参議院 内閣委員会 午後

第211回国会 参議院 内閣委員会 第8号 令和5年4月13日

コロナ対策の検証の観点からの2017年6月8日の参院厚労委での質疑について

三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。

新型インフル特措法及び内閣法の改正に当たりまして、これまでの検証等をしっかり行うことが大切であるとの視点から、まずは以前行いました質疑での内容について質問させていただきます。

二〇一七年、私は、参議院の厚生労働委員会の厚生労働省設置法改正案にて質問に立ちました。これは、設置法を改正し、医務技監を設置する質疑の内容でありました。医務技監の創設に際し、四つの役割を明示され、そのうち国内健康危機事案に対する公衆衛生上の専門的立場から、内閣官房と連携して対応し、国民に正確な情報発信を行うとされております。

コロナ対策の検証の視点において、医務技監のこの役割を果たし、機能したのか、認識を伺いたいと思います。その上で、得られた知見、結果を本法改正にどう反映しているのか、答弁を求めます。

政府参考人(浅沼一成君)
お答えいたします。

医務技監は、医学的知見に基づき厚生労働省の所掌事務を総括する事務次官級の職として平成二十九年七月に設置されたものでございまして、感染症の発生などの健康危機管理事案に対しましても、保健医療に関する専門的な知識を活用しつつ、行政組織のマネジメントを適切に行うことが求められている職でございます。厚生労働省幹部の立場だけではなく、政府全体の立場から重要な役割を果たすことが期待されているところでございます。

こうした役割の下、医務技監につきましては、これまで内閣官房に設置された国際的に脅威となる感染症対策推進チームに参加するとともに、新型コロナウイルスの発生後は、厚生労働省に設置された新型コロナウイルス感染症対策推進本部において副本部長兼事務局長として参画するなど、感染症対策の効果的かつ総合的な推進に貢献してきたものと考えております。

今回の新型コロナ対応を踏まえまして、感染症危機に迅速、的確に対応するための司令塔機能を強化するために、昨年九月での政府対策本部決定におきまして、内閣感染症危機管理統括庁を設置し、感染症危機を想定した訓練、国民への普及啓発等に係る業務を行うとともに、厚生労働省の感染症対策部及び国立健康危機管理研究機構と平時から緊密な連携を図ることとされたところでございます。その際、統括庁におきまして内閣感染症危機管理対策官に充てられました医務技監が結節点となりまして、総括庁と厚生労働省の一体的な対応を図ることとしております。

医務技監におきましては、厚生労働省の事務との整合的な対応の確保や政府全体としての総合的な感染症危機管理の推進に引き続き重要な役割を果たすものと考えているところでございます。

三浦信祐君
これ二〇一七年のときにできて、今後有機的にという役割が追加されたと思いますけれども、その先の段階の、行く前に、少し確認をこの後させていただきたいと思います。

厚生労働省設置法改正案の質疑におきまして感染症への水際対策等について質問し、クルーズ船寄港増加に伴う水際対策を手厚くしてほしい旨の依頼をさせていただきました。質問に対し、各種対策を実施し、検疫官増員し、整備に努める、新感染症も対象となっております新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて、関係省庁や検疫所、都道府県等において、実際に発生した場所を想定したシミュレーションなどを内容とする訓練を実施、新感染症を含めた感染症対策に万全を期してまいりたいとの答弁がありました。これ二〇一七年のときです。

新型コロナ感染症が日本に入ってきたのは二〇二〇年の一月、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が入港したのがその二月、この答弁から約二年半の対応では不十分であり、現実は大変厳しい結果となりました。どのような準備をして何が不足をしていたのか。答弁に対する今回のコロナでの結果の総括について明確にお答えをいただきたいと思います。

政府参考人(佐々木昌弘君)
お答えいたします。

検疫所におきましては、委員今御指摘いただいたような様々な工夫を凝らした訓練を定期的に実施しておりました。現在もしております。新型インフルエンザ等感染症を想定してのものでいうと、実際のクルーズ船上での訓練も行ったところでございます。

