第211回国会 参議院 内閣委員会 第14号 令和5年5月16日
次世代医療基盤法のこれまでにおける運用上の課題
三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。
二〇一七年、健診結果やカルテ等の個々人の医療情報を匿名加工し、医療分野での研究開発への活用を促進するために、個人情報保護法との関係も踏まえ、次世代医療基盤法が成立し、現在、施行後運用されていると承知をしております。その上で、今回の次世代医療基盤法改正に当たり、立法事実は、五年見直しの規定、また現場からの改正要望が強いことによると理解もしております。
これまで個人情報保護法の改正も行われてきております。本法が成立するまでの間に今回の立法事実における議論が調わなかった理由、まあ五年前のことですね、これについて内閣府ではどのように考えているのでしょうか。理解について伺います。
政府参考人(西辻浩君)
お答え申し上げます。
御指摘いただいたとおり、今回の改正案は、法附則の五年後見直し規定を念頭に、様々な立場の方に構成員として御参加いただいたワーキンググループでの見直しの方向性に沿ったものでございます。
ワーキンググループでは、現行法施行後の運用状況、これも踏まえまして、匿名加工医療情報を活用した研究開発の限界、それから他の公的なデータベースとの連結解析による多角的な研究開発の必要性等について御指摘をいただいたところでございます。
今回の改正案は、このワーキンググループで御指摘いただいた課題の解決を図るために、現行法の制定以降、五年前の制定以降の状況の変化、すなわち、一つには、個人情報保護法におきまして仮名加工という制度が新たに創設されたこと、それからもう一つは、NDBを始めとした医療情報間の、公的データベース間の連結利用制度の整備というのが進んだと、こういった状況も踏まえまして、今回、次世代医療基盤法について必要な改正を行うこととしたものでございます。
三浦信祐君
まさに個人情報の保護法が改正をされているということで、併せてより効果的に変えてきたということが今御答弁の中にあったと思います。
そうしますと、本法改正では、匿名情報であるがゆえにセキュリティーは確保できるようになっているものの、元データが立ち返りができない、こういうことで研究から創薬への出口戦略上での課題が生ずる、こういうことが大きな課題だったんだろうというふうに私は理解をしております。
そうなりますと、研究者、医療機関、医療機器メーカー、あるいは創薬メーカーいずれからかの、また、ほとんど多くの方からかもしれませんけれども、法改正のニーズがどこから最も強くあったんでしょうか。
現行法ゆえに、本来進捗が期待できたことができていないと。利用数が少ないことに表れているのではないかというふうに考えます。現行法によって何が機会逸失となってきたと考えているのか、現状の見解について伺いたいと思います。
政府参考人(西辻浩君)
今般の制度改正の柱であります仮名加工医療情報の創設、あるいは匿名加工医療情報とNDB等の公的データベースとの連結解析を可能とすると、こういったことにつきましては、見直しに向けて議論をしていただきましたワーキンググループの構成員であります医療機器あるいは創薬メーカー等の産業界の代表、あるいはアカデミアの研究者の方々から強く要望いただいたところでございます。
例えば、製薬企業により構成される団体の構成員の方からは、現行制度における匿名加工医療情報では薬事申請のためのデータとしての活用は困難であるとの御意見、それからNDB等ほかの公的なデータベースとの連結解析が幅の広い研究に有用であるといった御意見を頂戴し、また、医療情報を取り扱う研究者の方からは、匿名加工医療情報では精緻な研究は困難であるとの御意見もいただいております。
ただ、このワーキンググループ自体は、業界団体や医療情報を取り扱う研究者のみならず、患者団体の代表の方あるいは生命倫理を専門とする研究者の方など、様々な立場の方に構成員として御議論いただいた上で方向性を取りまとめていただいたものでございまして、今般の改正案はその方向性に沿って提案申し上げているものでございます。
三浦信祐君
セキュリティー確保しながら、十分伸び代があるということでありますので、これ、施行するに当たっては、そういう方々とよく議論した方が大きな価値を生み出すというふうに逆に分かったということだと思います。
その上で、医療機関等において、日々患者さんの診察、診療、そして診断データによって、基本的におのずとデータが蓄積をしていきます。
