第211回国会 参議院 内閣委員会 第3号 令和5年3月9日
ラジオアイソトープの国産化について
三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。
質問をできる機会を頂戴できましたこと、理事の皆様、委員長に感謝を申し上げたいと思います。
初めに、ラジオアイソトープの国産化について質問させていただきます。
国民の皆様が生涯のうちに二人に一人ががんにかかると言われている現代にあって、治療の選択肢が増えることは安心につながります。がん対策に用いる放射線を活用したがん治療の一つである核医学治療が注目されています。医療用の放射性同位元素、ラジオアイソトープ、RIを用いた放射性医薬品、治療方法の研究開発が世界的に激化をしております。
実用化されている医療用RIの大半がほぼ海外からの輸入に頼っている現状を打破するために、また、経済安全保障の視点から、私と同僚の秋野公造参議院議員とともに、二〇二一年五月の参議院決算委員会で、核医学治療に使う医療用RIの国産化、そのために必要な高速研究炉「常陽」の運転再開を強く訴えました。
その結果、成長戦略フォローアップに、試験研究炉等を使用したラジオアイソトープの製造に取り組むと明記され、担当大臣の明確化もできました。そして、具体的な予算確保とともに、オールジャパン体制を組むように重ねて求め続け、二〇二一年十一月には、決算委員会での質疑を網羅した上で、内閣府原子力委員会に医療用等ラジオアイソトープ製造・利用専門部会を即座に発足していただき、これまで八回の議論、検討が行われてまいりました。
昨年三月の予算委員会では、医療用RIの製造、研究、活用を国家的政策戦略に明示、具体的な経済安全保障の一つとして総理が先頭に立って国産化、戦略化をとの問いに対し、国産RIの製造も進め、患者の元に届けることは、我が国の医療の充実のみならず、経済安全保障の観点からも大変重要、政府の定める、関係する戦略等に適切に位置付け、政府一体となって取り組むと明確な答弁がありました。
その上で、二〇二二年の五月、質疑からちょうど一年後、医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランが完成し、公表に至りました。新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ等に担当大臣を大幅に増強してオールジャパン体制を構築し、RI国産化実現へ大きく前進をしております。患者団体の方からも医療関係者からも、実用化への期待が更に増しております。確実な実行をより強く働きかけていきたいと思います。
そこで伺います。一昨年来取り組んできております医療用RIの国産化の取組状況、アクションプランの進展について、高市大臣に伺います。
国務大臣(高市早苗君)
今、三浦委員おっしゃっていただきましたとおり、私が所管する原子力委員会が昨年五月に医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランを決定しました。特に、モリブデン99、テクネチウム99m、アクチニウム225、アスタチン211を重要ラジオアイソトープとして位置付け、それぞれについて明確な目標を立てております。
そのうち、核医学検査に最も多く用いられているラジオアイソトープでありますモリブデン99、テクネチウム99mにつきましては、日本原子力研究開発機構の試験研究炉、JRR3等を活用しまして、二〇二七年度末に国内需要の約三割を製造し、国内へ供給することを目標として、同機構を中心に取組を進めていると承知をしております。
また、転移がんが寛解したことを示唆する報告があったことを契機に世界中で注目されているアクチニウム225につきましては、日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」におきまして、二〇二六年度までに製造実証を行うことを目標として取組を進めていると承知しております。
アスタチン211については、我が国における基礎研究の成果が世界をリードしております。関係大学を中心に実用化に向けた研究開発が着実に進展していると承知しております。
内閣府としましては、このアクションプランに基づく関係省庁や各ステークホルダーの取組を着実にフォローアップをしてまいります。
三浦信祐君
これは確実に進めていただくように、強くまたお願いをさせていただきたいと思います。
