参議院 内閣委員会

第211回国会 参議院 内閣委員会 第5号 令和5年4月4日

こども家庭庁発足について

三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。

四月一日、こども家庭庁が設置法に基づき発足となりました。準備室を始め、発足までに多くの御関係者の皆様に敬意を表したいというふうに思います。

縦割り行政を打破し、子供に関する行政の一元化したことは歴史的なことであります。日本は少子化が加速し、昨年の出生数は八十万人を下回る国家的な危機状況にあります。子供が伸び伸びと暮らし、学べる社会、また、子供を社会全体が支える健全な体制、こどもまんなか社会をつくり上げる、そして、子育て世代への手厚い保護など、取扱い、課題、責任は重いものがあります。

こども家庭庁の発足により、子供政策、社会はどのように変わっていくのか。初代とも言えるこども政策担当大臣として、小倉大臣に答弁求めたいと思います。

国務大臣(小倉將信君)
四月一日、こども家庭庁が発足をいたしました。公明党の三浦委員始め、御協力をいただいた全ての皆様方に感謝を申し上げたいと思います。

こども家庭庁の役割、たくさんございます。まずは、少子化対策や児童虐待など、これまで多省庁にまたがってきた子供政策の強い司令塔としてしっかり調整をし一元化をさせていくということでもありますし、あるいは、制度のはざまに陥っていた様々な分野、例えば未就園児も含む就学前の子供の育ちの保障もそうでありますし、子供の居場所づくりもそうです。そういったものについて、しっかり誰一人取り残さないという観点を大切にして、きめ細かい支援をしていくということであります。

既に、こども家庭庁の発足を待たずに、例えば送迎バスの置き去り事故の防止策の緊急対策の取りまとめ、あるいは、先月発表させていただきました少子化対策のいわゆるたたき台の取りまとめ、関係省庁会議を開きまして、私を議長とさせていただきました。非常に関係府省庁からは御協力をいただきまして、まさに子供の政策に関して政府が一丸となって取り組んで対策やたたき台を取りまとめることができたというふうに思っております。

引き続き、子供に関する施策に関しましては、こども家庭庁発足後も各府省庁の協力を仰ぎながらワンチームとして取り組んでいかなければなりませんし、どのように社会が変わるかということについては、やっぱり、こども家庭庁の発足と併せて施行されましたこども基本法にも記されておりますとおり、子供や若者の意見を何よりも尊重をしていくということであります。こども家庭庁発足後は、「こども若者★いけんぷらす」という、約一万人の子供や若者から意見を集めるだけではなくて、テーマも御自身で設定をしていただいて、かつ何が反映できてできなかったかというフィードバックもさせていただく、そういう事業も進めていきます。

まさに、子供や若者、これまで意見が届かないと思っていた人たちが意見が届くようになったというような実感を抱いていただいて、今、日本の子供や若者は自己肯定感や有用感が低いと言われておりますので、そういった、自分たちが社会に貢献をしている、自分たちの意見が反映をされたというふうに思ってもらえるような、そういう社会につくり変えていくというのが我々こども家庭庁の大きな使命であると考えております。

三浦信祐君
大変責任は重いと思います。

我々も、現場の声から、特に若い世代から伺ってきた声もぶつける先が明確になったと思いますので、しっかりとこれは練り上げて、そして結果を皆さんに戻した中で、自分たちが大切なんだというのを若い時期から醸成していくということにも尽力をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

公明党は、昨年の十一月、子育て応援トータルプランを策定し、実現の決意を込めて発表いたしました。

イメージとして、一つ目に、仕事と家庭の両立により生活を犠牲にしない働き方へ転換する。耳が痛い方も相当いるかもしれません。子育ての負担が過重にならないように支援する。三つ目に、常に子供の視点に立ち、子供も政策中心に据えたこどもまんなか社会の実現を目指す。四つ目に、男女間の不平等を解消し、性別役割分担意識を是正する。五番目に、若者が希望を持って将来の展望を描ける環境整備の五つの基本的な方向性を掲げております。具体的に、ライフステージや子供の年齢等に応じた支援の充実へ、出会いから結婚、妊娠、出産から子供が育つまでの切れ目のない具体的政策で構成されております。

既に昨年の補正予算、先般成立した令和五年度予算にもプランが反映をされ、実行段階にあります。例えば、具体的な政策の一つとして、妊娠、出産時の計十万円相当の給付、妊娠期からの伴走型相談支援について、十月以降も継続する費用が出産・子育て応援交付金として継続実施する予算としても計上がなされております。

