第211回国会 参議院 内閣委員会 第4号 令和5年3月17日
経済安全保障について
三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。今回も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
経済安全保障について伺います。
経済安全保障推進法成立以降、特定重要物資の決定を開始しておりますが、次の一手をどう考えておられるのでしょうか。現状では、国内外の物流が動いている状況での設定であり、これらが失う、あるいは活用ができない状況下での物資確保への準備が必須でありますが、現状どのようになっているのでしょうか。特に、産業の基盤となっている物質、装置、機材への対処について整えるべきであります。加えて、日本におけるサプライチェーンチェックはどのような体制でスピード感を持っていくのか、併せて伺います。
政府参考人(品川高浩君)
お答えいたします。
経済安全保障推進法に基づく重要物資のサプライチェーン強靱化につきましては、昨年末に、半導体や蓄電池、肥料、抗菌薬等、十一の物資を政令で特定重要物資に指定いたしますとともに、令和四年度第二次補正予算におきまして所要の経費が措置されたところでございます。
特定重要物資を所管する各省におかれましては、指定に先立ちサプライチェーン調査を実施し、サプライチェーンが抱える課題について把握した上で、特定重要物資ごとに安定供給確保のための取組方針を策定いたしまして、物資の特性を踏まえて、安定供給確保のために必要な施策について取りまとめたところでございます。現在は、予算措置に基づく基金の造成など、民間事業者の取組に対する支援を開始するための手続を進めているところでございます。
これらの取組によりまして、原材料等を海外に依存しております特定重要物資につきましては、原材料等の備蓄やリスクのある原材料等を使用しない生産方法の開発などを通じて安定供給確保を図ることとしておりまして、内閣府といたしましても、各省と連携してできる限り早期に支援を行うことで、特定重要物資の安定供給確保を実現したいと考えてございます。
また、お尋ねのサプライチェーンのチェックにつきましては、重要な物資のサプライチェーンにおけるリスクの把握、評価につきまして不断に実施する必要があると認識しておりまして、経済安全保障推進法に基づき定めた特定重要物資の安定供給確保のための基本指針におきましてもその旨明記をさせていただいております。
具体的には、先月、高市大臣の下で関係省庁を集めまして開催しました経済安全保障重点課題検討会議におきまして、重要な物資に関してリスクの点検、これを実施していくことを確認したところでございます。
これらの取組を通じて重要な物資のサプライチェーンリスクを不断に把握し、どのような対策を取るべきか、各省と連携して検討してまいりたいと考えております。
三浦信祐君
まさにリスクヘッジということを軸にしてこれ議論をしていただきたいと思いますし、また、リダンダンシー、これを確保するということが今回の法整備の中のど真ん中にあることと思いますので、しっかり取組を、そして明示的にやっていただきたいと思います。
国家安全保障戦略として総合的防衛力はすばらしい考え方でありまして、推進すべきであります。一方で、どのようなプロセスで研究開発をマッチングさせていくのか、またどのような考え方で進めるのか明確化すべきであります。
例えば、宇宙開発の視点で見れば、文科省的範疇では、大型ロケットで多機能な大型衛星を打ち上げることを目的とするのに対し、安全保障的視点では、衛星コンステレーションを形成するために、軽量小型衛星を多数打ち上げるために小型、安価、汎用的ロケットを求めています。
すなわち、世界との競争力強化の視点でも、目的と目標が違いマッチングの困難性がある中でどう整理していくのか、明確化すべきであります。これらを整理せず予算を一体化した場合、効果を生み出しません。いかがでしょうか。
政府参考人(加野幸司君)
お答えを申し上げます。
最先端の科学技術が加速度的に進展しております中、民生用とそれから安全保障用の技術の区別というのは極めて困難となっておりまして、民生用途でのイノベーション、そして防衛用途でのイノベーションというのが相互に影響し合う、そうした中で発展していくという形になっているところでございます。また、政府、民間のそれぞれで活発に最先端の研究開発が進められている中で、その成果を防衛目的にも活用するということは非常に重要であるというふうに認識をしてございます。
