第210回国会 参議院 内閣委員会 第4号 令和4年11月10日
給与法審査について
三浦信祐君
公明党の三浦信祐です。
今回の給与改定では、行政職俸給表(一)にて初任給及び若年層の俸給月額を引き上げることとしております。若年層への給与の手厚さは人材確保の面でも重要であると考えますが、中堅世代も重要であります。責任も重く、仕事量も増える中、やりがいにつながり、離職防止にも直結する給与での処遇改善が必要だと私は強く訴えたいと思います。
その上で、国家公務員行政職(一)の中途退職者数とその年代別状況について、近年の傾向はどのようになっているのでしょうか。
政府参考人(西浩明君)
お答え申し上げます。
人事院が毎年実施しております一般職の職員の任用状況に関する調査により、三十歳代の離職率について申し上げますと、行政職俸給表(一)の三十歳から三十四歳の離職率は、平成二十二年度は〇・九%でございましたが、令和二年度には一・六%となっております。また、三十五歳から三十九歳の離職率は、平成二十二年度は〇・六%でしたが、令和二年度には一・三%となっております。
このように、近年の三十歳代の離職率は上昇傾向にございます。また、二十歳代や四十歳代前半の離職率についても同様に上昇傾向が見られるという状況でございます。
三浦信祐君
今御答弁いただきましたけれども、行政職(一)の年齢別辞職率は、二十から三十五歳及び四十五歳から五十五歳までの退職者数は若干下がっておりますけれども、三十五から三十九歳では過去十年間で〇・六パーから今御答弁いただいた一・三と倍増していると。また、四十から四十四歳では〇・四パーから〇・七%へと約倍となっております。
今回の俸給表改定は三十代半ばまでとなっております。中堅世代の労働時間と給与の見合いについて、やはり三十代半ばまでではなくて、中堅世代への給与の厚みが労働の整合性につながると私は考えます。今後、中堅世代への給与と処遇改善への手当てについてどう考えるのか、希望が持てるように、意気込みも含めて、今後の対応について人事院総裁に御答弁願います。
政府特別補佐人(川本裕子君)
お答え申し上げます。
本年の勧告は、月例給とボーナスをいずれも引き上げるものであり、そのうちボーナスについては、世代にかかわらず、年間で〇・一〇月分引き上げることとしております。また、本年の勧告時報告の中において、能率的で活力ある公務組織を実現するため、社会と公務の変化に応じた給与制度のアップデートに取り組む方針について述べております。その取組の一つとして、中堅層を含むキャリアの各段階における職員の能力、実績や職責の給与への的確な反映を挙げております。
今後、委員御指摘の中堅世代につきましても、能力、実績に応じた処遇がより適切になされるよう取組を進めてまいりたいと思っております。
三浦信祐君
是非、ここ、非常に希望を持てることになりますので、取り組んでいただきたいと強くお願いをさせていただきたいと思います。
給与勧告に際して、民間給与の調査を実施して、較差是正を基本として勧告、改定がなされております。その際、調査対象が企業規模五十人以上としておりますが、この妥当性について、業種、業態とその能力に見合った比較なのか、どのような見解か伺いたいと思います。
また、国家公務員となった者が就職活動の際に民間企業から得た内定先の企業規模は、千人以上が六二・七%、百から九百九十九人の企業が三一・二%、そして五十から九十九人が四・二%、五十人未満で一・九%となっております。この調査結果と企業規模五十人以上としていることのギャップについてどう考えているのか、伺いたいと思います。
政府参考人(佐々木雅之君)
お答えいたします。
公務と民間の給与の比較におきましては、役職段階や勤務地域等の給与決定要素を同じくする同種同等の者同士を比較することとしております。この給与比較を行うため、人事院は、全ての業種を対象として、毎年、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の事業所を対象とします職種別民間給与実態調査を実施しております。
これは、企業規模五十人以上の多くの民間企業は、公務と同様、部長、課長、係長等の役職段階を有しており、公務と同種同等の者同士による給与比較が可能であることに加え、現行の調査対象となる事業所数であれば精緻な調査が可能であり、調査の精確性が維持できるということ等によるものでございます。
