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令和7年4月18日 第217回国会 参議院 本会議 第14号

対米交渉と能動的サイバー防御

三浦 信祐

公明党の三浦信祐です。
ただいま議題となりました能動的サイバー防御関連法案について、会派を代表して質問いたします。
まず、米国の関税措置は我が国にとって国難であり、一連の関税措置の見直し、課題克服合意へ、自由貿易の旗手として、世界に先んじて総理が直接トランプ大統領と会って決着を付けるべきであります。今後の対米交渉について石破総理の決意を伺います。
サイバー空間では攻撃する方が圧倒的有利です。サイバー攻撃による被害は年々増加しています。特に、国、重要インフラ等へのサイバー攻撃は国民生活、経済、生命に重大な影響を及ぼすため、防ぐには、攻撃の芽を事前に摘む能動的な防御、対処能力の構築、官民問わず総力を挙げて取り組むべき課題です。
二〇二二年の安保戦略三文書策定に当たり、私は与党ワーキングチームに参画し、議論を重ねました。その上で、三文書の具現化へ詳細検討が必要と提案したのは、セキュリティークリアランスの導入、防衛装備移転、能動的サイバー防御の三項目でした。策定以来、着実に実現し、その最後が本法案です。能動的サイバー防御の実施には、官民連携の強化、通信情報の利用、アクセス・無害化措置について検討が必要と整理されました。これらに組織、体制整備等を加えて整理したのが本関連法案です。一刻も早く成立を期すべきであります。
サイバー対処に当たり、国民の皆様に御理解と御協力を得ていく視点から、総理、担当大臣に質問いたします。
まず、サイバー攻撃への即応力構築、対処には、官民連携の強化による関係機関の報告、連絡、相談体制の整備を図り、双方向での共有が不可欠です。国民生活に特に重要な基幹インフラ事業者の協力を得なければなりません。そのための方策と重要情報を扱う場合に備え、民間事業者におけるセキュリティークリアランスホルダー確保の促進への方策について総理に伺います。

通信情報利用とAI活用の検討

三浦 信祐

次に、本法案において、サイバー攻撃の実態把握のために通信情報を取得し、自動選別により機械的情報を選別し、それを分析することが今回の取組の中核となるコンセプトです。この取組の技術的可能性とともに、AIの活用など、将来の分析能力向上に向けた具体的検討状況について伺います。その上で、このような技術は我が国が主体的に利用できるよう、国産化を図るべきです。平大臣の見解を伺います。
本法案で規定する官民連携、通信情報の利用、アクセス・無害化措置に関する法体系は、欧米主要国が先行し、能力向上、制度のアップデートが行われています。世界が実施しているサイバー防御制度や体制と整合が取れていることでサイバー防御への実効性が生ずると考えます。本法案が世界標準に合致している制度、体制となっているか、総理に見解を伺います。
政府による通信情報の取得、分析と憲法二十一条の通信の秘密との両立を図ることは必須です。公明党も強く主張し、通信情報の利用の適正確保のために導入する、独立した、いわゆる三条委員会であるサイバー通信情報監理委員会の役割と体制について、総理に伺います。

外国サーバーへのアクセスとガバナンス

三浦 信祐

最後に、外国に所在するサーバー等に対してアクセス・無害化措置等を行うことについて、安全保障政策との整合性を確保する必要があります。政府としてどのようにガバナンスを効かせてアクセス・無害化措置を実施するのか、国際法上の違法性阻却の観点からも明確にすべきです。総理の答弁を求めます。
国民の生命と財産を守るため、能動的サイバー防御能力の構築へ政府が迅速に取り組むことを求め、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕

答弁

内閣総理大臣(石破茂君)