そうした認識を踏まえまして、国家安全保障戦略におきましては、ただいま委員御指摘のとおり、防衛省の研究開発ニーズと関係省庁が有する技術シーズ、これを合致させることによって、総合的な防衛体制の強化に資する科学技術の研究開発、これを推進することができますよう、政府横断的な仕組みを創設するということにしているところでございます。
その具体的な進め方等でございますけれども、現在、政府の中におきまして関係省庁共々鋭意検討しているという段階でございまして、まだ予断を持って申し上げられるという段階ではございません。ございませんが、その基本的な方向性といたしましては、防衛省が科学技術の諸分野についてニーズを提示をして、これを受けて関係省庁がシーズを提示をして、国全体の大局的な視点に立ってマッチングを進めていく、それによって政府としての重要技術課題が設定されることになる、そういうものでございます。
いずれにいたしましても、政府といたしましては、総合的な防衛体制の強化に向けまして、民間のイノベーションを推進し、その成果を安全保障分野において積極的に活用するために、関係省庁で連携をして政府一体となって取り組んでまいりたい、そのように考えているところでございます。
警察予算について
三浦信祐君
デュアルユースを、またマルチユースを目利きする人材を育てるためには、まさにニーズとシーズのマッチングが極めて重要だと思います。人材を育てるということになりますと、合わせれば生まれるものではありませんので、それぞれの分野にも実質的に予算をきちっと分配ができる、充当すべきだということも強調しておきたいと思いますので、不断の取組をお願いしたいと思います。
警察予算、体制について質問いたします。
まず、経済安全保障を確かなものにするために、そして推進法の着実な実効性を確保するためには、重要技術、機微技術の情報漏えい、流出防止対策が必要です。情報流出の影響は、単に該当する会社のみならず、我が国の優位性、自律性を揺るがすことにもつながります。ましてや、軍事転用された際には世界の平和を脅かすことにまで影響が及ぶ懸念もあります。
そのために、外事警察等の取組が欠かせません。経済安保へ対応できる外事の人員確保と体制整備を急ぐべきであります。特に、全国警察での具体的行動が必須です。現状と今後について、いかがでしょうか。
政府参考人(早川智之君)
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、経済安全保障の推進上、先端技術等の流出防止対策は極めて重要であると認識しております。
警察におきましては、産業スパイ事案や機微技術を使った製品の不正輸出事案、あるいはサイバー攻撃事案等の実態解明と取締りを推進しているほか、外国からの働きかけの手口やそれに対する有効な対策について企業等に情報提供するアウトリーチ活動を推進し、企業等が自主的に対策を強化するための支援を行っているところであります。
また、体制面につきましても、全国警察においてアウトリーチ活動等を強化するため体制の充実を図っており、警察庁におきましても、昨年四月、経済安全保障室を新設し、各種情報発信を行うとともに、都道府県警察に対する指導を強化しているところであります。
現在御審議いただいております令和五年度予算案におきましても、警察庁における経済安全保障その他の国の安全を確保するための体制の強化を盛り込んでいるところであり、今後とも先端技術の流出防止対策等の経済安全保障に係る取組を進めてまいりたいと考えております。
三浦信祐君
現場の中小企業の技術というのは極めて重要であります。アウトリーチを全国警察ができるかどうか、ましてや受け手の方もそれが当たり前だという社会をつくるためには、現場の警察官の努力が大変重要であります。ですので、よくよくアプローチをするに当たってのサポートは必須でありますので、しっかりやっていただきたいと思います。
次に、警察施設の老朽化について伺います。
警察活動拠点施設、例えば警察署について、老朽化の度合いはどのようになっているのでしょうか。全国の警察署の築年数ごとの割合、今後改修が必要な施設、耐震改修残存数、耐用年数等はどう整理されているのでしょうか。
