助金を交付をしています。
 拠点事業については、従来、厚生労働省の所管となっておりましたが、子ども・子育て支援法等の制定に伴い、二十六年度以降の補助金の交付事務は内閣府が行っております。
 会計検査院の検査では、実施要綱等では、補助金の交付額の算定に当たり加算分を算定できるのは市町村から委託を受けた第三者が子育て支援展開取組を実施する場合となっているにもかかわらず、十一府県内、十五市町において、委託していないのに加算分を誤って算定し補助金が過大に交付されているという事態が明らかとなっております。要綱の解釈、読み違いに起因することがあるのではないでしょうか。会計検査院に指摘された問題の背景、今後の対策、改善等について、厚生労働省に伺います。

政府参考人(吉本明子君)  ただいま御指摘がございましたとおり、地域子育て支援拠点事業の加算につきまして、市町村が当該取組を第三者に対する委託等により実施する場合に加算の仕組みがあるわけでございますが、実態といたしましては、会計実地検査におきまして、この加算分を過大に交付されている事案が十一府県管内の十五市町において見受けられたとされたところでございます。
 この原因といたしましては、一つは実施要綱上で市町村からの委託等によるといったこの要件が必ずしも明確ではないということ、また自治体において加算の算定の趣旨についての御理解が十分じゃないといったことが挙げられていたところでございまして、この指摘を受けまして、実施要綱をこの度改正をいたしまして、加算分を算定できるのは市町村以外の者が取組を実施する場合である旨をより明確に規定いたしまして、ちょうど本日になりますが、四月三日付けでその通知を発出したところでございます。

ピクトグラム作成の状況について

三浦信祐君 ありがとうございます。事務の手続が大変な中でもありますので、今後とも不断の努力をしていただきたいと思います。
 次に、ちょっと話題が変わりますけれども、案内用図記号、ピクトグラムについて伺います。
 ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピック開催など、スポーツビッグイベントを控えて、また観光立国推進を目指し外国人観光客四千万人時代への対応として、案内板や道路標識などの整備の加速が必要であるというふうに思っております。
 今回、ピクトグラムについて、ISO基準のものとの整合性を考慮しているものと承知しております。ピクトグラムの活用は、一九六四年、東京オリンピックの際に始まりました。日本発案のピクトグラムで有名なところは非常口のマークで、今では飛行機にも活用されていて世界的にも有名となっております。
 一方で、清潔で便利として世界で高い評価を受け日本の価値を高めているトイレ、ここに目を向けますと、水を流すフラッシュボタンというのは各社ばらばらで分かりづらくなっております。おもてなし国家として、ピクトグラムの活用と新たな展開について、検討状況及び今後のビジョンについて世耕大臣に伺います。

国務大臣(世耕弘成君)  今、インバウンドの観光客が増えていて、そしてこれからラグビーワールドカップ、そして東京オリンピック・パラリンピック、海外からのお客さんがどんどん増えてくる中で、そういった方々が迷わないように、ピクトグラムをきちっと整備していくというのは非常に重要だと思っています。
 ただ、若干、日本のピクトグラム、JIS規格とISO規格にずれがあるようなところが出てきている、あるいは今までなかったようなものもこれはやはりピクトグラムにした方がいいというものが出てきているということで、今、昨年七月から有識者会議を開催をいたしまして、つい先月、ISOとの整合化を図る観点から、有名なところでは温泉マークとか、あるいは空港の乗り継ぎマーク、こういったものを始めとする七種類のJISの規格を見直す最終案を取りまとめたところであります。今後、必要な手続を経て、七月二十日付けでJISを改定する予定であります。
 また、新たな記号の追加ということで、例えば無線LANですとかあるいは海外発行のカードが使えるATMですとか、あとオストメイト、人工肛門の方が使うやつですね、こういったものを新たに追加をしていくということも検討中であります。
 また一方で、日本が強みを持つトイレ製品に関しては、まず、洗浄ボタンですとか、あと緊急呼出しボタン、これの配置の位置とかについて日本が提案をして二〇一五年十二月にもう既に国際標準化が行われております。今、既に公共施設の多機能トイレなんかはこの基準に従って設置をされているわけでありますが、今後はさらにウォシュレット、これはもう圧倒的に日本なわけですけれども、これの開閉ボタンですとか洗浄ボタンなどの機能を示す操作ボタンの図柄についても、三月に日本が提案を行って国際標準の獲得を今目指しているところであります。
 いずれにしても、関係省庁ともよく連携をしながら、引き続きピクトグラムをしっかりと推進をしてまいりたいと思います。

