参議院 内閣委員会

第211回国会 参議院 内閣委員会 第11号 令和5年4月25日

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案質疑

本法律案の概要、確認事項について

三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。

働き方が多様化する中、個人で事業を行っている事業主、一人社長、いわゆるフリーランスの方々が安定的に仕事ができて、収入があり、ルールにのっとった取引が行われて、持続性の確保がこれから必要であります。従前の法律では権利保護が及ばない場合があるなど、これまで生じていた課題への対策を講じるための本法律改正と理解いたしております。

一方で、フリーランスの方が事業を行うに当たり、改正される本法律案と、そして独占禁止法、下請法、労働関係法令との整理が必要です。

そこで、法律の解釈、想定し得る運用について、一つ一つ確認させていただきます。

まず、後藤大臣に伺います。

今回規定される特定受託事業者、いわゆるフリーランスの定義について伺いたいと思います。基本はBツーBとの関係でよいという理解でよろしいでしょうか。

国務大臣(後藤茂之君)
従業員を使用せず、一人の個人としての業務委託を受けるフリーランスについては、従業員を使用して組織として事業を行う発注事業者との間で交渉力やその前提となる情報収集力の格差が生じやすいというふうに考えられます。いろいろ、内閣官房が実施したアンケート調査でも、様々な、報酬の不払、支払遅延、また発注書の在り方の問題等、実態が確認されており、不当な不利益を受けやすい立場にあるということが考えられています。

このため、本法案の保護対象となるフリーランスについては、個人で業務を行うフリーランスであること、事業者から業務委託を受けていることの二点を要件にいたしております。具体的には、業務委託の相手方である事業者で従業員を使用しない者を特定受託事業者と定義し、この法律において保護対象となるフリーランスの範囲を明確とした上で、事業者間取引の適正化等を図ることとしています。

三浦信祐君
まず収入を得るという意味で事業者間、これをしっかりとやるということが整理をされているという確認をさせていただきました。

毛色はちょっと違いますが、特定受託事業者が経歴書、履歴書、職業証明が求められた際に記載、提出する書類には、職業についてどのように記載をされていくのでしょうか。また、行政手続等の書類上でも、選択肢に記載される存在に変わるのでしょうか。特定受託事業者の社会的認知を図る上で重要でありますが、本法改正と関連して、今後の方向性について伺います。

政府参考人(三浦章豪君)
お答え申し上げます。

本法案では、その保護対象となるフリーランスの範囲というものを明確化するために、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用していないものを特定受託事業者として定義をしております。

この特定受託事業者という用語、これは全てのフリーランスを定義付けるものということではございません。フリーランスの定義というのは施策などによって異なり得るものでございまして、本法案の制定によって、委員御指摘の経歴書、履歴書、職業証明若しくは行政書類上の記載というものをとにかく特定受託事業者という用語を使ってくださいというようなことを我々の側から求めるというようなことは想定をしていないわけでございます。

その上で、一方、この法律をしっかりと効果的に施行していくということのためには、保護対象となる特定事業者、特定受託事業者ですね、の範囲などについてしっかりと周知を図っていくと、これもまた大事なことであろうというふうに考えております。本法案が成立した場合には、施行までの間に関係省庁間でも連携しながら積極的に周知活動、取り組んでまいりたいと考えております。

三浦信祐君
やっぱり、フリーランスの方、プライド持って仕事をされていると思うので、その自分の技術をきちっと仕事の中で明示をしていく、こういうことを理解をさせていく、そういう社会をきちっとつくるということが大事だと思いますので、整理をしていただきました。

特定受託事業者に係る取引の適正化等との法案名になっております。確認となりますが、本法案の整理として、労働者保護の視点ではなくて事業主保護の観点でよろしいでしょうか。

政府参考人(岩成博夫君)
お答えいたします。

本法案では、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないものを特定受託事業者と定義しまして、この法案において保護対象となるフリーランスの範囲を明確化しているところでございます。その上で、事業者間取引の適正化を図るとともに、フリーランスの就業環境の整備を図るものでございます。