医療情報取扱事業者による医療情報提供というのは、これは任意になっています。現状、先ほどもありましたけれども、協力医療情報取扱事業者は百十、三十五都道府県に分布と。情報提供する事業者の数は決して多くないという状況だと思います。大学を含め、総合病院が全国的に事業者にならなかったのはなぜかというふうな分析がこれ大事だと思います。
そして、この実態をどう変えていくのか、本法改正によって事業者の増加を図ることが可能なのかということが、これ是非質問させていただきたいと思います。
なぜかといいますと、この法律、最初作ったときの目標、五年たったときに参加施設というのは、病院は約千、診療所では約一万五千、合わせて二千万人程度の期待がされていた、そういう線表が事実残っていて、そして、今年度になると五千万人、年当たりの規模で、質の高いデータベースができ上がるんだと、こういうこともありました。なので、謙虚にこれは受け止めていかなければいけないと思いますので、そういう視点においてこの質問についてお答えをいただきたいと思います。
政府参考人(西辻浩君)
お答え申し上げます。
現行の次世代医療基盤法に基づく認定事業者への医療情報の提供でございますが、現状、医療情報の利活用の重要性といったものに対して特に深く御理解をいただいている医療機関等を中心に御協力をいただいているものというふうに認識をしております。
やはり、今後この医療情報が有効に利活用されるためには、やはり大学病院を始めとしたより幅広い医療機関からの情報の収集、これも当然必要ですし、それ以外に、急性期以外の医療機関や介護施設、それから自治体等にも制度の趣旨を御理解いただいた上で御協力をいただければというふうに考えております。
今回の改正法案におきましては、医療情報を取り扱う事業者が協力に努める旨の規定も新たに盛り込むこととしておりますが、医療機関等に御協力をいただくに当たりましては、医療情報の提供に際しまして医療現場において生じる負担を軽減するということが非常に重要であると考えておりまして、現行制度においても、ガイドライン等におきまして、医療機関が医療情報の提供のために必要な情報システム、これを改修するコスト、これらについては認定事業者側で負担することが可能であると。それから、医療機関等から患者さんに対して行う通知でございます。この通知の方法につきましても、書面交付に限らず、郵便、電子メール、それから窓口でのタブレット端末等の提示でも可能ですというふうなことをお示しするなど、医療現場の負担が大きくならないように努めているところでございます。
それから、今後、医療情報の利活用の成果をやはり国民の皆様に還元するという一番大事なこの次世代医療基盤法の使命ですけれども、これをやはりより多くの医療機関等にも御理解いただく必要があるだろうというふうに考えています。制度説明のパンフレットの作成とかシンポジウムの開催というのは当たり前なんですけれども、やはりこれまで以上に医療情報提供の際の医療現場の負担の軽減を図るとともに、この制度がいかにやはり国民の医療、健康の充実に役立つものなのかということについての情報発信というものを積極的に進めてまいりたいと考えております。
三浦信祐君
とっても分かりやすく大変重要なことを言っていただきましたので、これをしっかり我々は支えていかなきゃいけないというふうに思います。
その上で、大臣に伺いたいと思います。
研究現場や創薬メーカーなどが必要としている情報と入手可能情報とのミスマッチ、これがあるのではないかというのも一つ活用が進まない原因だと私は思っております。そういう面から見ると、ニーズ把握を図ることが必要だと思います。どう整合を取ってこのミスマッチを解消するのか、政府、特にPMDAが果たす役割は私はとても重いというふうに思っております。
役割を明確にして、その取組を果たすべきだというふうに私は考えますけれども、高市大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(高市早苗君)
現行法におきましても、認定事業者が、研究者や製薬会社のこの利活用者のニーズを踏まえながら医療情報の収集や加工や提供を行っていると認識をしております。
国としましても、認定事業者を中心とした医療情報の利活用が進むように、これまで、自治体向けのセミナーを開催したり、企業向け、これ、認定事業者も交えた形でのセミナーを開催したり、認定事業者と利活用者の接点の創出に努めてはまいりました。
また、薬事申請への活用に向けまして、今、厚生労働省において、医療情報データを薬事申請に利用する場合の信頼性確保の考え方を示した通知を発出するということのほか、PMDAにおいて、レジストリーや医療情報データベースの薬事申請の活用に関して、開発段階からあらかじめ事業者などからの相談に応じる仕組みを設けるなど、創薬メーカーなどに対する支援が行われていると伺っております。