この公務と民間の給与比較に関しましては、現行より小さい規模の企業も含めるべきとの議論がある一方、国の公務の規模等の観点から、より規模が大きい企業のみとすべきとの議論もございます。また、委員御指摘のとおり、民間企業等との人材確保における競合がある中で、公務に有為な人材を計画的かつ安定的に確保、維持する必要があり、そのような観点も踏まえた適切な、適正な給与水準の確保の重要性についての指摘もございます。
今後とも、各方面の意見を幅広く聞きながら、必要に応じて見直しを行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。
三浦信祐君
是非、いろんな幅広い意見取っていただいたら分かるんですけれども、人材確保ということなくしてこの国、運営ができませんから、強くこれは要望しておきたいと思います。能力をきちっと評価できているかどうかというのはよく若い世代見ていますから、いろんな声も大事ですけれども、人材確保、それを中心に頑張っていただきたいと思います。
公務員は、能力、経験等の向上を重ねることもキャリアプランとしているゆえ、異動や引っ越しが極めて多くなっております。現状、物価高、ドライバー不足等によって引っ越し費用負担が増加していることへの負担支援はどう対応しているのでしょうか。いわゆる引っ越し貧乏にならないようにするために対応は欠かせないと思いますけれども、いかがでしょうか。
政府参考人(中村英正君)
ありがとうございます。
議員御指摘の国家公務員の赴任に伴う引っ越しにつきましては、旅費法に規定がございます。旅費法におきまして、距離等に応じまして定額の移転料が法律に載っております。ただ、これでは当然物価の動向等で不足する場合がございますので、協議する規定も置いておりまして、現在、協議に基づいて必要な手続を取った上で、各省において実費を支給することができる対応とさせていただいております。
引き続き、制度の見直し詰めていきたいと思っておりますけれども、この旅費法につきましては、引っ越しに加えまして内外の出張等々ありまして、物価高あるいは為替の動向等々ございます。これに対して、足下、迅速に対応していく必要があるとともに、手続の簡素化等々、課題も多いというふうに考えておりまして、速やかに見直しを行っていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
三浦信祐君
速やかに是非やっていただきたいと思いますし、応援したいと思います。
最後に、河野大臣にお伺いしたいと思います。
多様化する社会構造とスピードが増す世界の外交、経済、技術の変化に対応するためには、行政においても専門的知見を有し、情報掌握能力ある、そして経験豊富な人材の確保は欠かすことができません。加えて、日本人博士号取得者の増加並びに就職先の確保を政府の方針としている中で、公務としての博士号取得者の採用増も検討していただきたいとお願いしたいと思います。
現状の採用先と期待すること、また処遇の状況とポストなど今後の展望について、河野大臣の決意を伺います。
国務大臣(河野太郎君)
ありがとうございます。
今、各府省における状況について実態調査をしているところでございますが、それを踏まえて、まずは内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局、そして文部科学省にしっかり主体的に取り組んでもらいたいと思っております。
内閣人事局といたしましては、人事院と連携をいたしまして、好事例や制度の周知というものをしっかりとサポートしてまいりたいと思っております。
三浦信祐君
先ほど有村先生からもありましたけれども、博士号人材のポストを確保するのは大学でも大変厳しい状況にもあります。一方で、海外とのやり取りを経済安全保障の観点から見たときにも、大変多くの機会として、どの経験値があるのかというのはよく世界で当たり前に見られてくることであると思います。名刺に書くことも当然だと思いますし、そのカウンターパートとしての位置付けがなくして相手は話もしてくれない、こうなっては国益の逸失になりますので、是非行政職の中に博士号をしっかりと確保できるように取り組んでいただきたいということを重ねてお願いさせていただいて、質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。