近年、日本を取り巻く安全保障環境は極めて厳しい中、安保体制強化へ防衛費を増やし、継戦能力、そして持続可能性、抗堪性向上と任務環境改善への施設の老朽化対策を進めるために予算を充当していくことになっております。
一方で、警察の役割として、国民保護、また災害対策、そして平素からの平穏を維持するための役割があり、その拠点が警察活動の拠点施設であります。防衛費のみならず、予算も確保して、警察署の新築、耐震改修、老朽化対策等、施設改善への対応をしていただきたいと思います。是非、今後取り組んでいただけませんでしょうか。
政府参考人(谷滋行君)
お答えをいたします。
警察施設のうち警察署の老朽化の状況につきましては、例えば建築後五十年を経過した警察署について申し上げますと、全国千百四十九署の約一五%に当たる百七十一署となっております。また、警察署の耐震性につきましては、全体の約九八%に当たる千百二十四署が建て替えや改修により耐震化済みとなってございます。
警察庁といたしましては、各都道府県警察が警察署の建て替えや新設、耐震改修を行う場合には、警察法施行令第三条第二項の規定に基づき所要額の十分の五の補助を行い、警察署の機能維持が図れるよう努めてきたところでございます。
引き続き、各都道府県警察と協力の上、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
三浦信祐君
大臣、今の御答弁も当然御理解をいただいていると思いますけれども、やっぱり全て重要なところであります。
一方で、都道府県の財政の余力によって大分影響を受けるということ、国で半分補助しているという状況であります。財政基盤がそれぞれ異なる中で、多くの場合、脆弱と言っても過言ではない状況ではありますが、警察拠点の施設整備は待ったなしであります。五十年を超えているものもありますし、そして、今後また年数がたてば老朽化が進むというところもあります。国として是非あらゆるサポートをしていただきたいと思います。
谷大臣、どのように取り組んでいただけますでしょうか。
国務大臣(谷公一君)
委員御指摘のとおり、警察署は、地域社会に根差した警察の第一線の活動拠点として、各種治安対策、災害対策のために欠くことのできない役割を果たす施設であります。先ほど審議官の答弁でもあったとおり、全国の一部の警察署では老朽化が進んでおります。このことが地域住民の安全と安心を守る警察活動に支障を及ぼすようなことはあってはならないと考えております。私も、二十八年前、阪神・淡路大震災を経験しましたが、一つの警察署は潰れました。そういうことが二度とあってはならないと思っております。
都道府県警察が警察署の建て替えなどを進めていくに当たり、これを国としてしっかりと支援することができるよう、今後も必要な予算が確保されるよう警察庁をよく指導してまいりたいと思います。
三浦信祐君
大臣、ありがとうございました。
我々も、都道府県議会できちっと予算確保できるように、ネットワークとしてしっかりと押し上げていきたいというふうに思います。
谷大臣はこれで質問終わりですので、お取り計らいいただければと思います。
委員長(古賀友一郎君)
谷国家公安委員長におかれては、御退席いただいて結構です。
AIホスピタル実用化への取り組みについて
三浦信祐君
AIホスピタルについて質問させていただきます。
AIホスピタルとは、医療の質の確保、医療費の抑制、国際競争力の向上、医療現場の負担軽減等へ、AI、IoT、ビッグデータを用いてAIホスピタルシステムを構築して、医療現場での技術、サービスの開発、実装を目指したものであります。
経済財政運営と改革の基本方針二〇二二について、いわゆる骨太の方針、この第四章、中長期の経済財政運営、二の持続可能な社会保障制度の構築の中に、「医療DXの推進を図るため、オンライン診療の活用を促進するとともに、AIホスピタルの推進及び実装に向け取り組む。」と明確な記述があります。議論の上に記載にこぎ着けてまいりました。
内閣府科学技術・イノベーション会議が司令塔として科学技術イノベーションのために創設した戦略的イノベーション創造プログラム、SIPがあります。この第二期にて進めてきたAIホスピタルによる高度診断・治療研究システムについて、研究の推進、実用化への後押しを重ねて推進してまいりました。