これらに加えて、今後、お認めいただけましたら、この改正法の施行に向けて、研究現場などが必要としている情報と入手可能情報のより一層のマッチングを図るべく、認定事業者に保有するデータベースのデータカタログの作成を促すといった取組を進めてまいりたいと存じます。
仮名加工医療情報の利活用に係る仕組の創設について
三浦信祐君
是非細かく手を打っていただきたいというふうに思います。データこそが世界の中での重視されている部分であります。そのデータ、たくさん日本にはありますので、適切に活用できるような体制を是非お願いしたいと思います。
本法律案において、匿名加工医療情報に加えて、新たに仮名加工医療情報の利活用に係る仕組みが設けられます。例えば、素材研究において、実用素材の余寿命推定を行う際には、学術的に使用履歴等がはっきりすることで汎用性が図られるデータの根拠となります。このように、他の研究分野では、研究機関の間と、また企業間など、これまで多数、情報管理を徹底する約束や契約などによって情報を共有若しくは開示をすることで研究が進んできたというのがあります。
私自身も研究者として、発電所で使った材料、これを、外には出さないけれども、どういう履歴でやったのかと。具体的に言いますと、例えば航空機でもそうですけれども、同じ飛行機機体でも、国内線で使った場合と国際線で使った場合には、同じ材料でも履歴が全部変わってきます。見た目は変わりません。そうなってきたときに、匿名だとこれはフィードバックは掛けられないと、こういう課題にも直面してきましたので、そこをルールを作って、その情報は基本的に細かいことは出さないという、これまさに今回の医療分野における法改正の意義ということがよく理解がすることができると思います。
今般の法改正で、医療分野における研究開発、また技術開発環境がどのように改善することになるのか。機微な情報でありつつ、研究推進にはデータが必要であります。高市大臣、これについて伺いたいと思います。
国務大臣(高市早苗君)
今、三浦委員がお示しくださった例示のように、やっぱりこれ、分野を問わず、研究開発の現場においては信頼性の高いデータを利用できるということは大変重要だと考えております。
今回の改正では、例えば、日々の診療時に作成されるカルテに記載された情報、リアルワールドデータを仮名加工医療情報という形で提供して、かつ、法律で定める場合には元のデータに立ち返って信頼性を確認するということが可能になります。
このデータの信頼性を確認できるという前提でリアルワールドデータを薬事承認審査に活用できるようになりましたら、承認審査に必要なデータを製薬企業が迅速かつ効率的に収集することができます。新薬の開発や既存薬の新たな効能への適応拡大の迅速化が期待できると考えております。
また、研究開発への利活用に堪え得るレベルでの匿名加工が難しいCT検査などの画像情報につきましても、仮名加工医療情報としてであれば提供が可能となりますので、例えばAIを活用した画像診断支援サービスの開発への貢献も期待できます。
研究開発が活発化することで、新たな医薬品や医療機器、また健康管理のためのプログラム、そして診断支援サービスの開発などを通じてこの医療の発展に寄与できると考えております。
三浦信祐君
続いて、事業者認定について質問いたします。
仮名加工医療情報を作成、提供する事業者、すなわち仮名加工医療情報作成事業者の認定はどのように行われていくのでしょうか。公募と審査によることだと思いますけれども、これまで三者存在している匿名加工医療情報作成事業者の認定と同じ基準となるのでしょうか。
また、匿名加工医療情報作成事業者が仮名加工医療情報作成事業者となることが可能なのか、確認をさせていただきたいと思います。
さらに、匿名加工医療情報利用事業者である場合、仮名加工医療情報利用事業者に手挙げすることによって即座に承認されて認定仮名加工医療情報利用事業者となるのでしょうか。
これら一つ一つ確認が必要でありますので、明確に御答弁いただきたいと思います。
政府参考人(西辻浩君)
お答え申し上げます。
まず、作成事業者の認定についてでございますが、現行の匿名加工医療情報の作成事業者の場合は、氏名や被保険者番号などのいわゆる顕名の情報を医療機関等から収集、管理した上で、情報の利用申請があった場合には、法律の目的に照らし審査を行い、適切に匿名加工を行った上でデータを提供する、こういった能力を確認した上で、現行、認定を行っているところでございます。