具体的なその訓練の内容ですけれども、船舶が接岸すると、着岸すると、その後、この国内発生早期ですので、数名程度の重症者、また中等者、こういった陽性者と濃厚接触者を下船させ、感染症指定医療機関に搬送するとともに、無症状の乗船者は健康状態を確認した上で下船させる、こういった想定での訓練を行ってきたところでございます。この時点ではこれが恐らく最善の訓練だろうということでした。

ところが、実際、令和二年、二〇二〇年二月のダイヤモンド・プリンセス号への対応では、一度に多くの、結果的には七百人を超える陽性者を下船させることになりました。乗船者を船内で長期間待機いただくということも必要になりました。下船させることなく待機していただきました。こういった、それ以前にはなかなか世界的にも経験したことのない想定が、その時点では困難な対応を行った、求められたというところでございます。

この御指摘のこの訓練、これまでの訓練、そして、なぜ二〇二〇年のダイヤモンド・プリンセス号では困難だったのか、これは私ども、以上のように考えております。

三浦信祐君
まさに想定外の規模だったということ、これが、物すごい知見が蓄積をされたということだと思います。

有事の備えとして訓練を重ねていく想定で医務技監が創設されたと理解をしております。その上での訓練計画等の検討状況について質問をさせていただいた結果、毎年、新型インフルエンザ患者発生時の初動対応の訓練を始めとして、様々な健康危機事案について、政府全体又は厚生労働省としても訓練を実施、医務技監設置により、各種訓練の中、更に大きな役割を果たしていくと答弁がありました。

厚生労働省設置法改正の質疑であったこの答弁等の訓練の設定と、今般のダイヤモンド・プリンセス号で起きた事案というのは、まさに先ほど御説明いただきましたけれども、違いがあったということだと思います。現場では、乗客、乗務員の情報収集、医療機関への搬送調整等に困難を極めたことが事実として残りました。すなわち、コロナ感染症発生前の訓練体制が有機的に機能していなかった、その想定が及ばなかったということが露見をしたところだと思います。

改めてですけれども、どこの見通しが及んでいなかったのか、そしてその上で、訓練の設定自体の総括について、その上で、この間に体制強化に図るべき項目としてどう整理されていくのかということ、重なる部分ありますけれども、質問させていただきます。

政府参考人(佐々木昌弘君)
お答えいたします。

まず、繰り返しの部分で申し上げますと、ダイヤモンド・プリンセス号の事案で私どもが学んだことは、一度に多くの陽性者が発生することがあるんだ、そして搬送することがあり得るんだ、また、乗船者、その他の乗船者の方であっても、船内で長期間待機させることが必要になるんだということを学んだところでございます。実際、このオペレーションにおいては、当時の厚生労働省の副大臣、政務官も実際ダイヤモンド・プリンセス号で指揮を執っていただいてもまだこのような状況でありました。

今回は、この経験等を踏まえ、昨年の秋に検疫法も改正させていただいたところであり、次の感染症に備えるためには、今般の、先ほど申した知見、さらには法改正を踏まえて新たに発足する内閣感染症危機管理統括庁や、あっ、まだ法案認めていただいていませんけれども、ですとか、国土交通省等の関係省庁とも連携し、想定する内容そのものをもっと精緻化していく、そうしたことによって訓練の実効性を高めるといった取組を進めてまいりたいと考えておりますし、前回のこの委員会で塩田委員から御指摘いただいたように、検疫所そのものの体制整備についても、これまでも人員の増加等をしておりましたけれども、例えば今月からは検疫所の新規職員に対する訓練も新しく、新しくじゃないですね、改めて強化した訓練、研修を行うといった形で、単に検疫所の職員の増強のみならず質的な向上も図っていく、こうしたことで次なる感染症への備えを検疫においても万全にしたいと考えております。

三浦信祐君
あの当時は司令塔機能ありませんでした。そういう中にあって、厚労大臣の指揮の下、そしてコロナ室ができてということで、やっぱり最大限の能力を発揮するということを一生懸命皆さんでやっていただいたと思います。だからこそこの立法事実もあるわけですし、そして、この機能強化ということは極めて大切だというふうに私は思います。だからこそ、これ中身のあるものにしていかなければいけないと思います。その上で、やはり訓練の質、訓練のレベル、平素の訓練こそが大事だということを明確に今御答弁いただいたことだと思います。

