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令和7年3月13日 第217回国会 参議院 予算委員会公聴会 第1号

ウクライナ侵略後のEUの変化

三浦 信祐

公述人の先生方には、大変貴重なお話をいただきましたことを心から感謝申し上げたいと思います。
早速質問させていただければ有り難いと思います。
東野公述人に伺います。
今回のウクライナの侵略ということによって世界経済は大きく動きました。そして、今の激動する、毎日のように変わっている状況ではありますけれども、今回のこのウクライナ侵略の前後でEUが、今後それ以前とこれ以降で大きく変わっていくだろうと。先ほどは軍事的な視点もお話をいただきました。
一方で、経済とエネルギーということを無視して軍事の話だけをするわけにはいかないと思いますけれども、先生がこのEUの今後に関してどのようなイメージをお持ちでしょうか。

公述人(東野篤子君)

三浦先生、貴重な質問をどうもありがとうございます。
経済、エネルギーでいいますと、やはりこの全面侵攻の前後で何が一番変わったのかという話と、飯田先生の話にも関連するかと思いますけれども、やはりロシア依存、エネルギーのロシア依存の低減、脱ロシア化と言われるですね、そういった現象かというふうに思います。
先生方も御存じでいらっしゃると思いますけれども、戦争が、全面侵略が始まる前のEUは非常にロシアに強いエネルギー上の依存を保っていた。これが、エネルギーの上で非常に厳しいですとか、あるいは、ロシアに単体で依存をするということはEUの経済安全保障上もエネルギー安全保障上も非常に危険だと言われていながらも、例えばその当時のドイツのメルケル首相の考えであれば、経済的な相互依存を強めることによって安全保障上のリスクも低減することができる、だからロシアとの経済的な関係はむしろ強化することによってヨーロッパの安全保障全体を守っていかなければいけないと、信念に近いこういった考え方がおありだったと思います。
ところが、経済的な関係をロシアと強化したところで、二〇一四年のロシアによるクリミアの占領はいずれにしろ起きていたわけですし、ノルドストリームの2の計画はその後に計画されていたものでありますから、経済的な相互依存を強めても、それが結果的には軍事的な抑止力にはならないということがヨーロッパの教訓として残されたのではないかと思います。
そして、現在、ロシアに対して制裁を行い、またロシアからのエネルギーを、まあ一〇〇%とは行かないまでも買わないようにする、あるいは石油にプライスキャップを付けるというような様々な措置を行っていますけれども、今、脱ロシア化、経済の脱ロシア化とかエネルギーの脱ロシア化は不可逆的な形で進んではいるものの、やはりこれをゼロにすることができないという苦しさは非常に大きいのではないかということなんですね。
例えば、それは国によっても違うわけで、よくハンガリーのような国が親ロシア的であるというようなことを言われますけれども、あれはオルバン首相がロシアが好きということ以上に、ハンガリーはロシアからのパイプラインで石油を得ていて、それがなければハンガリーの経済が立ち行かないというような現実もございます。
ハンガリーだけではなくて、例えばスロバキアのような国、あるいは、チェコは大変ロシアに対する厳しい立場を取り、そしてウクライナに対して非常に協力的なんですけれども、そのチェコですらやはりロシアへのエネルギー依存を断ち切ることができないという状況にあります。そのチェコの方々に聞き取りに参りますと、そういうふうにロシアからのエネルギー依存を完全に断ち切ることができないからこそ、その代償としてではないですけれども、その代わりにウクライナ支援をより手厚くやらなければならないというような、非常に苦しい立場もよく表明されている状況でございます。ですので、脱ロシア化は進んだ、しかしそれが一〇〇%ではないということに様々な問題も出ているということであります。
また、対中関係に関しても非常に大きなその含意があったと思います。つまり、その中国との関係に関しては、その戦争が始まる前までは、特に関係を深めたいドイツのような国とそれに対して批判的な国々があったという構図があったわけですけれども、これが、その対立状況がより深まったとも言えるわけですね。
つまり、ヨーロッパとしては、ロシアに対して全面的に今対峙している状況であり、脱ロシア化はどうしても進めなければならない。しかし、そこでロシアとヨーロッパが対峙しているときに中国と対峙することというのは本当にできるのかと。それは経済面であっても二方面が本当にできるのかということで、その中国との関係はむしろ強化していかなければならないという見解と、しかし、中国はロシアの継戦能力を様々な形で支えている、やはり中国も、脱中国しなければ、EUに関しても、中国に関して脱中国化を進めなければならないのではないかということで、大変意見が混乱しています。
なので、古い問題が根強くある一方で、その問題の性質が徐々に変わっていっているという認識を私は持っております。

三浦 信祐

ありがとうございます。
まさに日本がこの状況をよく見ていかなければいけないということだと思いますけれども、公明党としては、常設の安全保障対話機構というのをアジア版でつくった方がいいということを訴えて、これを実現するということの取組を加速をさせていきたいというふうに思っておりますが、今回、OSCEがこのウクライナの侵略以前から果たしてきた役割、その効果と、また今後、一方でメリットはあったはずなので、今後それをどういうふうに取り扱って理解をしていけばいいかということをお伝えいただければと思います。

公述人(東野篤子君)