小倉大臣、これらの政策を着実に実現していくことが必要と私たちは強く決意をし、考えております。子育て応援トータルプランの大臣の評価、いかがでしょうか。

国務大臣(小倉將信君)
御党の子育て応援トータルプラン、これも私もしっかりと拝見をさせていただきました。まさに、言及をしていただいた伴走型相談支援の実施と出産・子育て応援交付金、これの着実な実施、こども家庭庁の大きな役割の一つだと思っておりますので、まずは先行して実施しております様々な強化をされました子供政策の実施、責任を持って取り組んでまいりたいというふうに思っております。

加えまして、先般、御党の提言を踏まえつつ、子ども・子育て政策の強化に関する試案も取りまとめさせていただきました。その試案、いわゆるたたき台におきましても、全ての子育て世帯を切れ目なく支援することを基本理念の一つに掲げ、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や、全ての子ども・子育て世帯を対象とするサービスの拡充といった柱に沿って各種の施策を盛り込んだところであります。

今後は、この支援を、施策を踏まえて、総理を議長とするこども未来戦略会議におきまして必要な施策、予算、財源について更に議論を深めて、六月の骨太方針までに将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示をさせていただきたいと思います。

三浦信祐君
一月の六日、岸田総理大臣から、子供政策強化について、検討加速のために、こども家庭庁発足前に三つの基本的方向性、すなわち児童手当を中心に経済的支援を強化、幼児教育や保育サービスの量、質両面からの強化、全ての子育て家庭を対象としたサービスの拡充、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実を示された上で、小倉大臣に対して、子供政策の強化に向けたたたき台の取りまとめの指示があって、三月三十一日に発表がなされました。

公明党は、先立つこと三月の二十八日に、次世代育成のための緊急事態宣言等についての提言、子育て応援トータルプラン二〇三〇実現に向けてを総理並びに小倉大臣に要望させていただきました。

これには、一つ目に経済的支援の強化、二つ目に子育てサービスの拡充、三つ目に働き方改革の推進、四つ目に若者の経済的基盤の強化、五番目に様々な課題を抱えているこども・若者支援、六番目に次世代育成推進体制の整備の六項目で、項目ごとに具体的政策を掲げさせていただきました。そして、二〇二三年度からの三か年を次世代育成・集中期間と定め、六項目をたたき台に盛り込んで確実に実施をしていただくように強く求めさせていただきました。

小倉大臣に伺います。これも少し触れていただきましたけれども、公明党が三月二十八日に要望したたたき台、内容はこのたたき台にどう反映をしていただきましたでしょうか。

国務大臣(小倉將信君)
たたき台試案の公表に先立って、御党の高木議員、山本議員、中野議員から、私も総理とともに提言を受け取りまして、提言内容もお話をいただきました。この御党からの提言も踏まえまして、今回の子ども・子育て政策の強化に関する試案では、従来とは次元の異なる思い切った施策をパッケージとしてお示しをすることができたと考えております。

御党の提言の内容で試案に盛り込んでいるものとしては、例えば、制度のかつてない大幅な拡充をするものとして、児童手当の所得制限の撤廃、高校生まで延長、多子世帯の経済的負担を踏まえた手当額の拡充、また、長年の課題を解決するものとして、七十五年ぶりとなる保育士の配置基準の改善、第三に、時代に合わせて発想を転換するものとして、就労要件をなくすこども誰でも通園制度の創設、また、新しい取組に着手するものとして、伴走型支援の制度化、最後に、地域社会全体でこどもまんなかを実現するものとして、こども家庭庁の下での国民運動のスタートなどが挙げられると思っております。

そういう意味では、御党から提言いただいた施策についてはおおむね試案に盛り込むことができたのではないかと考えておりますので、先ほど申し上げたように、このたたき台をベースとして必要な施策の内容、予算、財源、この議論を更に深められるように、総理の下でのこども未来戦略会議、私も一員としてしっかり関与を引き続きしてまいりたいと思っております。

児童手当の拡充について

三浦信祐君
六月の骨太まで具体の財源の部分もしっかりと議論をしていただけると思いますけれども、やはりこれ、先ほどもありましたけれども、地方自治体と連携を強化をする中で、現場にお届けをするということが加速度的に必要だと思いますので、我々も更に現場の声と連携をつなげて大臣にもお届けをしたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。