大臣に伺いたいと思います。

この訓練の設定をどうしていくかというのがまず大事だと思います。午前中の参考人の方からも、訓練は過去問をやり倒しておればいいというものじゃないと。他方で、過去問をきちんとやっておかないと応用は利きません。人材育成のポイントだと思います。

そういう面では、司令塔機能として、訓練を多数設定して繰り返す体制を具体的に取り組むべきだと思います。ここの余裕度があるというか、その自由度があるというところに、やはり訓練自体の質も上がっていくだろうと、体制も整えることができると私は思います。

特に、国と都道府県との連携によって、多数の想定、プランを出し合って訓練を重ねることが必須だと思います。その上で、国との関係、都道府県間、都道府県と基礎自治体間との連携体制と課題を常にアップデートをしていただきたいと思います。後藤大臣、是非取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(後藤茂之君)
訓練につきましては、特措法第十二条において、国及び地方の関係行政機関等は新型インフルエンザ等対策についての訓練を行うよう努めなければならない旨が規定されております。

また、昨年六月の有識者会議の報告書においては、行政各部が行う平時からの備えについて、実践的な訓練も含め、きちんと機能しているか政府全体の立場からチェック、改善し、メンテナンスすることが必要とされたところでありまして、次の感染症危機に向けては、内閣感染症危機管理統括庁が、今委員から御指摘がありましたとおり、関係省庁や都道府県等と連携し、より実践的な訓練等を行っていくことが重要であるというふうに考えています。

訓練の具体的内容等については今後検討していくこととなりますけれども、今般の新型コロナ対策で得た教訓を踏まえ、そして、将来いつ起こるか分からない有事に適切に対応のできる実践的なものとなるように留意するとともに、委員御指摘のとおり、訓練、想定の工夫や、あるいは訓練結果を踏まえたアップデートを図るなど、しっかり検討してまいりたいと思います。

三浦信祐君
午前中の中で、演習と訓練は違うということがありました。訓練というと、どちらかといったらきちっとできてなきゃいけないと。そうすると、この演習のところに自由度を持たせるということは極めて大事だというふうに思いますので、統括庁の中で、訓練できるところの設定つくるその手前のところからいろいろな形で、皆さん人材を確保して、そして想定をして、失敗を許容する、この体制を是非取っていただきたいということも要望させていただきたいと思います。

その際の質疑で取り上げました感染症対応の医療機関の病床数について、特定感染症指定医療機関、また第一種感染症指定医療機関、その当時は五十二医療機関体制でありましたけれども、ここからどのようにこれまで変化をしてきたのでしょうか。特に、大型客船等が寄港する港湾近傍の感染症医療提供体制、改善の方向性を明示をしていただきたいと思います。これは基礎自治体が大変望んでいることだと思いますし、医療機関の関係者の皆さんも望んでいることだと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(鳥井陽一君)
お答え申し上げます。

まず、特定感染症指定医療機関の数でございますけれども、御承知のとおり、感染症法におきまして、特定感染症指定医療機関というのは新感染症の所見がある方の入院等を担当する医療機関として、それから、第一種感染症指定医療機関は一類感染症、二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症の患者に対する入院等を担当する医療機関として定められております。

この特定感染症指定医療機関につきましては、厚生労働大臣が広域的見地から全国で四か所十病床の指定を行っておりまして、これは二〇二七年と同じでございます。一方、第一種感染症指定医療機関、今御指摘のにつきましては、二〇一七年の五十二医療機関九十六病床から令和四年四月一日時点で五十六医療機関百五病床に増加しておりまして、各都道府県に最低一か所は指定されている状況になってございます。

次の感染症危機時の医療提供体制についてでございますけれども、国内での新興感染症発生早期の段階では、港湾近隣の自治体や医療機関等も含め、現行の感染症指定医療機関の感染症病床を中心に対応することとなります。

