国土交通委員会(2020年6月16日)

ドローン機体認証について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 昨年の四月の十一日、そして六月六日、本委員会にて、ドローンの利活用に際して、多数混在するような状態を生み出すことを防止する、安全上の観点から資格取得した企業等が利用しているドローンであることを証明するなど、的確なドローン利用を行うために、機体登録制度や目印化などルールを確立してほしいとの質問もさせていただきました。これに対し、内閣官房を中心として、関係省庁とともにドローンの登録制度や識別などの規制の在り方についても検討していただくとの答弁をいただきました。その他、事あるごとにこの登録制度についてお願いをしてまいりました。いよいよ登録制度導入をしていただけることになりました。感謝申し上げたいと思います。
 国民の皆様の安全と経済活動の両立を図るために必要な制度の入口だと思います。簡単で結構ですので、本法律改正によって期待される内容、効果について伺います。

政府参考人(和田浩一君)  お答え申し上げます。
 先ほども御答弁を申し上げましたけれども、無人航空機の利活用が急速に進んでいる中、飛行中に突然制御不能で紛失をしてしまうといった事故でありますとか、航空法の違反事案が増加をしています。
 こうした状況を踏まえまして、本法案では、航空法における無人航空機の登録制度の創設を盛り込んでおります。この登録制度によりまして、所有者等が迅速に明らかになり、事故の原因究明や安全確保上必要な措置の確実な実施を図ることが可能になるものと考えております。
 こうした措置を通じまして、無人航空機の飛行による危険の防止を図ってまいりたいと考えております。

三浦信祐君 無人航空機の機体登録、これは飛行前に必要となります。そもそも、必ず購入することになるのがほとんどだと思います。そう考えますと、購入した時点で登録することが重要だと考えます。飾りじゃない場合は、だと思います。その際に、販売店の御協力をいただくことが必要だと私は考えております。
 無人航空機の機体の登録について、販売店の責務、役割についてどのように整理されていくのでしょうか。

政府参考人(和田浩一君)  お答えいたします。
 今般の登録制度を適切に運用するためには、個々の無人航空機に関する情報を網羅的に把握することが必要不可欠であり、登録原簿に正確な情報が迅速に反映されるよう、所有者自身で登録情報を申請していただくことが必要と考えております。このため、登録主体につきましては、自動車や船舶等の多くの先行する事例と同様に所有者としているところでございます。
 一方で、委員御指摘のとおり、所有者に着実に登録を行っていただくためには、販売店側が無人航空機の購入者に対し、登録制度の周知や登録申請の支援を実施していただくことが有効であり、この点において販売店が果たす役割は重要と考えております。
 このため、製造業者や流通業者を所管する経済産業省とも連携をいたしまして、販売店側に無人航空機の購入者に対する登録制度の周知を要請してまいります。さらに、購入者がオンラインシステムで登録をするに当たっての手続の補助、助言などの店頭等での登録申請の支援についても協力を要請してまいります。

三浦信祐君 明快に答えていただいて、ありがとうございます。
 無人航空機の機体登録に際しては、機体自体の基本情報はカタログベースで整理をされるのでしょうか。カタログ品から用途に応じて改造したカスタマイズ機体については、どのように整理し、登録の可否を判断するのでしょうか。また、登録時点と運用時点において、例えば搭載機器やペイロード、機体性能の変化が生じた場合、どのようにして登録変更をされるのか。登録変更がなされないままの場合ですと、どういうふうに対処をするのか。これらについてはしっかりと整理を、安全上不可欠な情報管理として行っていただかなければいけません。具体的な対応について伺います。

政府参考人(和田浩一君)  お答えいたします。
 今般導入しようとする無人航空機の登録制度では、登録に当たって所有者、使用者の氏名、住所に加えて、機体の情報として、量産機の場合には種類、型式、製造者、製造番号等を登録していただく必要がございます。また、量産機を改造し一定以上の性能や構造の変化がある場合には、改造前の機体の情報に加えまして必要に応じて写真情報を求めるなど、改造がなされている旨を登録情報に反映することを想定をしております。
 それから、登録後に機体を改造した場合の扱いにつきましては、機体の改造の度合いによってでございますけれども、変更の届出をしていただく、又は更に大幅な変更により機体の同一性が全く失われるような場合には新規の登録を必要としていただく場合もあるものと考えております。
 改造の内容と具体的な手続の関係については個別に判断をすることとなりますけれども、改造機の実態やユーザーの声も踏まえ、一定の指針を示すことも含めまして、利用者に分かりやすいものとなるよう引き続き検討してまいりたいと考えております。
 それから、こうした登録の情報については、今回の改正法におきまして、登録情報に変更があった場合の届出の義務付けでありますとか、必要な届出を行わなかった場合の罰則を設けているところであり、こういったものによりまして実効性を担保していきたいというふうに考えております。