今触れていただきました、要望の一つでありました児童手当について質問いたします。

児童手当の拡充は、多子世帯家計負担軽減や子供の教育費負担の軽減にもつながるなど、これ非常に大きな効果があると思います。子育て世代の経済的負担を軽減し、他の教育的資金の軽減とも併せることで、現役世代の経済活動の下支えとも、親の視点から見ればなると思います。そして、子供さんがやりたいとの機会の創出も、この経済的な支援によって実現も可能となると私は思います。

三月十七日の総理記者会見での若い世代の所得を増やすこととの発言もありつつ、児童手当の目的、意義について改めて伺いたいと思います。

政府参考人(藤原朋子君)
お答え申し上げます。

児童手当の目的につきましては、児童手当法第一条に規定をされておりまして、児童を養育している者に対して児童手当を支給することにより、まず第一としては、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、第二といたしまして、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することが目的として掲げられているところでございます。

三浦信祐君
もうシンプルです。親の年収なんて関係ないという意味です。そういう視点で見れば、未来を託す子供の皆さんへ、大人、社会全体が支えていくことが重要です。親の経済状況によって子供の成長過程での分断や機会喪失を許容しては、異次元の子育て支援にはなっていきません。

児童手当を、十八歳までの対象年齢拡大、所得制限の撤廃、そして多子世帯への加算を拡充することを求め、たたき台にも明記をしていただきましたけれども、これらについての思い、そして今後の検討について、小倉大臣の思いを是非ここで訴えていただければと思います。

国務大臣(小倉將信君)
三浦議員がおっしゃった若い世代の所得を増やす、総理も申し上げておりますように、まずは所得を上げなきゃいけないということで、賃上げの促進ですとか正規化、さらには女性特有のL字カーブの解消、こういったものをしっかり取り組むことを通じて、若い世代の所得をまず恒常的に上げていくということが大切なんだろうと思います。あわせもって、やはり子育てに関しましては、やはり経済的な負担というのが希望する子供を持てない理由のトップに来る、そういったアンケート調査も多うございますので、しっかりそれに加えて切れ目のない経済的な支援をやっていく必要があるだろうということであります。

まさに、この児童手当に関しましては、その経済的な支援の中でも、次代を担う全ての子供の育ちを支える基礎的な経済的支援としての位置付けを明確化するため、御指摘いただいたような、所得制限を撤廃をして、支給期間を高校卒業まで延長するとともに、多子世帯が減少傾向にありますことや経済的負担感が多子になるほど強いことなども踏まえて、手当額についても諸外国の制度等も参考にしつつ見直しを行うところで、見直しを行うとしたところであります。

先ほど申し上げたように、そういった思いを込めまして、骨太の方針までにしっかりとした議論を得るよう、私も政府の一員として努力をしてまいりたいと思っております。

小児医療費の無償化について

三浦信祐君
ここも是非、大胆なという総理指示もありますので、我々も大胆に提案をしていきたいと思います。ちょっと、少し増えたなという実感よりは、ダイナミックな発想がやっぱり必要だと思います。未来に返ってくるものだと考えれば、むしろ大人からきちっと今の全ての子供にというメッセージ、そしてそれも、お父さん、お母さん、御家族、関係者の皆さんがこれはと思うようなその大胆さが必要だと思いますので、これからしっかりと議論を重ねていきたいと思います。

次に、乳幼児医療費の援助について質問いたします。

全国の都道府県、市区町村、全ての自治体において、子供の医療費負担の軽減へ何らかの医療費助成が行われております。しかし、子供医療費助成は基礎自治体により大きく異なっているのが、これが現状です。

全国の自治体での無償化の実態はどのようになっているのでしょうか。診察と入院、所得制限の有無、対象年齢、何らかの費用負担の有無など、系統的な整理をするとどのような現状か、伺います。

政府参考人(藤原朋子君)
お答え申し上げます。

各自治体で行われております乳幼児等の医療費助成の状況でございますが、令和三年四月一日時点における実施状況につきまして、全国千七百四十一市区町村のうち、まず対象年齢別に見ますと、通院では、年齢制限を十五歳年度末以上と設定している自治体では千六百五十四自治体、九五%になります。また、十八歳年度末以上又はそれ以上と設定している自治体で見ますと、八百二十二自治体、全体の四七・二%を占めます。入院につきましては、十五歳年度末以上と設定している自治体が千七百十自治体で、九八・二%を占める。また、十八歳年度末以上又はそれ以上と設定している自治体では九百自治体、五一・七%となっております。