私の地元、神奈川県の横須賀市の横須賀共済病院において、人とAIが共生した、患者、スタッフに優しいAIホスピタルの実現を目指してSIPに参画されております。音声入力できる電子カルテの開発、入院前や手術前の説明にロボットやアバターを活用することで、患者さんの理解と医療従事者のタスク軽減が図られたとの実証もなされていると伺いました。ベンダーの皆さんと更に実現すべき夢を互いに持って課題解決に全力を尽くしていることが印象的でありました。
SIP第二期は今年度が最終年度となります。このAIホスピタルの進捗状況、結果について、高市大臣に伺います。
国務大臣(高市早苗君)
三浦委員には、このAIホスピタルの件、大変関心を持っていろいろ御指導賜り、ありがとうございます。
内閣府では、このSIP第二期の課題の一つとして、今御紹介いただいたAIホスピタルによる高度診断・治療システムにつきまして、厚生労働省などと連携しながら取り組んでまいりました。
この課題における取組としましては、セキュリティーの高い医療情報、データベースの構築をすること、それから音声入力によるカルテの作成、今委員が御紹介をいただきました。このように、医療従事者の負担を軽減するAI機器の開発、また医療分野におけるAIの開発、利活用を促進するためのプラットフォームの構築などを進めております。
AIやIoTシステムの医療現場での実装に向けまして、参加医療機関において検証、また実証などの取組を進めているところでございます。
三浦信祐君
SIPは、社会実装型である中で、AIホスピタルの社会実装実現が国民的利益となります。加えて、AIホスピタルには、デファクトスタンダード化、産業がスタンダード化をするということが効果的であり、公的な規格、すなわちデジュールスタンダードとするよりも私はいいと考えております。
一方で、種々のベンダーがいろいろなプラットフォームを作成、各医療機関がそれぞれ導入してしまいますと、結果として連携が困難となって、あるいはまた複雑なプロセスが踏まれ、医療従事者の皆さん、ひいては患者さんの負荷増加の可能性も予測されます。
SIP終了後、AIホスピタルのデファクトスタンダード化を図り、現場での利用をした上での課題も解決し続けるアジャイル型として、社会で活用されるまでより実践的な支援、例えばSBIRを活用するなど取組すべきだと、これまで何度となく要望を重ねてまいりました。どのように御対応をいただきましたでしょうか。また、SIPと社会実装との間を取り持って支える財政的支援が必要だと重ねて求めてまいりましたけれども、高市大臣、どのように御対応いただいたか、結果を伺います。
国務大臣(高市早苗君)
AIホスピタルの社会実装に向けましては、AIを用いた画像診断などの新たな技術が医療現場でやはり広く利用されて定着するということのために、現場にとって使いやすいプラットフォームを構築、運営するということが重要です。
内閣府におきましては、このSIPにおける成果を社会実装につなげるため、CSTIの司令塔機能を生かしまして、厚生労働省における医療AIプラットフォームの構築、運営体制の確立に向けた取組を推進していく予算として、令和四年度第二次補正予算で七億円を措置しております。
また、医療機関と優れた技術を有するスタートアップ企業が連携して、医療現場のニーズに即した医療AIの開発実証に取り組むということも重要でございます。昨年十月二十八日に閣議決定されました総合経済対策におけるSBIRの抜本拡充を受けまして、令和四年度第二次補正予算においても必要な予算を措置しております。
これから、やはりこの医療分野を含め、スタートアップによる先端技術分野の技術開発成果の社会実装ということを大切に考えながら取り組んでまいります。
三浦信祐君
この予算、継続的であれば、企業の皆さんも、例えば現場でやっていた技術者が上司に説明しやすくなる、これが、ちゃんと政府がバックアップしているよということがこれからも大事だと思いますので、引き続き予算の執行と更なる支援をしていただきたいと思います。
AIホスピタルの社会実装過程におけるアジャイル型としてより機能化を図る過程にあって、医療情報の二次利用、また症例把握など、データ蓄積と利活用の部分でAIホスピタルの実効性と効果が発現されると私は考えております。その際に、法的な制約、規制等の障壁が生じた場合、即座に対応できる体制を整え、スピード感を持って課題解決が可能となるように支えていただきたいと思います。御対応いただけませんでしょうか。伊佐副大臣に伺います。