三浦信祐君 そうすると、国交省の認証する技術者の育成というのも当然に行っていただいて、むしろいろんな機体をいじる、そして管理するということの経験を積むということも併せてお願いしておきたいと思います。
 過去、事故あるいは問題を生じさせた機体についての情報登録や飛行継続を許可するのでしょうか。また、機体に問題がある場合ではなく、所有者あるいは利用者責任の場合にはどう整理をされるのでしょうか。安全を第一に考えたとき、機体登録と所有者、利用者責任との関係性から整理が必要です。いかがでしょうか。

政府参考人(和田浩一君)  まず、事故があった機体の取扱いについてでございます。
 今般創設しようとする無人航空機の登録制度におきましては、安全上問題がある無人航空機につきましては登録を拒否できることとするとともに、国土交通大臣が所有者や使用者に対して必要な是正措置をとるよう命じることができる旨の規定を置いております。
 事故等が発生したことが判明した機体については、登録の拒否や是正命令を行うかどうかでございますけれども、これは事故の原因でありますとか、その原因が機体の構造等によるものかどうか、それから、それが実際に改善されているかどうかといった観点から個別に判断をしていくことになりますけれども、今後の無人航空機の事故等の状況を踏まえながら、これも先ほどと同様、一定の指針を示すことも含めて検討してまいりたいと考えております。
 それから、事故があった場合の所有者等の責任についてでございますけれども、無人航空機の事故が使用者等の技能不足等によりまして発生した場合には、無人航空機の機体そのものの安全性に関するものではございませんので、登録拒否等の対象になるものではございません。
 なお、使用者等の操縦技術に関しましては、現在の航空法におきまして、無人航空機の飛行の許可や承認が必要となる場合には、その許可、承認に当たって操縦者の経験でありますとか技量についての確認を行っているほか、昨年の航空法改正によりまして、操縦者に対して飛行前点検や衝突予防等の遵守義務を新たに課しております。これらに違反した場合には罰則の対象ともしております。
 さらに、将来的には、無人航空機の物流等への利活用の拡大に資するように、二〇二二年度を目途に有人地帯における補助者なしでの目視外飛行、いわゆるレベル4を実現することを目指しておりますので、本年三月に、官民での議論を経て、操縦者の技能証明制度の創設等を内容とする、レベル4の安全確保のための制度設計の基本方針を策定したところでございます。
 これらの取組を進めていくことにより、操縦者等に起因する事故等の発生防止にも対応してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 今大事なことを言っていただきました。しっかりと区別されて整理をされていると。大事なことは、これからプログラマーが機体を知らなくても機体の操縦をできるということになります。そういう部分での課題というのはこれからありますので、不断の見直しをしていただきたいというふうに思います。
 国民の安全を確保するためには、単に機体登録をするだけでは足りません。問題は飛行しているときの対応であります。
 登録表記について、飛行中における確認が必要となった場合、どのようにして確認をするのでしょうか。単に登録ステッカーを機体に貼り付けているだけでは、安全上などの管理において対応し切れません。これ、警察官が下から双眼鏡で見付けて、あれ、ちょっと見えるかよく分からないけど、これは危ないぞと、そんなレベル感ではとても堪えられません。
 そう考えますと、航空管制では、放送型自動位置情報伝達・監視機能、ADS―Bのように、機体識別機能を含む自動従属監視を運用をしております。これ、スマートフォンでも、どの機体が今どこを飛んでいると今は簡単に分かる時代であります。
 ドローンのように利活用が期待される無人航空機について、今後、無人、有人飛行に活用されているADS―Bのようなシステムを活用するなど、取締りが必要となった場合、適宜その機体情報を確認できるシステムが必要だと私は考えます。赤羽大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。