今、大臣からも触れていただきました医療用RIの製造について、特に最先端のがん治療で細胞殺傷能力の高いアルファ線を用いるアクチニウム225の製造に最も適しており、世界にはない日本の高速研究炉「常陽」の運転再開が必須であります。
これまでも、補正予算にも今審議中の当初予算にも必要な額が計上されておりますが、物価高騰の影響も想定される中、しっかりと予算等手当てしてスケジュールどおりに進捗できるよう対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
政府参考人(林孝浩君)
お答えいたします。
高速実験炉「常陽」については、令和六年度末の運転再開を目指して、原子力規制委員会の安全審査への対応が進められているところです。
運転再開に向けては、安全対策工事を進めるための費用が必要になるとともに、これまで以上の維持管理費が必要となることが見込まれております。
そのため、令和四年度補正予算において七十三億円を計上したほか、令和五年度当初予算案においても、前年比十億円増の三十六億円を計上しているところです。
文部科学省としては、次世代革新炉の開発のための照射試験や医療用ラジオアイソトープの製造実証を行う観点から「常陽」の運転再開は重要と考えており、物価等の状況を踏まえつつ、必要な予算額の確保に目指してまいります。
三浦信祐君
確実に取組を進めていただきたいと思います。
昨年五月、総理に対し、RI国産化へ、技術者の確保、「常陽」運転再開スケジュール死守をと訴えた結果、高速実験炉「常陽」の安定的運用がRI国産化に資する、安全審査への適切な対応を前提として早期運転再開へ取組を進めると明確な答弁がありました。
これまで、「常陽」について、原子力規制庁の皆様は、安全審査を確実、着実にかつスピード感を持って取り組んでいただきました。人事異動の時期でもあり、原子力規制庁も年度切り替わりの体制変更等も想定されます。しかし、変化にあっても、「常陽」について、再び関係各所にこれまでの経緯等について一から説明を求めるようなことなどによって議論、審査が遅れることがないようにしていただきたい。
御苦労をいただいている審査体制、スピード感をこれまでどおり維持していただくよう、原子力規制庁にお願いをしたい。いかがでしょうか。
政府参考人(小野祐二君)
お答えします。
日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」につきましては、現在、新規制基準適合性に係る設置変更許可申請がなされ、専属の審査チームを設置し、集中的に審査を進めているところでございます。
御質問の点につきましては、確認すべき各審査条項を複数の審査官が確認することにより、一部の審査官が異動しても対応が変わることがないようにしております。また、論点を整理し、事業者と共通の理解となるように取り組んでおり、審査に手戻りがないように努めております。
原子力規制委員会としては、引き続き審査を厳正に進めてまいります。
三浦信祐君
初めて質問させていただいたとき、原子力規制庁の長官以下、なかなか前向きな回答が出ない中、今、一番前向きな回答をいただきましたので、きちっとみんなで支えていきたいというふうに思います。
昨今のエネルギー価格高騰、安定供給の課題解消、地球温暖化対策、国際競争力等の観点から、グリーントランスフォーメーション、GXの実行へ、原子炉についての議論がなされていると承知をしております。しかし、先んじて進めてきた「常陽」の運転再開、関連施設整備等の実用化を主軸として予算化を持続的に行うこと、がん対策等へ活用して、国民の命を守る原子力として、これをぶれずに推進をしていただきたいと思います。
高市大臣、政府として明確に御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(高市早苗君)
今年二月に閣議決定されましたGX実現に向けた基本方針においては、安全確保を大前提として、エネルギーとしての原子力の利用について記載されております。
同じく二月に、私が所管します原子力委員会で決定された原子力利用に関する基本的考え方におきましては、原子力のエネルギーとしての利用のみならず、医療、工業、農業など、多くの分野における放射線、ラジオアイソトープの利用を含めて原子力利用の基本理念を整理しております。基本的考え方では、医療用等ラジオアイソトープ製造・利用促進アクションプランの目標の実現に向けて取り組むこととされております。
内閣府としましても、関係省庁と連携しながら、医療、工業、農業等の分野における原子力利用にも注力をしてまいります。