今回、これに加えまして、さらに、今回の新コロナ感染症での経験を踏まえた昨年の感染症法等改正におきまして、都道府県が定める予防計画や医療計画に沿って、あらかじめ都道府県と医療機関との間で病床確保等の対応に関する協定を締結する仕組みですとか、特に流行初期から感染症の特性が分からない中で病床確保や発熱外来の対応を行う特別な協定を締結した医療機関、これには、経営上の不安なく対応していただけるような、流行前のと同水準の収益補償措置等も法定化することとしておりまして、このような方策により感染症医療提供体制の更なる確保を図ることといたしております。

次なる感染症危機においては、こうした措置も活用いたしまして、関係機関が連携して適切な感染症医療提供体制を構築してまいりたいと考えております。

感染症における患者搬送体制

三浦信祐君
まさに病床の確保というのは一番最初に課題になった案件ですので、これは不断の見直しを、訓練のことの実践も含めて、今後、都道府県とよく連携取っていただいて体制を整えていただきたいと思います。

次に、感染症における患者搬送体制について質問いたします。

コロナの中で国民の皆さんが多分共有されたことがあると思います。それは、普通に病院に受診ができる、これ大変重要なことなんだなと。また、救急車を呼んだときに普通に搬送してもらえると、これが当たり前のことというのがいかに重要なことなんだなということであります。この体制を感染症が起きたとしても確保してもらいたいという願いも当然共存しているものだと思います。

今回の新型コロナ感染症では、感染拡大時、特に波が大きくなったそのときの際に、救急車での医療機関搬送困難事例が多数発生しておりました。どの程度搬送困難であったのでしょうか、総務省消防庁に伺います。

政府参考人(鈴木建一君)
お答え申し上げます。

救急搬送困難事案につきましては、救急隊による医療機関への受入れ照会が四回以上で、かつ現場滞在時間が三十分以上である事案につきまして、消防庁におきまして全国の主な五十二の消防本部における週単位の発生件数を調査してきております。

これまで最も多かったのは、本年一月の第二週、一月九日から始まる第二週でございますが、これで八千百六十一件ということでございまして、この件数はコロナ前である令和元年度の同時期と比較いたしまして約五・三倍となっております。

三浦信祐君
冬は患者が非常に多くなるという事例ではあると思いますけれども。

搬送困難事例、これ克服できるように不断の努力をしていかなければいけないと思いますが、共に克服をしなければいけない課題があります。それは、感染症発生時における感染症患者と事故、緊急を要する疾病との搬送分離であります。

一刻一秒を争う救急搬送についてどのような機会確保を図っていくのか、これはしっかりとやっていかなければいけないと思います。これらの課題を平時にどのように準備を重ねていくのでしょうか。

さらに、一般市町村が救急、消防体制の実施主体ではありますが、医療機関との連携、病床空き状況など、情報連携をデジタル化、プラットフォーム化し、守備範囲を超えてでも情報共有できるように踏み込んで体制整備を図ってはいかがでしょうか。時間、費用が掛かったとしても投資をすべきだと私は思います。

二〇二〇年の三月の二十五日、私が予算委員会において、国が前面に立って、病床管理、差配等の司令塔機能を設置、運用する、加えて広域連携体制を整備していただきたいとの質問に対して、厚労省コロナ対策本部が機能を担っている上で、必要な対応を検討したいと答弁もいただいております。

これらも踏まえて、対応と今後の展望について厚労省と総務省に伺いたいと思います。

委員長(古賀友一郎君)
じゃ、まず、厚生労働省鳥井審議官。

政府参考人(鳥井陽一君)
お答え申し上げます。

今般の新型コロナの対応を踏まえますと、感染症法に基づく入院勧告や措置に係る移送につきまして、平時から関係者間で情報共有やきめ細かい調整、役割分担と連携が必要であると考えております。

昨年十二月に成立いたしました改正感染症法におきまして、都道府県が予防計画を策定いたしますが、その記載事項として感染症患者の移送体制の確保を盛り込んでいるところでございまして、消防機関や民間事業者等との連携を図りながら、移送体制の確保の取組を平時から進めてまいりたいと考えております。

