経済産業委員会(2020年6月2日)

ものづくり補助金、IT補助金の現状と今後について

三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 法案審議の前に、ものづくり補助金、IT導入補助金の現状と今後について質問をさせていただきます。あくまでも中小企業の、この利用される方の目線での質問であります。
 三月十日、本委員会にて梶山大臣に、ものづくり補助金の申請手続の簡便化、更なる使いやすさの向上へ改善をしていただきたい、また、支援メニューの利用規定を大胆に見直し、整理統合する中でシンプル化を図り、より中小企業経営者が活用し経営に生かしやすいようにと要望させていただきました。
 大臣からは、ものづくり補助金では、今回の公募から支援機関による確認を不要とし、申請書に添付する書類の数を半減する、採択後の手続も、補助金共通システム、Jグランツを利用し、全て電子上で対応可能とする、また、補助金申請手続の電子化を幅広く進め、例えば事業者の属性に応じて最適な補助金メニューを推薦するサービスも可能とし、四月に提供を開始すると御答弁をいただきました。御対応いただき、本年度からものづくり補助金充当申請書の簡易化、そしてJグランツもホームページの分かりやすい位置に変えてもいただきました。
 コロナ禍において企業経営は大変厳しい状況であり、支援し続けることが欠かせない現状であります。経営状況が悪化している中、投資、特に設備投資はできないと考えておられる経営者も少なくないと考えられます。一方で、特別枠も設置をして、サプライチェーン毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境整備について投資支援もされており、このような環境下でも投資しようとする事業者の支援を強力に進めていただいております。これをチャンスに変えるという、そういうところをがっちりと支援するということは何よりも重要なことだと思います。
 その上で、ウイズコロナあるいはアフターコロナにおいても、日本の少子高齢化、労働生産人口の減少は現実的に進んでいく中で、生産性革命を標榜して、投資への支えとなる補助金制度は欠かすことができません。存分に活用していただきたいと思いますし、特に生産性革命を支援するものづくり補助金の活用は極めて重要だと私は考えております。
 そこで、中野政務官に伺います。
 本年度、このような環境下ではありますけれども、ものづくり補助金の申請数はどのようになっておりますでしょうか。
 また、IT導入補助金の活用が新しい生活様式に対応した企業活動の一助となることは間違いありません。先ほど来、手続の問題等々ありますけれども、事業者は生き抜いていくことに必死であります。このような環境の中で、IT導入をすることによって新しい地平を開いていくと考えている事業者もたくさんおられます。現状の申込数を伺うとともに、今後の活用へ向けて宣伝を加速をしていただきたいと考えます。どのように取り組んでいただけますでしょうか。

大臣政務官(中野洋昌君)  三浦委員の御質問にお答え申し上げます。
 御指摘のものづくり補助金、IT導入補助金につきましては、使い勝手の向上のため、申請書の簡素化等、様々御指摘もいただきながら、こういった取組してまいりまして、また中小企業の皆様が都合の良いタイミングで申請ができるようにということで、今年から通年で公募ということになっておりまして、複数の締切りを設けて審査、採択を行わせていただいております。
 ものづくり補助金につきましては、三月十日に公募を開始し、三月の三十一日、また五月の二十日の二度の締切りまでに合計八千七件の申請がございました。
 IT導入補助金については、三月十三日に公募を開始し、三月三十一日、五月二十九日の二度の締切りまでに六千二百三十八件の申請がございました。
 今後の取組ということでございます。また、緊急事態宣言が解除をされまして、事業活動が再開をしていく中、中小企業の皆様による業種別の感染予防ガイドラインに沿った前向きな投資を後押ししてまいりたいと考えております。これらの補助金におきまして、補助率を引き上げるなど支援を強化させていただいております。第二次補正予算案におきましても必要な予算を計上したところでありまして、事業者の皆様の事業の継続、再開を更に強力に支援してまいります。