副大臣(伊佐進一君)
このAIホスピタルにおきまして、厚生労働省においても、この令和四年度第二次補正予算、今、高市大臣が言及していただきました、これBRIDGEというふうに申し上げますが、研究開発とソサエティー五・〇との橋渡しを行っていくプログラムでございます。この仕組みを通して厚労省が執行していくと、支援を行っていく予定でございます。具体的には、研究開発に対してきめ細やかに進捗管理を行っていくということでありますとか、あるいは開発実施主体に対して相談支援を行っていくと、こうして連携体制をしっかりと構築してまいりたいというふうに思っております。
また、厚労省においては、具体的などういう課題があるかということについて、保健医療分野AI開発加速コンソーシアム、有識者の集まりでございますが、ここで議論をさせていただきました。その中で、このプラットフォームの社会実装に当たっては、医療機関が安全にオンラインで利用できる仕組みが必要だという結論に至っております。それを受けまして、厚労省では、AIプラットフォームを医療機関が安心、安全に利用できる環境整備、また運用ルールの作成というものの検討を令和五年度から厚労科研で実施する予定でございます。
三浦信祐君
是非、厚労省、現場に実装する際に必ずいろんな課題が出ますので、スピード感持って対応していただきたいと思います。
また、これ、BRIDGEって極めていい制度だと思います。PRISMから昇華をして現場により実装化できる、その本当の上での橋渡しだと思いますので、これ大きく育てていただけるように、政府挙げてつくっていただいたことを育てていただきたいと思います。
AIホスピタルは、チームAIホスピタルとして、医療機関、企業、日本医師会が強く連携して推進してまいりました。この連携体制を維持していくことが重要であります。チームの継続性を支えていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
今後、より研究、技術開発が進んだAIホスピタルの実現は、医療の均てん化、島嶼部でも都会でも同じ質の診療、また診察ができる社会が期待できます。AIホスピタルの社会実装に際して、民間事業者、日本医師会、医療機関などの取組を強力に支援し、財政、制度両面の支援を継続的に実施し、モデルケースまで昇格をすべきだと私は思います。是非取り組んでいただけませんでしょうか。
政府参考人(奈須野太君)
お答え申し上げます。
AIホスピタルでは、医療機関、企業、医師会の連携体制の構築に取り組んできたところであって、今後とも、これを継続する、維持することは非常に重要であるというふうに認識しております。
令和三年四月には、医療AIの普及、発展に向けた課題解決を目指して、複数の企業などによって、医療AIプラットフォーム技術研究組合、HAIPが設立されています。現在、HAIPには十四の法人が参加して、医療AIプラットフォームの構築に向けて、医療AIサービスを多くの医療機関に廉価かつ公平に提供するための基盤や新たな技術開発のためにデータを提供するための技術開発基盤など、基盤技術の開発を行っています。
また、日本医師会に設立されたAIホスピタル推進センターというのがございます。こちらでは、医療AIサービスを医師、医療機関が安心して利用できるようなガバナンスの仕組みの構築に取り組んでいるというところでございます。両者の緊密な連携によって医療AIサービスの開発普及のエコシステムが構築されて、AIホスピタルの実装化が進むことが期待されます。
内閣府としても、AIホスピタルの社会実装に向けて、こうした取組の状況を注視しながら、厚生労働省など関係省庁と連携して必要な対応を行ってまいります。
三浦信祐君
是非、AIホスピタルが社会実装できるように全力を挙げていきたいと思います。また、行政の皆さんにも頑張っていただきたいと思います。
高市大臣はこれで質問終わりですので、お取り計らいいただければと思います。
委員長(古賀友一郎君)
高市大臣におかれては、御退席いただいて結構です。
奨学金返還支援について
三浦信祐君
奨学金返還について伺います。
内閣官房の皆様が我々の要望も本当に受け止めていただいて推進をしていただいている地方公共団体の奨学金返還支援事業について、これまでの推移とともに、現状どのような状況にあるか、御説明いただきたいと思います。
政府参考人(西條正明君)