フリーランスの就業環境整備につきましては、特定受託事業者が事業者であると同時に一人の個人として業務を行うという側面から生じる問題に対応するものでありまして、事業者の取引上の問題に対応する観点からの取組であるというふうに考えております。

三浦信祐君
この辺って極めて整理をしておかなきゃいけない案件だと思います。

その上で、労働関係法令にて、雇用契約が成立している者の場合、労働基準法によって労働時間や賃金などに関するルール適用が課されております。これは皆さんの周知の事実だと思います。

そこで、伺いたいと思います。フリーランスと労働者の境界はどのような整理となるのでしょうか。また、その判断基準はどのようになっているのでしょうか。特定受託事業者と特定業務受託事業者との間に理解そごが生じることや、偽装請負、いわゆる偽装請負とならないように明確化が必要だと思います。いかがでしょうか。

政府参考人(宮本悦子君)
お答え申し上げます。

本法案におきまして、特定受託事業者は、業務委託の相手方である事業者であって、個人であって、従業員を使用しない者、又は、法人であって、一人の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しない者のいずれかに該当するものと定義してございます。

また、業務委託に該当するかどうかにつきましては、物品や情報成果物の仕様、役務の内容を指定して一定の業務を依頼しているか否かについて、実態に即して判断することとしており、本法案が成立した場合には、特定受託事業者に当たる具体例などお示しし、周知を図ってまいりたいと考えてございます。

他方で、労働基準法におきましては、労働者について、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われている者と定義してございます。

そして、労働者に該当するかどうかにつきましては、事業に使用される者であるか否か、その対償として賃金が支払われるか否かについて、形式的な契約の形にかかわらず、実態を勘案して総合的に判断しており、令和三年三月に策定したフリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインにおいて、こうした判断基準をお示しし、周知を図ってきたところでございます。

このため、形式的な契約上は本法案の特定受託事業者であっても、実質的に労働基準法上の労働者と判断される場合には、労働基準関係法令が適用され、本法案は適用されないところでございます。

引き続き、労働基準監督署において的確な判断が行われるよう、厚生労働省において適切に対応してまいります。

また、契約当事者間で法律の適用についての認識にそごが生じることや、実態は労働者であるのに労働基準関係法令の適用が受けられないといったことがないよう、特定受託事業者と労働者の定義、判断基準等につきまして、関係省庁と連携し、分かりやすく周知し、適切な法の適用が徹底されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

三浦信祐君
これ、分かりやすくということがとても大事だと思います。自分がどういう位置付けになっているかということをどちらも理解をしていくということが大事だと思いますので、ここはきちっとやっていただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。

特定受託事業者、いわゆるフリーランスの方同士が業務委託を行うことも生じ得ると思います。例えば、デザイン、コンテンツ作成をされる方と動画や写真を事業としている方との間では、特定受託事業者にもなり、また業務委託事業者にもなり得ます。

特定受託事業者同士が業務委託を行う際の関係性は、業務委託事業者と特定受託事業者との契約と同等の整理となるのでしょうか。また、整理をされていると思いますけれども、なぜそのような整理となったかはっきりさせていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(岩成博夫君)
お答えいたします。

個人であって、従業員を使用しない事業者同士の取引で、業務委託が行われた場合、本法案における両者の関係性としては、先生おっしゃったとおり、業務委託事業者と特定受託事業者ということになります。

本法案でございますけれども、従業員を使用せず一人の個人として業務委託を受けるフリーランスと従業員を使用して組織として事業を行う発注事業者との間において、交渉力などに格差が生じることを踏まえて取引の適正化等を図るものでございます。