電気事業法改正について

三浦信祐君 新しい生活様式、当然企業の在り方についても変わっていく段にあります。
 その上で、BCPを考えていったときに、このような投資をしておくということは、比較的、今議論なかなかできていないかもしれませんけれども、むしろこういうとき、現状だからこそやっていこうと考えている企業も決して少なくないと思います。IT化を図るということは、従業員を守り、企業の技術も守り、そして能力も担保することに近づいていくと思います。是非、このコロナ禍であるからこそ、これをチャンスに変えたということをしっかりと支えていただけるように、これからも強力に推進をしていただきたいというふうに思います。
 電気事業法改正案について質問をさせていただきます。
 本法改正では、送配電事業者に災害時連携計画の策定を義務付けております。その上で、経産大臣に計画の届出を求められております。昨年頻発した、また一昨年も台風災害がありまして、私の地元の神奈川でも多くの地域で停電が生じました。復旧までの時間が掛かること、備えの重要性とともに、電気自体の不可欠さを痛感することにもなりました。
 国民の皆様に御迷惑を掛けること、不安を取り除くために細かい体制づくりが必須であります。昨年の台風災害で顕著な現象は、受電者までのラストワンマイルで復旧対応が困難となり、通電再開までに時間を要したことであります。教訓は、ラストワンマイルへの対応等が練られていなかったことであり、早急な対応が必要であります。
 それらを踏まえた本法改正でありますけれども、計画を立てるだけでは復旧スピードが向上するとは言い切れません。倒木への対応、地権者、所有者などの権利との関係、電気設備資材のストック、対処必要先への道路啓開の対応など、多数乗り越えるべきハード側の課題があります。
 これらの準備について、具体的にどのような体制を取ることを想定されているのでしょうか。また、本法改正によって何が変わるのか、どう備えが改善されるのか、良い事例を示していただきたいと思います。いずれにしましても、経済産業省として、届出についてどのように利活用するのか、アドバイスが必要でありますので、どのように行っていくのか、梶山大臣に伺います。

大臣政務官(中野洋昌君)  お答え申し上げます。
 台風などの災害による停電発生時には、一般送配電事業者が関係機関と連携をしまして停電の早期解消に当たることが重要であります。まさに委員御指摘のような、昨年も大変な災害ございました。迅速な対応を図るためということで、本法案では、一般送配電事業者に対しまして、災害時連携計画の策定と経済産業大臣への届出を義務付けることとしております。
 この災害時連携計画には、一つには復旧手法の統一化、電源車の相互派遣など、一般送配電事業者間の共同災害対応に関する事項、また倒木処理などに関する地方公共団体や自衛隊など他の関係機関との連携に関する事項、そしてまたこれらの共同訓練に関する事項、これを記載いただく予定でございまして、この計画を充実したものとすることを通じて、関係者の事前の備えの充実と災害時の円滑な連携を図ってまいります。
 委員御指摘の国の関与ということでありますけれども、届出がなされた計画の内容が適切でない場合あるいは記載された内容に基づいて事業者がしっかり対応していない、こういう場合につきましては、経済産業大臣が勧告を行うことができる制度としているところでございます。
 このように、国がしっかりと関与をいたしまして、また共同訓練などを通じて一般送配電事業者と関係機関との連携が円滑に行われていくようにしていく、こういうことを実現をしていくことで迅速な復旧の実効性を確保する、こうした取組につなげてまいりたいと考えております。