お答えいたします。
議員御指摘の奨学金返還支援の実施自治体数につきましては、平成二十七年度の五県九十七市町村から、令和四年六月時点には三十六都府県六百十五市区町村まで広がっておりまして、これまで支援を受けた若者の数は約三万人に上っております。
政府といたしましては、返還支援を行う自治体に対して、平成二十七年度から特別交付税措置を講じているのに加えまして、近年は要件の緩和や制度改善によりその活用を後押ししているところでございます。
三浦信祐君
この返還支援制度、地方創生にも活用できますし、多くの皆さんにとってみれば、若い時代、給料が上がらないときに、企業も含めて自治体がサポートをするとなると実質的賃上げにもなると、そういう制度であります。そういう視点で、より早く返還支援の情報が学生さんに入ることが将来選択肢の増加につながってまいります。中高大の進学、就職担当者へ直接伝えて、的確に情報提供体制を整えていただきたいと思います。
これまでは現役学生への情報提供がメインでありましたけれども、自治体等の奨学金返還支援の対象者は実は既卒者である場合が相当数あります。今後、既卒者等への確実な情報提供、例えばJASSOから、奨学金返還等の通知はがき等に奨学金返還支援制度等の記述やQRコードなどを追加していただいて、是非目に触れるようにしていただきたいと思います。是非取り組んでいただけませんでしょうか。
政府参考人(西條正明君)
お答えいたします。
議員御指摘のとおり、地方公共団体や企業による奨学金返還支援の取組につきましては、学校担当者や学生等本人へ周知することは非常に重要だと考えてございます。このため、文部科学省では、教育委員会やPTA、各学校の進路指導、就職指導の先生方に対して、各種会議等において周知を図ってきたところでございます。
一方で、議員がもう一方御指摘いただきました既卒者のみを対象とした周知、これにつきましては、これまで十分に行われていなかった部分でございまして、今回の御提案を踏まえ、今後、具体的な方法等を検討の上、周知に取り組んでまいりたいと思います。
三浦信祐君
ありがとうございます。是非お願いしたいと思います。
一問飛ばさせていただきます。
先般、京都府の企業を訪問して、企業が奨学金返還支援を行っている取組についてお話を伺ってまいりました。会長さんが、社員から奨学金の返済が大変だと、その声に応えて、奨学金の返還額を企業が負担して、ここに京都府が補助するという制度になっておりました。
企業の奨学金返還支援について、支援分については収入とならない税制だったり、社会保険料の負担が増加しない、損金算入として会計処理がなされるなど、企業、そして対象の従業員にとって多数のメリットがあります。支援制度の導入には、企業への情報提供、特に中小企業の経営者、経営企画、人事担当者が知ることも必要であり、経産省を含めた商工会、商工会議所、中企庁などの皆さんが本当に強力な体制をしいて、主体となって進めていただきたいと思います。
中企庁が発行している中小企業施策利用ハンドブックなどに、奨学金返還制度、企業にとってのメリットなども含めて掲載をして、多くの企業へ情報が届くようにしていただきたいと思います。
これ、本当に総合的に取り組むことによって実質的な賃上げにも充当することになると思いますので、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
政府参考人(西條正明君)
お答えいたします。
議員御指摘の点、文部科学省といたしましては、代理返還制度につきまして、税制上のメリットがあるということ等を含めまして、これまでも中小企業庁のメールマガジン等を通じて企業等へ周知を図ってまいりました。この結果、本制度を利用する企業等は増加傾向にありますが、更なる普及促進に向けまして、御指摘の中小企業施策利用ガイドブックにおいても、来年度、二〇二三年度版になりますけれども、こちらの掲載をいただける方向で、今、中小企業庁と調整を進めているところでございます。
引き続き、関係省庁等とも連携いたしまして、企業による代理返還制度の普及に努めてまいります。
委員長(古賀友一郎君)
時間が参りましたので、おまとめください。
三浦信祐君
是非、奨学金返還支援制度、これをみんなで、社会で支えるように育てていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。