三浦信祐君
装置自体も老朽化が進み、人材がだんだんだんだん枯渇をしていく、技術の伝承がぎりぎり何とかもつというところ、その最も重要なところに、今、「常陽」とラジオアイソトープがあります。これを先に進めずして、ほかの議論の土台ができないと私は確信しておりますので、今大臣おっしゃっていただいたように、是非調整進めていただいて、前にしていただきたいと思います。
先ほど述べましたアルファ線治療に供するアクチニウム225を製造するために、照射原料としてのラジウム226の確保が必須であります。高速実験炉「常陽」での二〇二六年度製造実証を進めるために準備を加速する必要がある中、ラジウム226の現時点での国内保有量を含め、どれぐらいが製造原料として利用可能なのでしょうか。
ラジウム226は、アクチニウムの照射原料としての活用を見越して既に各国間で確保競争となっております。近年では、量、価格両面において調達が非常に困難になっていると聞いております。照射原料の商業規模での安定的確保には、ラジウム226を重要鉱物として国が責任を持って確保し、産学利用に供することが必要であります。確実に行っていただきたいと思います。
国内外におけるラジウム226確保に向けて、国としての具体的取組、今後の計画について文科省に伺います。
政府参考人(林孝浩君)
お答えいたします。
アクチニウム225の原料となるラジウム226の確保につきましては、昨年、原子力委員会において策定されました医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランにおいても重要な課題と指摘されており、国際的な供給ネットワークとの接続も含め、将来的な需要の拡大に対応するために、原子力機構を中心として、更なる確保方策を検討するとされております。
原子力機構は、「常陽」を運転再開させた後にアクチニウム225の製造実証を開始し、順次規模を拡大する計画です。原料となるラジウム226については、百ミリキュリー規模での製造実証を行うことが可能な量を機構内で確保できているとの報告を受けております。
一方で、将来的な国内需要への対応や更なる研究開発の促進を行うためには、更に追加のラジウム226が必要と認識しております。そのため、アクションプランにも記載のとおり、国際的な供給ネットワークとの接続も含めて、原子力機構を中心として更なる確保策について検討を進めているところでございます。
三浦信祐君
まさに、これから胃がんの数が減ってきている中で前立腺がんが増えていくと、そういう中にあってこのアルファ線治療というのは極めて期待をされております。加えて、アルファ線ですから遮蔽する特別な病院が要らない。そうなると、国内の均てん化が図られるのみならず、それが成長戦略上で世界にも輸出していくことができるようなことになります。まさに、これこそ経済安全保障の具体例そのものであります。
経済安全保障担当大臣として先頭に立ってラジウム226確保に取り組んでいただきたいと思います。高市大臣、取組の決意を伺います。
国務大臣(高市早苗君)
「常陽」などにおけるアクチニウム225製造の原料となりますラジウム226の確保は大変重要な課題だと認識をしております。
アクチニウム225の製造実証ですとか、また薬事申請を目指した臨床試験などの取組に支障を来すことがないよう、ラジウム226の確保方策を講じるべく、内閣府としても関係省庁と連携して対応をしてまいります。
三浦信祐君
是非、その製薬として形になったものを皆さん待っておりますので、ここは国家挙げて汗をかいていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
医療用RI等の安定供給体制整備について伺います。
RI医薬品等について、研究開発を促進、拡充するためには、先ほどありましたように、RIの安定供給が必須であります。JAEAは、前身である原研のRI頒布事業を中止するとした平成七年の閣議決定、内容としては輸入できるものは輸入するといった趣旨でありますけれども、これにより原子力機構法からRI頒布事業が削除されており、現状は原子力機構が直接頒布をできない状態であります。
民間委託した経緯もあると承知をしておりますが、経済安全保障の観点で、国立研究開発法人が技術を維持し、RIの頒布事業を復活すべきだと考えますが、取り組んでいただけませんでしょうか。
政府参考人(林孝浩君)
お答え申し上げます。