三浦信祐君 訓練、極めて重要だと思います。例えば、今回のコロナの状況の中でクルーズ船を受け入れるということに対する訓練がどこまで出てきていたのかということは、国民の皆さんも果たして今後の検証が必要だというふうに思っておられます。
 台風というのは必ず毎年やってまいります。そして、出水期のときの、台風のようなことではない別な被害も想定をされます。となれば、いろんな訓練をやった中で、その得られた知見というのを共有できるスキームもつくり上げていくということは決して悪いことではないと思います。
 経産省が司令塔でありますので、良い事例をフィードバックを掛ける。逆に、いい事例をフィードバックさせるというのはこれまでの役所の伝統であろうと思いますけど、悪い事例をフィードバックした方がこの場合はいいと思います。いろんな想定ができるということを行うことが、結果として、スイッチをつけたときにすぐ電気が滞らずやってくるというこの日本を維持することになります。是非、協議をするぐらいの勢いでいろんな事例を積み上げていただいて、電気が通る、それが命につながるということをしっかりと全ての関係者に徹底共有していただいて、今まで培ってきた日本のこの電気が当たり前に来るということを、是非このまま継続できるように頑張っていただきたいというふうに思います。
 発災後の通電復旧プロセスで地域差が顕在化をいたしました。これらを解消する手だてが必要だとの教訓も得られております。あのうちはついているのにここはついていない、これが一番ストレスになります。
 その一助となるのが、復旧方法を統一させる、電気設備、施設等の統一化であります。事業者ごとの考え方、機材、設備調達方法の違い、従前設備の継続性等に起因した人材育成プラン等を背景として、これまで最も難しい課題の一つとして挙げられていた課題であります。災害連携計画に盛り込むべき事項として議論されてまいりましたけれども、具体的にどのような設備仕様の統一化を図るべきと考えているのでしょうか。
 また、災害時における電力供給の系統運用についての課題は何で、どう解消するのか。戸別通電状況について平時においてどのように掌握をされ、災害時においてどう管理され、状況の情報提供を図るのでしょうか。いわゆる今回の法律改正により変わることはどのようなことなのか、伺いたいと思います。

政府参考人(村瀬佳史君)  お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただきましたとおり、今回の法案におきましては、一般送配電事業者に対して災害時連携計画を策定することを義務付けた上で、この計画には、迅速な復旧に資する電気工作物の仕様の共通化や復旧方法等の共通化に関する事項などを記載することを求めることとしているところでございます。
 この計画に基づいて進められる具体的な取組といたしましては、例えば現場での配電線の復旧において、仮復旧方式、この仮復旧方式を取りますと、通常の本復旧に比べますと早急な復旧ができるわけでございますけれども、この仮復旧方式を全国統一で導入するといったようなことが盛り込まれるという想定でございますし、また、他エリアから応援に入った作業員が設備仕様などの違いから円滑な復旧作業に支障を来すことのないように、例えば既存施設、設備におきましては、復旧作業時に標準工具を使用できるコネクターを準備するなどといったような対応、また標準の作業手順マニュアルを整備するといったような対応が想定をされているところでございます。
 また、今後の更新していく設備などにつきましても、現場の実態を踏まえながらどのような仕様統一が合理的かを確認の上、例えば電源車の仕様、スペックですとか、そういった点について検討を進めまして統一化を進めるといった取組が進んでいくものと考えてございます。
 また、併せて御指摘いただきました情報の取扱いでございますけれども、これもさきの台風十五号の際には、この情報が東京電力から地方公共団体や自衛隊に提供されたことで被害状況の確認や停電の復旧作業等において活用されたというふうに承知してございまして、他方、発災当初の段階では、東京電力は、本人の同意を得ないで個人情報を第三者に提供することを原則禁じております個人情報保護法の規定に抵触する懸念ということからちゅうちょする部分も確認されたところでございます。
 こういった経験を踏まえまして、今回の法案では、国民の生命、身体又は財産に重要な被害が生ずる緊急事態への対処等のため必要があると認める場合には、一般送配電事業者に対して、関係行政機関や地方公共団体の長に対して必要な情報を提供することを求めることができるという規定を盛り込んだわけでございます。
 個人情報保護法におきましては、法令に基づく場合には本人の同意がない場合でも個人情報を第三者に提供することが許容されてございますので、今回の同法の規定によりまして、同法の規定に抵触することを懸念することなく一般送配電事業者が地方公共団体等に対して必要な情報を迅速に提供し、活用することができるようになるというように考えてございます。