ありがとうございます。
公明党さんはずっとOSCEの重要性について大変に強力に発信をしてくださっており、私も大変感謝しております。
というのは、日本では往々にして、OSCEは牙を持たない、つまり、軍事力を持つ機構ではないのだから余り実効性がないとか、そういったOSCEをちょっと軽視するかのようなそういった言説もしばしば聞かれるんですけれども、御指摘のとおり、OSCEの非常に大きな役割として選挙監視があり、そして、例えば全面侵攻が始まる前までは、OSCEがミッションを派遣して停戦の状況をきちんとモニターし、そのモニターの状況を日報、デイリーリポートに書き記しているということが非常に大きな役割であったと思います。
そのデイリーリポートに関しては、例えば、これはロシアが停戦違反をしたとか、ウクライナが停戦違反したとか、そのように断定をするものではないのですが、どちらの方向からどういう武器が使用されて、そしてそれによってどういう被害があったかということを克明に書き記すということなんです。全面侵攻があった後、やはりこの記録の重要性というのは非常に重要であったということだと思います。
今は戦争が非常に危険な状況になっているのでOSCEの監視は入ることはできませんけれども、かつてそういう状況があったということになったときに、一部であっても一時期であってもそういった記録を取られるような体制があったということは、やはりこれは広くヨーロッパを超えて示唆を与えるもの、参考にできることがたくさんあろうかというふうに思います。
やはりOSCEの肝というのは信頼醸成でございます。この信頼醸成ということが東アジアの将来の有事を防いでいくために極めて重要であることは論をまちません。ですので、アジア版のOSCE、これはそのままOSCEをアジア版に移植してきて本当に機能するのかという技術的な問題はありましょうが、そういったその問題意識を持って何らかの形での信頼醸成が東アジアでできないのかということを考えていくことは私は非常に意義のあることだと思っております。

三浦 信祐

東野公述人にはたくさん示唆をいただきました。もっと議論したいんですけれども、またの機会にさせていただければと思います。
飯田公述人にお伺いしたいと思います。
エネルギーというのはまさに全ての国の安全保障であって、国民のまたいわゆる人間の将来をつないでいくものでありますので、これに対する技術の革新であったり、また新しいその能力を実装するということに対する挑戦というのは今後ずうっと続いていくんだろうなというふうに思います。
私もガスタービンをずっとやってきたものですから、燃料を使ってそれをいかに効率するかといったことを飛び越えていくのが自然エネルギーだというふうに思います。
COP29の中では当然、再エネ設備の三倍増というお話もありました。一方で、世界の中での余り評価をされていないところでありますけれども、三十一か国が署名をしている原子力の三倍計画、これについてはどのような御感想をお持ちでしょうか。

公述人(飯田哲也君)

御質問ありがとうございます。
ちょうど先ほど時間切れで質問できなかった、二十二ページ目を御覧いただきますと、原子力三倍増は、いわゆる有志国連合ということで正式な会議で議決されたものではなかったんですけれども、今、大体原子力は四百ギガワットあります。これを、先ほどの再エネと違うのは、再エネはあとたった五年、二〇三〇年までに三倍と。再エネの場合は、三千四百ギガワットを一万一千ギガワットにしましょうという極めて野心的な、しかもそれは百十か国が調印をした、しかも公式な議決だと。原子力は三十一か国の有志連合で、四百ギガワットを二〇五〇年まで、あと二十五年か、二十五年で三倍増ということは千百ギガワットなんですけれども。
ところが、この二十二ページを見ていただくと、世界の原子力は老朽化が相当進んでいます。日本を始めとして、まずアメリカ、ヨーロッパ、日本は六〇年代から始まって七〇年代、八〇年代に大量建設したものがもうほとんど廃炉にどんどん向かって、日本もかなり廃炉をしました。新設は一方でほとんどできないんです。もう全然間に合わないと。
ですから、私の予測は、三倍増という志は掲げたものの、現実起きるのは三分の一に縮小していくんじゃないかというふうに私としては予測をしております。
ありがとうございます。

三浦 信祐

私自身は、原子力をこの発電という観点だけで見るというのは間違いではあるなというところもあって、例えばこれで、がん対策に使っている原子炉がベルギーとか南アフリカから、日本ではがん対策で使っているものを取り入れているというのもあるので、むしろ原子力というその技術のことをどう考えるかというのは今後必要かなという視点で取り組んでいきたいと思います。
端的に是非、今回、水素エネルギーのことが余りアプローチされておりませんでした。我が国のように雪国で、例えば大雪が降ったときに道路がスタックをしたときに、バッテリー持ってそこに救援行けるんですかという現実的な課題もあります。ですので、内燃機関を使ってCO2を出さないような水素というのも標榜するということが重要かと思いますけれども、公述人の御意見を頂戴できればと思います。

公述人(飯田哲也君)

水素に関しては、実は有名な水素階段と、つまり、階段って上る階段なんですけれども、水素を使えるところと使えないところというところで、水素を今使えるところは、実はこれは日本製鉄や神戸製鋼もやっていますが、いわゆる水素還元、直接還元製鉄と、もう一つはメタナイゼーションというんですが、CO2と水素を合わせていわゆる天然ガスを新たに作っちゃう、メタンを作ると。この二つが今現実、現実というか、経済的にできるかもしれないと。
ただ、その大前提はグリーン水素、つまり太陽光と風力で安い再エネの電気をつくるのが大前提なんですね。それをオーストラリアはやっているわけですけど、あるいはほかの中東もやっているんですが、日本は、いや、再エネがまだ安くない上に、それを例えば電気自動車にする、電気自動車でつくった方が、水素自動車だと一旦水素に変え、また電気に変えるので、電気自動車だと百の電気が動力のところで大体八十ぐらいで、ロスで二十ロスでいいんですけど、水素燃料電池は八十ロスするんですね、二十しか動力にならないと。
それであれば、貴重な水素は使えるところに使い、しかも世界はもう電気自動車に突っ走っていますので、是非トヨタを始め日本の自動車産業はその分野でしっかり世界に伍して頑張っていただきたいと私は期待しております。

三浦 信祐

終わります。ありがとうございました。