やはり、実効性を担保するためには、平時から都道府県や保健所設置市、消防機関、地域の医療関係者等から構成される都道府県連携協議会を立ち上げて、感染症発生、蔓延時の移送あるいは情報共有の在り方等を協議することとなっておりまして、これを通じまして相互の連携を強化してまいります。

政府参考人(鈴木建一君)
お答え申し上げます。

消防の側でございますけれども、これまで新型コロナの感染の拡大期に救急需要が高まりました際には、各消防本部におきまして予備の救急車を活用して救急隊を増隊するなど、必要な体制の確保を取り組んでまいりました。

また、救急車の適時適切な利用を促す観点から、救急車を呼ぶべきか相談できる救急安心センター事業、シャープ七一一九と呼んでおります、この活用や、救急車を呼ぶべき症状などを分かりやすく示した救急車利用マニュアルの周知と、こういったものに取り組んでまいりました。

また、一一九番通報を受けた傷病者の方がコロナの患者様であった場合、あるいは保健所等から新型コロナ患者の移送への協力要請があった場合には、消防機関におきまして、保健所等と連携いたしまして医療機関への搬送に協力をいたしてきたところでございます。

こうした今般のコロナの対応を踏まえまして、今後は、消防機関が感染症法に基づく都道府県連携協議会に参画することなどを通じまして、地域における関係者間の連携が一層強化されまして、救急、緊急を要する患者の搬送に支障が生じないように、消防庁といたしましても、厚生労働省と連携して取り組んでまいる所存でございます。

三浦信祐君
是非、実効性を確保していただきたいと思います。

今御答弁の中でありましたけれども、感染症法改正の中で、予防計画、都道府県ごとに作ると。この記述事項の充実が図られまして、予防計画に追加する記載事項案のうちに感染症の患者の移送体制の確保、これが義務付けられております。義務付けられている以上明確にする必要があり、そのための実効性ある体制確保は欠かすことができません。加えて、予防計画の策定において、医療計画や新型インフル等特措法に基づく行動計画との整合性を取ることも必要となります。政府も法律にのっとることを求めているわけであります。

これらについて、司令塔機能・組織との関係性、内容のアドバイスや変更状況並びにその内容の把握、これはどうなるのでしょうか。後藤大臣にこれ明確にしていただきたいと思います。

国務大臣(後藤茂之君)
今委員から御指摘がありました新型コロナの今回の経験から言いましても、入院が必要な患者の医療機関への移送体制の確保は大変重要だというふうに思っております。

このため、今御紹介もありましたけれども、昨年十二月に感染症法が改正されまして、予防計画の記載事項に患者の移送体制の確保に関する事項が追加されたところでありまして、これを受けて、都道府県において来年度に向けた計画の検討がもう既に進められております。

今後、政府行動計画の改定を行うに当たっては、委員御指摘のとおり、患者の移送体制の確保を含めた医療提供体制等の具体的内容について、予防計画及び医療計画との間で整合性が確保される必要があります。

統括庁におきましては、厚生労働省とも連携をして、予防計画等の整合性確保のために必要な調整を行いつつ、政府行動計画の記載内容をしっかりと調整をして充実を図ってまいりたいと思います。

特措法改正(全般)について

三浦信祐君
続いて、内閣感染症危機管理統括庁について伺います。

この統括庁は一段高い司令塔機能との位置付けであり、これまでも御答弁あったとおりですけれども、平時には多くの情報収集、訓練、そして事態発生時に備える役割があります。

その中で必ず必要になりますのは、もう効果の検証、効果測定ができる体制であります。政策判断プロセス等のアーカイブ化はもちろんのこと、政策判断や指示、行動状態を、事態発生、推移を専属の検証チームにて記録をしていくということが私は重要だというふうに思います。

政策判断等の検証チームなどをつくりまして、そして感染症事態発生時にリアルタイムモニターできる体制を取るべきだというふうに私は考えますが、是非取り組んでいただけませんでしょうか。

政府参考人(菊池善信君)
お答えします。

今般の新型コロナ対応では、感染症危機が継続している中にあっても、政府内においてウイルスの特性や対策の効果、これを柔軟かつ機動的に見直すなど、PDCAサイクルを回しつつ対策を講じました。このCのところが検証というところに当たろうかと思います。