次に、所得制限の有無でございますが、通院では、所得制限なしが千五百二十一自治体、全体の八七・四%でございます。入院では、所得制限なしで見ますと千五百二十四自治体、全体の八七・五%というふうになってございます。

また、一部自己負担の有無について見ますと、通院では、自己負担なしが千百三十六自治体、六五・二%でございます。入院では、自己負担なしが千二百二十二自治体、七〇・二%というふうな状況になってございます。

以上でございます。

三浦信祐君
やっぱり大分差があるなというのが実感です。

そういう中で異次元の子育て支援を進めるためには、ある意味、子育てにお金が掛からない日本、これを目指していくことは必要だと私は考えております。具体的に進めていきたいと強く決意をしております。基礎自治体の子供医療費は高校三年生あるいは高校三年生相当までは無償化の流れを確実にするべく、国として地方の財政基盤を支えながら、そして、特に現状、未就学児までとなっている国保の減額調整措置を廃止するとたたき台にも明記をしていただきましたので、これを早急に実現をしていただきたいと思います。

国民の皆様の期待、そして地方自治体の準備もあり、いつ開始するんだろうか、そして国保の減額はどれぐらい今なされているかということ、加えて、これが廃止となることによってそのまま地方財政に入ってくるのかなど明確にしていくという細かい段取りがこれから生じてまいります。

いずれにしましても、是非、先ほど御答弁をいただいた、これが一〇〇%といったときに大胆さの結果にもなってくると思いますので、これらを確実に取り組んでいただけるよう、小倉大臣、是非御尽力いただけませんでしょうか。

国務大臣(小倉將信君)
子供の医療費につきましては、国として、医療保険制度において就学前の子供の医療費の御指摘いただいた自己負担を三割、二割に軽減しているところ、これに加えて、自治体独自の助成制度により自己負担の更なる軽減が図られているものと承知をしております。

先日取りまとめを行いました子ども・子育て政策の強化に関する試案では、今後三年間で加速化して取り組む子ども・子育て施策として、地方自治体から特に要望の強かった子供医療費助成に係る国民健康保険の減額調整措置の廃止を盛り込んでおります。あわせて、適正な抗菌薬使用なども含めて、子供にとってより良い医療の在り方についても検討することといたしております。

こうした点も踏まえつつ、今後総理の下に設置をされるこども未来戦略会議において、具体的な内容、予算、財源について更に検討を深めさせていただきたいと思っております。

三浦信祐君
是非、ここには厚労省の皆さんも制度の上ではかなりお力をいただかなければいけないと思います。そういう面では、是非、大臣のその子供の生活を、そして未来をつくるという視点で、また親御さんの視点も踏まえて是非いろいろアドバイスもいただいて、思いもそれを反映できるように御発言もいただきたいというふうに思います。

そもそも、厚生労働省が使用してまいりました乳幼児等医療費助成との表現も、もう子供医療費助成と変えていただけませんでしょうか、いかがでしょうか。

政府参考人(藤原朋子君)
私ども、三月までは、こども家庭庁に移る前は厚生労働省の子ども家庭局で仕事をしておりました。

これまで、委員御指摘の自治体の実施状況における調査では、乳幼児等医療費という言葉を確かに使っております。今後の調査実施の際、どのような名称、表現をするかということの御助言だと思いますけれども、自治体の皆様から見た分かりやすさですとか、ただいまいただいた御指摘も踏まえまして、今後検討させていただければと思っております。

働き方改革の推進と子育てとの関係

三浦信祐君
乳幼児だけじゃありませんからね、もう。是非お願いしたいと思います。

働き方改革の推進と子育てとの関係について質問いたします。

一月四日に岸田総理が示した三つの基本的方向性のうち、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実を図ること、これはもう大変重要なことだと私は考えております。短時間勤務や短時間保育が実現することも確実に充実をしていくべきだと思います。その上で、民間企業でなかなか活用されない時間単位休暇、これを大胆に活用できる社会に変革できるように取り組むべきだと私は考えます。お子さんの養育における医療以外での時間の有効的活用、介護、御自身の医療等へのアクセス機会の充実など、より効果的な時間と休暇の活用ができるような社会変革が必須であります。