一方で、従業員を使用しない発注事業者と個人であるフリーランスとの取引関係につきましては、必ずしも交渉力等の格差が生じやすいとは言えないというふうに考えております。また、事業者間における契約自由の原則の観点から、事業者間取引に対する行政の介入は最小限にとどめるべきであるということにも留意する必要がございます。

このため、本法案では、従業員を使用しない発注事業者に対しては、支払期日における報酬の支払義務や受領拒否の禁止等の規制を課さないことというふうにしておりますけれども、取引条件の明示義務に関しては、当事者間の認識の相違を減らし、トラブルを未然に防止するという点において発注事業者の利益にも資することから、従業員を使用しない発注事業者と個人であるフリーランスとの取引についても対象としているというところでございます。

特定受託事業者に係る取引の適正化について

三浦信祐君
これ、これもよく周知をしておいていただきたいというふうに思います。

例えば、カメラマンが自分の写真を多くの方々に買ってもらいたい、なのでコンテンツを作ってくださいねとお願いをしたときに、そのコンテンツを作られる方が、逆に僕がこういう内容を作っているからこそ写真を提供してもらいたいと、同時に取引関係が成り立つというケースもあったりしますので、この境目ということであったりとかその対価の問題というのがこれまでははっきりされていなかったと思いますけど、この本法律ができ上がってからはそういうところもはっきりしなければいけないという流れになると思いますので、これは相談されたときに答えられるように是非準備をしておいていただきたいと思います。

次に、特定受託事業者に係る取引の適正化について伺いたいと思います。

第三条に、特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等について規定されております。先ほど来議論があるところです。

書面又は電磁的方法により明示と規定し、下請法のように、書面の交付や電磁的方法による提供とはされておりません。書面等を特定受託事業者に渡さずに見せるだけ、又は回収してしまっても明示されたと解釈されるのでしょうか。オンラインを活用するケースも増えていく中、例えばズームとかソフトウェアがありますけれども、そのズーム上で書面等を見せる場合はどのような解釈となっていくのでしょうか。私は特定受託事業者の手元に残しておいた方がいいのではないかなというふうに考えておりますけれども、改めて質問ですが、御答弁いただきたいと思います。

政府参考人(品川武君)
お答えを申し上げます。

本法案第三条でございますけれども、発注事業者がフリーランスに業務委託をした場合に、給付の内容、報酬の額などの取引条件の明示を義務付けてございます。

また、本法案では、発注事業者とフリーランスの双方の利便性向上という観点から、取引条件を記載した書面を交付をするという方法と、取引条件をメール等の電磁的方法により提供する方法のいずれかを選択できるようにしているため、法律上はこれら二つの方法を含む明示という文言を用いているところは先ほど来議論が出ているとおりでございます。

したがいまして、委員御指摘の、書面等を特定受託事業者に渡さずにオンラインの画面を通じて見せるだけというような場合でありますとか、あるいは書面で交付をした後にその書面を回収してしまうというような場合につきましては、書面の交付や電磁的方法による提供とは認められないというふうに考えてございます。このため、こういった行為は第三条の明示義務を履行したことにはならず、指導等の対象になり得るというふうに考えてございます。

本法案が成立した場合には、施行日までの間に、このような法三条の明示の考え方につきましてガイドライン等の形で対外的にもお示しをし、しっかりと周知を行ってまいりたいと考えてございます。

特定受託業務事業者の就業環境の整備について

三浦信祐君
明確にしていただきました。具体化をお願いします。

続いて、特定受託業務事業者の就業環境の整備、こういう規定がありますので、これについて伺いたいと思います。

第十二条にて、募集情報の的確な表示が規定されております。広告等により募集情報を提供するときは、虚偽表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならないとなっております。

本規定を管轄する機関はどこになるのでしょうか。また、確認手法とその頻度、運用と間違いが発見あるいは通報があった場合、どのような指導監督を行うことになるのでしょうか。