改正案で創設いたします仮名加工医療情報の作成事業者の業務内容でございますが、現行の匿名加工医療情報作成事業者と共通する部分がかなり多く、やはり同様、それに近い認定基準とすることを考えてはおりますが、両方の、仮名加工、匿名加工、それぞれの認定事業というのは、法律上は独立した認定制度ということになりますので、このため、現行の匿名加工医療情報の作成事業者から申請が行われた場合であっても、直ちにそのまま仮名加工医療情報の認定作成事業者となるというわけではなくて、改めて仮名加工医療情報作成事業者の認定基準に沿って主務省庁において審査の上でこれを認定するということになろうかと思います。
また、当然ですけれども、匿名加工と仮名加工の両方の作成事業者の認定を受けた事業者がいた場合には、当然、両事業を明確に区分して実施をするということを求めることとしております。
それから、利用事業者の認定についてでございますが、利用者につきましては、仮名加工医療情報の場合は、匿名加工医療情報の際にはなかった認定制度というものを設けますので、主務省庁が安全管理措置等の認定基準に照らして審査を行った上で仮名加工医療情報の利用事業者としての認定を行うということになろうかと思っております。
認定基準の設定につきましては、先ほど来御説明申し上げていますとおり、情報セキュリティーや法律に関する専門家、実務家等の意見を伺いながら必要な基準を検討してまいりたいというふうに考えております。
三浦信祐君
データだからといって勝手に取扱いがごちゃごちゃになってはいけないということでもありますので、ここよく説明をしていただきたいというふうに思います。
これまで匿名加工医療情報の集積がなされていると承知しますが、これらの情報を研究活用に、開発に利用したいとなった場合に、仮名加工医療情報に変更することは可能なのでしょうか。貴重なデータ利活用の視点から取扱いについて明確にしておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(西辻浩君)
大変貴重なデータということはまさに委員御指摘のとおりなんですけれども、現行法の下でこれまで認定匿名加工医療情報作成事業者が収集してまいりました医療情報は、これはあくまでも匿名加工した上で利活用するということを前提とした本人通知に基づくものでございます。
したがいまして、仮に当該認定匿名加工医療情報の作成事業者が仮名加工医療情報の作成事業者の認定を併せて取得した場合であったとしても、既に匿名加工医療情報としての利用の通知に基づいて収集してまいりました匿名加工医療情報、それをそのまま仮名加工した上で利活用するということは、これは認められないということでございます。これを仮に仮名加工医療情報としても利活用するためには、改めてその旨を患者に通知をするか、又は仮名加工医療情報としての利活用を前提とした通知に基づいて医療情報を取得していただくという必要があろうかというふうに思っております。
このため、やはり両方の認定を取得する事業者が仮に出てくるということは十分想定されますので、やはり情報の管理を始め、取得した医療情報の不適切な取扱いが生じないよう厳格に管理させるとともに、医療機関に対しましても、こういった制度、仮名加工と匿名加工の違いにつきましても必要な周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
三浦信祐君
大変重要な御答弁をいただきましたので、しっかり周知していただきたいと思います。
医療現場において、カルテも含め、データの電子化には程遠い状況にあります。改めて、共用可能な医療カルテの電子プラットフォーム化が必須であります。今後、日本のデータ整理、研究に活用することも、また医療機関の働き方改革、データ変換、そして整合化の手間を省くためにも欠かせないと私は考えております。電子カルテ実用化における政府の予算投資、また研究促進の現状を伺いたいと思います。
また、加えて、電子データの情報の質も確保できる方策のために、必要情報入力についてのガイドライン、またプラットフォームの検討もすべきだと私は考えております。紙データから電子化する際にも基準となり、活用のベースになるのではないでしょうか。高市大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(高市早苗君)
まず、政府全体としての取組から申し上げますと、現在、岸田内閣総理大臣を本部長とする医療DX推進本部、これが昨年十月に立ち上がりました。医療機関、薬局における電子カルテ情報の一部の共有、閲覧を可能とする全国医療情報プラットフォームの創設ですとか、また、医療機関における標準規格に対応した電子カルテの導入の推進などによる電子カルテ情報の標準化などについて取り組んでいくということになっていると承知しております。