労務管理が大変だとの理由は今後の社会にそぐわないと考えます。デジタル化によって労務管理環境は劇的に変化もしています。総理は大胆に検討をとの発言もあり、時間単位休暇の拡充、是非取り組んでいただきたいと思いますけれども、厚労省の皆さん、いかがでしょうか。

政府参考人(青山桂子君)
お答え申し上げます。

年次有給休暇は、働く方の心身の疲労を回復させるためにまとまった日数の休暇を取得するという趣旨を踏まえつつ、一日単位で取得することを基本としておりますが、時間単位年休は、仕事と生活の両立を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにするために設けられた制度でございまして、年五日の範囲内で労使協定の締結を要件として特例的に年次有給休暇を時間単位で取得できることとなっております。

昨年、労働政策審議会におきまして、時間単位年休等の検討を行ったところでございますが、令和二年に実施した調査におきまして、時間単位年休自体を導入している企業は全体の二二%でありまして、また、実際に時間単位年休を取得したことのある労働者のうち上限の五日全てを取得したことがあるのは九・五%にとどまっていることなども踏まえ議論した結果、五日の上限日数の改正ということでは、行うのではなく、それではございませんが、今般の見直しとしては、年五日を超えて時間単位年休を取得したいという労働者のニーズに応えるような各企業独自の取組を促すことが適当であるとの結論を得たところでございます。

このため、厚生労働省におきましては、引き続き時間単位年休の導入を促進するため、導入を検討している企業に対して企業の好事例の横展開やリーフレット等による制度の周知を行っております。また、本年四月より、労働基準法に定める時間単位年休を年五日分導入した上で更に企業独自で時間単位の特別休暇の規定を設けた中小企業事業主について、新たに助成金の助成対象に含めることとしております。

こうした取組によりまして、まずは時間単位年休の導入促進に努めてまいりたいと思っております。

三浦信祐君
今御答弁いただきましたが、大臣、労働サイドの視点から見たらこういう結果になるんですね。

一方で、ここを変えていくというのが日本の未来にとっては私は必要だと思います。まさに、子供政策というのは休み方改革の入口になると私は信じております。子供との時間を確保できる機会の増進にもつながるのが時間単位休暇であります。これまで労働の視点から審議会と専門家の方が議論されてきたのかもしれませんが、次元の異なる視点で子育て、少子化対策を行う段階でもあります。こども家庭庁ができ、勧告権もあるからこそ、大臣、ここは大胆に変えていただきたいと思います。

総理は、先般も時間とのキーワードを、そして昨日のここの決算委員会でもおっしゃられておりました。時間単位休暇について、小倉大臣の見解、そして本当に決意も伺いたいと思います。

国務大臣(小倉將信君)
まず、時間単位年休につきましては厚生労働省の所管となりますが、心身の疲労を回復するという年次有給休暇の趣旨や時間単位年休を導入している企業の割合など、実態に踏まえた検討が必要であるとは考えております。

他方で、時間単位年休だけではなくて通常の有給休暇の取得も、例えば子供の病気や子供の行事を理由とする有給休暇の取得がしづらい、肩身の狭い思いをするというような子育て世帯の方からの意見も多数頂戴をいたします。そういう意味では、育休の取得促進も重要でありますが、当然育児というのは育休だけではなくて長きにわたる営みでございますので、育休明けも、例えば子供が熱を出したりとかあるいは子供の行事に参加をしたいというときに心置きなく保護者の方、養育者の方がお休みを取れるような、そういう環境をつくっていくことが必要ではないかというふうに考えております。

そういう意味では、このたたき台の中でも育児を目的とする休暇の在り方について検討するということも加えさせていただきましたし、何よりも重要なのは社会の理解を得ていくことだと思っておりますので、冒頭申し上げたような、こども家庭庁として子育てしやすい社会をつくっていくための国民運動も展開をしていくつもりでございますので、やはり保護者の方あるいは養育者の方が休みを取りやすい環境づくりという意味では、しっかりとこども家庭庁としても汗をかいてまいりたいというふうに思っております。

三浦信祐君
大臣、これ、こどもファスト・トラックをつくられると。でも、土日しか休めなかったらやっぱり大変なんですね。夕方、午後三時からこの休暇を取って、二時間使ってお子さんと夕方行ったらよりファスト・トラックの意味も、もちろんそのときに混んでいるかどうかという課題もありますけど、こういう機会がどんどん増えていくことが子供と過ごす時間が拡充することになると思います。是非、そういう視点から逆に休暇というものをアプローチする、こういうことを是非お願いをしたいというふうに思います。