フリーランスの方が、被害などが生じてからの対応とのセーフティーネットの役割であるというのが今回の法律の位置付けではあると思いますけれども、予防的措置、被害が生じない構えを取るようにしていただきたいと思います。このことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(宮本悦子君)
お答え申し上げます。

本法案第十二条におきましては、特定業務委託事業者が広告等により特定受託事業者の募集に関する情報を提供するときは、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならず、また正確かつ最新の内容に保たなければならないこととしてございます。

これは、虚偽の募集情報等により生ずる特定業務委託事業者と特定委託、失礼しました、特定受託事業者との間のトラブルを防止するとともに、虚偽の募集情報等による特定受託事業者の就業機会の損失を防ぐ等の趣旨で設けるものであり、特定受託事業者の就業環境の整備に関する事項として厚生労働省が所管することとしてございます。

本規定の執行に当たりましては、本法案におけます他の規定と同様、特定受託事業者からの申出に基づき端緒を得ることを想定してございます。申出を受けた場合、都道府県労働局におきまして、広告やインターネット等に掲載されている情報の確認のほか、必要に応じて特定業務委託事業者等にヒアリング等を行い、違反が認められる場合は助言、指導等により是正を図ることとしてございます。

募集情報の的確な表示につきましては、厚生労働大臣の定める指針におきまして不適切な事例や特定業務委託事業者が取り組むべき事項をお示しすることとしており、指針等を丁寧に周知していくとともに、本規定を適切に執行していくため、厚生労働省におきまして必要な人員及び体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

三浦信祐君
これも、特定受託業務事業者の位置付けの方の理解も必要ですし、また業務をお願いする側の方も理解をしていないと、どれが正しくてどれが間違っているか、これが分からないと思いますので、よく整理して、指針を分かりやすく作っていただきたいと思います。

育児、介護等と両立して業務委託に係る業務を行えるよう、申出に応じて必要な配慮をしなければならないと第十三条に規定されております。これ自体は大きな前進であり、実効性をしっかりと確保していただきたいと思います。先ほどから山田委員も介護、育児の配慮ということで質問がありました。その上で、介護、育児等の範囲、これはどこまで想定されているのでしょうか、育児・介護休業法での整理と同列になるのでしょうか。検討状況を伺いたいと思います。

また、必要な配慮の解釈はどのように整理され、情報提供を共有されていくのでしょうか。特定業務委託事業者が把握ができるのはもとより、特定受託業務事業者が規定を知っていること、具体例が必要だと思います。第十五条に規定する必要な指針を公表することに基づけば、指針の具体性、精緻な内容とすることが必要と考えられます。これらの課題についてどう取り組んでいくのか、答弁を求めます。

政府参考人(宮本悦子君)
お答え申し上げます。

本法案では、特定業務委託事業者は、特定受託事業者が育児、介護等と両立して業務に従事できるよう、特定受託事業者からの申出に応じて必要な配慮をしなければならないこととしてございます。

配慮の内容としましては、例えば、育児、介護等を行う時間を確保するため、育児、介護等と両立可能な就業日、時間を調整するといったことが考えられます。現行の労働関係法令では、育児・介護休業法におきまして、労働者の育児・介護休業や労働時間の短縮措置等の制度が設けられており、特定業務委託事業者は、別途、自らが雇用する労働者との関係では、自らが雇用する労働者との関係では雇用主の立場としてこうした措置を講ずることとされてございます。このため、特定業務委託事業者にとっての分かりやすさの観点等からも、育児、介護等への配慮の対象となる家族の範囲につきましては、育児・介護休業法の範囲とそろえていくことを想定してございます。

他方、例えば、育児・介護休業法では、それぞれの制度について、労働者の権利や雇用主の義務としてその対象となる子の年齢を規定しています。その一方で、本法案では、申出の内容に応じて特定業務委託事業者が必要な配慮を行う仕組みとしていることから、対象となる子の年齢など個々の特定受託事業者の希望や業務の内容等に応じた違いがあり得ると考えてございます。