厚生労働省におきましては、標準規格に対応した電子カルテの導入などについて必要な予算措置を行っております。さらに、内閣府におきましては、SIP第三期の課題の一つであります統合型ヘルスケアシステムの構築におきまして、現場の医療、ヘルスケアデータを標準化してデジタル空間に投影する医療デジタルツインの開発に取り組むこととしておりまして、今年度の予算として二十三億円を配分しています。
この本課題の研究テーマの一つとして、電子カルテに蓄積された医療データをベンダー、システムの垣根を越えて収集、統合するための基盤、技術の開発にも取り組むことといたしております。これらの取組によって、全国医療情報プラットフォームによる情報共有ですとか電子カルテ情報の標準化などが進むということによって、研究開発という二次利用のための医療ビッグデータの収集、活用というのも加速される可能性がございます。そういう関係性にございます。
この医療DX推進本部の取組ですとか関係府省による取組としっかり連携してまいりたいと存じます。
データベース連結について
三浦信祐君
データベースについて質問させていただきます。
ナショナルデータベース、NDBと介護、DPCに加えて、障害福祉や難病、感染症等の他の公的データベースと本法案では連結できるようにするとしております。利便性の向上が期待されるのは理解ができますけれども、一方で、データ量が膨大になって、情報取得までの構造が深く複雑になり過ぎて、逆に活用しづらくなってしまうというリスクも当然生まれます。ですので、簡便性、容易性の確保を図るべきだと思いますけれども、対策をしていただけませんでしょうか。
政府参考人(西辻浩君)
お答え申し上げます。
今回の改正案によりまして、情報の利活用というのは、利活用者が、認定事業者が保有する匿名加工医療情報とそれからNDB等の公的データベースの情報、これを連結して解析する、こういったような提供の方法が可能になるということでございます。
連結可能な状態での匿名加工医療情報の提供に当たりましては、研究者による不適切な利用が当然行われないようにしなければいけませんので、認定事業者が設置する審査委員会におきまして、NDB等との連結可能な形での提供が行われるといったことを前提とした利用の目的あるいは利用の態様等の審査を行うことを予定しております。
また、実際の提供に関してでございますけれども、NDBが既に他の公的データベースとの間で実施している匿名での連結提供と同様の仕組みで提供することを考えております。研究者が利用しやすい手続となるように、今後、下位法令やガイドラインにおいて適切な環境整備に努めてまいりたいと考えております。
三浦信祐君
次に、本法において、データを提供するスピードは現状どの程度で、今後どのように改善をされるんでしょうか。民間企業にとってみれば、これはスピードがとても重要であります。半年も掛かるようではとても使いたいと思えなくなってしまいますので、対応についていかがでしょうか。
政府参考人(西辻浩君)
現在、医療情報の利活用者から、匿名加工情報なんですけど、認定匿名加工医療情報の作成事業者に対し申請が行われましてから実際に匿名加工医療情報が提供されるまでに要する期間というものは、認定事業者からヒアリングをしたところ、申請内容によって異なるものの、やはりおおむね三か月程度掛かるというふうに伺っております。
実際には、医療分野の研究開発につきましては、例えば新型コロナウイルスなどの新興感染症に対する研究など、迅速にデータを研究者に利用していただくことが非常に重要な場合というのも当然想定されますから、現行法のガイドラインにおきましても、認定事業者における審査委員会での審査に当たって、いわゆる迅速審査の仕組みを設けるということを認めております。
改正法案により創設いたします仮名加工医療情報につきましても、やはり必要に応じて迅速に認定利用事業者にデータを提供できるようにするという視点は、これは非常に重要であるということを踏まえた上で、適切なガイドラインの整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
三浦信祐君
このスピード、とても大事なので、対応いただきたいと思います。
AIホスピタルの導入のために私これまで取り組んでまいりましたけれども、社会実装において、画像データに基づく基礎データの蓄積によってスクリーニングあるいは診断サポートへの活用が想定をされて、働き方改革とリスク判定、見落とし回避に効果があると期待ができます。さらに、医療情報のデータ数が増加すれば質が向上する可能性が高く、AIの質の向上も図ることができます。
一方で、実データがあるだけでは意味を成さない場合が多く、AIをより精緻なものにしていくためには、画像情報を収集し、アノテーションを行った上、教師データを充足し、学習させることが欠かせません。本法改正によって、これまで活用が困難だった医療情報としての画像データの有効活用が可能となります。