出産によって、積み上げてきたキャリアパスが失われることが多いのが現状であります。これにより選択肢が狭まると感じている女性は決して少なくありません。私も公明党青年局長として、膝詰めの政治対話を青年世代の皆さんと全国で重ねてまいりました。その中で、女性の方から、選択肢の多い社会をとの要望、出産、育児でキャリアが失われる不安を地域を問わず必ず訴えがあります。事実、仕事やそのキャリアを諦めたとの声もこれまでたくさん伺いました。

育児と仕事の両立ができる社会構造への変革が欠かせません。女性管理職の比率のアップや休暇や出産が評価に影響を及ぼさない経営者の理解と行動、キャリアパスの確保など、大胆な意識改革を政府が責任を持って推進できる社会、そして推進自体もやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(宮本悦子君)
お答え申し上げます。

男女共に、希望に応じて仕事と育児を両立できる社会を実現することは重要であると考えております。

育児・介護休業法におきましては、育児休業を取得したことなどを理由とする降格や不利益な配置変更等、不利益取扱いを禁止しており、引き続き履行確保を図ってまいりたいと考えております。

また、女性の就業継続やキャリア形成に向けた企業や男性の意識改革を促していくことも重要でして、男性の育児休業の取得促進により男性が主体的に育児、家事に関わることで女性に偏りがちな育児、家事の負担を軽減することや、企業の両立支援の取組が進むよう円滑な育児休業の取得や職場復帰に取り組む中小事業主への助成、また労務管理の専門家による相談支援、セミナーの開催、さらに厚生労働省のウェブサイト、両立支援のひろばでの企業の好事例の周知などを行っているところでございます。

さらに、今般、小倉大臣の下で取りまとめられました子ども・子育て政策の強化に関する試案におきましては、育児期の男女が共に希望に応じてキャリア形成との両立を可能とする仕組みを構築するため、子供が三歳以降小学校就学前までの場合において、短時間勤務、テレワーク、出社、退社時刻の調整、休暇など、柔軟な働き方を職場に導入するための制度を検討することが盛り込まれております。

子供との時間を確保しながら、男女共にその職業生活において意欲、能力を十分に発揮することができるよう、今後の議論も踏まえつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

こどものメンタルヘルスケア

三浦信祐君
具体例、いい例を経営者の皆さんにもお伝えするということもやっていただきたいと思います。

子供のメンタルヘルスケアについて質問いたします。

日本は、OECD諸国の中で十代の自殺率が最も高い深刻な状況でもあります。いじめ問題やデジタル化による対面型ではないツールの普及、そしてコロナ禍でコミュニケーション機会が失われたことに伴う、こういうコミュニケーションの力を付ける機会を逸失しているなど、子供を取り巻くメンタルヘルスケアは待ったなしの状況であります。

こども基本法の目的の中には、子供の心身の状況という表現もあり、心という部分が明示されております。しかし、日本は立ち遅れ、これまで手が着けられてこなかったと言っても過言ではありません。こども家庭庁が発足して、子供のメンタルヘルスケアの体制を構築するためにまたとない機会でもあり、取り組むべきであります。

これ、大事なことは、御自身が気付いていくという知見を持つというのが子供世代から極めて重要だということです。子供のうちにメンタルヘルスケアが当たり前となるように、セルフチェック、傾聴能力、メンタルヘルス・ファーストエイドの考え方等を身に付けられる社会をつくるのが我々大人の責任だと思います。

子供のメンタルヘルスケアはこども家庭庁の役割であり、抜け落ちないように体制を整え、取り組んでいただきたいと思います。小倉大臣、是非お願いしますが、いかがでしょうか。

国務大臣(小倉將信君)
委員に御指摘いただきました十代の自殺など、子供の心の問題は喫緊の課題であり、現状も深刻さを増していると、そのような認識をしております。

今般発足をいたしましたこども家庭庁は、子供の施策に関する一元的な企画立案、総合調整を担っており、医療、保健、教育、福祉等、幅広い関係分野の相互連携を図り、子供が心身共に健康で育っていく環境の整備を推進をすることといたしております。