三浦信祐君 まさにこの間の台風の教訓をしっかりと立体化をしていただいたと思います。だから訓練が重要だということが逆に明確になったと思います。工具一つ取っても、ツール一つ取っても、どうなっているかということをいきなり現場で見せられるよりは、事前に、地域のだけではなく、いろんな電力会社のことの関係する方が共有しているということは極めてレジリエンス性が高まると思います。ですので、絶対にあるという想定の下で訓練をしっかりやっていただいて、それをきっかけとして設備の統一化、また工具等も含めて共有できるような体制を取っていただきたいと思います。
 持続可能な電力供給には設備の安定性が欠かせません。高度経済成長期に整備された送電鉄塔や地中線、各種給電設備が老朽化と、更新期が近づいております。本法改正では計画的更新を義務化しております。
 取り組むべきことは二つあると考えます。一つは計画的更新における具体的指針、二つ目は電力供給をサービスとして受け取る消費者に掛かるコスト負担への影響と対策、これらの課題解消について国としてどのように取組を行うのでしょうか。

政府参考人(村瀬佳史君)  お答え申し上げます。
 御指摘のような具体的指針を定めて公表していくことは大変重要なことと考えてございます。今回の法案におきましては、一般送配電事業者に対しまして、電気工作物の設置の時期、耐用年数などを記載いたしました台帳の作成を義務付けるとともに、この台帳の内容を踏まえて長期的な観点から、そのエリアにおける需要動向に鑑み、送配電等の設備を計画的に更新する義務を課すこととしているところでございます。
 当該規定を踏まえまして、省令におきまして、管理の状況や鉄塔等の設備場所や設置仕様等に加えまして、これらから導き出される更新投資の必要度を台帳に記載すべき旨規定することを想定してございます。
 これらを通じまして一般送配電事業者が優先順位を付けて計画的に適切な設備更新を行うことを促していく予定でございまして、この際、託送料金制度に係る指針を策定いたしまして、料金等の申請に際して設備更新計画の提出を求め、その適切性を含めて審査の対象とすること等によりまして適切な更新投資を促していきたいと考えてございます。
 また、御指摘をいただきましたコストへの影響、これが極めて重要な論点と考えてございます。委員御指摘のコストへの影響につきましても、その対策として、今回の法案では、必要な投資を確保しつつ、その費用を最大限抑制するといった観点から、欧州で先行して導入されておりましたレベニューキャップ制度の導入を盛り込んでいるところでございます。
 この制度の下では、ドローンを活用した送電線の点検などのメンテナンス技術の開発やデジタル技術を活用した整備の長寿命化など、人材育成を含めました一般送配電事業者による自主的な効率化の努力を促すインセンティブを付与しているところでございます。
 一方で、国が一定期間ごとに、事業者による合理化、効率化の成果も踏まえまして、複数の事業者間の比較や評価も行った上で、投資の必要性を確認しながら厳格に審査、査定を行い、そのコストの効率化の果実を消費者に還元していくと、こういった仕組みとしているところでございまして、こういった制度を適切に運用して、消費者の負担を最大限抑制していくことで取り組んでまいりたいと考えてございます。

三浦信祐君 是非、レベニューキャップ制度重要ですので、うまい運用をしっかりやっていただきたいというふうに思います。
 分散型電力システムを導入してアグリゲーターを法律上位置付けることは、レジリエンス向上に効果があり、私は賛成であります。
 アグリゲーターを含め電力事業者全般に関わる内容ではありますが、サイバーセキュリティー対策は欠かすことができません。性善説では成り立たないのがサイバー空間であり、電力インフラ保持のためには事業環境の確認は必須であります。本法改正には、これらも盛り込まれております。
 一方で、外部からの攻撃に対する防御を担保するだけではなく、多面的なセキュリティー対策が求められる重要な役割を担うのが電気供給事業者であります。安全保障上、アグリゲーター自体の持続可能サービス提供とセキュリティー確保はどう判定し、国として担保していくのでしょうか。