必要な配慮の内容を始めとしまして、本法案の第十三条で求められます具体的な内容につきましては、関係者の意見を聞きつつ、取引の実態を踏まえながら、厚生労働大臣の定める指針等においてお示しすることとしており、指針等の内容について丁寧な周知を図ることで当事者間で適切な配慮が講じられるよう取り組んでまいりたいと考えております。

三浦信祐君
議論のプロセスも御明確に答弁いただきました。その範囲ということもよく理解をしてもらうということと、働き方が多様化しているということも踏まえた上で整理を是非やっていただきたいと思います。

特定受託事業者が特定業務委託事業者からのハラスメント問題等について相談するのは企業が適切に行わなければならないと第十四条に規定されています。これは、先ほど来、山田委員も小沼委員も議論されておりました。内部通報的制度を想定していると考えますが、一般に、契約先に生じている問題を相談することというのはかなりハードルが高いのではないでしょうか。労働法制で保護されていないフリーランスの方が就業環境を害することがないように、第十四条の実効性をどのように担保するのでしょうか。

例えば、特定受託事業者が特定業務委託事業者に対してやってしまうというケースもないとは言えないと思います。また、同列に特定受託事業者間の中でもそういう課題が生じたというケースも想定されないとは言えないと思いますので、やはりこの実効性、どう担保するかということについて検討と整理をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(宮本悦子君)
お答え申し上げます。

本法案におきましては、特定業務委託事業者は、ハラスメント対策として、特定受託事業者からの相談に適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととしてございます。また、特定受託事業者が特定業務委託事業者に対しハラスメントに関する相談を行った場合に、これを理由として特定業務委託事業者が特定受託事業者に契約の解除などの不利益な取扱いをすることを禁止するとともに、特定業務委託事業者がこれに違反した場合には適切に指導等を行うこととしており、特定受託事業者が相談をちゅうちょすることのないような環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。

ハラスメント対策につきましては、御指摘のような小規模事業者を含めまして、各事業者の実情に応じて取り組んでいただくことが重要であると考えており、相談窓口の配置につきましては、特定業務委託事業者が労働法の規定により雇用主の立場として既に整備している労働者向けのハラスメント相談窓口において特定受託事業者からの相談も受け付けたり、ハラスメント相談窓口の設置が難しい場合には、相談担当者を決めた上で外部の専門機関などに相談対応を委託することも想定してございます。

こうした考え方や対応の具体例につきましては、厚生労働大臣の定める指針においてお示しし、丁寧な周知を図ることにより、特定業務委託事業者が適切に対策を講じ、特定受託事業者がハラスメント被害を受けることなく安心して働くことのできる環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。

三浦信祐君
前提として、特定業務委託事業者になられる方が労働法の規定でこういう相談体制があるという前提になっていますけれども、よくよくそこは確認をしていただきたいと思います。ない前提ということは当然法令上はあり得ないと思いますけど、実質、じゃ、誰なのかということがフリーランスの方が分からないと相談しようもないというケースもありますので、よく整理をしていただく、また監督もしていただきたいと思います。

フリーランス・トラブル一一〇番は、これまで多数の相談を受け、対応に当たってきたと承知をしております。本法施行により、フリーランス・トラブル一一〇番はどのような位置付け、変更がなされるのでしょうか。本法の解釈によってこれを取り込むこと、そして法律に対応させる位置付けを明確化してはどうかなというふうに私は考えますけど、いかがでしょうか。

政府参考人(宮本悦子君)
お答え申し上げます。

フリーランス・トラブル一一〇番は、フリーランスの方が発注者等との取引上のトラブルについて弁護士にワンストップで相談できる窓口として令和二年十一月に設置したものであり、これまでに一万件を超える相談に丁寧に対応してきたところでございます。