ただいま先生から御指摘のあった放射性同位元素製造頒布事業につきましては、平成七年の閣議決定において、日本原子力研究開発機構の前身である日本原子力研究所に対して、当該事業の合理化により研究開発事業の効率的実施に努めることが示されました。
この閣議決定を受け、当該事業の民間移転を含む合理化を推進し、旧研究所において当該事業を実施しなくなったことから、平成十七年に発足した日本原子力研究開発機構の所掌事務としては明記しておらず、現在は日本アイソトープ協会等を通じた頒布などにより現場に供給をされているものと承知をしております。
一方で、医療用RIの国産化の取組は経済安全保障の観点からも重要であり、原子力機構においても、企業からの受託を受け、試験研究炉JRR3を利用したRIの照射製造等の実施により、製造の利用推進に向けた取組を進めているところです。
医療用等RIの製造、利用推進については、昨年五月に原子力委員会において取りまとめられたアクションプランにおいて、関係省庁、国立研究開発法人、大学、学協会、関係公益法人、企業等の連携が必要不可欠であることが示されております。
文科省としても、まずは内閣府と協力し、このアクションプランに沿って、RI製造、利用について、関係機関がそれぞれの役割を果たしつつ、連携して現場での利用まで切れ目なく推進できるように努めてまいりたいと思います。
三浦信祐君
先手を打つという意味で御提案をさせていただきましたので、この後から追い付いていこうとしたときに足りなかったということが、今後、これまでの科学技術計画の中によくありましたので、これも同時に検討していただきたいと思いますので、求めておきたいと思います。
アクションプランに掲げましたアクチニウム225について、将来的な放射性医薬品の実用化及び流通に向け、「常陽」において二〇二六年度までに製造実証を行うとともに、創薬の研究開発で必要となる一定量の確保、供給に向けた体制構築を図るについて、RI製造可能、特にアクチニウム225に、製造に適した原子炉の新規設置等、加速器を含めつつ、安定供給体制整備はどのような計画を立てているのでしょうか。具体的に進捗を図る上で明確化が必要であります。予見可能性も含めて考える時期でありますので、文科省と内閣府にそれぞれ伺います。
政府参考人(林孝浩君)
お答え申し上げます。
アクチニウム225の製造については、まずは「常陽」の運転再開をし、製造実証を行う計画としておりますけれども、安定供給のためには、加速器も含めて、「常陽」以外の製造方法を組み合わせて対応する必要があると考えております。
委員御指摘の原子炉の新規設置については、次世代革新炉開発に関する文部科学省の有識者会議で本年一月にまとめられた論点整理においては、医療用RIの製造、安定供給等にも対応する新たな高速中性子照射炉の必要性も指摘されており、現在、当該有識者会議で引き続き議論を行い、検討を進められているところでございます。
また、加速器による製造については、一部の国立研究開発法人や大学等において、既に製造した実績を有しております。今後、産官学連携により、加速器を用いた本格製造を目指し、必要な取組を進めているところでございます。
文部科学省としては、新たな施設の検討を含めて、アクチニウム225を製造、供給するための技術開発を強化し、関係省庁とも連携して安定供給体制の構築に貢献をしていきたいと思っております。
政府参考人(奈須野太君)
アクチニウム225につきましては、今文部科学省から御説明あったとおり、高速実験炉「常陽」を用いた製造に向けた研究開発が進捗しているものと承知しております。
内閣府としては、アクチニウム225の安定供給体制も含めて、原子力委員会においてアクションプランに基づく関係省庁や各ステークホルダーの取組を着実にフォローアップすることが役割ということでございまして、これを恒常的に進捗を管理、促進するとともに、必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
三浦信祐君
まさに今までそれがなかったので、このアクションプランの意味というのは大変重要だと思いますし、内閣府がよく管理をするということ、これ是非やっていただきたいと思います。
アクションプランでは、国産RIによる核医学治療の患者への提供が掲げられ、その実現に向けた具体的取組として、RIを用いた診断、治療の研究開発に対する支援等を推進することが記載をされております。
アルファ線標的アクチニウム製剤の創薬化に向けて、研究開発環境、体制の整備を行いつつ、研究開発を更に進めるべきだと考えますが、取り組んでいただけませんでしょうか。
政府参考人(木村直人君)
お答え申し上げます。