電源安定化の取り組みについて

三浦信祐君 日本の得意技でまた新たな歴史をつくっていく、そしてそれが世界に発展をすることによってプレゼンスを保っていくということにも是非お力を注いでいただきたいというふうに思います。
 続きまして、昨年の送電インフラの経年劣化等により生じた首都圏の大規模停電、再発防止策、バックアップ体制及び生じ得る可能性への対策について現時点での対応状況を伺いたいと思いますが、特に二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催するに当たりましては、送電安定化への努力というのは不可欠だと思います。セキュリティー強化というのも欠かすことはできません。高度成長期以降の送電設備などの老朽化対策、機器更新を積極的に進めるべきであると思いますが、現在の取組について併せて経産省に伺います。

政府参考人(住田孝之君)  昨年十月には、延べ五十八・六万戸もの大規模停電が都内で発生をいたしました。国民生活への影響の大きさを踏まえまして、発生の当日に東京電力に対しまして早期の原因究明と再発防止を指示をいたしました。また、その際に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えて、中長期的なリスク管理対策もしっかり講ずるよう指示をしたところでございます。
 これを受けまして、東京電力から報告をさせておりますけれども、先月十五日には対応状況についての報告が行われました。
 この報告によりますと、今回の火災の原因、これが経年劣化にあったということが明確になったところであります。そして、経年化をしております設備の対策あるいは適切な時期での設備更新、これが極めて重要な課題だというふうに認識をしておるところでございます。
 そこで、これまでの指導等を踏まえまして、東京電力におきましては、ケーブルの劣化の状況を速やかに把握をする、そして必要な対処ができるというようにするために、いわゆるIoT、センサー等でございますけれども、これを活用した最新の監視装置の導入を決定をしたところでございます。また、都内の重要路線における古い送電ケーブルの取替えを順次進めていくということとともに、さらには送電設備の点検手法を高度化するといったようなことを通じて設備の経年化対策を加速するということにしておるところでございます。
 経産省といたしましては、引き続き東京電力の取組をフォローアップするとともに、必要に応じて追加的な対策を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

エネルギー政策の方向性について

三浦信祐君 是非お願いします。
 次に、エネルギー基本計画に基づいて、平成二十七年の七月、二〇三〇年度のエネルギー需給見通しが示されております。再生可能エネルギーは二二から二四%、原子力は二〇から二二%、この電源構成比の実現を図るためには、二十八年の四月にはエネルギー革新戦略が策定をされております。望ましい電源構成比実現のための具体的工程、特に原子力発電についてのスケジュールはどのようにお考えになっているんでしょうか、世耕大臣に伺います。

国務大臣(世耕弘成君)  今、エネルギーミックスを二〇三〇年度に達成するという目標に向けて作業が進んでいっているわけでありますけれども、まず再生可能エネルギーについては、これは国民負担を抑制するという視点が非常に重要でありまして、しかし一方で、できる限り最大限導入をしていくということで、昨年五月に成立しました改正FIT法、これが四月一日より施行されましたので、今後は、例えば今年の秋からは大規模太陽光を対象とした入札制を実施するなど、この制度をフル活用しながら再生可能エネルギーの着実な導入、運用に努めてまいりたいというふうに思っています。
 また、火力発電もやはりこれは重要でありまして、特に火力発電の場合はCO2をいかに抑えるかということが重要になりますので、低炭素化をしっかり進めていくことが重要であります。これは、省エネ法などを活用して高効率化を促す規制の枠組みを昨年四月に構築したところでありますから、これをしっかりフォローアップをしていきたいというふうに思っています。
 そして、原子力発電については、優れた安定供給性と効率性を有しているということ、また運転コストが低廉で変動も少ない、運転時に温室効果ガスの排出もないということから、安全性の確保を大前提に、エネルギーの需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源というふうに位置付けています。
 しかし、原発の再稼働については、スケジュールありきではなくてあくまでも安全重視で、これ、規制委員会が世界で最も厳しいレベルにあると言われる新規制基準に適合すると判断した原発のみ、その判断を尊重して、地元の理解を得ながら進めていくということになります。
 ただ、数字だけで申し上げますと、今我々が目標としている原発の依存比率二〇から二二、これについては、規制委員会の審査を経た上で既存の原発を全て再稼働し、また一部の炉については法令で認められた四十年を超える運転期間延長を行っていって、そして原発の稼働率が八割程度まで向上すれば、今までは七割だったわけですが、十分達成可能ではないかと考えていますが、あくまでも安全最優先ということでやってまいりたいと思っています。