本法案第二十一条におきましては、国は、特定受託事業者の取引適正化や就業環境整備に資するよう、相談対応等の必要な体制の整備等の措置を講ずることとされてございます。

本法案が成立した場合、フリーランス・トラブル一一〇番がフリーランスの取引におけるトラブルや本法案に対する違反する行為について、国が行う相談対応の中心的な役割を果たすことになると考えてございます。

フリーランス一一〇番におきましては、引き続き取引上のトラブルについて丁寧な相談対応を行うとともに、違反行為を受けた特定受託事業者が行政機関の対応を希望する場合に、フリーランス・トラブル一一〇番での相談から公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の窓口への申告に円滑につなぐという役割を担うための体制整備を図るほか、所管官庁である公正取引委員会等においては、フリーランス・トラブル一一〇番で相談対応を行う弁護士からのヒアリング等を通じて問題行為が多いと考えられる業種等を拾い出した上で特定業種等に対して調査を行うといった、フリーランス・トラブル一一〇番から問題事例を吸い上げる仕組みを充実させるといったことを考えてございます。

本法案の施行によりまして取引の適正化等が進むよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

フリーランスの方のメンタルヘルスケア、健康管理について

三浦信祐君
二十一条の具体例として、先んじていたものをきちっと取り込むということを整理をしていただきましたので、予算が切れるとか体制が整わないということはあってはいけないと思います。なので、我々もしっかりと支えていきたいと思います。

フリーランスの方の健康保持も重要であります。フリーランスの方々のメンタルヘルス対策を含む健康管理についてはどのように対処するのでしょうか。また、国としてフリーランスの方々の健康管理について支援するべきではないでしょうか。厚労省に取組の答弁を求めたいと思います。

政府参考人(美濃芳郎君)
お答え申し上げます。

フリーランスの方々が働き過ぎにより心身の健康を害することのないよう配慮することは重要でございます。

現在、厚生労働省では、有識者の参集を求め、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を開催し、その中におきまして、メンタルヘルス対策を含むフリーランスの方々の健康管理等についても御議論いただいているところでございます。この有識者検討会における検討結果も踏まえ、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。

また、厚生労働省といたしましては、フリーランスの方々を含む労災保険の特別加入者の方々のメンタルヘルス対策を支援するため、次に申し上げるような取組を進めているところでございます。

具体的には、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳によるメンタルヘルスに関する情報提供や研修教材などの周知啓発、電話、メール、SNSによる相談への対応、労災保険の特別加入団体が特別加入者に対して実施するメンタルヘルス対策を含む産業保健活動に対する助成、就業時間や自身のストレス状況をチェック、記録できるアプリ等の提供などを行っているところであります。こうした国の支援につきまして更に推進してまいりたい、このように考えております。

奨学金返還への対応、奨学金貸与年収要件撤廃について

三浦信祐君
労働をしていく方々を守るというところはとても大事なことですので、フリーランスの方の心のケアも含めた対応をより強靱化していただきたいと思います。

奨学金について質問させていただきたいと思います。

奨学金返還が若い世代、新婚世代に重くのしかかっている現状の変革が必要であります。大学進学率が高い現代で、結婚により夫婦共に奨学金を借りて、その返済を行っている場合は少なくありません。出産による休暇、退職、あるいは専業主婦、また主夫、夫の方等、働けない、若しくは働かず、別のステップへの準備に当たる場合の返還サポート体制は極めて重要です。フリーランスの方も仕事の変動、対価の変動が大きいことも想定されます。

公明党として、ライフイベント、収入変動に連動して返還金額の緩和ができる制度へと求め続けてまいりました。どのように御対応いただけましたでしょうか、文科省に伺います。

政府参考人(西條正明君)
お答えいたします。

貸与型奨学金の返還につきましては、御党の御提案の内容も踏まえまして、先日、小倉大臣の下で取りまとめられました今後の子ども・子育て政策のたたき台において、奨学金の返済が負担となって、結婚、出産、子育てをためらうことがないように、減額返還制度を利用可能な年収上限を三百二十五万円から四百万円に引き上げる、これとともに、出産や多子世帯への配慮など、子育て時期の経済的負担に配慮した対応を行うことが盛り込まれたところでございます。