政府参考人(村瀬佳史君)  お答え申し上げます。
 今般の法案におきましては、アグリゲーターを特定卸供給事業者として法律上位置付ける上で、災害等の需給逼迫時における供給命令の対象とするなど、安定供給の確保の一翼を担うことを求めているところでございます。したがいまして、規制の適用関係が明確化されるため、アグリゲーターの信頼性を高め、ビジネス環境の向上にもつながるわけでございますけれども、併せて、しっかりと事業者としての役割、責務を果たしていただかないといけないと考えてございます。
 かかる観点から、アグリゲーターの事業者としての適切性を担保する観点から、今回の法案においては、特定卸供給事業を開始することにより電気の使用者の利益の保護又は電気の供給に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、経済産業大臣が事業者からの届出内容の変更又は中止を命ずることができる仕組みとしてございますところでございまして、他の発電事業者などに対する規制と同様に、この規制、規定を運用する中で、その事業の適切性やサイバーセキュリティー対策が十分であるかどうか等についても確認をしていくということにさせていただきたいと考えてございます。

再エネ特措法改正について

三浦信祐君 適切な運用をお願いしたいと思います。
 恐縮です、二つ飛ばさせていただきまして、再エネ特措法改正について質問させていただきます。
 FIT制度が創設されて以降、水力を除く再生可能エネルギーの全体の発電量に占める割合は、二〇一一年の二・六%から二〇一七年の八・一%まで増加し、再生可能エネルギー増加の効果をもたらしました。しかし、FIT制度は国民負担の増大と電気料金への影響という副作用が連動しております。
 そこで、単純に伺います。FITで得られた教訓は何でしょうか。また、今後、教訓を生かし、取り組むべき方向性はどう捉えられているのでしょうか。

政府参考人(松山泰浩君)  お答え申し上げます。
 我が国では、二〇一二年にFIT制度導入いたしまして、その結果、水力を含めますと一〇%であった当時の割合が一七%まで拡大しております。発電量自体で見ますと、再エネ全体で世界第六位、特に太陽光発電の導入が非常に急速でございまして世界第三位の水準まで来ているなど、固定価格での買取りということによる収益の予測可能性が高まることによる投資の促進がなされまして、FIT制度は、再エネの導入量の拡大という意味では非常に大きな効果を持ってきたと認識してございます。
 しかし一方で、このFIT制度というものは、電力の需給の状況ですとかこれに応じた市場価格と無関係に、発電された再エネ電気を固定価格で買い取るという制度でございます。このため、この制度の下では、再エネ事業者は市場価格を踏まえ電力需給に応じた売電行動を行うということにならないわけでございまして、いわゆる電力市場から切り離された形での再エネ事業の導入が進むという形になったと認識してございます。
 今後、政府といたしましても、再エネ自体を主力電源化していくという方針を持っているところでございまして、日本の電力システムの一翼を担う責任ある電源にしていくという観点からは、電力需給に応じた売電を通じた電力市場への統合を促す支援の制度の見直しが必要だと考えてございます。
 本法案に盛り込んでおりますフィード・イン・プレミアムという制度は、まず再エネ発電事業者には自ら市場取引をしていただきまして、その上で、市場での売電実績に応じて一定のプレミアムを上乗せして受け取っていただくという制度でございます。
 事業者の方々は、電力の需給状況や市場価格を意識して、蓄電池等を活用して効率的な発電、売電が行うことが可能となり、これによって、バックアップ火力を含めた電力システム全体のコストの低減、また再エネ事業自体の事業の競争力の強化というものが図られますので、コストダウンにもつながると考えております。また、再エネの発電予測の精度向上や、アグリゲーションビジネスといった新しいビジネスの活性化、創出ということも生まれるということを期待しておりまして、FIP制度の活用を通じて、エネルギーの市場への統合、さらには再エネの主力電源化の加速につなげていきたいと考えてございます。