アクチニウム225等のアルファ線標的製剤の創薬化に向けては、量子科学技術研究開発機構、QSTや、理化学研究所等において、それぞれの強みを生かした製造から非臨床までの研究開発を行うとともに、標的アイソトープ治療施設の不足解消に向けて、QSTにおいて、移動可能で安価なトレーラーハウス型治療施設の設計、製作を行うといった取組を進めているところでございます。
また、それらの前提となる様々なアルファ線核種供給につきましては、日本アイソトープ協会による海外からの輸入に加え、加速器を保有する国立研究開発法人あるいは大学から短寿命プラットフォームなどを通じて提供を行っているところでございます。
さらに、次世代がん医療加速化研究事業におきまして新たに戦略的研究枠を設定するなど、アルファ線核種を用いた新規がん治療、診断法の研究開発の充実化を図っております。
文部科学省といたしましては、研究環境、開発体制の整備を含めて、臨床試験開始に向けたこれらの取組を加速してまいりたいと考えております。
三浦信祐君
第四期がん対策推進基本計画等が策定される時期に当たりまして、医療用RIアクションプランを踏まえ、がん対策としても核医学治療の研究開発を推進することが重要であります。特に、最先端のアルファ線の活用は待ったなしです。厚労省としても積極的に取り組むべきであります。
今後、医療用RIの社会実装へ、そしてがん治療の均てん化へ、世界との競争に打ち勝つか否かは、スピードが求められる中で、創薬化へのプロセス等にも関与し、共に推進する側に厚労省になっていただきたいと思います。単に規制官庁だという位置付けでこれを取り組んでいただくようなことはあってはならないと思います。いかがでございましょうか。
政府参考人(鳥井陽一君)
アルファ線も含めました核医学治療など、新たながん治療法について研究開発を推進、これは非常に重要であると認識をしております。
このため、日本医療研究開発機構の革新的がん医療実用化研究事業において、核医学治療に関連する研究の支援を行っております。令和五年度におきましては、新規課題として、放射線治療における新規医療技術の開発、応用に関する実用化研究を公募しております。
さらに、議員御指摘の本年度末に取りまとめられる予定の第四期がん対策推進基本計画におきまして、関係学会等と連携し、核医学治療等の高度な放射線療法の安全な提供体制の在り方について検討すること、また、医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランを踏まえ、関係省庁と協力しつつ、治療法の多様化に向けた研究等をより一層推進することを盛り込むことといたしております。
厚生労働省といたしましては、引き続き、核医学治療を含め、新たな治療法の実用化に向けた研究開発を支援してまいります。
経済安全保障
三浦信祐君
がん対策も、これは国民の皆さんが待ち望んでおられることでありますので、しっかりと推進をしていきたいと思います。
次に、経済安全保障について高市大臣に伺います。
経済安全保障推進法が成立をし、実効性ある経済安全保障の取組、科学技術の発展と保護を推進するために欠かすことができないのがシンクタンク機能です。第六期科学技術・イノベーション基本計画においてシンクタンクを令和五年度めどに本格的立ち上げを目指してきた中で、シンクタンクの構築、実動を急ぐべきであります。早急に対応していただきたいと思います。
特に、デュアルユース、マルチユースが進む世界情勢を鑑み、シンクタンクには、単に理系人材であればよいのではなく、安全保障の知見を有する人材を登用すべきであります。これもう世界の当たり前のことであります。加えて、デュアルユースの目利き人材の育成は必須であり、どのように取り組むのか。特に、最前線にいる若手の理系人材を活用できるような体制を急ぐべきだと私は考えます。
高市大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(高市早苗君)
シンクタンク機能の構築については、三浦委員が御指摘のとおり、喫緊の課題でございます。
内閣府において今取組を進めておりまして、令和四年度末を目途にシンクタンクの基本設計を取りまとめ、令和五年度から本格的な設立準備に着手をいたします。その設立準備と並行して、内閣府において委託事業も活用して、シンクタンクのコア機能を果たすべく必要な人材育成や調査研究を行っていきたいと考えております。