石炭火力発電について

三浦信祐君 安全重視という御発言をいただいたことは極めて大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、今大臣からもありましたけれども、火力発電の中でも石炭火力について伺います。
 クリーンコール技術海外普及展開等事業の効果について、まず経産省に伺います。

政府参考人(山下隆一君)  クリーンコール技術海外普及展開等事業は、この国のクリーンコール技術を海外に普及することを目指して、日本の技術者を派遣することなどで相手国の具体的な案件形成や関連調査を支援するものでございます。平成二十七年度から実施をしておりまして、これまでに、新興国を中心に案件形成に向けた調査を実施し、合計四百三十四名の技術者を派遣しております。
 案件形成から入札までは数年は掛かることが一般的でありますので、我が国技術の採用に至った事例はまだ出てきておりませんが、技術者を派遣したことで、例えばタイから我が国の石炭ガス化複合発電、この技術について照会を受けているところでございます。
 今後は、既存案件のフォローアップを適切に実施しつつ、相手国のニーズにより一層沿った形で事業を実施することにより、石炭火力発電量の増加が見込まれるアジアを中心に我が国の高効率な火力発電技術の導入を進めてまいりたいと思ってございます。

三浦信祐君 ありがとうございます。今御答弁いただいたとおりだと思います。
 その上で、石炭火力というのはCO2排出量が大きく、石炭利用に対する技術の進展が強く求められております。一方で、日本は世界最高水準の石炭火力技術を有しております。地球温暖化対策に寄与することができるこの日本の技術の世界展開について私は積極的に推進すべきであると考えますが、大臣の御見解をお願いします。

国務大臣(世耕弘成君)  確かに石炭火力はCO2をたくさん排出をいたします。火力発電という分野でいけば、LNGを使った方が環境の負荷ははるかに少ないということになります。
 ただ、LNGは大変高価でありますし、いろんな技術者も必要であります。また、非常に大きな発電になりますので、そのグリッド網がきちっと整備をされていないと、緻密に整備されていないと電力の安定供給につながらないという面もありまして、やはりアジアを中心とする新興国あるいは途上国では、経済上の問題があって石炭火力を選択せざるを得ないという国もあるというのが現実であります。
 こういった国に対して、日本の石炭火力、これは高効率でありまして、CO2の発生を極力抑える技術を持った石炭火力ということになりますので、そういう石炭火力を導入させていくということが極めて現実を見た気候温暖化対策になっていくんではないかというふうに思っています。今、例えばアメリカと中国とインドの石炭火力発電を全部日本の高効率石炭火力発電に置き換えることができれば、日本の一年分のCO2排出量に相当する十二億トンのCO2をカットするということができると言われております。
 こういった意味からも、日本の火力発電を世界に広げていくということは非常に重要でありまして、技術セミナーですとかあるいは海外からの電力関係者の招聘とか、そういうことを行って、日本のレベルの高い石炭火力発電を世界にしっかりと広めてまいりたいと思います。

三浦信祐君 そうなりますと、石炭火力発電に関連する技術者、研究者というのは、日本にとってはもう重要な人材だと思います。特に、効率を良くするために貢献をしているのは金属材料分野だと思います。その技術者、研究者は世界の最先端の能力を有しております。
 我が国における石炭火力関連分野の人材育成とともに、人材が世界へ流出しないように対策、支援をすべきと考えますけれども、世耕大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(世耕弘成君)  御指摘のように、石炭火力発電に関する技術者というのは我が国にとって非常に重要だというふうに思っています。特に、高効率発電をやる場合に非常に必要不可欠なのは高温に耐え得る金属材料ということになります。それをまた加工する技術ということになるわけですが、我が国はこれを非常に得意としておりまして、今後ともこういった技術は維持強化していかなければいけないと思っております。
 そのため、経産省において高効率な石炭火力発電の技術開発やその普及を支援することによって、人材をしっかりと確保してまいりたいというふうに思っています。

三浦信祐君 ありがとうございます。
 従来の石炭火力発電に比べCO2を削減できる新たな技術であります石炭ガス化発電について、現在の技術進展と国の支援体制、また取組及び技術保護の動きはいかがか、是非御答弁いただければと思います。