具体的には、成育医療等基本方針におきまして、子供の心の問題について、拠点病院を中核とし、各医療機関や保健福祉教育関係機関等と連携した支援体制の構築、専門家による相談体制の整備や自殺予防に資する相談窓口の周知等を推進することとしております。

また、こども家庭庁の設置に先駆けて、先般、子供の自殺防止対策については、厚労大臣、文科大臣と連名で子供、若者向けのメッセージを発出し、相談窓口等の周知や普及啓発など、各府省と連携した取組をスタートをさせました。

さらに、いじめ防止対策については、こども家庭庁が中心となって、これまでの延長線上を超えた対策として、学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくり、いじめ調査アドバイザーの活用による第三者性の確保などの取組もスタートさせました。

メンタルヘルスのケアの部分につきましても、子供政策の司令塔として、常に子供の視点に立ち、全ての子供が心身共に健やかに育つ社会の実現に向かって取り組んでいきたいと思っております。

三浦信祐君
私は、日本が立ち遅れてきたメンタルヘルスケアができる社会、これをつくりたいという思いで、一心で、心のサポーター制度、これを、厚労省の皆さんや専門家の皆さん、この議論を重ねて創設にこぎ着けてまいりました。現在、モデル事業が進捗し、講習自体が大変人気があって予約が取れないという状況もあると伺っております。令和五年度当初予算にもこのモデル事業が継続できる予算も計上されて、現場で活用されていきます。現在の対象は大人世代で、この取組を通してメンタルヘルスケアが当たり前の社会をつくって、将来、子供にも活用できることが十分想定されます。

心のサポーター制度を確実に推進し、来年から計画どおり本事業に昇格をさせて十年で百万人養成できるように、目標を達成するように共に取り組んでいきたいと思います。是非進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(辺見聡君)
お答え申し上げます。

メンタルヘルスやうつ病などの精神疾患への正しい知識と理解を持ち、メンタルヘルスの問題を抱える家族や同僚等に対する傾聴を中心とした支援者を養成するという観点から、令和三年度から厚生労働省において心のサポーター養成事業を実施しているところでございます。今年度は、モデル事業として、指導者の養成や、受講者や参加自治体の意見を踏まえた研修プログラムの改良等に取り組むこととしております。

この事業につきましては、令和六年度以降、自治体が実施する主体となり、国は自治体を、実施主体を支援するという仕組みを想定をしているところでございますが、心のサポーターの養成数を着実に増加させることで目標が達成できるように引き続き必要な準備を進めてまいりたいと考えております。

結婚支援について

三浦信祐君
是非進めていきたいと思います。

最後に、結婚支援について簡単に質問させていただきたいと思います。

全国の各地から、全国各地で若い世代から出会いの場をつくってほしいとの声が寄せられます。マッチングアプリなどの手段は増えているものの、機会提供を若い世代が求めているというのも、これへの対応は欠かすことができません。

富士市では、ふじのくに出会いサポートセンターを令和四年一月に開設して以降、登録者も二千人を超えるなど、そして、登録者の手続も厳格で、行政が行っているからといって信頼が集まって数が集まっていると伺いました。

晩婚化、そして未婚化への対策は、あらゆる手段、機会提供に全力を尽くすことが必須であり、官民連携で大胆に取組を進めていただきたいと思います。是非これらについて強力に推進をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

委員長(古賀友一郎君)
時間が来ておりますので、簡潔に御答弁願います。

政府参考人(小宮義之君)
お答えいたします。

こども家庭庁におきましては、地域少子化対策重点交付金により自治体の結婚支援の取組を推進しております。本交付金につきましては、令和四年度第二次補正予算におきまして前年度比三倍増の九十億円を計上し、令和五年度当初予算でも前年増の十億円を計上したほか、出会いの機会の創出等に関するメニューについて前年度より補助率を引き上げているところでございます。

また、委員御指摘がございました効果を上げているAIマッチングでございますけれども、自治体が運営する結婚支援センターにおきましては、官民連携と申しますか、民間事業者に委託をしてシステム導入を行っている例がほとんどであると承知をしております。

こども家庭庁といたしましては、結婚は個人の自由な意思決定に基づくものであることは十分踏まえながら、今後とも、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるような環境整備についてしっかり取り組んでまいります。

委員長(古賀友一郎君)
まとめてください。

三浦信祐君
奨学金の件はまた別の機会にさせていただきます。

ありがとうございました。