国務大臣(赤羽一嘉君)  まず、三浦委員におかれましては、国会の場で長年にわたり、専門家の立場からこの問題につきまして国会で様々御提言いただき、御指導いただいておりますこと、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 今、この問題につきましても、違法に飛行する無人航空機の取組等々で、飛行中の無人航空機の情報を迅速に特定できるようにすることというのは大変重要であって、現状の登録記号の識別云々、現状のあれでは極めて厳しい状況にあるというのは御指摘のとおりだと思っております。
 このため、現在、電波により登録記号等の識別情報を発信する仕組みであるいわゆるリモートIDについて研究開発が進められているところでございまして、国交省としましても、登録制度の実効性が高まるとともに、将来的に運航管理の仕組みの導入にも資するものと高く評価をしておりますので、今後、関係省庁また製造メーカーとも連携してしっかり官民一体となって技術開発を進め、この登録記号の識別方法の一つとしてリモートIDを早期導入できるようにしっかりと指示していきたいと、こう思っております。

無人飛行機複数飛行について

三浦信祐君 是非、リモートIDの技術開発をしっかり支えていただきたいと思います。
 日本が世界で渡り合って勝っていくためには、規格を握るということだと思います。日本の制度が優れているとなれば、それを世界に輸出することも可能だと思います。空というのは全部つながっていますので、これをチャンスに変えていくということをしっかり支えていきたいと思います。
 次に、無人航空機の複数飛行について質問させていただきます。
 無人航空機は物流に活用されることも期待をされております。自律した自動操縦と手動操作機が混在することでのドローン同士の衝突リスク、あるいはドローンと有人機との衝突リスクを回避、防止するために、運航管理システムの確立及び飛行情報の管理が必要と考えます。これら総じて、今後の制度化についてしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(和田浩一君)  お答え申し上げます。
 無人航空機の利活用の拡大が進むと、将来的には同じ空域での複数の無人航空機が飛行するケースも増加することが予想されます。このような状況では、無人航空機同士の衝突、落下等によりまして地上の人や物件に被害が生じないよう、無人航空機を操縦している者同士がお互いの機体の位置情報を共有する、また、ヘリコプターなどの有人航空機との間隔確保といった適切な空域管理などにより、安全な距離を保って飛行させることが重要となります。
 現在、経済産業省におきまして無人航空機に関する運航管理システムや衝突回避等の技術開発が行われていることは承知をしておりますが、今後の無人航空機の利活用の状況を踏まえた先進的な運航管理の仕組みを実現することが重要であると考えております。
 現在、政府全体で民間企業とも連携の上、有人地帯における補助者なしでの目視外飛行、いわゆるレベル4を実現することを目指しておりますけれども、国土交通省といたしましても、無人航空機の安全な飛行を図るため、運航管理に係るシステム等の整備についてしっかり検討してまいりたいと考えております。

無人飛行機の自賠責保険導入について

三浦信祐君 最後に、今後ドローンの利活用が増え、飛行機体の増加が予想されております。一方で、同時に、ドローンの墜落事故も頻発をしております。人の安全、地上の施設の安全を鑑みれば、万が一のときの保険が不可欠であります。今後、自動車のように自賠責保険制度を導入し、加入の義務付けを図るべきだと私は考えます。
 これからの保険については、トイドローンと区別を付け、トイドローンについてはPL保険のように製造会社で保険の加入を行う製造者責任にする。一般の無人航空機とされるドローンについては二つに区分し、一般用途と空撮、産業、農業等に活用する、事業に活用する産業用途に分けるべきだと考えます。一般的な機体では最低でも自賠責保険の加入を義務化し、産業用は賠償責任保険の追加を必須として、毎年更新確認をするようにすべきだと考えます。是非実現していただけませんでしょうか。

政府参考人(岩崎俊一君)  お答え申し上げます。
 今後ドローンの普及が予想される中、事故などにより被害者が被った損害の賠償は重要な課題でございます。政府におきましては、関係省庁、学識者、メーカー、関係団体から成ります官民協議会を設置し、ドローンの利活用の拡大に係る諸課題を議論しており、被害者救済対策もその一つとなっております。この協議会において、本年三月に今後の基本方針を取りまとめましたが、被害者救済対策として、まずはドローンを飛行させる者の保険加入の促進、民間保険の商品化の充実などを推進することとされております。
 御指摘の損害賠償責任保険の加入の義務付けなどにつきましては、ドローンの事故の実態やドローンの利活用の進展に応じたリスクなどを踏まえ総合的に検討すべき課題であると認識しており、今後その要否につきまして、国土交通省とともに検討してまいりたいと考えております。

三浦信祐君 是非、国会で質疑があったということを肝に銘じて、実現に取り組んでいただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。