政府参考人(山下隆一君)  石炭ガス化発電につきましては、既に福島県で民間事業者が実証試験機を商用運転しておりまして、この技術で、旧来型の技術と比べて二酸化炭素の排出量を二割程度削減することが可能になります。さらに、石炭ガス化発電に燃料電池を組み込むことで更に高い発電効率を目指す実証実験を国からの補助事業として取り組んでおりまして、先週の三月二十八日からは実証運転を開始したところでございます。この技術によると、旧来型の技術と比べて二酸化炭素の排出量を三割程度削減することが可能となります。
 開発いたしました技術の保護につきましても、事業者が国内外で特許を取得するとともに、技術やノウハウなどが社外に流出するのを防ぐために、電気事業者、プラントメーカー、関連機器メーカーなどの間で秘密保持契約を結び、知的財産権の保護にも努めているところでございます。

福島第一原発廃炉について

三浦信祐君 是非、実証できるように御努力をいただければと思います。
 次に、福島第一原発の廃炉について伺います。
 現在の進捗状況について、国民の皆様にお伝えをいただければというふうに思います。

政府参考人(平井裕秀君)  お答え申し上げます。
 福島第一原発の廃炉・汚染水対策、これにつきましては、中長期ロードマップに基づきまして、国も前面に立って安全かつ着実に進められているところでございます。
 そのうちの、まず廃炉対策につきましては、燃料デブリの取り出しに向けた炉内調査というのが着々と進められているところでございます。本年一月からの二号機の調査におきましては、原子炉下部付近の状況を初めて確認したところでございます。また、先月の一号機の調査におきましては、燃料デブリが存在していると想定される格納容器底部、この付近での多くの地点で放射線量等のデータを取得することができるなど、着実にその成果が出てきているところでございます。
 一方、御心配をお掛け申し上げました汚染水対策につきましても、予防的、重層的な対策が着実に進展をしているところでございまして、凍土壁につきましては、海側が昨年十月に凍結完了をいたしました。護岸での地下水のくみ上げ量は約三分の一にまで減少したところでございます。残る山側につきましても、約九八%で凍結が進んでいるところでございまして、残る約二%につきましても原子力規制委員会の認可を得ながら早期に凍結させていく方針でございます。
 今後も予測の難しい困難な作業が予測されることでもございますが、世界の英知を結集して廃炉・汚染水対策をしっかりと進め、福島の皆様の復興、安心につなげていく所存でございます。

知財マネージメントとその人材育成について

三浦信祐君 当然、福島の皆さんに安心をしていただくだけではなくて、世界から信頼をされるためには、しっかりこれを進めていくことが大事だと思います。これは、党派を超えて、もう政府を挙げて全力で取り組んでいただきたいというふうに強く申しておきたいと思います。
 その上で、今回の原子炉システムでのシビアアクシデントからの廃炉は世界で初めてであります。二度とあってはいけないということはあります。得られる技術と能力をしっかりと保護して、他国に安易に技術をもたらすべきではないと考えます。日本がこれから行っていく通常状態の原子炉の廃炉また福島第一原発の廃炉を通して、これらの技術集積、経験値の蓄積、また知見、知財確保と保護、オープン・クローズ戦略を計画的に進めることが大切であるというふうに私は考えております。その根幹となるのが人材育成、次世代人材の創出であり、それを取り組んでいくことは不可欠だと思います。
 最後になりますけれども、今後どのように取り組んでいかれるか、世耕大臣のお考えを伺います。

国務大臣(世耕弘成君)  まず、福島第一原発のこれからの廃炉作業というのは、人類が経験したことのない大変難度の高い作業になっていくんだろうというふうに思います。ただ、一方で、そういった作業を通じて、日本に廃炉に関する高い技術を蓄積をしていく、また人材を育てていく、そういう機会にもつながってくるのかなというふうに思っております。
 また、これから通常の廃炉も時間を経るとともに増えてくるわけでありますから、通常の廃炉については、これは電力事業者やあるいはメーカーなどの事業者が、これまでの原発の建設、保守、メンテナンスなどで培ってきた技術などを生かしながら取り組んでいくべきものだというふうに思っておりますけれども、これも、円滑な廃炉を実現するためには、高度な技術の維持とやはり人材の確保というのが必要になってまいります。
 そこで、経産省としては、原子力を支える高度な技術、人材を維持発展させるという取組の一環の中で、特に廃炉現場技術者の技能向上に向けた実習や講義などの取組についてもしっかりと支援をしてまいりたいというふうに思っております。

三浦信祐君 国民の皆様からお預かりをした税金を適切に、未来への投資だったり、また社会の安定のために使っていくことは大事なことだと思います。是非、政府一丸となって取り組んでいただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。