したがいまして、本法改正は、注目されているのはもう創薬ということばっかりですけれども、どちらかといったら、ソフトウエアの開発の一助だったり、医療、臨床現場におけるAIホスピタルの導入にサポートできるような、こういうメリットが生ずる効果があると私は考えております。本法律に基づくこれらの事業、産業の発展に寄与することも期待され、幅広くデータ活用がなされるような取組を行えば国民利益に直結すると思います。
この視点を明確にすべきだというふうに私は考えますけれども、高市大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(高市早苗君)
本法律案改正、お認めいただけましたら、CT検査などの画像情報等の利用が可能になります。この画像情報とAIを活用した画像診断支援サービスの開発にもつながります。国民の皆様に、より良質かつ適切な医療が提供できることが期待できます。
今回の改正による医療情報の利活用の進展が研究開発の更なる活性化につながり、その成果が健康長寿社会の形成に資するように、国としても、これからガイドラインの整備を通じて、医療情報の利活用環境の整備に取り組んでまいります。
三浦信祐君
大臣、また改めて質問したいと思いますけど、実はこのアノテーション、これを取り込んで、そしてデータを一緒になって不足を入れていくという作業をする人が、日本には数が余りありません。今、海外に出しているというのが実態です。経済安全保障から考えたときに、AIに何を入れ込んでいくかという情報を、元々大事なものが海外に行っているようではこれはしようがありませんので、改めてこの点については議論させていただきたいと思います。
医療情報の第三者提供に際して、患者さん等本人への通知、仮名加工医療情報についての活用に際して、どのような表現がされていくのか。正直、専門家以外、匿名だとか仮名だと言われても理解が即座にできるものではなかなかありません。そもそも、病院に行って、私の病気を治してもらいたいといってお医者さんに伝えたときに、匿名だ、仮名だなんていうふうに言われても、そこはもう、はい、分かりましたで終わってしまうか、そこに頭が至らないという状況で病院に行っているのが、これが実態であります。
その上で、地域や医療機関における記述内容等の差異があった場合には、住んでいる場所と医療提供機関が違ったりすることによって、また横の連携で情報に違いがあったりすると不安が増幅される可能性もありますので、こういう差異、極力少なくなるように配慮する必要があると思います。
医療情報の第三者提供について、説明についてのガイドラインやプラットフォームを作成し、患者の皆さん等に分かりやすく理解できる内容とすること、さらには、大事なことは、患者さんにお話をするのは医療機関、お医者さん、関連する事務に携わってくださっている方々であるということから考えますと、この情報を提供する側、同意をしていただくようなその資料を作って説明をする側、これがとても医療機関等が通知しやすい内容にしておくということは非常に重要なことだと私は思います。
高市大臣、是非、整理の上、取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(高市早苗君)
次世代医療基盤法では、患者御本人に本制度をしっかり認識していただいた上で医療情報を提供いただけるように、丁寧な通知の実施を求めております。
今後、仮名加工医療情報としての利用目的として医療情報を提供いただく場合については、提供された医療情報が仮名加工されて医療分野の研究開発に利用されること、また作成事業者に提供される医療情報の項目などについて丁寧に通知をすることとしております。
この通知の記載内容が分かりやすく、理解しやすいものであるということがもう非常に重要だというのは御指摘のとおりですので、国としては、具体的な通知のひな形をお示しするというようなことをもって、制度認知の向上につながる運営に努めてまいります。
委員長(古賀友一郎君)
時間ですので、まとめてください。
三浦信祐君
平易の、患者さんの立場に立ったような内容、本当に分かりやすい図面とかも含めて提供できるような体制も整えていただいて、我が国国民の皆さんの健康、そして経済を支えてくださる、命を守るという医療現場も支えていくということ、併せて進められる法律だと思いますので、是非しっかりと準備をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
以上です。ありがとうございました。