あわせて、御指摘のライフイベントや収入変動等に応じて返還者の判断で柔軟に返還ができるように、月々の返還額について、これまでの返還割合に加え、最大で元の四分の一まで減額できるように見直すこととしております。

文部科学省といたしましては、引き続き教育に係る経済的負担の軽減に取り組んでまいります。

三浦信祐君
是非多くの方に情報共有をしていただきたいというふうに思います。

日本学生支援機構の奨学金貸与について、親の年収上限の要件撤廃を強く求めたいと思います。

フリーランスの方、年収が変動が大きいという場合も当然ありますし、極めて年収が高いという方もおられると思います。例えば、都市部で親御さんの年収が一千万円を超えている場合でも、物価、地価代なども相応な負担があります。二人のお子さんがいて、二人が私立の学校に通うための入学金、授業料が多大で、奨学金を借りたいとしても、親御さんの年収が多子世帯の上乗せ分を僅かに超えてしまって、結果として奨学金貸与条件に合致せず申し込めなかった、とても生活が厳しくなってしまったという声も寄せられました。決して珍しいことでは実はありません。また、医学部に進学したいとお子さんが願ったとしても、年収要件を僅かに超えてしまったために奨学金が受けられず、大変苦労した、断念したという声も寄せられております。すなわち、都市部の親御さんでは奨学金が借りられず困っているとの声が決して少なくありません。

年収要件を撤廃することで選択肢が広がります。今、これからの政府としてのたたき台は、親の年収ということを軸には考えないと、そういう方向に是非進んでいくという指針を出していただきたいと思いますし、これも連動していると思いますから取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(西條正明君)
お答えいたします。

日本学生支援機構の貸与型奨学金は、教育の機会均等の観点から、意欲と能力のある学生が経済的な理由により修学を断念することがないよう、奨学金がなければ進学等が困難な低所得世帯の学生を中心に、この学生への支援を中心に制度の充実に取り組んできたところでございます。

御指摘の奨学金の所得制限を撤廃することにつきましては、経済的理由により修学が困難な優れた学生、これを対象としている日本学生支援機構の奨学金の位置付けに関わることであるため慎重な検討が必要とは考えておりますが、文部科学省としては、経済的理由で学生等が学びを諦めることがないよう対応することが重要と考えており、引き続きしっかり取り組んでまいります。

三浦信祐君
しっかり取り組んでいただく、よくモニターさせていただきたいと思います。

これまで推進、拡充してきました自治体等による奨学金返還支援制度、そして企業による奨学金返還支援について、フリーランスの方がこの恩恵を受ける機会が少ない制度となっております。職業選択の自由とはいえ、返還支援制度を受けることができる機会提供を図っていただきたいと思います。フリーランスの方へ企業からの奨学金返還支援を行った場合、雇用契約がない場合においても従業員と同等に対象として現行制度が適用できるようにしてはいかがでしょうか。是非御検討いただけませんでしょうか。

政府参考人(西條正明君)
お答えいたします。

委員御指摘のとおり、企業による奨学金の代理返還制度は、代理返還を行う企業と返還支援を受ける者との間に雇用関係があることを前提として、令和三年度から開始されております。

文部科学省といたしましては、本制度の更なる普及に向けて取り組んでいくべきと考えておりまして、今御指摘ありました雇用関係がない者から代理返還を受けた場合の取扱いも含めて、制度の改正のための検討を進めてまいりたいと思います。

フリーランスの社会保障等、生活安心に係る支援について

三浦信祐君
是非、こういう方が増えてくると思いますので、検討するということを更に進めていただきたいと思います。

フリーランスの方にとって、ライフイベントが発生した際の生活保障が安心につながると考えます。日本にとって、フリーランスの方の力が経済を支え、社会を良くするまた原動力でもあると私は考えております。