それから、新型インフルエンザ等対策推進会議、これはコロナ対策分科会ですとか基本的対処方針分科会におきましても、この効果の検証というものをしていただきながら御意見をいただいて政策に反映をしてまいりました。

内閣感染症危機管理統括庁ができましたら、これも平時の準備として当然PDCAサイクルを強化をするわけでございますけれども、感染症危機対応の最中にあってもPDCAサイクルを常に回し、不断の検証を行いながら対策を講じることができる体制を整備していきたいと考えております。

三浦信祐君
是非それをお願いしたいと思います。

特措法はこの統括庁、そして感染症法は厚生労働省と役割が分担されておりますけれども、統括庁が総合調整機能を発揮するためにどのように組織運営がなされていくのでしょうか。構築の仕方と同時に、課題が生じたときのアジャイル性が確保できる運用体系を取るべきだと考えます。

後藤大臣、是非これができるような体制、実現をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(後藤茂之君)
感染症危機管理におきましては、国民の命、健康の保護と社会経済活動の両立を図ることが必要でありますことから、厚生労働省は、新たに感染症対応能力を強化するために設置される感染症対策部を中心として、感染症対応の実務の中核を担うということになります。

厚生労働省が所轄、所掌するのは、感染症対応に係るいわゆる内閣法上の分担管理事務に当たります。今回の法改正で、内閣官房に設置する内閣感染症危機管理統括庁は、厚生労働省を含む各省庁より一段高い立場で、内閣官房の最終、最高の総合調整権を背景として、感染症危機管理に係る対応を司令塔組織として統括をする、統括庁が所掌するのはこうした内閣補助事務と講学上言われるものでございます。

こういう形で役割分担をいたしておりますので、しっかりとそうした機能を生かしながら、一体的な対応をしていく必要があると思っています。

統括庁については、厚生労働省との一体的な対応を確保しつつ、感染症危機に総合的に対応することを可能とする組織設計としておりまして、繰り返しになるかもしれませんけれども、厚生労働省の医務技監を統括庁の幹部に充てまして、医務技監を結節点として、統括庁の指示を迅速に厚生労働省内に徹底をするとともに、医務技監の統括整理の対象である感染症対策部の知見や人的資源を統括庁の企画立案に活用することや、対策官を通じまして、感染症等に係る新たな専門家組織として設置されます国立健康危機管理研究機構から質の高い科学的知見の提供を受けて、統括庁の企画立案や政策決定に活用するという枠組みを構築することとしております。

統括庁の体制につきましては、有事に増員をするというような形で体制整備も行っておりまして、統括庁は、政府全体を俯瞰した総合的な視点で、平時から迅速に質の高い科学的知見の提供を受けて、政府全体の方針立案を行う取組を推進し、感染状況や社会経済の課題に機動的かつ柔軟に対応することが可能となり、まさに委員御指摘のお言葉でありましたけれども、アジャイル性も確保されるものと考えております。

三浦信祐君
最後に、端的に伺います。

感染症の海外からの封じ込めから国内での蔓延期のフェーズの切替えは総合的な判断等が必要であり、司令塔機能である統括庁としてどのように調整、運用していくのでしょうか。その際の判断、指揮系統も含めて整理をしておくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

政府参考人(菊池善信君)
今般の新型コロナのように、海外で新たな感染症が発生した場合、検疫の強化等により国内侵入の時期をできるだけ遅らせ、国内で発生が確認された際には適切な対策へと切り替えていくことが重要でございます。

具体的には、統括庁が司令塔機能を発揮しまして関係府省と調整を行った上で、海外で発生が確認されたときは検疫の強化等の水際対策を実施し、国内での発生が確認されたときには、国民に対する情報提供、予防、蔓延防止措置、医療提供体制の整備等を行うとともに、場合によっては緊急事態宣言等の強い措置やこれに伴う支援を行うことになると考えております。

こうした状況に応じた対応の切替えのタイミング等でございますけれども、今回の新型コロナウイルス感染症への対応の経験等を踏まえ、今後、政府行動計画を見直す中で検討してまいりたいと考えております。

三浦信祐君
終わります。