三浦信祐議員の御質問にお答えを申し上げます。
合衆国の関税措置についてでございます。
一連の合衆国政府による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済や多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼすものであります。
このため、私自身、七日にトランプ大統領と電話会談を行い、直接働きかけを行うとともに、今般、赤澤経済再生担当大臣を合衆国との交渉担当閣僚に指名し、合衆国に派遣し、協議に臨ませたところでございます。
赤澤大臣におきましては、トランプ大統領を含む合衆国政府関係者と時間を掛けて率直かつ建設的な議論を行いました。トランプ大統領は日本との協議を最優先としたいと述べましたが、日米間では依然として立場に隔たりがございます。当面は閣僚級で協議を継続することになりましたが、今後、この協議の推移を見ながら、私自身最も適切な時期に訪米をして、トランプ大統領と直接会談することも当然考えておるところでございます。
基幹インフラ事業者との協力及びセキュリティークリアランス制度の活用についてのお尋ねをいただきました。
国家を背景とした高度なサイバー攻撃への懸念の拡大や、社会全体におけるデジタルトランスフォーメーションの進展を踏まえますと、官のみ、あるいは民のみでサイバーセキュリティを確保することは極めて困難であります。このため、今回のサイバー対処能力強化法案におきましては、政府が基幹インフラ事業者を始めとする民間事業者から得る様々な情報を整理、分析するとともに、サイバー攻撃による被害の防止に必要な情報を政府が民間事業者に提供するなど、官民双方向での情報共有を推進し、我が国全体のサイバーセキュリティの強化を図ることとしております。
また、政府から提供する情報にはサイバー攻撃の目的や背景などの機微な情報も含まれ得ることから、事業者において当該情報を適切に管理していただく必要がございます。こうした観点から、例えば、協議会の構成員となる事業者につきましては、重要経済安保情報保護活用法に基づくセキュリティークリアランス制度の活用も想定をいたしております。基幹インフラ事業者等の協力の確保やセキュリティークリアランスの保有の促進のためには、事業者の皆様に、政府から情報提供を受けることの意義、メリットを感じていただくことが重要であります。事業者の視点に立ち、有意な情報の作成方法、協議会の効果的な運営方法等について必要な検討を進めてまいります。
本法案が世界標準に合致した制度、体制となっているかについてのお尋ねをいただきました。
令和四年に閣議決定をした国家安全保障戦略では、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させることを目標に掲げ、その柱として能動的サイバー防御を導入することといたしました。
この度の法案では、欧米主要国と同様に、政府から民間への情報提供、一定のインフラ事業者からのインシデント報告や、通信情報の利用、アクセス・無害化などについて、必要な枠組みや権限を設けることとしております。サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織を設けることともいたしております。
今後、更なる体制強化も進めながら、サイバー安全保障に係る取組を総合的に推進し、国家安全保障戦略に掲げた目標の実現に努めてまいります。
サイバー通信情報監理委員会の役割と体制についてであります。
お尋ねのサイバー通信情報監理委員会は、通信情報の利用などの審査、検査、アクセス・無害化措置の審査、確認などを任務とするものであり、サイバー対処能力強化の措置が法律にのっとって適正に実施されることを確保する上で極めて重要な役割を果たすものでございます。
委員会を構成する委員長一人及び委員四人につきましては、法律あるいはサイバーセキュリティ等のいずれかに関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者で、人格が高潔である者のうちから、国会の御同意を得て、内閣総理大臣が任命することといたしており、委員長及び委員は独立して職権を行うこととしております。
また、委員会には、その事務を処理する事務局を置くこととしております。委員会による審査、検査等が公正かつ適正に行われることを確保するため、事務局の体制につきましても、適切な専門性を有する職員が十分に確保できるよう、政府として取り組んでまいります。
アクセス・無害化措置についてのお尋ねをいただいております。
国、基幹インフラ事業者等に対する一連の重大なサイバー攻撃の発生又は予兆を認知し、アクセス・無害化措置を実施する必要があると認められる場合には、国家安全保障の観点からこれが適切に行われるよう、私自身が議長を務める国家安全保障会議で速やかに審議した上で、総論的な対処方針を定めることとなります。
その上で、内閣官房に設置する新組織が、サイバー安全保障担当大臣の指導の下、国家安全保障局と連携して総合調整を行い、統一した方針の下で警察と自衛隊が緊密に連携して対処することとなります。
外国に所在する攻撃サーバーなどに対し、警察官又は自衛官がアクセス・無害化措置を実施する場合には、警察庁長官又は防衛大臣を通じて、あらかじめ外務大臣と協議しなければならないこととしており、これにより、国際法上許容される範囲内で措置を行うことを確保することといたしております。
残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁をさせていただきます。(拍手)〔国務大臣平将明君登壇、拍手〕

国務大臣(平将明君)

三浦信祐議員より、本法案における通信情報の利用や分析に関し、技術的可能性や将来の分析能力向上に向けた検討状況、技術の国産化についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、通信情報を取得し、自動選別により機械的情報のみを選別した後分析をするという通信情報の利用に係る取組は、重大なサイバー攻撃による被害を防止をするという本法案の目的を達成するための重要な要素であると考えております。
自動選別や分析を実現するための技術については、官民双方からの高度なサイバー人材を確保するとともに、関係省庁の人的・技術的協力も得て、しっかりと対応してまいります。
さらに、サイバー空間の脅威の情勢が深刻化する中で、通信情報の利用に当たっては、巧妙化、複雑化していく攻撃にも有効に対処していけるよう、AIの活用も含め、今後の技術動向に応じた高性能なシステムの導入を通じて分析能力の向上を図ってまいりたいと考えております。
また、通信情報の利用に係る技術については、御指摘のとおり、我が国が主体的に利用できるようにすることは重要であり、国産の技術で利用可能なものについては積極的に取り入れてまいりたいと考えております。(拍手)