この人材登用、育成及び活用につきましては、我が国では、御指摘のようなデュアルユースのこの目利き人材も含め、シンクタンク機能を支える人材が質、量共に不足している状況でございます。このため、シンクタンク事業の実施を通じて人材の育成を図っていくことが不可欠です。
具体的には、即戦力となる人材を国内外から確保するとともに、その指導の下で若手人材にも積極的に参画していただくということによって、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで人材を育成してまいります。
三浦信祐君
シンクタンク機能、とにもかくにも早くつくるということが大事ですので、小さく産んで大きく育てるというよりも、きちっと存在をするということから始めることが大事だと思いますので、よろしくお願いします。
シンクタンク機能は最先端技術にばかり注目すべきではないと私は強く実は感じております。どうしても世界との競争を意識し、先端技術掌握と確保に力が注がれるのは当然理解できます。しかし、複線化は必要であります。基盤となる技術があってこそ最新技術の導入が可能となる場合が多数です。
複線化を図り、既存技術の確保、自律的技術の整理、技術の情報収集機能、これが欠かせません。是非可及的速やかに構築すべきと考えますが、高市大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。
国務大臣(高市早苗君)
シンクタンク機能の強化を通じまして、我が国の経済構造の自律性の向上、技術の優位性、ひいては不可欠性の確保も念頭に、我が国の勝ち筋となる技術を守り育てることが必要でございます。
この際、シンクタンク機能におきましては、我が国の課題を調査分析し、技術により解決する方策を検討することが求められております。そのためには、先端技術のみならず、委員おっしゃいましたとおり、既存技術も対象に含めるということが必須です。例えば、ウクライナにおきましては、民生分野で既に開発されていたドローン技術が戦場で使われるなど、この民生技術が軍事転用された例もあると承知しております。
将来的には、我が国が有する技術シーズを現場が抱える課題から抽出されるニーズと結び付けることで我が国としての戦略的自律性の確保につながる政策提言が実現できるように、シンクタンク機能が果たす情報収集や解析・分析機能の強化に向けた検討を着実に進めてまいります。
三浦信祐君
今大臣から明確にお答えいただきましたので、今度、具体論について内閣府の方に伺いたいと思います。
今、科学技術力強化こそが世界が目指していることであり、これによって覇権争いが激化をしている、国家の目標としている現代においては、世界は日本の基礎技術、従来技術に注目していると言っても過言ではありません。ですが、既存技術、既存技術を保つ人材を守る政策的取組がまだまだ足りていないと私は思います。
例えば、今般の半導体不足も、最新製品だけが不足しているのではなくて、従前の平易な汎用品不足であるということも一端としてあり得ます。そして、製造量や価格競争力低下に伴って、経営判断により製造自体が減少していること等の要因が挙げられます。既存技術は守られる、そういう取組をないがしろせずに、政策的に具体的に取組を進めていただきたいと思います。
私も参画をさせていただきました自公での安保三文書のワーキングチームの中でも、従来技術の活用、保持の取組を記載を求めて、明示もしていただきました。具体的にどう取り組んでいただくか、決意を述べていただきたいと思います。
政府参考人(高村泰夫君)
お答えいたします。
国家安全保障戦略において、経済安全保障政策の促進のため、技術保全の観点から必要な取組を行うこととされているところでございます。委員御指摘のとおり、我が国の技術的優位性を確保、維持する観点から、先端技術だけでなく既存技術の流出を防止することも重要な課題と認識しております。
政府としては、これまでも、技術流出の防止のため、外為法に基づく投資審査の強化や、いわゆるみなし輸出管理の強化、留学生、外国人研究者の受入れの審査強化のほか、研究インテグリティーの推進などに取り組んできたところでございます。
国際情勢の変化等に伴う安全保障上のリスクの変動は予測し難い側面もございますので、今後とも、不断に取組の見直し、検討を行いながら、関係省庁と連携して取組を推進してまいります。
委員長(古賀友一郎君)
時間が参りましたので、まとめてください。
三浦信祐君
はい。
具体的取組をしっかりやっていただきたいと思います。
あと二問できませんでしたけれども、次回に回させていただきたいと思います。
ありがとうございました。