コロナ禍でより顕在化した生活保障の不充足、予見不可能性、予見可能性の低さなどを解消する必要があると私は考えております。フリーランスの方々の社会保障制度、これについて政府として今後どのように検討するか、その方向性について伊佐副大臣に求めます。

副大臣(伊佐進一君)
この働き方の多様化が進んでいきます中で、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保されると、そしてまた、誰もが希望どおりに働くことができるような社会保障制度の構築をしていくことが重要だというふうに認識をしております。

フリーランスの方の子育て期における仕事と育児の両立を支えていくという観点からは、先般、小倉大臣の下で取りまとめられました子ども・子育て政策の強化に関する試案におきまして、被用者保険の取扱いを踏まえながら、育児期間に係る国民年金保険料免除措置の創設に向け検討を進めるということが盛り込まれております。厚労省としても、このこども未来戦略会議における議論をしっかりと踏まえながら対応していきたいというふうに思っております。

また、勤労者皆保険の実現に向けて、昨年の十二月の全世代型社会保障構築会議報告書におきまして、現行の労働基準法上の労働者に該当する方々については、その適用が確実なものとなるように必要な対応を早急に講ずるべきということと、また、労働者性が認められないフリーランスまたギグワーカーの方々に関しては、働く方々の実態や諸外国の例なども参考としつつ、引き続き検討を深めるべきというふうに指摘をされております。

これも踏まえまして、被用者保険の適用を図ることについて、社会保障審議会年金部会等において検討を深め、必要な整理を行ってまいりたいというふうに思っております。

三浦信祐君
働くその契約形態が違うことによって保障の分断が起きるということは、今後、少子高齢化で労働生産人口が減っていく中で、選択肢が狭まってはいけないと思います。思い切って安心して仕事ができる環境をつくるために、より前に進めていただける議論をお願いしたいと思います。

最後に、今回のコロナ禍においてフリーランスの方の政府支援の脆弱性が明確となりました。持続化給付金等について、従前の法的整理、解釈や運用では給付金等が給付対象とならない状態でありました。公明党が主張して給付金の対象とすることができ、現場に届いて、多くの方から助かったという声もいただきました。

であるならば、平素から、今般のようなケースでも支給対象となるように事前に規定しておくことが必要と考えます。もちろん、予算の兼ね合い、ケース・バイ・ケースだと思いますけれども、事前の準備、これがとても大事だと思いますので、予見可能性を確保するために考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(小林浩史君)
お答え申し上げます。

委員御指摘のように、新型コロナの影響を受ける事業者の方々への臨時異例の支援施策といたしまして実施した持続化給付金というのがございますが、制度開始当初は確定申告上の事業収入というのをもって前年の売上げを把握して給付金を算定しておりました。

他方で、いわゆるフリーランスの方を含め、業務委託契約等に基づく収入を確定申告上、給与収入又は雑所得として計上されている方もおられましたことですから、事業継続の下支えのため、こうした場合も給付対象とすることに変更したとの経緯がございます。

そして、新型コロナの影響を受ける事業者の方々への給付金としては、その後、一時支援金、月次支援金、事業復活支援金と続きますが、これについても同様の扱いとしてございます。

こうした事業者向けの給付金は、使途に制限のない現金を給付するという臨時異例の支援策であったとの性格に鑑みまして、給付金を再度支給することには相当慎重に検討する必要があると存じておりますが、今後、仮に同様の措置を実施する場合には、具体的にどのような制度設計とするかにもよるものの、以上申し上げたような前例も踏まえて適切な支援を講じてまいりたいと考えてございます。

委員長(古賀友一郎君)
時間ですので、まとめてください。

三浦信祐君
はい。

変化が激しい時代でもありますので、指針の変化も当然出てくると思いますので、細かく現場に寄り添った内容にしていただきたいことをお願いして、質問を終わります。

ありがとうございました。