三浦信祐君 まさに、FITで設備は導入されたけれども、運用の在り方を変えていくという大事な局面であると思います。もちろん、FITでの様々な課題というのは、これからFIPに変えていったときにも様々出てくると思いますので、不断の見直し、また課題提起をしっかりしていただきたいというふうに思います。
 日本は、これまでバッテリー技術について世界をリードしてまいりました。今は翼を休めておりますけれども、世界の主力航空機でありますボーイング787型機のバッテリーも、また最先端のハイブリッド車のバッテリーも日本製であります。
 今後、SDGsの観点から、化石燃料を用いたエネルギー供給から更なる再生可能エネルギーとの共存、再エネの主力電源化に向けて技術が進んでまいります。鍵はバッテリー技術であり、我が国の競争力を高めていく必要があります。FIP制度をしっかりと補完をするのは、まさにバッテリー技術だと言っても過言ではありません。そのためには、バッテリー自体のイノベーションと技術を守るための知的財産保護、再エネの有効活用に向けた蓄電池の利用普及の支援、EVなどの車の電池を定置用の蓄電池としてリユースする取組など、総合的に取り組んでいく必要があると考えます。
 ハイブリッド車の電池のリサイクルシステムの構築というのは、世界を先んじて整備することができれば、実際のもう実物が我が国にあるわけでありますから、これはもうチャンスになると思います。早急に体制構築とシステム化を図るということが、私は、極めて日本にとっても重要なことであり、そのスタイルを世界に輸出すらできるものだと考えております。
 是非、今後、総合的にこういうことについて取り組んでいただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(梶山弘志君)  委員御指摘のとおり、蓄電池、再生可能エネルギーの導入、そして安定化、そしてコスト低減ということにも非常に大きな役割を果たすと思いますし、今度はユーザー側も、安定的なエネルギーの利用、そしてコスト低減という点では非常に大きな役割を担うものだと思っております。技術開発とその知的財産保護、普及支援などの政策に総合的に取り組んでいくことは、これ重要な課題であると思っております。
 このため、経済産業省では、蓄電池の更なる性能向上やコストダウンに向けて、全固体リチウムイオン電池など先端的な蓄電池の研究開発を実施をしております。また、この際、成果の権利化、秘匿化の際の手続や技術移転に関するルール等を定めて、知的財産保護にも細心の注意を払っているところであります。
 また、再生可能エネルギーの導入のための蓄電池の活用の拡大に向けて、省エネに加えて、再エネ、蓄電池の組合せによる住宅のネット・ゼロ・エネルギー化や、IoT技術を駆使して蓄電池の制御を通じた効率的な需給調整、大型蓄電池による出力変動緩和等系統安定化といった実証事業にも取り組んでいるところであります。
 さらに、委員から御指摘のありました、今後普及が見込まれるEVなどの車載用蓄電池等、再生可能エネルギーの導入拡大に向けての二次利用することも可能となるように、車載蓄電池の性能評価のガイドラインを策定するとともに、車載用蓄電池を定置型蓄電池に転用することを見据えて、転用の際の電池の安全性評価法の標準化など、取組を進めております。
 こうした総合的な取組を通じて、日本の蓄電池技術を強化し、再生可能エネルギーの普及や産業競争力強化につなげてまいりたいと思っております。まずはコストダウン、いかに図っていくかということで、しっかりとした実証やってまいりたいと思っております。

三浦信祐君 まさに蓄電池は、生活者にとってみれば必ず毎日持っているものだと思います。バッテリーという表現すればいいのか蓄電池かということはありますけど、携帯電話、まさにスマートフォンの時代でありますけれども、この電池の発展なくしてスマートフォンがポケットの中に入るという時代はやってまいりませんでした。それをリードしてきたのも日本であります。
 加えて、普通は携帯電話の電池はそのまま使い捨てになっていきますけれども、まさにEV車、またハイブリッドカーに使っている電池というのは再利用が十分可能であります。車のポテンシャルを保つという意味ではかなりレベルの高いところでの運用をされておりますけど、家というところに置き換えてみれば、太陽光を使い、また、ありとあらゆるスキームを使えば、蓄電池を再利用しただけでも十分賄えていく時代でもあります。ここに新しいイノベーションも生まれるということも期待できますし、蓄電池の発展ということがイノベーションをリードするだけではなく、ゲームチェンジャーになるというふうに思います。
 そのリードをするというのは、若干通信で負けている日本にとってみれば、電池はうちが握っていると、そういうことを世界に明確に表現できることだと思います。是非、今埋もれているように見せかけている電池技術を開発しているところ、これをがっちりと支援するということを大臣に重ねてお願いさせていただいて、質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。